説明

ケーブル被覆材の除去装置、及びケーブル被覆材の除去方法

【課題】ケーブル被覆材の表面に凹凸が形成されていても、容易に除去できる被覆材除去装置を提供する。
【解決手段】芯線と芯線を被覆する外部被覆材とを備えるケーブル16を、第1方向にスライド可能なケーブル支持部材2と、外部被覆材を切断するためのカッター14を支持するカッター支持機構3とを備え、カッター支持機構は、カッターを保持するカッター保持部材4と、カッターが第1方向を含む平面に垂直な第1軸13の周りに回転可能となるようにカッター保持部材を支持する固定部材5と、一端が固定部材に連結され他端がカッター保持部材に連結される弾性部材12とを備え、固定部材は、カッターの刃先が第1方向の反対方向を向くようにカッター保持部材を支持する構造を有する。弾性部材は、カッターの刃先に第1軸周りの回転力が第1方向の反対方向に向かって働くように、カッター保持部材を付勢している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケーブル被覆材の除去装置、及びケーブル被覆材の除去方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ケーブルは、導体である芯線と、芯線を被覆する外部被覆材とを有している。ケーブルを電子部品等に接続する場合、外部被覆材を除去し、芯線を露出させる必要がある。芯線を露出させる方法として、カッターを用いて人手により外部被覆材を切断する方法が考えられる。しかしながら、人手によって外部被覆材を切断する場合、カッターに対して一様な力を加えることが難しい。そのため、外部被覆材だけではなく芯線までもが傷つけられてしまうことがある。
【0003】
外部被覆材を除去するための技術が、特許文献1(特開平10−14045号公報)、特許文献2(特開2002−238124号公報)、及び特許文献3(特開平7−15826号公報)に記載されている。
【0004】
特許文献1には、被覆体にケーブルの円周方向にスリットを刻むと共に、抜き方向にもスリットを刻んで、被覆体をストリップすることが記載されている。特許文献1には、これにより、ケーブル内の芯線に傷をつけることなく被覆体をストリップできると記載されている。
【0005】
特許文献2には、第1アームと第2アームとの各アームの自由端にケーブルの長さ方向と直角で対向させてケーブルを挟むように構成したローラと、第1アームに備えたローラに近接して絶縁シースに切れ目を形成できる刃物と、第2アームに備えたローラに近接してケーブルを貫通できる孔とを備え、ケーブルの長さ方向に任意に移動し、絶縁シースを長さ方向に縦裂きできる切れ目を形成し、内部線芯を取り出せるようにする点が記載されている。
【0006】
特許文献3には、左右一対の杆体を、中央をピンで枢着したXリンクで結合し、間に圧縮ばねをもうけ、杆体の間が開くように付勢する点、ねじ軸の先端を片方の杆体に回転自在に支持し、他方の杆体には、このねじ軸と螺合することのできる割りナットを設ける点、杆体に、ケーブルを挟む2組のローラを回転自在に立設する点、各組のローラとローラの間において各杆体に回転自在に、かつ突出量を調整できるように左右一対の円形刃を設ける点、及びこの円形刃でケーブルの外被を両側から切り裂く点が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平10−14045号公報
【特許文献2】特開2002−238124号公報
【特許文献3】特開平7−15826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、ケーブルの中には、外部被覆材の表面に凹凸が形成されるものもある。例えば、ケーブルとして、螺旋状になるように巻かれた2本の芯線を用いた、ツイストペアケーブルが知られている。ツイストペアケーブルでは、螺旋状である2本の芯線に対応して、外部被覆材の表面に凹凸が形成される。このようなケーブルに対しては、カッターを一定量だけ外部被覆材に当てることが難しく、容易に外部被覆材を除去することができない。
【0009】
尚、特許文献1乃至3のいずれにおいても、外部被覆材の表面に凹凸が形成されるケーブルについて、外部被覆材を容易に除去する点については、記載されていない。
【0010】
