説明

ゲーム玩具

【課題】 幼児用知育教具であって、簡単にターゲットを獲得することができるゲーム玩具でありながら、その獲得したターゲットの数を数える等を学習する教具でもあり、対面する2人の遊技者で遊ぶ場合にターゲットを獲得する機会を交互に得ることができるという興味あふれるゲーム玩具を提供する。
【解決手段】 操作ボタン11を操作してボール等のターゲットを獲得するゲーム玩具10であって、形状体20と、形状体20の上部でボール等のターゲット18を複数貯蔵するターゲット皿13と、ターゲット皿13を支持して回転させる回転軸15と、ターゲット皿13に貯蔵されるターゲット18を吊持する係止部14と、を備え、形状体20が操作ボタン11が押下されることにより開口して上昇し、操作ボタン11が離反されることにより閉口して下降しながらターゲット18を獲得し、その時ターゲット皿13を所定の角度だけ回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、幼児用知育教具としてのゲーム玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文件1に示す多機能性を持つ算数おけいこ皿のように、積み木を利用して足し算や引き算を学ぶための教具とする玩具はあった。また、下記の特許文献2には、二人の遊戯者がゲーム面を挟んで向かい合い、ゲームをしている相手の様子を見ることができ、且つ、ゲーム面に現われている形状体を各人が間近に見ながら操作できる格闘技又は球技を競い合う対面式ゲーム玩具が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3041323号公報
【特許文献2】特開平8−206353号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の特許文献1に示す多機能性を持つ算数おけいこ皿は、足し算や引き算を学習する教具であるが、遊技性に乏しいことから、楽しく継続的に使用される玩具ではなかった。また、上述の特許文献2に示す対面式ゲーム玩具も、技量の異なる遊技者同士が競い合う場合に、技量のすぐれた遊技者が有利にゲームを進めてゲームの勝者となる可能性が高いことから、技量の乏しい遊技者は飽きてしまい興味を持続させることが困難であった。
【0005】
そこで、本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、幼児用知育教具であって、簡単にボール等のターゲットを獲得することができるゲーム玩具でありながら、その獲得したターゲットの数を数える等の学習する教具でもあり、対面する2人の遊技者で遊ぶ場合にボール等のターゲットを獲得する機会を交互に得ることができるという興味あふれるゲーム玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のゲーム玩具は、操作ボタンを操作してボール等のターゲットを獲得するゲーム玩具であって、前記操作ボタンを押下することにより、開口して上昇する形状体と、前記形状体の上部で前記ボール等のターゲットを複数貯蔵するターゲット皿と、前記ターゲット皿を支持して回転させる回転軸と、前記ターゲット皿に貯蔵されるターゲットを吊持する係止部と、を備え、前記形状体は前記操作ボタンが押下されることにより開口して上昇し、該操作ボタンが離反されることにより閉口して下降しながら前記係止部の前記ターゲットを獲得し、前記ターゲット皿を所定の角度だけ回転させることを特徴とする。
【0007】
また、本発明のゲーム玩具において、前記形状体が前記回転軸位置を中心として対称に配置された2体であって、夫々の形状体を操作させる操作ボタンを有することが好適である。
【0008】
そして、本発明のゲーム玩具において、前記ターゲットが前記形状体に獲得されると、前記ターゲット皿に貯蔵される別のターゲットが前記係止部に移動して吊持されることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明のゲーム玩具において、前記係止部は、前記ターゲット皿の周縁近傍の3箇所の底部に等間隔に位置し、該底部から下方に延設され、前記係止部の内の1個が前記2体の形状体の何れか一方の真上の位置に停止するようにターゲット皿が回転及び停止するものである。
【0010】
また、本発明のゲーム玩具は、前記形状体に獲得されたターゲットを収納するターゲット収納皿を備えるものである。
【0011】
