説明

ゲームシステム及びゲーム機

【課題】複数の筐体間で通信して他の筐体とゲーム内容を共有することができるゲームシステムを提供する。
【解決手段】ボールB2の物理的動作を利用した抽選を実行するボーナスゲームをそれぞれ有する複数のゲーム機Gがデータを送受信可能に接続されたゲームシステムGSであって、各ゲーム機Gは、ボーナスゲームを開始するためのゲーム開始条件の成否を判別し、ゲーム開始条件の成立に基づいて所定の演出を実行し、その演出の終了後にボーナスゲームを開始し、ゲーム開始条件の成立を他のゲーム機Gに通知して、自機のゲーム開始条件が成立したこと、他機からゲーム開始条件の成立の通知を受けたこと、及び自機の演出と他機の演出とが終了していないこと、が満たされたときにその他機との間でデータを送受信しつつ、受信したデータをゲーム内容に反映させる通信ゲームを同時に開始させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メダル等の遊技媒体の投入により物理的な動作に基づいたゲームが実行されるゲーム機及びそのゲーム機を複数有するゲームシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
プレイヤーがメダルを投入することにより、投入されたメダルや所定領域を移動するボールの動作に基づいたゲームが実行されるゲーム機が周知である(例えば、特許文献1参照)。このようなゲーム機においては、複数のプレイヤーによる遊技が可能なように複数のステーションユニットがそれぞれ独立して設けられ、中央付近には各ステーションユニットに共通の抽選装置が設けられている。各プレイヤーは、ステーションユニット及び抽選装置でプレイする。
【特許文献1】特開2006−81768号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上述のゲーム機では、プレイヤーは個々にゲームを楽しむ。複数のプレイヤー間でゲーム内容を共有するとしても抽選装置によるゲーム等、その筐体を共有するプレイヤー間でのみであり、ゲーム内容が限られている。
【0004】
そこで、本発明は複数の筐体間で通信して他の筐体とゲーム内容を共有することができるゲームシステム及びゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のゲームシステムは、遊技体(B2)の物理的動作を利用した抽選を実行し、前記遊技体の動作が所定の入賞条件を満たす毎に所定の配当をユーザーに発生させる物理的抽選手段(BF)をそれぞれ有する複数のゲーム機(G1、G2)が通信回線を介してデータを送受信可能に接続されたゲームシステム(GS)であって、各ゲーム機には、前記物理的抽選手段によるゲームを開始するためのゲーム開始条件の成否を判別する条件判別手段(91)と、前記ゲーム開始条件の成立に基づいて所定の演出を実行し、その演出の終了後に前記物理的抽選手段によるゲームを開始するゲーム制御手段(91)と、前記ゲーム開始条件の成立を他のゲーム機に通知するゲーム開始通知手段(91)と、が設けられ、前記ゲーム制御手段には、自らの前記ゲーム開始条件が成立したこと、他のゲーム機から前記ゲーム開始条件の成立の通知を受けたこと、及び自らの前記演出と前記通知をしたゲーム機の前記演出とが終了していないこと、が満たされたときに前記通知をしたゲーム機との間で進行中のゲームに関するデータを送受信しつつ、受信したデータをゲーム内容に反映させる通信ゲームを同時に開始させる通信ゲーム制御手段(91)が設けられていることにより上記課題を解決する。
【0006】
本発明のゲームシステムによれば、通信回線を介して接続されたゲーム機のそれぞれで、プレイヤーによりゲームが興じられ、いずれかのゲーム機にて物理的抽選手段のゲーム開始条件が成立すると他のゲーム機に対してゲーム開始通知手段による通知がなされる。そして、自らのゲーム開始条件が成立し、他のゲーム機からゲーム開始条件の通知を受け、さらに、それらのゲーム機のそれぞれでゲーム開始条件の成立に基づいて実行される演出が終了していないことが満たされると、各ゲーム機でゲーム内容を共有する通信ゲームが同時に開始される。ゲームが開始する前の限定された時期にゲーム開始条件が成立したゲーム機間で通信ゲームが開始されるので、各ゲーム機で実行されているゲームの流れを中断することなく通信ゲームを開始することができる。従って、物理的抽選手段を備えたようなゲーム機であっても、他のゲーム機とゲーム内容を共有することができ、ゲームを多様化することができる。
【0007】
本発明のゲームシステムの一形態において、前記通信ゲームが対戦型のゲームであり、前記通知をしたゲーム機との間で送受信されたデータに基づいて、前記物理的抽選手段における所定の項目の優劣を判別する優劣判別手段(91)が設けられていてもよい。この形態によれば、通知をしたゲーム機との間で、競争関係が生じてプレイヤーをゲームに惹き付けることができる。勝者には配当や特典を付与すれば、通信ゲームをするためにゲーム継続の動機付けともなる。
【0008】
本発明のゲームシステムの一形態において、前記ゲーム制御手段には、前記通信ゲームを開始する前に実行される演出の期間を調整する演出調整手段(91)が設けられていてもよい。通信ゲーム成立のタイミングによっては、ゲーム開始条件の成立に基づく演出の終了間際のこともあり、この場合、そのゲーム機での演出期間が長くなってプレイヤーを飽きさせるおそれも生じるため、演出期間を適宜調整することにより、プレイヤーをゲームに惹き付けることができる。
【0009】
本発明のゲームシステムの一形態において、前記物理的抽選手段には、ゲーム領域(A1)内を移動する前記遊技体としてのボール(B2)が接触することを前記入賞条件とし、前記配当を発生させるバンパー(42)が設けられていてもよい。この形態によれば、バンパーにボールが接触することにより配当が発生するいわゆるピンボールゲームの構成においても他のゲーム機との間で、ゲーム内容を共有することができる。このようなゲームにおける所定の項目を競うことで競争関係が生じさせ、プレイヤーに高揚感をもたらしてゲームに惹き付けることができる。
【0010】
本発明のゲームシステムの一形態において、前記ゲーム領域の外周にはボールの移動を妨げる障壁(43)が設けられ、前記障壁の一部にボールを排出する排出口(63a)を有し、前記所定の項目が、前記物理的抽選手段で前記排出口に前記ボールが排出されるまで実行される抽選期間の長さであってもよい。この形態によれば、ゲーム領域にボールが留まる抽選期間の長短によって優劣、つまり勝敗が決定される。従って、プレイヤーを飽きさせず、ゲームに惹き付けることができる。
【0011】
