説明

ゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびに、プログラム

【課題】ゲームの途中でプレイヤを簡易に変更するのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供する。
【解決手段】ゲーム装置201において、署名記憶部203は複数のプレイヤの署名パターンを記憶し、状態記憶部204は、複数のプレイヤのゲームの進行状態を記憶し、入力受付部202は、プレイヤから軌跡の入力を受け付け、再開部205は、受け付けられた軌跡が、署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該署名パターンに対応付けられるプレイヤ(次のプレイヤ)とが異なる場合、現在のゲームの進行状態を現在のプレイヤに対応付けて状態記憶部204に記憶し、次プレイヤに対応付けて状態記憶部204に記憶されるゲームの進行状態からゲームを再開し、進行部206は、署名パターンのいずれとも類似しない場合、受け付けられた軌跡に基づいてゲームを進行させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゲームの途中でプレイヤを簡易に変更するのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
複数のプレイ状況をそれぞれ保存することが可能なゲーム装置が一般的に知られている。各プレイ状況は、複数のプレイヤ毎に保存されることもあるし、一人のプレイヤが異なるゲームの進行状況を別々に保存することもある。例えば、特許文献1では、適宜プレイ状況がセーブされ、プレイヤがゲームプレイの再開を指示すると、中断時のプレイ状況をセーブしたデータがロードされ、ゲームを再開することができるゲーム装置が開示されている。
【0003】
このようなゲーム装置において、ゲームの途中でプレイヤを交替する場合には、現在プレイ中のプレイヤのゲーム状況を保存するために、一旦セーブ画面に移行し、ゲーム状況を保存してから、ロード画面に移行した後に、新たなプレイヤが自分のゲーム状況をロードしなければならず、自動セーブを利用できる場合であっても、ロード画面への移行が必要であった。
【0004】
また、手書き文字認識や特許文献2に開示されるような図形の類似判定などの技術を利用してプレイヤの署名を登録させるゲームも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第3426592号公報
【特許文献2】特開2008−3823号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ゲーム装置において、セーブ画面やロード画面への移行をせずに、プレイヤの交替を簡易に行いたいという要望は強い。
【0007】
本発明は、上記のような課題を解決するもので、ゲームの途中でプレイヤを簡易に変更するのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、署名記憶部、状態記憶部、入力受付部、再開部、進行部を備え、以下のように構成する。
【0009】
署名記憶部は、複数のプレイヤのそれぞれに対応付けられる軌跡のパターン(以下署名パターンという)を記憶する。
【0010】
例えば、プレイヤがタッチペン等でゲーム装置に手書きで入力した文字や図形が、各プレイヤの署名として記憶される。
【0011】
状態記憶部は、複数のプレイヤのそれぞれのゲームの進行状態を記憶する。
【0012】
プレイヤがゲームプレイを中断すると、中断時のゲームの進行状態を記憶し、その後プレイヤが再開を指示すると、記憶された進行状態がロードされる。
【0013】
入力受付部は、複数のプレイヤのうちいずれかのプレイヤから軌跡の入力を受け付ける。
【0014】
例えば、入力受付部はタッチパネル等から構成され、ユーザがタッチペンで描く軌跡を受け付ける。
【0015】
再開部は、受け付けられた軌跡が、署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが異なる場合、現在のゲームの進行状態を当該現在のプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶し、当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤに対応付けて状態記憶部に記憶されるゲームの進行状態からゲームを再開する。
