説明

ゲーム装置、その処理方法および記録媒体

【課題】遊技者の技量に応じたコースが設定されるため、遊技者の習熟の程度によらず難易度を低下させないゲームを提供する。
【解決手段】仮想空間を移動する移動体(モーターバイクや車をモデル化したもの等、以下同様)の画像を生成するゲーム装置において、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データP1〜P6を生成し、前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点P1’〜P8’を設定し、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ビデオゲーム機等に搭載するゲーム装置に係り、特に、モーターバイク等の移動体をモデルとした画像生成技術の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
近年のコンピュータ・グラフィックス技術の進展に伴い、仮想的に生成した空間(以下「仮想空間」という。)を、空間内の一視点から観察した画像(以下「仮想画像」という。)として表示するゲーム装置が出現した。その中でも、モーターバイク等によるレースを題材にしたものは、根強い人気を誇っている。
【0003】
なお、以下の記載で「バイク」というときは、仮想空間で走行するゲームプレイのモデルとして表示されるモーターバイク(移動体)を意味するものとする。特に、遊技者自らが操作するバイクを「特定バイク」、特定バイク以外のバイクであって、特定バイクの競争相手となるバイクを「他のバイク」と称する。また、「走行」というときは、仮想空間内に設定された「走行路」における観念上のバイクの走行を意味するものとする。
【0004】
この種のビデオゲーム装置は、実物のバイクをモデルにして成型され遊技者の操作により操作信号を生成する入力装置、仮想空間内の物体(人や車等の移動体や建物や石等の静物を含む)の位置を定める画像データ等に基づいて、入力装置から供給された操作信号に対応させてバイクの走行管理等を行うデータ処理装置(CPU)、および、走行管理されたバイクの画像を生成し、その他の背景画面等とともにディスプレイへ表示する表示装置等を備えて構成される。走行管理に必要な各種データと画像データはメモリに格納される。
【0005】
ゲームプレイの内容は、ゲーム装置が走行の管理をする他のバイクとともに、遊技者の操作する特定バイクを走行路上を走らせ、両者の間で走行路におけるコースレコードの優劣を競う、というものである。遊技者は、実際のレース用走行路をモーターバイクで走るときのように入力装置を傾けて走行路のコーナー(カーブ)を処理し、入力装置の「スロットル」や「ブレーキ」の操作をする。データ処理装置は、遊技者の操作に対応して供給される操作信号に基づいて、特定バイクの位置を特定し、他のバイクの走行位置を特定する。表示装置は、データ処理装置の特定した仮想空間内における他のバイクの位置や背景等の画像データに基づいて、特定バイクの位置から仮想空間を観察した画像データを生成し、ディスプレイに表示する。遊技者は、入力装置の正面に備えられたディスプレイに表示される画像を見ながら入力装置の操作を行う。このため、遊技者は、実際のモーターバイクを運転しているのと近似した感覚で、ゲームプレイを楽しめる。
【0006】
従来、競技相手となる他のバイクを走行させるための走行軌跡として、メモリ上に予め設定した軌跡データを使っていた。この軌跡データは、走行路上における位置座標の列である。データ処理装置は、この位置座標を一定タイミング毎に読出し、読出された位置座標を他のバイクが通過するように走行を管理していた。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記従来のビデオゲーム装置では、以下の不都合があった。
メモリ上に一旦設定した軌跡データは、その内容が変更されない。この軌跡データに基づいて他のバイクの走行軌跡を得ていると、遊技者のゲームプレイの力量が高くなるに連れ、遊技者が他のバイクに容易に勝てるようになる。そのため、操作に習熟した遊技者にとりゲームプレイが相対的に容易になり、面白味がなくなってしまうという不都合があった。多くの遊技者が同種のゲームの操作に習熟してくると、その機種の人気が早期に低下する傾向があった。
【0008】
この不都合に対応するためには、実際に遊技者が操作したバイクの軌跡データを、他のバイクの軌跡データとして用いることも考えられる。しかし、他のバイクの軌跡データとして特定バイクの過去の軌跡データをそのまま用いると、不自然な画像が表示されると考えられる。
【0009】
特定バイクの軌跡データは、遊技者の操作する特定バイクの走行路上における位置座標を一定のタイミング毎にサンプリングした位置座標の列として取得される。これを他のバイクの走行軌跡として用いる場合には、一定のタイミング毎にこの位置座標の列を順番に読出し、読出した位置座標を他のバイクが通過するように走行管理する。
【0010】
ところが、遊技者の操作は常に完全とは限らず、走行路の途中で側壁(走行路と観客席を分ける柵や壁)に衝突したり、他のバイクに衝突したりすることが多い。このような操作状況で取得された軌跡データに基づいて他のバイクの走行管理を行えば、軌跡データが取得された時と同様の走行状態が再現される。つまり、この軌跡データに基づいて走行する他のバイクも、側壁に衝突したり、他にバイクが近くに走っているか否かに関わらず物体に衝突したような不自然な走行となる。
【0011】
したがって、この不都合を解決するためには、軌跡データが走行路をはみ出すような走行軌跡を示している場合はこれを修正し、バイク同士が衝突し突然走行を停止したような走行軌跡であっても、バイクの走行が停止しないような軌跡データを生成する必要がある。
【0012】
また、従来のビデオゲーム装置では、図9Aに示すように、走行中の仮想画像を生成に用いる視点(カメラCで示す)を、バイク上に設置するとの前提の下で画像を生成していた。
【0013】
しかし、このようにして得られる画像は、必ずしも現実にバイクに乗るライダーが通常認識する画像を反映したものとなっていない。例えば、レース中のコーナーリングでは、実際のライダーならばバイクの車体を傾けて身体を乗り出し、頭を鉛直に保った状態でバイクを運転する。したがって、ライダーの認識する景色は、水平線が殆ど傾くことのないものである。ところが、従来のビデオゲーム装置では、図9Aに示すように、特定バイクBの上にカメラを設けていたので、コーナー等を曲がる際に特定バイクBが路面に対して傾くと、カメラがバイクと共に傾き、地平線全体が傾いた画像が生成されてしまっていた(同図B)。
【0014】
また、バイクが転倒した場合、本来ならばバイクに乗っていたライダーは投げ出されるため、投げ出されたライダーの視点で映像を表示すべきである。ところが、バイクにカメラが設置されていると、カメラもバイクとともに転倒して横倒しになり、この視点から横倒しにされた画像が表示されていた。したがって、これらの不都合を解決するためには、現実のライダーが認識するような視点にカメラ(視点)を設置し直す必要がある。
【0015】
