説明

ゲームプログラムおよびゲーム装置

【課題】2つの表示画面領域に表示された画像を見比べながらプレイする必要がある、従来にない斬新で興趣性の高いゲームを実現すること。
【解決手段】上画面11と下画面12の2つの表示画面のうち、上画面11にはゲーム世界が表示される。ただし、上画面にはプレイヤキャラクタ40がそれを掴んで移動することのできる取っ手は表示されない。一方、下画面12には、上画面11に表示されているゲーム世界における取っ手パネルの位置を示す取っ手パネル画像44が表示される。上画面11と下画面12は対応しており、プレイヤは下画面12の取っ手パネル画像44の表示位置を頼りに、上画面11における取っ手の配置位置を判断して、取っ手を利用してプレイヤキャラクタ40を目標物42まで誘導する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はゲームプログラムおよびゲーム装置に関し、特に2つの表示画面領域を利用して遊ぶゲームのためのゲームプログラムおよびゲーム装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つの表示画面領域を利用して遊ぶゲームとして特許文献1に記載のゲームがある。このゲームでは、プレイヤは同一のゲーム世界の広範囲と狭範囲の2種類のマップを見比べながらゲームをプレイする。これにより、プレイヤは目的に応じて2種類のマップのうちの適当な方を適宜に参照することで、ゲーム世界の様子を簡単に把握することができる。
【特許文献1】特開2005−168764号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記の特許文献1に記載のゲームでは、2種類のマップのうちのいずれか一方しか見なくても特に問題なくゲームをプレイすることができるため、2種類のマップを見比べながらゲームをプレイする必然性が低く、ゲームとしての斬新さや興趣性に欠ける。
【0004】
それゆえに、本発明は、2つの表示画面領域に表示された画像を見比べながらプレイする必要がある、従来にない斬新で興趣性の高いゲームを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明は以下の構成を採用した。なお、括弧内の参照符号および図番号は本発明の理解を助けるために図面との対応関係の一例を示したものであり、本発明の範囲を何ら限定するものではない。
【0006】
本発明のゲームプログラムは、第1表示画面領域(11)、第2表示画面領域(12)および操作手段(14)を備えたゲーム装置(10)のコンピュータ(21)を、前記操作手段を用いてプレイヤによって操作されるゲーム世界のプレイヤキャラクタ(40)を第1表示画面領域に表示する第1表示制御手段(S19)、ゲーム世界における当該プレイヤキャラクタの動作に影響する動作制御領域(43)との衝突判定を行う衝突判定手段(S35)、前記操作手段を通じて入力されるプレイヤの指示と前記衝突判定手段の判定結果とに基づいて、ゲーム世界における前記プレイヤキャラクタの動作を制御する動作制御手段(S36、S37)、および前記第1表示画面領域上の前記動作制御領域が存在している位置に対応する前記第2の表示画面領域上の位置に、前記動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像(44、72、73)を表示する第2表示制御手段(S21)として機能させるためのゲームプログラムである。
【0007】
なお、前記第1表示画面領域および第2表示画面領域は必ずしも2つの独立した表示画面でそれぞれ構成されている必要はなく、一つの表示画面を2分割して得られる2つの画面領域を第1表示画面領域および第2表示画面領域として利用してもよい。
【0008】
なお、少なくとも一つの動作制御領域について、当該動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像が前記第2表示画面領域にのみ表示され、前記第1表示画面領域には表示されないようにしてもよい。
【0009】
また、少なくとも一つの動作制御領域について、当該動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像が前記第2表示画面領域に表示され、前記第1表示画面領域にはその一部が表示されるようにしてもよい。
【0010】
また、前記プレイヤキャラクタが前記第1表示画面領域にのみ表示されてもよい。
【0011】
また、前記動作制御領域が、前記プレイヤキャラクタが掴まることのできる取っ手領域(図7)であってもよい。
【0012】
また、前記動作制御領域が、前記プレイヤキャラクタが通り抜けることのできない障害物領域(図16)であってもよい。
【0013】
