説明

ゲルネットワークを含む濡れた皮膚用のトリートメント組成物

本発明は、ゲルネットワーク相、安定剤、構造化された油相、及び水相を含有するパーソナルケア組成物に関する。材料のこの特定の組み合わせ、具体的には、ゲルネットワーク乳化剤と安定化ポリマーとの組み合わせは、優れた適用審美性を示し、かつ洗い流したときにもかなりの濃度の有益な脂質を付着させる、製品を提供する。また、本発明は、ゲルネットワーク相、安定剤、構造化された油相、及び水相を含有する、濡れた皮膚用のパーソナルケア組成物の使用方法にも関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、角質表面の肌触りを改善するための濡れた皮膚用のトリートメント組成物の分野に関する。より具体的には、優れた皮膚の湿潤とコンディショニングを与える、洗い流し可能な濡れた皮膚用のトリートメント組成物を提供する。
【背景技術】
【0002】
濡れた皮膚用のトリートメント組成物は、周知であり、また広く使用されている。これら組成物は、皮膚の汚れを落として潤いを与え、活性物質を供給し、欠点を隠し、皮脂が関与する油っぽさ/てかりを低減するのに長年用いられている。
【0003】
潤いの効果を提供する皮膚コンディショニング組成物は周知である。これらの組成物の多くは、界面活性剤で安定化された乳化コンディショニング油又はその他同様の物質を含む水性系である。通常は、皮膚に潤いを与える組成物は、入浴の後、及び再適用が必要な場合は一日中、皮膚に適用されるように作られたローションの形態である。
【0004】
皮膚は、皮膚の構造の骨組を形成するケラチン及びコラーゲン繊維状タンパク質を覆い保護する数層の細胞から成り立っている。これらの層の最も外側は、角質層と呼ばれ、8nm厚の複数の層で囲まれた25nmのタンパク質の束から構成されていることが知られている。陰イオン性界面活性剤及び有機溶媒は、典型的には角質層の膜に浸透し、脱脂(即ち、角質層からの脂質の除去)によって角質層の完全な状態を壊す。皮膚表面の微細構成のこの破壊がざらざらした感触をまねき、最終的には界面活性剤又は溶媒がケラチンと相互に作用して、炎症を起こす可能性もある。
【0005】
現在では、角質層全体に適切な水分勾配を維持することがその機能性のために重要であると認識されている。この水分は時には角質層の可塑剤であると考えられ、その大部分は体内に由来する。寒冷気候におけるように湿度があまりにも低い場合は、角質層の外側の層に組織を適度に可塑化するための水分が不十分となり、皮膚は薄片となって剥げ落ち始め、かゆくなる。角質層における水分量が不十分であると、皮膚の浸透性もまた、ある程度減少する。一方、皮膚の外側が長い間、高い水分濃度にさらされると、究極的には角質層はそれ自体の結合水の3〜5倍まで吸着する。これは皮膚を膨張させてひだを寄せ、その結果水分及びその他の保湿剤分子に対する皮膚の浸透性はおよそ2〜3倍に増加する。シャワー又は入浴において、皮膚が水和される場合、保湿剤の吸収が高いため、皮膚に対して保湿剤を運ぶのに理想的な時間として認識されている。
【0006】
シャワー又は入浴中のローションを介して、上述の皮膚コンディショニング効果をもたらすことがさらに望ましい。残念ながら、シャワー/入浴において、保湿剤は皮膚から容易に洗い流されることが多い。このことは、特に、界面活性剤が存在する場合に当てはまる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
そのため、シャワー及び/又は入浴中に保湿剤及び/又は他の皮膚に有効な成分を効果的に付着させ、それによって最適な洗浄時に角質層が障壁機能及び水保持機能を維持するのを助ける組成物が今なお必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、乳化剤、高分子安定剤、脂質、及び水相を含む、洗い流し可能な、濡れた皮膚用のトリートメント組成物が、シャワー及び/又は入浴において、油及び/又は皮膚に有効な成分を有効に付着させることを見出した。本発明者らは、材料の特定の組み合わせ、とりわけ非イオン性のゲルネットワーク乳化剤と安定化ポリマーとの組み合わせが、優れた適用時審美性を有し、かつ洗い流すときにかなりの濃度の有効な脂質を付着させる製品をもたらすことを見出した。さらに、前記組成物は、全ての皮膚の種類にさらに柔らかな肌触りを与えると同時に、皮膚が洗浄中、作業中、及び休養中に受けうる有害な相互作用にも関わらず、角質層がその障壁機能及び水保持機能を最適性能で維持するのも助ける。これらの組成物は、適用中及び/又は塗布後に改善された肌の外観、審美性及び肌触りを与え、所望の皮膚領域に皮膚コンディショニング成分の付着又は有効性を改善するのに特に有用である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
特に明示していない限り、本明細書で使用する全てのパーセンテージ及び割合は、総組成物の重量を基準とするものであり、測定はすべて25℃で実施する。
【0010】
本発明の前記組成物は、本明細書に記載の必須成分、並びに任意成分及び構成成分を含み、本質的にこれらから成り、又はこれらから成り得る。本明細書で使用するとき、「から本質的に成る」という用語は、組成物又は構成成分が追加の成分を包含することができるが、追加の成分が特許請求した組成物又は方法の基本的及び新規な特性を実質的に変更しない場合に限ることを意味する。
【0011】
本明細書で引用する全ての刊行物は、その全体を参考として本明細書に組み込む。
【0012】
本明細書で使用するとき、「局所適用」という用語は、本発明の組成物を皮膚表面に付けること又は塗り広げることを意味する。
【0013】
本明細書で使用するとき、「皮膚科学的に許容可能」という用語は、そのように記載される組成物又はその構成成分が、過度の毒性、不適応性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなくヒトの皮膚に接触させて用いるのに好適であることを意味する。
【0014】
本明細書で使用するとき、「安全且つ有効な量」という用語は、健全な医学的判断の範囲内で、明白な効果、好ましくは明白な肌外観又は感触の効果(これらの効果には、本明細書に開示される効果が独立して包含される)を顕著に誘導するのに十分であるが、重篤な副作用を回避する程十分に低い、即ち、合理的な利益対危険性比を提供する化合物、構成成分又は組成物の量を意味する。