さらに、本発明のゲーム玩具における前記ターゲットは、ボール、パン、ハンバーグ又はホットドッグを模した形状とされることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、幼児用知育教具であって、簡単にボール等のターゲットを獲得することができるゲーム玩具でありながら、その獲得したターゲットの数を数える等の学習する教具でもあり、対面する2人の遊技者で遊ぶ場合にボール等のターゲットを獲得する機会を交互に得ることができるという興味あふれるゲーム玩具を提供することができる。
【0013】
また、本発明のゲーム玩具によれば、形状体が回転軸位置を中心として対称に配置されているために、2人の遊技者が各形状体を夫々操作してターゲットを獲得しあって競い合うことができるので、白熱した遊技を楽しむことができる。
【0014】
さらに、本発明のゲーム玩具によれば、ターゲットが形状体に獲得されるとターゲット皿に貯蔵される別のターゲットが係止部に移動して吊持されることから、ゲームの進行を止めることなく遊技できる。
【0015】
また、本発明のゲーム玩具によれば、係止部の内の1個が2体の形状体の何れか一方の真上の位置に係止するようにターゲット皿が回転及び停止することから、2人の遊技者が交互にターゲットを獲得して楽しむことができる。
【0016】
そして、本発明のゲーム玩具によれば、獲得したターゲットを収納するターゲット収納皿を備えることから、遊技者が獲得したターゲットの数を容易に数えることができる。
【0017】
また、本発明によれば、ターゲットとしてパン、ハンバーガー、ホットドッグ等を模したターゲットにして、よりリアルなパン食い競争のゲーム玩具とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施例に係るゲーム玩具の外観斜視図である。
【図2】本発明の実施例に係るゲーム玩具の正面から見た内部機構を示す説明図である。
【図3】本発明の実施例に係るゲーム玩具の底部から見た内部機構を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例に係るゲーム玩具のクラッチ機構の動作を示す正面から見た拡大断面図である。
【図5】本発明の実施例に係るゲーム玩具の形状体上昇前の状態に関して正面から見た内部機構を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例に係るゲーム玩具の形状体上昇直後の状態に関して正面から見た内部機構を示す説明図である。
【図7】本発明の実施例に係るゲーム玩具の形状体最高上昇状態から下降直後の状態に関して正面から見た内部機構を示す説明図である。
【図8】本発明の実施例に係るゲーム玩具の形状体が下降して元の位置に復帰時の状態に関して正面から見た内部機構を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例に係るゲーム玩具の形状体上昇前の状態に関して側面から見た内部機構を示す説明図である。
【図10】本発明の実施例に係るゲーム玩具の形状体最高上昇状態から下降直後の状態に関して側面から見た内部機構を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明を実施するための形態について述べる。本発明のゲーム玩具10は、二人の遊技者が向かい合ってそれぞれの操作ボタン11を操作して動作させる幼児用知育教具としてのゲーム玩具10である。また、ゲーム玩具10において、形状体20がゲーム玩具10中央に位置する回転軸15を中心として対称に配置された2体であって、各操作ボタン11を押すことにより、形状体20の口から上の顔部分を示す口部21を開けながら上昇する各形状体20と、各形状体20の上部で複数のボール等のターゲット18を貯蔵するターゲット皿13とを備える。そして、ゲーム玩具10は、ターゲット皿13を支持して回転させる回転軸15と、ターゲット皿13に貯蔵されるターゲット18を吊持するターゲット係止部14と、形状体20が口部21を開けながら上昇してターゲット係止部14のターゲット18をくわえる様に獲得して収納させるターゲット収納皿64と、を備える。そして、ゲーム玩具10は、操作ボタン11を押すことにより形状体20が口部21を開けながら上昇し、操作ボタン11を離すことにより口部21を閉じながら形状体20が下降するとともに、ターゲット皿13を所定の角度だけ回転させるものである。
【0020】
ターゲット係止部14は、ターゲット皿13の周縁近傍の3箇所の底部に等間隔に位置し、該底部から下方に延設されている。そして、3個のターゲット係止部14の内の1個が2体の形状体20の何れか一方の真上の位置に停止するようにターゲット皿13が回転及び停止する。
【0021】