また、前記動作制御領域が、前記プレイヤキャラクタを所定方向に移動させる移動制御領域(図17)であり、前記動作制御領域画像は、前記移動制御領域によって前記プレイヤキャラクタが移動される方向を示す方向表示(73)を含んでもよい。
【0014】
また、前記第2表示制御手段は、前記プレイヤキャラクタの移動軌跡を示す移動軌跡画像(45)を前記第2表示画面領域にさらに表示してもよい。これにより、第1表示画面領域に表示されているゲーム画像と第2表示画面領域に表示されている動作制御領域画像との対応関係がより分かりやすくなり、操作性が向上する。
【0015】
また、前記第2表示制御手段は、前記移動軌跡画像を時間の経過又は表示されている移動軌跡画像の個数に応じて前記第2表示画面領域から消去してもよい。これにより、表示画面に移動軌跡画像が無制限に表示されて動作制御領域画像の視認性が低下してしまうことを防止することができる。
【0016】
また、前記ゲームプログラムは、前記第1表示画面領域に表示されるゲーム画像に連動して前記第2表示画面領域に表示されている前記動作制御領域画像をスクロールするスクロール制御手段(21、S18)として前記コンピュータをさらに機能させてもよい(図12)。
【0017】
本発明のゲーム装置は、第1表示画面領域(11)、第2表示画面領域(12)、操作手段(14)、前記操作手段を用いてプレイヤによって操作されるゲーム世界のプレイヤキャラクタ(40)と、ゲーム世界における当該プレイヤキャラクタの動作に影響する動作制御領域(43)との衝突判定を行う衝突判定手段(21、S35)、前記操作手段を通じて入力されるプレイヤの指示と前記衝突判定手段の判定結果とに基づいて、ゲーム世界における前記プレイヤキャラクタの動作を制御する動作制御手段(21、S36、S37)、前記動作制御手段による制御を反映したゲーム画像を前記第1表示画面領域に表示する第1表示制御手段(21、S19)、および前記第1表示画面領域上の前記動作制御領域が存在している位置に対応する前記第2の表示画面領域上の位置に、前記動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像(44、72、73)を表示する第2表示制御手段(21、S21)を備えたゲーム装置である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、第2ゲーム画面に表示された所定のオブジェクトの位置を確認しながら、第1ゲーム画面内のキャラクタを当該オブジェクトの存在する位置に移動させる必要がある。そのため、2種類のマップを見比べながらゲームをプレイする必要があり、従来にない斬新で興趣性の高いゲームを実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の構成および動作を説明する。
【0020】
図1は、本発明の一実施形態に係るゲーム装置の外観図である。図1において、ゲーム装置10は、第1のLCD(Liquid Crystal Display:液晶表示装置)11および第2のLCD12を含む。ハウジング13は上側ハウジング13aと下側ハウジング13bとによって構成されており、第1のLCD11は上側ハウジング13aに収納され、第2のLCD12は下側ハウジング13bに収納される。第1のLCD11および第2のLCD12の解像度はいずれも256dot×192dotである。なお、本実施形態では表示装置としてLCDを用いているが、例えばEL(Electro Luminescence:電界発光)を利用した表示装置など、他の任意の表示装置を利用することができる。また任意の解像度のものを利用することができる。
【0021】
上側ハウジング13aには、後述する1対のスピーカ(図2の30a、30b)からの音を外部に放出するための音抜き孔18a、18bが形成されている。
【0022】
下側ハウジング13bには、入力装置として、十字スイッチ14a、スタートスイッチ14b、セレクトスイッチ14c、Aボタン14d、Bボタン14e、Xボタン14f、Yボタン14g、Lボタン14LおよびRボタン14Rが設けられている。また、さらなる入力装置として、第2のLCD12の画面上にタッチパネル15が装着されている。また、下側ハウジング13bには、電源スイッチ19、メモリカード17を収納するための挿入口、スティック16を収納するための挿入口、マイク用孔が設けられている。
【0023】
タッチパネル15としては、例えば抵抗膜方式や光学式(赤外線方式)や静電容量結合式など、任意の方式のものを利用することができる。タッチパネル15は、その表面をスティック16で触れると、その接触位置に対応する座標データを出力する機能を有している。なお、以下ではプレイヤがタッチパネル15をスティック16で操作するものとして説明を行うが、スティック16の代わりにペン(スタイラスペン)や指でタッチパネル15を操作することももちろん可能である。本実施形態では、タッチパネル15として、第2のLCD12の解像度と同じく256dot×192dotの解像度(検出精度)のものを利用する。ただし、必ずしもタッチパネル15の解像度と第2のLCD12の解像度が一致している必要はない。