そこで、上記問題点を解決するために、本発明の第1の課題は、他の移動体を走行させるデータを遊技者の走行させた軌跡データに基づいて生成することにより、遊技者に飽きの来ないゲームプレイを提供することである。また、第2の課題は、現実の運転者の視点の位置を決定し、その位置からの仮想画像を生成することにより、不自然さがなく、かつ、臨場感溢れた画像を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この目的を達成するため本発明のゲーム装置は、第1の課題を解決するものであり、仮想空間を移動する移動体(モーターバイクや車をモデル化したもの等、以下同様)の画像を生成するゲーム装置において、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データ(一定タイミング毎に取得した位置座標の列等、以下同様)を生成し、前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点(軌跡上一定間隔毎の点等、以下同様)を設定し、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させること、を特徴とするゲーム装置である。
【0017】
本発明のゲーム装置は、第1の課題を解決するものであり、通過点を通過するように前記第2の移動体を移動させる際に、前記仮想空間内の障害物(側壁やバイク等、以下同様)に衝突すると判定される場合には、当該第2の移動体に衝突を回避させる新たな経路(走行軌跡の変更、加速、減速、停止するための経路等)を与えるゲーム装置である。
【0018】
なお、障害物とは、一般的にいる壁や柱等の静物を意味する他、走行中の移動体(第1の移動体であるか第2の移動体であるかを問わず)や路面自体をも含む概念をいう。
【0019】
本発明のゲーム装置は、第1の課題を解決するものであり、仮想空間を移動する複数の移動体の画像を生成するゲーム装置において、前記複数の移動体のうち、外部から供給される操作信号(入力装置を遊技者が操作することにより生成された信号、以下同様)に対応して移動する特定移動体の移動軌跡を所定期間ごとにサンプリングして軌跡データを生成する軌跡データ生成手段と、過去に前記軌跡データ生成手段が生成した軌跡データに基づいて、当該軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定する通過点設定手段と、前記通過点設定手段の設定した通過点を通る経路に沿って前記他の移動体の各々を移動させる制御手段と、を備えて構成される。
【0020】
本発明のゲーム装置は、第1の課題を解決するものであり、軌跡データ生成手段は、前記通過点設定手段へ供給するための前記軌跡データを記憶するメモリと、前記操作信号の示す前記他の移動体の位置情報を所定のサンプリングタイミング毎に取得し、サンプリングした当該位置情報の集合を新たな前記軌跡データとして前記メモリに記憶させるサンプリング部と、サンプリング部により前記新たな軌跡データが記憶される度に、当該新たな軌跡データと過去に前記メモリに記憶された軌跡データとを予め設定した比較条件(例えば、サンプリング点の数や衝突回数がより少ないという条件)に基づいて比較し、当該比較条件に適合したと判定した場合に、当該新たな軌跡データを前記通過点設定手段に出力すべき軌跡データとして前記メモリへ格納する比較出力部と、を備えるゲーム装置である。
【0021】
本発明のゲーム装置は、第1の課題を解決するものであり、通過点設定手段は、前記軌跡データ生成手段から供給された前記軌跡データに基づいて、当該軌跡データを構成する前記位置情報が示す位置を通過する曲線経路を設定する曲線経路設定部と、前記曲線経路設定部の設定した前記曲線経路に沿って各々が略等間隔となるように通過点を設定する通過点設定部と、を備えたゲーム装置である。
【0022】
本発明のゲーム装置は、第1の課題を解決するものであり、制御手段は、前記他の移動体の各々の通過点を示す通過点情報、仮想空間に存在する障害物の位置を示す障害物位置情報に基づいて、当該他の移動体と前記障害物との距離を算出して当該他の移動体と当該障害物との衝突の有無を判定する衝突判定手段と、当該他の移動体が前記障害物に衝突すると判定した場合には、当該他の移動体に当該障害物との衝突を回避させるための新たな経路を与える走行制御手段と、を備えるゲーム装置である。
【0023】
本発明のゲーム装置は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を所定の特定移動体(例えば、遊技者の操作に対応して移動する移動体)とともに移動する視点から観察した視点画像を生成するゲーム装置であって、前記移動体の仮想空間内における姿勢を決定し、当該移動体とともに移動する仮想的な運転者の視点位置を決定し、当該視点位置から観察した仮想空間の視点画像を生成することを特徴とするゲーム装置である。
【0024】
本発明のゲーム装置は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を所定の特定移動体とともに移動する視点から観察した視点画像を生成するゲーム装置であって、前記移動体の前記空間における姿勢を決定する姿勢決定手段と、前記姿勢決定手段によって決定された前記特定移動体の姿勢に基づいて、当該特定移動体とともに移動する仮想的な運転者の頭部と当該特定移動体との間の相対的な位置座標を決定する頭部位置決定手段と、前記頭部位置決定手段の決定した位置座標に前記視点を設定し、当該視点から観察される前記視点画像の所定の座標軸の方向を、当該空間に予め設定された鉛直方向に略一致させて前記視点画像を生成する表示制御手段と、を備えて構成される。
【0025】
本発明のゲーム処理方法は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理方法において、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成し、前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定し、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させること、を特徴とする。
【0026】
本発明のゲーム処理方法は、第2の課題を解決するものであり、前記通過点を通過するように前記第2の移動体を移動させる際に、前記仮想空間内の障害物に衝突すると判定される場合には、当該第2の移動体に衝突を回避させる新たな経路を与えるゲーム処理方法である。
【0027】
本発明のゲーム処理方法は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を所定の移動体とともに移動する視点から観察した視点画像を生成するゲーム処理方法であって、前記移動体の仮想空間内における姿勢を決定し、当該移動体とともに移動する仮想的な運転者の視点位置を決定し、当該視点位置から観察した仮想空間の視点画像を生成することを特徴とする。
【0028】
本発明の記録媒体は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、コンピュータに、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成させ、前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定させ、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させるゲーム処理プログラムが記録された機械読取り可能な記録媒体である。