【0015】
本明細書における有用な活性物質及び他の成分は、化粧品としての効果及び/もしくは治療上の効果により、又はそれらが持っている作用様式によって、分類され又は本明細書に記載され得る。ただし、本明細書に有用な活性物質及び他の成分が、場合によっては化粧品としての及び/もしくは治療上の1以上の複数の効果をもたらすこと、又は複数の作用様式で作用することもあることを理解すべきである。それゆえ、本明細書での分類は便宜上のことであって、成分を特定の適用又は列記された適用に限定しようとするものではない。
【0016】
本発明の組成物は、局所的な適用に有用であり、基本的には、前記組成物を洗い流した直後の(即ち、即時の)肌触りを角質表面に与えるのに有用である。理論に制限されるものではないが、この即時の肌触り改善は、少なくとも部分的には、油の付着によって治療上の被覆範囲又は皮膚の欠点を隠すことに由来すると考えられる。
【0017】
より詳しくは、本発明の組成物は、目に見える及び/又は触知できる皮膚の不連続性の調整を包含する、皮膚状態の調整に有用であり、前記不連続性は、目に見える及び/又は触知できる皮膚組織及び/又は肌色の不連続性、とりわけ皮膚の老化による不連続性を包含するがこれらに限定されない。このような不連続性は、内部及び/又は外部要因によって誘導されるか、又はそれらに起因することがある。外因性要因には、紫外線照射(例えば、太陽への露出による)、環境汚染、風、熱、低湿度、強力な界面活性剤、研磨剤などが挙げられる。内因性要因には、経年的老化及びその他の皮膚内部からの生化学的変化が挙げられる。
【0018】
(水相)
連続水相は、一般には、約90重量%以下、好ましくは約80重量%以下、さらに好ましくは約70重量%以下、さらになお好ましくは約60重量%以下の流体を含んでいる。本発明の連続水相は、通常は、少なくとも10重量%、好ましくは少なくとも20重量%、さらに好ましくは少なくとも30重量%、さらになお好ましくは少なくとも40重量%の流体を含んでいる。前記水相は、構造化された油相が分散された即時性組成物の連続水相である。前記水相は、分散安定剤を含有し、防腐剤、湿潤剤、乳化助剤及び種々の任意の有益剤などの成分を任意に含有する。
【0019】
(構造化された油相)
構造化された油相は、2種の必須構成成分を含む:皮膚適合性油、及び35℃未満の温度で安定なネットワークを形成しうる構造剤(structurant)。
【0020】
(皮膚適合性油)
皮膚適合性油は、本明細書では、入浴を行う温度において液体又は半固体の油と定義され、それは、皮膚に不活性であるか又は実際に有益であることから、化粧品に使用するのに安全であると判断される。前記組成物は、皮膚適合性油を80重量%以下、好ましくは70重量%以下、さらに好ましくは60重量%以下、最も好ましくは50重量%以下含んでいる。前記組成物は、皮膚適合性油を少なくとも1重量%、好ましくは少なくとも5重量%、さらに好ましくは少なくとも7重量%、最も好ましくは少なくとも10重量%含んでいる。本発明において最も有用な皮膚適合性油としては、エステル油、炭化水素油、及びシリコーンオイルが挙げられる。
【0021】
エステル油は、その名前通り、分子中に少なくとも1個のエステル基を有する。本発明で有用な種類の一般的なエステル油は、オクタン酸セチル、オクチルイソナノアネート(octyl isonanoanate)、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ミリスチル、パルミチン酸イソプロピル、アジピン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸デシル、イソステアリン酸コレステロール(cholesterol isostearate)、モノステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセロール、トリステアリン酸グリセロール、乳酸アルキル、クエン酸アルキル及び酒石酸アルキルなどの脂肪酸モノ−及びポリエステル;スクロースエステル及びポリエステル、ソルビトールエステルなどである。
【0022】
第二の種類の有用なエステル油は、主に、トリグリセリドと変性トリグリセリドから成る。これらは、ホホバ油、大豆油、キャノーラ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、米糠油、アボカド油、扁桃油、オリーブ油、ゴマ油、パーシック油、ヒマシ油、ココナツ油、及びミンク油などの植物油を包含する。合成のトリグリセリド類は、室温で液体であれば使用してもよい。変性トリグリセリドには、液体であるという条件で、エトキシル化及びマレアート化トリグリセリド誘導体などの物質が包含される。エチルヘキサン酸グリセリドのように、ファインテックス社(Finetex)からファインソルブ(Finsolv)として販売されているものなどの独自のエステルブレンドも適している。
【0023】
第三の種類のエステル油は、ジカルボン酸とジオールとの反応から生成される液体のポリエステルである。本発明に好適なポリエステルの例は、エクソン・モービル社(ExxonMobil)からピュアシン・エステル(PURESYN ESTER)RTMという商品名で販売されているポリエステル類である。
【0024】
本発明に好適な、第二の部類の皮膚適合性油は、液体の及び半固体の炭化水素である。これらには、流動パラフィンなどの直鎖及び分枝鎖油、スクアレン、スクアラン、鉱油、エクソン・モービル社(ExxonMobil)からピュアシン(PURESYN)PAOとい商品名で販売されているポリα−オレフィン、及びパナレン(PANALANE)又はインドポル(INDOPOL)という商品名で販売されているポリブテンなどの低粘性の合成炭化水素が包含される。軽質(低粘性)の高度に枝分かれした炭化水素油も適している。
【0025】
ペトロラタムは、独特の炭化水素物質であって、本発明の有用な構成成分である。その半固体特性は、他の油と混合することによって、製造時及び配合者によって制御できる。ペトロラタムは、室温で液体の留分から部分的に構成されているため、より正確には、単独で含まれる場合は「構造化された油相」と、あるいは他の皮膚適合性油と混合される場合は「構造剤」とみなされる。
【0026】
三つ目の部類の有用な皮膚適合性油は、シリコーン系である。それらには、直鎖及び環式のポリジメチルシロキサン、有機官能性シリコーン類(アルキル及びアルキルアリール)、及びアミノシリコーン類が包含される。
