ゲーム用入力装置及びゲーム機
【課題】体感性を損なうことなく、しかもより簡便に立体的な動きによる入力を可能とするゲーム用入力装置及びゲーム機を提供する。
【解決手段】ゲーム用の入力装置5は、空間を遮るプレイヤの手40及び他の手44等を検出する複数のセンサ5A,5B,5Cに代表される検出部21と、複数のセンサ5A,5B,5Cに代表される検出部21よる検出に基づき、プレイヤの手40及び他の手44等の移動速度を算出する算出部22と、を備える。
【解決手段】ゲーム用の入力装置5は、空間を遮るプレイヤの手40及び他の手44等を検出する複数のセンサ5A,5B,5Cに代表される検出部21と、複数のセンサ5A,5B,5Cに代表される検出部21よる検出に基づき、プレイヤの手40及び他の手44等の移動速度を算出する算出部22と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム用入力装置及びそれを備えたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
年齢を問わずに楽しむことを目的とするゲーム機においては、プレイヤがゲームを飽きずに行うために、入力装置の操作容易性は重量な要素である。従来、様々なゲーム機用の入力装置が提案されている。例えば、車載ナビゲーションシステムにおいて、操作コマンドを簡単なジェスチャパターン入力で行えるようにした情報入力装置が開示されている(特許文献1参照)。また、情報機器に向けて動かされる光を放射するジェスチャ入力デバイスと、光により形成される像を検出する検出装置と、検出装置の出力に基づいて認識したジェスチャ入力デバイスの動きに応じて情報機器を制御する制御装置とを備えた制御システムが開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−58612号公報
【特許文献2】特開2006−268582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の情報入力装置は、タッチパネルのような平面に対しての操作であるため、立体的な動きに対する入力が難しく、また、体感性が損なわれてしまうという問題点があった。また、特許文献2に記載の制御システムは、カメラによる撮影と画像認識による空間識別とを用いるものであり、複数のカメラを用いる等、装置が大掛かりとなる問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、体感性を損なうことなく、しかもより簡便に立体的な動きによる入力を可能とするゲーム用入力装置及びゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1の発明は、空間を遮る物体(40等)を検出する複数の検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)と、前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体の移動速度を算出する算出部(22)と、を備えるゲーム用入力装置(5,205)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲーム用入力装置(5,205)において、前記検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)は、前記物体(40等)との距離を計測し、移動速度及び線画パターンで構成されたパターンデータに、入力信号を対応付けて記憶するパターン記憶部(29)と、前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体が移動した軌跡を求める軌跡作成部(23)と、前記軌跡作成部により求められた前記軌跡及び前記算出部により算出された前記移動速度と、前記パターン記憶部に記憶されたパターンデータとを照合し、該当の前記入力信号を抽出する入力信号抽出部(24)と、を備えること、を特徴とするゲーム用入力装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲーム用入力装置(5,205)において、前記複数の検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)は、平面に配置されており、前記平面の上部の空間を遮る前記物体(40等)を検出すること、を特徴とするゲーム用入力装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置(5,205)において、前記複数の検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)は、前記物体(40等)として前記空間を遮るプレイヤの身体の一部分を検出可能であること、を特徴とするゲーム用入力装置である。
【0007】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置(5,205)と、ゲームプログラム(13)が記憶された記憶部(12)と、前記ゲームプログラムを実行し、前記ゲーム用入力装置からの入力を受け付けて制御を行う制御部(11)と、を備えること、を特徴とするゲーム機(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、検出部が空間を遮る物体を検出して、物体の移動速度を算出するので、物体の移動速度をパラメータとする新規な入力装置を提供することができる。また、入力装置は、例えば、プレイヤの手を動かすことで、プレイヤの手を、空間を遮る物体として検出するので、体感性を損ねることなく、簡便に立体的なプレイヤの動きによる入力をすることができる。
【0009】
(2)本発明は、物体の軌跡及び物体の移動速度とパターンデータとを照合することで、入力信号を抽出する。よって、軌跡及び移動速度に応じて入力信号を特定することで、多様な入力操作に対して入力信号を対応付けることができる。
【0010】
(3)本発明は、平面の上部の空間を遮る物体を検出するので、プレイを行うために装置等の機器にプレイヤが触れることなく、入力をすることができる。よって、衛生的な入力装置を提供することができる。
【0011】
(4)本発明は、平面の上部の空間を遮るプレイヤの身体の一部分を検出するので、例えば、プレイヤの手を検出することで、入力操作をすることができる。よって、プレイヤのジェスチャを入力信号に対応付けることができる。
【0012】
(5)本発明は、ゲーム機への入力に、プレイヤのジェスチャを用いることができる。よって、プレイヤのジェスチャにより、変化に富んだ入力操作を行うゲーム機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、体感性を損なうことなく、しかもより簡便に立体的な動きによる入力を可能とするゲーム用入力装置及びゲーム機を提供するという目的を、入力装置が、空間を遮るプレイヤの手を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサによる検出に基づき、プレイヤの手の移動速度を算出する算出部とを備えることによって実現した。
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
図1は、第1実施形態に係るゲーム機1の全体構成を示す図である。ゲーム機1は、例えば、ゲームセンタ等に設置される大型の業務用ゲーム装置であり、プレイヤがキャラクタを操作して、キャラクタが所定の時間内にゴールまで到着することでゲームクリアとなるアスレチックゲームを行うビデオゲーム機である。
