説明

ゲーム制御プログラム、ゲーム装置、及びゲーム制御方法

【課題】娯楽性の高いゲーム装置を表現する。
【解決手段】ゲーム装置10は、高低差のある地形を含むゲームフィールドと、ゲームフィールドに配置された第1キャラクタとを画面に表示する画像処理部66と、第1キャラクタが接地している地面を傾斜させる操作入力に基づいて、前記地面の傾斜角を制御する傾斜制御部42と、地面の傾斜角が所定の値よりも大きいときに、第1キャラクタが地面を転がる又は滑るように第1キャラクタを移動させる転がり制御部53又は滑り制御部54と、他のプレイヤーのゲーム装置から、そのゲーム装置でプレーされているゲームの第2キャラクタのゲームフィールドにおける位置を示す情報を取得する通信部32と、第2キャラクタを画面に表示する相手キャラクタ表示部56とを備え、相手キャラクタ表示部56は、他のプレイヤーのゲーム装置から取得した位置から所定長ずらした位置に第2キャラクタを表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム制御技術に関し、特に、キャラクタを移動させてゴールへ導くゲームを制御するゲーム装置、方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
かつて、10円玉などの硬貨を投入し、その硬貨をレールに沿って移動させ、ゴールへ導くゲーム台が人気を博していた。このゲームでは、プレーヤーは硬貨が乗っているレールを操作し、硬貨がレールから落ちないように注意しながら、レールを傾斜させて硬貨を転がし、ゴールへ導く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−75467号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明者は、このようなゲームシステムを改良して、より高度で娯楽性の高いゲームを実現するための技術を想到するに至った。本発明はこうした状況に鑑みてなされたものであり、その目的は、より娯楽性の高いゲーム装置を実現する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のある態様は、プログラムに関する。このプログラムは、高低差のある地形を含むゲームフィールドと、前記ゲームフィールドに配置された第1キャラクタとを画面に表示する機能と、前記第1キャラクタが接地している地面を傾斜させる操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に基づいて、前記地面の傾斜角を制御する機能と、前記地面の傾斜角が所定の値よりも大きいときに、前記第1キャラクタが前記地面を転がる又は滑るように前記第1キャラクタを移動させる機能と、他のプレイヤーのゲーム装置から、そのゲーム装置でプレーされているゲームの第2キャラクタの前記ゲームフィールドにおける位置を示す情報を取得する機能と、前記第2キャラクタを前記画面に表示する機能とをコンピュータに実現させ、前記第2キャラクタを前記画面に表示する機能は、前記他のプレイヤーのゲーム装置から取得した位置から所定長ずらした位置に前記第2キャラクタを表示することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、より娯楽性の高いゲーム装置を実現する技術を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施の形態に係るゲームシステムの構成を示す図である。
【図2】実施の形態に係るゲーム装置の構成を示す図である。
【図3】ゲームの概要を示すための図である。
【図4】キャラクタの回転を制御するための制御点を示す図である。
【図5】ゲーム画面の例を示す図である。
【図6】ゲーム画面の例を示す図である。
【図7】ゲーム画面の例を示す図である。
【図8】ゲーム画面の例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本実施の形態のゲーム装置は、高低差のある地形を含むゲームフィールドにおいて、キャラクタが接地している地面をプレイヤーが傾斜させることにより、キャラクタを所望の方向へ転がしてゴール地点へ導くゲームを提供する。キャラクタは、地面の傾斜によって転がされて受動的に移動するだけでなく、人工知能により自身の思考で能動的に動作することもできる。プレイヤーは、自律的に動作するキャラクタを、地面の傾斜を操作することによって間接的に移動させたり、ジャンプさせたりしながら、キャラクタとの協働によりゴールを目指す。
【0009】
