説明

ゲート設備に取り付けるポンプ構造

【課題】 ゲートに取り付けられるポンプに対してこれの駆動用電動機の配置を工夫してゲートヘの取り付け、保守管理を容易にし小型化を図ることのできるゲート設備に取り付けるポンプ構造を提供することにある。
【解決手段】 上流側水路2aの水を下流側水路2bに強制排水するポンプ4をゲート11に取り付け、ポンプ4の吐出口41b側に開閉扉5をゲート11の内部側に取り付け、上記ポンプ4の垂直軸回りの伝導軸43の上部を防水性の内部に収容する上部ギャーボックス6をポンプ4真上に取り付け、水平軸回りの電動機7を上部ギャーボックス6の側部の所望箇所に交換自在に取り付けると共に、ポンプ4の伝導軸43と電動機7の回転軸71とを上部ギャーボックス6の内部に収容された直角に噛み合う歯車機構61を介して連動連結する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲートの上流側水路の水を下流側水路に強制排出するポンプがゲートに取り付けられた技術の改良に係り、特に、ゲートに取り付けられるポンプに対してこれの駆動用電動機の配置を工夫してゲートヘの取り付け、保守管理を容易にし小型化を図るゲート設備に取り付けるポンプ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の排水機場では洪水を排出するポンプ設備と排水路の閉塞開放を行うゲート設備が併設されており設備が大掛かりとなり建設費用が嵩む。よって建設費用削減の為にゲート設備にポンプ設備を取り付け施設の集約を計り建設費用の削減が提案されている。ゲートに設置するポンプの構造は小型化を進める上で有利となる軸流ポンプが多く採用されている。
【特許文献1】特開2004−100259
【特許文献2】特開2004−92146
【特許文献3】特開2004−36559
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ゲートに取り付けるポンプ構造によってはポンプの保守点検が困難になったり、ポンプ固定のためにゲート側を特別な構造にする必要がある。また、前記の例えば特開2004−100259、特開2004−92146、特開2004−36559などの従来の型式では羽根駆動用の電動機は専用に開発された物でメーカ毎の互換性は無くなり高価になっている。さらに、電動機のメンテナンスに際してはポンプ設備全体をゲート設備から取り外し実行することが必要になる。
【0004】
この発明は、上記のような課題に鑑み、その課題を解決すべく創案されたものであって、その目的とするところは、ゲートに取り付けられるポンプに対してこれの駆動用電動機の配置を工夫してゲートヘの取り付け、保守管理を容易にし小型化を図ることのできるゲート設備に取り付けるポンプ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以上の目的を達成するために、この発明は、水路を開閉する昇降式のゲートの上流側水路に臨む側に、上流側水路の水を下流側水路に強制排水するポンプを取り付け、ポンプの吐出口側に連通し下流側水路からの逆流を防ぎ且つポンプの駆動による強制排水時には下流側水路に向けて開き上流側水路の水を下流側水路に排水させる開閉扉をゲートの内部側に下流側水路に向けて取り付け、上記ポンプに駆動力を伝達する垂直軸回り回転する伝導軸の上部をポンプ真上上方に延設し、伝導軸の延設された上部を防水性の内部に収容する上部ギャーボックスをポンプ真上に取り付け、上部ギャーボックスの内部に延設された回転軸が水平軸回りに回転する電動機を上部ギャーボックスの側部の所望箇所に交換自在に取り付けると共に、垂直軸回りに回転するポンプの伝導軸と水平軸回りに回転する電動機の回転軸とを上部ギャーボックスの内部に収容された直角に噛み合う歯車機構を介して連動連結する手段よりなるものである。
【発明の効果】
【0006】