【0015】
ゲーム機1が備える筐体2には、プレイヤがディスプレイ等に代表される表示部3を見ながらプレイができるように、プレイヤの視認可能な位置に表示部3が配置されている。表示部3には、プレイ開始前は、例えば、ゲーム機1のゲーム内容等を示すデモンストレーション画面が表示され、プレイ中は、プレイに応じた内容の画像が表示される。
表示部3の上下には、スピーカ等に代表される音声出力部4が左右に計4つ配置されている。音声出力部4は、プレイ中にプレイに応じた効果音や音楽を出力し、臨場感溢れるプレイを演出する。表示部3の下方には、プレイヤがジェスチャをすることで、プレイヤによる操作入力を受け付ける入力装置5が、プレイヤの腰の位置付近の高さ、かつ、プレイヤの左右の手によるジェスチャでの入力がしやすい位置にある台座7の上に配置されている。
【0016】
入力装置5は、表示部3に対向してプレイヤが直立した場合に、プレイヤの左右方向(図中Y方向)の左側から右側に向かって順番に、3つのセンサ5A,5B,5Cが均等な間隔で横一列に配置されている。センサ5A,5B,5Cは、例えば、鉛直方向(図中Z方向)にある物体の距離を計測する距離センサである。プレイヤが表示部3に対向して、入力装置5の上方の空間を利用してジェスチャを行い、プレイヤの手(物体)がセンサ5A,5B,5Cの上方の空間を移動した場合に、入力装置5は、その位置(各センサ5A,5B,5Cとプレイヤの手との距離)を検出する。
【0017】
入力装置5は、例えば、業務用ゲームで多く用いられているJAMMA(社団法人日本アミューズメントマシン工業協会)規格のパラレルインタフェースの組み合わせを標準とする。入力装置5は、筐体2の内部に格納される制御部11(図2参照)に通信可能に接続されている。通信は、有線、無線のいずれでもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)等のポート(図示せず)により、制御部11に接続されている。また、接続通信方法は、シリアル通信、Bluetooth(登録商標)等あらゆるものを用いてよい。
【0018】
入力装置5が載置された台座7の正面の右方には、コイン投入口6が設けられている。プレイヤがコイン投入口6に所定のコインを投入することにより、ゲーム機1はプレイを開始する。なお、例えば、コインに代わってプリペイドカード等のプレイ料金の支払いを実現できるものを用いてもよい。
【0019】
このように、入力装置5は、台座7の上に載置できる簡易な装置であるので、複数のカメラやカメラにより撮影された画像を認識する装置等を必要としないため、様々なゲーム機の入力装置として使用することができる。
【0020】
次に、ゲーム機1の機能ブロックについて説明する。
図2は、第1実施形態に係るゲーム機1の機能ブロックを示す図である。
ゲーム機1は、図1で説明した表示部3、音声出力部4、入力装置5、コイン投入口6の他、制御部11及び記憶部12を備える。
入力装置5は、入力制御部20として、センサ5A,5B,5C(図1参照)に代表される検出部21、算出部22、軌跡作成部23、入力信号抽出部24及び入力信号送信部25を有し、またパターン記憶部29を備える。各機能については、後述のフローチャートで説明する。
【0021】
制御部11は、情報の演算、及び処理を行う情報演算処理装置(CPU)であり、当該ゲーム機1の全体を制御するものである。制御部11は、記憶部12に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、ゲーム機1のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0022】
記憶部12は、制御部11で実行されるアスレチックゲーム等のゲームプログラム13、デモンストレーション画面を表示等するその他のプログラム14及びパラメータ等を記憶する一時記憶領域15を備える。一時記憶領域15は、ゲームプログラム13やその他のプログラム14等の各種のプログラムの実行時に、テーブル等を展開するためのローカルメモリ、及びキャッシュメモリを含んでよい。記憶部12を実現するものとして、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。より具体的には、半導体記憶装置、磁気ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)等が含まれる。
【0023】
次に、入力装置5での処理について説明する。
図3は、第1実施形態に係る入力装置5の入力受付処理のフローチャートである。
図4は、第1実施形態に係るプレイヤによる入力例を示す図である。
図5は、第1実施形態に係るパターン記憶部29の例を示す図である。
【0024】
まず、図4で、入力装置5のセンサ5A,5B,5Cのうちいずれか1つ以上のセンサの鉛直方向の上方にプレイヤが手40を差し出すことで、ステップS11において、検出部21は、該当のセンサからの検出信号を受け付ける。
次に、ステップS12において、入力制御部20は、入力制御部20のタイマ(図示せず)の時間の計測を開始する。
ステップS13において、検出部21は、検出したセンサの位置からプレイヤの手40までの距離とその時の時間とを計測する。
ステップS14では、軌跡作成部23は、検出信号に基づきプレイヤの手40が辿る軌跡を求める。
【0025】
ステップS15では、入力制御部20は、センサ5A,5B,5Cのうちいずれか1つ以上のセンサが、引き続いて検出部21によりプレイヤの手40を検出しているか否かを判断する。プレイヤの手40を検出している場合(ステップS15:YES)には、入力制御部20は、処理をステップS16に移す。他方、プレイヤの手40を検出していない場合(ステップS15:NO)には、入力制御部20は、処理をステップS17に移す。
ステップS16では、入力制御部20は、検出部21が、手40の位置の変化等のプレイヤの手40の動きを検出したか否かを判断する。動きを検出した場合(ステップS16:YES)には、入力制御部20は、処理をステップS13に移す。他方、動きを検出していない場合(ステップS16:NO)には、入力制御部20は、処理をステップS17に移す。
【0026】
ステップS17では、入力制御部20は、検出部21が所定の時間内にプレイヤの手40又はプレイヤの手40の位置の変化を検出したか、すなわち所定の時間内にプレイヤの手40の動きを検出したか否かを判断する。所定の時間とは、例えば1秒から3秒等のある程度短い時間をいう。プレイヤの手40の動きを検出した場合(ステップS17:YES)には、入力制御部20は、処理をステップS13に移す。他方、プレイヤの手40の動きを検出しない場合(ステップS17:NO)には、入力制御部20は、処理をステップS18に移す。
ステップS18では、入力制御部20は、ステップS12で開始された時間の計測を終了する。
【0027】
ここで、上述の処理について、具体的に例を示して説明する。
