説明

ゲーム装置、その制御方法、ならびに、プログラム

【課題】 プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生される動画情報が即応的に変更されるゲーム装置等を提供する。
【解決手段】 ゲーム装置301の動画再生部305は、動画情報の読み出し要求をしてからの読み出しが遅い第1動画記憶部302や読み出しが速い第2動画記憶部303が記憶する動画情報を再生するが、更新部307は、現在再生中の動画情報の再生が完了するまでに入力受付部306がプレイヤーからの指示入力を受け付けた場合、指示入力の種類等から、次に再生すべき動画情報を決定してこれを動画再生部305に再生させる一方で、予測部308は、現在再生中の動画情報の再生が完了するまでにプレイヤーからの指示入力がなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測して、適切なタイミングで読み出し要求を行い、結局プレイヤーからの指示入力がなかった場合、動画再生部305は、予測された動画情報の再生を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生すべき動画情報が変更されるようなゲームにおいて、動画表示の変更を指示入力にできるだけ即応させるのに好適なゲーム装置、その制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ゲーム装置において、短い動画を適宜組み合わせて画面に表示することによって、各種の画面表示を構成する技術が提案されている。たとえば、下記の文献には、短い動画の組合せによってゲームのデモンストレーション画面表示とする場合に、ゲームに登場する選手やゲームの対象となる競技によって各種の重み付けを行って、デモンストレーション画面表示に用いる動画をどのように選択するかを決める技術が開示されている。
【特許文献1】特許第3417918号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって画面表示に用いる動画が変更されるようなゲームにおいて、動画表示の変更を指示入力にできるだけ即応させるための技術が必要とされている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生すべき動画情報が変更されるようなゲームにおいて、動画表示の変更を指示入力にできるだけ即応させるのに好適なゲーム装置、その制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の目的を達成するため、本発明の原理にしたがって、下記の発明を開示する。
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、第1動画記憶部、第2動画記憶部、指定記憶部、動画再生部、入力受付部、更新部、予測部を備え、以下のように構成する。
【0005】
すなわち、第1動画記憶部は、動画情報を複数記憶し、第2動画記憶部は、動画情報を複数記憶するが、動画再生部により動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまで要する時間は、第1動画記憶部の方が第2動画記憶部よりも長い。
【0006】
典型的には、第1動画記憶部は、ハードディスクやCD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)ドライブに装着されたCD、DVD−ROM(Digital Versatile Disk ROM)ドライブに装着されたDVD、ネットワークドライブなど、読出要求があってから実際にデータの転送が開始されるまでに、ヘッドのシークやネットワーク接続などのために長時間を要するものである。一方、第2動画記憶部は、ゲーム装置が備えるRAM(Random Access Memory)やROMなど、読出要求があってから実際にデータの転送が開始されるまでの時間が短いものである。
【0007】
一方、指定記憶部は、再生されるべき動画情報を指定する指定情報を記憶する。
典型的には、再生されるべき動画情報は、第1動画記憶部に記憶されるものか、第2動画記憶部に記憶されるものか、のいずれかである。指定記憶部は、後述するように頻繁に更新が行われるため、典型的には、RAMの所定の領域や、CPU(Central Processing Unit)の有するレジスタなどを用いる。また、指定情報の具体的なフォーマットとしては、記憶される場所が第1動画記憶部か、第2動画記憶部かを示す識別子と、動画情報のファイル名の組合せが典型的である。
【0008】
そして、動画再生部は、第1動画記憶部もしくは第2動画記憶部のいずれかに記憶される動画情報のうち、記憶される指定情報に指定される動画情報が更新された場合、当該更新後の動画情報の読出要求を行い、当該読出要求により読み出された動画情報を再生する。
上記のように、指定情報に指定される動画情報が再生されることとなるため、後述するように、指定情報が更新されると、更新の度ごとに、動画再生部は、更新後の指定情報に指定される動画情報の再生を開始しようとすることになる。
【0009】
一方、入力受付部は、複数のプレイヤーからの指示入力を受け付ける。
本発明は、典型的には、2人以上の対戦型ゲームで利用されるものであり、相手の指示入力によって自分の動画表示が変化するようなゲームに適用することができる。ただし、複数のプレイヤーのうち、いずれかは、あらかじめ定められたアルゴリズムにしたがって動作するコンピュータが人間のプレイヤーをシミュレートして、指示入力を与えるような場合も含まれる。
【0010】
さらに、更新部は、動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれかからの指示入力が受け付けられた場合、記憶される指定情報と、受け付けられた指示入力の種類と、から、次に再生されるべき動画情報を決定し、当該決定された動画情報を指定するように指定情報を更新する。
【0011】
上述のように、対戦型ゲームにおいては、一方のプレイヤーが何らかの指示入力を行うと、双方のプレイヤー用の画面表示が変化する。たとえば、対戦型のゲームにおいては、プレイヤーのそれぞれにキャラクターの動画が割り当てられ、何の指示入力もない場合は、それぞれのキャラクターの動画表示には相手の動きを観察する待機用の動画が用いられる。
【0012】
ここで、一方のプレイヤーが攻撃を行うと、当該プレイヤーに対応するキャラクターの動画表示は攻撃用の動画に変化し、その攻撃を受けた他方のプレイヤーに対応するキャラクターの動画表示は攻撃によってダメージを受けた場合の動画に変化するのである。同様に、攻撃を受けそうであるという状況に対して防御の指示入力をした場合には、キャラクターの動画表示は防御用のものに変化する。上記のように、指定情報が更新されると、表示される動画情報も変更されるのである。
【0013】
そして、予測部は、動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測する。
上述の例でいえば、キャラクターの動画表示が相手の動きを観察する待機用の動画である場合には、当該動画の再生が終わったら、次に再生する動画も、相手の動きを観察する待機用の動画である。待機用の動画が1種類である場合には、当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報もまた、当該待機用の動画となる。また、待機用動画が複数種類ある場合には、所定の順序にしたがって待機用動画のいずれかを順に再生するので、当該所定の順序から次に再生すべき動画情報を予測することができる。