本実施の形態は、複数のゲーム装置が同時にゲームをプレーすることができるゲームシステムを提供する。各ゲーム装置は、他のゲーム装置から、他のゲーム装置のキャラクタの位置を示す情報を取得し、自装置のゲーム画面に、自装置のキャラクタとともに他装置のキャラクタを表示する。このとき、他装置のキャラクタは、実際の位置から所定長ずらした位置に表示される。前述したように、本実施の形態のゲーム装置では、キャラクタを転がして移動させるので、キャラクタが地面に接地していることが多いが、他装置のキャラクタを常時ずらして表示することにより、自装置のキャラクタとなるべく重ならないように表示させることができる。
【0010】
また、他装置のキャラクタが自装置のキャラクタに対して障害物として機能するようにする。すなわち、自装置のキャラクタの移動を制御する際に、地面や壁などの地形や、ゲームフィールドに配された障害物などとともに、他装置のキャラクタも衝突判定の対象とし、他装置のキャラクタに接触した場合も、自装置のキャラクタの挙動を変える。これにより、単に他装置のキャラクタの位置を示すために他装置のキャラクタを表示するだけでなく、他装置のキャラクタを障害物としても機能させることができるので、ゲームの娯楽性を向上させることができる。上述したように、他装置のキャラクタは実際の位置からずらして表示されているので、自装置のキャラクタを転がして移動させているときには邪魔にならない。したがって、ゲーム本来の面白さを損なうことなく、新しい娯楽性を付加することができる。
【0011】
図1は、実施の形態に係るゲームシステム1の構成を示す。ゲームシステム1は、複数のゲーム装置10と、複数のゲーム装置10を接続する通信網12を含む。複数のゲーム装置10は、通信網12を介して、互いにキャラクタの位置を示す情報を送受信しながら、ゲームを進行させる。
【0012】
図2は、実施の形態に係るゲーム装置10の構成を示す。ゲーム装置10は、コントローラ20、入力部30、通信部32、制御部40、パラメータ保持部60、画像処理部66、及び表示装置68を備える。これらの構成は、ハードウエアコンポーネントでいえば、任意のコンピュータのCPU、メモリ、メモリにロードされたプログラムなどによって実現されるが、ここではそれらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。したがって、これらの機能ブロックがハードウエアのみ、ソフトウエアのみ、またはそれらの組合せによっていろいろな形で実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0013】
入力部30は、プレイヤーが操作するコントローラ20から入力される制御信号を受け付ける。通信部32は、通信網12を介した他の装置との通信を制御する。制御部40は、入力部30が受け付けたユーザからの指示に基づいて、図示しない記録媒体から読み出したゲームプログラムを実行し、ゲームを進行させる。パラメータ保持部60は、キャラクタの属性を表すパラメータを保持する。画像処理部66は、制御部40により制御されるゲームの画面を生成し、表示装置68に表示させる。各構成の動作の詳細については、以降の説明において詳述する。
【0014】
図3は、ゲームの概要を示すための図である。図3(a)は、キャラクタが自律的に行動している様子を示す。図3(a)の例では、キャラクタは、蝶々が飛んでいるのを見つけて、それを追ってジャンプしながら移動している。この、キャラクタが自身の思考により自立的に行動する自立モードは、人工知能部52により制御される。
【0015】
図3(b)は、プレイヤーがキャラクタの足下の地面を傾斜させた様子を示す。プレイヤーが、コントローラ20により、地面を時計回りの方向に傾斜させると、キャラクタが画面左側から右側へ傾斜に沿って転がっている。この、キャラクタが地面の傾斜に耐えられなくなって転がっていく転がりモードは、転がり制御部53により制御される。また、動摩擦係数の小さいつるつるした地面をキャラクタが滑っていく滑りモードは、滑り制御部54により制御される。傾斜制御部42は、コントローラ20を介してプレイヤーから入力される地面の傾斜の操作を受け付けて、地面の傾斜角を制御する。転がり制御部53及び滑り制御部54は、地面の傾斜角に基づいて物理計算を行い、キャラクタが地面を転がる又は滑るように制御する。これにより、プレイヤーは、人工知能により自由気ままに動き回るキャラクタを、地面を傾斜させることにより間接的に操作することができる。
【0016】