【0027】
(構造剤)
構造化された油相の第二の構成成分は、構造剤である。構造剤は、2つの要件を満たさなければならない。第一に、構造剤は、35℃未満の温度で皮膚適合性油相中に(of in the skin compatible oil phase)安定なネットワークを形成できなければならない。この特性は、構造化された油が使用中に活性であるがざらつきが認められないため、重要である。安定という言葉は、ネットワークが、25℃及び35℃で少なくとも1ヶ月貯蔵してもそのままである(survives)ことを意味する。
【0028】
第二の要件は、構造剤が、正確なレロジー特性(rhelogical properties)を有する構造化された油相を提供することである。構造化された油相の粘度は、以下に説明する脂質レオロジー法を用いて測定した場合、1s−1で測定すると1〜約20,000Pa・s(100〜約200,000ポアズ)の範囲、好ましくは2〜約10,000Pa・s(200〜約100,000ポアズ)の範囲、最も好ましくは2〜約5,000Pa・s(200〜約50,000ポアズ)の範囲でなければならない。この粘度をもたらすのに必要な構造剤の量は、前記の油及び構造剤によって変化するが、一般に構造剤は、好ましくは構造化された油相の約75重量%以下であり、より好ましくは構造化された油相の約50重量%以下、さらに好ましくは約35重量%以下である。選択される皮膚適合性油との上記要件を満たす構造剤は、三次元のネットワークを形成して、選択された油の粘度を高めることができる。このような構造化された油相、即ち、三次元のネットワークで構築されたものは、入浴中に用いられる、濡れた皮膚用のトリートメント組成物としての使用に非常に望ましいことが分かった。これらの構造化された油は、濡れた皮膚に付着して大変効率よく保持され、洗い流した後や乾燥後にも保持されて、過剰に油っぽく濡れた感じや乾燥感を生じさせずに、洗浄後の皮膚の効果を長持ちさせる。このような構造化された油の使用中及び使用後の大変望ましい特性は、それらのずり流動化レオロギー特性及び弱いネットワーク構造によるものと考えられる。その高い低剪断粘性によって、固体のネットワークを有する構造化された油は、皮膚コンディショナーの適用中に皮膚に付着してうまく保持され得る。ネットワークは、結晶のネットワークの構造化が弱くかつその高剪断粘度が低いために、皮膚に付着した後で擦っていると容易に生成される。
【0029】
前記構造化された油相で示した、(本明細書に記載する脂質レオロジー法で説明される)ずり流動性の程度は、指数法則モデルにより、n値で表される。ずり流動性を示さないニュートン流体のn値はゼロ(0)に近いが、値が低いほど、構造化された油相がずり流動化しやすいことを示す。本発明では、構造化された油相の剪断指数は、0.8未満、より好ましくは0.6未満、さらに好ましくは0.5未満、最も好ましくは0.4未満であることが好ましい。
【0030】
構造剤は、分子量が5,000ダルトン未満、好ましくは3,000ダルトン未満の結晶性固体又は非晶質ゲルである、有機構造剤であり得る。好ましい有機構造剤の融点は、35℃を超え、好ましくは40℃を超える。特に好ましい構造剤は、それらの融点よりも高い温度で、選択された皮膚適合性油と溶液を作って、自由流動性の透明な溶液を形成できるものである。周囲温度まで冷却すると、前記有機構造剤は、油相から沈降して、上述の物理的性質を与える三次元構造を形成する。本発明に好適な有機増粘剤の例は、固体の脂肪酸エステル、天然の又は変性された脂肪、脂肪酸、脂肪アミン、脂肪アルコール、天然ワックス及び合成ワックス、並びにペトロラタムである。ペトロラタムは、好ましい有機構造剤である。
【0031】
特に好ましい有機構造剤は、固体の脂肪酸エステル及びペトロラクタムである。固体の脂肪エステルの例は、パルミチン酸、ステアリン酸、又はヒドロキシステアリン酸の、モノ−、ジ−又はトリ−グリセリド誘導体;糖脂肪エステル又はデキストリンの脂肪エステル類である。これらのポリオール脂肪酸エステルの例は、米国特許第5,427,704号、同第5,472,728号、同第6,156,369号、同第5,490,995号、及び欧州特許第398,409号に記載されており、これらを本明細書に参考として組み込む。レオックス社(Rheox Corporation)から商品名チキシン(THIXCIN)Rとして販売されているトリヒドロキシステアリンが、構造化トリグリセリドエステル油として特に有用であることが分かっている。
【0032】
無機構造剤としては、疎水性に修飾されたシリカ又は疎水性に修飾された粘土が挙げられる。無機構造剤の非限定的な例は、レオックス社(Rheox)のベントン(BENTONE)27V、ベントン(BENTONE)38V又はベントン(BENTONE)ゲルMIO V;及びキャボット社(Cabot Corporation)のキャボシル(CAB-O-SIL)TS720又はキャボシル(CAB-O-SIL)M5である。
【0033】
構造化された油相に含まれる構造剤のレベルは、0〜90%の範囲であり、用いられる構造剤の種類や皮膚適合性油の性質によって決定されうる。トリヒドロキシステアリンのような固体の有機構造剤の場合、好ましいレベルは3〜15%である。とはいえ、使用される的確なレベルが、所望の粘度の、安定なネットワークを与える。
【0034】
(ゲルネットワーク)
本発明の「ゲルネットワーク」は、疎水性の構造剤及び親水性の非イオン性界面活性剤から成る。これらの各構成成分の好ましいレベルを以下に明示するが、前記組成物のゲルネットワーク全体は、その各構成成分とは別に限定される。理論に束縛されるものではないが、ゲルネットワークは、濡れている入浴環境で製品の良好な適用を可能にすると考えられる。前記製品は、適用されると、皮膚上の水分や、場合により浴槽又はシャワーの水分で希釈される。ゲルネットワークは、製品の「速やかな」希釈を可能にし、製品をユーザの皮膚に塗り広げやすくして、ムラなく付着させる。ただし、より高レベルのゲルネットワークは、付着を妨げて、より少量の脂質を組成物から効率よく放出することで、より多くの量を洗い流してしまうか、又は付着効率を低下させる。このため、本発明では、製品中のゲルネットワークのレベルを、好ましくは、比較的低くしておく。好ましい実施形態では、ゲルネットワークが、ゲルネットワーク安定性試験で説明しているように、均質な水相を形成しない。製品中にゲルネットワークを含まない場合、即ち、本質的に水、水相安定剤及び脂質から成る製品の場合、適用特性が不適切で、製品は塗り広げにくくかつ均一に付着し難い。