そして、ターゲット18が形状体20の何れかにくわえる様に獲得されると、ターゲット皿13に貯蔵される別のターゲット18がターゲット係止部14に移動して吊持される。
【実施例】
【0022】
以下、図面に基づいて本発明の実施例について詳細に説明する。図1は、本発明のゲーム玩具10の外観斜視図である。図示するゲーム玩具10の左右には、パン食い競争を模して口部21を開けながら上昇するキャラクター人形とする形状体20が、台座となる筐体30の上で、ゲーム玩具10中央に位置する回転軸15と等距離でそれぞれ対向するようにして配置されている。そして、左右の各形状体20は、同一構造及び同一形状を有していることから同一符号を用いて説明する。なお、ゲーム玩具10は、上面が縦125mm、横300mmの長方形である筐体30の長手方向を左右方向とし、図1に示すゲーム玩具10の手前を正面、左右を側面とする。また、特定の部材及び螺子等を除いた構成部材は、硬質の樹脂で生成されている。
【0023】
各形状体20の背後には、各形状体20の口部21を開けながら上昇させるための操作ボタン11がそれぞれ配置されている。
【0024】
ゲーム玩具10の中央上部には、パン食い競争のパンの代わりであるボール等のターゲット18を貯蔵しておくためのターゲット皿13がある。そして、ターゲット皿13は、中央に位置する回転軸15に支持されて配置されている。
【0025】
そして、ターゲット皿13に貯蔵されているターゲット18は、皿の下面に等間隔で設けられる3箇所の穴を通過して、各ターゲット係止部14で係止される。そして、パン食い競争のパンを吊るすようにターゲット18が何れかの形状体20の上方で保持されることとなる。形状体20は、操作ボタン11が押下されて、口部21を開けながら上昇し、操作ボタン11が離反されてターゲット係止部14のターゲット18をくわえる様に獲得して下降する。獲得されたターゲット18は、形状体20内部を通過して形状体20背面に設けたターゲット誘導部63から形状体20外部に排出され、筐体30上に設置されるターゲット連絡路32に落下するとターゲット連絡路32の斜面を転がって筐体30の正面側に導かれ、ターゲット収納皿64に落下し収納される。
【0026】
また、ターゲット皿13は、操作ボタン11の押下離反により、ゲーム玩具10上方から見て60度ずつ反時計周りに回転するものであり、皿下面の周縁近傍に120度間隔の均等な位置に穴を3箇所設けている。ターゲット係止部14は、遊戯中に交互で何れかの形状体20の上方で保持される。つまり、対面する2人の遊技者は、ターゲット18を獲得する機会を交互に得る。
【0027】
次に、操作ボタン11の押下離反に関わる筐体30内部の構造について説明する。図2は、正面から見たゲーム玩具10の筐体30内部の機構を示す説明図である。また、図3は、底部から見たゲーム玩具10の筐体30内部の機構を示す説明図である。なお、筐体30内部では、中央に位置する回転軸15の左右で同一構造及び同一形状を有することから、左右夫々の構成部材には同一符号を付けて説明する。
【0028】
図2に示すように、操作ボタン11下方の筐体30内部には、形状体20を上下動させるためにシーソ動作する回動部材40が配置される。ゲーム玩具10は、この回動部材40により、操作ボタン11が押下されて形状体20を上昇させ、押下された操作ボタン11が離反されると形状体20を下降させることとなる。
【0029】
形状体20の内部には形状体バネ39が配置されている。形状体バネ39は、一端が回動部材40に接続され、他端が形状体20内部の後述する形状体台座内部の壁に接続される。そして、形状体バネ39は、上昇した形状体20を下降する方向に付勢させるものである。
【0030】
回動部材40の中央に位置するシーソ動作の軸である回動軸41は、筐体30の内部の上面に配置される軸受部で軸支されている。また、回動部材40には、回動軸41を基点として、回動部材40の下面から垂直方向にターゲット皿13を回転させるための作動レバー42が延設されている。
【0031】
作動レバー42は、後述するクラッチ機構の駆動源であるアーム43の中央部分にあるアーム連結部43aに係合されており、回動部材40のシーソ動作に応じて左右に揺動してアーム43を水平作動させるものである。そして、アーム43は、筐体30内部の側面でアームバネ38と接続されて筐体30側面方向に付勢されている。アームバネ38は、回動部材40のシーソ動作に応じてアーム43が水平作動されることに連動し、具体的には操作ボタン11が押下されると伸長し、操作ボタン11が離反されると伸長状態が解除されて元の状態となる。
【0032】