【0016】
例えば、ゲームプレイ中のプレイヤ(現在のプレイヤ)と異なるプレイヤが、ゲームプレイ中の画面にタッチペン等でタッチパネルに自己の署名をすると、プレイ中のデータはゲームプレイをしていたプレイヤのデータとして保存される。そして、当該異なるプレイヤのデータが読み込まれ、異なるプレイヤは、次のプレイヤとして、ゲームを以前保存した状態から再開することができる。
【0017】
進行部は、受け付けられた軌跡が、署名パターンのいずれとも類似しない場合、受け付けられた軌跡に基づいてゲームを進行させる。
【0018】
すなわち、タッチパネル等に描いた軌跡が、署名ではなく、ゲームプレイに対する入力である場合には、当該軌跡はゲームプレイの操作入力として判断され、その軌跡に対応する処理が行われる。
【0019】
本発明によれば、ゲームの途中にプレイヤを交替する際に、セーブ・ロード画面に移行することなく、簡易にプレイヤを変更することができる。
【0020】
また、受け付けられた軌跡が、署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが一致する場合、当該現在のプレイヤに対応付けられる署名パターンに類似する軌跡が入力受付部により受け付けられるまで、進行部によるゲームの進行を停止するようにしてもよい。
【0021】
すなわち、ゲームプレイ中のプレイヤがゲームを中断し、その後プレイを継続したい場合、プレイヤが自己の署名を入力すると、ゲームは中断される。そして、当該プレイヤが再び自己の署名を入力するまで、ゲームは進行されず、他のプレイヤの署名が入力されても処理が実行されない。
【0022】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、ゲームプレイ中のプレイヤが、プレイを中断し、再度自分がプレイを再開したい場合に、ゲーム装置をロックすることができる。
【0023】
また、進行部は、受け付けられた軌跡が、ゲームを進行させるための複数の軌跡のパターンのいずれか(以下指令パターンという)に類似する場合、当該類似する指令パターンに対応付けられる指令に基づいて当該ゲームを進行させ、状態記憶部にゲームの進行状態が記憶されていない新たなプレイヤからの軌跡の入力を入力受付部に受け付けさせ、当該受け付けられた軌跡が複数の指令パターンのいずれとも類似しない場合、当該新たなプレイヤに対応付けて当該受け付けられた軌跡を署名記憶部に記憶させ、当該新たなプレイヤに対応付けて当該ゲームの開始時点の進行状態を状態記憶部に記憶させることにより、当該新たなプレイヤを追加する追加部をさらに備えるようにしてもよい。
【0024】
すなわち、受け付けた軌跡が、ゲームプレイに対する入力に該当せず、ゲームの進行状態が記憶されているプレイヤの署名にも該当しない場合、当該軌跡を新たなプレイヤに対応付けて、新たなプレイヤのゲームの進行状態の記憶が開始される。
【0025】
本発明は、上記発明の好適実施形態に係るものであり、ゲームプレイの途中でも、新たなプレイヤが、直ちにプレイを開始することができる。
【0026】
本発明のその他の観点に係るゲーム制御方法は、署名記憶工程、状態記憶工程、入力受付工程、再開工程、進行工程を備え、以下のように構成する。
【0027】
署名記憶工程において、署名記憶部が、複数のプレイヤのそれぞれに対応付けられる軌跡のパターン(以下署名パターンという)を記憶する。
【0028】
状態記憶工程において、状態記憶部が、複数のプレイヤのそれぞれのゲームの進行状態を記憶する。
【0029】
入力受付工程において、入力受付部が、複数のプレイヤのうちいずれかのプレイヤから軌跡の入力を受け付ける。
【0030】
再開工程において、再開部が、受け付けられた軌跡が、署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが異なる場合、現在のゲームの進行状態を当該現在のプレイヤに対応付けて状態記憶部に記憶し、当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤに対応付けて状態記憶部に記憶されるゲームの進行状態からゲームを再開する。
【0031】
進行工程において、進行部が、受け付けられた軌跡が、署名パターンのいずれとも類似しない場合、受け付けられた軌跡に基づいてゲームを進行させる。
【0032】
本発明のその他の観点に係るプログラムは、コンピュータを上記ゲーム装置として機能させ、コンピュータに上記ゲーム制御方法を実行させるように構成する。