以上の記載より明らかなように、この発明に係るゲート設備に取り付けるポンプ構造によれば、次のような極めて新規的有益なる効果を奏するものである。
(1)ポンプの羽根部と電動機また伝達経路の点検整備が個別に出来る。
(2)ゲート設備への取り付けが容易に出来る。また既存ゲートヘの設置も少ない改造で可能となる。
(3)上部ギャーボックスを介し電動機を取り付けることで電動機の取り付け方向が現地条件に合わせ選択できる。
(4)インペラハブに電動機を配置しないため流路の断面変化を最小限に抑えることができ運転効率の向上が期待できる。
(5)電動機軸をゲート床盤に対し水平にするので電動機の冷却に必要な喫水深を電動機縦軸配置の型式より低く抑えることが出来る。
(6)請求項2によれば、上部ギャーボックスの側部の正面、左側面又は右側面の何れかに電動機を取り付けることができるので、設計、製作や現場設置工事での自由度を高めることができる。しかも、上部ギャーボックスの上面に電動機を下向きに取り付ける場合に比べて上部ギャーボックスの内部の歯車機構の目視点検も容易となる。
(7)請求項3によれば、ゲート設備へのポンプ設備の取り付けが容易となり、点検のためのポンプ設備の取り外しも容易となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、図面に記載の発明を実施するための最良の形態に基づいて、この発明をより具体的に説明する。
ここで、図1はポンプ付ゲートの側断面図、図2は図1の正面図、図3は図1の背面図、図4はポンプ構造の断面図、図5は別の小型のポンプ付ゲートの側断面図、図6は別の2基ポンプを備えたポンプ付ゲートの正面図、図7は電動機の取り付け方向が異なるポンプ構造の正面図、図8はポンプを取り付けてないときのゲートの側断面図、図9は図8の正面図、図10は図8の背面図である。
【0008】
図において、ポンプ付ゲート1は、ゲート11の上流側水路2aの水を下流側水路2bに強制排出するポンプ4がゲート11に取り付けられた構造からなり、水路2にその横断方向に水路2を遮断するようにして設置されている。ポンプ付ゲート1は扉体としてのゲート11が昇降することにより、水路2を開閉する構造になっている。ポンプ付ゲート1は、自然排水時にはゲート11を上昇させて排水し、強制排水時にはゲート11を閉じた状態でゲート11に取り付けられたポンプ4を利用して、ゲート11の上流側水路2aの水を下流側水路2bに強制排水する構造になっている。
【0009】
ゲート11は、四角形で板状のスキンプレート11a、スキンプレート11aの上流側水路2aの臨む側の表面に取り付けられた上枠補強桁11b、左右の側枠補強桁11c、下枠補強桁11d、縦補強桁11e、横補強桁11fなどから構成されている。
【0010】
上枠補強桁11bはスキンプレート11aの上辺側に取り付けられ、左右の側枠補強桁11cはスキンプレート11aの左右側端側に取り付けられ、下枠補強桁11dはスキンプレート11aの下辺側に取り付けられ、縦補強桁11eは左右の側枠補強桁11cの間に取り付けられ、横補強桁11fは上枠補強桁11bと下枠補強桁11dとの間に取り付けられている。
【0011】
縦補強桁11e及び横補強桁11fの取り付け個数や配置間隔はゲート11の大きさによって異なり、スキンプレート11aが大きくなるに従いこれらの取り付け個数は増える。ゲート11のスキンプレート11aはこれらの補強桁によって補強されて剛性が高められている。
【0012】
ポンプ付ゲート1が設置された水路2の左右両側面には門柱3が上方に向けて延設されており、左右の門柱3には、上下方向にゲート11の左右側端を昇降摺動案内する図示しないガイド溝がそれぞれ形成されていて、ゲート11はこのガイド溝に沿って昇降する構造になっている。ゲート11の左右側端の側枠補強桁11cにはガイド溝との摺動抵抗を少なくするローラー12が上下にそれぞれ設けられていて、ゲート11が昇降する場合にガイド溝に沿ってスムーズに昇降できるようになっている。