【0035】
本発明は、飽和C16〜C30脂肪アルコール類、エチレンオキシドを約1〜約5モル含有する飽和C16〜C30脂肪アルコール、飽和C16〜C30ジオール類、飽和C16〜C30モノグリセロールエーテル類、飽和C16〜C30ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらの混合物から成る群より選択される、融点が少なくとも約40℃の疎水性の構造剤を、約20重量%以下、好ましくは約10重量%以下、より好ましくは約5重量%含む。本発明は、飽和C16〜C30脂肪アルコール類、エチレンオキシドを約1〜約5モル含有する飽和C16〜C30脂肪アルコール類、飽和C16〜C30ジオール類、飽和C16〜C30モノグリセロールエーテル類、飽和C16〜C30ヒドロキシ脂肪酸、及びこれらの混合物から成る群より選択される、融点が少なくとも約40℃の疎水性の構造剤を、好ましくは少なくとも0.5重量%、より好ましくは少なくとも1重量%、さらに好ましくは少なくとも2重量%、なおより好ましくは少なくとも3重量%含む。理論によって限定されるものではないが、これらの構造剤は、本発明の組成物の加水分解安定性に寄与する組成物のレオロジー特性の形成を助けるのに有用であるものと考えられる。特に、構造剤は液晶ゲルネットワーク構造の形成を助ける。
【0036】
本発明の好ましい構造剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアリン酸、パルミチン酸、平均約1〜約5個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、平均約1〜約5個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、及びこれらの混合物から成る群より選択される。本発明のより好ましい構造剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、平均約2個のエチレンオキシド単位を有するステアリルアルコールのポリエチレングリコールエーテル(ステアレス−2)、平均約2個のエチレンオキシド単位を有するセチルアルコールのポリエチレングリコールエーテル、及びこれらの混合物から成る群より選択される。さらにより好ましい構造剤は、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニルアルコール、ステアレス−2、及びこれらの混合物から成る群より選択される。
【0037】
(親水性界面活性剤)
本発明の組成物は、少なくとも1つの親水性界面活性剤を、約10重量%以下、好ましくは約6重量%以下、より好ましくは約3重量%以下含む。本発明の組成物は、少なくとも1つの親水性界面活性剤を、少なくとも0.1重量%、好ましくは少なくとも0.2重量%、より好ましくは少なくとも0.3重量%含む。理論によって限定されるものではないが、親水性界面活性剤は、疎水性物質、即ち構造剤を水相に分散すると考えられる。界面活性剤は少なくとも、水に分散するのに十分なだけ親水性でなければならない。
【0038】
選択される的確な界面活性剤は、組成物のpH及び存在するその他の構成成分によって決まる。本明細書中で使用するのに好ましいのは、非イオン性界面活性剤である。本明細書で有用な非イオン性界面活性剤には、長鎖アルコール、例えば、C8〜30のアルコールと糖又はデンプンポリマーとの縮合生成物、即ち、グリコシドとして広く定義されるものがある。これらの化合物は、式(S).n−O−Rで表すことができ、式中、Sはグルコース、フルクトース、マンノース、及びガラクトース等の糖部分であり;nは約1〜約1000の整数であり、RはC8〜30アルキル基である。アルキル基が誘導され得る長鎖アルコールの例としては、デシルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、及びオレイルアルコール等が挙げられる。これらの界面活性剤の好ましい例には、Sがグルコース部分であり、RがC8〜20アルキル基であり、nが約1〜約9の整数であるものが挙げられる。これらの界面活性剤で市販されているものの例には、デシルポリグルコシド(ヘンケル(Henkel)からAPG 325 CSとして市販)、並びにラウリルポリグルコシド(ヘンケル(Henkel)からAPG 600 CS及び625 CSとして市販)が挙げられる。
【0039】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ソルビトールと脂肪酸との縮合生成物が挙げられる。非限定的な例としては、Tween系、Span系、及びポリソルベート類が挙げられる。
【0040】
他の有用な非イオン性界面活性剤としては、アルキレンオキシド類と脂肪酸類の縮合生成物(即ち、脂肪酸のアルキレンオキシドエステル類)が挙げられる。これらの物質は、一般式RCO(X).n.OHで表され、式中、RはC10〜30アルキル基であり、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコールもしくはエチレンオキシドから誘導されるもの)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコールもしくはプロピレンオキシドから誘導されるもの)であり、nは、約6〜約100の整数である。他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と2モルの脂肪酸類との縮合生成物(即ち、脂肪酸類のアルキレンオキシドジエステル類)である。これらの物質は、一般式RCO(X).nOOCRで表され、式中、RはC10〜30のアルキル基、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコールもしくはエチレンオキシドから誘導されるもの)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコールもしくはプロピレンオキシドから誘導されるもの)であり、nは約6〜約100の整数である。他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類(aikylene oxides)と脂肪族アルコール類との縮合生成物(即ち、脂肪族アルコール類のアルキレンオキシドエーテル類)である。