本発明のゲーム機は、遊技体(B2)の物理的動作を利用した抽選を実行し、前記遊技体の動作が所定の入賞条件を満たす毎に所定の配当をユーザーに発生させる物理的抽選手段(BF)を有するゲーム機(G1、G2)であって、前記ゲーム機は、他のゲーム機に対して通信回線を介してデータの送受信が可能であり、前記物理的抽選手段によるゲームを開始するためのゲーム開始条件の成否を判別する条件判別手段(91)と、前記ゲーム開始条件の成立に基づいて所定の演出を実行し、その演出の終了後に前記物理的抽選手段によるゲームを開始するゲーム制御手段(91)と、前記ゲーム開始条件の成立を他のゲーム機に通知するゲーム開始通知手段(91)と、を備え、前記ゲーム制御手段には、自らの前記ゲーム開始条件が成立したこと、他のゲーム機から前記ゲーム開始条件の成立の通知を受けたこと、及び自らの前記演出と前記通知をしたゲーム機の前記演出とが終了していないこと、が満たされたときに前記通知をしたゲーム機との間で進行中のゲームに関するデータを送受信しつつ、受信したデータをゲーム内容に反映させる通信ゲームを同時に開始させる通信ゲーム制御手段(91)が設けられていることにより上記課題を解決する。
【0012】
本発明のゲーム機が通信回線を介してデータの送受信が可能なように複数接続されることにより、本発明のゲームシステムを構成することができる。なお、互いのゲーム機を直接通信回線を介して接続してもよいし、サーバを介して複数のゲーム機を接続してもよい。
【0013】
本発明のゲーム機の一形態において、前記通信ゲームが対戦型のゲームであり、前記ゲーム制御手段には、前記通知をしたゲーム機から受信したデータに基づいて、前記物理的抽選手段における所定の項目の優劣を判別する優劣判別手段(91)が設けられていてもよい。この形態によれば、通知をしたゲーム機との間で、競争関係が生じてプレイヤーをゲームに惹き付けることができる。勝者には配当や特典を付与すれば、通信ゲームをするためにゲーム継続の動機付けともなる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、本発明のゲームシステム及びゲーム機においては、通信回線を介して接続されたゲーム機のそれぞれで、プレイヤーによりゲームが興じられ、いずれかのゲーム機にて物理的抽選手段のゲーム開始条件が成立すると他のゲーム機に対してゲーム開始通知手段による通知がなされる。そして、自らのゲーム開始条件が成立し、他のゲーム機からゲーム開始条件の通知を受け、さらに、それらのゲーム機のそれぞれでゲーム開始条件の成立に基づいて実行される演出が終了していないことが満たされると、各ゲーム機でゲーム内容を共有する通信ゲームが同時に開始される。ゲームが開始する前の限定された時期にゲーム開始条件が成立したゲーム機間で通信ゲームが開始されるので、各ゲーム機で実行されているゲームの流れを中断することなく通信ゲームを開始することができる。従って、物理的抽選手段を備えたようなゲーム機であっても、他のゲーム機とゲーム内容を共有することができ、ゲームを多様化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
図1は、本発明の一形態に係るゲームシステムを示す概略図である。ゲームシステムGSは、同様の構成を有する2台のゲーム機G1、G2を有し、互いのゲーム機G1、G2は通信回線を介して接続されている。各ゲーム機G1、G2は、同一店舗内の近接した位置に配置される。なお、各ゲーム機G1、G2を区別する必要がない場合、参照符号をGで代表して示すことがある。各ゲーム機Gの通信接続方式は、周知の方式を利用してよい。
【0017】
ゲーム機Gの俯瞰図を図2に、ゲームが実行されるプレイフィールドを示す上面図を図3にそれぞれ示す。図2は説明の便宜を図り、ゲーム機Gの上部及び側面部の一部は省略して示す。ゲーム機Gのプレイフィールドは透明板等の隔壁で取り囲まれることにより、外部に対してシールドされている。ゲーム機Gは、遊技媒体としてメダルを利用する、いわゆるメダルゲーム機である。ゲーム機Gは、センターユニットCNと、4台のステーションユニットSTとを有している。ステーションユニットSTは、センターユニットCNを挟んで両側に2台ずつ並んで配置される。ステーションユニットSTでは、メダルを利用したいわゆるプッシャーゲーム、及びそのプッシャーゲームと関連付けられたデジタル抽選ゲームがそれぞれ実行される。センターユニットCNでは、ステーションユニットSTにおけるゲームの結果に関連付けてボーナスゲームが実行される。
【0018】
ステーションユニットSTは、プッシャーゲームが実行されるプッシャーフィールド部PFと、プッシャーフィールド部PFにメダルを供給するメダル投入部1と、プッシャーゲームの結果に応じてプレイヤーにメダルを払い出すメダル払出口2と、ボーナスゲームで使用する操作ボタン3と、ボーナスゲームの結果に応じてメダルをプッシャーフィールド部PFに供給するメダル供給部4と、デジタル抽選ゲームの結果に応じてボールをプッシャーフィールド部PFに供給するボール供給部5と、デジタル抽選ゲーム等を表示する表示部6とを備える。プッシャーフィールド部PFは、メダルを貯留するテーブル7及びプッシャーテーブル8を備える。テーブル7及びプッシャーテーブル8にはメダルが敷き詰められるようにして貯留される。プッシャーテーブル8は、テーブル7上を前後(プレイヤーが位置する側を前方とする、以下同じ。)に往復運動する。メダル投入部1は、プレイヤーがメダルを投入するメダル投入口1aと、投入されたメダルがプッシャーテーブル8へ供給されるようにメダルを案内するレール1bとを有する。メダル投入部1は、メダルの射出方向をプレイヤーが適宜に選択できるように回動自在にゲーム機に設置される。メダル投入部1は、各ステーションユニットSTに2台ずつ設置されるので、1台のステーションユニットSTで2人までのプレイヤーによるプレイが可能である。メダル供給部4は、ゲーム機Gの上部に設けられて、メダルを供給するホッパー(図示せず)と、ホッパーから供給されるメダルを受けるメダル受け部材4bとを有する。ホッパーからメダルが払い出されると、メダルはメダル受け部材4bに落下してプッシャーフィールド部PFに供給される。また、表示部6は、反射鏡で、その上方に設けられた液晶ディスプレイ装置に表示された画面を反射してプレイヤーに対して表示する。この場合、液晶ディスプレイ装置を反対側のステーションユニットSTと共有できる。なお、表示部6が、例えば液晶ディスプレイ装置等の表示装置であってもよい。
【0019】