【0029】
本発明の記録媒体は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、コンピュータに、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成させ、前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定させ、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させ、前記通過点を通過するように前記第2の移動体を移動させる際に、前記仮想空間内の障害物に衝突すると判定される場合には、当該第2の移動体に衝突を回避させる新たな経路を与えるゲーム処理プログラムが記録された機械読取り可能な記録媒体である。
【0030】
本発明の記録媒体は、第2の課題を解決するものであり、仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、コンピュータに、前記移動体の仮想空間内における姿勢を決定させ、当該移動体とともに移動する仮想的な運転者の視点位置を決定させ、当該視点位置から観察した仮想空間の視点画像を生成させるゲーム処理プログラムが記録された機械読取り可能な記録媒体である。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、特定移動体の他に移動する複数の移動体の走行を、過去に特定移動体が走行路上を走行した際の軌跡データに基づいて生成する。したがって、他の移動体を特定移動体に近似した走行状態で移動させることができ、遊技者に飽きの来ないゲームプレイを提供することが可能である。
【0032】
また、複数の移動体の各々について、衝突判定により障害物を回避させるための新たな経路を与えるので、互いの移動体が衝突することもなく移動させることができる。
【0033】
本発明によれば、実際の運転中における運転者の視点の位置を設定し、その位置からの仮想画像を生成することにより、不自然さがなく、かつ、臨場感溢れた画像を提供することである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の好適な実施の形態を図面を参照して説明する。
(I)構成
(構成)
本実施形態のビデオゲーム装置は、モーターバイクのレースをモデルにしたゲームプレイを提供するものであり、複数のバイクのうちの一台(特定バイク)をゲームプレイヤたる遊技者が操作するものである。
【0035】
図1に、本発明の画像生成装置を適用したビデオゲーム装置に係る実施の形態のブロック図を示す。
本ビデオゲーム装置は、ゲーム処理ボード10、入力装置11、出力装置12、ディスプレイ13およびスピーカ14を備えて構成されている。
【0036】
入力装置11は、実物のモーターバイクを模擬した操作装置であり、遊技者が搭乗可能な構成を備えている。搭乗した遊技者が、実際のモータバイクを運転する際に用いるハンドル11a、スロットル11b、ブレーキ11cおよびシフトレバー11d等のモーターバイクの運転に必要な操作要素の他、ビューチェンジスイッチ11eを備え、遊技者が身体を傾けて装置全体が傾いた場合に、そのローリング角を検出するセンサ11fを備えている。ビューチェンジスイッチ11eは、ディスプレイ13に表示される視点画像の視点を切り換えるための操作要素である。
【0037】
出力装置12は、入力装置11に装備される方向指示ランプやテールランプ12aに相当し、CPUの制御により操作状況に対応して点滅可能に構成されている。
【0038】
ゲーム処理ボード10は、CPU(中央演算処理装置)101の他に、ROM102、RAM103、サウンド装置104、入出力インターフェース106、スクロールデータ演算装置107、コ・プロセッサ(補助演算処理装置)108、画像データROM109、ジオメタライザ110、モーションデータROM111、描画装置112、テクスチャデータROM113、テクスチャマップRAM114、フレームバッファ115、画像合成装置116およびD/A変換機117を備えて構成されている。
【0039】
CPU101は、バスラインを介して、ROM102、RAM103、サウンド装置104、入出力インターフェース106、スクロールデータ演算装置107、コ・プロセッサ108およびジオメタライザ110へ接続されている。ROM102は、ゲームプレイを行うためのプログラムデータおよび画像処理用のプログラムデータを記憶可能に構成されている。RAM103は、ジオメタライザ110に対する各種コマンド、各種演算時に必要となるデータ等が書込みまたは読取りが可能に構成されている。
【0040】
サウンド装置104は、プログラムにより供給される音源制御信号に基づいて音響信号を生成可能に構成されている。電力増幅器105は、この音響信号を電力増幅しスピーカ14へ供給可能に構成されている。
【0041】
入出力インターフェース106は、入力装置11および出力装置12へ接続され、入力装置11により生成された操作信号SDをデジタルデータとしてCPU101へ供給し、CPU101から転送されたランプの点滅信号を出力装置12へ出力可能に構成されている。スクロールデータ演算装置107は、文字や背景画像等のデータ(ROM102に格納)を表示制御可能に構成されている。
【0042】
コ・プロセッサ108は、画像データROM109に格納されているポリゴンデータに基づいて、衝突判定等特定の演算を高速に実行可能に構成されている。画像データROM109は、衝突等の判定に必要なポリゴンデータを格納して構成されている。
【0043】
ここで、「ポリゴン」とは、バイク、走行路、障害物、建造物および人物等の物体を仮想空間内に表示させるため、物体を構成する小さい多角形(三角形、四角形等)の各々をいい、「ポリゴンデータ」とは個々のポリゴンの各頂点の座標値で構成するポリゴンを特定するデータをいう。
【0044】
ジオメタライザ110は、モーションデータROM111および描画装置112へ接続され、モーションデータROM111から転送されたポリゴンデータを、視野変換可能に構成されている。
【0045】
モーションデータROM111は、モーションデータとして、自分のバイク、競争相手になる他のバイク等動きのある物体に関するポリゴンデータが格納可能に構成されている。このモーションデータROM111に格納されるポリゴンデータは、精密表示のため比較的細かい(一つのポリゴンの面積が小さい)多数のポリゴンのためのデータである点で、コ・プロセッサ108が衝突判定等の各種判定を行うに十分な程度の粗い(一つのポリゴンの面積が大きい)データである画像データROM109のポリゴンデータと異なる。
【0046】
