説明

ゲーム機

【課題】プレイヤーが複数の入力装置をそれぞれ迅速に操作することができるとともに各入力装置へのプレイヤーの誤操作を抑制することができ、かつ従来よりも故障し難いゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム機1は、肘掛け3Rを備えた椅子2と、移動可能な範囲が肘掛け3Rの上面3aに設定された操作領域Aに制限された第1入力装置11と、操作領域Aと隣接するように肘掛け3Rに設けられた設置部31に配置された第2入力装置12と、第1入力装置11の操作ユニット15が持ち上げられた場合に信号を出力するリフトセンサ26の出力信号に基づいて第1入力装置11の位置センサユニット16の出力信号をゲームに反映させるか否か切り替える制御装置6とを備え、設置部31は、操作ユニット15にプレイヤーが手で触れた状態でその手の指が第2入力装置12に届くように操作領域Aに対して傾けて設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーが入力操作する入力装置が複数設けられたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
椅子の肘掛けにジョイスティック、マウス、又はキーボード等が設けられた入力装置が知られている(例えば、特許文献1〜5参照)。また、車両の運転席と助手席と間にトラックボールを設ける車載用入力装置が知られている(特許文献6参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−157137号公報
【特許文献2】特開平6−107083号公報
【特許文献3】特開2000−148384号公報
【特許文献4】特表2007−520320号公報
【特許文献5】特開2001−105987号公報
【特許文献6】特開2004−299539号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の装置では、肘掛けにトラックボールやマウス等のポインティングデバイスとキーボードとが設けられているが、キーボードから入力を行うためにはポインティングデバイスからキーボード上に手を移動させる必要がある。また、同様にポインティングデバイスを操作するためにはキーボード上からポインティングデバイスに手を移動させる必要がある。ゲーム機では、プレイヤーが複数の入力装置をそれぞれ迅速に操作することを要求するものがある。特許文献1の装置をこのようなゲーム機に適用した場合、入力装置間で手を移動させる必要があるため、プレイヤーが各入力装置をそれぞれ迅速に操作できないおそれがある。また、キーボードを操作する際にユーザの腕がマウスやトラックボールに当たりこれらが誤操作されるおそれもある。さらに、マウスを肘掛け上に置いただけでは、マウスが肘掛けから落ちた際にコードが断線したりマウス自体が破損したりしてマウスが故障するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、プレイヤーが複数の入力装置をそれぞれ迅速に操作することができるとともに各入力装置へのプレイヤーの誤操作を抑制することができ、かつ従来よりも故障し難いゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下の手段により上述した課題を解決する。なお、本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記するが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【0007】