図4は、プレイヤの右手である手40が、手のひらを下に向けた状態で、センサ5A,5B,5Cの上をプレイヤの左側から右斜め上方向に移動した場合の様子を示す。まず、センサ5Aは、手40を検出して、センサ5Aと手40との距離41を計測する。その後、手40が図4の右斜め上方向に動くことにより、センサ5Aが手40を検出できなくなる。そして、長い時間を置かずして、例えば1秒から3秒等のある程度短い時間内に、センサ5Bが手40を検出して、センサ5Bと手40との距離42を計測する。その後、手40が図4の右斜め上方向にさらに動くことにより、センサ5Bが手40を検出できなくなる。そして、長い時間を置かずしてセンサ5Cが手40を検出して、センサ5Cと手40との距離43を計測する。その後、手40が図4の右上方向にさらに動くことにより、センサ5Cが手40を検出できなくなる。そして、所定の時間にセンサ5A,5B,5Cのいずれもが手40を検出しないので、手40がセンサ5A,5B,5Cを辿った軌跡が求められ、検出時間が算出される。
【0028】
図3に戻り、ステップS19では、算出部22は、ステップS14で求められた軌跡と、その検出時の時間とからプレイヤの手40の移動速度を算出する。
ステップS20では、入力信号抽出部24は、パターン照合処理を行う。
【0029】
ここで、パターン照合処理について、具体的に例を示して説明する。
図5は、パターン記憶部29に記憶されたパターンデータ及び入力信号を示す。パターン記憶部29は、例えば、線画パターン50、距離51、移動速度52及び入力信号53の各項目を有する。
線画パターン50は、プレイヤの手40の軌跡に対応するものであり、プレイヤの手40が描いたパターンが格納される。なお、図中白丸(○)は、軌跡の開始点を表し、黒丸(●)は、軌跡の終了点を表す。距離51は、最初にプレイヤの手40を検出したセンサとプレイヤの手40との距離の基準に関する値が格納される。移動速度52は、プレイヤの手40の移動速度の基準に関する値が格納される。入力信号53は、入力装置5からゲーム機1の制御部11に送信される入力信号が格納される。
【0030】
図4に示す例に基づき説明すると、求められる軌跡は、左下から右上に向かう一直線の軌跡である。また、センサ5Aとプレイヤの手40との距離が80mmであるとし、移動時間がタイマに基づいて1sであった場合、移動速度が80mm/sである。その場合、右上方向の軌跡が格納された線画パターン50のうち、距離51が「50mm超100mm以下」であり、移動速度が「100mm/s以下」に対応する入力信号53が「A021」の入力信号が抽出される。
【0031】
図3に戻って、ステップS21では、入力信号送信部25は、パターン記憶部29から抽出した入力信号を、ゲーム機1の制御部11に送信する。その後、入力制御部20は、処理を終了する。
【0032】
よって、プレイヤが入力装置5上の空間でジェスチャをすることで、入力装置5は、動くプレイヤの手40を検出する。そして、入力装置5は、検出した情報に基づいて入力信号を抽出してゲーム機1に送信する。そのため、ゲーム機1は、プレイヤのジェスチャに対応する入力信号に応じて、様々なプレイに関する処理を行うことができる。
また、入力信号は、手40の辿る軌跡、手40の移動速度及び手40とセンサとの距離に応じて、異なるものとすることができるので、プレイに多様な変化を与えることができ、プレイの面白味を向上させることができる。
さらに、入力装置5を用いることで、プレイヤがゲーム機1に触れることなく入力することができるので、プレイヤの手40が汚れることがない。よって、入力装置5は、衛生的な入力をプレイヤに提供することができる。
【0033】
次に、上述の入力装置5を用いたゲーム機1での具体的なゲームの方法について説明する。
図6は、第1実施形態に係るアスレチックゲームのマップ例を示す図である。
図7は、第1実施形態に係る表示部3の例を示す図である。
図8から図13は、第1実施形態に係るプレイヤの手40の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
図6に示すように、入力装置5を用いて行うことができるアスレチックゲームは、キャラクタCがスタートSからゴールGまでを、決められた時間内に移動することを競うゲームである。キャラクタCは、図6のマップに示すようなロープRや坂H等の様々な障害を乗り越え又は避けながら、ゴールを目指す。
【0034】
図6に示すアスレチックゲームを行う場合に、図7に示すように、表示部3には、キャラクタCと、キャラクタCが立っているフィールドFと、残り時間61と、体力ゲージ62と、条件矢印63とが表示される。プレイヤは、ジェスチャによりキャラクタCを動かす。そして、残り時間61がなくなる(ゼロになる)前にゴールGまで到達することで、ステージクリアとなる。体力ゲージ62は、キャラクタCに対する入力信号を入力装置5が送信することに応じて上昇し、入力装置5からの入力信号がなく、キャラクタCが止まることに応じて下降する。また、条件矢印63よりも、体力ゲージの値(図中斜線)が上であれば、キャラクタCは移動することができる。他方、条件矢印63よりも、体力ゲージの値が下である場合には、キャラクタCは移動することができない。例えば、キャラクタCがロープRを登っているときには、ロープRから下りてしまう。また、キャラクタCが坂Hにいる場合には、坂Hを下ってしまう。
【0035】
図8は、キャラクタCをジャンプさせる場合を示す図である。図8(a)において、プレイヤは、センサ5B上で、手40(#1)を上げて(#2)、その後下ろす(#3)動き(ジェスチャ)をする。その場合、図8(b)に示すように、表示部3において、直立したキャラクタC(#1)は、飛び上がり(#2)、その後伏せる(#3)。
図9は、キャラクタCの向きを変える場合を示す図である。図9(a)において、プレイヤは、入力装置5の中央の位置のセンサ5B上から、手40(#11)をセンサ5Cの方向へ平行に右方向に動かし(#12)、その後、手40をセンサ5Cからセンサ5Bの方向に左方向へ平行に動かす。つまり、手40を、センサ5B上を通過後、センサ5A上へ動かす(#13)。その場合、図9(b)に示すように、表示部3において、直立したキャラクタC(#11)は、右方向を向き(#12)、さらに左方向を向く(#13)。
【0036】
図10は、キャラクタCを移動させる場合を示す図である。図10(a)において、プレイヤは、入力装置5上の手40を、時計回りに回転させる動きをすることで、センサ5B→センサ5A→センサ5B→センサ5C→・・・の順番で手40を検出する。その場合、図10(b)に示すように、表示部3において、右を向いているキャラクタCは、向いている方向、すなわち右方向に移動する。その場合、例えば、手40の動きが速い(移動速度が速い)ほど、キャラクタCが速く移動する。また、キャラクタCが向いている方向と反対回転させた場合には、キャラクタCは、背面走行をする。具体的には、左を向いているキャラクタCに対して、手40が図10(a)の動きをすると、キャラクタCは、左を向いたまま右方向に移動する。
図11は、キャラクタCをジャンプ移動させる場合を示す図である。図11(a)において、プレイヤは、センサ5A上(#21)から、手40を斜め右上方向に動かし、センサ5B上に移動した際(#22)に、今度は手40を斜め右下方向に動かす(#23)。その場合、図11(b)に示すように、表示部3において、キャラクタCは、画面左から右上方向にジャンプして着地する。
【0037】
図12は、キャラクタCを高所に移動させる場合を示す図である。図12(a)において、プレイヤは、センサ5A上で手40(#31)を上げた後に、右方向へ平行に動かすことで、センサ5Bを通過し、センサ5C上へ動かす(#32)。その後、プレイヤは、センサ5C上で手40を下ろす(#33)動きをする。その場合、図12(b)に示すように、表示部3において、キャラクタCは壁に飛びつき、上段に登る。手40の動かす速度や高さにより、タイミングが悪いとキャラクタCは壁の上に手40が届かず、上段に登ることができない。