図3(c)は、プレイヤーがキャラクタの足下の地面によりキャラクタを弾いてジャンプさせた様子を示す。プレイヤーが、コントローラ20により、地面でキャラクタを弾くと、キャラクタがジャンプする。キャラクタは、人工知能部52の制御により自身の意志でジャンプすることもできるが、図3(c)に示したようにプレイヤーにより弾かれてジャンプすることもある。プレイヤーにより弾かれてジャンプするときのキャラクタの動作は、ジャンプ制御部55により制御される。ジャンプ制御部55は、プレイヤーが地面を弾いた強さ、地面の傾斜角、地面とキャラクタとの間に働く摩擦力などに基づいて物理計算を行い、キャラクタが地面に弾かれてジャンプするように制御する。プレイヤーは、地面にトゲ102などの障害物が存在するときには、キャラクタをジャンプさせて障害物を避けることができる。
【0017】
図3(d)は、プレイヤーがキャラクタ増加アイテムを取得した様子を示す。キャラクタが、キャラクタ増加アイテムである実104を食べると、キャラクタの数が増加して体が大きくなっている。ここでは、複数のキャラクタが合体して一体になっているが、後述するように、分裂させて別々のキャラクタとして動作させることもできる。
【0018】
図3(e)は、キャラクタが分裂、合体する様子を示す。キャラクタの数が増加して2以上のキャラクタが存在するときには、それらを合体させたり、分裂させたりすることができる。キャラクタの分裂及び合体は、分裂/合体制御部44により制御される。プレイヤーがコントローラ20を介して分裂又は合体を指示することもできるし、キャラクタ達が自身の意志で分裂又は合体する場合もある。また、キャラクタがトゲ102などにぶつかったときや、高所から転落するなどして一定以上の衝撃が加わったときには、合体していたキャラクタから数体が分裂する。分裂する数は、そのときのキャラクタの数や元気度に応じて、分裂/合体制御部44により決定される。
【0019】
図1に戻り、各構成の説明を続ける。傾斜制御部42は、コントローラ20によるプレイヤーからの操作指示を受け付け、ゲームフィールドにおける地面の傾斜角を制御する。例えば、コントローラ20の右側に配置されたボタンに、画面右側を下げる操作を割り当て、左側に配置されたボタンに、画面左側を下げる操作を割り当ててもよい。これにより、プレイヤーは、直感的に理解しやすい操作により、地面の傾斜の操作入力を行うことができる。コントローラ20に、コントローラ20の傾斜を検知するセンサを設け、コントローラ20自身を傾斜させることにより、地面の傾斜の操作指示を受け付け、ゲームフィールドに反映させるようにしてもよい。傾斜制御部42は、現在の地面の傾斜角を算出し、動作モード制御部50、転がり制御部53、滑り制御部54などへ通知する。傾斜制御部42は、キャラクタの足下の地面のみを傾斜させてもよいし、ゲームフィールド全体を傾斜させてもよい。
【0020】
分裂/合体制御部44は、キャラクタの分裂及び合体を制御する。前述したように、キャラクタがキャラクタ増加アイテムなどを取得すると、キャラクタの数が増加するが、複数のキャラクタは、合体して一体として行動することもできるし、分裂して別体として行動することもできる。分裂/合体制御部44は、コントローラ20を介してプレイヤーから分裂又は合体の操作指示を受け付けると、キャラクタを分裂又は合体させる。合体している場合は、一つのキャラクタとして、人工知能部52、転がり制御部53、滑り制御部54、又はジャンプ制御部55により動作が制御される。分裂している場合は、個々のキャラクタが独立して制御される。
【0021】
人工知能部52は、自立モードにおいて、キャラクタの元気度をパラメータ保持部60から読み出し、元気度に応じてキャラクタの動作を決定する。キャラクタが複数存在し、かつ、キャラクタが分裂している場合には、それぞれのキャラクタの行動が別個に人工知能部52により決定される。複数のキャラクタが合体している場合には、合体したキャラクタに含まれるいずれかのキャラクタが代表して行動する。
【0022】
動作モード制御部50は、キャラクタの動作モードを制御する。動作モード制御部50は、キャラクタが転がり始める、又は滑り始める傾斜角を設定し、設定された傾斜角よりも地面の傾斜角が小さいときには、人工知能部52にキャラクタの動作を制御させる。動作モード制御部50は、キャラクタが転がり始める、又は滑り始める傾斜角を予め設定しておいてもよいし、キャラクタの重量、キャラクタの足下の地面の傾斜角、及びキャラクタの足下の地面の静止摩擦係数などに基づいて算出してもよい。プレイヤーの操作によって、又は、キャラクタ自身の移動によって、キャラクタの足下の地面の傾斜角が設定された傾斜角を超えると、動作モード制御部50は、転がり制御部53又は滑り制御部54にキャラクタの動作を制御させる。キャラクタの足下の地面の動摩擦係数が所定値以下に設定されている場合、又は、キャラクタの足下の地面にキャラクタが地面の上を転がって移動することを示す属性が設定されている場合は、動作モード制御部50は、転がり制御部53にキャラクタの動作を制御させる。キャラクタの足下の地面の動摩擦係数が所定値以上に設定されている場合、又は、キャラクタの足下の地面にキャラクタが地面の上を転がるのではなく滑って移動することを示す属性が設定されている場合は、動作モード制御部50は、滑り制御部54にキャラクタの動作を制御させる。転がり制御部53又は滑り制御部54がキャラクタの動作を制御しているときに、キャラクタの移動速度が所定値以下になると、動作モード制御部50は、人工知能部52にキャラクタの動作を制御させる。転がり制御部53又は滑り制御部54から人工知能部52へ制御を移行させるときに、キャラクタが起き上がる様子を表示してもよい。