【0033】
また、本発明のプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記憶媒体に記録することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によれば、ゲームの途中でプレイヤを簡易に変更するのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本実施形態にかかる携帯型ゲーム装置の物理構成を示す模式図である。
【図2】実施形態のゲーム装置の機能構成を説明するための図である。
【図3】実施形態のゲーム装置の各部が行う処理を説明するためのフローチャートである。
【図4】プレイヤが入力する軌跡の一例(指令パターン)を示す図である。
【図5】プレイヤが入力する軌跡の一例(署名パターン)を示す図である。
【図6】ゲームプレイ中のプレイヤが自己の署名を入力した際に、ゲーム装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図7】プレイヤが入力する軌跡の一例(他の署名パターン)を示す図である。
【図8】ゲームプレイ中のプレイヤと異なるプレイヤが署名を入力した際に、ゲーム装置に表示される画面(セーブ中)の一例を示す図である。
【図9】ゲームプレイ中のプレイヤと異なるプレイヤが署名を入力した際に、ゲーム装置に表示される画面(ロード後)の一例を示す図である。
【図10】署名パターン及び指令パターンのいずれとも類似しない軌跡の一例を示す図である。
【図11】署名パターン及び指令パターンのいずれとも類似しない軌跡が入力された際に、ゲーム装置に表示される画面の一例を示す図である。
【図12】指令パターンの入力領域が指定されている場合の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下に本発明の実施の形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、携帯型情報処理装置に本発明が適用される実施の形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話、音楽プレイヤなどにおいても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施の形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素もしくは全要素をこれと等しいものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施の形態も本発明の範囲に含まれる。
【0037】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態に係るゲーム装置が実現される携帯型情報処理装置1の概要構成を示す模式図である。
携帯型情報処理装置1は、処理制御部10、コネクタ11と、カートリッジ12、無線通信部13、通信コントローラ14、サウンドアンプ15、スピーカ16、マイク17、操作キー18、第1の表示部19、第2の表示部20、タッチパネル21、を備える。
【0038】
処理制御部10は、CPU(Central Processing Unit)コア10aと、画像処理部10bと、VRAM(Video Random Access Memory) 10cと、WRAM(Work RAM) 10dと、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ10eと、タッチパネルコントローラ10fと、を備える。
【0039】
CPUコア10aは、携帯型情報処理装置1全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。具体的には、カートリッジ12がコネクタ11に装着された状態で、カートリッジ12内のROM(Read Only Memory)12aに記憶されたプログラムやデータを読み出して、所定の処理を実行する。
【0040】
画像処理部10bは、カートリッジ12内のROM 12aから読み出されたデータや、CPUコア10aにて処理されたデータを加工処理した後、これをVRAM 10cに格納する。
【0041】
VRAM 10cは、表示用の情報を記憶するフレームメモリであり、画像処理部10b等により加工された画像情報を記憶する。