これにより、アーム43は、操作ボタン11の押下によって、図3に示す回転軸円板部16方向(以下、正方向)に水平作動する。アーム43には、回転軸円板部16近傍で、後述するクラッチホイールに設けられたアーム用突起体52と嵌め合うアームU字溝44が形成されている。そして、アーム43が正方向に水平作動するとアームU字溝44と嵌め合うアーム用突起体52も作動する。
【0033】
正方向に作動したアーム43は、操作ボタン11が離反されるとアームバネ38の付勢により筐体30側面方向(以下、逆方向)に戻って元の状態となる。アーム43が逆方向に水平作動するとアームU字溝44と嵌め合うアーム用突起体52も作動する。
【0034】
そして、アーム43の正方向及び逆方向の作動により回転軸円板部16を一方向に回転させる、後述するクラッチ機構を実現し、ターゲット皿13を回転させる。
【0035】
筐体30内部の中央には、図2に示したようにゲーム玩具10上部に位置するターゲット皿13と一体とされる回転軸15が筐体30上面から筐体30内部まで回転可能なように挿入されている。そして、筐体30内部の下方において回転軸15の先端は、回転軸円板部16と一体とされている。
【0036】
回転軸円板部16は、回転軸15の外径よりも大きい直径の円板形状をしている。そして、回転軸円板部16の上面には図3に示したように6個のクラッチ突起17が円板形状の周縁近傍で60度間隔で均等に配置されている。また、回転軸円板部16の下面中央には、筐体30内部の下面に設けられた突起部を支持する穴が設けられている。
【0037】
続いて操作ボタン11の押下離反によりターゲット皿13を一方向に回転させるクラッチ機構について詳細に説明する。図4は、正面から見たゲーム玩具10の筐体30内部の中央底部に位置するクラッチ機構の一連の動作を示す拡大断面図である。
【0038】
クラッチ機構は、駆動源であるアームU字溝44を有するアーム43と、図4(a)に示すアーム43の正方向(図の左向きの矢印)作動により回動するアーム用突起体52を有するクラッチホイール50と、クラッチホイール50のクラッチ歯51と一方向で噛み合って回転するクラッチ突起17を備える回転軸円板部16と、により構成される。
【0039】
回転軸円板部16は、先述のとおりゲーム玩具10の上部に位置するターゲット皿13及びターゲット皿13を支持して一体となる回転軸15とゲーム玩具10の底部で一体とされている。そして、回転軸円板部16は、円板形状をなしており回転軸円板部16のクラッチホイール50側の面には、クラッチホイール50のクラッチ歯51と一方向で噛み合うクラッチ突起17を有する。クラッチ突起17は、円柱形状をしており、円周を形成するように60度間隔で均等に6個配置されている。
【0040】
クラッチホイール50は、円板形状をして耐摩耗性に優れ、摩擦係数が少なく、弾力性を有する熱可塑性樹脂で生成されており、中央に穴を有して回転軸15に回転可能なように挿入されて配置されているものである。図示するクラッチホイール50の回転軸円板部16側の面には、回転軸円板部16のクラッチ突起17と一方向で噛み合うクラッチ歯51が円周を形成するように60度間隔で均等に6個配置される。クラッチ歯51は、直方体の一辺を緩やかな斜面とするテーパー形状をしている。
【0041】
そして、クラッチホイール50の上方の面には、図3に示したようにアーム43に形成されたアームU字溝44と嵌め合うアーム用突起体52が配置される。アーム用突起体52は、円柱形状をしており、左右のアーム43に形成された夫々のアームU字溝44と嵌め合うように回転軸15を中心とした点対称の位置に2個配置される。そして、クラッチホイール50は、回転部材とすることによりアーム43の水平動作を回転方向の動作に変換させる働きを有する。
【0042】
クラッチ機構は、図4(a)に示したように操作ボタン11の押下によるアーム43を正方向(図の左向きの矢印)に作動させると、アームU字溝44と嵌め合うアーム用突起体52を回動させて、ゲーム玩具10上方から見ればクラッチホイール50を回転軸15中心に60度時計回り(以下、正回転)させることとなる。
【0043】
クラッチホイール50が60度正回転することにより、クラッチホイール50の6個のクラッチ歯51は、回転軸15を中心に正回転する。各クラッチ歯51は、各クラッチ歯51のテーパー部斜面が図4(b)に示すようにクラッチホイール50の下方にある回転軸円板部16の各クラッチ突起17と接触するように正回転する。
【0044】