本発明のゲーム機(1)は、内部が中空であるとともに上面(3a)に抜き孔(17)を有する肘掛け(3R)を備えた椅子(2)と、前記抜き孔を介して前記肘掛けの外側に抜き出し不能なように前記肘掛けの内部に配置され、前記肘掛けの上面に沿って動いたときの移動方向及び移動量に対応する信号を出力する位置センサユニット(16)と、前記肘掛けの外側に配置された操作ユニット(15)と、前記位置センサユニットと前記操作ユニットとが前記肘掛けの上面に沿って一体的に移動可能なように前記抜き孔を介して前記位置センサユニットと前記操作ユニットとを互いに連結する連結手段(18)と、前記操作ユニットに対して前記肘掛けの上面に沿って移動させる操作以外の所定操作が行われた場合に信号を出力する制御信号出力手段(26)と、を有し、移動可能な範囲が前記抜き孔を含むように前記肘掛けの上面に設定された所定の操作領域(A)に制限された第1入力装置(11)と、前記操作領域と隣接するように前記肘掛けに設けられた設置部(31)に配置された第2入力装置(12)と、前記制御信号出力手段の出力信号に基づいて前記位置センサユニットの出力信号をその出力信号を使用する所定の制御に反映させるか否か切り替える信号制御手段(6)と、を備え、前記設置部は、前記操作ユニットにプレイヤーが手で触れた状態でその手の指が前記第2入力装置に届くように前記操作領域に対して傾けて設けられていることにより、上述した課題を解決する。
【0008】
本発明のゲーム機によれば、設置部は操作ユニットにプレイヤーが手で触れた状態でその手の指が第2入力装置に届くように操作領域に対して傾けて設けられているので、プレイヤーは第1入力装置から手を離すことなく第2入力装置を操作することができる。そのため、これら第1入力装置及び第2入力装置をそれぞれ迅速に操作することができる。また、このゲーム機では、第2入力装置を操作する場合に操作ユニットから手を離す必要がないので、操作ユニットの持ち替えなどに起因する誤操作も抑制できる。さらに位置センサユニットの出力信号は、信号制御手段によって所定の制御に反映させるか否か切り替えることができる。そこで、例えば操作ユニットに対して所定操作が行われて制御信号出力手段から信号が出力されている間は位置センサユニットの出力信号が所定の制御に反映されないように制御する。この場合、プレイヤーは操作ユニットに対して所定操作を行いつつ第2入力装置を操作することにより、第2入力装置を操作しているときに第1入力装置を誤操作することを抑制することができる。第1入力装置の位置センサユニットは肘掛けの外部に抜き孔を介して抜き出せないように設けられているため、第1入力装置が肘掛けから落下することを防止できる。そのため、第1入力装置の破損を抑制できる。また、位置センサユニットに接続される配線コードを肘掛けの内部に収容し、この配線コードが肘掛けの外部に露出することを防止できる。この場合、プレイヤーによって操作ユニットが操作されても例えば配線コードが肘掛けの角に引っ掛かったり操作ユニットと肘掛けの上面との間に挟まれたりすることを防止できる。そのため、操作ユニットが激しく操作されてもこのような引っ掛かりや挟まれることによって配線コードが傷つけられることを防止できる。そして、これにより第1入力装置に接続される配線コードの断線を抑制できる。従って、本発明のゲーム機は、従来のものよりも故障し難い。
【0009】
前記設置部は、前記操作領域の外周の一部に隣接し、かつ幅が前記操作領域の外周の一部の長さと同じになるように設けられてもよい。この場合、操作領域に続けて設置部を設けることができるので、設置部と操作領域との間に無駄なスペースが生じない。また、設置部を操作領域に続けて設けるとともに設置部を操作領域に対して傾けて設けることにより、設置部が操作領域から外側に大きく突出することを防止できる。そして、これにより肘掛けが無駄に大きくなることを防止しつつ操作領域の外側のスペースを有効に活用することができる。なお、設置部は、操作領域の外周の一部が弧状になっていれば操作領域を囲むようにその外周の一部から傾斜して設けられていてもよい。また、四角形状の操作領域の場合には、設置部は操作領域の外周のうちの複数の辺に設けられていてもよい。
【0010】
前記設置部は、内部が中空であり、前記設置部は、その内部が前記肘掛けの内部と繋がるように前記肘掛けに設けられてもよい。この場合、第2入力装置に接続される配線コードを設置部及び肘掛け内に配線できるので、この配線コードを設置部及び肘掛けで守ることができる。そのため、この配線コードの断線を抑制することができる。また、このように肘掛け及び設置部の内部に配線コードを配線することにより、スペースを有効に活用することができる。
【0011】