【0013】
ゲート11の上端の上枠補強桁11bには、ゲート11を昇降させるための図示しない例えばワイヤーロープの下端側が連結される連結具13が取り付けられている。連結具13はゲート11の大きさによって、例えばゲート11の上端中央に1基取り付けられたり、上端の左右両側に2基取り付けられたりする。連結具13に下端側が連結された図示しない例えばワイヤーロープの上端側は門柱3の上部側に設けられた図示しない巻取りドラムに巻き取られていて、図示しない駆動モーターにより巻取りドラムを正逆回転させてワイヤーロープを巻き上げたり巻き下げたりして、ワイヤーロープの下端側が連結されたゲート11を昇降させる構造になっている。
【0014】
水路2の上流側水路2aに臨む側のゲート11の下部の表面には、上流側水路2aに向けて突出した状態でポンプ4が垂直なゲート11に対して略水平に取り付けられている。ポンプ4はゲート11が閉じられた状態でゲート11の上流側水路2aの水を下流側水路2bに向けて強制排水する機能を果たす。ポンプ4はゲート11の大きさによって、ゲート11の下部中央に例えば1基取り付けられたり、下部の左右両側に例えば2基取り付けられたりする。ポンプ4には例えば軸流ポンプが使用される。
【0015】
例えば軸流ポンプからなるポンプ4は、水が通過する導水管41、導水管41の内部中央に取り付けられたインペラハブ42、インペラハブ42に電動機7の駆動力を歯車機構61を介して伝達する伝導軸43などから構成されている。
【0016】
導水管41は、内部が円筒形に形成され、上流側水路2aに臨む先端側の流入口41aがラッパ状に形成され、又ラッパ状の流入口41aは前方に向けて少し斜め下向きに開口している。また、ポンプ4の導水管41はその流入口41aがゲート全閉状態で水路の底部近くの高さになるようにゲート11に取り付けられている。
【0017】
導水管41の後端となる吐出口41bの周縁側は板状のポンプ取付板14に形成された孔14aに溶接などによって一体的に取り付けられている。ポンプ4の導水管41はポンプ取付板14を介してゲート11の表面に取り付けられている。ポンプ取付板14は導水管41と接する内部には導水管41の吐出口41bが挿入接続される例えば円形の孔14aが形成されている。
【0018】
導水管41はその軸芯方向がポンプ取付板14に対して直角になっていて、導水管41に対して直角なポンプ取付板14がゲート11の表面に取り付けられることにより、導水管41はその軸芯方向が垂直なゲート11の表面に対して略水平状に取り付けられる。
【0019】
ポンプ4の導水管41の吐出口41b側が一体的に取り付けられたポンプ取付板14は、ゲート11のスキンプレート11aを補強する下枠補強桁11d、縦補強桁11e及び横補強桁11fに例えばボルトナットなどにより取り付けられている。即ち、ポンプ取付板14の上辺は横補強桁11fに取り付けられ、ポンプ取付板14の左右側辺は左右の縦補強桁11eに取り付けられ、ポンプ取付板14の下辺は下枠補強桁11dにそれぞれ取り付けられている。
【0020】
ポンプ取付板14はその周縁側となる上辺、左右側辺及び下辺がこれらの補強桁11d、11e、11fと水密状態で取り付けられて水密構造になっており、上流側水路2aの水がポンプ取付板14の周縁側となる上辺、左右側辺又は下辺から下流側水路2bに漏れ出るのが確実に防がれている。防水が図られたポンプ取付板14の取り付け位置に対応する箇所のスキンプレート11aは切り欠かれて開口部11gが形成されている。開口部11gは下流側水路2bに臨んでいて連通している。
【0021】
このように、上流側水路2aと下流側水路2bとは、ゲート11のスキンプレート11a、ポンプ取付板14、ポンプ取付板14の上辺が取り付けられる横補強桁11f、ポンプ取付板14の左右側辺が取り付けられる左右の縦補強桁11e、及びポンプ取付板14の下辺が取り付けられる下枠補強桁11dによって遮断されている。