描画装置112は、視野座標系において定義されたポリゴンデータに、テクスチャ(模様、色彩またはこれらの組合せ)をマッピング可能に構成されている。テクスチャマップRAM114は、描画装置112のテクスチャマッピング演算に使用されるテクスチャデータを格納可能に構成されている。フレームバッファ115は、テクスチャマッピングの修了した画像データを格納するバッファである。画像合成装置116は、スクロールデータ演算装置107からのデータとフレームバッファ115へ一時的に記憶されたポリゴンデータとを、CPU101により指定された優先順位にしたがって合成し、フレーム画像データを生成可能に構成されている。D/A変換器117は、フレーム画像データをアナログ信号へ変換した後、ディスプレイ13へ出力可能に構成されている。
【0047】
(作用)
遊技者は、入力装置11に搭乗すると、実際のモータバイクを運転するのと同様な手順でハンドル11a、スロットル11b、ブレーキ11cやシフトレバー11dを操作する。この操作状態は、操作信号SDとしてゲーム処理ボード10へ供給される。また、遊技者が体を傾けて入力装置11全体を傾けた場合、センサ11fによりその傾き(ローリング角)が検出され、ローリング角に対応した操作信号SDがゲーム処理ボード10へ供給される。
【0048】
この入力装置11はディスプレイ13の前に設置される。したがって、遊技者はディスプレイ13に表示される走行路の画像を観察しながら、実際のモーターバイクを運転するときと同一の感覚で入力装置11を操作できることになる。
【0049】
CPU101は、ROM102に格納されたプログラムデータを実行する。入力装置11から操作信号SDが供給されると、仮想空間内に設定した走行路上のバイクの走行軌跡をシミュレートする。
【0050】
まず、CPU101は、仮想空間(ワールド座標系)における走行路、障害物、バイク等の物体の3次元の座標値を決定する(その詳細は本発明に係り、後述する)。
【0051】
物体の座標値決定に当たり、コ・プロセッサ108は、画像データROM109から、バイク、走行路、障害物、建造物および人物等に関するポリゴンデータを読取り、各バイクの走行軌跡の設定やバイクの衝突判定等を行い、その判定結果をCPU101へ供給する。CPU101は、コ・プロセッサ108による判定結果を参照して物体の3次元の座標値を決定する。そして、CPU101は、これら物体のポリゴンデータ、および決定した座標値(ワールド座標系)、およびこの座標値を視野座標系に変換する変換マトリクスデータをジオメタライザ110へ供給する。
【0052】
ジオメタライザ110は、CPU101から転送された変換マトリクスデータを用いて物体のワールド座標系の座標値を透視変換し、視野座標系における物体の座標値に変換する。この結果、3次元で定義された物体を含む仮想空間を、視点の前面に設けた2次元平面に投射した画像が生成される。
【0053】
描画装置112は、視野座標系で定義された物体に陰面処理を行って、視点から見えるポリゴンの表面に、テクスチャデータROM113およびテクスチャマップRAM114を使用してテクスチャデータを展開(貼り付け)させる。テクスチャデータを展開させた画像データは、フレームバッファ116に出力され、スクロールデータ演算装置107からの画像データと合成された後、ディスプレイ13に出力される。
【0054】
(機能ブロックの構成および作用)
図2に、以上のハードウェアにより実行される本発明の機能ブロック図を示す。これら機能ブロックは、主としてCPU101が、ROM102に格納したプログラムデータを実行することで実現される。機能ブロック図は、本発明の第1の課題を解決する系統および第2の課題を解決する系統に分けられる。
【0055】
本発明の第1の課題を解決する系統は、軌跡データ生成回路1000、通過点設定回路1010、衝突判定回路1020および走行制御回路1030を備えて構成されている。第2の課題を解決する系統は、姿勢決定回路1040、頭部位置決定回路1050および表示制御回路1060を備えて構成されている。
【0056】
軌跡データ生成回路1000は、サンプリングブロック1001、比較出力ブロック1002およびメモリ1003を備えている。メモリ1003は、図1のRAM103に相当する。
通過点設定回路1010は、曲線経路設定ブロック1011と通過点設定ブロック1012とを備える。
【0057】
以上の構成において、サンプリングブロック1001は、画像の表示周期(垂直同期期間等)毎に、操作信号SDに基づいて走行路上を移動する特定バイクの3次元座標系(ワールド座標系)における位置座標(x,y,z)をサンプリングし、メモリ1003に格納する。特定バイクの一回の走行路の走行によりメモリ1003に蓄積される位置座標の集合を軌跡データDTと称する。比較出力ブロック1002は、メモリ1003に格納された軌跡データDTのうち、最も成績の良い(最も速く走行路を完走したとき)軌跡データ(以下「ベストレコード」という)と、特定バイクの走行により新たに取得された軌跡データとを比較する。そして、より成績の良い方の軌跡データをベストレコードとする。
【0058】
曲線経路設定ブロック1011は、軌跡データDTの位置座標の各々を通過可能に曲線経路を設定する。通過点設定ブロック1012は、曲線経路設定ブロック1011の設定した曲線経路上において等距離間隔ごとに通過点を設定し、通過点の集合を通過点情報DPとして出力する。
【0059】
衝突判定回路1020は、画像データに含まれる障害物位置情報SO、通過点情報および操作信号SDを参照し、各々の物体が衝突するか否かを判定し、衝突する場合に衝突情報Dcを出力する。
【0060】
走行制御回路1030は、通過点情報DPを参照し、他のバイクを走行路に沿って走行制御する。他のバイクの走行軌跡を定める際、走行制御回路1030は衝突情報DCを参照し、衝突するおそれのある場合に当該バイクの走行状態を変更させる。各バイクの走行状態は表示制御信号SCとして出力される。
【0061】
一方、姿勢決定回路1040は、操作信号SDを参照してローリング角の情報を取得し、特定バイクの姿勢を決定する。頭部位置決定回路1050は、決定した特定バイクの姿勢に基づいて、特定バイクに架空のライダーが乗っているものと仮定した場合に、実際のライダーが通常とるであろう姿勢をシミュレートする。そして、その姿勢から架空のライダーの頭部の視点の位置座標を決定し、視点情報DVとして出力する。表示制御回路1060は、表示制御信号SCにより特定された位置の各バイクを、視点情報DVの位置から観察した画像を生成する。
【0062】
(II)動作の説明
次に、本実施の形態の動作をフローチャートを参照して説明する。図3は、本形態のメインルーチンを説明するフローチャートである。まず、ゲームプレイヤである遊技者は、入力装置11であるバイクに乗り、ゲームの開始をゲーム装置に指示する。
【0063】
ステップS1: CPU101は、RAM103に格納された過去の軌跡データDTのうち、最も成績の良かった軌跡データを読出す。成績の良否は軌跡データとともに記憶されるフラグデータ等を参照して判断すればよい。
【0064】
ステップS2: CPU101は、読出した軌跡データを構成する位置座標の示す点のすべてを通過するような曲線経路を設定する。例えば、図6AのP1〜P6のように位置座標の列がサンプリングされている場合、これらP1〜P6のすべてを結ぶような曲線を設定する。曲線の設定は、例えば、ある位置を基点として、前方に連続する2つの位置を通るような曲線の関数を、その係数を決定して行う。関数には、二次関数、三次関数や双曲線特性を用いることができる。各位置座標を基準として決定された関数を繋ぎ合せると、図6Aに破線で示すように、総ての点を通過する曲線経路が取得される。