【0024】
メモリカード17はゲームプログラムを記録した記録媒体であり、下部ハウジング13bに設けられた挿入口に着脱自在に装着される。
【0025】
次に、図2を参照してゲーム装置10の内部構成を説明する。
【0026】
図2において、ハウジング13に収納される電子回路基板20には、CPUコア21が実装される。CPUコア21には、バス22を介して、コネクタ23が接続されるとともに、入出力インターフェース回路(図面ではI/F回路と記す)25、第1GPU(Graphics Processing Unit)26、第2GPU27、RAM24、およびLCDコントローラ31が接続される。コネクタ23には、メモリカード17が着脱自在に接続される。メモリカード17は、ゲームプログラムを記憶するROM17aと、バックアップデータを書き換え可能に記憶するRAM17bを搭載する。メモリカード17のROM17aに記憶されたゲームプログラムはRAM24にロードされ、RAM24にロードされたゲームプログラムがCPUコア21によって実行される。RAM24には、ゲームプログラムの他にも、CPUコア21がゲームプログラムを実行して得られる一時的なデータや、ゲーム画像を生成するためのデータが記憶される。I/F回路25には、タッチパネル15、右スピーカ30a、左スピーカ30b、図1の十字スイッチ14aやAボタン14d等から成る操作スイッチ部14、およびマイク33が接続される。右スピーカ30aと左スピーカ30bは、音抜き孔18a、18bの内側にそれぞれ配置される。マイク33は、下部ハウジング13bに設けられたマイク用孔の内側に配置される。
【0027】
第1GPU26には、第1VRAM(Video RAM)28が接続され、第2GPU27には、第2VRAM29が接続される。第1GPU26は、CPUコア21からの指示に応じて、RAM24に記憶されているゲーム画像を生成するためのデータに基づいて第1のゲーム画像を生成し、第1VRAM28に描画する。第2GPU27は、同様にCPUコア21からの指示に応じて第2のゲーム画像を生成し、第2VRAM29に描画する。第1VRAM28および第2VRAM29はLCDコントローラ31に接続されている。
【0028】
LCDコントローラ31はレジスタ32を含む。レジスタ32はCPUコア21からの指示に応じて0または1の値を記憶する。LCDコントローラ31は、レジスタ32の値が0の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第1のLCD11に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第2のLCD12に出力する。また、レジスタ32の値が1の場合は、第1VRAM28に描画された第1のゲーム画像を第2のLCD12に出力し、第2VRAM29に描画された第2のゲーム画像を第1のLCD11に出力する。
【0029】
なお、上記のようなゲーム装置10の構成は単なる一例に過ぎず、本発明は、操作手段と少なくとも1つの表示装置を有する任意のコンピュータシステムに適用することができる。また、本発明のゲームプログラムは、メモリカード17などの外部記憶媒体を通じてコンピュータシステムに供給されるだけでなく、有線または無線の通信回線を通じてコンピュータシステムに供給されてもよいし、さらにはコンピュータシステム内部の不揮発性記憶装置に予め記録されていてもよい。
【0030】
以下、図3〜図10のゲーム画面例を参照しながら、ゲーム装置10によって実行されるビデオゲームの一例を説明する。なお以下の説明では、説明を分かりやすくするために第1LCD11の表示画面を単に上画面11、第2LCD12の表示画面を単に下画面12とそれぞれ称することとする。
【0031】
図3は、ゲーム世界の様子を示している。ゲーム世界には、プレイヤによって操作されるプレイヤキャラクタ40、プレイヤキャラクタ40が掴まることのできる取っ手が取り付けられた取っ手パネル41、および目標物42が配置されている。プレイヤに課せられた課題は、プレイヤキャラクタ40を目標物42まで誘導することである。
【0032】
プレイヤキャラクタ40が地上にいる状態では、プレイヤは、Lボタン14Lを押すことによってプレイヤキャラクタ40を画面左方向に歩行させることができる。また、Rボタン14Rを押すことによってプレイヤキャラクタ40を画面右方向に歩行させることができる。また、Lボタン14LとRボタン14Rを同時に押すことによってプレイヤキャラクタ40をジャンプさせることができる。
【0033】