図4は、プッシャーフィールド部PFを示す斜視図である。プッシャーテーブル8の前方には、プッシャーテーブル8のメダル貯留面8aに連続して傾斜部11が設けられている。傾斜部11には、メダルMの通過を検出する複数のチャンスチェッカー12が設けられている。各チャンスチェッカー12は、メダルMの検出に応じて点灯又は消灯するランプ12aをそれぞれ有する。テーブル7の前方には、テーブル7のメダル貯留面7aに連続して傾斜部13が設けられている。傾斜部13には、メダルMの進入を検知するスタートチェッカー14と、スタートチェッカー14の両側に設けられ、メダルMをスタートチェッカー14へ導く一対のフリッパー15とを備える。スタートチェッカー14は、傾斜部13に設けられた開口部14aへのメダルMの進入を検出する。一対のフリッパー15は、プッシャーゲームやデジタル抽選ゲームの結果に応じて開閉して、スタートチェッカー14へのメダルMの進入しやすさを変化させる。なお、チャンスチェッカー12及びスタートチェッカー14のメダルMの検出には、光電センサ等の周知のセンサ技術を利用してもよい。
【0020】
次に、プッシャーフィールド部PFにおけるメダルMの流れの概略を説明する。プレイヤーによりメダルMがメダル投入口1aに投入されると、メダルMはレール1bに案内されてプッシャーテーブル8のメダル貯留面8aに落下してそこに貯留され、あるいはプッシャーテーブル8からテーブル7に転がり落ちる。プッシャーテーブル8上に貯留されたメダルMの群がプッシャーテーブル8の往復運動によって壁部16と接触して前方に押されることにより、プッシャーテーブル8の前端からメダルMが押し出され、その押し出されたメダルMは傾斜部11を滑り落ちて、いずれかのチャンスチェッカー12を通過してテーブル7に移動してそこに貯留される。
【0021】
各チャンスチェッカー12は、メダルMの通過時に実行されるゲーム内容がそれぞれ設定されてランプ12aによりプレイヤーが認知可能に表示される。チャンスチェッカー12の設定によっては、フリッパー15が開閉する。テーブル7上に貯留されたメダルMの群がプッシャーテーブル8の往復運動によって前方に押されることによりテーブル7の前端からメダルMが押し出され、傾斜部13を滑り落ちて落下する。落下したメダルMは、図示しないカウントホッパーを経由してメダル払出口2よりプレイヤーに払い出される。
【0022】
テーブル7の前端から押し出されたメダルMがスタートチェッカー14に進入して検出されると、第1デジタル抽選ゲームが開始される。第1デジタル抽選ゲームは表示部6上に横一列に並べて表示される3つの図柄(絵柄、記号、数字等)の組み合わせが所定の当り役に合致するか否かを競うスロットゲームの一種である。第1デジタル抽選ゲームは、メダルMが検出されたチャンスチェッカー12の設定に応じて抽選の条件を変更するようにチャンスチェッカー12と連動する。また、第1デジタル抽選ゲーム中にフリッパー15と連動させるような演出をしてもよい。抽選の結果、所定の当り役が形成されてプレイヤーに配当が発生すると、その配当は表示部6の上部に設けられた払出部17から払い出される。払い出されたメダルMは表示部6上を転がり落ちてプッシャーテーブル8上に落下する。
【0023】
この第1デジタル抽選ゲームの当り役の一つとして「ボール」が用意されている。例えば、ボールの絵柄が3つ揃った場合に「ボール」の役に当選する。この役に当選した場合、ボール供給部5からボールB1がテーブル7に供給される。このボールB1は、例えば樹脂等で形成される。複数の色で色分けされていてもよい。また、第1デジタル抽選ゲームの当り役の一つとして「ダイレクトボーナスゲーム」を用意してもよい。例えば、アルファベットのDの文字が3つ揃った場合に「ダイレクトボーナスゲーム」の役に当選する。この役に当選した場合、センターユニットCNにてボーナスゲームが開始される。
【0024】
テーブル7上に供給されたボールB1は、プッシャーテーブル8の往復運動によってメダルMとともにテーブル7の前方に向かって徐々に押し出される。ボールB1がテーブル7の前端から落下すると、その落下したボールB1は傾斜部13を転がり落ちる。転がり落ちたボールB1がボールチェッカー18(図6参照)により検出されると、第2デジタル抽選ゲームが開始される。第2デジタル抽選ゲームは、表示部6上に各種の当り役が円周方向に配置された円板が表示されて回転し、所定の位置に停止する当り役を競うルーレットゲームの一種である。得られた役に応じて所定の配当をプレイヤーに付与する場合には、その配当は払出部17から払い出される。また、当り役には、後述する「協力ゲーム」及び通信ゲームとしての「対戦ゲーム」が含まれている。なお、ボールチェッカー18は各種光電センサ、近接センサといった周知の技術を利用してもよい。転がり落ちたボールB1は検出結果に基づいてカウントされ、所定の数に達するとセンターユニットCNでのボーナスゲームが開始される。転がり落ちたボールB1がスタートチェッカー14に進入した場合にボーナスゲームを開始するようにしてもよい。
【0025】
図5にセンターユニットCNの斜視図を示す。センターユニットCNは、物理的抽選手段としてのボーナスフィールド部BFと、チャンスフィールド部CFとを備える。ボーナスフィールド部BFはボーナスゲームを実行する。チャンスフィールド部CFは、図示の例ではゲーム機Gに対して2つ設けられ、ボーナスゲームの結果に関連付けたチャンスゲームを実行する。センターユニットCNでは、遊技体としてのボールB2を利用する。ボールB2は、金属で形成されている。なお、各チャンスフィールド部CFは同様の構成なので、図5では1つのみを示して説明する。
【0026】
ボーナスフィールド部BFには、ボールB2を投入するボール投入部21と、ボール投入部21から投入されたボールB2の物理的動作により入賞の機会が発生可能なボーナスゲーム領域A1と、ボーナスゲーム領域A1からボールB2が排出されて貯留されるアウトゾーンA2と、ボーナスフィールド部BFからチャンスフィールド部CFへボールB2を運搬するボール運搬機構22とが設けられている。
【0027】
ボーナスゲーム領域A1には、すり鉢状のボーナスゲーム盤面41と、ボーナスゲーム盤面41に設けられてボールB2を弾くバンパー42と、ボーナスゲーム盤面41の外周を囲むフェンス43とが設けられている。ボーナスゲーム盤面41は、中央に設けられて回転駆動する回転盤41a(図3参照)と、回転盤41aの周りに配置される複数の凸部41bとを有する。回転盤41aは、所定の回転速度で回転して、接触したボールB2の移動方向を変化させる。回転盤41aの表面に土手を設けてもよい。例えば、S字状の土手41cを設けることで、回転盤41aに接触するボールB2の移動方向が回転盤41aの回転のタイミングに応じて変化する。凸部41bは、図示の例では4つ設けられ、半楕円体形状である。凸部41bは、接触したボールB2の移動方向を変化させる。バンパー42は、いわゆるサンパーバンパーと呼ばれるもので、接触したボールB2を検出して弾き返すボール検出部42aと、ボールB2を検出したことを表示するランプ42bとを備える。ボール検出部42aは、その下側のリングでボールB2を検出し、上側のリングでボールB2を弾くような機構を有する。ボール検出部42a及びランプ42bは、公知技術を利用して構成してよい。