これらの物質は、一般式、R(X)nOR’で表され、式中、RはC10〜30のアルキル基、Xは−OCH2CH2−(即ち、エチレングリコールもしくはエチレンオキシドから誘導されるもの)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコールもしくはプロピレンオキシドから誘導されるもの)であり、nは約6〜約100の整数であり、R’はH又はC10〜30のアルキル基である。さらに他の非イオン性界面活性剤は、アルキレンオキシド類と、脂肪酸類及び脂肪族アルコール類の両方との縮合生成物[即ち、ポリアルキレンオキシド部分の一方の末端が脂肪酸でエステル化され、もう一方の末端が脂肪族アルコールでエーテル化されたもの(即ち、エーテル結合を介して結合される)]である。これらの物質は、一般式RCO(X)nOR’で表され、式中、R及びR’はC10〜30のアルキル基であり、Xは−OCH2CH2(即ち、エチレングリコールもしくはエチレンオキシドから誘導されるもの)又は−OCH2CHCH3−(即ち、プロピレングリコールもしくはプロピレンオキシドから誘導されるもの)であり、nは約6〜約100の整数である。これらのアルキレンオキシドから誘導される非イオン性界面活性剤の非限定的な例としては、セテス−6、セテス−10、セテス−12、セテアレス−6、セテアレス−10、セテアレス−12、ステアレス−6、ステアレス−10、ステアレス−12、PEG−6ステアレート、PEG−10ステアレート、PEG−12ステアレート、PEG−20グリセリルステアレート、PEG−80グリセリルタローエート、PPG−10グリセリルステアレート、PEG−30グリセリルココエート、PEG−80グリセリルココエート、PEG−200グリセリルタローエート、PEG−8ジラウレート、PEG−10ジステアレート、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0041】
さらに他の有用な非イオン性界面活性剤としては、ポリヒドロキシ脂肪酸アミド界面活性剤が挙げられる。上記構造に対応する、特に好ましい界面活性剤は、ココナッツアルキルN−メチルグルコシドアミドである。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドを含有する組成物の作成方法は、例えば、以下に開示されている:英国特許第809,060号(トーマス・ヘドレー社(Thomas Hedley & Co.,Ltd.)、1959年2月18日発行);米国特許第2,965,576号(E.R.ウィルソン(E.R.Wilson)、1960年12月20日発行);米国特許第2,703,798号(A.M.シュワルツ(A.M.Schwartz)、1955年3月8日発行);及び米国特許第1,985,424号(ピゴット(Piggott)、1934年12月25日発行);これら文献全てを参考として本明細書に組み込む。
【0042】
非イオン性界面活性剤の中で好ましいのは、ステアレス−21、セテアレス−20、セテアレス−12、Tween−60、Tween−80、スクロースココエート、ステアレス−100、PEG−100ステアレート、PEG−1000ステアレート、及びこれらの混合物からなる群より選択されるものである。
【0043】
(乳化剤系)
さらに、幾つかの実施形態で有用な、数種の市販の乳化剤混合物がある。非限定的な例としては、ISP社製のプロリピド(PROLIPID)141(ステアリン酸グリセリル、ベヘニルアルコール、パルミチン酸、ステアリン酸、レシチン、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール及びセチルアルコール)及び151(ステアリン酸グリセリル、セテアリルアルコール、ステアリン酸、1−プロパナミウム(1-propanamium)、3−アミノ−N−(2−(ヒドロキシエチル)−N−N−ジメチル、N−C(16〜18)アシル誘導体、塩化物類);クローダ社(Croda)製のポーラワックス(POLAWAX)NF(乳化ワックスNF);並びにガットフォセ社(Gattefosse)製のエマリウム・デルタ(EMULLIUM DELTA)(セチルアルコール、ステアリン酸グリセリル、peg−75ステアレート、セテス−20及びステアレス−20)が挙げられる。
【0044】
好ましくは、前記組成物の合計瞬間発泡容量は、発泡容量試験に記載のように、100ml未満、より好ましくは50ml未満、さらに好ましくは25ml未満である。理想の組成物は、事実上「非発泡」である。
【0045】
(高分子安定剤)
本発明の組成物は、1以上の高分子安定剤を包含する。製品の安定性は、非イオン性のゲルネットワーク相が単独で使用された場合に故意に不安定であるぐらい意図的に低く保たれるため、高分子安定剤によって決まる。安定剤は種々の効果的な働きによって濃くするため、正確な組成範囲を提示するのは困難であるが、存在する場合、組成物は、該組成物の重量に対し、好ましくは約10重量%以下、より好ましくは8重量%以下、さらにより好ましくは7重量%以下の高分子安定剤を含む。存在する場合、前記組成物は、該組成物の重量に対し、少なくとも0.01重量%、より好ましくは少なくとも0.05重量%、さらにより好ましくは少なくとも0.1重量%の高分子安定剤を含む。高分子安定剤を説明するより良い方法は、それが製品の粘度を高めることである。このことは、高分子安定剤の粘度試験(the Polymeric Stabilizer Viscosity Test)を用いて測定できる。好ましくは、前記安定剤は、この試験で、少なくとも1Pa・s(1000cps)、より好ましくは少なくとも1.5Pa・s(1500cps)、さらにより好ましくは少なくとも2Pa・s(2000cps)の粘度を作る。
【0046】
本明細書で有用な高分子安定剤の非限定的な例には、カルボマー類(B.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich)から商品名カーボポール(CARBOPOL)(登録商標)900シリーズで市販されているものなどであって;例えば、カーボポール(CARBOPOL)(登録商標)954)などのカルボン酸ポリマーが挙げられる。その他の好適なカルボン酸ポリマー成分には、C10〜30アルキルアクリレートと1以上のアクリル酸モノマー、メタクリル酸モノマー、又はこれらの短鎖(即ち、C1〜4アルコール)エステルの1つのモノマーとのコポリマーが挙げられ、架橋剤は、スクロース又はペンタエリトリトール(pentaerytritol)のアリルエーテルである。これらのコポリマーは、アクリレート/C10〜30アルキルアクリレートクロスポリマーとして知られ、カーボポール(CARBOPOL)(登録商標)1342、カーボポール(CARBOPOL)(登録商標)1382、ペムレン(Pemulen)TR−1、及びペムレン(Pemulen)TR−2としてB.F.グッドリッチ社(B.F.Goodrich)より市販されている。