【0014】
このほか、現在、攻撃をしている場合、ダメージを受けた場合、防御をしている場合など、待機用以外の動画表示がされている場合も、その動画表示が終われば、次に表示されるのは、現在のキャラクターの体力等に応じた待機用動画となるので、現在のキャラクターの各種のパラメータから次に再生すべき動画情報を予測することができる。
【0015】
ここで、更新部は、動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、予測された動画情報を指定するように指定情報を更新する。
上記の例でいえば、いずれのプレイヤーからも指示入力がない場合は、キャラクターは待機状態のままゲームが進行する。したがって、上記のように予測された動画情報が繰り返し表示されることとなる。
【0016】
なお、動画再生部は、上述のように、更新部により指定情報が更新されると、これに指定される動画情報の再生を開始することとなるが、ここでいう「更新」には、従前と同じ指定情報に更新する場合も含まれる。この場合は、同じ動画情報が繰り返し再生されることになる。
【0017】
そして、第1動画記憶部は、予測部により予測される動画情報を記憶し、第2動画記憶部は、更新部により決定される動画情報を記憶する。
上記のように、予測部により予測される動画情報は、プレイヤーの指示入力が一定時間なかった場合に再生されるものであり、データ読み出しの即応性が必要とされない場合が多いのに対し、更新部により決定される動画情報は、プレイヤーの指示入力があった場合に再生されるものであり、指示入力にできるだけ即応したい場合が多い。そこで、読み出しに要する時間を勘案して、第1動画記憶部と第2動画記憶部とに、それぞれの用途に応じた動画情報をグループ分けして記憶させておくのである。
【0018】
本発明によれば、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生すべき動画情報が変更されるようなゲーム装置において、指示入力があった場合には動画表示の変更をできるだけ即応させることができるようになり、プレイヤーは自身の指示入力が受け付けられたことを動画表示の変化で容易に知得できるようになる。
【0019】
また、本発明のゲーム装置において、動画再生部は、現在再生されている動画情報の再生が完了するよりも所定の準備時間だけ前までに、当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、第1動画記憶部に対して予測された次に再生されるべき動画情報の読出要求を行い、当該所定の準備時間は、第1動画記憶部に対して動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間以上であるように構成することができる。
【0020】
上記のように、第1動画記憶部に対しては、読出要求を行ってから実際にデータが読み出されて動画再生が開始されるまでにある程度の時間(第2動画記憶部の場合よりも長い時間)がかかる。そこで、この「ある程度の時間」以上の時間長を「所定の準備時間」とする。そして、再生終了よりも所定の準備時間以上前に読み出し要求を行う。
本発明によれば、プレイヤーの指示がなく、読出に時間がかかる記憶域に記憶された動画情報同士を順に再生するときも、動画再生が途切れることなくスムースに移行されるようになる。
【0021】
また、本発明のゲーム装置において、指定記憶部は、当該複数のプレイヤーのそれぞれについての指定情報を記憶し、動画再生部は、画面内の当該複数のプレイヤーのそれぞれに割り当てられた領域に、当該プレイヤーについて記憶された指定情報に指定される動画情報を再生し、更新部は、当該複数のプレイヤーのそれぞれについて当該指定情報を更新し、予測部は、当該複数のプレイヤーのそれぞれについて当該動画情報を予測するように構成することができる。
【0022】
上記のように、本発明が対戦型ゲームに適用される場合には、それぞれのプレイヤーに割り当てられたキャラクターが、たとえば画面の右と左との領域に表示される。そして、プレイヤーがそれぞれのキャラクターに対する指示入力を行うことによってキャラクターの各種のパラメータが変化し、勝敗が決められることとなるが、指示入力がそれぞれにされた旨や、相手方に指示入力があったため(たとえば、攻撃等。)に自分のキャラクターが影響を受けた(たとえば、ダメージを受けた等。)場合に、その旨が、それぞれのキャラクターに割り当てられた領域の動画表示によってプレイヤーにわかりやすく提示されることになる。
【0023】
また、本発明のゲーム装置において、第1動画記憶部は、コンピュータ読取可能な情報記録媒体に当該複数の動画情報を記憶し、読出要求があると当該情報記録媒体から当該動画情報を読み出させ、第2動画記憶部は、揮発性記憶装置に当該複数の動画情報を当該情報記録媒体から読み出して記憶し、読出要求があると当該揮発性記憶装置から当該動画情報を読み出させるように構成することができる。
【0024】
典型的には、動画情報は、CD−ROMやDVD−ROMなどの情報記録媒体に記録されており、本ゲーム装置では、ユーザの指示入力に即応する必要がある動画情報をあらかじめRAMなどの読出が高速な記憶装置にコピーし、待機状態の動画など、比較的即応性を必要とされない動画は、情報記録媒体から直接読み出すのである。
【0025】
本発明によれば、ゲームで再生される動画情報を1枚の情報記録媒体で提供することができ、ゲーム装置のハードウェアが用意する高速な記憶領域を用いる場合と、情報記録媒体をそのまま用いる場合とを適切に使い分けて、効率の良いハードウェア利用ができるようになる。
【0026】
また、本発明のゲーム装置において、第2動画記憶部は、第1動画記憶部に記憶される動画情報の一部を記憶し、動画再生部は、第1動画記憶部と第2動画記憶部の両方に記憶される動画情報の読み出し要求は、第2動画記憶部に対して行うように構成することができる。
読出要求に対してより迅速に応じることができる第2動画記憶部に、第1動画記憶部に記憶される動画情報をコピーしておき、当該動画情報の再生の際には、第1動画記憶部に対して読出要求をするのではなく、第2動画記憶部に対して読出要求をするのである。
本発明によれば、ゲームで再生される動画情報をRAMなどの記憶容量に応じてコピーして、動画再生をよりスムースに行うことができるようになる。
【0027】
本発明の他の観点に係るゲーム装置の制御方法は、動画情報を複数記憶する第1動画記憶部、動画情報を複数記憶する第2動画記憶部、再生されるべき動画情報を指定する指定情報を記憶する指定記憶部、動画再生部、入力受付部、更新部、予測部を備えるゲーム装置を制御し、動画再生工程、入力受付工程、更新工程、予測工程を備え、以下のように構成する。
【0028】
すなわち、動画再生工程では、動画再生部が、第1動画記憶部もしくは第2動画記憶部のいずれかに記憶される動画情報のうち、記憶される指定情報に指定される動画情報が更新された場合、当該更新後の動画情報の読出要求を行い、当該読出要求により読み出された動画情報を再生する。
一方、入力受付工程では、入力受付部が、複数のプレイヤーからの指示入力を受け付ける。
【0029】