そこで、本発明の目的は、外部被覆材の表面に凹凸が形成される場合であっても、外部被覆材を容易に除去することができる、ケーブル被覆材の除去装置、及びケーブル被覆材の除去方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下に、(発明を実施するための形態)で使用される番号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号は、(特許請求の範囲)の記載と(発明を実施するための形態)との対応関係を明らかにするために付加されたものである。ただし、それらの番号を、(特許請求の範囲)に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0012】
本発明に係るケーブル被覆材の除去装置(1)は、芯線と芯線を被覆する外部被覆材とを備えるケーブル(16)を、第1方向に沿ってスライド可能となるように支持する、ケーブル支持部材(2)と、外部被覆材を切断するためのカッター(14)を支持する、カッター支持機構(3)とを具備する。カッター支持機構(3)は、カッター(14)を固定して保持する、カッター保持部材(4)と、カッター(14)が第1方向を含む平面に垂直な第1軸(13)の周りに回転可能になり、カッター(14)の刃先(27)が第1方向の反対方向を向くように、カッター保持部材(4)を支持する、固定部材(5)と、一端で固定部材(5)に連結され、他端でカッター保持部材(4)に連結される、弾性部材(12)とを備える。弾性部材(12)は、カッターの刃先(27)に、第1軸(13)周りの回転力が第1方向の反対側に向かって働くように、カッター保持部材(4)を付勢する。
【0013】
ケーブル支持部材(2)は、上面と、上面に形成され、第1方向に沿って伸びる溝(15)とを有し、ケーブル(16)は、溝(15)内に配置されることが好ましい。
【0014】
ケーブル支持部材(2)は、第1方向とは反対方向の端部に、後端面を有し、固定部材(5)は、固定部材(5)が第1方向側へ移動することを防止する、ストッパ部材(7)を備えており、ストッパ部材(7)は、上面と後端面とによって形成される角部に対応する形状を有していることが好ましい。
【0015】
ストッパ部材(7)は、溝(15)の一部を被覆する被覆面を有しており、被覆面には、溝(15)を露出させる、確認用開口(18)が設けられていることが好ましい。
【0016】
カッター保持部材(4)は、連結点で弾性部材(12)と連結され、連結点と第1軸(13)との間の距離は、弾性部材(12)がカッター保持部材に与える力よりも大きな力が刃先(27)に加わるように、刃先(27)と第1軸(13)との間の距離よりも大きく設定されていることが好ましい。
【0017】
カッター保持部材(4)は、カッター(14)を挟むようにして保持し、カッター保持部材(4)は、カッターの刃先とは反対側の端部に当接する、当接部(21)を有し、当接部(21)は、カッターの刃先(27)が所定量だけカッター保持部材(4)から突き出るような位置に、設けられていることが好ましい。
【0018】
本発明に係るケーブル被覆材の除去方法は、上述のケーブル被覆材の除去装置を準備する工程と、ケーブル支持部材(2)により、ケーブル(16)を支持する工程と、カッター(14)が外部被覆材と当接するように、カッター支持機構(3)を取り付ける工程と、取り付ける工程の後に、ケーブル(16)を第1方向にスライドさせ、外部被覆材を切断する工程とを具備する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、外部被覆材の表面に凹凸が形成される場合であっても、外部被覆材を容易に除去することができる、ケーブル被覆材の除去装置、及びケーブル被覆材の除去方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】ケーブル被覆材の除去装置を概略的に示す側面図である。
【図2】カッターとケーブルとの位置関係を示す図である。
【図3】ケーブル支持部材を示す概略図である。
【図4】固定部材を示す上面図である。
【図5】図4のAA’に沿う断面図である。
【図6】カッター保持部材を示す側面図である。
【図7】カッター保持部材を示す分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は、本実施形態に係るケーブル被覆材の除去装置1を概略的に示す側面図である。
【0022】
除去装置1は、ケーブル支持部材2、及びカッター支持機構3を有している。
【0023】
ケーブル支持部材2は、処理対象物であるケーブル16を支持するために設けられている。ここで、ケーブル16は、ツイストペアケーブルであり、外部被覆材に凹凸が形成されているものとする。ケーブル支持部材2は、上面を有しており、その上面には第1方向に沿って伸びる溝15が形成されている。ケーブル16は、第1方向に向かってスライド可能になるように、溝15内に配置されている。