前記制御信号出力手段は、前記操作ユニットが前記肘掛けの上面から離間する方向に動かされた場合に信号を出力してもよい。このような操作を制御信号出力手段から信号が出力される所定操作に設定することにより、プレイヤーは操作ユニットを持ち上げて制御信号出力手段から信号を出力させつつ操作ユニットを肘掛けの上面に沿って動かすことができる。この場合、例えば制御信号出力手段から信号が出力されている間は位置センサユニットの出力信号が所定の制御に反映されないように位置センサユニットの出力信号を制御することにより、プレイヤーは所定の制御に影響を与えることなく操作ユニットを任意の位置に動かすことができる。また、コンピュータに接続されるマウスでは、一般にマウス自体を持ち上げることによって位置の検出を止めることができる。そのため、このような操作を制御信号出力手段から信号が出力される所定操作に設定することにより、初心者の誤操作を抑制することができる。
【発明の効果】
【0012】
以上に説明したように、本発明のゲーム機によれば、プレイヤーは第1入力装置の操作ユニットから手を離すことなく第2入力装置を操作することができるので、プレイヤーは各入力装置をそれぞれ迅速に操作することができる。また、第2入力装置を操作する場合に操作ユニットから手を離す必要がないので、操作ユニットの持ち替えなどに起因する誤操作も抑制できる。さらに第1入力装置は肘掛けから落下しないように設けられており、かつ位置センサユニットに接続される配線コードを肘掛け内に収容できるので、第1入力装置の破損や第1入力装置に接続される配線コードの断線を抑制できる。従って、本発明のゲーム機は、従来のものよりも故障し難い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一形態に係るゲーム機の要部を示す図。
【図2】図1のゲーム機の右側入力操作部の拡大斜視図。
【図3】右側入力操作部の第1入力装置を拡大して示す図。
【図4】図3のIV−IV線における第1入力装置の断面を示す図。
【図5】第1入力装置の操作ユニットの内部を示す図。
【図6】図2のVI−VI線における肘掛けの断面を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図1は、本発明の一形態に係るゲーム機の要部を示している。このゲーム機1は、プレイヤーが座る椅子2を備えている。図示は省略したが、椅子2の前方にはゲームが表示されるディスプレイが設けられている。椅子2には、肘掛け3L、3Rが設けられている。これら肘掛け3L、3Rは、それぞれ中空に構成されている。左側の肘掛け3Lには、プレイヤーが操作する左側入力操作部4が設けられている。この左側入力操作部4には、コントロールスティック5a及び複数のボタン5bを有する左側入力装置5が設けられている。右側の肘掛け3Rにも、同様にプレイヤーが操作する右側入力操作部10が設けられている。各入力操作部4、10は、それぞれ肘掛け3L、3Rのディスプレイ側先端に設けられている。また、各入力操作部4、10は、プレイヤーが椅子2に座った状態でプレイヤーの手が届く位置に配置されている。椅子2の内部には、ゲームを実行する制御装置6が設けられている。各入力操作部4、10及び不図示のディスプレイは、それぞれこの制御装置6と接続されている。
【0015】
図2〜図6を参照して右側入力操作部10について詳しく説明する。図2は、右側入力操作部10の拡大斜視図である。この図に示したように右側入力操作部10には、第1入力装置11と、第2入力装置12と、ICチップを搭載したICカードから情報を読み出すためのICカードリーダー13とが設けられている。図3に拡大して示すように第1入力装置11は、プレイヤーによって操作される操作部14を備えている。この操作部14は、図2に示した操作領域A内を肘掛け3Rの上面3aに沿って移動可能なように設けられている。図4は、図3のIV−IV線における第1入力装置11の断面図を示している。この図に示したように操作部14は、肘掛け3Rの外側に配置される操作ユニット15と、肘掛け3Rの内部に配置される位置センサユニット16とを備えている。操作ユニット15は、その内部が中空に構成されている。この図に示したように肘掛け3Rの上面3aには、抜き孔17が設けられている。