説明

ケーブル構造ならびにコネクタ

【課題】良好な誘電特性を維持したうえで、ケーブル内の異物混入を防止する。
【解決手段】第1の絶縁体5が内部導体3と外部導体4との間に設けられた同軸ケーブルにコネクタを接続してなるケーブル構造である。第1の絶縁体5は、内部導体3の周面を覆って設けられる内側絶縁層5aと、その外側に空隙αを介して同軸配置される外側絶縁筒5bと、内側絶縁層5aから放射線状に突出してその先端が外側絶縁筒5bと一体化する複数本の絶縁リブ5cとを備える。コネクタ2は、内部導体3のコネクタ接続端に接続される中心コンタクト8と、外部導体4のコネクタ接続端に接続されて中心コンタクト8の径方向外側に同軸配置される筒状コンタクト9と、中心コンタクト8と筒状コンタクト9との間に設けられた第2の絶縁体10と、第1の絶縁体5のコネクタ接続端における空隙αの開口βを覆う蓋体11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルにコネクタを接続してなるケーブル構造ならびにコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルの内部導体と外部導体との間には絶縁体が介在する。絶縁体としては種々のものがあるが、従来から、非熱可塑性フッ素樹脂であるPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)から構成されたものや、熱可塑性フッ素樹脂であるPFA(パーフルオロアルコキシ樹脂)から構成されたものが知られている。
【0003】
非熱可塑性フッ素樹脂であるPTFEから絶縁体を構成する場合、誘電特性(誘電正接)を高く維持することができるものの、連続成形押出しという安価な製法で同軸ケーブルを製造することが困難となり、同軸ケーブルの製造コストが上昇する。
【0004】
熱可塑性フッ素樹脂であるPFAから絶縁体を構成する場合、連続押出成形により絶縁体を製造することができ、同軸ケーブルの製造コストを低減することができる。しかしながら、PFAから絶縁体を構成した場合、その材質からみて、同軸ケーブルにおける誘電特性(誘電正接)を、PTFEの絶縁体を備えたものと同等にすることは困難である。
【0005】
PFAの絶縁体の誘電特性(誘電正接)を向上させるためには、発泡させればよい。そこで、従来から、ガス発泡押出し成型により絶縁体(PFA)を形成することで、絶縁体(PFA)内部に空気層(気泡)を形成することが実施されている。
【0006】
しかしながら、絶縁体(PFA)に精度高く気泡を形成するためには、PFAに発泡剤を混入する必要がある。ところが、PFAに発泡剤を混入することは、それ自身、絶縁体(PFA)の誘電特性(誘電正接)を悪化させる要因となる。
【0007】
そこで、従来から、絶縁体(PFA)に軸方向に連続する空隙を設けることで空気層の占有比率を飛躍的に高めた同軸ケーブルが知られている。このような同軸ケーブルに設けられる絶縁体は、図7に示すように、同軸ケーブルの内部導体100の周面を覆って設けられる内側絶縁層101と、内側絶縁層101から放射線状に突出して外部導体103を支持する複数本の絶縁リブ102とを有する。このような絶縁体は、断面視中空星形形状をしていることから、以下、中空星形絶縁体と称される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2003−249129号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
中空星形絶縁体を有する同軸ケーブルは、絶縁体における空隙(空気層)の占有比率が高いために良好な誘電特性(誘電正接)を得ることができるものの、軸方向に連続する空隙の開口端から空隙内に異物やゴミが混入する可能性がある。このような異物混入は、同軸ケーブルの短絡やIM雑音の原因となる。
【0010】