【0028】
フェンス43は、ボールB2のボーナスゲーム領域A1からの逸脱を防止する壁で、ボーナスゲーム盤面41の外周の一部に設けられる。フェンス43は、樹脂やゴム、金属等で形成されて衝突したボールB2を跳ね返す。なお、フェンス43は、跳ね返すような壁の他に、例えば傾斜のきつい斜面でもよい。ボールB2が外側に向かっても重力で加速されて再び中心側へ戻る。フェンス43は、ボールB2がボーナスゲーム盤面41の中心側へ再び戻るような構成であればいずれの構成でもよい。
【0029】
アウトゾーンA2は、ボーナスゲーム盤面41の外周に隣接して設けられる。図示の例では、ボーナスゲーム盤面41の中心を挟んで両側に一つずつ設けられる。アウトゾーンA2には、アウトゾーンA2に対して出没可能でボーナスゲーム領域A1からのボールB2の排出を防ぐアウトブロッカー61と、排出されたボールを貯留するボール貯留部62とが設けられている。アウトブロッカー61は、ボーナスゲーム領域A1との境界付近に設置される。アウトブロッカー61は、ボールB2の排出を妨害するブロック板63を有する。ブロック板63は、フェンス43が設けられていない排出口63aに設けられ、アウトゾーンA2のボール移動面に対して上下方向に出没する。ブロック板63の駆動には、公知技術を適用してよい。ブロック板63には、ブロック板63にボールB2が衝突したことを検出する図示しないブロックセンサが設けられている。ブロックセンサには、リミットスイッチ等の公知技術が利用される。ボール貯留部62は、アウトブロッカー63が没していることにより、移動を妨害されずに通過したボールB2が貯留する。ボール投入部21に隣接してボール貯留部62が設けられる。貯留したボールB2がボール投入部21に導かれるように、ボール貯留部62は構成される。
【0030】
ボール運搬機構22は、ボーナスゲーム盤面41の外周に隣接して設けられる。ボール運搬機構22は、ボールB2が落下可能な落下穴71と、落下したボールB2をチャンスフィールド部CFに運搬する運搬棒72とを備える。落下穴71は、ボーナスゲーム盤面41のボール移動面と連続した面に設けられ、ボーナスゲーム領域A1から移動してきたボールB2が落下可能である。落下穴71は、ボールB2が落下したことを検出する図示しない落下センサを有する。落下センサは、例えば光電センサ等の各種周知のセンサ技術を利用してもよい。運搬棒72は、上下方向に駆動して落下穴71に対して出没する。運搬棒72は、落下穴71よりも下側に位置するときに落下するボールB2を待ち受け、落下センサの検出信号の出力に基づいて上方向に駆動してチャンスフィールド部CFにボールB2を運搬する。運搬棒72のボール運搬面72aはチャンスフィールド部CF側が低くなるように斜めにカットされている。ボールB2は、チャンスフィールド部CF側に運搬棒72に沿って設けられたボール支持部材72bにより支持されつつ、安定してボール運搬面72aに載置されて運搬される。ボール運搬機構22には、運搬棒72を上下方向に駆動する図示しない駆動機構が設けられている。駆動機構については、公知技術を利用してよい。
【0031】
チャンスフィールド部CFの構成を説明する。チャンスフィールド部CFは、回転可能なチャンスゲーム盤面81及びチャンスゲーム盤面81の中央付近に設けられた複数の抽選穴82を備える。チャンスゲーム盤面81は、中央に向かうほど低くなるような斜面が形成され、図示しないモータ等により回転駆動される。抽選穴82は、ボールB2が落下可能な大きさの穴で、落下したボールB2を検出する抽選穴センサ82aを有する。抽選穴センサ82aは、光電センサ等、各種周知のセンサ技術を利用してもよい。ボールB2が落下した抽選穴82の設定に応じて、ゲーム内容が変化する。
【0032】
次に、センターユニットCNにおけるボールB2の流れの概略を説明する。なお、以下の説明では、第2デジタル抽選ゲームで「フィーバーアイテム」が獲得されていない通常のボーナスゲームとして説明する。ボーナスゲームが開始されると、ボール貯留部62からボール投入部21にボールB2が供給される。プレイヤーにより操作ボタン3が押されると、ボール投入部21により1個のボールB2がボーナスゲーム領域A1に投入される。投入されたボールB2はボーナスゲーム盤面41内を回転盤41aや凸部41bに接触して移動方向を変化させながら、バンパー42やフェンス43に接触や衝突を繰り返す。ボールB2がバンパー42に接触すると、プレイヤーへ配当が発生する。所定の枚数のメダルMがメダル供給部4からテーブル7へ供給される。ボーナスゲーム領域A1では、ボールB2が複数回バンパー42に接触することが可能である。
【0033】
ボーナスゲーム開始時には、所定の個数のアウトブロッカー61のブロック板63がボールB2の排出を防止するようにアウトゾーンA2に対して出現している。ブロック板63にボールB2が接触すると、ブロック板63は、アウトゾーンA2に対して没する。このため、アウトゾーンA2に向かうボールB2は、一回目はアウトブロッカー61により、アウトゾーンA2への排出を免れる。しかし、この接触によりブロック板63が没するので、ボールB2が二回目にアウトゾーンA2に向かうと、アウトブロッカー61により移動が妨害されずにそのままボール貯留部62へ移動してボーナスゲームが終了する。チャンスゲームへボールB2を導く運搬棒72は、ボーナスゲームの開始時には、ボール運搬面72aがチャンスフィールド部CFの高さまで上昇している。そして、ボールB2がバンパー42に接触することにより所定枚数のメダルMが得られた場合に、チャンスゲームへと移行するための落下穴71が出現するように下降する。このとき、運搬棒72は、ボールB2のバンパー42への接触によるメダルMの獲得数に応じて下降する。例えば、100枚のメダルMの獲得により落下穴71が出現し、かつバンパー42にボールB2が1回接触する毎に2枚のメダルMを獲得するように設定されている場合、ボールB2がバンパー42に1回接触すると運搬棒72のボール運搬面72aが総移動距離の1/50だけ下降する。チャンスゲームへのメダルM獲得の目安が運搬棒72の位置に表されているので、ゲームの目的が明確になり、プレイヤーへのボーナスゲームでメダルMを獲得する動機付けとなる。
【0034】