プレイヤキャラクタ40が空中にいる状態では、プレイヤは、Lボタン14Lを押すことによってプレイヤキャラクタ40に、左手で取っ手パネル41上の取っ手を掴ませることができる。ただしこれは、プレイヤがLボタン14Lを押したときにプレイヤキャラクタ40の左手近傍に取っ手が存在する場合に限られる。こうして取っ手を掴んだプレイヤキャラクタ40は、プレイヤがLボタン14Lを解放するまでその取っ手を握り続け、その間、プレイヤキャラクタ40はその取っ手を中心として反時計回りに回転運動を行う。
【0034】
同様に、プレイヤキャラクタ40が空中にいる状態で、プレイヤは、Rボタン14Rを押すことによってプレイヤキャラクタ40に、右手で取っ手パネル41上の取っ手を掴ませることができる。ただしこれは、プレイヤがRボタン14Rを押したときにプレイヤキャラクタ40の右手近傍に取っ手が存在する場合に限られる。こうして取っ手を掴んだプレイヤキャラクタ40は、プレイヤがRボタン14Rを解放するまでその取っ手を握り続け、その間、プレイヤキャラクタ40はその取っ手を中心として時計回りに回転運動を行う。
【0035】
図4は、図3のプレイヤキャラクタ40がジャンプ後に取っ手H1を右手で掴んだときのプレイヤキャラクタ40の動きを示している。
【0036】
プレイヤキャラクタ40が回転運動をしているときにプレイヤがそれまで押していたボタン(Lボタン14LまたはRボタン14R)を解放すると、プレイヤキャラクタ40は取っ手を離し、その結果、ボタンが解放された時点で頭部が向いていた方向に向かって飛び出し、その後は重力の影響を受けて放物線を描くように空中を移動する。
【0037】
図5は、図4のプレイヤキャラクタ40が取っ手H1を離してから(すなわちプレイヤがRボタン14Rを離してから)、別の取っ手H2を掴むまで(すなわちプレイヤがLボタン14Lを押すまで)のプレイヤキャラクタ40の動きを示している。取っ手H2を左手で掴んだプレイヤキャラクタ40は、プレイヤがLボタン14Lを押し続けている間、図6に示すように取っ手H2を中心として反時計回りに回転運動を行う。
【0038】
この後、同様にしてプレイヤは、プレイヤキャラクタ40を例えば図6の取っ手H3まで誘導し、さらに目標物42へと誘導する。
【0039】
以上のように、プレイヤはLボタン14LおよびRボタン14Rを使って、ある取っ手から別の取っ手へと飛び移るようにプレイヤキャラクタ40を移動させ、最終的に目標物42へと誘導する。ただし、これから説明するように本実施形態では取っ手パネル44の表示方法が特殊であるため、プレイヤは上画面11と下画面12を見比べながらプレイヤキャラクタ40の移動制御を行う必要がある。
【0040】
図7は、ゲーム開始直後の上画面11と下画面12の表示画像を示している。上画面11にはゲーム世界が表示されている。ただし、上画面11に表示されるのは背景とプレイヤキャラクタ40と目標物42だけであり、図3〜図6の取っ手パネル41は表示されない。一方、下画面12には、上画面11に表示されているゲーム世界における取っ手パネル41の位置を示す取っ手パネル画像44が表示されている。上画面11と下画面12は対応しており、プレイヤは下画面12の取っ手パネル画像44の表示位置を頼りに、上画面11における取っ手パネル41の配置位置を判断することになる。なお、図7の波線の円は、ゲーム世界においてプレイヤキャラクタの動作に影響を与える領域である動作制御領域43を示しており、ここでは取っ手パネル41上の取っ手の衝突判定領域(プレイヤキャラクタ40の右手または左手が取っ手を掴んだかどうかを判定する際に用いられる領域)に対応しており、画面には表示されていない。
【0041】
図8は、図4の状況に対応する上画面11および下画面12の表示画像を示している。プレイヤキャラクタ40が取っ手(不可視)を掴むと、取っ手を掴んだ手の種別(右手か左手か)、手の位置、手の方向に応じて、下画面12に手形画像45が表示される。この手形画像45は、表示されてから一定時間(例えば15秒間)が経過すると消去される。プレイヤは、この手形画像45を参照することで、プレイヤキャラクタ40がどの取っ手を掴んでいるのかを把握することができる。
【0042】
図9は、図6の状況に対応する上画面11および下画面12の表示画像を示している。プレイヤキャラクタ40が新たな取っ手を掴んだことに応じて、下画面12に新たな手形画像45が表示されている。
【0043】
図10は、図6に示した取っ手H3から目標物42に向かって移動しているときの上画面11および下画面12の表示画像を示している。ここでは、プレイヤキャラクタ40の移動に伴って、上画面11に表示されるゲーム画像(背景および目標物42)が図9と比較して画面左下方向にスクロールしているが、このとき、下画面に表示されるゲーム画像(取っ手パネル画像44および手形画像45)もそれに連動して画面左下方向にスクロールしている。これにより、上画面11における取っ手パネル41(不可視)の位置と下画面12における取っ手パネル画像41の位置の整合性が常に保たれることになる。