但し、回転軸円板部16がターゲット皿13及び回転軸15と一体とされて静止摩擦力が大きなことから、図4(b)に示したように各クラッチ歯51の斜面と回転軸円板部16の各クラッチ突起17の円柱側面とが接触して各クラッチ歯51が正回転しても、各クラッチ突起17はその停止位置を維持して回転軸円板部16が正回転することがない構造とする。
【0045】
そして、クラッチホイール50は、その材質を耐摩耗性に優れ摩擦係数が少なく弾力性を有する材質とすることにより、各クラッチ歯51が各クラッチ突起17に接触してもクラッチ突起17を有する回転軸円板部16を回転させることなく、図4(b)に示したようにその形状を変形させて、クラッチ突起17との接触圧を逃がしながら正回転することとなる。
【0046】
これにより、クラッチホイール50が60度正回転しても、回転軸円板部16のクラッチ突起17は正回転せずその位置を変えることがない。具体的には、正回転する各クラッチ歯51の緩やかな斜面が不動の各クラッチ突起17の上面を通過して、各クラッチ歯51の壁部分と各クラッチ突起17とが接触した位置でクラッチホイール50が停止することとなる。
【0047】
一方、押下された操作ボタン11が離反されると、図4(c)に示すようにアーム43が逆方向(図の右向きの矢印)に作動する。そして、クラッチ機構は、操作ボタン11の離反によりアーム43を逆方向に作動させると、アームU字溝44と嵌め合うクラッチホイール50のアーム用突起体52を回動させて、ゲーム玩具10上方から見ればクラッチホイール50を回転軸15を中心に60度反時計回り(以下、逆回転)させることとなる。
【0048】
クラッチホイール50を逆回転させることにより、クラッチホイール50の6個のクラッチ歯51は、回転軸15を中心に逆回転する。逆回転するクラッチ歯51は、クラッチ歯51の壁部分とクラッチ突起17とが噛み合うこととなる。
【0049】
そして、逆回転するクラッチホイール50の回転動力が回転軸円板部16のクラッチ突起17に伝達されて、回転軸円板部16は、回転軸15を中心に逆回転することとなる。これにより、回転軸円板部16と一体とされるターゲット皿13はゲーム玩具10の上方から見て60度反時計回りすることとなる。
【0050】
そして、このクラッチ機構は、左右のアーム43による作動において同様に機能するものである。左右何れかのアーム43が正方向に作動すると、クラッチホイール50が60度正回転し、クラッチホイール50に形成される2つのアーム用突起体52が回転軸15を中心に正回転する。
【0051】
2つのアーム用突起体52が回動すると、各アーム用突起体52と嵌め合うアームU字溝44を形成する左右の各アーム43が作動することとなるから、左右何れかの操作ボタン11が押下されて、それに伴う一方のアーム43が正方向に作動すると、他方のアーム43も正方向に作動することとなる。
【0052】
つまり、各アーム43は、左右何れかの操作ボタン11の押下により、正方向に作動することとなる。また、各アーム43は、操作ボタン11が押下されると正方向に作動し、押下された操作ボタン11が離反されると逆方向に作動することから、両方の操作ボタン11が押下されて、何れかの操作ボタン11が離反されても、何れかの操作ボタン11が押下されたままであれば、アーム43は正方向に作動したままの状態となる。
【0053】
これにより、ゲーム玩具10は、相対する遊技者により同時に操作ボタン11が押下されて、片方の操作ボタン11が離反されても、ターゲット皿13を回転させることがない。即ち、ゲーム玩具10は、両者の操作ボタン11が離反されると、ターゲット皿13を60度反時計周りに回転させることとなる。
【0054】
次に、形状体20の内部構造について図を用いて説明する。図5乃至図8は、正面から見た形状体20の内部構造を示しながら上下動の一連の動作を示す説明図である。また、図9及び図10は、側面から見た形状体20の内部構造を示しながら下降時と上昇時の動作を示す説明図である。
【0055】
形状体20は、図5及び図9に示すように前胴部25、後胴部26、口開放レバー22を有する口部21、口開閉バネ29、可動手部27、可動足部28、形状体台座24及びマント65により構成される。また、形状体20の内部には、形状体20を上下動させるべくシーソ動作する先述の回動部材40に支持される上下動部材23を有する。
【0056】
前胴部25は、形状体20本体の前面をなす部材である。前胴部25は、上を向く形状体20の手足を除く胴体の前面と顎部分とを形成する。また、前胴部25の腹部内側には、上下動部材23と連動させるとともに、口部21を閉口させる側に付勢させる口開閉バネ29を設けている。口開閉バネ29は、一端を前胴部25の腹部内側に係止され、他端を前胴部25内側と上下動部材23との相対する面における上下動部材23上方に係止されている。