ボーナスゲーム時に、ボールB2がボール運搬機構22の落下穴71に落下すると、ボールB2は、チャンスフィールド部CFへ運搬されて、チャンスゲームが開始される。チャンスゲームは、ボールB2を利用したいわゆるルーレットゲームである。チャンスゲームでは、運搬されたボールB2がチャンスゲーム盤面81に投入されて、チャンスゲーム盤面81の回転駆動により、旋回しながら中央へ徐々に移動していずれかの抽選穴82に落下する。落下した抽選穴82の設定に応じてゲーム内容が変化する。また、プレイヤーに対して配当を発生させてもよい。抽選穴82に落下したボールB2は、ボール戻り部83から再びボーナスゲーム領域A1に戻り、ボーナスゲームを再開する。抽選穴82に落下したボールB2をボール戻り部83からボーナスゲーム領域A1に戻さず、ボール投入部21からのボールB2の投入によりボーナスゲームを再開させてもよい。なお、設定によりボール運搬機構22の運搬棒72を落下穴71に対して出す高さを状況に応じて変化するようにしてもよい。このようにすれば、落下穴71が出現するまでにボーナスゲームで獲得すべきメダル枚数が変化するので、チャンスゲームへの移行の困難性を調整することができる。これにより、抽選確率の調整が可能となる。
【0035】
ゲームシステムGSの制御系の構成を説明する。図6は、ゲームシステムGSの制御系の構成を示すブロック図である。ゲーム機Gは、所定のゲームを実行するために各種の制御処理を実行する制御ユニット91を備える。制御ユニット91は、マイクロプロセッシングユニット(MPU)と、そのMPUの動作に必要な周辺装置、例えばRAM、ROM等の記憶装置92、とを組み合わせたコンピュータユニットとして構成される。制御ユニット91への入力手段として、チャンスチェッカー12と、スタートチェッカー14と、ボールチェッカー18と、ボール検出部42aと、抽選穴センサ82aと、操作ボタン3とがそれぞれ制御ユニット91と接続されている。制御ユニット91の制御対象として、ボール供給部5と、表示部6と、払出部17と、メダル供給部4と、ボール投入部21と、アウトブロッカー61とがそれぞれ制御ユニット91と接続されている。制御ユニット91は、データの送受信等の通信に関する処理を行うゲーム機通信部93を有する。
【0036】
図7を参照して制御ユニット91が実行する第1デジタル抽選ゲームについて説明する。第1デジタル抽選ゲームは、スタートチェッカー14でメダルMが検出されたことを条件に実行される。制御ユニット91は、まずステップS1でスロット抽選を実行する。3つの図柄はそれぞれ乱数等を利用して決定される。ステップS2にて制御ユニット91は、スロット抽選の結果、「ボール」の当り役が形成されたか否かを判断する。「ボール」の当り役が形成されている場合、制御ユニット91はステップS3へ進んでボール供給部5にボールB1の供給を指示して、今回の処理を終了する。ステップS2で「ボール」の当り役が形成されていない場合、制御ユニット91はステップS4に進んで、「ダイレクトボーナスゲーム」の当り役が形成されたか否かを判断する。「ダイレクトボーナスゲーム」の当り役が形成されている場合、制御ユニット91はステップS5へ進んでボーナスゲーム領域A1でのボーナスゲームの開始を指示して今回の処理を終了する。ステップS4で「ダイレクトボーナスゲーム」の当り役が形成されていない場合、次のステップS6で制御ユニット91はスロット抽選の結果に応じた処理をする。所定の当り役のいずれも形成されなかった場合、制御ユニット91は何も実行せずに今回の処理を終了する。所定の当り役が形成された場合、制御ユニット91は当選した当り役に応じてゲーム内容を変化させて今回の処理を終了する。
【0037】
以上の処理によれば、第1デジタル抽選ゲームの抽選結果に基づいてボーナスゲームに移行する。ボーナスゲームは第1デジタル抽選ゲームでの特典として位置付けられるので、プレイヤーに対して第1デジタル抽選ゲームの遊技への動機付けとなる。
【0038】
図8を参照して制御ユニット91が実行する第2デジタル抽選ゲームについて説明する。第2デジタル抽選ゲームは、ボールチェッカー18でボールB1が検出されたことを条件に実行される。制御ユニット91は、まず、ステップS11でボールB1のカウント数に1を加算する。ボールのカウント数は制御ユニット91の記憶装置92に記憶される。表示部6には、現在のボールB1のカウント数を表示するボールカウント表示部を設けてもよい。続くステップS12で制御ユニット91は、ボールB1のカウント数が3か否かを判別する。本形態では、ボールB1のカウント数が3になるとボーナスゲームへ移行するように設定されている。このため、ボールB1のカウント数が3の場合、制御ユニット91は、ステップS13に進んでボーナスゲームの開始を指示し、かつステップS14でボールB1のカウント数をリセットして今回の処理を終了する。
【0039】
一方、ボールB1のカウント数が3でない、つまり、カウント数が1か2の場合、制御ユニット91は、ステップS15に進んでルーレット抽選を実行する。表示部6では、ルーレット表示部が表示されて所定の演出とともに当り役が配置されたルーレットが回転し、当り役が抽選される。抽選される当り役は、乱数等のコンピュータプログラムを利用して決定される。次のステップS16で制御ユニット91は、抽選された当り役が「協力ゲーム」か否かを判別する。なお、「協力ゲーム」とは、所定の条件を満たした他のゲーム機Gとの間で、ボーナスゲームが同時に開始され、得られる配当が合算されるゲームのことである。詳細については、後述する。
【0040】
当り役が「協力ゲーム」である場合、制御ユニット91はステップS17に進んで、他のゲーム機Gのボーナスゲームが成立するまで、つまり後述するボーナスゲーム成立信号を受信するまで協力ゲーム待機状態となる。そして、今回の処理を終了する。一方、当り役が「協力ゲーム」でない場合、制御ユニット91は次のステップS18に進んで、抽選された当り役が「対戦ゲーム」か否かを判別する。当り役が「対戦ゲーム」である場合、制御ユニット91はステップS19に進んで、他のゲーム機Gのボーナスゲームが成立するまで、つまり後述するボーナスゲーム成立信号を受信するまで対戦ゲーム待機状態となり、今回の処理を終了する。一方、当り役が「対戦ゲーム」でない場合、制御ユニット91はステップS20に進んでルーレット抽選の結果に応じた処理をする。当り役として、例えば、所定枚数のメダルMの払い出しやボーナスゲームを有利に進行する特典等を設けてもよい。制御ユニット91は当選した当り役に応じてゲーム内容を変化させて今回の処理を終了する。
【0041】
以上の処理によれば、第2デジタル抽選ゲームの当り役に「協力ゲーム」及び「対戦ゲーム」を含めたことにより、所定の条件を満たして開始されるボーナスゲームがゲーム内容を共有する通信ゲームとなるので、プレイヤーを飽きさせずにゲームに惹き付けることができる。
【0042】