【0044】
以下、上記のようなゲームを実行するゲーム装置10の動作について説明する。
【0045】
図11は、RAM24のメモリマップである。RAM24には、ゲームプログラム50、プレイヤキャラクタ40および目標物42などのゲーム世界におけるオブジェクトの画像データであるオブジェクト画像データ51、上画面11に表示される背景を表す背景画像データ52、下画面12に表示される画像を表す下画面画像データ53、下画面12に表示される手形画像45を表す手形画像データ54、ゲーム世界における動作制御領域(図7の取っ手の衝突判定領域)の配置位置を表す動作制御領域位置上方55、ゲーム世界におけるプレイヤキャラクタ40の位置を示すプレイヤキャラクタ位置情報56、プレイヤキャラクタ40の表示角度(地上で静止している状態を基準とした回転角度であって、頭部の向きと言い換えることもできる)を示すプレイヤキャラクタ角度上方57、プレイヤキャラクタ40の現在の状態(取っ手を掴んでいる状態かどうかなど)を示すプレイヤキャラクタ状態情報58、プレイヤキャラクタ40の移動軌跡としての手形の位置等の情報である移動軌跡情報59、および上画面11に表示されるゲーム世界の範囲を示す現在表示エリア情報60が記憶される。
【0046】
図12は、背景画像データ52と下画面画像データ53の一例を示している。なお、図12は背景画像データ53と下画面画像データ54が1枚の画像として用意されている例を示しているが、本発明はこれに限らず、背景画像データ53と下画面画像データ54が独立した画像として用意されていてももちろん構わない。なお、図12における領域70および領域71は、図10の状況において上画面11に表示されている領域(上画面表示エリア)および下画面11に表示されている領域(下画面表示エリア)をそれぞれ示している。上画面表示エリア70の左上角の座標(x1,y1)は、現在表示エリア情報60としてRAM24に記憶されており、下画面表示エリア71の左上角の座標は、一定のオフセット値aを用いて(x1+a,y1)と表される。
【0047】
図13は、RAM24に記憶される移動軌跡情報59の一具体例を示している。移動軌跡情報59は1以上の手形データから成り、各手形データは、手形番号、手形種別、手形位置、手形方向および残り表示時間の情報を含んでいる。手形位置は、例えば下画面画像データ53上の位置として表される。手形方向は、ベクトルデータで表されてもよいし、8方向(上、右上、右、右下、下、左下、左、左上)で表されてもよい。残り表示時間は秒数で表されてもよいし、フレーム数で表されてもよい。
【0048】
以下、図14および図15のフローチャートを参照して、ゲームプログラム50に基づくゲーム装置10のCPUコア21の情報処理の流れを説明する。
【0049】
図14のステップS10で、CPUコア21は、図11に示した各種変数(プレイヤキャラクタ位置情報56、プレイヤキャラクタ角度情報57、プレイヤキャラクタ状態情報58、現在表示エリア情報)に初期値を設定する。
【0050】
ステップS11では、上画面11と下画面12に図7のような初期画像をそれぞれ表示する。
【0051】
ステップS12では、プレイヤキャラクタ位置情報56に基づいて、プレイヤキャラクタ40が空中にいるかどうかを判断し、プレイヤキャラクタ40が空中にいる場合には処理はステップS13に進み、プレイヤキャラクタ40が地上にいる場合には処理はステップS14に進む。
【0052】
ステップS13では、空中処理を行う。この空中処理の詳細については後述する。
【0053】
ステップS14では、Lボタン14LとRボタン14Rが同時に押されたかどうかを判断し、Lボタン14LとRボタン14Rが同時に押された場合には処理はステップS15に進み、Lボタン14LとRボタン14Rが同時に押されていない場合には処理はステップS16に進む。
【0054】
ステップS15では、プレイヤキャラクタ40をジャンプさせる処理(プレイヤキャラクタ位置情報56の更新など)を行う。なお、ここではLボタン14とRボタン14Rが同時に押されたときにプレイヤキャラクタ40をジャンプさせているが、他の例として、Lボタン14とRボタン14Rが同時に押されたときにプレイヤキャラクタ40をしゃがませ、その後Lボタン14とRボタン14Rが解放されたときにプレイヤキャラクタ40をジャンプさせてもよい。
【0055】
ステップS16では、Lボタン14LかRボタン14Rが押されたかどうかを判断し、Lボタン14LかRボタン14Rが押された場合には処理はステップS17に進み、Lボタン14LとRボタン14Rがいずれも押されていない場合には処理はステップS18に進む。
【0056】