本発明は、このような実情に着目してなされたものであって、良好な誘電特性を維持したうえで、ケーブル内の異物混入を防止することができるケーブル構造やコネクタを提供することを主たる目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明のケーブル構造は、
内部導体と外部導体との間に第1の絶縁体が設けられた同軸ケーブルにコネクタを接続してなるケーブル構造であって、
前記第1の絶縁体は、
前記内部導体の周面を覆って設けられる内側絶縁層と、
前記内側絶縁層の外側に空隙を介して同軸配置される外側絶縁筒と、
前記内側絶縁層から放射線状に突出してその先端が前記外側絶縁筒と一体化する複数本の絶縁リブと、
を備え、
前記コネクタは、
前記内部導体のコネクタ接続端に接続される中心コンタクトと、
前記外部導体のコネクタ接続端に接続されて前記中心コンタクトの径方向外側に同軸配置される筒状コンタクトと、
前記中心コンタクトと前記筒状コンタクトとの間に設けられた第2の絶縁体と、
前記第1の絶縁体のコネクタ接続端における前記空隙の開口を覆う蓋体と、
を備える。
【0012】
上記構成によれば、第1の絶縁体は、内側絶縁層と外側絶縁筒と複数本の絶縁リブとを備えた断面視中空蓮茎型構造を備えたものとなり、絶縁体における空隙(空気層)の占有比率を高く維持することができる。これにより、良好な誘電特性(誘電正接)を得ることができる。
【0013】
さらには、第1の絶縁体が断面視中空蓮茎型構造(内側絶縁層と外側絶縁筒と複数本の絶縁リブとを備えた構造)を有するため、各空隙を比較的小さな多数の小空隙に区分しても十分に高い機械的強度を第1の絶縁体に付与することが可能となる。このようにして各空隙の大きさを小さくすることができる結果、空隙内に異物やゴミが混入しにくくなる。
【0014】
さらには、空隙の開口を覆う蓋体をコネクタに設けることで、空隙内に異物やゴミが混入することを確実に阻止することが可能となる。
【0015】
本発明のケーブル構造には、
前記蓋体は、第1の環状装着部と、蓋体本体とを有し、
前記第1の環状装着部は、前記外部導体のコネクタ接続端より軸方向ケーブル外側に突出する前記第1の絶縁体のコネクタ接続端周面に密着外嵌可能な内径を有し、
前記蓋体本体は、前記第1の環状装着部と一体に設けられて前記第1の絶縁体のコネクタ接続端端面を被覆可能であり、
かつ前記蓋体本体には挿通孔が設けられ、前記挿通孔は、前記第1の絶縁体の前記コネクタ接続端端面より軸方向ケーブル外側に突出する前記内部導体が密着挿通可能な径を有する、
という態様がある。この態様によれば、蓋体を確実に同軸ケーブルのコネクタ接続端に装着して空隙を確実に封止することが可能となる。
【0016】
さらに本発明のケーブル構造には、
前記蓋体は、
前記蓋体本体の前記挿通孔の周縁に一体に設けられて軸方向ケーブル外側に突出する第2の環状装着部を、
さらに有し、
前記第2の環状装着部の内孔が前記挿通孔を構成する、
という態様がある。この態様によれば、蓋体をさらに確実に同軸ケーブルのコネクタ接続端に装着することが可能となる。
【0017】
さらに本発明のケーブル構造には、
前記蓋体は、前記第1の絶縁体と同等の誘電率を有する、という態様がある。コネクタに蓋体を設けたことに起因して、同軸ケーブルのコネクタ接続端における電気特性が悪化する可能性があるが、この態様によれば、前記蓋体が前記第1の絶縁体と同等の誘電率を有することで、その特性悪化を防止することができる。
【0018】
本発明のコネクタは、
内部導体と外部導体との間に、軸方向に延出する空隙を有する第1の絶縁体が設けられた同軸ケーブルに装着されるコネクタであって、
前記内部導体のコネクタ接続端に接続される中心コンタクトと、
前記外部導体のコネクタ接続端に接続されて前記中心コンタクトの径方向外側に同軸配置される筒状コンタクトと、
前記中心コンタクトと前記筒状コンタクトとの間に設けられた第2の絶縁体と、
前記第1の絶縁体のコネクタ接続端における前記空隙の開口を覆う蓋体と、
を備える。
【0019】