さらに、更新工程では、更新部が、現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれかからの指示入力が受け付けられた場合、記憶される指定情報と、受け付けられた指示入力の種類と、から、次に再生されるべき動画情報を決定し、当該決定された動画情報を指定するように指定情報を更新する。
一方、予測工程では、予測部が、現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測する。
【0030】
さらに、更新工程では、動画再生工程により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、予測された動画情報を指定するように指定情報を更新する。
そして、動画再生工程により動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間は、第1動画記憶部の方が第2動画記憶部よりも長い。
一方、第1動記憶部は、予測工程にて予測される動画情報を記憶し、第2動画記憶部は、更新工程にて決定される動画情報を記憶する。
【0031】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記ゲーム装置として機能させ、または、コンピュータに上記ゲーム装置の制御方法を実行させるように構成する。
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
上記プログラムは、プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記憶媒体は、コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生すべき動画情報が変更されるようなゲームにおいて、動画表示の変更を指示入力にできるだけ即応させるのに好適なゲーム装置、その制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、三次元グラフィックス表示がされるゲーム装置に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA(Personal Data Assistants)、携帯電話などの情報処理装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【実施例1】
【0034】
図1は、本発明のゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0035】
情報処理装置100は、CPU 101と、ROM 102と、RAM 103と、インターフェイス104と、コントローラ105と、外部メモリ106と、画像処理部107と、DVD−ROMドライブ108と、NIC(Network Interface Card)109と、を備える。
ゲーム用のプログラムおよびデータを記憶したDVD−ROMをDVD−ROMドライブ108に装着して、情報処理装置100の電源を投入することにより、当該プログラムが実行され、本実施形態のゲーム装置が実現される。
【0036】
CPU 101は、情報処理装置100全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。また、CPU 101は、レジスタ(図示せず)という高速アクセスが可能な記憶域に対してALU(Arithmetic Logic Unit)(図示せず)を用いて加減乗除等の算術演算や、論理和、論理積、論理否定等の論理演算、ビット和、ビット積、ビット反転、ビットシフト、ビット回転等のビット演算などを行うことができる。さらに、マルチメディア処理対応のための加減乗除等の飽和演算や、三角関数等、ベクトル演算などを高速に行えるように、CPU 101自身が構成されているものや、コプロセッサを備えて実現するものがある。
【0037】
ROM 102には、電源投入直後に実行されるIPL(Initial Program Loader)が記録され、これが実行されることにより、DVD−ROMに記録されたプログラムをRAM 103に読み出してCPU 101による実行が開始される。また、ROM 102には、情報処理装置100全体の動作制御に必要なオペレーティングシステムのプログラムや各種のデータが記録される。
【0038】
RAM 103は、データやプログラムを一時的に記憶するためのもので、DVD−ROMから読み出したプログラムやデータ、その他ゲームの進行やチャット通信に必要なデータが保持される。また、CPU 101は、RAM 103に変数領域を設け、当該変数に格納された値に対して直接ALUを作用させて演算を行ったり、RAM 103に格納された値を一旦レジスタに格納してからレジスタに対して演算を行い、演算結果をメモリに書き戻す、などの処理を行う。
【0039】
インターフェイス104を介して接続されたコントローラ105は、対戦格闘ゲームなどのゲーム実行の際にユーザが行う操作入力を受け付ける。
【0040】
図2は、コントローラ105の外観を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0041】
コントローラ105の左方には、上下左右を示す操作入力を行うのに利用される↑ボタン201、↓ボタン202、←ボタン203、→ボタン204が配置されている。
【0042】
右方には、決定操作入力を行うのに利用される○ボタン205、取消操作入力を行うのに利用される×ボタン206、メニュー表示等の指示入力を行うのに利用される△ボタン207、その他の指示入力を行うのに利用される□ボタン208が配置されている。
【0043】
中央には、SELECTボタン209、STARTボタン210のほか、アナログ入力の開始・停止を指示するためのANALOGボタン211、および、アナログ入力が有効か無効かを表示するためのインジケータ212が配置されている。
【0044】
また中央下部には、上下左右に限らない方向に大きさを伴う指示入力を行うためのジョイスティック213、214が配置されている。
【0045】
さらに、上方には、各種の指示入力に用いることができるL1ボタン215、L2ボタン216、R1ボタン217、R2ボタン218が配置されている。
【0046】
コントローラ105の各ボタン201〜208、215〜218には、圧力センサが配備され、アナログ入力が有効となっている場合には、いずれのボタンが押圧操作されているかを検知することができるほか、ユーザの押圧操作の圧力の大きさを0〜255の256段階で得ることができる。
【0047】
コントローラ105のジョイスティック213、214は、ひずみゲージが配備され、これらがどの方向にどれだけ曲げられているか、を検知することができる。
【0048】
図1に戻り、インターフェイス104を介して着脱自在に接続された外部メモリ106には、対戦ゲーム等のプレイ状況(過去の成績等)を示すデータ、ゲームの進行状態を示すデータ、対戦に伴うチャット通信のログ(記録)のデータなどが書き換え可能に記憶される。ユーザは、コントローラ105を介して指示入力を行うことにより、これらのデータを適宜外部メモリ106に記録することができる。
【0049】
DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROMには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ、動画情報データが記録される。CPU 101の制御によって、DVD−ROMドライブ108は、これに装着されたDVD−ROMに対する読み出し処理を行って、必要なプログラムやデータを読み出し、これらはRAM 103等に一時的に記憶される。