【0022】
ポンプ4の導水管41の後端となる吐出口41b側には開閉扉5が取り付けられている。開閉扉5には例えばフラップゲートが使用されている。例えばフラップゲートからなる開閉扉5は、ポンプ4が表面に取り付けられたポンプ取付板14の裏面側に背中合わせに取り付けられた開閉扉取付板15側に、下流側水路2bに向けて取り付けられている。例えばフラップゲートからなる開閉扉5はスキンプレート11aに形成された開口部11gを通じて下流側水路2bに臨んでいる。また、開閉扉取付板15は例えばボルトナットによりポンプ取付板14の裏面側に背中合わせに取り付けられる。
【0023】
開閉扉取付板15には例えば円形の孔15aが形成され、この孔15aには導水管41の後端側の吐出口41bと同一内径の吐出管51の一端が挿入され溶接などにより一体的に取り付けられている。開閉扉5は、吐出管51の下流側水路2bに向けて臨んでいる他端側表面に開閉自在に取り付けられている。例えばフラップゲートからなる開閉扉5は、その上端部が下流側水路2bに臨む開閉扉取付板15の上部にヒンジ構造52で連結されている。
【0024】
例えばフラップゲートからなる開閉扉5は、上端のヒンジ構造52を回転中心として、ゲート11の下流側水路2bに向けて開き、ゲート11の上流側水路2aに向けて閉じる、所謂逆止弁の構造になっている。開閉扉5は、下流側水路2bの水圧が高い場合には閉じて下流側水路2bからの逆流を防ぎ、ポンプ4の駆動による強制排水時には、ポンプ4からの吐出排水の水圧によって開いてゲート11の上流側水路2aの水を下流側水路2bに排水できるようになっている。
【0025】
開閉扉取付板15に取り付けられた吐出管51及び閉じた状態の開閉扉5は、ゲート11の内部側つまりゲート11の厚み側となるポンプ取付板14とスキンプレート11aとの間内に収容されている。ゲート11の内部側に取り付けられた吐出管51及び閉じた状態の開閉扉5は上下に昇降するゲート11の厚み内に収まっていて、ゲート11が昇降する際に吐出管51及び開閉扉5が昇降の妨げとなることはない。
【0026】
導水管41の内部中央に取り付けられたインペラハブ42は、上流側水路2aの水を下流側水路2bに強制的に排出する機能を果たすもので、回転する複数の羽根42a、内部に配置された羽根駆動軸42d、ギャーボックス42gなどから構成される。
【0027】
インペラハブ42は、導水管41の内部中央に上方から連結筒44によって吊り下げた状態で取り付けられ、又左右斜め下方に向けてそれぞれ取り付けられた左右の固定リブ45に支持されている。連結筒44は上下方向に垂直に取り付けられている。連結筒44の内部は空洞になっていて、この空洞内には伝導軸43が上下方向に配置されている。連結筒44の上部は導水管41を貫通して上部ギャーボックス6内に接続して保持されている。また、連結筒44の下部はインペラハブ42のギャーボックス42g内に接続している。連結筒44はインペラハブ42を導水管41の内部中央に吊り下げて保持する機能を果たすと共にその内部に伝導軸43を挿通させて防止を図る機能を有する。
【0028】
インペラハブ42は先端側及び後端側が弾頭状の形状に形成され、その中間が円筒形状に形成されて、導水管41内を通過する水の抵抗を小さくしている。又回転する複数の羽根42aは、先端ケース42bの直ぐ後方の外周側に回転自在に配置された回転円筒体42cの外周表面に等間隔で配置されている。回転円筒体42cはインペラハブ42の内部に水平状に配置された羽根駆動軸42dの側周面に複数の連結板によって連動連結されていて、羽根駆動軸42dが軸回りに回転すると回転円筒体42cも回転して羽根42aを回転させる構造になっている。
【0029】
インペラハブ42の内部の中心部には、このインペラハブ42の軸芯方向に上記羽根駆動軸42dが軸回りに回転自在に軸支されている。羽根駆動軸42dの先端は共に回転する先端ケース42bに固定され、羽根駆動軸42dの他端側はインペラハブ42の内部のギャーボックス42gの内部を貫通して軸支されている。