上記構成によれば、第1の絶縁体の空隙の開口を覆う蓋体をコネクタに設けることで、空隙内に異物やゴミが混入することを確実に阻止することが可能となる。
【0020】
本発明のコネクタには、
前記蓋体は、第1の環状装着部と、蓋体本体とを有し、
前記第1の環状装着部は、前記外部導体のコネクタ接続端より軸方向ケーブル外側に突出する前記第1の絶縁体のコネクタ接続端周面に密着外嵌可能な内径を有し、
前記蓋体本体は、前記第1の環状装着部と一体に設けられて前記第1の絶縁体のコネクタ接続端端面を被覆可能であり、
かつ前記蓋体本体には挿通孔が設けられ、前記挿通孔は、前記第1の絶縁体の前記コネクタ接続端端面より軸方向ケーブル外側に突出する前記内部導体が密着挿通可能な径を有する、
という態様がある。この態様によれば、蓋体を確実に同軸ケーブルのコネクタ接続端に装着して空隙を確実に封止することが可能となる。
【0021】
さらに本発明のコネクタには、
前記蓋体は、
前記蓋体本体の前記挿通孔の周縁に一体に設けられて軸方向ケーブル外側に突出する第2の環状装着部を、
さらに有し、
前記第2の環状装着部が、前記挿通孔を構成する、
という態様がある。この態様によれば、蓋体をさらに確実に同軸ケーブルのコネクタ接続端に装着することが可能となる。
【0022】
さらに本発明のコネクタには、
前記蓋体は、前記第1の絶縁体と同等の誘電率を有する、という態様がある。この態様によれば、コネクタに蓋体を設けたことに起因する、同軸ケーブルのコネクタ接続端における電気特性の悪化を防止することができる。
【発明の効果】
【0023】
このように、本発明によれば、同軸ケーブルの誘電特性(誘電正接)を良好な状態に維持したうえで、軸方向に連続する空隙の開口端から空隙内に異物やゴミが混入することを確実に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態のケーブル構造を示す一部切欠断面図である。
【図2】実施の形態のケーブル構造に用いられるコネクタを構成する蓋体の一部切欠斜視図である。
【図3】実施の形態のケーブル構造を構成する同軸ケーブルの接続端構造と蓋体とを示す一部切欠断面図である。
【図4】図3のA−A線断面図である。
【図5】実施の形態のケーブル構造に用いられるコネクタの蓋体を取り付けた状態における同軸ケーブルの接続端構造を示す一部切欠断面図である。
【図6】実施の形態のケーブル構造に用いられるコネクタの蓋体と中心コンタクトとを取り付けた状態における同軸ケーブルの接続端構造を示す一部切欠断面図である。
【図7】従来の同軸ケーブルの構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1〜図6に、本発明に係るケーブル構造の一実施の形態が示されている。図において、1は同軸ケーブルであり、2は同軸ケーブル1の接続端に取り付けられるコネクタである。同軸ケーブル1は、内部導体3と、内部導体3の径方向外側に同軸配置された外部導体4と、内部導体3と外部導体4との間に設けられた第1の絶縁体5と、外部導体4を覆って保護する被覆層7とを有する。
【0026】
第1の絶縁体5は、例えば、熱可塑性フッ素樹脂であるPFAから構成されており、連続押出成形により絶縁体を製造することができて、同軸ケーブルの製造コストを低減することができる。第1の絶縁体5は、図4の断面図に示されるように、内部導体3の周面を覆って設けられる内側絶縁層5aと、内側絶縁層5aの外側に空隙αを介して同軸配置される外側絶縁筒5bと、内側絶縁層5aから放射線状に突出してその先端が外側絶縁筒5bと一体化する複数本(本実施の形態では6本)の絶縁リブ5cとを有する。内側絶縁層5aは、内部導体3の周面を覆って設けられる。外側絶縁筒5bは、内側絶縁層5aの外側に空隙αを介して同軸配置される。絶縁リブ5cは、内側絶縁層5aから放射線状に突出してその先端が外側絶縁筒5bと一体化する。絶縁リブ5cは複数本(本実施の形態では6本)設けられる。これにより、第1の絶縁体5は、断面視、中空蓮茎型構造となっている。第1の絶縁体5は、樹脂絶縁体であるPFAに、理想的な絶縁体として機能する空気層を組み合わせて構成されるために、誘電特性(誘電正接等)が絶縁体(PTFE)と同等となっている。