ステップS17では、プレイヤによって押されているボタン(Lボタン14LまたはRボタン14R)に応じてプレイヤキャラクタ40の歩行処理を行う。具体的には、Lボタン14Lが押された時は左に、Rボタン14Rが押された時は右にプレイヤキャラクタ40を歩行移動させる。
【0057】
ここで、ステップS13の空中処理の詳細を図15を参照して説明する。
【0058】
図15のステップS30で、CPUコア21は、プレイヤキャラクタ状態情報58に基づいて、プレイヤキャラクタ40が取っ手に掴まっている状態かどうかを判断し、プレイヤキャラクタ40が取っ手に掴まっている場合には処理はステップS31に進み、プレイヤキャラクタ40が取っ手に掴まっていない場合には処理はステップS34に進む。
【0059】
ステップS31では、取っ手に掴まっているプレイヤキャラクタ40の手の種別(左手または右手)に対応するボタン(Lボタン14LまたはRボタン14R)が解放されたかどうかを判断し、解放された場合には処理はステップS33に進み、解放されていない(つまりまだ押されている)場合には処理はステップS32に進む。
【0060】
ステップS32では、取っ手に掴まっているプレイヤキャラクタ40の手の位置を中心として、取っ手に掴まっているプレイヤキャラクタ40の手の種別(左手または右手)に対応する回転方向(反時計回りまたは時計回り)にプレイヤキャラクタ40を回転させる処理(プレイヤキャラクタ角度情報57の更新など)を行い、空中処理を終える。左手の時は反時計回りに、右手の時は時計回りに回転する。
【0061】
ステップS33では、プレイヤキャラクタ角度情報57に基づいて、図5を参照して説明したようなプレイヤキャラクタ40の飛び移り処理(プレイヤキャラクタ位置情報56やプレイヤキャラクタ状態情報58の更新など)を行い、空中処理を終える。
【0062】
ステップS34では、Lボタン14LかRボタン14Rが押されたかどうかを判断し、Lボタン14LかRボタン14Rが押された場合には処理はステップS35に進み、Lボタン14LとRボタン14Rがいずれも押されていない場合には処理はステップS36に進む。
【0063】
ステップS35では、押されたボタン(Lボタン14LまたはRボタン14R)に対応するプレイヤキャラクタ40の手(左手または右手)がいずれかの動作制御領域43と重なっているかどうかを衝突判定処理によって判断し、押されたボタンに対応するプレイヤキャラクタ40の手がいずれかの動作制御領域43と重なっている場合には処理はステップS37に進み、押されたボタンに対応するプレイヤキャラクタ40の手がいずれの動作制御領域43とも重なっていない場合には処理はステップS36に進む。
【0064】
ステップS36では、プレイヤキャラクタ40が図5や図10に示すように重力の影響を受けて放物線を描いて空中を移動するようにプレイヤキャラクタ位置情報56を更新し、空中処理を終える。なお、空中での移動の最中に、Lボタン14LまたはRボタン14Rを押すことによってプレイヤキャラクタ40の移動方向をプレイヤがある程度制御できるようにしてもよい。
【0065】
ステップS37では、プレイヤキャラクタ40を取っ手に掴ませるための取っ手掴み処理(プレイヤキャラクタ状態情報58の更新など)を行う。
【0066】
ステップS38では、取っ手を掴んだプレイヤキャラクタ40の手の種別(左手または右手)、掴んだ取っ手の位置(動作制御領域配置位置情報55)、そのときのプレイヤキャラクタ角度情報57に基づいて、移動軌跡情報59に新たな手形データを追加し、空中処理を終える。
【0067】
空中処理が終わると処理は図14のステップS18に進む。
【0068】
ステップS18では、プレイヤキャラクタ位置情報56に応じて上画面11および下画面12のスクロール処理(現在表示エリア情報60の更新)を行う。
【0069】
ステップS19では、オブジェクト画像データ51、背景画像データ52、プレイヤキャラクタ位置情報56、プレイヤキャラクタ角度情報56および現在表示エリア情報60に基づいて、上画面11に表示されているゲーム画像を更新する。
【0070】
ステップS20では、移動軌跡情報59に含まれている手形データのうち、残り表示時間が0秒になっているものが存在する場合にはその手形データを消去する。
【0071】
ステップS21では、下画面画像データ53、手形画像データ54、移動軌跡情報59および現在表示エリア情報60に基づいて、下画面12に表示されているゲーム画像を更新する。
【0072】
ステップS22では、ゲームオーバかどうかを判断し、ゲームオーバでない場合には処理はステップS12に戻り、ゲームオーバの場合にはゲームプログラム50に基づくゲーム処理を終了する。
【0073】
以上のような処理により、前述したような、2つの表示画面領域に表示された画像を見比べながらプレイする必要がある、従来にない斬新で興趣性の高いゲームが実現される。
【0074】