操作ユニット15と位置センサユニット16とは、連結手段としての連結軸18によりこの抜き孔17を介して連結されている。そのため、これらユニット15、16は、肘掛け3Rの上面3aに沿って一体に移動可能なように設けられている。なお、これらのユニット15、16は、肘掛け3Rの上面3aに沿って一体に移動可能なように設けられているが、例えば操作ユニット15が肘掛け3Rの上面3aから徐々に持ち上げられるように移動することも可能である。すなわち、これらのユニット15、16は、肘掛け3Rの上面3aの抜き孔17を上下から挟むようにして一体に移動するように設けられていればよい。連結軸18は内部が中空の筒状である。そのため、操作ユニット15の内部と位置センサユニット16の内部とは連結軸18を介して繋がっている。
【0016】
連結軸18には支持部19が設けられ、操作ユニット15はその支持部19に上下動可能に支持されている。操作ユニット15は、抜き孔17を覆うカバー部20と、そのカバー部20の上部に取り付けられるハンドル部21とを備えている。ハンドル部21は、プレイヤーが手で握って操作することが可能な形状に構成されている。図5は、操作ユニット15の内部を示している。この図に示したように操作ユニット15には、ボタンスイッチ22、23が設けられている。また、操作ユニット15には、プレイヤーが指で前方及び後方に傾けたり内部に押し込んだりすることが可能なダイアル式操作部材24も設けられている。支持部19には上方に延びる4本の支持軸25が設けられている。これら4本の支持軸25は、連結軸18の周囲に約90°毎に配置されている。操作ユニット15の底部にはこれら4本の支持軸25が通される貫通孔15aが設けられており、操作ユニット15はこれら4本の支持軸25によって上下動可能なように支持されている。このように操作ユニット15を4本の支持軸25で支持することにより、操作ユニット15が傾いた状態で持ち上げられることを防止できる。なお、各支持軸25には、操作ユニット15が支持軸25から外れないように不図示の外れ止め部材が設けられている。
【0017】
また、この図に示したように操作ユニット15の内部には、制御信号出力手段としてのリフトセンサ26が設けられている。リフトセンサ26は、操作ユニット15が持ち上げられていない場合には信号を出力せず、操作ユニット15が所定の距離、例えば1mm以上持ち上げられた場合に信号を出力するように構成されている。リフトセンサ26としては、例えば互いに対向する発光部及び受光部を有し、発光部から受光部への光の通過及び遮断によって物体の有無を検出する周知のフォトインタラプタを使用すればよい。具体的には、例えば操作ユニット15が持ち上げられていない場合は発光部から受光部への光が遮断され、操作ユニット15が持ち上げられると発光部から受光部に光が通過するように操作ユニット15にフォトインタラプタを設ければよい。ボタンスイッチ22、23、ダイアル式操作部材24、及びリフトセンサ26には、それぞれ配線コード22a、23a、24a、26aが接続されている。これら配線コード22a、23a、24a、26aは、操作ユニット15及び連結軸18の内部を経由して位置センサユニット16内に引き込まれている。そして、これら配線コード22a、23a、24a、26aは、位置センサユニット16を介してゲーム機1の制御装置6に接続されている。
【0018】
図4を参照して位置センサユニット16について説明する。位置センサユニット16は、連結軸18と一体に上下動するように連結軸18に取り付けられている。位置センサユニット16は、センサ部27と、センサ部27の上面に設けられるプレート部28とを備えている。プレート部28は、センサ部27と一体に移動するようにセンサ部27に取り付けられている。プレート部28は、その上面の面積が抜き孔17の開口面積より大きくなるように構成されている。
【0019】