【0057】
後胴部26は、形状体20本体の後面をなす部材である。後胴部26は、手足を除く胴体の後面を形成する。また、後胴部26の中央には、後述するターゲット18を形状体20外部に排出するための穴であるターゲット誘導部63が形成されている。
【0058】
上下動部材23は、下方が棒状でその先端を回動部材40に支持されており、上方が板状で形成されており、形状体20の内部で前胴部25の腹部内側と口開閉バネ29を介して接続されている。また、上下動部材23は、上方に後述する口部21を開放させるための口開放レバー22と係合する係合部62を有する。
【0059】
口部21は、顎部分を除いた形状体20の顔部分を示す部材である。そして、口部21は、耳下首部分に口を開閉させるための口開放レバー22を有する。ここで、口部21の開閉動作について説明する。口開放レバー22は、上下動部材23の上方に位置する係合部62に係合されており、図6に示すように形状体20の上昇動作開始時に係合部62が僅かに上昇して口開放レバー22を開放側である上方に移動させることにより口部21を開放させることとなる。
【0060】
そして、図7に示すように上下動部材23の下降動作開始時に係合部62が僅かに下降すると、口開閉バネ29の付勢により口開放レバー22を閉口側である下方に移動させて口部21を閉口させることとなる。
【0061】
そして、形状体20は、前胴部25と後胴部26とにより中空な胴体を形成しており、形状体20内部には筐体30上面で固定されており後述する中空の形状体台座24を配置しており、さらにその中空な形状体台座24の内部には、上下動する上下動部材23が挿入されている。
【0062】
可動手部27は、図9に示したように形状体20の左右の手部分であり、後胴部26と前胴部25との間に嵌めこむようにして形成される。そして、可動手部27は、可動手部27の脇部周辺が上下動部材23の上昇の際に、後述する形状体台座24に設けられた上方にある係合突起61及び係合突起61周辺の平端部と係合して両手を広げる動作を行う。
【0063】
可動足部28は、形状体20の左右の足部分であり、後胴部26と前胴部25との間に嵌めこむようにして形成される。そして、可動足部28は、可動足部28の内側くるぶし部分が上下動部材23の上昇の際に、後述する形状体台座24に設けられた下方にある係合突起61及び係合突起61周辺の平端部と係合してその両足を開閉させる動作を行う。
【0064】
形状体台座24は、ゲーム玩具10の筐体30上面で螺子等により接続されて配置されており、形状体20を所定位置に配置させるものである。形状体台座24の下方は、円板形状をしており、上方は、棒形状で、形状体20の両足の間から形状体20内部にかけて遊挿される。
【0065】
また、形状体台座24の上方には、先述の係合突起61及び係合突起61周辺の平端部を設けている。形状体20内部で、係合突起61及び係合突起61周辺の平端部と可動手部27の脇部周辺及び可動足部28の内側くるぶし周辺が干渉することにより、形状体20が上昇する際に、可動手部27が両手を広げる動作及び可動足部28が両足を開閉させる動作を行う。
【0066】
マント65は、形状体20の首部分から背後にかけて形成される装飾物であり、後胴部26に形成されるターゲット誘導部63と併せて、ターゲット18を形状体20外部の所定位置に排出させる誘導具である。
【0067】
続いて、ゲーム玩具10における形状体20の上下動の一連の動作について図5乃至図10を用いて説明する。ゲーム玩具10における形状体20は、操作ボタン11を押下されていなければ、図5に示したように元の位置の状態にある。形状体20は、元の位置の状態において口部21を閉口させている。
【0068】
ゲーム玩具10は、遊技者により操作ボタン11を押下された直後、図6に示したように形状体20の上昇開始状態となる。形状体20は、上昇開始状態において先ず口部21を開放させることとなる。具体的には、操作ボタン11が押下されると回動部材40が形状体20を上昇させる方向にシーソー動作を行い、回動部材40に支持される上下動部材23が上昇する。形状体20は、上下動部材23が僅かに上昇すると、上下動部材23に接続される口開閉バネ29を伸長させるとともに、上下動部材23の係合部62が口開放レバー22を開放側に移動させることとなり口部21を開放させる。
【0069】
形状体20は、遊技者により操作ボタン11をさらに深く押下されると、上下動部材23がさらに上昇し前胴部25を支持することにより、形状体20本体を最高点にまで上昇させる最高上昇状態となる。
【0070】