【0050】
画像処理部107は、DVD−ROMから読み出されたデータをCPU 101や画像処理部107が備える画像演算プロセッサ(図示せず)によって加工処理した後、これを画像処理部107が備えるフレームメモリ(図示せず)にバッファリング記録する。フレームメモリに記録された画像情報は、所定の同期タイミングでビデオ信号に変換され画像処理部107に接続されるモニタ(図示せず)へ出力される。これにより、各種の画像表示が可能となる。このような画像処理部107の処理は、CPU 101の演算処理とは並行して行うことができる。
画像演算プロセッサは、2次元の画像の重ね合わせ演算やαブレンディング等の透過演算、各種の飽和演算を高速に実行できる。
【0051】
また、仮想3次元空間に配置され、各種のテクスチャ情報が付加されたポリゴン情報を、Zバッファ法によりレンダリングして、所定の視点位置から仮想3次元空間に配置されたポリゴンを所定の視線の方向へ俯瞰したレンダリング画像を得る演算の高速実行も可能である。
さらに、CPU 101と画像演算プロセッサが協調動作することにより、文字の形状を定義するフォント情報にしたがって、文字列を2次元画像としてフレームメモリへ描画したり、各ポリゴン表面へ描画することが可能である。フォント情報は、ROM 102に記録されているが、DVD−ROMに記録された専用のフォント情報を利用することも可能である。
【0052】
このほか、DVD−ROMに記録された動画情報や、これをあらかじめRAM 103等に転送した場合の動画情報は、画像処理部107によって、画面の所定の領域にスーパーインポーズするような形式で、動画表示を行うことができる。
【0053】
さて、NIC 109は、情報処理装置100をインターネット等のコンピュータ通信網(図示せず)に接続するためのものであり、LAN(Local Area Network)を構成する際に用いられる10BASE−T/100BASE−T規格にしたがうものや、電話回線を用いてインターネットに接続するためのアナログモデム、ISDN(Integrated Services Digital Network)モデム、ADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line)モデム、ケーブルテレビジョン回線を用いてインターネットに接続するためのケーブルモデム等と、これらとCPU 101との仲立ちを行うインターフェース(図示せず)により構成される。
【0054】
インターネット内のSNTPサーバにNIC 109を介して接続し、ここから情報を得ることによって現在の日時情報を得ることができる。また、各種のネットワークゲームのサーバ装置が、SNTPサーバと同様の機能を果たすように構成設定してもよい。
【0055】
音声処理部110は、DVD−ROMから読み出した音声データをアナログ音声信号に変換し、これに接続されたスピーカ(図示せず)から出力させる。また、CPU 101の制御の下、ゲームの進行の中で発生させるべき効果音や楽曲データを生成し、これに対応した音声をスピーカから出力させる。
音声処理部110では、DVD−ROMに記録された音声データがMIDIデータである場合には、これが有する音源データを参照して、MIDIデータをPCMデータに変換する。また、ADPCM形式やOgg Vorbis形式等の圧縮済音声データである場合には、これを展開してPCMデータに変換する。PCMデータは、そのサンプリング周波数に応じたタイミングでD/A(Digital/Analog)変換を行って、スピーカに出力することにより、音声出力が可能となる。
【0056】
このほか、情報処理装置100は、ハードディスク等の大容量外部記憶装置を用いて、ROM 102、RAM 103、外部メモリ106、DVD−ROMドライブ108に装着されるDVD−ROM等と同じ機能を果たすように構成してもよい。
【0057】
また、ユーザからの文字列の編集入力を受け付けるためのキーボードや、各種の位置の指定および選択入力を受け付けるためのマウスなどを接続する形態も採用することができる。また、本実施形態の情報処理装置100にかえて、汎用のパーソナルコンピュータを利用することもできる。
【0058】
一般的なコンピュータは、上記情報処理装置100と同様に、CPU、RAM、ROM、DVD−ROMドライブ、および、NICを備え、ゲームにおける画面表示には必ずしも特化していない画像処理部を備え、外部記憶装置としてハードディスクを有する他、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、磁気テープ等が利用できるようになっているのが一般的である。また、コントローラではなく、キーボードやマウスなどを入力装置として利用する。
【0059】
図3は、本発明の実施形態の一つに係るゲーム装置の概要構成を示す模式図である。図4は、当該ゲーム装置にて実行されるゲーム制御方法の制御の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して説明する。
本実施形態に係るゲーム装置301は、第1動画記憶部302、第2動画記憶部303、指定記憶部304、動画再生部305、入力受付部306、更新部307、予測部308を備える。
【0060】
まず、第1動画記憶部302と、第2動画記憶部303と、は、動画情報を複数記憶する。本発明が適用されたゲーム装置301において実際の動作時に第1動画記憶部302が記憶する動画情報と、第2動画記憶部303が記憶する動画情報と、のうち、再生されるものに重複はないのが典型的であるが、これらに重複があっても良い。
【0061】
そして、動画再生部305により動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間は、第1動画記憶部302の方が第2動画記憶部303よりも長い。
【0062】
典型的には、第1動画記憶部302は、ハードディスクやCD−ROMドライブに装着されたCD−ROM、DVD−ROMドライブ108に装着されたDVD−ROM、ネットワークドライブなど、読出要求があってから実際にデータの転送が開始されるまでに、ヘッドのシークやネットワーク接続などのために長時間を要するものである。
【0063】
一方、第2動画記憶部303は、ゲーム装置301が備えるRAM 103やROM 102、ハードディスクなど、読出要求があってから実際にデータの転送が開始されるまでの時間が短いものである。
【0064】
なお、当該読み出し時間の長短は、ハードウェアの特性によるものであるから、第1動画記憶部302とするか第2動画記憶部303とするかは、上記のように相対的な読み出し時間の長短で決まるものである。たとえば、ハードディスクはRAM 103よりも読み出し時間が長いから、ハードディスクを第1動画記憶部302とし、RAM 103を第2動画記憶部303とすることもできる。
【0065】
典型的なゲーム装置301においては、CD−ROMやDVD−ROMなどのコンピュータ読取可能な情報記録媒体に複数の動画情報があらかじめ記憶されており、その一部が第1動画記憶部302が記憶する動画情報(以下、「第1動画情報」という。)として働き、他の一部が第2動画記憶部303が記憶する動画情報(以下、「第2動画情報」という。)として働くことになる。
【0066】