【0065】
ステップS3: この曲線経路に対し、図6Bに示すように、CPU101は一定の等距離間隔に通過点P1’〜P8’を設定する。取得された通過点P1’〜P8’は、他のバイクが使用する走行軌跡の基準になるものである。
【0066】
ここで、サンプリングされた軌跡データP1〜P6と、曲線経路上に均等間隔で設けられた通過点P1’〜P8’と、の違いを述べる。軌跡データP1〜P6は、特定バイクの走行位置を一定期間毎にサンプリングして構成される。したがって、軌跡データP1〜P6の示す位置座標を一定期間毎に順次読取り、読み取った位置を通過するように、他のバイクを走行させると、特定バイクの走行軌跡に沿って他のバイクを走行させることができる。いわば、空間的および時間的に特定バイクのシミュレートが行われたことになる。
【0067】
一方、各通過点P1’〜P8’は、走行路上における距離が等間隔になるように設定されたものである。したがって、一定期間毎に通過点を読取り、読み取った通過点に沿って他のバイクを走行させたことは、空間的に特定バイクをシミュレートしたことになるが、時間的にはシミュレートしたことにはならない。他のバイクは、独自に設定されたスピードで特定バイクの軌跡を走行することになる。このことは、例えば特定バイクが走行路の中途で停止したりクラッシュしたりしても、この事実による特定バイクの減速や停止自体は他のバイクの走行に影響を与えないことを意味している。
【0068】
ステップS4: 以上の前処理が終了すると、CPU101は走行制御を開始する。すなわち、ゲームプログラムにしたがいモーターバイクレースがスタートし、遊技者が入力装置11を用いて操作する特定バイクとCPU101が走行制御する他のバイクとのレースが始まる。
【0069】
ステップS5: 表示タイミング(例えば、垂直帰線期間等の画像表示周期に同期したタイミング)が来ると(S5;YES)、以下の処理を行う。
【0070】
まず、操作信号SDを入力し(ステップS6)、操作信号SDの操作状態(例えば、スロットルの開放状態、ブレーキの有無、ハンドル操作やローリング角の程度)に応じて定まる走行路上の特定バイクの位置座標をRAM103に格納する(ステップS7)。
【0071】
ステップS8: 他のバイクの走行位置を計算する。すなわち、ステップS3において取得された各通過点を通るように、各バイクの走行状態が制御される。各バイクの走行速度は機種に依存する。すなわち、バイクの機種毎にモーターバイクの性能が定められ、モーターバイクの性能に応じた平均スピードが定められる。
【0072】
Sub1: 上記のような通過点の設定により、他のバイクは、それぞれ設定された性能に応じたスピードで走行制御されることになる。このとき、軌跡データをサンプリングした時の特定バイクが、側壁に衝突する等の安定しない走行であった場合にこの軌跡データを他のバイクの走行制御にそのまま利用すると、この他のバイク自体の走行も安定しないものとなる。そこで、本形態では衝突判定(Sub1)を行って、衝突等の状態が予見される場合には走行状態を変更させる。詳しくは後述する。
【0073】
Sub2: また、特定バイクに乗るライダーの頭部の位置が決定され、このライダーの視点から各々調整された走行経路を走る他のバイクを望んだ場合の画像が生成される。詳しくは後述する。
【0074】
ステップS9: 以上で一回の表示タイミングにおける画像生成が終了する。ゲームプレイが終了せず、次の表示タイミングにおいても画像を生成すべき場合(S9;NO)はステップS5〜S8が繰り返される。
【0075】
ステップS10: ゲームプレイを終了する場合(ステップS9;YES)、過去に最も成績の良かった軌跡データが読出される。
【0076】
ステップS11: さらに最も成績の良かった軌跡データの位置座標の数が参照され、ステップS6およびS7において表示タイミング毎に蓄積された位置座標の数と比較される。表示タイミングの間隔は一定であるので、軌跡データを構成する位置座標の数は、すなわち、軌跡データのコースレコードに対応している。位置座標の数が少なければこの軌跡データがサンプリングされた際のコースレコードは優秀であり、位置座標の数が多ければあまり良いレコードを記録したとは言えない。
【0077】
ステップS12: 新たにサンプリングされた軌跡データと過去に最も成績の良かった軌跡データとについて、位置座標の数を比較する。
【0078】
ステップS13: 比較の結果、新たな軌跡データの位置座標の数が少なかった場合(S12;YES)、新たな軌跡データをベストレコードとして記録する(S13)。具体的には、軌跡データがベストレコードである旨のフラグデータをともに記録する。
【0079】
なお、上記の位置座標の数によるコースレコードの判定の他、衝突回数をコースレコードの善し悪しを判断する基準として用いてもよい。衝突回数が少ないほど、後のバイクの軌跡データとして用いるのに適しているからである。また、直接、所用時間を軌跡データとともに記録し、この所用時間を示すデータを用いて優劣を判定してもよい。
【0080】
(衝突判定)
図4に、衝突判定処理(Sub1)のフローチャートを示す。他のバイクは、ある通過点を通過すると、最も近い通過点を次の通過点とするよう制御される。 ステップS100: CPU101およびコ・プロセッサ108は、ステップS7(第3)にて計算した特定バイクの位置情報を参照する。
【0081】
ステップS101: この位置から視野に入ると考えられる走行路上の障害物の位置座標を画像データROM109から読出す。
【0082】
ステップS102: 同時に他のバイクの最も新しい位置座標を読み取る。他のバイクのカウンタnを1(以下、例えばn番目の他のバイクを示すのに「バイク#n」という表現を用いる)に設定する。
【0083】
ステップS103: このバイク#nについては、次に目標とすべき通過点と当該バイクに設定されたスピード等に基づいて、今回の表示タイミングにおいて位置すべきバイクの位置座標を求める。
【0084】
ステップS104: 次いで、この他のバイクが視野に入るか否かが検査される。
【0085】
ステップS105: 視野に入る場合(S104;YES)、障害物にこの他のバイクが衝突する可能性があるか否かのいわゆる衝突判定が行われる。
【0086】
この衝突判定処理としては、例えば、本願出願人の先願にあたる特開平7−230559号公報に記載した方法等が用いられる。この方法を手短に説明する。
【0087】
まず、衝突を判定したい二つの物体のそれぞれに、所定の半径を有する衝突球(例えば半径r1とr2)を設定する。そして、両物体の位置座標に基づいて両物体の距離Lを算出し、算出した距離Lと衝突球の半径の和(=r1+r2)との大小により衝突の有無を判定する。本形態では、衝突球の一つは判定対象となる他のバイクに設定され、衝突球の残りは障害物(走行路のガードフェンス、このバイク以外のバイク)に設定される。
【0088】
なお、後述するように、次の通過点と障害物との距離を判定し、所定の距離以下である場合に、次の目標をこの通過点の次に存在する通過点に変更してもよい。
【0089】
ステップS106: 衝突可能性が存在する場合(S105;YES)、障害物が前方か否かを判定する。