なお、本実施形態では、ゲーム世界の様子を示すゲーム画像を第1のLCD11に表示し、動作制御領域画像(取っ手パネル画像44)を含むゲーム画像を第2のLCD12に表示する例を説明したが、本発明はこれに限らず、例えば前者のゲーム画像を第1のLCD11の左半分に表示し、後者のゲーム画像を同じく第1のLCD11の右半分に表示してもよい。また、前者のゲーム画像と後者のゲーム画像のスケール(表示倍率)は必ずしも同一である必要はないが、同一のスケールとすることにより両者の対応関係がより分かりやくなるという利点がある。
【0075】
また、本実施形態では、下画面12には動作制御領域画像(取っ手パネル画像44)と手形画像45のみを含むゲーム画像を表示する例を説明したが、本発明はこれに限らず、上記画像に加えて地形などの背景が表示されていてもよい。
【0076】
また、本実施形態では、移動軌跡情報59から、一定時間が経過した手形データを順次消去する例を説明したが、本発明はこれに限らず、移動軌跡情報59に含まれる手形データの個数が一定数を超えた場合に、最も古い手形データを消去するようにしてもよい。
【0077】
また、本実施形態では、動作制御領域43が取っ手(より正確には取っ手の衝突判定領域)である場合の例を説明したが、本発明はこれに限らず、プレイヤキャラクタと接触または重なることによってプレイヤキャラクタの動作に影響を与える任意の領域、つまりプレイヤキャラクタとの衝突判定処理を行い、その結果をゲーム処理に利用するような任意の領域を動作制御領域43とすることができる。例えば、図16に示すように、上画面11には障害物又はプレイヤキャラクタ40が上に乗ることのできる踏み台の画像を表示せず、下画面12にはそれらの障害物の位置を示す障害物画像72を表示してもよい。同様に、図17に示すように、上画面には移動制御領域(その上に乗ったプレイヤキャラクタ40を予め決められた方向へ強制的に移動させる領域)を表示せず、下画面12にはそれらの移動制御領域の位置およびその移動制御方向を示す移動方向表示画像73を表示してもよい。
【0078】
また、本実施形態では、上画面11において全ての動作制御領域43が不可視である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、一部の動作制御領域43が可視であってもよい。例えば、図18のように、一部の取っ手パネル41が霧74によって見えなくなっている様子を上画面11に表示するとともに、上画面11における取っ手(不可視の取っ手も含む)の位置を示す取っ手パネル画像44を下画面12に表示してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の一実施形態に係るゲーム装置10の外観図
【図2】ゲーム装置10の内部構成図
【図3】ゲームの概略を説明するための図
【図4】ゲームの概略を説明するための他の図
【図5】ゲームの概略を説明するためのさらに他の図
【図6】ゲームの概略を説明するためのさらに他の図
【図7】ゲームプレイ中のゲーム画面例
【図8】ゲームプレイ中の他のゲーム画面例
【図9】ゲームプレイ中のさらに他のゲーム画面例
【図10】ゲームプレイ中のさらに他のゲーム画面例
【図11】RAM24のメモリマップ
【図12】背景画像および下画面画像の具体例
【図13】移動軌跡情報の具体例
【図14】ゲームプログラムに基づくCPUコアの処理の流れを示すフローチャートの一部
【図15】ゲームプログラムに基づくCPUコアの処理の流れを示すフローチャートの他の一部
【図16】変形例に係るゲーム画面例
【図17】他の変形例に係るゲーム画面例
【図18】さらに他の変形例に係るゲーム画面例
【符号の説明】
【0080】
10 ゲーム装置
11 第1のLCD
12 第2のLCD
13 ハウジング
13a 上側ハウジング
13b 下側ハウジング
14 操作スイッチ部
14a 十字スイッチ
14b スタートスイッチ
14c セレクトスイッチ
14d Aボタン
14e Bボタン
14f Xボタン
14g Yボタン
14L Lボタン
14R Rボタン
15 タッチパネル
16 スティック
17 メモリカード
17a ROM
17b RAM
18a,18b 音抜き孔
19 電源スイッチ
20 電子回路基板
21 CPUコア
22 バス
23 コネクタ
24 RAM
25 I/F回路
26 第1GPU
27 第2GPU
28 第1VRAM
29 第2VRAM
30a 右スピーカ
30b 左スピーカ
31 LCDコントローラ
32 レジスタ
33 マイク
40 プレイヤキャラクタ
41 取っ手パネル
42 目標物
43 動作制御領域
44 取っ手パネル画像
45 手形画像
70 上画面表示エリア
71 下画面表示エリア
72 障害物画像
73 移動方向表示画像
74 霧