なお、第1動画記憶部302に記憶される動画は、いわゆるストリーミング再生が行われるものとし、第2動画記憶部303に記憶される動画は、いわゆるオンメモリ再生が行われるものと考えても良い。すなわち、第1動画情報と第2動画情報との本質的な差は、読み出しの要求があってから実際の再生が開始されるまでの時間に差がある、ということにある。
【0067】
そして、本ゲーム装置301が動作を開始すると、当該情報記録媒体から、RAM 103やハードディスクなど、読出が高速な記憶装置に、第2動画情報を読み出して記憶させる(ステップS401)。
【0068】
その後は、第1動画記憶部302、第2動画記憶部303とも、動画再生部305により、動画情報の読み出しが要求されると、これに応じて第1動画情報もしくは第2動画情報を動画再生部305に渡す。
【0069】
このような記憶媒体、記憶装置の使い分けは、第2動画記憶部303に記憶される動画情報は、プレイヤーからの指示入力に即応する必要があるものとし、第1動画記憶部302に記憶される動画情報は、待機状態の動画など、比較的即応性を必要とされないものとするためのものである。
【0070】
これによって、本実施形態では、ゲームで再生される動画情報を1枚の情報記録媒体で提供することができ、ゲーム装置301のハードウェアが用意する高速な記憶領域を用いる場合と、情報記録媒体をそのまま用いる場合とを適切に使い分けて、効率の良いハードウェア利用ができるようになる。
【0071】
一方、指定記憶部304は、再生されるべき動画情報を指定する指定情報を記憶する。
本実施形態では、再生されるべき動画情報は、第1動画情報、第2動画情報のいずれかである。本実施形態では、指定記憶部304としてRAM 103の所定の領域を用いる。また、指定情報として、記憶される場所が第1動画記憶部302か、第2動画記憶部303かを示す識別子と、動画情報のファイル名の組合せ(以下、まとめて「ファイル名」という。)を用いる。
【0072】
したがって、ステップS401の後、CPU 101は、RAM 103内の指定記憶部304に相当する領域に、第1動画情報の1つである待機時の動画のファイル名を記憶させる(ステップS402)。
【0073】
そして、動画再生部305は、第1動画記憶部302もしくは第2動画記憶部303のいずれかに記憶される動画情報のうち、記憶される指定情報に指定される動画情報が更新された場合、当該更新後の動画情報の読出要求を行い、当該読出要求により読み出された動画情報を再生する。
上記のように、指定情報に指定される動画情報が再生されることとなるため、後述するように、指定情報が更新されると、更新の度ごとに、動画再生部305は、更新後の指定情報に指定される動画情報の再生を開始しようとすることになる。
【0074】
したがって、ステップS402の後、動画再生部305は、RAM 103内の指定記憶部304に相当する領域に記憶されたファイル名に指定される動画の再生を開始しようとすることとなる。上記のように、当該ファイル名に指定される動画は、第1動画情報であるから、第1動画記憶部302に、当該ファイル名に指定される第1動画情報の読み出しを要求し(ステップS403)、当該第1動画情報が読み出されるまで待機して(ステップS404)、実際に第1動画情報が読み出されたら、すなわち、当該第1動画情報を展開して動画再生バッファに一定量以上の動画データが充填されたら、当該第1動画情報の再生を開始し(ステップS405)、ステップS408に進む。
【0075】
したがって、CPU 101は、RAM 103やDVD−ROMドライブ108等と共働して画像処理部107を制御することによって、動画再生部305として機能する。
【0076】
これでゲームの初期設定が完了し、処理によって、ゲームの主要な部分が開始されることとなる。本実施形態では、2人の対戦型ゲームを想定しており、自分の指示入力によって自分の動画表示が変化することはもちろん、相手の指示入力によっても自分の動画表示が変化する。ただし、複数のプレイヤーのうち、いずれかは、あらかじめ定められたアルゴリズムにしたがって動作するコンピュータが人間のプレイヤーをシミュレートして、指示入力を与えるような場合も含まれる。
【0077】
なお、以下の説明では、コントローラ105の○ボタン205を押圧操作した場合は「攻撃」を、×ボタン206を押圧操作した場合は「防御」を、それぞれ意味するものとする。このような各種ボタンの割り当てについては、ゲームの内容に応じて適宜変更が可能である。
【0078】
図5は、本実施形態において、指定情報の遷移の様子を示す状態遷移図である。以下、本図を参照して説明する。もちろん、ゲームの内容に応じて、これ以外の状態遷移を考慮した場合であっても、本発明の範囲に含まれる。
【0079】
本実施形態では、指定情報の状態としては、以下の状態が想定されている。なお、理解を容易にするため、自身や相手のキャラクターが攻撃を受けたために体力などのパラメータ(当該パラメータは、RAM 103などに記憶される。)が減少して、勝敗が決したときの遷移については、図示を省略している。
【0080】
また、本図では、指示入力がない場合に、現在の状態の動画再生が終了した場合の遷移を二重矢印で、指示入力があった場合の遷移を一重矢印で、それぞれ図示している。さらに、当該状態に対応付けられる動画情報が第1動画情報である場合は、当該状態を表す楕円を一重に、第2動画情報である場合は、当該状態を表す楕円を二重に、それぞれ図示している。
【0081】
このほか、自身の攻撃操作、自身の防御操作、相手の攻撃操作をそれぞれ、「自○」、「自×」、「相○」のように表記している。
【0082】
(1)待機。互いに相手の動きを見ている状態で、本状態で再生される動画情報は、第1動画情報である。
(2)攻撃。こちらから相手に攻撃をしかけた場合の状態で、本状態で再生される動画情報は、第2動画情報である。
(3)硬直。こちらから攻撃をしかけた後に、無防備になる状態で、本状態で再生される動画情報は、第1動画情報である。
(4)防御。相手の攻撃を予測して防御をとった場合の状態で、本状態で再生される動画情報は、第2動画情報である。
(5)被害。防御をしないままに相手の攻撃を受けた場合の状態で、本状態で再生される動画情報は、第2動画情報である。
【0083】
本図に示すように、自分も相手も何の指示入力もしない場合は、現在の状態の動画の再生を完了した後に、現在の状態から待機状態へ移行し、そのままさらに指示入力がなければ、待機状態を継続することとなる。
【0084】
一方、自分が攻撃を行った場合は、攻撃状態に移行し、攻撃状態の動画の再生を完了した後に、硬直状態に移行する。自身から攻撃を行えるのは、待機状態の場合のみである。
【0085】
一方、待機状態や硬直状態の間に相手が攻撃を行った場合には、被害状態に移行し、被害状態の動画の再生を完了した後に、待機状態に移行する。
【0086】
そして、被害状態に移行する際に自身の体力パラメータが減少し、体力パラメータがゼロになると、勝負が決して、負けとなる(図示せず)。
【0087】
このほか、防御状態の間に相手が攻撃を行った場合には、防御状態を継続し、防御状態の動画の再生を完了した後に、待機状態に移行する。したがって、この場合は防御が成功したことになり、体力パラメータの減少はない。
【0088】
さらに状態遷移を追加した態様としては、たとえば、攻撃状態で相手が攻撃をしてきた場合に、両攻撃の強さを考慮して被害状態に移行することとしたり、攻撃を指示してから相手が被害を受けるまでに時間を要することとしたり、など、現在のキャラクターの体力パラメータの値に応じて状態遷移を変更したり、など、種々の態様が考えられる。