【0023】
人工知能部52又は転がり制御部53がキャラクタの動作を制御しているときに、キャラクタをジャンプさせる機能が割り当てられた操作入力をプレイヤーから受け付けると、動作モード制御部50は、ジャンプ制御部55にキャラクタの動作を制御させる。滑り制御部54がキャラクタの動作を制御しているときに、キャラクタを加速させる機能が割り当てられた操作入力をプレイヤーから受け付けると、動作モード制御部50は、キャラクタを加速させる。人工知能部52又は転がり制御部53がキャラクタの動作を制御しているときであっても、キャラクタが移動している通路が狭く、キャラクタがジャンプできない状況である場合には、動作モード制御部50は、キャラクタをジャンプさせる操作入力を受け付けたときに、キャラクタを加速させてもよい。キャラクタをジャンプさせる操作入力と、キャラクタを加速させる操作入力は、同じ操作入力であってもよい。
【0024】
転がり制御部53は、地面の傾斜角が所定値よりも大きいときに、地面の上を転がるようにキャラクタを移動させる。転がり制御部53は、キャラクタの重量、地面の傾斜角、地面の動摩擦係数などに基づいて、キャラクタの移動速度を算出して、キャラクタを移動させてもよい。転がり制御部53は、図4に示すように、キャラクタの制御点106の中から例えば4点の制御点108を抽出し、それらの点に、自重による重力と、地面からの垂直抗力と、地面との間の動摩擦力とを作用させ、物理計算により速度ベクトルを算出してもよい。これにより、キャラクタが回転しながら地面を転がり落ちる様子を表現することができる。
【0025】
滑り制御部54は、地面の傾斜角が所定値よりも大きいときに、地面の上を滑るようにキャラクタを移動させる。滑り制御部54は、キャラクタの重量、地面の傾斜角、地面の動摩擦係数などに基づいて、キャラクタの移動速度を算出して、キャラクタを移動させてもよい。
【0026】
ジャンプ制御部55は、プレイヤーからキャラクタをジャンプさせる操作入力を受け付けると、キャラクタを地面で弾いてジャンプさせる。
【0027】
送信部48は、通信部32を介して対戦相手のゲーム装置10へ、自装置のキャラクタのゲームフィールドにおける位置を示す情報を送信する。位置を示す情報は、ゲームフィールド内におけるローカル座標系の座標であってもよいし、ゲーム画面におけるワールド座標系の座標と地面の傾斜角との組み合わせであってもよい。送信部48は、さらに、キャラクタの移動速度、キャラクタの姿勢を示す情報、キャラクタの属性などの情報を送信してもよい。送信部48は、自装置のゲームがゲームオーバーとなったとき、その旨を示す情報を対戦相手のゲーム装置10へ送信する。なお、プレイヤーから地面を傾斜させる操作入力を受け付けたときに、その操作量に応じてローカル座標系は傾斜され、その傾斜したローカル座標系に対応して傾斜した地面などが描画される(図5および図6参照)。
【0028】
キャラクタが複数に分裂している場合、送信部48は、全てのキャラクタの位置情報を送信してもよいし、一つ又は一部のキャラクタの位置情報を選択して送信してもよい。
【0029】
相手キャラクタ表示部56は、通信部32を介して対戦相手のゲーム装置10から取得した対戦相手のキャラクタの位置を示す情報に基づいて、対戦相手のキャラクタをゲーム画面に表示させる。相手キャラクタ表示部は、対戦相手のキャラクタをゲーム画面に表示するときに、ゲームフィールドにおける実際の位置から、所定長ずらした位置に対戦相手のキャラクタを表示させる。例えば、ゲームフィールドにおけるローカル座標系において上方向に所定長ずらした位置に対戦相手のキャラクタを表示させてもよい。
【0030】
図5は、相手キャラクタ表示部が対戦相手のキャラクタを表示したゲーム画面の例を示す。ゲーム画面には、自装置のキャラクタ110のほかに、対戦相手のキャラクタ112が表示されている。相手キャラクタ表示部56は、通信部32を介して対戦相手のゲーム装置10から取得した対戦相手のキャラクタの位置よりも、ゲームフィールドにおけるローカル座標系において上方向に所定長ずらした位置に対戦相手のキャラクタを表示する。これにより、地面に接地している自装置のキャラクタ110となるべく重ならないように、他装置のキャラクタ112を表示することができる。