【0024】
カッター支持機構3は、ケーブル16の外部被覆材を切断するためのカッター14を支持するために設けられている。カッター支持機構3は、カッター保持部材4、及び固定部材5を有している。
【0025】
カッター保持部材4は、カッター14を固定して保持している。
【0026】
固定部材5は、カッター保持部材4を回転可能に支持する部材である。固定部材5は、ケーブル支持部材2に着脱自在に取り付けられる。固定部材5とカッター保持部材4とは、回転軸部材13(第1軸)を介して連結されている。すなわち、固定部材5は、回転軸部材13を介して、固定部材5を回転可能に支持している。カッター保持部材4は、回転軸部材13周りに、回転可能である。ここで、回転軸部材13は、その軸方向が第1方向を含む平面に対して直交する方向になるように、設けられている。また、カッター保持部材4は、カッター14の刃先27が第1方向とは反対方向を向き、且つ、刃先27が溝6に配置されたケーブル16に当接するように、支持されている。
【0027】
図2は、カッター14とケーブル16との位置関係を示す図である。図2に示されるように、カッター14は、回転軸部材13を中心とする回転軌道に沿って、回転可能である。ここで、カッター保持部材4は、回転軌道と第1方向とが同一平面内に位置し、回転軌道がケーブル16と接するように、固定部材5によって支持されている。
【0028】
再び図1を参照し、弾性部材12について説明する。弾性部材12は、一端で固定部材5に連結され、他端でカッター保持部材4に連結されている。弾性部材12は、固定部材5とカッター保持部材4との間に圧縮されて配置されている。弾性部材12は、カッター保持部材4を、回転軸部材13周りの方向に、弾性的に押している。そのため、図2に示されるように、カッター14の刃先27には、回転軌道に沿って第1方向とは反対側を向く力が、弾性的に働いている。すなわち、刃先27は、回転軌道に沿って、第1方向の反対方向に、付勢されている。
【0029】
上述の除去装置1において、ケーブル16を第1方向に沿ってスライドさせると、カッター14により、ケーブル16の外部被覆材が切断される。ここで、カッター14の刃先27は、回転軌道に沿って回転可能である。そのため、カッター14の刃先27がケーブル16の凸部に当った場合には、刃先27が回転軌道に沿って第1方向側へ移動する。その結果、刃先27がケーブル16に深く入り込むことがなく、ケーブル16内の芯線が損傷してしまうことが防止される。また、カッター14は、回転軌道に沿って第1方向とは反対側に付勢されている。そのため、刃先27は、ケーブル16の凹部に対して追従することができる。従って、ケーブル16に凹凸が存在する場合であっても、常に刃先27を一定量だけケーブル16に入り込ませることができ、容易に外部被覆材を除去することが可能である。
【0030】
次いで、各部材について、詳細に説明する。
【0031】
まず、ケーブル支持部材2について説明する。図3は、ケーブル支持部材2を示す概略図である。図3に示されるように、ケーブル支持部材2は、外部材25及び内部材26を備えている。
【0032】
内部材26は、概ね直方体状である。内部材26の上面には、第1方向に沿う溝15が形成されている。また、内部材26の上面には、位置合わせ線17が描かれている。この位置合わせ線17は、カッターの刃先27が当接する位置に対応して描かれている。作業者は、位置合わせ線17を確認することにより、ケーブル16のどの部分に刃先27が当たっているかを確認することができる。
【0033】
外部材25は、内部材26を支持するために設けられている。外部材25は、内部材26を載せる底面と、底面の端部から立ち上がる側面を有している。
【0034】
上述の内部材26において、溝15の幅及び深さは、ケーブル16の太さに応じて設定されている。処理対象となるケーブル16の種類が複数存在する場合、内部材26は、各種類のケーブル16の太さに対応して、複数用意される。外部材25に載せられる内部材26を交換することにより、処理可能なケーブル16の太さを用意に変更することができる。
【0035】
続いて、固定部材5について説明する。固定部材5は、カッター保持機構4を支持するために設けられている。図1に示されるように、固定部材5は、ベース部材6、ストッパ部材7、側部保持部材8、抑え部材9、スプリング固定部材10、及びカバー部材11を備えている。
【0036】
ベース部材6は、平板状であり、ケーブル支持部材2の上面に載せられる。ストッパ部材7、側部保持部材8、抑え部材9、及びスプリング固定部材10は、図示しないボルトなどにより、このベース部材6に固定されている。
【0037】