【0047】
高分子安定剤の他の非限定的な例としては、カチオン性ポリマーと非イオン性ポリマーの両方を包含する架橋ポリアクリレートポリマーが挙げられる。
高分子安定剤のさらに別の非限定的な例としては、ポリアクリルアミドポリマー、特に置換分枝又は非分枝ポリマーを含む非イオン性ポリアクリルアミドポリマーが挙げられる。これらのポリアクリルアミドポリマーの中でより好ましいのは、CTFA指定ポリアクリルアミド並びにイソパラフィン及びラウレス−7の非イオン性ポリマーであり、商品名セピゲル(SEPIGEL)305としてセピック社(Seppic Corporation)(米国ニュージャージー州フェアフィールド)より市販されている。本明細書で有用なその他のポリアクリルアミドポリマーには、アクリルアミド及び置換アクリルアミドと、アクリル酸及び置換アクリル酸との、多元ブロックコポリマーが挙げられる。このような多元ブロックコポリマーの市販商品の例としては、リポ・ケミカルズ社(Lipo Chemicals,Inc.)(米国ニュージャージー州パターソン)のハイパン(Hypan)SR150H、SS500V、SS500W、SSSA100Hが挙げられる。
【0048】
本明細書で有用な高分子安定剤の別の非限定的な部類は、多糖類である。多糖類ゲル化剤の非限定的な例としては、セルロース及びセルロース誘導体から選択されるものが挙げられる。アルキルヒドロキシアルキルセルロースエーテルの中で好ましいのは、CTFA指定セチルヒドロキシエチルセルロースで表される物質であり、それはセチルアルコールとヒドロキシエチルセルロースのエーテルであり、商品名ナトロゼル(NATROSEL)(登録商標)CSプラスとしてアクアロン社(Aqualon Corporation)(米国デラウェア州ウィルミントン)から販売されている。その他の有用な多糖類には、直鎖の(1〜3)結合グルコース単位と3単位毎の(1〜6)結合グルコースとを含むスクレログルカンが包含され、その市販の例は、マイケル・メルシエ・プロダクツ社(Michel Mercier Products Inc.)(米国ニュージャージー州マウンテインサイド(Mountainside))のクレアロゲル(CLEAROGEL)(登録商標)CS11である。
【0049】
本明細書で有用な高分子安定剤の別の非限定的な部類は、ガム類である。本明細書で有用なガム類の非限定的な例は、キサンタンガム、ジェランガム、及びこれらの混合物である。
【0050】
本明細書で有用な高分子安定剤のさらに別の非限定的な部類は、改質デンプンである。グレイン・プロセッシング社(Grain Processing Corporation)製のウォーターロック(WATERLOCK)(登録商標)のようなアクリレート改質デンプンを使用してもよい。ヒドロキシプロピルデンプンリン酸、ナショナル・スターチ社(National Starch)の商品名ストラクチャー(STRUCTURE)XLが、有用な改質デンプンの別の例であり、他の有用な例としては、クラリアント社(Clariant)のアリストフレックス(ARISTOFLEX)HMB(アンモニウムアクリロジメチルタルエート(Acrylodimethyltaruat)/ベヘネス−25メタクリレートクロスポリマー)が挙げられる。前記高分子安定剤の中で好ましいのは、ストラクチャー(structure)XLなどの改質デンブン及びそれと他の高分子安定剤との混合物である。
【0051】
(任意成分)
本発明の組成物は1つ以上の追加のスキンケア構成成分を含有してもよい。組成物がヒトのケラチン組織に接触される好ましい実施形態では、追加の構成成分はケラチン組織への適用に好適であるべきであり、即ち、上記組成物に組み込まれたときに、正しい医学的判断の範囲内で、過度の毒性、不適合性、不安定性、アレルギー反応などを示すことなく、ヒトのケラチン組織に接触させて使用するのに好適である。
「CTFA化粧品原料便覧(CTFA Cosmetic Ingredient Handbook)」、第2版(1992年)には、パーソナルケアに関連する業界で通常使用される様々な非限定的な化粧品及び医薬品の成分が記載されており、それらは本発明の組成物への使用に好適である。
【0052】
しかしながら、本発明のいかなる実施形態においても、本明細書で有用な追加の構成成分は、それらが提供する効果又は前提とされるそれらの作用様式によって分類することができる。とはいえ、本明細書で有用な追加の構成成分は、場合によっては1を超える効果を与え得るか、又は1を超える作用様式を介して機能し得ると理解されるべきである。それゆえ、本明細書での分類は、便宜上のことであって、活性物質を特定の適用又は列記する適用に限定しようとするものではない。
【0053】
(光沢のある粒子)
本明細書で有用な干渉顔料の非限定的な例としては、パースパース社(Persperse,Inc.)から商品名プレスティーズ(PRESTIGE)(登録商標)、フロナック(FLONAC)(登録商標)で供給されるもの;EMDケミカルズ社(EMD Chemicals,Inc.)から商品名ティミロン(TIMIRON)(登録商標)、カラロナ(COLORONA)(登録商標)、ディクロナ(DICHRONA)(登録商標)及びキシロナ(XIRONA)(登録商標)で供給されるもの;並びにエンゲルハード社(Engelhard Co.)から商品名フラメンコ(FLAMENCO)(登録商標)、ティミカ(TIMICA)(登録商標)、デュオクロム(DUOCHROME)(登録商標)で供給されるものが挙げられる。
【0054】
干渉顔料の第二の部類は、コレステリック液晶系であり、例えば、コボ・プロダクツ社(KOBO products)から供給されるヘリコ−ン(HELICONE)(登録商標)HCである。ヘリコ−ン(HELICONE)(登録商標)HCは、らせん状の超構造を有する、ポリアクリレート類の透明な小板(platelets)から成る。この構造の一部として、葉巻型の液晶分子は、平行に並んだ複数の層に固定されている。各層はわずかに異なった分子配向を有し、同じ分子配向を持つ2つの層間の距離は「ピッチ」と定義され、それが色を決定する。この種の顔料は疎水性である。そのため、これらは表面処理せずに使用できる。