【0089】
また、指定情報に指定される動画情報のファイル名と、上記の各状態とは、それぞれに対応をとることができる。したがって、動画情報のファイル名そのものを指定情報としてRAM 103に格納するのではなく、ゲームの状態遷移における現在の状態を何らかの形式で保持することとしても、実質的に指定情報を記憶しているのと同じこととなる。
【0090】
このような状態遷移の様子を踏まえ、以下、さらにゲーム装置301における処理について説明する。ゲーム開始時の待機状態の動画表示が開始された後(ステップS405)、入力受付部306は、複数のプレイヤーからの指示入力があるか否かを判断する(ステップS408)。
【0091】
したがって、コントローラ105は、CPU 101の制御の下、入力受付部306として機能する。また、○ボタン205や×ボタン206など、押圧操作した対象の種類によって、各種の指示入力の種類を判定することができる。
【0092】
指示入力があった場合(ステップS408;Yes)、更新部307は、当該指示入力の種類を判定して(ステップS409)、現在RAM 103に記憶されている指定情報と、受け付けられた指示入力の種類と、から、次に再生されるべき動画情報を決定し(ステップS410)、RAM 103に記憶されている指定情報を更新する(ステップS411)。
【0093】
上述のように、対戦型ゲームにおいては、一方のプレイヤーが何らかの指示入力を行うと、双方のプレイヤー用の画面表示が変化する。たとえば、対戦型のゲームにおいては、プレイヤーのそれぞれにキャラクターの動画が割り当てられ、何の指示入力もない場合は、それぞれのキャラクターの動画表示には相手の動きを観察する待機用の動画が用いられる。
【0094】
一方、ステップS408〜ステップS411のように処理が進んだ場合としては、一方のプレイヤーが攻撃を行った場合が考えられる。当該プレイヤーに対応するキャラクターの動画表示は攻撃用の動画に変化し、その攻撃を受けた他方のプレイヤーに対応するキャラクターの動画表示は攻撃によってダメージを受けた場合の動画に変化する。同様に、攻撃を受けそうであるという状況に対して防御の指示入力をした場合には、キャラクターの動画表示は防御用のものに変化する。上記のように、指定情報が更新されると、表示される動画情報も変更されるのである。
【0095】
そして、ステップS410において次に再生されるべき動画情報として決定されるものは、第2動画情報であり、RAM 103などの高速な記憶装置に記憶されている動画情報である。
【0096】
本実施形態に係る状態遷移図によれば、
(1)「待機」「自○」ならば「攻撃」へ遷移
(2)「待機」「自×」ならば「防御」へ遷移
(3)「待機」「相○」ならば「被害」へ遷移
(4)「硬直」「相○」ならば「被害」へ遷移
のように、状態遷移を決定し、遷移先の状態に対応付けられる動画情報を、次に再生されるべき動画情報として決定することとなる。
【0097】
ステップS409〜S410で次に再生すべき動画情報として決定されるものは、第2動画情報である。すなわち、状態遷移図において、一重矢印の指す先の状態は、第2動画情報に対応する状態である。
【0098】
そして、第2動画記憶部303に、当該指定情報に指定されるファイル名の第2動画情報の読み出しを要求し(ステップS412)、当該動画情報が読み出されるまで待機して(ステップS413)、実際に動画情報が読み出されたら、現在再生している動画情報の再生を中止してから(ステップS414)、当該動画情報の再生を開始し(ステップS415)、ステップS408に戻る。なお、上記のように、ステップS413における待機時間は、第1動画記憶部302に対して読み出しを要求した場合(ステップS404)よりも短い。
【0099】
このように、CPU 101は、RAM 103等と共働して、更新部307として機能する。
【0100】
一方、指示入力がなかった場合(ステップS408;No)、予測部308は、動画再生部305により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測する(ステップS416)。
【0101】
ここで、本実施例の状態遷移図によれば、指示入力がないままに現在再生中の動画の再生が完了した場合、現在の状態が「待機」「硬直」「防御」「被害」のいずれの場合であれば、次の状態は「待機」であることが予測され、また、現在の状態が「攻撃」であれば、次の状態は「硬直」であることが予測されることになる。
【0102】
一般的に、ステップS416で次に再生すべき動画情報として予測されるものは、第1動画情報である。すなわち、状態遷移図において、二重矢印の指す先の状態は、第1動画情報に対応する状態である。
【0103】
このように、CPU 101は、RAM 103等と共働して、予測部308として機能する。
【0104】
そして、
(1)第1動画記憶部302に対して読み出し要求をしてから実際に動画情報が読み出されるまでの時間T
(2)動画データの展開および動画再生バッファを埋めるのに要する時間aと所定の余裕時間bの和t
(3)現在再生している動画情報の再生完了までの時間R
について、前回の繰り返し(直前にステップS417の処理を行った際)ではR>T+tであり、今回の繰り返しでR≦T+tになったか否か、すなわち、再生残時間と所定の閾時間との大小関係が切り替わったか否かを調べる(ステップS417)。なお、時間T,a,Rには誤差があるため、その誤差を吸収するために余裕時間bを採用して、比較を行うこととしているのである。
【0105】
具体的な条件判断の手法であるが、たとえば、毎回R-T-tを計算し、前回の計算結果を別途RAM 103に保存しておいて、その符号を比較すれば良い。そして、比較の後に、計算したR-T-tを「前回の計算結果」としてRAM 103に保存するのである。このほか、前回のR,T,tの値をすべて保存する、など、種々の態様を採用することができる。
【0106】
この条件が成立する場合(ステップS417;Yes)、このまま時間Rが経過してしまえば、予測した第1動画情報が必要となるので、あらかじめ当該第1動画記憶部302に対して読み出し要求を行い(ステップS418)、ステップS408に戻る。
【0107】
さて、一方、この条件が成立しない場合(ステップS417;No)、先読みのための読み出し要求をする必要はない。現在再生中の動画情報の残り時間が十分に長いか、もしくは、先読みのための読み出し要求がすでに行われていることになるからである。
【0108】
そこで、R≦0であるか否か、すなわち、現在の動画情報の再生が完了したか否かを調べる(ステップS419)。完了している場合(ステップS419;Yes)、これから再生すべき第1動画情報についての読み出し要求は、ステップS418において完了しているため、指定情報をこれから再生すべき第1動画情報(これは、先にステップS418において予測された動画情報である。)に更新する(ステップS420)とともに、直ちに動画再生部305に当該第1動画再生を開始させてから(ステップS421)、ステップS408に戻る。
【0109】
一方、R>0である場合、すなわち、次の動画情報の予測がされているか否かにかかわらず、現在の動画情報の再生が完了していない場合(ステップS419;No)、ステップS408に戻る。
【0110】