ストッパ部材7は、ベース部材6の上面の後端部(第1方向の反対方向における端部)に取り付けられている。ストッパ部材7の後端部は、ケーブル支持部材2の後端面と当接するように折り曲げられている。このストッパ部材7により、ベース部材6が第1方向にずれることが防止されている。
【0038】
図4は、固定部材5を示す上面図である。図4においては、説明を簡単にするため、カッター保持部材4の図示は省略されている。この図4に示されるように、ストッパ部材7及びベース部材6は、溝15の後端部を被覆している。そして、ストッパ部材7及びベース部材6には、溝15の一部を露出させる確認用開口18が設けられている。作業者は、この確認用開口18から溝15の状態を確認することで、ケーブル16が溝15に適切に配置されているか否かを確認することができる。
【0039】
側部保持部材8は、ベース部材6の両側部に設けられている。図5は、図4のAA’に沿う断面図である。図5に示されるように、側部保持部材8の一部は、ベース部材6の上面に載せられている。側部保持部材8は、ケーブル支持部材2の側面と当接するように、折り曲げられている。この側部保持部材8により、ベース部材6の位置がずれることが防止されている。
【0040】
抑え部材9も、側部保持部材8と同様に、ベース部材6の両側部に設けられている。図5に示されるように、抑え部材9は、張り出し部28及び立ち上がり部29を有している。張り出し部28は、側部保持部材8の上面に載せられている。張り出し部28は、側部保持部材8が配置された部分から更に側方に向かって伸びている。立ち上がり部29は、張り出し部28から上方に向かって立ち上がるように伸びている。張り出し部28は、カッター保持部材4と連結される部分である。図5には示されていないが、カッター保持部材4は、両側に設けられた立ち上がり部29の間に配置される。
【0041】
再び図1を参照する。図1に示されるように、抑え部材9の立ち上がり部29には、回転軸部材13が取り付けられている。また、立ち上がり部29には、ストッパ用開口30が設けられている。一方、カッター保持部材4には、側方に向かって突き出す突起物31(例えばボルト)が設けられており、この突起物31がストッパ用開口30内に配置されている。ストッパ用開口30は、カッター保持部材4の回転可能な範囲を制限するために設けられており、回転軸部材13周りの周方向に沿って伸びている。ストッパ用開口30内に突起物31が配置されていることにより、弾性部材12が完全に伸びることが防止され、カッター14の刃先27には常に回転力が加えられることになる。
【0042】
図4及び図5を参照して、スプリング固定部材10について説明する。スプリング固定部材10は、弾性部材12を支持するために設けられている。図4及び図5に示されるように、スプリング固定部材10は、両側に設けられた立ち上がり部29の間において、ベース部材6上に配置されている。弾性部材12の一端は、このスプリング固定部材10に連結されている。弾性部材12は、スプリング固定部材10から上方に向かって伸びている。
【0043】
図4及び図5に示されるように、カバー部材11は、両側部に設けられた立ち上がり部29に固定されている。カバー部材11は、両側に設けられた立ち上がり部29の間を、立ち上がり部29の後端部においてカバーするように取り付けられている。
【0044】
上述の固定部材5は、ケーブル支持部材2に対して着脱自在に取り付けられる。固定部材5を取り付ける際には、作業者は、親指と人差し指とにより、抑え部材9を挟持する。この際、抑え部材9は、立ち上がり部29及び張り出し部28を有しているので、立ち上がり部29の付け根部分に指を当てることにより、安定して固定部材5を持つことができる。そして、ベース部材6を、ケーブル支持部材2の上面に載せる。この際、ストッパ部材7をケーブル支持部材2の後端面に当接させる。また、側部保持部材8をケーブル支持部材2の両側面に当接させる。これにより、固定部材5を簡単に位置決めでき、固定部材5をケーブル支持部材2に対して固定させることが可能である。
【0045】
続いて、カッター保持部材4について説明する。
【0046】
図6は、カッター保持部材4を示す側面図である。カッター保持部材4は、挟持部32、折り曲げ部23、及びスプリング連結部24を備えている。挟持部32は、カッター14を挟持する部分であり、回転軸部材13に回転可能に連結される。挟持部32の後端部は、折り曲げられており、折り曲げ部23を形成している。スプリング連結部24は、折り曲げ部23から下方に向かって伸びている。スプリング連結部24には、弾性部材12の他端が連結されている。スプリング連結部24は、弾性部材12によって押されている。