【0090】
ステップS107: 障害物が後方にある場合(S106;後方)とは、例えばバイクが追ってきている状態をいうので、バイク#nの速度を上げる。 ステップS108: 障害物が前方にある場合(S106;前方)、経路の変更により障害物との衝突を避ける余裕があるか否かを判定する。
【0091】
ステップS109: その結果、障害物を避ける余裕がある場合(S108;YES)、このバイク#nの経路を、直前にある通過点へ向けての経路から、当該通過点の次にある通過点に向けての経路に変更する。
【0092】
経路の変更について、図7のように、走行路L上に軌跡データがサンプリングされ(△印)、通過点PA〜PI(○印)が設定されている場合を例に説明する。この軌跡データを取得したとき、この特定バイクは走行路Lの側壁に衝突し、一時走行路Lをはずれている。このため、通過点PCでは、走行路Lをはずれた位置に設定されている。他のバイクが走行点PXを走行している場合、CPU101は、次の通過点PBと障害物である側壁との距離dを計算する。この距離dが基準値よりも少ない場合、CPU101は他のバイクの目標を通過点PBから通過点PDに変更する。このように経路の変更を行えば、他のバイクは、通過点PBにおける側壁への異常接近や通過点PCにおけるコースアウトをすることなく、スムーズな経路で走行を続けることができる。
【0093】
ステップS110: さて、スピードが出ている等の理由により、障害物を避ける余裕がない場合(S108;NO)、障害物との距離が異常に接近しているか否かを判定する。異常接近を判定する距離は、バイクの速度に応じて変化させればよい。
【0094】
ステップS111: 例えば、同一の軌跡上を先行するバイクに接近した場合等、バイクを減速すれば、相手との距離を一定に保てる場合には(S110;NO)、バイク#nを減速させる。
【0095】
ステップS112: 一方、転倒したバイクやフェンス等の静物が障害物であって急ブレーキをかけなければ衝突を回避できない場合、バイク#nを急停止させる。
以上の処理で、一つの他のバイクについての衝突判定を終了する。
【0096】
次いで、バイクの番号を一つ上げ(ステップS113)、他のバイクが存在する限り(ステップS114;YES)、ステップS103〜S113までの処理を繰り返す。すべての他のバイクについて衝突判定が終了すれば(ステップS114;NO)メインルーチンに復帰する。
【0097】
(表示制御)
図5に、表示制御処理(Sub2)のフローチャートを示す。
ステップS200: まず、操作信号SDに含まれるローリング角の情報を参照する。
ステップS201: このローリング角の情報に基づいて、CPU101は特定バイクの姿勢を計算する。ローリング角の情報が入力装置11の傾きの大きさに比例して出力される場合は、このローリング角の情報をそのまま特定バイクの姿勢としてもよい。また、ローリング角の情報が入力装置11から供給されない場合には、速度とハンドル11aの操作量からバイクに加わる遠心力の向きを計算し、この遠心力の向きが、バイクの重心からタイヤの接地点への向きと一致するように特定バイクの姿勢を計算してもよい。
【0098】
ステップS202: ライダーの仮想的な頭部位置を計算する。実際のレース中のコーナーリングの際、ライダーはカーブの内側に身を乗り出し、全体の重心を低くしながらバイクの転倒を防止し、カーブを高速に曲がる。したがって、ステップS201において計算された特定バイクの姿勢が路面に対して傾いている場合には、ライダーがコーナーの内側に身を乗り出し、その頭部の位置がバイクの中心よりずれていると考えるのが現実的である。そこで、本形態でも、特定バイクの傾きに対応させて、ライダーの頭部の位置をバイクの側面方向に変化させる。
【0099】
ステップS203: ステップS202で計算した頭部の位置にカメラ(視点)を設置し、透視変換する場合のY軸方向を決定する。すなわち、実際のライダーはコーナーリングの最中に身をバイクの側面に乗り出すが、頭は真っ直ぐにし、視野を正しく保とうとする。したがって、本形態でもこれを模擬し、透視変換のためのY軸を仮想空間の鉛直方向に平行な状態とする。
【0100】
ステップS204: 決定した視点とY軸とに基づいた仮想空間の透視変換を行い、実際のライダーが認識する景色に近似した画像を表示する(ステップS205)。
【0101】
なお、視点の位置は、ライダーの頭部の位置に一致させる他、入力装置11のビューチェンジスイッチ11eの操作に対応して、例えばライダーの頭部の後方や側面からライダーのヘルメットの一部を画角に含める視点の位置としてもよい。
【0102】
以上の表示制御処理により、例えば、図8Aのように、バイクBに乗るライダーの頭部に視点を得るための視点であるカメラCが設置されたかのような状態でゲームが行われることになる。そして、図8Bに示すように、特定バイクのわずかな傾きに応じて視点の位置がC0やC1の位置に変動する他、左カーブにおいて、入力装置11が左に傾けられた場合には、B2の特定バイクの姿勢に対応したC2のカメラの位置が決定される。また、右カーブにおいて、入力装置11が右に傾けられた場合には、B3の特定バイクの姿勢に対応したC3のカメラの位置が決定される。
【0103】
(III)実施の形態の効果
(a) 本形態によれば、過去に取得された軌跡データと新たに取得された軌跡データとを比較し、良好なコースレコードを記録した軌跡データを次回のゲームに用いる。他のバイクはこの軌跡データに基づいて走行するので、ゲームを行う遊技者の力量が上がっても、他のバイクのコースレコードも上がり、遊技者にとってゲームプレイの相対的な困難度が変化しない。
【0104】
(b) 特に、常に最も上達した遊技者に操作されるのと同等に走行する他のバイクが対戦相手となるので、ゲーム装置の設置場所とそのゲーム装置の遊技者層の習熟の程度に対応した難易度がゲームに設定される。したがって、多くの需要者にとって難過ぎることも簡単過ぎることもなく、適度なゲームの難易度でゲームプレイを楽しむことができる。
【0105】
(c) さらに、過去にサンプリングした特定バイクの軌跡がコースを外れるようなものであっても、他のバイクの走行制御において衝突判定および経路の変更が行われるので、不自然さのない他のバイクの走行が表示できる。また、軌跡データをサンプリングした際に、特定バイクが停止や転倒をしたとしても、軌跡データのみに基づいて他のバイクの通過点を設定するので、自然な他のバイクの走行が表示できる。
【0106】
(d) コーナーリング等における入力装置の傾きに応じたライダーの頭部の位置座標を計算し、この頭部の位置から観察した走行路の画像を生成するので、遊技者は常に実際のライダーが体験するのと同様の画像を楽しむことができる。
【0107】
(e) また、頭部の傾きも実際のライダーの頭部の傾きを模擬したので、遊技者が入力装置を傾けても、水平線が傾くことなく画像が表示される。したがって、この点でも実際のライダーが体験するのと同様の画像により、遊技者は、臨場感豊かにレースを体験することができる。
【0108】
(IV)その他の形態