【0055】
(その他の任意成分)
任意成分の他の非限定的な例としては、ビタミン類及びその誘導体(例えば、アスコルビン酸、ビタミンE、酢酸トロフェリルなど);日焼け止め剤;増粘剤(例えば、ポリオールアルコキシエステル、クローダ社(Croda)からクロチックス(CROTHIX)として入手可能));クレンジング組成物の抗菌完全状態を保持するための防腐剤;抗ニキビ薬剤(レゾルシノール、サリチル酸など);酸化防止剤;アロエベラ抽出物、アラントインなどのような皮膚沈静剤及び皮膚治癒作用剤;キレート化剤及び金属イオン封鎖剤;並びに香料、精油、皮膚感作用剤(skin sensates)、顔料、真珠光沢剤(例えば、雲母及び二酸化チタン)、レーキ類、着色剤などのような審美性目的に適した試薬(例えば、丁子油、メントール、カンファー、ユーカリ油、及びオイゲノール)、抗菌剤及びこれらの混合物から成る群より選択される利益成分が挙げられる。これらの物質は、当業者には自明であるように、所要の効果を提供するのに十分な範囲で使用され得る。
【0056】
(分析方法)
(脂質レオロジー試験)
脂質レオロジーは、ペルティエ温度制御型試料ステージ又は同等物が付いた、TAインスツルメンツ(TA Instruments)製AR2000応力制御型レオメータで測定される。40mmの板と1mmのギャップを有する平行プレート形状を使用する。下方のプレートを85℃に加熱し、その下方のプレート上に、溶融した脂質と構造剤(含まれる場合)を添加して平衡させる。次に、上方のプレートを1mmギャップまで下げると同時に、前記脂質がギャップに十分に満ちるのを確実にし、トッププレートを回転させて、もっと多くの脂質を添加してウィッキングを促進し、試料を素早く25℃まで冷却して、25℃で5分間平衡させる。続いて、粘度は、20〜2000Paまでの対数式の応力傾斜を用いるこの種の機械に一般的な応力傾斜法を用いて、10回当たり60秒の速度で(2分間傾斜試験)、10回毎に20個の計測点で測定する。開始応力及び終了応力は、流れを誘導しかつ少なくとも10s−1の剪断速度を達成するのに十分である。粘度を記録して、そのデータを、式1を用いた指数法則に挿入する。0.001s−1〜40s−1の間のデータだけが指数法則への挿入に使われるべきである。1.0s−1での粘度を、式1から計算する。材料がプレートの下から押し出されると計測が停止するため、試験中は試料を注意して観察すべきである。
【0057】
粘度を記録して、そのデータを、次の式1を用いた指数法則に挿入する。
【0058】
η=κγ(dot)(n-1)
式中、ηは粘度であり、κは粘稠度であり、γ(dot)は剪断速度であり、nは剪断指数である。
【0059】
次に、1s−1での粘度を、計算値κと式に挿入されたデータからのnを用いて計算する。
【0060】
高分子安定剤の粘性試験:
高分子安定剤相は、特有の対象の配合において見出される、安定剤と水の割合を用いて形成される。例えば、前記配合が高分子安定剤3部と水72部を含有すれば、その割合は1:24である。前記高分子を、適当な割合で水相に水和する。水和方法は、前記高分子の種類によって変化し、高剪断、加熱、及び/又は中和を必要とすることがある。どの場合も、前記高分子は製造者の指示に従って適切に水和されなければならない。前記高分子を完全に水和したら、系を少なくとも24時間室温に置いておく。静置時間後、前記安定剤相の粘度を、コーン/プレート(ブルックフィールドモデルDV II+用のスピンドル(Spindle)41)形状を用いたブルックフィールド粘度計又は同様の粘度計により、1s−1及び25℃で測定する。製品2mlを粘度計のカップに入れて、前記装置に取り付ける。回転を開始して、2分後に粘度を記録する。
【0061】
ゲルネットワーク安定性試験:
ゲルネットワーク相は、特有の配合において見出される、ゲルネットワーク材料(非イオン性界面活性剤、疎水性の構造剤)と水の割合を用いて形成される。例えば、前記配合が前記ゲルネットワーク合計3部と水72部を含有すれば、前記割合は1:24である。水を加熱して、ゲルネットワーク材料を加え、これらの材料が完全に溶解したら(時間と温度は材料によって決まる)、混合物を室温まで冷却させる。5日後に混合物が(混合物の目視検査で決定できるように)分離していると、水と前記ゲルネットワークの割合が好ましい範囲に収まる。
【0062】
(発泡体積)
濡れた皮膚用のトリートメント組成物の発泡体積は、メスシリンダーと回転装置を用いて測定できる。1,000mlメスシリンダーは、10ml分ずつに印が付いており、その底部内側から1,000mlの印まで14.5インチ(36.8センチ)の高さがあるものを選択する(例えば、パイレックス(Pyrex)品番2982)。蒸留水(23℃で100g)をメスシリンダーに加える。このシリンダーを、回転デバイス内にクランプで固定しており、当該デバイスが、メスシリンダーの中心を横断する回転軸で当該シリンダーをクランプ固定する。濡れた皮膚用のトリートメント組成物の合計1gをメスシリンダーに添加して、該シリンダーに蓋をする。約20秒に10回転の速度でシリンダーを回転させ、垂直な位置で停止させて第1の回転シーケンスを完了する。これによって発生した泡の排出のための30秒を見込んでタイマーを設定する。そうした30秒の排出の後に、底部からの泡の高さをmlで記録し、第1の発泡体積を四捨五入して10ml単位で測定する(上部に泡が浮いている底部に排出された水を含める)。
【0063】
泡の上面が平らでない場合、メスシリンダー断面の半分ほどに及ぶのが見られる最も低い高さが、第1の発泡体積(ml)になる。泡が粗すぎて、単一又はほんのわずかなフォームセル(foam cells)(「バブル(bubbles)」)しかシリンダー断面全体に広がらない場合、空間を満たすのに少なくとも10個のフォームセルが必要になる高さが、底部からの第1の発泡体積(ml)になる。いかなる寸法においても1インチ(2.5センチ)より大きいフォームセルは、どこで発生しようとも、泡ではなく、中身のない空気と呼ぶ。メスシリンダーの上部に集まるが排出されないフォームは、その上部のフォームがそれ自体連続的な層である場合、定規を使用して層の厚さを測定し、そこに集まったフォームのmlを底部から測定されたフォームのmlに加えることによっても、測定に組み込む。最大フォーム高さは1,000mLである(全フォーム高さがメスシリンダーの1,000mLの印を超えた場合でも)。第1の回転が完了してから1分後に、第1の回転シーケンスと速度及び持続時間が同一である第2の回転シーケンスが開始する。第2の発泡体積は、第1と同一の方式で、同様に30秒の排出時間の後に記録する。第3のシーケンスが完了し、排出と測定値取得との間に同一の休止時間をおいて、第3の発泡体積を同様の方式で測定する。