【0047】
ここで、スプリング連結部24と弾性部材12との連結部分が、連結点と記載される。このとき、回転軸部材13と連結点との間の距離aは、回転軸部材13とカッター14の刃先27との間の距離27よりも、長く設定されている。このような構成を採用すれば、てこの原理により、刃先27に対し、弾性部材12がスプリング連結部24を押す力よりも大きな力が加えられる。従って、弾性部材12がスプリング連結部24に加える力を少なくすることができる。カッター支持機構3を組み立てる際に、弾性部材12を強い力で圧縮する必要がなく、容易に組立を行うことが可能である。
【0048】
次いで、カッター保持部材4について更に詳細に説明する。
【0049】
図7は、カッター保持部材4を示す分解図である。図7に示されるように、カッター保持部材4は、第1部材19及び第2部材20によって組み立てられている。カッター14は、第1部材19と第2部材20とによって、挟持されている。
【0050】
第1部材19の表面には、カッター14に対応する形状の凹部33が形成されている。この凹部33を形成する壁面の一部は、カッター14における刃先27とは反対側の端部と当接する、当接部21を形成している。この当接部21は、刃先27が所定の長さだけ第1部材19から突き出すような位置に、設けられている。
【0051】
また、凹部33に配置されたカッター14は、固定部材22によって抑えられる。固定部材22は、カッター14の両側で折りまげられており、カッター14の位置が幅方向でずれることを防止している。この固定部材22は、第1部材19とは独立しており、簡単にカッター14上から取り外すことが可能である。
【0052】
第2部材20は、カバー部34、既述の折り曲げ部23、及び既述のスプリング連結部24を備えている。カバー部34は、第1部材19の表面に対応する形状であり、第1部材19の表面を被覆するように配置される。カバー部34の一端は折り曲げられており、折り曲げ部23を形成している。カバー部34と第1部材19とは、例えばボルト及びナットなどの締結部材により、締結される。
【0053】
カッター保持部材4として上述のような構成を採用することにより、容易にカッター14を交換することが可能である。すなわち、カッター14を交換する場合には、第1部材19から第2部材20を取り外す。そして、固定部材22を取り外し、カッター14を交換する。新しいカッター14を取り付ける際には、カッター14の一端を当接部21に当てることにより、刃先27の突出し量を正確にコントロールすることができる。カッター14を凹部33に配置した後、固定部材22をカッター14上に載せる。その後、第2部材20を第1部材19に取り付け、第1部材19と第2部材20とを締結する。これにより、カッター14を挟持するカッター保持部材4が組み立てられる。このように、当接部21が形成されているため、刃先27の突き出し量を正確にコントロールでき、且つ、簡単にカッター14を交換することが可能である。
【0054】
続いて、本実施形態に係る除去装置1の使用方法(ケーブル被覆材の除去方法)について説明する。
【0055】
まず、内部材26として、処理対象となるケーブル16の太さに対応する溝15を有するものを選択し、外部材25に取り付ける(図3参照)。
【0056】
次いで、ケーブル16を溝15に配置する。
【0057】
次いで、カッター支持機構3を、ケーブル支持部材2の上面にセットする。この際、ストッパ部材7がケーブル支持部材2の後端面に当接させる(図1参照)。また、側部保持部材8をケーブル支持部材2の両側面に当接させる(図5参照)。これにより、ケーブル支持部材2の位置を簡単に固定することができる。
【0058】
そして、位置合わせ線17(図4参照)を確認することにより、カッター14の刃先27がケーブル16における所望する位置に当接していることを確認する。更に、確認用開口18(図4参照)を確認し、溝15にケーブル16が適切に配置されていることを確認する。
【0059】
その後、ケーブル16を第1方向にスライドさせる。これにより、ケーブル16の外部被覆材がカッター14によって切断される。この際、カッター14の刃先27が回転可能であり、且つ、刃先27が回転方向に沿って付勢されているため、ケーブル16に凹凸が形成されていても、一定の深さで外部被覆材に切り込みを加えることが可能である。
【0060】
その後、ケーブル支持部材3を取り外し、ケーブル16を溝15から取り外す。そして、切り込みが入れられた外部被覆材を除去する。
【0061】
以上説明した方法により、表面に凹凸が形成されたケーブル16の外部被覆材を、簡単に、且つ、適切に除去することが可能である。