本発明は、上記各形態に拘らず種々に変形できる。まず、上記実施の形態では、過去の軌跡データとして最も成績の良いコースレコードを採用したが、他の選択方法を用いてもよい。例えば、過去の軌跡データを複数記憶するように構成し、図3のステップS2で曲線経路を定める際、過去のコースレコード(位置座標の数)の平均値を求め、その平均値に最も近いコースレコードを有する軌跡データを選択してもよい。このように平均的なコースレコードを用いれば、そのゲームを使用する遊技者の大多数にとり、実力の拮抗した他のバイクとの対戦を楽しめることになる。
【0109】
また、サブルーチンSub2の表示制御処理で、コーナーリング時の透視変換の画像のY軸を、ローリング角の大きさに所定の係数k(0<k<1)を乗じた角度だけ傾けてもよい。実際のレースにおいて、ライダーは視野の横軸を水平に保とうとする。しかし、コーナーの曲率が小さい場合等は十分な補正ができず、若干水平線が傾いて認識されることも考えられる。したがって、ローリング角の大きさに応じて少し頭(透視変換ためのY軸)が傾くように表示すれば、臨場感のある画像が生成できる。
【図面の簡単な説明】
【0110】
【図1】本発明の実施の形態であるビデオゲーム装置のブロック図である。
【図2】本発明の機能ブロック図である。
【図3】本発明の実施の形態におけるメインルーチンのフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態における衝突判定処理のフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態における表示制御のフローチャートである。
【図6A】本発明の実施の形態における軌跡データの説明図である。
【図6B】本発明の実施の形態における通過点設定の説明図である。
【図7】本発明の実施の形態における経路変更の説明図である。
【図8A】本発明の実施の形態におけるバイクと視点の位置の説明図である。
【図8B】本発明の実施の形態における視点位置と表示画像との関係の説明図である。
【図9A】従来のビデオゲーム装置におけるバイクと視点の位置の説明図である。
【図9B】従来のビデオゲーム装置における視点位置と表示画像との関係の説明図である。
【符号の説明】
【0111】
10 ゲーム処理ボード
11 入力装置
11a ハンドル
11b スロットル
11c ブレーキ
11d シフトレバー
11e ビューチェンジスイッチ
11f センサ
12 出力装置
12a テールランプ
13 ディスプレイ
14 スピーカ
104 サウンド装置
105 電力増幅器
106 入出力インターフェース
107 スクロールデータ演算装置
108 コ・プロセッサ
109 画像データROM
110 ジオメタライザ
111 モーションデータROM
112 描画装置
113 テクスチャデータROM
114 テクスチャマップRAM
115 フレームバッファ
116 画像合成装置
117 変換器
1000 軌跡データ生成回路
1001 サンプリングブロック
1002 比較出力ブロック
1003 メモリ
1010 通過点設定回路
1011 曲線経路設定ブロック
1012 通過点設定ブロック
1020 衝突判定回路
1030 走行制御回路
1040 姿勢決定回路
1050 頭部位置決定回路
1060 表示制御回路A 同図
B バイク
C カメラ
C 衝突情報
c 衝突情報
P 通過点情報
T 軌跡データ
V 視点情報
k 係数
L 走行路
n カウンタ
P 通過点
X 走行点
r1 半径
C 表示制御信号
D 操作信号
O 障害物位置情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム装置において、
第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成し、
前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定し、
前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させること、を特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記通過点を通過するように前記第2の移動体を移動させる際に、前記仮想空間内の障害物に衝突すると判定される場合には、当該第2の移動体に衝突を回避させる新たな経路を与える請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
仮想空間を移動する複数の移動体の画像を生成するゲーム装置において、
前記複数の移動体のうち、外部から供給される操作信号に対応して移動する特定移動体の移動軌跡を所定期間ごとにサンプリングして軌跡データを生成する軌跡データ生成手段と、
過去に前記軌跡データ生成手段が生成した軌跡データに基づいて、当該軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定する通過点設定手段と、
前記通過点設定手段の設定した通過点を通る経路に沿って前記他の移動体の各々を移動させる制御手段と、を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
前記軌跡データ生成手段は、前記通過点設定手段へ供給するための前記軌跡データを記憶するメモリと、
前記操作信号の示す前記他の移動体の位置情報を所定のサンプリングタイミング毎に取得し、サンプリングした当該位置情報の集合を新たな前記軌跡データとして前記メモリに記憶させるサンプリング部と、
前記サンプリング部により前記新たな軌跡データが記憶される度に、当該新たな軌跡データと過去に前記メモリに記憶された軌跡データとを予め設定した比較条件に基づいて比較し、当該比較条件に適合したと判定した場合に、当該新たな軌跡データを前記通過点設定手段に出力すべき軌跡データとして前記メモリへ格納する比較出力部と、を備える請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記通過点設定手段は、前記軌跡データ生成手段から供給された前記軌跡データに基づいて、当該軌跡データを構成する前記位置情報が示す位置を通過する曲線経路を設定する曲線経路設定部と、
前記曲線経路設定部の設定した前記曲線経路に沿って各々が略等間隔となるように通過点を設定する通過点設定部と、を備えた請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記他の移動体の各々の通過点を示す通過点情報、仮想空間に存在する障害物の位置を示す障害物位置情報に基づいて、当該他の移動体と前記障害物との距離を算出して当該他の移動体と当該障害物との衝突の有無を判定する衝突判定手段と、
当該他の移動体が前記障害物に衝突すると判定した場合には、当該他の移動体に当該障害物との衝突を回避させるための新たな経路を与える走行制御手段と、を備える請求項3に記載のゲーム装置。
【請求項7】
仮想空間を所定の特定移動体とともに移動する視点から観察した視点画像を生成するゲーム装置であって、
前記移動体の仮想空間内における姿勢を決定し、当該移動体とともに移動する仮想的な運転者の視点位置を決定し、当該視点位置から観察した仮想空間の視点画像を生成することを特徴とするゲーム装置。
【請求項8】
仮想空間を所定の特定移動体とともに移動する視点から観察した視点画像を生成するゲーム装置であって、
前記移動体の前記空間における姿勢を決定する姿勢決定手段と、