【0064】
各シーケンスの後の泡の結果を合算し、全発泡体積を3つの測定値の合計としてmlで決定する。瞬間発泡体積は、第1の回転シーケンスの後の結果のみ、即ち、第1の発泡体積のmlである。
【実施例】
【0065】
次の実施例は本発明の範囲内の実施形態をさらに記載し実証する。実施例は、単に例示の目的のために与えられており、本発明の精神及び範囲を逸脱することなく、その多くの変更が可能であるため、本発明を限定するものとして解釈されるべきではない。特に明示しない限り、例示されるすべての量は、クレンジング、トリートメント組成物全体の重量に基づく濃度である。
【0066】
【表1】

【0067】
実施例1〜9のパーソナルケア組成物は、常套の配合及び混合技術によって調製され得る。そのような例の1つを以下に示すが、多様な添加順序を利用して、使用可能な製品を配合することができる。
【0068】
先ず、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を水に分散させて、水相組成物を調製する。ゲルネットワーク相(乳化ワックス又はtween80/セチルアルコール/ステアリルアルコールのブレンド)を加えて、160°F(71℃)に加熱する。混合容器を水浴中に置いて、100°F(38℃)まで冷却する。香料を加える。
【0069】
160°F(71℃)で脂質全てを事前に混合する。これを、さらに攪拌しながら水相(80°F未満)(27℃未満)に加える。(複数の脂質を用いた実施例の場合、所望の成果に左右され、脂質を事前に混合しても又はしなくてもよい。)防腐剤を加えて、製品が滑らかになるまで攪拌する。
【0070】
明示される。
【0071】
【表2】

【0072】
実施例10〜12のパーソナルケア組成物は、常套の配合及び混合技術によって調製され得る。そのような例の1つを以下に示すが、多様な添加順序を利用して、使用可能な製品を配合することができる。
【0073】
先ず、ヒドロキシプロピルデンプンリン酸を水に分散させて、水相組成物を調製する。ゲルネットワーク相(乳化ワックス又はtween80/セチルアルコール/ステアリルアルコールのブレンド)を加えて、160°F(71℃)に加熱する。混合容器を水浴中に置いて、100°F(38℃)まで冷却する。香料を加える。
【0074】
さらに攪拌しながら、(160°F(71℃)に予備加熱した)脂質(類)を水相(80°F未満(27℃未満))に加える。(複数の脂質を用いた実施例の場合、所望の成果に左右され、脂質を事前に混合しても又はしなくてもよい。)防腐剤を加えて、製品が滑らかになるまで攪拌する。
【0075】
「発明を実施するための最良の形態」で引用したすべての文献は、関連部分において本明細書に参考として組み込まれるが、いずれの文献の引用も、それが本発明に対する先行技術であるとの容認と解釈されるべきではない。
【0076】
本発明の特定の実施形態を例示し記載したが、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく他の様々な変更及び修正を実施できることが、当業者には自明であろう。したがって、本発明の範囲内にあるそのようなすべての変更及び修正を、添付の特許請求の範囲で扱うものとする。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)水相と、
b)1〜80重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%の構造化された油相と、
c)組成物の好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%の量のゲルネットワーク相であって、前記ゲル相のネットワークが非イオン性で親水性の界面活性剤及び疎水性の構造化剤を含むゲルネットワーク相と、
d)水相安定剤と、
を含む油含有組成物であって、
前記構造化された油相の剪断指数が0.8未満であることを特徴とする油含有組成物。
【請求項2】
前記構造化された油相がペトロラタムであることを特徴とする請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記水相安定剤が改質デンプンであることを特徴とする請求項1及び2に記載の組成物。
【請求項4】
油含有組成物を基体に付けることを含む、基体に油を付着させる方法であって、
前記油含有組成物が、
a)水相と、
b)1〜80重量%、好ましくは少なくとも10重量%、より好ましくは少なくとも約20重量%の構造化された油相と、
c)組成物の好ましくは0.5〜20重量%、より好ましくは1〜20重量%、最も好ましくは1〜10重量%の量のゲルネットワーク相であって、前記ゲル相のネットワークが非イオン性で親水性の界面活性剤及び疎水性の構造化剤を含むゲルネットワーク相と、
d)水相安定剤と、
を含み、
前記構造化された油相の剪断指数が0.8未満であることを特徴とする方法。
【請求項5】
前記構造化された油相がペトロラタムであることを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記水相安定剤が改質デンプンであることを特徴とする請求項4及び5に記載の方法。


【公表番号】特表2006−525958(P2006−525958A)
【公表日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−501312(P2006−501312)
【出願日】平成16年5月10日(2004.5.10)
【国際出願番号】PCT/US2004/014439
【国際公開番号】WO2004/100907
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
PYREX
パイレックス
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】