WRAM 10dは、CPUコア10aがプログラムに従った各種処理を実行する際に必要となるワークデータ等を記憶する。
【0042】
LCDコントローラ10eは、第1の表示部19および、第2の表示部20を制御し、所定の表示用画像を表示させる。例えば、LCDコントローラ10eは、VRAM 10cに記憶された画像情報を、所定の同期タイミングで表示信号に変換し、第1の表示部19に出力する。また、LCDコントローラ10eは、第2の表示部20に所定の指示アイコン等を表示する。
【0043】
タッチパネルコントローラ10fは、タッチペンやユーザの指によるタッチパネル21への接触(タッチ)を検出する。例えば、第2の表示部20に所定の指示アイコン等が表示されている状態で、タッチパネル21上の接触およびその位置等を検出する。
【0044】
コネクタ11は、カートリッジ12と脱着自在に接続可能な端子であり、カートリッジ12が接続された際に、カートリッジ12との間で所定のデータを送受信する。
【0045】
カートリッジ12は、ROM 12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、を備える。
ROM 12aには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ等が記録される。
RAM 12bには、ゲームの進行状況等を示す種々のデータが記憶される。
【0046】
無線通信部13は、他の携帯型情報処理装置1の無線通信部13との間で、無線通信を行うユニットであり、図示せぬアンテナ(内蔵アンテナ等)を介して所定のデータを送受信する。
なお、無線通信部13は、所定のアクセスポイントとの間で、無線LAN通信を行うこともできる。また、無線通信部13には、固有のMAC(Media Access Control)アドレスが採番されている。
【0047】
通信コントローラ14は、無線通信部13を制御し、所定のプロトコルに沿って、処理制御部10と他の携帯型情報処理装置1の処理制御部10との間で行われる通信の仲立ちをする。
【0048】
サウンドアンプ15は、処理制御部10にて生成された音声信号を増幅し、スピーカ16に供給する。
【0049】
スピーカ16は、例えば、ステレオスピーカ等からなり、サウンドアンプ15にて増幅された音声信号に従って、所定の楽曲音や効果音等を出力する。
【0050】
マイク17は、ユーザの声等のアナログ信号を受け付け、受け付けた信号は処理制御部10でミキシング等の処理がされる。
【0051】
操作キー18は、携帯型情報処理装置1に適宜配置された方向キーやボタン等から構成され、ユーザの操作に従って、所定の指示入力を受け付ける。操作キー18には、音量を調節するためのボタンや、つまみ等も含まれる。
【0052】
第1の表示部19および、第2の表示部20は、LCD等からなり、LCDコントローラ10eに制御され、ゲーム画像等を適宜表示する。
なお、第2の表示部20は、タッチパネル21の接触によりユーザから操作指示を入力させるための指示アイコン等を表示する。
【0053】
タッチパネル21は、第2の表示部20の前面に重畳して配置され、タッチペンやユーザの指の接触による入力を受け付ける。
タッチパネル21は、例えば、感圧式のタッチセンサパネル等からなり、ユーザの指等の圧力を検出し、接触状態および、接触状態から非接触状態への移行等を検出する。なお、タッチパネル21は、他に静電容量の変化等から、ユーザの指等の接触を検出してもよい。
【0054】
図2は、本実施形態に係るゲーム装置の機能構成を示す図である。以下、本図を参照して説明する。
【0055】
本実施形態のゲーム装置201は、入力受付部202、署名記憶部203、状態記憶部204、再開部205、進行部206、追加部207、を備える。
【0056】
入力受付部202は、ユーザによりタッチパネル21内に描かれた軌跡を入力として受け付け、再開部205に受け付けた軌跡の情報を送る。
したがって、CPUコア10aは、タッチパネルコントローラ10f及びタッチパネル21と協働して、入力受付部202として機能する。
【0057】
署名記憶部203は、複数のプレイヤのそれぞれに対応付けられる軌跡のパターンを記憶する。また、追加部207により通知された軌跡のパターンを新たな署名パターンとして記憶する。
したがって、CPUコア10aはRAM 12bと協働し、署名記憶部203として機能する。
【0058】
状態記憶部204は、複数のプレイヤのそれぞれのゲームの進行状態を記憶する。