図13は、キャラクタCがロープを登る場合を示す図である。図13(a)において、プレイヤは、右手である手40をセンサ5Cの上方に、左手である他の手44をセンサ5Aの上方に置く。そして、手40と他の手44とを交互に上下に動かす(#41),(#42)動きをする。その場合、図13(b)に示すように、表示部3において、キャラクタCは、ロープを登る。
【0038】
このように、ゲーム機1への入力に、プレイヤのジェスチャを用いることができ、ジェスチャに連動して表示部3に表示されたキャラクタCを動かすことができる。よって、プレイヤのジェスチャにより、変化に富んだ入力操作を行うゲーム機1を提供することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した入力装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の入力装置は、横方向以外に、奥行き方向にもセンサを配置したものである。
なお、以下の説明及び図面において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0040】
図14は、第2実施形態に係る入力装置205の全体構成を示す図である。
図15は、第2実施形態に係るプレイヤによるジェスチャの軌跡を模式化した図である。
図14に示す入力装置205は、第1実施形態の入力装置5に代わり、ゲーム機1の台座7の上に設置する。
この入力装置205は、平面(XY平面)上の図中Y方向及び図中X方向に、それぞれ3つずつ計9つのセンサ205Aから205Iが配置されている。これにより、プレイヤのジェスチャによる、奥行き方向(図中X方向)の動きに対する変化を検出することができるので、入力装置205は、より多様な入力信号を抽出してゲーム機1に適用できる。
【0041】
図14を用いて、プレイヤがセンサ205Aから図中Xの奥行き方向に手を動かし、図中Y方向に手を移動させ、さらに図中Xの手前方向に手を動かす動作をした際には、図15に示すような軌跡を描くことができる。
このような奥行き方向の動きを検出することで、三次元の動きを検出することができるので、例えば、三次元の画像を伴うゲームに適用することができる。よって、さらにプレイに対する操作の幅が広がる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0043】
(変形形態)
各実施形態では、入力装置を用いる例として、業務用ゲーム装置を例に説明した。しかし、これに限らず、家庭用のゲーム機に用いてもよい。その場合には、例えば、家庭用ゲーム機の入力デバイスの端子に、この入力装置の端子を接続することで実現できる。
また、第1実施形態では、横に3つのセンサを配置した例を示し、第2実施形態では、横と奥行き方向にそれぞれ3つずつ、計9つのセンサを配置した例を示して説明した。しかし、このような形体に依存するものではなく、どのように配置してもよい。
さらに、各実施形態では、プレイヤの手を検出する例を説明した。しかし、顔等の手以外のプレイヤの身体の一部分を動かして、検出させてもよい。また、プレイヤが棒状やラケット状等の物体を持って、物体を検出させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1実施形態に係るゲーム機の全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るゲーム機の機能ブロックを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る入力装置の入力受付処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るプレイヤによる入力例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係るパターン記憶部の例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るアスレチックゲームのマップ例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る表示部の例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図11】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図12】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図13】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る入力装置の全体構成を示す図である。
【図15】第2実施形態に係るプレイヤによるジェスチャの軌跡を模式化した図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ゲーム機
3 表示部
5,205 入力装置
5a〜5c センサ
7 台座
11 制御部
12 記憶部
13 ゲームプログラム
20 入力制御部
21 検出部
22 算出部
23 軌跡作成部
24 入力信号抽出部
25 入力信号送信部
29 パターン記憶部
40 手
44 他の手
205A〜205I センサ
C キャラクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲーム用入力装置及びそれを備えたゲーム機に関する。
【背景技術】
【0002】
年齢を問わずに楽しむことを目的とするゲーム機においては、プレイヤがゲームを飽きずに行うために、入力装置の操作容易性は重量な要素である。従来、様々なゲーム機用の入力装置が提案されている。例えば、車載ナビゲーションシステムにおいて、操作コマンドを簡単なジェスチャパターン入力で行えるようにした情報入力装置が開示されている(特許文献1参照)。また、情報機器に向けて動かされる光を放射するジェスチャ入力デバイスと、光により形成される像を検出する検出装置と、検出装置の出力に基づいて認識したジェスチャ入力デバイスの動きに応じて情報機器を制御する制御装置とを備えた制御システムが開示されている(特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2007−58612号公報
【特許文献2】特開2006−268582号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、特許文献1に記載の情報入力装置は、タッチパネルのような平面に対しての操作であるため、立体的な動きに対する入力が難しく、また、体感性が損なわれてしまうという問題点があった。また、特許文献2に記載の制御システムは、カメラによる撮影と画像認識による空間識別とを用いるものであり、複数のカメラを用いる等、装置が大掛かりとなる問題点があった。
【0004】
そこで、本発明は、体感性を損なうことなく、しかもより簡便に立体的な動きによる入力を可能とするゲーム用入力装置及びゲーム機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下のような解決手段により、前記課題を解決する。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0006】