【0031】
図6は、相手キャラクタ表示部が対戦相手のキャラクタを表示したゲーム画面の別の例を示す。図5は、プレイヤー「1P」のゲーム装置10において表示されるゲーム画面の例を示しており、図6は、プレイヤー「3P」のゲーム装置10において表示されるゲーム画面の例を示している。図6では、「3P」のキャラクタが自装置のキャラクタ110であるから、正しい位置にキャラクタ110が表示されており、その他の対戦相手のキャラクタ112は、上方向、すなわちY軸方向に所定長ずらした位置に表示されている。
【0032】
位置情報として、ローカル座標を送受信する場合には、対戦相手のキャラクタを表示する際に、自装置における現在のローカル座標系上で、取得したローカル座標の位置から所定長ずらした位置に対戦相手のキャラクタを配置して描画すればよい。位置情報として、ワールド座標と傾斜角を送受信する場合には、まず、ワールド座標と傾斜角に基づいて対戦相手のキャラクタのローカル座標を算出すれば、上述したローカル座標を位置情報として取得した場合と同様に、対戦相手のキャラクタを適切な位置に表示できるようになる。なお、対戦相手のキャラクタの位置を所定長ずらす計算処理は、自装置で行ってもよいし、対戦相手の装置で行ってもよい。
【0033】
相手キャラクタ表示部56は、取得した位置から所定長ずらした位置を算出し、算出した位置からさらに少しずつ位置を時間変化させることにより、対戦相手のキャラクタがふわふわと浮いているように表示してもよい。
【0034】
相手キャラクタ表示部56は、一つのゲーム装置から複数の位置情報を取得した場合、いずれか一つを選択して表示してもよいし、一部を表示してもよいし、全てを表示してもよい。いずれか一つを選択する場合は、ゲーム画面に表示される範囲内にあるキャラクタを優先的に選択してもよい。
【0035】
相手キャラクタ表示部56は、対戦中のプレイヤーのゲーム装置10から、ゲームオーバーとなった旨の情報を取得すると、その対戦相手のキャラクタを画面から消去する。このとき、その対戦相手のキャラクタが爆発する様子を表示するなどの演出を行ってもよい。相手キャラクタ表示部56は、対戦中のプレイヤーのゲーム装置10から、所定の期間、位置情報を受信しなかったときに、その対戦相手のキャラクタを画面から消去してもよい。
【0036】
コリジョン判定部57は、ゲームフィールドに配置された地面、壁、又はオブジェクトと、自装置のキャラクタとの接触を判定する。コリジョン判定部57は、自装置のキャラクタが、地面、壁、又はオブジェクトに接触したとき、自装置のキャラクタの動作を制御している転がり制御部53、滑り制御部54、又はジャンプ制御部55に、その旨を通知する。通知を受けた転がり制御部53、滑り制御部54、又はジャンプ制御部55は、キャラクタ及び接触相手の跳ね返り係数などの属性、接触した角度、接触したときの速度などに基づいて、接触した後のキャラクタの挙動を制御する。
【0037】
本実施の形態では、コリジョン判定部57は、対戦相手のキャラクタと自装置のキャラクタとの間の接触を更に判定する。コリジョン判定部57は、自装置のキャラクタが対戦相手のキャラクタに接触したとき、自装置のキャラクタの動作を制御している転がり制御部53、滑り制御部54、又はジャンプ制御部55に、キャラクタが対戦相手のキャラクタに接触したことを通知する。これにより、対戦相手のキャラクタを単に表示するだけでなく、コリジョンを有するオブジェクトとして機能させることができる。
【0038】
コリジョン判定部57は、自装置のキャラクタが対戦相手のキャラクタに接触したとき、相手キャラクタ表示部56にその旨を通知してもよい。このとき、相手キャラクタ表示部56は、自装置のキャラクタと接触した影響を自装置に表示される対戦相手のキャラクタに与えてもよい。例えば、自装置のキャラクタと接触したときの力積などに基づいて、対戦相手のキャラクタの変位量を算出し、対戦相手のゲーム装置10から取得した位置情報から算出される位置から変位させてもよい。時間の経過に伴って、徐々に変位量を小さくし、所定時間の経過後に、接触による変位量をゼロにして、それ以降は、取得した位置情報から算出される位置に対戦相手のキャラクタを表示させてもよい。コリジョン判定部57は、ゲームフィールドに配置された地面、壁、又はオブジェクトと、対戦相手のキャラクタとの接触を判定してもよい。この場合、相手キャラクタ表示部56は、同様に、接触した影響を自装置に表示される対戦相手のキャラクタに与えてもよい。
【0039】