したがって、CPUコア10aはRAM 12bと協働し、状態記憶部204として機能する。
【0059】
再開部205は、受け付けた軌跡が、署名記憶部203に記憶されている軌跡のパターン(署名パターン)と類似するか否かを判断する。例えば、本実施形態では、特許文献2に記載の方法や、文字認識等の技術を用いた方法によって、受け付けた軌跡が署名パターンと類似するか否かを判断する。受け付けた軌跡が署名パターンと類似しない場合は、軌跡のパターンの情報を進行部206に送る。類似する場合は、入力受付部202から受け付けた軌跡がさらに、現在プレイ中のプレイヤに対応付けられた署名パターンと類似するか否かを判断する。
入力受付部202から受け付けた軌跡が、現在プレイ中のプレイヤに対応付けられた署名パターンと類似しない場合、再開部205は、現在のゲームの進行状態を現在のプレイヤに対応付けて状態記憶部204に記憶させ、入力受付部202から受け付けた軌跡と類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤを次のプレイヤに選択する。そして、再開部205は、次のプレイヤに対応付けて状態記憶部204に記憶されたゲームの進行状態を読み込み、その進行状態からゲームを再開する。
一方、入力受付部202から受け付けた署名パターンが、現在プレイ中のプレイヤに対応付けられた署名パターンと類似する場合、再開部205は、当該現在のプレイヤに対応付けられた署名パターンに類似する軌跡が、再度入力受付部202により受け付けられるまで、進行部206によるゲームの進行を停止する。
したがって、CPUコア10aはROM 12a及びRAM 12bと協働し、再開部205として機能する。
【0060】
進行部206は、再開部205から受け付けた軌跡が、ゲームを進行させるための複数の軌跡のパターンのいずれか(以下指令パターンという)に類似するか否かを判断する。再開部205から受け付けた軌跡が指令パターンのいずれかに類似する場合、類似する指令パターンに対応付けられる指令に基づいて当該ゲームを進行させる。
一方、再開部205から受け付けた軌跡が、指令パターンのいずれにも類似しない場合、追加部207に受け付けた軌跡の情報を送る。
したがって、CPUコア10aはROM 12a及びRAM 12bと協働し、進行部206として機能する。
【0061】
追加部207は、進行部206から受け付けた軌跡を新たなプレイヤの署名パターンとして署名記憶部203に記憶させ、当該新たなプレイヤに対応付けて当該ゲームの開始時点の進行状態を状態記憶部204に記憶させる。
したがって、CPUコア10aはRAM 12bと協働し、追加部207として機能する。
【0062】
以下、ゲーム装置201において実行されるゲーム制御処理について説明する。ゲーム装置201に電源が投入され、プレイヤによってゲームが開始されると、CPUコア10aは図3のフローチャートに示す処理を開始する。プレイヤは、まず、既に記憶されているプレイの進行状態のデータを読み出すために、又は新たに進行状態のデータを作成するために、入力受付部202にタッチペン22等で、署名となる軌跡を入力する。
【0063】
入力受付部202は、プレイヤより軌跡が入力されたか否かを判断する(ステップS301)。軌跡が入力された場合(ステップS301;Yes)、その軌跡の情報を再開部205に送る。軌跡が入力されない場合は(ステップS301;No)、軌跡の入力の有無の判断を継続する。
例えば、入力受付部202は、プレイヤより図4に示す軌跡23や図5に示す軌跡24を受け付ける。図4は、問題「日本の首都は東京である。○か×か?」に対し正しい回答(軌跡23)が入力された図であり、図5は、回答ではない他の軌跡(軌跡24)が入力された例を示す図である。
【0064】
次に、再開部205は、入力受付部202から受け付けた軌跡が、署名記憶部203に記憶された署名パターンと類似するか否かを判断する(ステップS302)。署名パターンと類似する場合(ステップS302;Yes)、さらに入力受付部202から受け付けた軌跡のパターンが、現在プレイ中のプレイヤに対応付けられている署名パターンと類似するか否かを判断する(ステップS303)。
一方、入力受付部202から受け付けた軌跡が署名パターンと類似しない場合(ステップS302;No)、再開部205は受け付けた軌跡の情報を進行部206に送る。
【0065】