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1表示画面領域、第2表示画面領域および操作手段を備えたゲーム装置のコンピュータを、
前記操作手段を用いてプレイヤによって操作されるゲーム世界のプレイヤキャラクタを第1表示画面領域に表示する第1表示制御手段、ゲーム世界における当該プレイヤキャラクタの動作に影響する動作制御領域との衝突判定を行う衝突判定手段、
前記操作手段を通じて入力されるプレイヤの指示と前記衝突判定手段の判定結果とに基づいて、ゲーム世界における前記プレイヤキャラクタの動作を制御する動作制御手段、および
前記第1表示画面領域上の前記動作制御領域が存在している位置に対応する前記第2の表示画面領域上の位置に、前記動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像を表示する第2表示制御手段として機能させるためのゲームプログラム。
【請求項2】
少なくとも一つの動作制御領域について、当該動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像が前記第2表示画面領域にのみ表示され、前記第1表示画面領域には表示されないことを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項3】
少なくとも一つの動作制御領域について、当該動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像が前記第2表示画面領域に表示され、前記第1表示画面領域にはその一部が表示されることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項4】
前記プレイヤキャラクタが前記第1表示画面領域にのみ表示されることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項5】
前記動作制御領域が、前記プレイヤキャラクタが掴まることのできる取っ手領域であることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項6】
前記動作制御領域が、前記プレイヤキャラクタが通り抜けることのできない障害物領域であることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項7】
前記動作制御領域が、前記プレイヤキャラクタを所定方向に移動させる移動制御領域であり、前記動作制御領域画像は、前記移動制御領域によって前記プレイヤキャラクタが移動される方向を示す方向表示を含むことを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項8】
前記第2表示制御手段は、前記プレイヤキャラクタの移動軌跡を示す移動軌跡画像を前記第2表示画面領域にさらに表示することを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項9】
前記第2表示制御手段は、前記移動軌跡画像を時間の経過又は表示されている移動軌跡画像の個数に応じて前記第2表示画面領域から消去することを特徴とする、請求項8に記載のゲームプログラム。
【請求項10】
前記第1表示画面領域に表示されるゲーム画像に連動して前記第2表示画面領域に表示されている前記動作制御領域画像をスクロールするスクロール制御手段として前記コンピュータをさらに機能させることを特徴とする、請求項1に記載のゲームプログラム。
【請求項11】
第1表示画面領域、
第2表示画面領域、
操作手段、
前記操作手段を用いてプレイヤによって操作されるゲーム世界のプレイヤキャラクタと、ゲーム世界における当該プレイヤキャラクタの動作に影響する動作制御領域との衝突判定を行う衝突判定手段、
前記操作手段を通じて入力されるプレイヤの指示と前記衝突判定手段の判定結果とに基づいて、ゲーム世界における前記プレイヤキャラクタの動作を制御する動作制御手段、
前記動作制御手段による制御を反映したゲーム画像を前記第1表示画面領域に表示する第1表示制御手段、および
前記第1表示画面領域上の前記動作制御領域が存在している位置に対応する前記第2の表示画面領域上の位置に、前記動作制御領域の存在を示す動作制御領域画像を表示する第2表示制御手段を備えたゲーム装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2007−202694(P2007−202694A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−23410(P2006−23410)
【出願日】平成18年1月31日(2006.1.31)
【出願人】(000233778)任天堂株式会社 (1,115)
【出願人】(501092324)株式会社パオン (6)
【Fターム(参考)】