【0030】
羽根駆動軸42dはギャーボックス42gに貫通する直前部分でその周囲がシール装置42eによりシールされている。また、シール装置42eによりシールされている箇所のシール漏れによる水の侵入の有無を検知する浸水検知装置42fが取り付けられている。保守点検時にこの浸水検知装置42fによりシール漏れの有無が検査される。
【0031】
ギャーボックス42gはインペラハブ42の内部の後半部分に設けられている。ギャーボックス42gの内部に貫通する羽根駆動軸42dには羽根側傘歯車42hが取り付けられている。羽根側傘歯車42hは水平軸回りに回転する。羽根側傘歯車42hにはこれと直角な垂直軸回りに回転する伝導軸側下部傘歯車43aが噛み合っている。伝導軸側下部傘歯車43aは伝導軸43の下部に取り付けられている。
【0032】
伝導軸43は連結筒44の内部を挿通してインペラハブ42のギャーボックス42g及び導水管41を貫通し上方に垂直に延びて設けられている。伝導軸43は連結筒44によって防止が図られている。伝導軸43の上部側は上部ギャーボックス6の内部に貫通している。上部ギャーボックス6の内部に位置する伝導軸43の上部には歯車機構61の一部を構成する伝導軸側上部傘歯車61aが取り付けられている。伝導軸側上部傘歯車61aは伝導軸側下部傘歯車43aと同一軸芯で垂直軸回りに回転する。
【0033】
上部ギャーボックス6はポンプ4の導水管41の真上位置に設置されている。
上部ギャーボックス6には電動機7の駆動力をポンプ4の伝導軸43に伝達する前記の歯車機構61がその内部に収納されている。上部ギャーボックス6は箱形からなり、上部ギャーボックス6の底面側は導水管41の上面側に接置して設けられている。背面側は前記ポンプ取付板14の一部によって構成されている。
【0034】
上部ギャーボックス6は箱形からなり、その側部の例えば正面、左側面又は右側面の三方向の何れかの所望箇所に電動機7が取り付けられる構造になっている。図面では上部ギャーボックス6の正面に電動機7が取り付けられている。このように、上部ギャーボックス6の側部の例えば正面、左側面又は右側面の何れかに電動機7を取り付けることができるので、設計、製作や現場設置工事での自由度を高めることができる。
【0035】
上部ギャーボックス6の内部の歯車機構61は、上部ギャーボックス6の正面、左側面又は右側面の三側面方向の何れの方向からも電動機7が取り付けられるように、内部に位置する伝導軸43の上部には垂直軸回りに回転する前記の伝導軸側上部傘歯車61aと、電動機7の水平軸回りに回転する回転軸71に取り付けられた電動機側傘歯車61bとから構成される。伝導軸側上部傘歯車61aは垂直軸回りに回転し、電動機側傘歯車61bはこれに直角な水平軸回りに回転する。この直角に噛み合う伝導軸側上部傘歯車61aと電動機側傘歯車61bにより歯車機構61は構成されている。
【0036】
上部ギャーボックス6の内部には直角に噛み合う歯車機構61が配置されているため、垂直軸回りに回転するポンプ4の伝導軸43に対して、これに直角な水平な三方向から水平軸回りに回転する電動機7を上部ギャーボックス6の正面、左側面又は右側面の三方向の何れかに取り付けることが可能となる。
【0037】
上部ギャーボックス6はその内部が防水構造になっていて、内部の歯車機構61を構成する伝導軸側上部傘歯車61aや電動機側傘歯車61bなどが浸水によって故障するのが防がれている。上部ギャーボックス6の上面には内部を外部から目視保守点検できるように開閉蓋62が取り付けられている。
【0038】
電動機7は上部ギャーボックス6の内部の歯車機構61を介してポンプ4の羽根42aを駆動させるものであり、前記したように電動機7はその回転軸71が水平状態で上部ギャーボックス6の例えば正面に取り付けられている。電動機7にはこれを冷却する電動機冷却装置72が設けられていて、この電動機冷却装置72によって電動機7が加熱するのを防いでいる。