図9を参照して、制御ユニット91が実行するチャンスゲームについて説明する。チャンスゲームは、ボール運搬機構22の落下センサによりボールB2が検出されて、ボーナスフィールド部BFからチャンスフィールド部CFにボールB2が運搬されたことを条件に実行される。制御ユニット91は、ステップS31でルーレット抽選を実行する。ボールB2がいずれかの抽選穴82に落下して抽選穴センサ82aにより検出される。そして制御ユニット91は、ステップS32でルーレット抽選の結果に応じた処理を実行して今回の処理を終了する。制御ユニット91は、検出された抽選穴センサ82aの設定に基づいてゲーム内容を変更する。入賞の例として、プレイヤーに高配当の期待を抱かせる抽選ゲームや、メダルMの払い出しをしてもよい。また、全ステーションユニットSTのプレイヤーが参加可能なセンターユニットCNでのゲームを実行してもよい。
【0043】
以上の処理によれば、ボーナスゲーム中に、ボーナスゲームとは別のチャンスゲームが開始される。チャンスゲームは、ボーナスゲームでの特典として位置付けられて、プレイヤーにさらなる配当の機会を提供する。これにより、プレイヤーに対してボーナスゲームの遊技への動機付けとなる。
【0044】
各ゲーム機G1、G2において実行される協力ゲーム制御処理を図10を参照して説明する。この協力ゲームは、ゲーム機G1、G2のそれぞれにおいて実行されるボーナスゲームの実行時期が一部重なることを条件として実行される。このため、この協力ゲームを一部協力ゲームと称することがある。ボーナスゲームは、第1デジタル抽選ゲームにおいて「ダイレクトボーナスゲーム」の当り役が形成され、ステップS5にてボーナスゲームが開始されること、あるいは、第2デジタル抽選ゲームにおいてボールB1のカウント数が3になることをゲーム開始条件として実行される。ゲーム機G1にてボーナスゲームが成立すると、ゲーム機G1の制御ユニット91は、ステップS41にてボーナスゲーム待機信号をゲーム機G2に送信する。ゲーム機G1の制御ユニット91は、ステップS42にてボーナスゲーム成立をプレイヤーへ知らせる所定の演出を実行し、その後ステップS43にてボーナスゲームを開始する。一方、ゲーム機G2ではボーナスゲーム待機信号に基づき、ステップS51にて制御ユニット91はボーナスゲーム待機状態となる。信号の送受信には、ゲーム機通信部93が利用される。
【0045】
ボーナスゲーム待機状態の間にゲーム機G2にてボーナスゲームが成立すると、ゲーム機G2の制御ユニット91は、ステップS52にてゲーム機G1に対してボーナスゲーム成立信号を送信するとともに、ステップS53にてゲーム機G1との協力ゲームが開始されることをプレイヤーに知らせるための所定の演出を実行する。ゲーム機G2の表示部6等にて音、光、映像等による演出がなされる。一方、ボーナスゲームが開始されているゲーム機G1では、ボーナスゲーム成立信号に基づき、制御ユニット91は、ステップS44にて実行されているボーナスゲームを協力ゲームへ移行することをプレイヤーへ知らせるための所定の演出を実行する。この演出はボーナスゲームを実行しながらでもよい。
【0046】
各ゲーム機G1、G2の制御ユニット91はそれぞれ所定の演出の後、ステップS45、S54にて、開始タイミングを一致させて協力ゲームを開始する。協力ゲームは、各ゲーム機G1、G2にてそれぞれ実行されるボーナスゲームにてボールB2がバンパー42に接触することにより獲得されるメダルMの枚数を各ゲーム機Gで共有し、チャンスゲームへの移行に必要なメダルMの枚数が合算されるゲームである。これにより、各ゲーム機G1、G2に協力関係が発生して、各ゲーム機Gのプレイヤーに連帯感が生じるとともに、チャンスゲームへ移行するために必要な、つまり、運搬棒72が下降して落下穴71が出現するために必要なメダルMの枚数が合算値となり、チャンスゲームへ移行する確率が高くなる。なお、各ゲーム機Gでの配当は、合算したメダルMの枚数を各プレイヤーに付与してもよいし、各ゲーム機Gにて獲得されたメダルMの枚数をそれぞれのプレイヤーに付与してもよい。協力ゲーム中は、各ゲーム機G1、G2にてゲーム内容を送受信し、受信されたデータをもとに随時表示部6等でゲーム状況が表示、演出される。送受信されるデータには協力ゲーム中に獲得された配当量を示すデータが含まれる。
【0047】
協力ゲームは、いずれか一方のゲーム機Gのボーナスゲームが終了するまで続けられる。 いずれか一方のゲーム機にて、ボールB2がボーナスゲーム領域A1から排出されてボーナスゲームが終了すると、他方のゲーム機では、協力関係が解消されて協力ゲームから通常のボーナスゲームへと実行されるゲームが変更される。例えば、ゲーム機G1にてボーナスゲームが終了すると、ゲーム機G1の制御ユニット91は、ステップS46にてゲーム機G2に対してボーナスゲーム終了信号を送信する。ボーナスゲーム終了信号に基づいてゲーム機G2の制御ユニット91は、ステップS55にて通常のボーナスゲームへとゲームを切り換える。ボーナスゲーム領域A1からボールB2が排出されて、あるいは、チャンスゲームに移行すること等により、ゲーム機G2の制御ユニット91はステップS56にてボーナスゲームを終了する。なお、ステップS45、S54にて協力ゲームが開始して各ゲーム機G1、G2にて獲得されたメダルMの合算値がチャンスゲームへ移行するために必要な枚数、上述の例でいうと100枚のメダルMに到達した場合、各ゲーム機Gの制御ユニット91は、協力ゲームを解消して通常のボーナスゲームへ切り換えてもよいし、あるいは、協力ゲームのままいずれか一方のゲーム機がボーナスゲームを終了するまで獲得されるメダルMの枚数を合算し続けてもよい。なお、ゲーム機G2にて、ボーナスゲーム待機信号を受信してからボーナスゲーム終了信号を受信するまでの間にボーナスゲームが成立しなかった場合、制御ユニット91はボーナスゲーム終了信号の受信をもって協力ゲームのボーナスゲーム待機状態を解除する。
【0048】
次に、図11を参照して、ボーナスゲームの成立時期が各ゲーム機G1、G2において、ボーナスゲームを開始するための演出が終了する前であること条件として実行される対戦ゲームについて説明する。メダルMを所定枚数獲得することを目的とする通常のボーナスゲームや協力ゲームと異なり、対戦ゲームの場合、ボールB2がボーナスゲーム領域A1外へ排出されるまでの滞在時間の長短を競うので、ボーナスゲームが同時に開始されることを必要とする。このため、ボーナスゲームの成立時期が各ゲーム機G1、G2において、ボーナスゲームを開始するための演出が終了する前であることが条件となる。なお、ゲーム開始条件は、上述した協力ゲームで説明したボーナスゲームの開始条件と同様である。ゲーム機G1にてボーナスゲームが成立すると、ゲーム機G1の制御ユニット91は、ステップS61にてボーナスゲーム待機信号をゲーム機G2に送信する。ゲーム機G2の制御ユニット91は、ステップS62にてボーナスゲーム成立をプレイヤーへ知らせる所定の演出を実行する。一方、ゲーム機G2ではボーナスゲーム待機信号に基づき、ステップS71にて制御ユニット91はボーナスゲーム待機状態となる。協力ゲームの場合と同様、信号の送受信にはゲーム機通信部93が利用される。