センサ部27は、操作部14が肘掛け3Rの上面3aに沿って動かされたときに移動方向及び移動量に対応する信号を出力する。センサ部27は、公知のマウスに設けられる検出センサと同様に構成されていればよい。すなわち、ボール、赤外線、又はレーザ等を利用して移動方向及び移動量を検出するように構成されていればよい。肘掛け3Rの内部には、上面3aとほぼ平行になるように配置される支持プレート29が設けられている。この支持プレート29上には、位置センサユニット16が移動可能に載置され、位置センサユニット16を下側から支持する。そのため、センサ部27は支持プレート29上における位置の変化を検出してその検出結果を出力する。センサ部27も配線コード27a(図6参照)にて制御装置6と接続されている。
【0020】
図4に示したように肘掛け3Rの上面3aには、肘掛け3Rの内部に突出するストッパ30が設けられている。このストッパ30は、操作部14の移動範囲を図2に示した操作領域A内に制限するために設けられている。操作部14が操作されて位置センサユニット16がストッパ30に接近するとプレート部28がストッパ30に当たる。上述したようにプレート部28はセンサ部27に一体に取り付けられ、これらは連結軸18を介して操作ユニット15と接続されている。そのため、このようにプレート部28の動きを制限することにより、操作部14の移動範囲を制限することができる。
【0021】
次に第2入力装置12及びICカードリーダー13について説明する。図2に示したように肘掛け3Rには、操作領域Aと隣接するように設置部31が設けられている。この図に示したように操作領域Aは、肘掛け3Rの幅方向に長い長方形状に設けられている。設置部31は、操作領域Aの前側の縁からその縁の長さと同じ幅でディスプレイが設けられている側に延びている。第2入力装置12及びICカードリーダー13は、この設置部31に設けられている。より詳しくは、設置部31のうち第1入力装置11側を向いている面31aに設けられている。この図に示したように第2入力装置12は、複数(図2では12個)のキー32を備えたキーボードとして構成されている。各キー32は、公知のキーボードのキーと同じであるため、詳細な説明は省略する。設置部31は、プレイヤーが第1入力装置11の操作ユニット15に触れている状態でこれら各キー32を押すことが可能なように操作領域Aに対して上方に傾けられている。また、各キー32は、プレイヤーが第1入力装置11の操作ユニット15に触れている状態でそれらのキー32を押すことが可能なようにプレイヤーの指の届く範囲内に配置されている。ICカードリーダー13は、その上部にICカードが置かれるとそのICカードに記録されている情報を読み出す周知のものである。
【0022】
図6は、図2のVI−VI線における肘掛け3Rの断面を示している。この図に示したように設置部31は肘掛け3Rと同様に中空に構成されている。また、設置部31は、その内部が肘掛け3Rの内部と繋がるように肘掛け3Rに設けられている。第2入力装置12は、配線コード12aによって制御装置6と接続されている。配線コード12aは、設置部31及び肘掛け3Rの内部をそれぞれ経由して制御装置6に配線されている。なお、図示は省略したがICカードリーダー13も配線コードによって制御装置6と接続されており、その配線コードは配線コード12aと同様に設置部31及び肘掛け3Rの内部をそれぞれ経由して制御装置6に配線されている。
【0023】
次にゲーム機1及び各入力操作部4、10の動作について説明する。このゲーム機1では、プレイヤーがゲーム機1に設けられている不図示のスタートボタンを押すと、制御装置6がその内部に記憶されているゲームプログラムを実行する。そして、制御装置6は、ゲームプログラムに従ってディスプレイにゲーム画面を表示する。プレイヤーは、そのゲーム画面に応じて各入力操作部4、10を操作する。なお、プレイヤーは、これら入力操作部4、10を椅子2に座った状態で操作する。
【0024】