【0027】
コネクタ2は、中心コンタクト8と、筒状コンタクト9と、第2の絶縁体10と、蓋体11と、連結スリーブ12とを有する。中心コンタクト8は、内部導体3に同軸配置されて内部導体3のコネクタ接続端に連結される。これにより中心コンタクト8は、内部導体3に電気接続される。
【0028】
筒状コンタクト9は、外部導体4のコネクタ接続端に外嵌されて連結される。これにより筒状コンタクト9は、外部導体4に電気接続されたうえで、中心コンタクト8の径方向外側に隙間βを空けた状態で同軸配置される。筒状コンタクト9は、当該コネクタ2の連結対象である他方のコネクタ(図示省略)の外部導体側コネクタ部材と嵌合して相互連結される。筒状コンタクト9の軸方向ケーブル外側に位置するケーブル外周面には、封止リング13が設けられる。封止リング13は、他方のコネクタ(図示省略)の外部導体側コネクタ部材と筒状コンタクト9との連結部位を密封するために設けられる。
【0029】
第2の絶縁体10は、環状形状を有しており、隙間βを密封した状態で、中心コンタクト8と筒状コンタクト9との間に設けられる。これにより第2の絶縁体10は筒状コンタクト9と中心コンタクト8とを電気的に絶縁した状態で、筒状コンタクト9の内部で中心コンタクト8を位置決め固定する。第2の絶縁体10は、第1の絶縁体5と同様の絶縁体(PFA、PTFE等)から構成される。
【0030】
蓋体11は、図2にその詳細が示されるように、第1の環状装着部11aと、蓋体本体11bと、第2の環状装着部11cとを有する。第1の環状装着部11aの内径R1は、第1の絶縁体5の外径R2より若干小径(R1<R2)であって、第1の環状装着部11aは、外部導体4のコネクタ接続端より軸方向ケーブル外側に突出する第1の絶縁体5のコネクタ接続端周面に密着外嵌可能となっている。蓋体本体11bは、第1の環状装着部11aと一体に設けられて第1の環状装着部11aの一端を覆う平板形状を有する。第1の環状装着部11aが第1の絶縁体5のコネクタ接続端に装着された状態では、蓋体本体11bは、第1の絶縁体5のコネクタ接続端端面(空隙αの開口γ)を被覆して密封する。蓋体本体11bには挿通孔11dが設けられる。挿通孔11dの径R3は、内部導体3の外径(内側絶縁層5aの内径)R4より若干小径(R3<R4)であり、空隙αを蓋体本体11bで封止した状態で、第1の絶縁体5のコネクタ接続端端面より軸方向ケーブル外側に突出する内部導体3が挿通孔11dに密着挿通可能となっている。第2の環状装着部11cは、蓋体本体11bの挿通孔11dの周縁に一体に設けられており、第1の環状装着部11cとは逆の軸方向に向かって突出する。第2の環状装着部11cは内部導体3が密着挿通可能な内孔を有しており、挿通孔11dは、この内孔から構成される。蓋体11は、第1の絶縁体5と同等の誘電率を有する絶縁体材料(PFA、PTFE等)から構成される。
【0031】
連結スリーブ12は、筒状コンタクト9に外嵌可能な筒状形状を有しており、その内周部には環状溝12aが形成される。環状溝12aには連結スリーブ12の位置決めデテント用のバネリング14が係入保持される。バネリング14は、その周方向一箇所において分断されて弾性的に拡縮変形可能に構成される。筒状コンタクト9の外周には、バネリング14と係合する係合溝9aが環状に形成される。係合溝9aと環状溝12aとにそれぞれバネリング14が係合することで、連結スリーブ12は、筒状コンタクト9に対して回転可能に連結される。連結スリーブ12の内周面には、当該コネクタ2の連結対象である他方のコネクタ(図示省略)と連結するための雌ネジ部12bが形成される。
【0032】
さらに、筒状コンタクト9の内周面には、第2の絶縁体10の端部が当接する第1のリブ9bと、蓋体11に当接する第2のリブ9cとが形成される。
【0033】