請求項1の発明は、空間を遮る物体(40等)を検出する複数の検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)と、前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体の移動速度を算出する算出部(22)と、を備えるゲーム用入力装置(5,205)である。
請求項2の発明は、請求項1に記載のゲーム用入力装置(5,205)において、前記検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)は、前記物体(40等)との距離を計測し、移動速度及び線画パターンで構成されたパターンデータに、入力信号を対応付けて記憶するパターン記憶部(29)と、前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体が移動した軌跡を求める軌跡作成部(23)と、前記軌跡作成部により求められた前記軌跡及び前記算出部により算出された前記移動速度と、前記パターン記憶部に記憶されたパターンデータとを照合し、該当の前記入力信号を抽出する入力信号抽出部(24)と、を備えること、を特徴とするゲーム用入力装置である。
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のゲーム用入力装置(5,205)において、前記複数の検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)は、平面に配置されており、前記平面の上部の空間を遮る前記物体(40等)を検出すること、を特徴とするゲーム用入力装置である。
請求項4の発明は、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置(5,205)において、前記複数の検出部(5A,5B,5C,205A〜205I)は、前記物体(40等)として前記空間を遮るプレイヤの身体の一部分を検出可能であること、を特徴とするゲーム用入力装置である。
【0007】
請求項5の発明は、請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置(5,205)と、ゲームプログラム(13)が記憶された記憶部(12)と、前記ゲームプログラムを実行し、前記ゲーム用入力装置からの入力を受け付けて制御を行う制御部(11)と、を備えること、を特徴とするゲーム機(1)である。
なお、符号を付して説明した構成は、適宜改良してもよく、また、少なくとも一部を他の構成物に代替してもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、以下の効果を奏することができる。
(1)本発明は、検出部が空間を遮る物体を検出して、物体の移動速度を算出するので、物体の移動速度をパラメータとする新規な入力装置を提供することができる。また、入力装置は、例えば、プレイヤの手を動かすことで、プレイヤの手を、空間を遮る物体として検出するので、体感性を損ねることなく、簡便に立体的なプレイヤの動きによる入力をすることができる。
【0009】
(2)本発明は、物体の軌跡及び物体の移動速度とパターンデータとを照合することで、入力信号を抽出する。よって、軌跡及び移動速度に応じて入力信号を特定することで、多様な入力操作に対して入力信号を対応付けることができる。
【0010】
(3)本発明は、平面の上部の空間を遮る物体を検出するので、プレイを行うために装置等の機器にプレイヤが触れることなく、入力をすることができる。よって、衛生的な入力装置を提供することができる。
【0011】
(4)本発明は、平面の上部の空間を遮るプレイヤの身体の一部分を検出するので、例えば、プレイヤの手を検出することで、入力操作をすることができる。よって、プレイヤのジェスチャを入力信号に対応付けることができる。
【0012】
(5)本発明は、ゲーム機への入力に、プレイヤのジェスチャを用いることができる。よって、プレイヤのジェスチャにより、変化に富んだ入力操作を行うゲーム機を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本発明は、体感性を損なうことなく、しかもより簡便に立体的な動きによる入力を可能とするゲーム用入力装置及びゲーム機を提供するという目的を、入力装置が、空間を遮るプレイヤの手を検出する複数のセンサと、前記複数のセンサによる検出に基づき、プレイヤの手の移動速度を算出する算出部とを備えることによって実現した。
【0014】
(第1実施形態)
以下、本発明を実施するための最良の形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
図1は、第1実施形態に係るゲーム機1の全体構成を示す図である。ゲーム機1は、例えば、ゲームセンタ等に設置される大型の業務用ゲーム装置であり、プレイヤがキャラクタを操作して、キャラクタが所定の時間内にゴールまで到着することでゲームクリアとなるアスレチックゲームを行うビデオゲーム機である。
【0015】
ゲーム機1が備える筐体2には、プレイヤがディスプレイ等に代表される表示部3を見ながらプレイができるように、プレイヤの視認可能な位置に表示部3が配置されている。表示部3には、プレイ開始前は、例えば、ゲーム機1のゲーム内容等を示すデモンストレーション画面が表示され、プレイ中は、プレイに応じた内容の画像が表示される。
表示部3の上下には、スピーカ等に代表される音声出力部4が左右に計4つ配置されている。音声出力部4は、プレイ中にプレイに応じた効果音や音楽を出力し、臨場感溢れるプレイを演出する。表示部3の下方には、プレイヤがジェスチャをすることで、プレイヤによる操作入力を受け付ける入力装置5が、プレイヤの腰の位置付近の高さ、かつ、プレイヤの左右の手によるジェスチャでの入力がしやすい位置にある台座7の上に配置されている。
【0016】
入力装置5は、表示部3に対向してプレイヤが直立した場合に、プレイヤの左右方向(図中Y方向)の左側から右側に向かって順番に、3つのセンサ5A,5B,5Cが均等な間隔で横一列に配置されている。センサ5A,5B,5Cは、例えば、鉛直方向(図中Z方向)にある物体の距離を計測する距離センサである。プレイヤが表示部3に対向して、入力装置5の上方の空間を利用してジェスチャを行い、プレイヤの手(物体)がセンサ5A,5B,5Cの上方の空間を移動した場合に、入力装置5は、その位置(各センサ5A,5B,5Cとプレイヤの手との距離)を検出する。
【0017】
入力装置5は、例えば、業務用ゲームで多く用いられているJAMMA(社団法人日本アミューズメントマシン工業協会)規格のパラレルインタフェースの組み合わせを標準とする。入力装置5は、筐体2の内部に格納される制御部11(図2参照)に通信可能に接続されている。通信は、有線、無線のいずれでもよい。例えば、USB(Universal Serial Bus)等のポート(図示せず)により、制御部11に接続されている。また、接続通信方法は、シリアル通信、Bluetooth(登録商標)等あらゆるものを用いてよい。
【0018】
入力装置5が載置された台座7の正面の右方には、コイン投入口6が設けられている。プレイヤがコイン投入口6に所定のコインを投入することにより、ゲーム機1はプレイを開始する。なお、例えば、コインに代わってプリペイドカード等のプレイ料金の支払いを実現できるものを用いてもよい。
【0019】
このように、入力装置5は、台座7の上に載置できる簡易な装置であるので、複数のカメラやカメラにより撮影された画像を認識する装置等を必要としないため、様々なゲーム機の入力装置として使用することができる。
【0020】
次に、ゲーム機1の機能ブロックについて説明する。