ゲーム機1では、プレイヤーは不図示のディスプレイに表示されるキャラクタを操作することによってゲームを遊ぶ。左側入力装置5は、主にこのキャラクタをゲーム内で移動させるために使用される。また、プレイヤーは、このキャラクタの情報が記録されているICカードをICカードリーダー13上に置くことにより、そのICカードに記録されている情報をゲームに反映させることができる。すなわち、ICカードリーダー13は、キャラクタの情報入力のために使用される。ゲームがスタートした直後、ゲーム機1のディスプレイにはプレイヤーが操作するキャラクタを背後からカメラで映した画面が表示される。右側入力操作部10の第1入力装置11は、このキャラクタを映しているカメラの位置を動かしてゲーム画面を切り替えるために使用される。ゲーム機1のゲーム内では、プレイヤーが操作するキャラクタ以外に複数のキャラクタ(以下、他キャラクタと称することがある。)が存在し、プレイヤーはそれら他キャラクタに指示を出すことができる。右側入力操作部10の第2入力装置12は、プレイヤーがこの指示を入力するために使用される。例えば、各キー32に互いに異なる指示を予め登録しておき、プレイヤーに所望の指示が登録されているキー32を押させることにより指示を入力可能にすればよい。
【0025】
制御装置6は、プレイヤーが各入力操作部4、10を操作した場合にその操作に応じた処理を実行する。例えば、プレイヤーがICカードリーダー13上にICカードを置くと、そのICカードの情報を読み出してゲームに反映させる。プレイヤーが左側入力装置5を操作すると、制御装置6はその左側入力装置5からの出力信号に応じてキャラクタを移動させる。プレイヤーが第1入力装置11の操作部14を肘掛け3Rの上面3aに沿って動かすと、制御装置6は位置センサユニット16からの出力信号に基づいてディスプレイに表示されるゲーム画面をスクロールさせる。具体的には、操作部14が右側に動かされるとキャラクタを映しているカメラがキャラクタを中心として右側に回り込むように、操作部14が左側に動かされるとそのカメラがキャラクタを中心として左側に回り込むようにゲーム画面をスクロールさせる。また、操作部14が前方に動かされるとキャラクタを映しているカメラがキャラクタを中心として上側に回り込むように、操作部14が手前側に動かされるとそのカメラがキャラクタを中心として下側に回り込むようにゲーム画面をスクロールさせる。さらに、プレイヤーが操作ユニット15を持ち上げてリフトセンサ26から信号が出力されると、制御装置6は位置センサユニット16の出力信号がゲームに反映されないようにその出力信号を無効にする。この位置センサユニット16の出力信号の無効処理は、位置センサユニット16からの出力信号は受け取るがその出力信号に応じた処理を実行しないことによって実現してもよいし、位置センサユニット16からの出力信号の受け取りを拒否することによって実現してもよい。プレイヤーが第2入力装置12のいずれかのキー32を押すと、制御装置6は他キャラクタがそのキー32の指示に応じた動きをするように他キャラクタの動きを制御する。そして、制御装置6は、ゲームが終了する条件が成立するまでゲームにこれらの処理を実行する。
【0026】
このゲーム機1では、上述したように操作ユニット15が持ち上げられると位置センサユニット16からの出力信号が無効にされる。そのため、操作部14の移動可能な範囲が操作領域Aに制限されていても、第1入力装置11からはその操作領域A内における最も長い距離よりも大きい移動量に対応した信号を出力させることができる。例えば、操作部14が操作領域Aの外周付近まで動かされた場合、プレイヤーがその位置で操作ユニット15を持ち上げることにより、プレイヤーはゲームに影響を与えることなく操作部14を操作領域Aの中央付近に動かすことができる。そして、プレイヤーは操作ユニット15を降ろして再度同じ方向に操作部14を動かすことにより、その方向への画面のスクロールを継続して行うことができる。そのため、操作部14の移動可能な範囲が操作領域Aに制限されても、その操作領域Aに制限されることなく画面をスクロールさせることができる。
【0027】
また、このゲーム機1においては、プレイヤーはゲームの進行状態に応じて他キャラクタに対して指示を出すことがある。このような場合、プレイヤーは、まず第1入力装置11を操作して指示を出すべき他キャラクタを画面に表示させて他キャラクタの状態を確認し、次に第2入力装置12のいずれかのキー32を押して画面に表示させた他キャラクタに指示を出す。この際、プレイヤーは、第1入力装置11の操作から第2入力装置12の操作までを迅速に行うべく、操作部14に触れたままキー32を押そうとする。上述したようにこのゲーム機1では、操作ユニット15が持ち上げられた場合は位置センサユニット16からの出力信号が無効になる。