なお、ステップS418において第1動画記憶部302に対する読み出し要求を行ったとしても、その後でプレイヤーからの指示入力があり、状態遷移が行われた場合には、ステップS409〜S411の処理によって即時的に第2動画記憶部303に記憶される動画情報の再生が開始されるので、第1動画記憶部302に対する読み出し要求はキャンセルされることになる。
【0111】
また、情報処理装置100がDVD−ROMドライブ108に対する読み出し要求を明示的な処理によって停止する必要があるハードウェア構成である場合には、ステップS409〜S411において、すでに第1動画記憶部302に対する読み出し要求がされている場合に明示的にこれをキャンセルする処理を行ってから、第2動画記憶部303からの動画情報の読み出しならびに動画再生処理を開始することとすれば良い。
【0112】
本実施形態によれば、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生すべき動画情報が変更されるようなゲーム装置301において、指示入力があった場合には動画表示の変更をできるだけ即応させることができるようになり、プレイヤーは自身の指示入力が受け付けられたことを動画表示の変化で容易に知得できるようになる。
【0113】
また、プレイヤーの指示がなく、読出に時間がかかる記憶域に記憶された動画情報同士を順に再生するときも、動画再生が途切れることなくスムースに移行されるようになる。
【0114】
なお、第2動画記憶部303に用いるRAM 103等の記憶容量に余裕がある場合には、第1動画記憶部302に記憶される第1動画情報の一部を第2動画記憶部303に記憶することとしても良い。この場合、第1動画記憶部302のほか第2動画記憶部303にも記憶されている第1動画情報の読出要求については、動画再生部305は、第1動画記憶部302ではなく、第2動画記憶部303に対して行うことになる。
【0115】
第1動画記憶部302よりも第2動画記憶部303の方が、読出要求に対しては迅速に対応できるため、このような処理を行うことによって、さらにスムースな移行が可能となる。
【0116】
さて、ここまでは、プレイヤーの一方に関する処理を中心に説明を加えているが、対戦型ゲームにおいては、各プレイヤーについて上記の処理と同様の処理を行う必要がある。
【0117】
図6は、このような対戦型ゲームにおける画面の表示例を示す説明図である。以下、本図を参照して説明する。
【0118】
画面601には、第1プレイヤーが操作する第1キャラクター用の動画表示領域611および体力パラメータ表示領域612、第2プレイヤーが操作する第2キャラクター用の動画表示領域621および体力パラメータ表示領域622が用意されている。
【0119】
RAM 103には、第1プレイヤーと第2プレイヤーのそれぞれについて、現在の状態が記憶されることとなり、これによって、再生すべき動画情報が指定されることになる。
【0120】
動画再生部305は、上記のような処理を第1プレイヤーと第2プレイヤーの両方について行う。すなわち、第1プレイヤー用の動画は、動画表示領域611に、第2プレイヤー用の動画は、動画表示領域621に、それぞれスーパーインポーズして表示するのである。
【0121】
また、更新部307、予測部308も、それぞれのプレイヤーについて、上記の処理を同様に行うのである。
【0122】
一方、体力パラメータ表示領域612、622には、それぞれのプレイヤーが指示操作するキャラクターの体力パラメータが棒グラフで表示されている。上述するように、この体力パラメータがゼロになると、勝敗が決し、ゼロになったキャラクターを指示操作しているプレイヤーの負けとなる。
【0123】
このように、本実施形態では、それぞれのプレイヤーに割り当てられたキャラクターが、画面の右と左との領域に表示される。そして、プレイヤーがそれぞれのキャラクターに対する指示入力を行うことによってキャラクターの各種のパラメータが変化し、勝敗が決められることとなるが、指示入力がそれぞれにされた旨や、相手方に指示入力があったため(たとえば、攻撃等。)に自分のキャラクターが影響を受けた(たとえば、ダメージを受けた等。)場合に、その旨が、それぞれのキャラクターに割り当てられた領域の動画表示によってプレイヤーにわかりやすく提示されることになる。
【産業上の利用可能性】
【0124】
以上説明したように、プレイヤーの指示入力の種類や有無によって再生すべき動画情報が変更されるようなゲームにおいて、動画表示の変更を指示入力にできるだけ即応させるのに好適なゲーム装置、その制御方法、ならびに、これらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができ、たとえば対戦型のゲームにおいて、プレイヤーの指示入力が受け付けられた旨や、当該指示入力によってゲームの状況がどのように変化したか、をプレイヤーにわかりやすく提示したい場合に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0125】
【図1】本発明の実施形態の1つに係るゲーム装置が実現される典型的な情報処理装置の概要構成を示す説明図である。
【図2】本発明の実施形態の1つ係るゲーム装置にて利用されるコントローラの外観を示す説明図である。
【図3】本発明の実施形態の1つのゲーム装置の概要構成を示す模式図である。
【図4】本実施形態に係るゲーム装置にて実行されるゲーム制御方法の制御の流れを示すフローチャートである。
【図5】本実施形態に係るゲーム装置におけるあるプレイヤーの状態遷移を示す説明図である。
【図6】本実施形態に係るゲーム装置における表示例を示す説明図である。
【符号の説明】
【0126】
100 情報処理装置
101 CPU
102 ROM
103 RAM
104 インターフェイス
105 コントローラ
106 外部メモリ
107 画像処理部
108 DVD−ROMドライブ
109 NIC
110 音声処理部
111 マイク
201 ↑ボタン
202 ↓ボタン
203 ←ボタン
204 →ボタン
205 ○ボタン
206 ×ボタン
207 △ボタン
208 □ボタン
209 SELECTボタン
210 STARTボタン
211 ANALOGボタン
212 インジケータ
213 ジョイスティック
214 ジョイスティック
215 L1ボタン
216 L2ボタン
217 R1ボタン
218 R2ボタン
301 ゲーム装置
302 第1動画記憶部
303 第2動画記憶部
304 指定記憶部
305 動画再生部
306 入力受付部
307 更新部
308 予測部
601 画面
611 第1キャラクター用の動画表示領域
612 第1キャラクター用の体力パラメータ表示領域
621 第2キャラクター用の動画表示領域
622 第2キャラクター用の体力パラメータ表示領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動画情報を複数記憶する第1動画記憶部、
動画情報を複数記憶する第2動画記憶部、
再生されるべき動画情報を指定する指定情報を記憶する指定記憶部、
前記第1動画記憶部もしくは前記第2動画記憶部のいずれかに記憶される動画情報のうち、前記記憶される指定情報に指定される動画情報が更新された場合、当該更新後の動画情報の読出要求を行い、当該読出要求により読み出された動画情報を再生する動画再生部、
複数のプレイヤー(いずれかのプレイヤーがコンピュータによりシミュレートされたものである場合を含む。)からの指示入力を受け付ける入力受付部、