図2は、第1実施形態に係るゲーム機1の機能ブロックを示す図である。
ゲーム機1は、図1で説明した表示部3、音声出力部4、入力装置5、コイン投入口6の他、制御部11及び記憶部12を備える。
入力装置5は、入力制御部20として、センサ5A,5B,5C(図1参照)に代表される検出部21、算出部22、軌跡作成部23、入力信号抽出部24及び入力信号送信部25を有し、またパターン記憶部29を備える。各機能については、後述のフローチャートで説明する。
【0021】
制御部11は、情報の演算、及び処理を行う情報演算処理装置(CPU)であり、当該ゲーム機1の全体を制御するものである。制御部11は、記憶部12に記憶された各種プログラムを適宜読み出して実行することにより、ゲーム機1のハードウェアと協働し、本発明に係る各種機能を実現している。
【0022】
記憶部12は、制御部11で実行されるアスレチックゲーム等のゲームプログラム13、デモンストレーション画面を表示等するその他のプログラム14及びパラメータ等を記憶する一時記憶領域15を備える。一時記憶領域15は、ゲームプログラム13やその他のプログラム14等の各種のプログラムの実行時に、テーブル等を展開するためのローカルメモリ、及びキャッシュメモリを含んでよい。記憶部12を実現するものとして、電気的、磁気的、光学的、電磁的に実現するものを含んでよい。より具体的には、半導体記憶装置、磁気ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM)、リードオンリー・メモリ(ROM)等が含まれる。
【0023】
次に、入力装置5での処理について説明する。
図3は、第1実施形態に係る入力装置5の入力受付処理のフローチャートである。
図4は、第1実施形態に係るプレイヤによる入力例を示す図である。
図5は、第1実施形態に係るパターン記憶部29の例を示す図である。
【0024】
まず、図4で、入力装置5のセンサ5A,5B,5Cのうちいずれか1つ以上のセンサの鉛直方向の上方にプレイヤが手40を差し出すことで、ステップS11において、検出部21は、該当のセンサからの検出信号を受け付ける。
次に、ステップS12において、入力制御部20は、入力制御部20のタイマ(図示せず)の時間の計測を開始する。
ステップS13において、検出部21は、検出したセンサの位置からプレイヤの手40までの距離とその時の時間とを計測する。
ステップS14では、軌跡作成部23は、検出信号に基づきプレイヤの手40が辿る軌跡を求める。
【0025】
ステップS15では、入力制御部20は、センサ5A,5B,5Cのうちいずれか1つ以上のセンサが、引き続いて検出部21によりプレイヤの手40を検出しているか否かを判断する。プレイヤの手40を検出している場合(ステップS15:YES)には、入力制御部20は、処理をステップS16に移す。他方、プレイヤの手40を検出していない場合(ステップS15:NO)には、入力制御部20は、処理をステップS17に移す。
ステップS16では、入力制御部20は、検出部21が、手40の位置の変化等のプレイヤの手40の動きを検出したか否かを判断する。動きを検出した場合(ステップS16:YES)には、入力制御部20は、処理をステップS13に移す。他方、動きを検出していない場合(ステップS16:NO)には、入力制御部20は、処理をステップS17に移す。
【0026】
ステップS17では、入力制御部20は、検出部21が所定の時間内にプレイヤの手40又はプレイヤの手40の位置の変化を検出したか、すなわち所定の時間内にプレイヤの手40の動きを検出したか否かを判断する。所定の時間とは、例えば1秒から3秒等のある程度短い時間をいう。プレイヤの手40の動きを検出した場合(ステップS17:YES)には、入力制御部20は、処理をステップS13に移す。他方、プレイヤの手40の動きを検出しない場合(ステップS17:NO)には、入力制御部20は、処理をステップS18に移す。
ステップS18では、入力制御部20は、ステップS12で開始された時間の計測を終了する。
【0027】
ここで、上述の処理について、具体的に例を示して説明する。
図4は、プレイヤの右手である手40が、手のひらを下に向けた状態で、センサ5A,5B,5Cの上をプレイヤの左側から右斜め上方向に移動した場合の様子を示す。まず、センサ5Aは、手40を検出して、センサ5Aと手40との距離41を計測する。その後、手40が図4の右斜め上方向に動くことにより、センサ5Aが手40を検出できなくなる。そして、長い時間を置かずして、例えば1秒から3秒等のある程度短い時間内に、センサ5Bが手40を検出して、センサ5Bと手40との距離42を計測する。その後、手40が図4の右斜め上方向にさらに動くことにより、センサ5Bが手40を検出できなくなる。そして、長い時間を置かずしてセンサ5Cが手40を検出して、センサ5Cと手40との距離43を計測する。その後、手40が図4の右上方向にさらに動くことにより、センサ5Cが手40を検出できなくなる。そして、所定の時間にセンサ5A,5B,5Cのいずれもが手40を検出しないので、手40がセンサ5A,5B,5Cを辿った軌跡が求められ、検出時間が算出される。
【0028】
図3に戻り、ステップS19では、算出部22は、ステップS14で求められた軌跡と、その検出時の時間とからプレイヤの手40の移動速度を算出する。
ステップS20では、入力信号抽出部24は、パターン照合処理を行う。
【0029】
ここで、パターン照合処理について、具体的に例を示して説明する。
図5は、パターン記憶部29に記憶されたパターンデータ及び入力信号を示す。パターン記憶部29は、例えば、線画パターン50、距離51、移動速度52及び入力信号53の各項目を有する。
線画パターン50は、プレイヤの手40の軌跡に対応するものであり、プレイヤの手40が描いたパターンが格納される。なお、図中白丸(○)は、軌跡の開始点を表し、黒丸(●)は、軌跡の終了点を表す。距離51は、最初にプレイヤの手40を検出したセンサとプレイヤの手40との距離の基準に関する値が格納される。移動速度52は、プレイヤの手40の移動速度の基準に関する値が格納される。入力信号53は、入力装置5からゲーム機1の制御部11に送信される入力信号が格納される。
【0030】
図4に示す例に基づき説明すると、求められる軌跡は、左下から右上に向かう一直線の軌跡である。また、センサ5Aとプレイヤの手40との距離が80mmであるとし、移動時間がタイマに基づいて1sであった場合、移動速度が80mm/sである。その場合、右上方向の軌跡が格納された線画パターン50のうち、距離51が「50mm超100mm以下」であり、移動速度が「100mm/s以下」に対応する入力信号53が「A021」の入力信号が抽出される。
【0031】
図3に戻って、ステップS21では、入力信号送信部25は、パターン記憶部29から抽出した入力信号を、ゲーム機1の制御部11に送信する。その後、入力制御部20は、処理を終了する。
【0032】
よって、プレイヤが入力装置5上の空間でジェスチャをすることで、入力装置5は、動くプレイヤの手40を検出する。そして、入力装置5は、検出した情報に基づいて入力信号を抽出してゲーム機1に送信する。そのため、ゲーム機1は、プレイヤのジェスチャに対応する入力信号に応じて、様々なプレイに関する処理を行うことができる。
また、入力信号は、手40の辿る軌跡、手40の移動速度及び手40とセンサとの距離に応じて、異なるものとすることができるので、プレイに多様な変化を与えることができ、プレイの面白味を向上させることができる。