以下、同軸ケーブル1のコネクタ接続端にコネクタ2を連結して本発明のケーブル構造を形成する方法を説明する。まず、図3に示すように、同軸ケーブル1のコネクタ接続端において長さL1にわたって被覆層7が剥がされる。さらにコネクタ接続端において長さL2(L2<L1)にわたって外部導体4が剥がされる。さらにコネクタ接続端において長さL3(L3<L2)にわたって第1の絶縁体5が剥がされる。これにより、コネクタ接続端においては、長さL3にわたって内部導体3が露出(突出)し、長さ(L2−L3)にわたって第1の絶縁体5が露出し、長さ(L1−L2)にわたって外部導体4が露出する。
【0034】
この状態で、図5に示されるように、同軸ケーブル1のコネクタ接続端に蓋体11が装着される。蓋体11の装着は以下のようにして行われる。すなわち、コネクタ接続端から突出する内部導体3に挿通孔11dが挿通された状態で第1の環状装着部11aが外部導体4に外嵌される。第1の環状装着部11の軸方向長さL4は長さ(L2−L3)と同等になっており、第1の環状装着部11aが外部導体4に外嵌されると、蓋体本体11bが第1の絶縁体5の隙間αの開口γに当接してここを閉塞する。このとき、第1の環状部11aがその全長にわたって外部導体4の周面に密着し第2の環状装着部11cがその全長にわたって内部導体3に密着することで、開口γは、強固に閉塞される。
【0035】
同軸ケーブル1のコネクタ接続端に蓋体11を装着した状態では、蓋体11から内部導体3が露出(突出)する。蓋体11から突出する内部導体3に、中心コンタクト8を装着する。中心コンタクト8の一端には、連結孔8aが設けられており、蓋体11から突出する内部導体3の端部に連結孔8aが外嵌されることで、中心コンタクト8が内部導体3に連結される。
【0036】
この状態で、同軸ケーブル1のコネクタ接続端における外部導体4の周面に、筒状コンタクト9と連結スリーブ12とが外嵌される。さらにこの状態で中心コンタクト8と筒状コンタクト9との間の隙間β(環状空間)に第2の絶縁体10が圧入されて固定される。
【0037】
第2の絶縁体10が隙間β(環状空間)に圧入されて固定されることで、筒状コンタクト9の第1のリブ9bが、第2の絶縁体5の端部によって、図1における左から右方向に向けて付勢される。この付勢を受けて、筒状コンタクト9の第2のリブ9cが、蓋体11を図1における左から右方向に向けて押圧付勢する。これにより、第1の絶縁体5の開口βが蓋体11によって封止された状態でコネクタ2は、同軸ケーブル1のコネクタ接続端に連結される。
【0038】
このようにして同軸ケーブル1のコネクタ接続端にコネクタ2を連結してなるケーブル構造では、同軸ケーブル1のコネクタ接続端における第1の絶縁体5の隙間α(開口β)を蓋体11で密封するために、コネクタ接続端における開口βから隙間α内に異物やゴミが侵入することが確実に防止される。これにより、絶縁体における空隙(空気層)の占有比率を高く維持することで良好な誘電特性(誘電正接)を得たうえで、軸方向に連続する空隙αの開口βから空隙α内に異物やゴミが混入することを確実に防止して、同軸ケーブルの短絡やIM雑音を排除することができる。
【符号の説明】
【0039】
1 同軸ケーブル
2 コネクタ
3 内部導体
4 外部導体
5 第1の絶縁体
5a 内側絶縁層
5b 外側絶縁筒
5c 絶縁リブ
α 空隙
β 隙間
γ 開口
7 被覆層
8 中心コンタクト
8a 連結孔
9 筒状コンタクト
9a 係合溝
9b 第1のリブ
9c 第2のリブ
10 第2の絶縁体
11 蓋体
11a 第1の環状装着部
11b 蓋体本体
11c 第2の環状装着部
11d 挿通孔
12 連結スリーブ
12a 環状溝
12b 雌ネジ部
13 封止リング
14 バネリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部導体と外部導体との間に第1の絶縁体が設けられた同軸ケーブルにコネクタを接続してなるケーブル構造であって、
前記第1の絶縁体は、
前記内部導体の周面を覆って設けられる内側絶縁層と、