最高上昇状態において形状体20は、口部21がターゲット皿13のターゲット係止部14に吊持されるターゲット18をくわえることが可能な高さにまで到達することとなる。この最高上昇状態から遊技者により操作ボタン11が離反されると、図7に示すように形状体20は口閉口開始状態となる。
【0071】
具体的には、操作ボタン11の離反直後に筐体30内部では、回動部材40が形状体20を下降させる方向にシーソー動作を行い、回動部材40に支持される上下動部材23が下降する。形状体20は、上下動部材23が僅かに下降すると、上下動部材23に接続される口開閉バネ29を縮小させるとともに、上下動部材23の係合部62が口開放レバー22を閉口側に移動させることとなり口部21を閉口させる。
【0072】
形状体20が口部21を閉口させることによりターゲット係止部14に吊持されるターゲット18は、閉口する口部21と干渉して落下されることとなる。落下されたターゲット18は、図7に示したように形状体20内部に搬送されることとなる。
【0073】
形状体20は、上下動部材23が形状体バネ39による復帰動作でさらに下降すると、元の位置に戻る。
【0074】
そして、元の位置にいる形状体20は、形状体20内部に搬送したターゲット18を図8に示すように、後胴部26の中央に位置するターゲット誘導部63の穴から排出させ、下方に位置するターゲット連絡路32に落下させる。このようにして、それぞれの遊技者は、形状体20を上下動させてターゲット18を獲得することとなる。
【0075】
続いて、ゲーム玩具10のターゲット18を係止させる機構について説明する。図1又は図10に示したように、ターゲット係止部14は、ターゲット皿13に予め貯蔵されるターゲット18が図示しない穴を通過して下方に落下されると吊持するようにターゲット18を係止させる。
【0076】
また、ターゲット係止部14は、回転軸15を中心にして120度間隔で均等な位置に3箇所設けられている。そして、ターゲット係止部14は、ターゲット18を係止させながらも僅かな力で下方にターゲット18を落下させることができるように、弾力性を有する熱可塑性樹脂による薄い板材で先端の内方を鉤形状にして生成され、2箇所で摘むようにして形成されている。なお、ターゲット係止部14は、細くて強度に乏しく外部にむき出しなことから、ターゲット係止部14の周囲でターゲット18の落下に支障のない範囲で保護カバー等を設けて、外圧から保護されるものである。
【0077】
そして、先述のとおり操作ボタン11の押下離反の操作によりターゲット皿13は毎回60度ずつ回転することにより、左右の形状体20の何れか一方の上方にはターゲット係止部14が配置されることとなる。また、ターゲット皿13には複数のターゲット18を貯蔵しておくことにより、ターゲット係止部14には、形状体20にターゲット18を獲得される度に、順次ターゲット18が誘導されてターゲット係止部14の下端に配置される。
【0078】
次に、獲得したターゲット18を収納させるターゲット収納皿64について説明する。図1又は図10に示したように、ゲーム玩具10の正面にはターゲット収納皿64を設けている。
【0079】
先述のとおり形状体20は、口部21を開放しながら上昇して、ターゲット係止部14に係止されるターゲット18を最高上昇状態で口部21を閉口させて係止を外し、ターゲット18を口部21の中に搬入する。そして、搬入したターゲット18は、形状体20の内部を通過して、形状体20の後胴部26の略中央に位置するターゲット誘導部63を介して、筐体30上面に配備されるターゲット連絡路32に落下する。
【0080】
ターゲット連絡路32の路面を斜面に形成することにより落下したターゲット18は、斜面を転がりターゲット収納皿64に収納される。即ち、ターゲット収納皿64は、獲得したターゲット18を収納する皿である。そして、ターゲット収納皿64は、獲得したターゲット18の数を容易に数えられるように皿底を浅くして一目で見えるようにしたり、皿内部の縁に「1個、2個・・・」等の指標を設けておけば、簡単に獲得したターゲット18数を数えることができる。
【0081】
以上のように本発明のゲーム玩具10によれば、簡単にボール等のターゲット18を獲得することができるゲーム玩具10でありながら、その獲得したターゲット18の数を数える等の学習する教具でもあり、対面する2人の遊技者で遊ぶ場合にターゲット18を獲得する機会を交互に得ることができるという興味あふれるゲーム玩具10を提供することができる。
【0082】
また、本発明のゲーム玩具10によれば、形状体20が回転軸15位置を中心として対称に配置されているために、2人の遊技者が各形状体20を夫々操作してターゲット18を獲得しあって競い合うことができるので、白熱した遊技を楽しむことができる。