図7は、自装置のキャラクタが対戦相手のキャラクタに衝突したときのゲーム画面の例を示す。プレイヤーがキャラクタ110をジャンプさせる操作を行い、ジャンプ制御部55がキャラクタ110をジャンプさせているときに、キャラクタ110が対戦相手のキャラクタ112に衝突してバウンドしている。このように、ゲームフィールドに予め配置されている地形やオブジェクトだけでなく、対戦相手のキャラクタ112も実体のあるオブジェクトとして配置されるので、単独でゲームを行うときとは全く異なった新しい面白さを提供することができる。
【0040】
自装置のキャラクタが対戦相手のキャラクタに接触したとき、自装置でプレーされているゲームにおいては、自装置のキャラクタに影響が及ぼされるが、その対戦相手のゲーム装置でプレーされているゲームには、自装置のキャラクタと対戦相手のキャラクタが接触したことによる影響を及ぼさない。すなわち、送信部48は、キャラクタ同士が接触したことを示す情報を他のゲーム装置10に送信しない。対戦中の各ゲーム装置10は、自装置以外のキャラクタをずらして表示しているため、各ゲーム装置10において生じた接触を他の全てのゲーム装置に反映させると、矛盾が生じる。したがって、接触の影響を自装置のみに限定し、他装置に反映させないことで、不整合の発生を回避しながら対戦相手のキャラクタとの相互作用を実現することができる。
【0041】
ヘルプモード制御部58は、他のキャラクタを共に移動させるヘルプモードを制御する。ヘルプモード制御部58は、自装置のキャラクタが他のキャラクタを共に移動させる能動ヘルプモードと、自装置のキャラクタが他のキャラクタと共に移動される受動ヘルプモードを制御する。
【0042】
プレイヤーが、能動ヘルプモードでプレーすることを指示する操作入力を行うと、ヘルプモード制御部58は、能動ヘルプモードを制御する。ヘルプモード制御部58は、送信部48に、能動ヘルプモードでプレーしていることを示す情報を対戦相手のゲーム装置10に送信させる。送信部48は、ゲームの開始前又は開始時に情報を送信してもよいし、位置情報とともに定期的に送信してもよい。ヘルプモード制御部58は、自装置のキャラクタを、能動ヘルプモードであることを示す表示態様で表示させる。能動ヘルプモードにおいて、自装置のキャラクタの挙動は、通常と同じように、転がり制御部53、滑り制御部54、及びジャンプ制御部55により制御される。
【0043】
能動ヘルプモードにおいて、対戦相手のキャラクタが自装置のキャラクタに対して受動ヘルプモードに入ると、その対戦相手のキャラクタを自装置のキャラクタの近傍の所定位置に移動させる。対戦相手のキャラクタは、位置情報から算出される本来の位置よりも上にずらして表示されている上に、ジャンプして能動ヘルプモードにあるキャラクタに接触することで受動ヘルプモードに入っているので、自装置のキャラクタから離れた位置に表示されている。ヘルプモード制御部58は、対戦相手のキャラクタが受動ヘルプモードに入ったとき、その対戦相手のキャラクタを瞬時に自装置のキャラクタの近傍へ移動させてもよいし、徐々に自装置のキャラクタの近傍へ近づくように移動させてもよい。
【0044】
つづいて、受動ヘルプモードについて説明する。相手キャラクタ表示部56は、対戦相手のゲーム装置10から、その対戦相手のキャラクタと共に他のキャラクタを移動させることを許可する、すなわち能動ヘルプモードでプレーしていることを示す情報を取得すると、その旨を示す表示態様で、その対戦相手のキャラクタをゲーム画面に表示する。自装置のキャラクタが、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタに接触したことをコリジョン判定部57が検知すると、ヘルプモード制御部58は、受動ヘルプモードを制御する。すなわち、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタに自装置のキャラクタを接触させる操作が、受動ヘルプモードに入るための指示に該当する。受動ヘルプモードにおいて、ヘルプモード制御部58は、自装置のキャラクタが能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタに追随するように、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタの位置から算出される位置に自装置のキャラクタを移動させる。対戦相手のキャラクタの近傍の所定位置に移動させてもよいし、対戦相手のキャラクタの位置と一致する位置に移動させ、例えば、対戦相手のキャラクタの内部に自装置のキャラクタが収容されるような形で移動させてもよい。これにより、自装置のキャラクタは、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタと共に移動される。
【0045】