【0049】
ボーナスゲーム待機状態の間にゲーム機G2にてボーナスゲームが成立すると、ゲーム機G2の制御ユニット91は、ステップS72にてゲーム機G1に対してボーナスゲーム成立信号を送信するとともに、ステップS73にてゲーム機G1との対戦ゲームが開始されることをプレイヤーに知らせるための所定の演出を実行する。一方、ボーナスゲームの成立をプレイヤーへ知らせる演出が実行されているゲーム機G1では、ボーナスゲーム成立信号に基づき、ステップS63にて制御ユニット91が、開始予定のボーナスゲームを対戦ゲームに変更することをプレイヤーへ知らせる所定の演出に切り換える。
【0050】
対戦ゲーム開始のための演出は、対戦ゲームを開始する各ゲーム機Gで調整してもよい。例えば、一方のゲーム機Gでのボーナスゲーム開始間際、つまりボーナスゲーム開始のための演出終了間際に他方のゲーム機Gのボーナスゲームが成立した場合、一方のゲーム機Gの演出が長くなりプレイヤーを飽きさせるおそれがあるため、各ゲーム機Gにて実行される対戦ゲーム開始のための演出を短くしてもよい。このように演出について、予め複数のパターンを用意して、状況に応じた演出をしてもよい。
【0051】
各ゲーム機G1、G2の制御ユニット91はそれぞれ所定の演出の後、ステップS64、S74にて、開始タイミングを一致させて対戦ゲームを開始する。対戦ゲームは、各ゲーム機G1、G2にてそれぞれ同時に実行されるボーナスゲームにてボールB2がボーナスゲーム領域A1外へ排出されるまでの滞在時間の長短を競い、より長い滞在時間を獲得したゲーム機Gのプレイヤーに副賞を与えるものである。副賞として、配当、あるいは、ボーナスゲームやチャンスゲームに有利に作用する特典等が付与される。これにより、ボーナスゲームをできるだけ継続させるという目的が生じ、プレイヤーをゲームに惹き付けることができる。対戦する相手がいるのでゲーム内容にメリハリが生まれ、プレイヤーを飽きさせることなくゲームを継続させることができる。対戦ゲーム中は、各ゲーム機G1、G2にてゲーム内容を送受信し、受信されたデータをもとに随時表示部6等で対戦状況が表示、演出される。
【0052】
いずれか一方のゲーム機にて、ボールB2がボーナスゲーム領域A1から排出されてボーナスゲームが終了すると、所定の演出をしつつ他方のゲーム機のボーナスゲームの終了を待って勝敗の発表及び副賞の付与を所定の演出とともに行う。そして、各ゲーム機G1、G2の制御ユニット91は、ステップS65、S75にて対戦ゲームを終了する。なお、ゲーム機G1にてボーナスゲームが成立してからボーナスゲーム開始時までにゲーム機G2にてボーナスゲームが成立しなかった場合、ゲーム機G1の制御ユニット91はボーナスゲームの開始時にボーナスゲーム待機解除信号を送信する。これにより、ゲーム機G2ではステップS71の対戦ゲームのボーナスゲーム待機状態が解除され、その後にゲーム機G2でボーナスゲームが成立してもゲーム機G1との間で対戦ゲームは開始されない。ボーナスゲーム待機解除信号の送信タイミングは、ボーナスゲーム成立時に限られず、対戦ゲームの開始を許容できる範囲で適宜変更してもよい。
【0053】
なお、対戦ゲーム制御処理において、制御ユニット91が条件判別手段、ゲーム制御手段、ゲーム開始通知手段、通信ゲーム制御手段、及び優劣判別手段として機能する。特に、ステップS61、S72が条件判別手段及びゲーム開始通知手段として機能し、ステップS62〜S64、S73、S74がゲーム制御手段として機能する。ステップS64、S74は通信ゲーム制御手段、優劣判別手段としても機能する。
【0054】
次に、図12を参照して各ゲーム機G1、G2において実行される「協力ゲーム」当り役による協力ゲーム制御処理を説明する。この協力ゲームは、第2デジタル抽選ゲームにおいて「協力ゲーム」当り役が形成されることを条件として実行される。ゲーム機G1において、ステップS81にて第2デジタル抽選ゲームの「協力ゲーム」当り役が形成されると、ゲーム機G1の制御ユニット91は、「協力ゲーム」の当り役成立をプレイヤーに知らせるための演出を実行し、それとともに、ゲーム機G1の制御ユニット91は、ゲーム機G2に対して、協力ゲームのボーナスゲーム待機信号を送信する。そして、ステップS82でゲーム機G2のボーナスゲームが成立するまで協力ゲーム待機状態となる。一方、ボーナスゲーム待機信号に基づいてゲーム機G2の制御ユニット91は、ステップS91にて協力ゲームのボーナスゲーム待機状態となる。ボーナスゲーム待機状態の間にゲーム機G2にてボーナスゲームが成立すると、ステップS92にてゲーム機G2の制御ユニット91は、ゲーム機G1に対してボーナスゲーム成立信号を送信する。そして、ステップS93にてゲーム機G2の制御ユニット91は、ゲーム機G2にてゲーム機G1との協力ゲームが開始されることをプレイヤーに知らせるための演出を実行する。ゲーム機G2の表示部6等にて音、光、映像等による演出がなされる。同様に、ボーナスゲーム成立信号に基づいてゲーム機G1の制御ユニット91は、ステップS83にて協力ゲームが開始されることをプレイヤーに知らせるための演出を実行する。この演出は、ゲーム機G2での演出と同様のものでよい。
【0055】
各ゲーム機G1、G2の制御ユニット91はそれぞれ所定の演出の後、ステップS44、S54にて、開始タイミングを一致させて協力ゲームを開始する。各ゲーム機G1、G2では、上述した協力ゲームが実行され、いずれか一方のゲーム機Gのボーナスゲームが終了するまで続けられる。例えば、ゲーム機G2でボーナスゲームが終了すると、ゲーム機G2の制御ユニット91は、ステップS95にてボーナスゲーム終了信号をゲーム機G1に対して送信する。ボーナスゲーム終了信号に基づき、ゲーム機G1の制御ユニット91は、ステップS85にて通常のボーナスゲームへとゲームを切り換える。そして、ボーナスゲーム領域A1からボールB2が排出されて、あるいは、チャンスゲームに移行すること等により、ゲームG1の制御ユニット91はステップS86にてボーナスゲームを終了する。
【0056】
なお、第2デジタル抽選ゲームにおいて「対戦ゲーム」当り役が形成されることを条件として実行される対戦ゲーム制御処理についても同様に行えばよい。「対戦ゲーム」当り役当選後、対戦ゲームの開始までは、上述した「協力ゲーム」当り役での処理と同様であり、対戦ゲーム開始後は、ステップS64、S74での処理と同様である。