【符号の説明】
【0062】
1 外部被覆材除去装置
2 ケーブル支持部材
3 カッター支持機構
4 カッター保持部材
5 固定部材
6 ベース部材
7 ストッパ部材
8 側部保持部材
9 抑え部材
10 スプリング固定部材
11 カバー部材
12 スプリング(弾性部材)
13 回転軸部材(第1軸)
14 カッター
15 溝
16 ケーブル
17 位置合わせ線
18 確認用開口
19 第1部材
20 第2部材
21 当接部
22 固定部材
23 折り曲げ部
24 スプリング連結部
25 外部材
26 内部材
27 刃先
28 張り出し部
29 立ち上がり部
30 ストッパ用開口
31 突起物
32 挟持部
33 凹部
34 カバー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芯線と前記芯線を被覆する外部被覆材とを備えるケーブルを、第1方向に沿ってスライド可能となるように支持する、ケーブル支持部材と、
前記外部被覆材を切断するためのカッターを支持する、カッター支持機構と、
を具備し、
前記カッター支持機構は、
前記カッターを固定して保持する、カッター保持部材と、
前記ケーブル支持部材に取り付けられ、前記カッターが前記第1方向を含む平面に垂直な第1軸の周りに回転可能となるように、前記カッター保持部材を支持する、固定部材と
一端で前記固定部材に連結され、他端で前記カッター保持部材に連結される、弾性部材とを備え、
前記固定部材は、前記カッターの刃先が前記第1方向の反対方向を向くように、前記カッター保持部材を支持し、
前記弾性部材は、前記カッターの刃先に、前記第1軸周りの回転力が前記第1方向の反対方向に向かって働くように、前記カッター保持部材を付勢している
ケーブル被覆材の除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載されたケーブル被覆材の除去装置であって、
前記ケーブル支持部材は、
上面と、
前記上面に形成され、前記第1方向に沿って伸びる溝とを有し、
前記ケーブルは、前記溝内に配置される
ケーブル被覆材の除去装置。
【請求項3】
請求項2に記載されたケーブル被覆材の除去装置であって、
前記ケーブル支持部材は、前記第1方向とは反対方向側の端部に、後端面を有し、
前記固定部材は、前記固定部材が前記第1方向側へ移動することを防止する、ストッパ部材を備えており、
前記ストッパ部材は、前記上面と前記後端面とによって形成される角部に対応する形状を有している
ケーブル被覆材の除去装置。
【請求項4】
請求項3に記載されたケーブル被覆材の除去装置であって、
前記固定部材は、前記溝を被覆する被覆部を備え、
前記被覆部には、前記溝を露出させる、確認用開口が設けられている
ケーブル被覆材の除去装置。
【請求項5】
請求項1乃至4の何れかに記載されたケーブル被覆材の除去装置であって、
前記カッター保持部材は、連結点で前記弾性部材と連結され、
前記連結点と前記第1軸との間の距離は、前記弾性部材が前記カッター保持部材に与える力よりも大きな力が前記刃先に加わるように、前記刃先と前記第1軸との間の距離よりも大きく設定されている
ケーブル被覆材の除去装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載されたケーブル被覆材の除去装置であって、
前記カッター保持部材は、前記カッターを挟むようにして保持し、
前記カッター保持部材は、前記カッターの刃先とは反対側の端部に当接する、当接部を有し、
前記当接部は、前記カッターの刃先が所定量だけ前記カッター保持部材から突き出るような位置に、設けられている
ケーブル被覆材の除去装置。
【請求項7】
請求項1乃至6の何れかに記載されたケーブル被覆材の除去装置を準備する工程と、
前記ケーブル支持部材により、前記ケーブルを支持する工程と、
前記カッターが前記外部被覆材と当接するように、前記カッター支持機構を取り付ける工程と、
前記取り付ける工程の後に、前記ケーブルを前記第1方向にスライドさせ、前記外部被覆材を切断する工程と、
を具備する
ケーブル被覆材の除去方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−120336(P2011−120336A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−273505(P2009−273505)
【出願日】平成21年12月1日(2009.12.1)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】