前記内側絶縁層の外側に空隙を介して同軸配置される外側絶縁筒と、
前記内側絶縁層から放射線状に突出してその先端が前記外側絶縁筒と一体化する複数本の絶縁リブと、
を備え、
前記コネクタは、
前記内部導体のコネクタ接続端に接続される中心コンタクトと、
前記外部導体のコネクタ接続端に接続されて前記中心コンタクトの径方向外側に同軸配置される筒状コンタクトと、
前記中心コンタクトと前記筒状コンタクトとの間に設けられた第2の絶縁体と、
前記第1の絶縁体のコネクタ接続端における前記空隙の開口を覆う蓋体と、
を備える、
ことを特徴とするケーブル構造。
【請求項2】
前記蓋体は、第1の環状装着部と、蓋体本体とを有し、
前記第1の環状装着部は、前記外部導体のコネクタ接続端より軸方向ケーブル外側に突出する前記第1の絶縁体のコネクタ接続端周面に密着外嵌可能な内径を有し、
前記蓋体本体は、前記第1の環状装着部と一体に設けられて前記第1の絶縁体のコネクタ接続端端面を被覆可能であり、
かつ前記蓋体本体には挿通孔が設けられ、前記挿通孔は、前記第1の絶縁体の前記コネクタ接続端端面より軸方向ケーブル外側に突出する前記内部導体が密着挿通可能な径を有する、
ことを特徴とする請求項1に記載のケーブル構造。
【請求項3】
前記蓋体は、
前記蓋体本体の前記挿通孔の周縁に一体に設けられて軸方向ケーブル外側に突出する第2の環状装着部を、
さらに有し、
前記第2の環状装着部の内孔が前記挿通孔を構成する、
ことを特徴とする請求項2に記載のケーブル構造。
【請求項4】
前記蓋体は、前記第1の絶縁体と同等の誘電率を有する、
ことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載のケーブル構造。
【請求項5】
内部導体と外部導体との間に、軸方向に延出する空隙を有する第1の絶縁体が設けられた同軸ケーブルに装着されるコネクタであって、
前記内部導体のコネクタ接続端に接続される中心コンタクトと、
前記外部導体のコネクタ接続端に接続されて前記中心コンタクトの径方向外側に同軸配置される筒状コンタクトと、
前記中心コンタクトと前記筒状コンタクトとの間に設けられた第2の絶縁体と、
前記第1の絶縁体のコネクタ接続端における前記空隙の開口を覆う蓋体と、
を備える、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項6】
前記蓋体は、第1の環状装着部と、蓋体本体とを有し、
前記第1の環状装着部は、前記外部導体のコネクタ接続端より軸方向ケーブル外側に突出する前記第1の絶縁体のコネクタ接続端周面に密着外嵌可能な内径を有し、
前記蓋体本体は、前記第1の環状装着部と一体に設けられて前記第1の絶縁体のコネクタ接続端端面を被覆可能であり、
かつ前記蓋体本体には挿通孔が設けられ、前記挿通孔は、前記第1の絶縁体の前記コネクタ接続端端面より軸方向ケーブル外側に突出する前記内部導体が密着挿通可能な径を有する、
ことを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記蓋体は、
前記蓋体本体の前記挿通孔の周縁に一体に設けられて軸方向ケーブル外側に突出する第2の環状装着部を、
さらに有し、
前記第2の環状装着部は、前記挿通孔を構成する、
ことを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記蓋体は、前記第1の絶縁体と同等の誘電率を有する、
ことを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−187212(P2011−187212A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−48953(P2010−48953)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000003263)三菱電線工業株式会社 (734)
【Fターム(参考)】