【0057】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、ゲーム機G1、G2を直接接続して通信部93にてボーナスゲーム待機信号、ボーナスゲーム成立信号及びボーナスゲーム終了信号の送受信を行ったが、これに限られない。ゲームシステムGSにサーバを設けることにより、サーバを介して必要な信号の送受信を行ってもよい。サーバに複数台のゲーム機を接続させて通信させてもよい。なお、ゲームシステムGSの通信接続方式は、周知のネットワーク型ゲームシステムにおける方式でよい。本形態では、制御ユニット91が優劣判別手段として機能する例で説明したが、これに限られず、サーバ内に設けられた制御装置を優劣判別手段として機能させてもよい。
【0058】
本形態において、対戦ゲームを各ゲーム機G1、G2にてそれぞれ同時に実行されるボーナスゲームでボールB2がボーナスゲーム領域A1外へ排出されるまでの滞在時間の長短を競うものとして説明したが、これに限られない。例えば、対戦ゲームとして各ゲーム機G1、G2にてそれぞれ実行されるボーナスゲームにてボールB2がバンパー42に接触することにより獲得されるメダルMの枚数を各ゲーム機G1、G2で競い、より多くのメダルMの枚数を獲得したゲーム機のプレイヤーに副賞を与えてもよい。その他、比較できる項目であれば対戦ゲームの対象としてよい。また、図10、図11で説明した処理について、協力ゲームと対戦ゲームのいずれかを開始するかについては、適宜設定してよい。通信ゲームを行うそれぞれのゲーム機でのボーナスゲームの成立のタイミングで決定してもよいし、ボーナスゲームの成立演出期間中に互いのゲーム機G1、G2のボーナスゲームが成立したのであれば、協力ゲーム及び対戦ゲームのいずれのゲームも開始可能であるので、プレイヤーが選択できるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の一形態に係るゲームシステムを示す概略図。
【図2】ゲーム機を示す俯瞰図。
【図3】ゲームが実行されるプレイフィールドを示す上面図。
【図4】プッシャーフィールド部を示す斜視図。
【図5】センターユニットを示す斜視図。
【図6】ゲーム機の制御系の構成を示すブロック図。
【図7】制御ユニットが実行する第1デジタル抽選ゲームを示すフローチャート。
【図8】制御ユニットが実行する第2デジタル抽選ゲームを示すフローチャート。
【図9】制御ユニットが実行するチャンスゲームを示すフローチャート。
【図10】協力ゲーム制御処理についてのシーケンス図。
【図11】対戦ゲーム制御処理についてのシーケンス図。
【図12】第2デジタル抽選ゲームにおいて「協力ゲーム」当り役が形成されたときに実行される処理についてのシーケンス図。
【符号の説明】
【0060】
91 制御ユニット(条件判別手段、ゲーム制御手段、ゲーム開始通知手段、通信ゲーム制御手段、優劣判別手段)
B2 ボール(遊技体)
BF ボーナスフィールド部(物理的抽選手段)
G1、G2 ゲーム機
GS ゲームシステム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技体の物理的動作を利用した抽選を実行し、前記遊技体の動作が所定の入賞条件を満たす毎に所定の配当をユーザーに発生させる物理的抽選手段をそれぞれ有する複数のゲーム機が通信回線を介してデータを送受信可能に接続されたゲームシステムであって、
各ゲーム機には、
前記物理的抽選手段によるゲームを開始するためのゲーム開始条件の成否を判別する条件判別手段と、
前記ゲーム開始条件の成立に基づいて所定の演出を実行し、その演出の終了後に前記物理的抽選手段によるゲームを開始するゲーム制御手段と、
前記ゲーム開始条件の成立を他のゲーム機に通知するゲーム開始通知手段と、
が設けられ、
前記ゲーム制御手段には、自らの前記ゲーム開始条件が成立したこと、他のゲーム機から前記ゲーム開始条件の成立の通知を受けたこと、及び自らの前記演出と前記通知をしたゲーム機の前記演出とが終了していないこと、が満たされたときに前記通知をしたゲーム機との間で進行中のゲームに関するデータを送受信しつつ、受信したデータをゲーム内容に反映させる通信ゲームを同時に開始させる通信ゲーム制御手段が設けられているゲームシステム。
【請求項2】
前記通信ゲームが対戦型のゲームであり、前記通知をしたゲーム機との間で送受信されたデータに基づいて、前記物理的抽選手段における所定の項目の優劣を判別する優劣判別手段が設けられている請求項1に記載のゲームシステム。
【請求項3】
前記ゲーム制御手段には、前記通信ゲームを開始する前に実行される演出の期間を調整する演出調整手段が設けられている請求項1又は2に記載のゲームシステム。
【請求項4】
前記物理的抽選手段には、ゲーム領域内を移動する前記遊技体としてのボールが接触することを前記入賞条件とし、前記配当を発生させるバンパーが設けられている請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲームシステム。
【請求項5】
前記ゲーム領域の外周にはボールの移動を妨げる障壁が設けられ、前記障壁の一部にボールを排出する排出口を有し、
前記所定の項目が、前記物理的抽選手段で前記排出口に前記ボールが排出されるまで実行される抽選期間の長さである請求項4に記載のゲームシステム。
【請求項6】
遊技体の物理的動作を利用した抽選を実行し、前記遊技体の動作が所定の入賞条件を満たす毎に所定の配当をユーザーに発生させる物理的抽選手段を有するゲーム機であって、
前記ゲーム機は、他のゲーム機に対して通信回線を介してデータの送受信が可能であり、
前記物理的抽選手段によるゲームを開始するためのゲーム開始条件の成否を判別する条件判別手段と、
前記ゲーム開始条件の成立に基づいて所定の演出を実行し、その演出の終了後に前記物理的抽選手段によるゲームを開始するゲーム制御手段と、
前記ゲーム開始条件の成立を他のゲーム機に通知するゲーム開始通知手段と、
を備え、
前記ゲーム制御手段には、自らの前記ゲーム開始条件が成立したこと、他のゲーム機から前記ゲーム開始条件の成立の通知を受けたこと、及び自らの前記演出と前記通知をしたゲーム機の前記演出とが終了していないこと、が満たされたときに前記通知をしたゲーム機との間で進行中のゲームに関するデータを送受信しつつ、受信したデータをゲーム内容に反映させる通信ゲームを同時に開始させる通信ゲーム制御手段が設けられているゲーム機。
【請求項7】
前記通信ゲームが対戦型のゲームであり、前記ゲーム制御手段には、前記通知をしたゲーム機から受信したデータに基づいて、前記物理的抽選手段における所定の項目の優劣を判別する優劣判別手段が設けられている請求項6に記載のゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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