前記姿勢決定手段によって決定された前記特定移動体の姿勢に基づいて、当該特定移動体とともに移動する仮想的な運転者の頭部と当該特定移動体との間の相対的な位置座標を決定する頭部位置決定手段と、
前記頭部位置決定手段の決定した位置座標に前記視点を設定し、当該視点から観察される前記視点画像の所定の座標軸の方向を、当該空間に予め設定された鉛直方向に略一致させて前記視点画像を生成する表示制御手段と、を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項9】
仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理方法において、
第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成し、
前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定し、
前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させること、を特徴とするゲーム処理方法。
【請求項10】
前記通過点を通過するように前記第2の移動体を移動させる際に、前記仮想空間内の障害物に衝突すると判定される場合には、当該第2の移動体に衝突を回避させる新たな経路を与える請求項9に記載のゲーム処理方法。
【請求項11】
仮想空間を所定の移動体とともに移動する視点から観察した視点画像を生成するゲーム処理方法であって、
前記移動体の仮想空間内における姿勢を決定し、当該移動体とともに移動する仮想的な運転者の視点位置を決定し、当該視点位置から観察した仮想空間の視点画像を生成することを特徴とするゲーム処理方法。
【請求項12】
仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、
コンピュータに、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成させ、
前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定させ、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させるゲーム処理プログラムが記録された機械読取り可能な記録媒体。
【請求項13】
仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、
コンピュータに、第1の前記移動体が仮想空間内を移動した軌跡を所定時間間隔でサンプリングして軌跡データを生成させ、
前記軌跡データの示す軌跡上に所定距離間隔ごとに通過点を設定させ、前記通過点を通過するように第2の移動体を移動させ、
前記通過点を通過するように前記第2の移動体を移動させる際に、前記仮想空間内の障害物に衝突すると判定される場合には、当該第2の移動体に衝突を回避させる新たな経路を与えるゲーム処理プログラムが記録された機械読取り可能な記録媒体。
【請求項14】
仮想空間を移動する移動体の画像を生成するゲーム処理プログラムが記録された記録媒体において、
コンピュータに、前記移動体の仮想空間内における姿勢を決定させ、当該移動体とともに移動する仮想的な運転者の視点位置を決定させ、当該視点位置から観察した仮想空間の視点画像を生成させるゲーム処理プログラムが記録された機械読取り可能な記録媒体。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
仮想空間を所定の特定移動体とともに移動する視点から観察した視点画像を形成するゲーム装置であって、
前記移動体の前記仮想空間における姿勢を決定する姿勢決定手段と、
前記姿勢決定手段によって決定された前記特定移動体の姿勢に基づいて、当該特定移動体とともに移動する当該仮想的な運転者の頭部と当該特定移動体との間の相対的な位置座標を前記仮想的な運転者の頭部位置座標として決定する頭部位置決定手段と、
前記頭部位置決定手段の決定した前記仮想的な運転者の頭部位置座標に前記視点を設定し、当該視点から観察される少なくとも一つの視点画像のY軸方向を、ワールド座標系に予め設定された鉛直方向に略平行に設定して、前記少なくとも一つの視点画像を生成する表示制御手段と、
を備えたことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記特定移動体はバイクであり、前記頭部位置は当該バイクの傾きに対応させて当該バイクの一方の側面方向に変更される、請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
仮想空間を特定移動体とともに移動する視点から観察した少なくとも一つの視点画像を形成するゲーム装置のための画像処理方法であって、
前記移動体の前記仮想空間における姿勢を決定するステップと、
前記特定移動体の姿勢に基づいて、当該特定移動体とともに移動する当該仮想的な運転者の頭部と当該特定移動体との間の相対的な位置座標を前記仮想的な運転者の頭部位置座標として決定するステップと、
前記仮想的な運転者の頭部位置座標に前記視点を設定し、当該視点から観察される少なくとも一つの視点画像のY軸方向を、ワールド座標系に予め設定された鉛直方向に略平行に設定して、前記少なくとも一つの視点画像を生成するよう表示を制御するステップと、
を含む画像処理方法。
【請求項4】
前記特定移動体はバイクであり、前記頭部位置は当該バイクの傾きに対応させて当該バイクの一方の側面方向に変更される、請求項3に記載の画像処理方法。
【請求項5】
仮想空間を特定移動体とともに移動する視点から観察した少なくとも一つの視点画像を形成するゲーム装置のための方法に関する命令を含むコンピュータで読取可能な媒体であって、
前記移動体の前記仮想空間における姿勢を演算する処理と、
前記特定移動体の姿勢に基づいて、当該特定移動体とともに移動する当該仮想的な運転者の頭部と当該特定移動体との間の相対的な位置座標を前記仮想的な運転者の頭部位置座標として演算する処理と、
前記仮想的な運転者の頭部位置座標に前記視点を設定し、当該視点から観察される少なくとも一つの視点画像のY軸の方向を、ワールド座標系に予め設定された鉛直方向に略平行に設定して、前記少なくとも一つの視点画像を生成するよう表示を制御する処理と、
をコンピュータに実現させるための命令が記憶された、コンピュータで読取可能な媒体。
【請求項6】
前記特定移動体はバイクであり、前記頭部位置は当該バイクの傾きに対応させて当該バイクの一方の側面方向に変更される、請求項5に記載のコンピュータで読取可能な媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【公開番号】特開2006−297121(P2006−297121A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162101(P2006−162101)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【分割の表示】特願平9−539738の分割
【原出願日】平成9年5月2日(1997.5.2)
【出願人】(000132471)株式会社セガ (811)
【Fターム(参考)】