受動ヘルプモードにおいて自装置のキャラクタが移動されているとき、コリジョン判定部57は、自装置のキャラクタと地形やオブジェクトなどとの間の接触を判定しなくてもよい。これにより、自装置のキャラクタがオブジェクトなどと接触して能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタから離れてしまうことを防ぐことができる。
【0046】
相手キャラクタ表示部56は、受動ヘルプモードに入ると、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタを、ずらした位置ではなく、取得された位置情報が示す位置に表示してもよい。また、通常時には対戦相手のキャラクタをふわふわと浮かんでいるように表示し、受動ヘルプモードにおいては、取得された位置情報が示す正確な位置に表示してもよい。また、通常時には対戦相手のキャラクタが連続ジャンプを行うなどして急激に移動しているときでも、単位時間当たりの変位量を所定値以下に制限するなどして、大まかに対戦相手のキャラクタの位置が把握できる程度にし、受動ヘルプモードにおいては、取得された位置情報が示す正確な位置に表示してもよい。これによれば、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタとほぼ同じ軌跡で自装置のキャラクタが移動されるので、前述したように、受動ヘルプモードにおいて自装置のキャラクタと地形やオブジェクトなどとの間の接触を判定しなくても、不自然ではない。受動ヘルプモードにおいて、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタの位置をより正確に反映させるために、通常時よりも高い頻度で位置情報を取得してもよい。この場合、送信部48は、能動ヘルプモードにおいては、通常時よりも高い頻度で位置情報を送信する。
【0047】
ヘルプモード制御部58は、受動ヘルプモードにおいて、受動ヘルプモードを終了する指示をプレイヤーから受け付けると、受動ヘルプモードを終了し、自装置のキャラクタの挙動の制御を通常に戻す。受動ヘルプモードにおいては、自装置のキャラクタは、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタの近傍にいるので、通常、地面から上に浮いた状態にある。この場合、受動ヘルプモードを終了するときは、ジャンプ制御部55に制御が移る。
【0048】
ヘルプモード制御部58は、自装置のキャラクタが分裂しているときには、能動ヘルプモードにある対戦相手のキャラクタに接触しても、受動ヘルプモードに移行させなくてもよい。ヘルプモード制御部58は、自装置のキャラクタが能動ヘルプモードにあるときに、キャラクタを分裂させたときには、いずれか一つのキャラクタを能動ヘルプモードとしてもよい。
【0049】
図8は、受動ヘルプモードにおけるゲーム画面の例を示す。自装置のキャラクタ110は、能動ヘルプモードにある「2P」のキャラクタ112の近傍に移動され、以降、「2P」のキャラクタ112と共に移動される。これにより、難易度の高いゲームフィールドであっても、他のプレイヤーに助けてもらうことにより先に進むことができるので、不慣れなプレイヤーでもゲームを楽しむことができる。
【0050】
このように、地面を傾斜させてキャラクタをゴールまで転がすという、かつての硬貨を転がすゲームを彷彿とさせるシンプルで分かりやすいルールを採用しているため、幅広い層に受け入れられる親しみやすいゲーム性を実現することができる。また、ジャンプや加速などの操作に連続して成功したときにプレイヤーに利益を与えるので、ゲームの娯楽性を向上させることができる。
【0051】
以上、本発明を実施の形態をもとに説明した。この実施の形態は例示であり、それらの各構成要素や各処理プロセスの組合せにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0052】
10 ゲーム装置、20 コントローラ、30 入力部、32 通信部、40 制御部、42 傾斜制御部、44 分裂/合体制御部、48 送信部、50 動作モード制御部、52 人工知能部、53 転がり制御部、54 滑り制御部、55 ジャンプ制御部、56 相手キャラクタ表示部、57 コリジョン判定部、58 ヘルプモード制御部、60 パラメータ保持部、66 画像処理部、68 表示装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
高低差のある地形を含むゲームフィールドと、前記ゲームフィールドに配置された第1キャラクタとを画面に表示する機能と、
前記第1キャラクタが接地している地面を傾斜させる操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に基づいて、前記地面の傾斜角を制御する機能と、