そのため、プレイヤーは、操作ユニット15を持ち上げることにより、ゲームの進行に影響を与えることなく操作部14を第2入力装置12の近くに動かすことができる。また、上述したように設置部31はプレイヤーが操作ユニット15に触れたままキー32を押せるように上方に傾いているので、プレイヤーは操作ユニット15から手を離すことなくキー32を押すことができる。すなわち、このゲーム機1では、プレイヤーは操作ユニット15から手を離すことなく第1入力装置11及び第2入力装置12のそれぞれを操作することができる。なお、第1入力装置11からの入力を再開したい場合は、操作ユニット15の持ち上げを中止すればよい。このようにリフトセンサ26の出力信号に応じて位置センサユニット16の出力信号をゲームに反映させたりその反映を禁止したりすることにより、制御装置6が本発明の信号制御手段として機能する。
【0028】
以上に説明したように、このゲーム機1によれば、プレイヤーは操作ユニット15から手を離すことなく第1入力装置11及び第2入力装置12のそれぞれを操作できるので、プレイヤーはこれらの入力装置11、12をそれぞれ迅速に操作することができる。また、操作ユニット15から手を離す必要がないため、操作ユニット15の持ち替え等に起因する誤操作を抑制することができる。さらに、操作ユニット15を持ち上げたまま第2入力装置12を操作することができるので、第2入力装置12を操作する際にプレイヤーの腕が操作ユニット15に当たることがない。
【0029】
第1入力装置11の操作部14は位置センサユニット16が抜き孔17を介して肘掛け3Rの外側に取り出せないようになっているため、操作部14が肘掛け3Rから落下することを防止できる。そのため、落下による操作部14の破損を防止できる。また、第1入力装置11の配線コード22a、23a、24a、26a、27aを肘掛け3Rの内部に収容し、これらの配線コード22a、23a、24a、26a、27aが肘掛け3Rの外部に露出することを防止できる。この場合、操作ユニット15が激しく操作されてもこれらの配線コード22a、23a、24a、26a、27aが肘掛けの角に引っ掛かったり操作ユニット15と肘掛け3Rの上面3aとの間に挟まれたりすることを防止できるので、これらの配線コード22a、23a、24a、26a、27aが傷つけられることを抑制できる。そのため、これらの配線コード22a、23a、24a、26a、27aの断線を抑制できる。肘掛け3R及び設置部31は、それぞれ中空に構成され、第2入力装置12の配線コード12a及びICカードリーダー13の配線コードは、これら肘掛け3R及び設置部31の内部に配線されている。そのため、これらの配線コードの断線も抑制できる。そのため、従来よりもゲーム機1を故障し難くすることができる。さらに、このように肘掛け3R及び設置部31を中空に構成することにより、肘掛け3Rの裏のスペースを有効に活用してゲーム機1の大型化を防止できる。この他、配線コードが外部に剥き出しになることを防止できるので、外観を良くできる。
【0030】
本発明は上述の形態に限らず種々の形態にて実施されてよい。例えば、設置部には、キーボードの代わりに画面にタッチして入力を行うタッチパネルコントローラが設けられていてもよい。また、キーボード等の入力装置に加えてヘッドホンを接続する端子、音声入力用のマイク、又は家庭用ゲーム機のコントローラを接続可能な端子が設置部に設けられていてもよい。
【0031】
本発明のゲーム機において設置部が設けられる位置は、上述した形態で示した位置に限定されない。例えば、操作領域から肘掛けの左側又は右側に延びるように設置部を設けてもよい。この場合、第2入力装置をプレイヤーが操作領域に手を置いたときにその手の右側や左側に配置することができる。例えば、椅子に座ったプレイヤーから見て設置部が肘掛けの左側に設けられている場合、プレイヤーは操作ユニットに手を載せたままその手の親指で第2入力装置を操作することができる。また、設置部の個数は1個に限定されない。例えば、操作領域から肘掛けの長手方向に延びるように第1の設置部を設けるとともに操作領域から肘掛けの左側に延びるように第2の設置部を設けてもよい。この場合、操作領域の周囲にさらに多くの入力装置を配置することができる。設置部は、操作領域の周囲に連続して設けられていてもよい。例えば、操作領域が円状や楕円状に形成されている場合には、設置部はその操作領域を囲むように操作領域の外周の一部に連続して設けられていてもよい。