【0039】
電動機7はポンプ4とは一体的に直結されてなく、ポンプ4に対して上部ギャーボックス6内の直角に噛み合う歯車機構61を介して連動連結していて、前記したように上部ギャーボックス6の正面、左右側面の三側面方向に対して取り付け及び取り外し自在になっている。このように、ポンプ4に対して電動機7のみを任意に交換することができ、ポンプ4に対して電動機7の互換性があり、電動機7のコスト低下を図ることができる。
【0040】
次に、上記発明を実施するための最良の形態の構成に基づく作用について以下説明する。
ゲート11を閉じた状態で上流側水路2aの水を下流側水路2bに強制排水する場合には、ポンプ4の電動機7を駆動させる。電動機7が駆動すると、電動機7の回転軸71は水平軸回りに回転する。
【0041】
回転する回転軸71の先端側には上部ギャーボックス6の内部に配置された歯車機構61を構成する電動機側傘歯車61bが取り付けられており、この電動機側傘歯車61bは水平軸回りに回転する。この水平軸回りに回転する電動機側傘歯車61bは歯車機構61を構成する垂直軸回りに回転する伝導軸側上部傘歯車61aと噛み合っている。伝導軸側上部傘歯車61aは垂直軸回りに回転する伝導軸43の上部に取り付けられており、このため、電動機7の水平軸回りの回転力は、歯車機構61を介して垂直軸回りの回転力になって伝導軸43に伝達される。
【0042】
垂直軸回りに回転する伝導軸43の下部にはインペラハブ42に内装された伝導軸側下部傘歯車43aが取り付けられており、伝導軸側下部傘歯車43aは垂直軸回りに回転する。この垂直軸回りに回転する伝導軸側下部傘歯車43aにはインペラハブ42の内部の水平軸回りに回転する羽根側傘歯車42hが直角に噛み合っている。
【0043】
羽根側傘歯車42hは水平軸回りに回転する羽根駆動軸42dの後端側に取り付けられており、羽根駆動軸42dの先端側には取付板を介してその外周側に羽根42aの回転円筒体42cが取り付けられている。回転円筒体42cには複数の羽根42aが取り付けられており、羽根駆動軸42dが回転すると先端ケース42b、回転円筒体42c及びその複数の羽根42aもその回転に連動して回転する。
【0044】
このようにして、電動機7の駆動力は、上部ギャーボックス6の内部の歯車機構61により、伝導軸43を通じてインペラハブ42の内部の伝導軸側下部傘歯車43aから羽根側傘歯車42hに伝わり、羽根駆動軸42d、複数の羽根42aを回転させて、導水管41内の水を下流側水路2bに向けて排出する。
【0045】
ポンプ4の導水管41の内部に配置した複数の羽根42aが回転すると、導水管41の内部には上流側水路2aから下流側水路2bに向けて流れが発生する。上流側水路2aの水は導水管41の流入口41aから吸い込まれ、回転する羽根42aによって導水管41の吐出口41bに向けて送り出される。
【0046】
吐出口41b側には逆止弁の機能を果たす例えばフラップゲートからなる開閉扉5が取り付けられている。例えばフラップゲートからなる開閉扉5は自重及び下流側水路2bの水圧によって吐出口41b側を閉じているが、インペラハブ42の駆動によって生じる流速による水圧によって開閉扉5を下流側水路2bに向けて開かせて、上流側水路2aの水をこのポンプ4を通じて下流側水路2bに強制排水させることができる。
【0047】
また、ゲート11を開いて上流側水路2aの水を下流側水路2bに自然排水させる場合、開閉扉5はポンプ取付板14とスキンプレート11aとの間にあってゲート11の内部側にあるため、ゲート11を昇降させる際に開閉扉5がこれの妨げとなることはない。
【0048】