【0083】
さらに、本発明のゲーム玩具10によれば、ターゲット18が形状体20に獲得されるとターゲット皿13に貯蔵される別のターゲット18が係止部に移動して吊持されることから、ゲーム進行を止めることなく遊技できる。
【0084】
また、本発明のゲーム玩具10によれば、ターゲット係止部14の内の1個が2体の形状体20の何れか一方の真上の位置に係止するようにターゲット皿13が回転及び停止することから、2人の遊技者が交互にターゲット18を獲得して楽しむことができる。
【0085】
そして、本発明のゲーム玩具10によれば、獲得したターゲット18を収納するターゲット収納皿64を備えることから、遊技者が獲得したターゲット18の数を容易に数えることができる。
【0086】
また、本発明は、以上の実施形態に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。実施例では、ターゲット18としてボールを適用したゲーム玩具10を説明してきたが、例えば、ターゲット18としてパン、ハンバーガー、ホットドッグ等を模したターゲット18にして、よりリアルなパン食い競争のゲーム玩具10としても構わない。
【符号の説明】
【0087】
10 ゲーム玩具
11 操作ボタン
13 ターゲット皿 14 ターゲット係止部
15 回転軸 16 回転軸円板部
17 クラッチ突起 18 ターゲット
20 形状体 21 口部
22 口開放レバー 23 上下動部材
24 形状体台座 25 前胴部
26 後胴部 27 可動手部
28 可動足部 29 口開閉バネ
30 筐体 32 ターゲット連絡路
38 アームバネ 39 形状体バネ
40 回動部材 41 回動軸
42 作動レバー 43 アーム
43a アーム連結部
44 アームU字溝
50 クラッチホイール 51 クラッチ歯
52 アーム用突起体
61 係合突起 62 係合部
63 ターゲット誘導部 64 ターゲット収納皿
65 マント


【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作ボタンを操作してボール等のターゲットを獲得するゲーム玩具であって、
前記操作ボタンを押下することにより、開口して上昇する形状体と、
前記形状体の上部で前記ボール等のターゲットを複数貯蔵するターゲット皿と、
前記ターゲット皿を支持して回転させる回転軸と、
前記ターゲット皿に貯蔵されるターゲットを吊持する係止部と、
を備え、
前記形状体は前記操作ボタンが押下されることにより開口して上昇し、該操作ボタンが離反されることにより閉口して下降しながら前記係止部の前記ターゲットを獲得し、前記ターゲット皿を所定の角度だけ回転させることを特徴とするゲーム玩具。
【請求項2】
前記形状体が前記回転軸位置を中心として対称に配置された2体であって、夫々の形状体を操作させる操作ボタンを有することを特徴とする請求項1に記載のゲーム玩具。
【請求項3】
前記ターゲットが前記形状体に獲得されると、前記ターゲット皿に貯蔵される別のターゲットが前記係止部に移動して吊持されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のゲーム玩具。
【請求項4】
前記係止部は、前記ターゲット皿の周縁近傍の3箇所の底部に等間隔に位置し、該底部から下方に延設され、前記係止部の内の1個が前記2体の形状体の何れか一方の真上の位置に停止するようにターゲット皿が回転及び停止することを特徴とする請求項2又は請求項3に記載のゲーム玩具。
【請求項5】
前記形状体に獲得されたターゲットを収納するターゲット収納皿を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載のゲーム玩具。
【請求項6】
前記ターゲットは、ボール、パン、ハンバーグ又はホットドッグを模した形状とされることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のゲーム玩具。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−24335(P2012−24335A)
【公開日】平成24年2月9日(2012.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−165822(P2010−165822)
【出願日】平成22年7月23日(2010.7.23)
【出願人】(399012929)株式会社アガツマ (26)
【Fターム(参考)】