さらに、入力装置5を用いることで、プレイヤがゲーム機1に触れることなく入力することができるので、プレイヤの手40が汚れることがない。よって、入力装置5は、衛生的な入力をプレイヤに提供することができる。
【0033】
次に、上述の入力装置5を用いたゲーム機1での具体的なゲームの方法について説明する。
図6は、第1実施形態に係るアスレチックゲームのマップ例を示す図である。
図7は、第1実施形態に係る表示部3の例を示す図である。
図8から図13は、第1実施形態に係るプレイヤの手40の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
図6に示すように、入力装置5を用いて行うことができるアスレチックゲームは、キャラクタCがスタートSからゴールGまでを、決められた時間内に移動することを競うゲームである。キャラクタCは、図6のマップに示すようなロープRや坂H等の様々な障害を乗り越え又は避けながら、ゴールを目指す。
【0034】
図6に示すアスレチックゲームを行う場合に、図7に示すように、表示部3には、キャラクタCと、キャラクタCが立っているフィールドFと、残り時間61と、体力ゲージ62と、条件矢印63とが表示される。プレイヤは、ジェスチャによりキャラクタCを動かす。そして、残り時間61がなくなる(ゼロになる)前にゴールGまで到達することで、ステージクリアとなる。体力ゲージ62は、キャラクタCに対する入力信号を入力装置5が送信することに応じて上昇し、入力装置5からの入力信号がなく、キャラクタCが止まることに応じて下降する。また、条件矢印63よりも、体力ゲージの値(図中斜線)が上であれば、キャラクタCは移動することができる。他方、条件矢印63よりも、体力ゲージの値が下である場合には、キャラクタCは移動することができない。例えば、キャラクタCがロープRを登っているときには、ロープRから下りてしまう。また、キャラクタCが坂Hにいる場合には、坂Hを下ってしまう。
【0035】
図8は、キャラクタCをジャンプさせる場合を示す図である。図8(a)において、プレイヤは、センサ5B上で、手40(#1)を上げて(#2)、その後下ろす(#3)動き(ジェスチャ)をする。その場合、図8(b)に示すように、表示部3において、直立したキャラクタC(#1)は、飛び上がり(#2)、その後伏せる(#3)。
図9は、キャラクタCの向きを変える場合を示す図である。図9(a)において、プレイヤは、入力装置5の中央の位置のセンサ5B上から、手40(#11)をセンサ5Cの方向へ平行に右方向に動かし(#12)、その後、手40をセンサ5Cからセンサ5Bの方向に左方向へ平行に動かす。つまり、手40を、センサ5B上を通過後、センサ5A上へ動かす(#13)。その場合、図9(b)に示すように、表示部3において、直立したキャラクタC(#11)は、右方向を向き(#12)、さらに左方向を向く(#13)。
【0036】
図10は、キャラクタCを移動させる場合を示す図である。図10(a)において、プレイヤは、入力装置5上の手40を、時計回りに回転させる動きをすることで、センサ5B→センサ5A→センサ5B→センサ5C→・・・の順番で手40を検出する。その場合、図10(b)に示すように、表示部3において、右を向いているキャラクタCは、向いている方向、すなわち右方向に移動する。その場合、例えば、手40の動きが速い(移動速度が速い)ほど、キャラクタCが速く移動する。また、キャラクタCが向いている方向と反対回転させた場合には、キャラクタCは、背面走行をする。具体的には、左を向いているキャラクタCに対して、手40が図10(a)の動きをすると、キャラクタCは、左を向いたまま右方向に移動する。
図11は、キャラクタCをジャンプ移動させる場合を示す図である。図11(a)において、プレイヤは、センサ5A上(#21)から、手40を斜め右上方向に動かし、センサ5B上に移動した際(#22)に、今度は手40を斜め右下方向に動かす(#23)。その場合、図11(b)に示すように、表示部3において、キャラクタCは、画面左から右上方向にジャンプして着地する。
【0037】
図12は、キャラクタCを高所に移動させる場合を示す図である。図12(a)において、プレイヤは、センサ5A上で手40(#31)を上げた後に、右方向へ平行に動かすことで、センサ5Bを通過し、センサ5C上へ動かす(#32)。その後、プレイヤは、センサ5C上で手40を下ろす(#33)動きをする。その場合、図12(b)に示すように、表示部3において、キャラクタCは壁に飛びつき、上段に登る。手40の動かす速度や高さにより、タイミングが悪いとキャラクタCは壁の上に手40が届かず、上段に登ることができない。
図13は、キャラクタCがロープを登る場合を示す図である。図13(a)において、プレイヤは、右手である手40をセンサ5Cの上方に、左手である他の手44をセンサ5Aの上方に置く。そして、手40と他の手44とを交互に上下に動かす(#41),(#42)動きをする。その場合、図13(b)に示すように、表示部3において、キャラクタCは、ロープを登る。
【0038】
このように、ゲーム機1への入力に、プレイヤのジェスチャを用いることができ、ジェスチャに連動して表示部3に表示されたキャラクタCを動かすことができる。よって、プレイヤのジェスチャにより、変化に富んだ入力操作を行うゲーム機1を提供することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、本発明を適用した入力装置の第2実施形態について説明する。
第2実施形態の入力装置は、横方向以外に、奥行き方向にもセンサを配置したものである。
なお、以下の説明及び図面において、上述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号又は末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0040】
図14は、第2実施形態に係る入力装置205の全体構成を示す図である。
図15は、第2実施形態に係るプレイヤによるジェスチャの軌跡を模式化した図である。
図14に示す入力装置205は、第1実施形態の入力装置5に代わり、ゲーム機1の台座7の上に設置する。
この入力装置205は、平面(XY平面)上の図中Y方向及び図中X方向に、それぞれ3つずつ計9つのセンサ205Aから205Iが配置されている。これにより、プレイヤのジェスチャによる、奥行き方向(図中X方向)の動きに対する変化を検出することができるので、入力装置205は、より多様な入力信号を抽出してゲーム機1に適用できる。
【0041】
図14を用いて、プレイヤがセンサ205Aから図中Xの奥行き方向に手を動かし、図中Y方向に手を移動させ、さらに図中Xの手前方向に手を動かす動作をした際には、図15に示すような軌跡を描くことができる。
このような奥行き方向の動きを検出することで、三次元の動きを検出することができるので、例えば、三次元の画像を伴うゲームに適用することができる。よって、さらにプレイに対する操作の幅が広がる。
【0042】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。また、実施形態に記載した効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、実施形態に記載したものに限定されない。なお、上述した実施形態及び後述する変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【0043】
(変形形態)