なお、この発明は上記発明を実施するための最良の形態に限定されるものではなく、この発明の精神を逸脱しない範囲で種々の改変をなし得ることは勿論である。例えば上記の最良の形態においては、開閉扉5としてフラップゲートの場合で説明したがこれに限定されるものではなく、フラップゲートに代えて例えば電動の仕切弁・バタフライバルブ、マイターゲート(観音扉)などでもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】この発明を実施するための最良の形態を示すポンプ付ゲートの側断面図である。
【図2】図1の正面図である。
【図3】図1の背面図である。
【図4】この発明を実施するための最良の形態を示すポンプ構造の断面図である。
【図5】この発明を実施するための最良の形態を示す別の小型のポンプ付ゲートの側断面図である。
【図6】この発明を実施するための最良の形態を示す別の2基ポンプを備えたポンプ付ゲートの正面図である。
【図7】この発明を実施するための最良の形態を示す電動機の取り付け方向が異なるポンプ構造の正面図である。
【図8】この発明を実施するための最良の形態を示すポンプを取り付けてないときのゲートの側断面図である。
【図9】図8の正面図である。
【図10】図8の背面図である。
【符号の説明】
【0050】
1 ポンプ付ゲート
11 ゲート
11a スキンプレート
11b 上枠補強桁
11c 側枠補強桁
11d 下枠補強桁
11e 縦補強桁
11f 横補強桁
11g 開口部
12 ローラー
13 連結具
14 ポンプ取付板
14a 孔
15 開閉扉取付板
15a 孔
2 水路
2a 上流側水路
2b 下流側水路
3 門柱
4 ポンプ
41 導水管
41a 流入口
41b 吐出口
42 インペラハブ
42a 羽根
42b 先端ケース
42c 回転円筒体
42d 羽根駆動軸
42e シール装置
42f 浸水検知装置
42g ギャーボックス
42h 羽根側傘歯車
43 伝導軸
43a 伝導軸側下部傘歯車
44 連結筒
45 固定リブ
5 開閉扉
51 吐出管
52 ヒンジ構造
6 上部ギャーボックス
61 歯車機構
61a 伝導軸側上部傘歯車
61b 電動機側傘歯車
62 開閉蓋
7 電動機
71 回転軸
72 電動機冷却装置


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水路を開閉する昇降式のゲートの上流側水路に臨む側に、上流側水路の水を下流側水路に強制排水するポンプを取り付け、ポンプの吐出口側に連通し下流側水路からの逆流を防ぎ且つポンプの駆動による強制排水時には下流側水路に向けて開き上流側水路の水を下流側水路に排水させる開閉扉をゲートの内部側に下流側水路に向けて取り付け、上記ポンプに駆動力を伝達する垂直軸回り回転する伝導軸の上部をポンプ真上上方に延設し、伝導軸の延設された上部を防水性の内部に収容する上部ギャーボックスをポンプ真上に取り付け、上部ギャーボックスの内部に延設された回転軸が水平軸回りに回転する電動機を上部ギャーボックスの側部の所望箇所に交換自在に取り付けると共に、垂直軸回りに回転するポンプの伝導軸と水平軸回りに回転する電動機の回転軸とを上部ギャーボックスの内部に収容された直角に噛み合う歯車機構を介して連動連結することを特徴とするゲート設備に取り付けるポンプ構造。
【請求項2】
上部ギャーボックスは箱形からなり、その側部の正面、左側面又は右側面の三方向の何れかの所望箇所に電動機が取り付けられる請求項1記載のゲート設備に取り付けるポンプ構造。
【請求項3】
ポンプの吐出口側が一体的に取り付けられたポンプ取付板を介してポンプをゲートに取り付けた請求項1記載のゲート設備に取り付けるポンプ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−152978(P2006−152978A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−348292(P2004−348292)
【出願日】平成16年12月1日(2004.12.1)
【出願人】(000196473)西田鉄工株式会社 (9)
【Fターム(参考)】