前記地面の傾斜角が所定の値よりも大きいときに、前記第1キャラクタが前記地面を転がる又は滑るように前記第1キャラクタを移動させる機能と、
他のプレイヤーのゲーム装置から、そのゲーム装置でプレーされているゲームの第2キャラクタの前記ゲームフィールドにおける位置を示す情報を取得する機能と、
前記第2キャラクタを前記画面に表示する機能とをコンピュータに実現させ、
前記第2キャラクタを前記画面に表示する機能は、前記他のプレイヤーのゲーム装置から取得した位置から所定長ずらした位置に前記第2キャラクタを表示する
ことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
前記ゲームフィールドに配置された地面、壁、又はオブジェクトと、前記第1キャラクタとの接触を判定し、前記地面、壁、又はオブジェクトに接触した前記第1キャラクタの挙動を制御する判定機能を更にコンピュータに実現させ、
前記判定機能は、前記第2キャラクタと前記第1キャラクタとの接触を更に判定し、前記第2キャラクタに接触した前記第1キャラクタの挙動を制御することを特徴とする請求項1に記載のプログラム。
【請求項3】
前記第1キャラクタが前記第2キャラクタに接触したとき、前記第2キャラクタを制御する前記他のプレイヤーのゲーム装置でプレーされているゲームには、前記第1キャラクタとの接触は反映されないことを特徴とする請求項2に記載のプログラム。
【請求項4】
前記他のプレイヤーのゲーム装置から、前記第2キャラクタと共に他のキャラクタを移動させることを許可することを示す情報を取得すると、その旨を示す表示態様で前記第2キャラクタを前記画面に表示し、プレイヤーから前記第2キャラクタと共に前記第1キャラクタを移動させる指示を受け付けると、前記第1キャラクタが前記第2キャラクタに追随するように、前記第2キャラクタの位置から算出される位置に前記第1キャラクタを移動させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプログラム。
【請求項5】
高低差のある地形を含むゲームフィールドと、前記ゲームフィールドに配置された第1キャラクタとを画面に表示する画像処理部と、
前記第1キャラクタが接地している地面を傾斜させる操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に基づいて、前記地面の傾斜角を制御する傾斜制御部と、
前記地面の傾斜角が所定の値よりも大きいときに、前記第1キャラクタが前記地面を転がる又は滑るように前記第1キャラクタを移動させる移動制御部と、
他のプレイヤーのゲーム装置から、そのゲーム装置でプレーされているゲームの第2キャラクタの前記ゲームフィールドにおける位置を示す情報を取得する通信部と、
前記第2キャラクタを前記画面に表示する相手キャラクタ表示部とを備え、
前記相手キャラクタ表示部は、前記他のプレイヤーのゲーム装置から取得した位置から所定長ずらした位置に前記第2キャラクタを表示する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
高低差のある地形を含むゲームフィールドと、前記ゲームフィールドに配置された第1キャラクタとを画面に表示するステップと、
前記第1キャラクタが接地している地面を傾斜させる操作入力を受け付け、受け付けた操作入力に基づいて、前記地面の傾斜角を制御するステップと、
前記地面の傾斜角が所定の値よりも大きいときに、前記第1キャラクタが前記地面を転がる又は滑るように前記第1キャラクタを移動させるステップと、
他のプレイヤーのゲーム装置から、そのゲーム装置でプレーされているゲームの第2キャラクタの前記ゲームフィールドにおける位置を示す情報を取得するステップと、
前記第2キャラクタを前記画面に表示するステップとを含み、
前記第2キャラクタを前記画面に表示するステップは、前記他のプレイヤーのゲーム装置から取得した位置から所定長ずらした位置に前記第2キャラクタを表示する
ことを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項7】
請求項1から4のいずれかに記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−36519(P2011−36519A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188156(P2009−188156)
【出願日】平成21年8月14日(2009.8.14)
【出願人】(310021766)株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメント (417)
【Fターム(参考)】