前記動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれかからの指示入力が受け付けられた場合、前記記憶される指定情報と、前記受け付けられた指示入力の種類と、から、次に再生されるべき動画情報を決定し、当該決定された動画情報を指定するように前記指定情報を更新する更新部、
前記動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測する予測部
を備え、
前記更新部は、前記動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、前記予測された動画情報を指定するように前記指定情報を更新し、
前記動画再生部により動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間は、前記第1動画記憶部の方が前記第2動画記憶部よりも長く、
前記第1動画記憶部は、前記予測部により予測される動画情報を記憶し、
前記第2動画記憶部は、前記更新部により決定される動画情報を記憶する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記動画再生部は、現在再生されている動画情報の再生が完了するよりも所定の準備時間だけ前までに、当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、前記第1動画記憶部に対して前記予測された次に再生されるべき動画情報の読出要求を行い、
当該所定の準備時間は、前記第1動画記憶部に対して動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間以上である
ことを特徴とする物。
【請求項3】
請求項1または2に記載のゲーム装置であって、
前記指定記憶部は、当該複数のプレイヤーのそれぞれについての指定情報を記憶し、
前記動画再生部は、画面内の当該複数のプレイヤーのそれぞれに割り当てられた領域に、当該プレイヤーについて記憶された指定情報に指定される動画情報を再生し、
前記更新部は、当該複数のプレイヤーのそれぞれについて当該指定情報を更新し、
前記予測部は、当該複数のプレイヤーのそれぞれについて当該動画情報を予測する
ことを特徴とする物。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1項に記載のゲーム装置であって、
前記第1動画記憶部は、コンピュータ読取可能な情報記録媒体に当該複数の動画情報を記憶し、読出要求があると当該情報記録媒体から当該動画情報を読み出させ、
前記第2動画記憶部は、揮発性記憶装置に当該複数の動画情報を当該情報記録媒体から読み出して記憶し、読出要求があると当該揮発性記憶装置から当該動画情報を読み出させる
ことを特徴とする物。
【請求項5】
請求項4に記載のゲーム装置であって、
前記第2動画記憶部は、前記第1動画記憶部に記憶される動画情報の一部を記憶し、
前記動画再生部は、前記第1動画記憶部と前記第2動画部の両方に記憶される動画情報の読み出し要求は、前記第2動画記憶部に対して行う
ことを特徴とする物。
【請求項6】
動画情報を複数記憶する第1動画記憶部、動画情報を複数記憶する第2動画記憶部、再生されるべき動画情報を指定する指定情報を記憶する指定記憶部、動画再生部、入力受付部、更新部、予測部を備えるゲーム装置を制御する制御方法であって、
前記動画再生部が、前記第1動画記憶部もしくは前記第2動画記憶部のいずれかに記憶される動画情報のうち、前記記憶される指定情報に指定される動画情報が更新された場合、当該更新後の動画情報の読出要求を行い、当該読出要求により読み出された動画情報を再生する動画再生工程、
前記入力受付部が、複数のプレイヤー(いずれかのプレイヤーがコンピュータによりシミュレートされたものである場合を含む。)からの指示入力を受け付ける入力受付工程、
前記更新部が、現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれかからの指示入力が受け付けられた場合、前記記憶される指定情報と、前記受け付けられた指示入力の種類と、から、次に再生されるべき動画情報を決定し、当該決定された動画情報を指定するように前記指定情報を更新する更新工程、
前記予測部が、現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測する予測工程
を備え、
前記更新工程では、前記動画再生工程により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、前記予測された動画情報を指定するように前記指定情報を更新し、
前記動画再生工程により動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間は、前記第1動画記憶部の方が前記第2動画記憶部よりも長く、
前記第1動画記憶部は、前記予測工程にて予測される動画情報を記憶し、
前記第2動画記憶部は、前記更新工程にて決定される動画情報を記憶する
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
コンピュータを、
動画情報を複数記憶する第1動画記憶部、
動画情報を複数記憶する第2動画記憶部、
再生されるべき動画情報を指定する指定情報を記憶する指定記憶部、
前記第1動画記憶部もしくは前記第2動画記憶部のいずれかに記憶される動画情報のうち、前記記憶される指定情報に指定される動画情報が更新された場合、当該更新後の動画情報の読出要求を行い、当該読出要求により読み出された動画情報を再生する動画再生部、
複数のプレイヤー(いずれかのプレイヤーがコンピュータによりシミュレートされたものである場合を含む。)からの指示入力を受け付ける入力受付部、
前記動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれかからの指示入力が受け付けられた場合、前記記憶される指定情報と、前記受け付けられた指示入力の種類と、から、次に再生されるべき動画情報を決定し、当該決定された動画情報を指定するように前記指定情報を更新する更新部、
前記動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかったとした場合に次に再生すべき動画情報を予測する予測部
として機能させ、当該コンピュータにおいて、
前記更新部は、前記動画再生部により現在再生されている動画情報の再生が完了するまでに当該複数のプレイヤーのいずれからも指示入力が受け付けられなかった場合、前記予測された動画情報を指定するように前記指定情報を更新し、
前記動画再生部により動画情報の読み出しが要求された後、これが読み出されるまでに要する時間は、前記第1動画記憶部の方が前記第2動画記憶部よりも長く、
前記第1動画記憶部は、前記予測部により予測される動画情報を記憶し、
前記第2動画記憶部は、前記更新部により決定される動画情報を記憶する
ように機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−68376(P2006−68376A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257261(P2004−257261)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000105637)コナミ株式会社 (106)
【Fターム(参考)】