【0032】
位置センサユニットの出力信号をゲームに反映させるか否か切り替える信号を出力する手段は、リフトセンサに限定されない。例えば、操作ユニットにボタンスイッチを設け、このボタンスイッチが押されてこのスイッチから信号が出力されている間は制御装置が位置センサユニットの出力信号を無効するようにしてもよい。この場合、このボタンスイッチを押す操作が、本発明の所定操作に相当する。
【0033】
上述した形態では、制御装置がリフトセンサの出力信号に基づいて位置センサユニットの出力信号をゲームに反映させるか否か制御するが、この制御を行う信号制御装置を制御装置とは別に設けてもよい。例えば、信号制御装置を位置センサユニットとゲーム機の制御装置との間に設ける。そして、信号制御装置は、リフトセンサの出力信号を検知すると位置センサユニットの信号が制御装置に出力されないように位置センサユニットの出力信号を制御する。この場合でも上述した形態と同様に、操作ユニットを持ち上げたまま操作部を動かすことによってゲームの進行に拘わりなく操作部を任意の位置に動かすことができる。なお、この信号制御装置は、操作ユニット内又は位置センサユニット内などに配置したり位置センサユニットの外側に取り付けるなど右側入力操作部と一体に設けてもよい。この場合、信号制御装置が本発明の信号制御手段に相当する。
【符号の説明】
【0034】
1 ゲーム機
2 椅子
3R 肘掛け
3a 肘掛けの上面
6 制御装置(信号制御手段)
11 第1入力装置
12 第2入力装置
15 操作ユニット
16 位置センサユニット
17 抜き孔
18 連結軸(連結手段)
26 リフトセンサ(制御信号出力手段)
31 設置部
A 操作領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部が中空であるとともに上面に抜き孔を有する肘掛けを備えた椅子と、
前記抜き孔を介して前記肘掛けの外側に抜き出し不能なように前記肘掛けの内部に配置され、前記肘掛けの上面に沿って動いたときの移動方向及び移動量に対応する信号を出力する位置センサユニットと、前記肘掛けの外側に配置された操作ユニットと、前記位置センサユニットと前記操作ユニットとが前記肘掛けの上面に沿って一体的に移動可能なように前記抜き孔を介して前記位置センサユニットと前記操作ユニットとを互いに連結する連結手段と、前記操作ユニットに対して前記肘掛けの上面に沿って移動させる操作以外の所定操作が行われた場合に信号を出力する制御信号出力手段と、を有し、移動可能な範囲が前記抜き孔を含むように前記肘掛けの上面に設定された所定の操作領域に制限された第1入力装置と、
前記操作領域と隣接するように前記肘掛けに設けられた設置部に配置された第2入力装置と、
前記制御信号出力手段の出力信号に基づいて前記位置センサユニットの出力信号をその出力信号を使用する所定の制御に反映させるか否か切り替える信号制御手段と、
を備え、
前記設置部は、前記操作ユニットにプレイヤーが手で触れた状態でその手の指が前記第2入力装置に届くように前記操作領域に対して傾けて設けられていることを特徴とするゲーム機。
【請求項2】
前記設置部は、前記操作領域の外周の一部に隣接し、かつ幅が前記操作領域の外周の一部の長さと同じになるように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のゲーム機。
【請求項3】
前記設置部は、内部が中空であり、
前記設置部は、その内部が前記肘掛けの内部と繋がるように前記肘掛けに設けられていることを特徴とする請求項1又は2に記載のゲーム機。
【請求項4】
前記制御信号出力手段は、前記操作ユニットが前記肘掛けの上面から離間する方向に動かされた場合に信号を出力することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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