各実施形態では、入力装置を用いる例として、業務用ゲーム装置を例に説明した。しかし、これに限らず、家庭用のゲーム機に用いてもよい。その場合には、例えば、家庭用ゲーム機の入力デバイスの端子に、この入力装置の端子を接続することで実現できる。
また、第1実施形態では、横に3つのセンサを配置した例を示し、第2実施形態では、横と奥行き方向にそれぞれ3つずつ、計9つのセンサを配置した例を示して説明した。しかし、このような形体に依存するものではなく、どのように配置してもよい。
さらに、各実施形態では、プレイヤの手を検出する例を説明した。しかし、顔等の手以外のプレイヤの身体の一部分を動かして、検出させてもよい。また、プレイヤが棒状やラケット状等の物体を持って、物体を検出させてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】第1実施形態に係るゲーム機の全体構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るゲーム機の機能ブロックを示す図である。
【図3】第1実施形態に係る入力装置の入力受付処理のフローチャートである。
【図4】第1実施形態に係るプレイヤによる入力例を示す図である。
【図5】第1実施形態に係るパターン記憶部の例を示す図である。
【図6】第1実施形態に係るアスレチックゲームのマップ例を示す図である。
【図7】第1実施形態に係る表示部の例を示す図である。
【図8】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図9】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図10】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図11】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図12】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図13】第1実施形態に係るプレイヤの手の軌跡とその際の画面表示例を示す図である。
【図14】第2実施形態に係る入力装置の全体構成を示す図である。
【図15】第2実施形態に係るプレイヤによるジェスチャの軌跡を模式化した図である。
【符号の説明】
【0045】
1 ゲーム機
3 表示部
5,205 入力装置
5a〜5c センサ
7 台座
11 制御部
12 記憶部
13 ゲームプログラム
20 入力制御部
21 検出部
22 算出部
23 軌跡作成部
24 入力信号抽出部
25 入力信号送信部
29 パターン記憶部
40 手
44 他の手
205A〜205I センサ
C キャラクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
空間を遮る物体を検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体の移動速度を算出する算出部と、
を備えるゲーム用入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム用入力装置において、
前記検出部は、前記物体との距離を計測し、
移動速度及び線画パターンで構成されたパターンデータに、入力信号を対応付けて記憶するパターン記憶部と、
前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体が移動した軌跡を求める軌跡作成部と、
前記軌跡作成部により求められた前記軌跡及び前記算出部により算出された前記移動速度と、前記パターン記憶部に記憶されたパターンデータとを照合し、該当の前記入力信号を抽出する入力信号抽出部と、
を備えること、
を特徴とするゲーム用入力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゲーム用入力装置において、
前記複数の検出部は、平面に配置されており、前記平面の上部の空間を遮る前記物体を検出すること、
を特徴とするゲーム用入力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置において、
前記複数の検出部は、前記物体として前記空間を遮るプレイヤの身体の一部分を検出可能であること、
を特徴とするゲーム用入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置と、
ゲームプログラムが記憶された記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行し、前記ゲーム用入力装置からの入力を受け付けて制御を行う制御部と、
を備えること、
を特徴とするゲーム機。
【請求項1】
空間を遮る物体を検出する複数の検出部と、
前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体の移動速度を算出する算出部と、
を備えるゲーム用入力装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム用入力装置において、
前記検出部は、前記物体との距離を計測し、
移動速度及び線画パターンで構成されたパターンデータに、入力信号を対応付けて記憶するパターン記憶部と、
前記複数の検出部による検出に基づき、前記物体が移動した軌跡を求める軌跡作成部と、
前記軌跡作成部により求められた前記軌跡及び前記算出部により算出された前記移動速度と、前記パターン記憶部に記憶されたパターンデータとを照合し、該当の前記入力信号を抽出する入力信号抽出部と、
を備えること、
を特徴とするゲーム用入力装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のゲーム用入力装置において、
前記複数の検出部は、平面に配置されており、前記平面の上部の空間を遮る前記物体を検出すること、
を特徴とするゲーム用入力装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置において、
前記複数の検出部は、前記物体として前記空間を遮るプレイヤの身体の一部分を検出可能であること、
を特徴とするゲーム用入力装置。
【請求項5】
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のゲーム用入力装置と、
ゲームプログラムが記憶された記憶部と、
前記ゲームプログラムを実行し、前記ゲーム用入力装置からの入力を受け付けて制御を行う制御部と、
を備えること、
を特徴とするゲーム機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
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【図4】
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【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2009−254637(P2009−254637A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−108277(P2008−108277)
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】
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