例えば、入力受付部202から受け付けた軌跡のパターンを図5に示す軌跡24とし、この軌跡のパターンが署名記憶部203に記憶されている署名パターンの“すずき”に類似するとする。このような場合、再開部205は、受け付けた軌跡のパターンは署名記憶部203に記憶された署名パターンに類似すると判断し(ステップS302;Yes)、さらに、受け付けた軌跡のパターンが現在プレイ中のプレイヤの署名パターンと類似するか否か判断する(ステップS303)。
一方、図4に示す軌跡23は指令パターンに類似し、署名記憶部203に記憶されていないとする。再開部205は、入力受付部202から軌跡24を受け付けると、署名記憶部203に記憶された署名パターンに類似しないと判断し(ステップS302;No)、軌跡24の情報を進行部206に送る。
【0066】
次に、再開部205は、受け付けた軌跡のパターンが現在プレイ中のプレイヤに対応付けられている署名パターンと類似すると判断すると(ステップS303;Yes)、ゲームの進行を停止させる(ステップS304)。そして、再開部205は、停止させたプレイヤの署名パターンが入力されたか否かを判断する(ステップS305)。停止させたプレイヤの署名パターンが入力されると、ゲームの進行が再開され、再びプレイヤによる軌跡の入力があるか否かの判断をする(ステップ301)。
なお、再開部205によるゲームの進行停止の処理(ステップS304)は、ゲーム装置201を閉じればゲームを中断することができるような装置においては、省略することもできる。
【0067】
例えば、現在プレイ中のプレイヤに対応付けられた署名パターンは“すずき”であり、入力受付部202が図5に示す軌跡24を受け付けたとすると、進行中のゲームは停止する。この際、再開部205が、第2の表示部20に、例えば図6に示すメッセージ25等を表示させるようにしてもよい。再開部205は、“すずき”に類似する軌跡が入力されるまで他の操作入力によるゲームの進行は行われないようにする。
【0068】
一方、再開部205は、受け付けた軌跡が現在プレイ中のプレイヤに対応付けられている署名パターンと類似しないと判断すると(ステップS303;No)、現在進行中のゲームの進行状態をプレイ中のプレイヤに対応付けて状態記憶部204に記憶させる(ステップS306)。そして、再開部205は、受け付けた軌跡のパターンと類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤを次のプレイヤに選択する。再開部205は、次のプレイヤの署名パターンに対応付けられている進行状態を状態記憶部204から読み出し、セーブ画面やロード画面に移行することなく、その進行状態からゲームを開始する(ステップS307)。
【0069】
例えば、現在プレイ中のプレイヤの署名パターンは“すずき”であり、入力受付部202が受け付けた軌跡のパターンが図7に示す軌跡26の“ささき”であったとすると、再開部205は、ゲームの進行状態を“すずき”の署名パターンに対応付けて状態記憶部204に記憶させ、“ささき”の署名パターンに対応付けられている進行状態を状態記憶部204から読み出し、読み出した進行状態からゲームを開始する。ここで、再開部205が、進行状態を記憶させる際に、例えば図8に示すメッセージ27を表示させるようにしてもよく、また進行状態の読み出しの際に、例えば図9に示すメッセージ28を表示させるようにしてもよい。
【0070】
次に、再開部205が、入力受付部202から受け付けた軌跡のパターンが署名記憶部203に記憶された署名パターンと類似しないと判断し(ステップS302;No)、進行部206に軌跡のパターンの情報を送ると、進行部206は受け付けた軌跡のパターンが予めプログラムによって定められた指令パターンと類似するか否かを判断する(ステップS308)。
【0071】
進行部206が、再開部205から受け付けた軌跡が指令パターンに類似すると判断すると(ステップS308;Yes)、当該指令パターンに対応付けられた指令に基づいて当該ゲームを進行させる(ステップS309)。
例えば、進行部206が図4に示す軌跡23を受け付けた場合、進行部206は、問題に対する回答が得られたと判断し、受け付けた軌跡23が正解の回答か否かを判定し、判定結果を表示させる等の処理を行う。
ゲームの進行処理の終了後、又は処理の途中で、入力受付部202は、プレイヤによる軌跡の入力があるか否かの判断をする(ステップ301)。
【0072】
また、進行部206が再開部205から受け付けた軌跡が指令パターンに類似しないと判断すると(ステップS308;No)、進行部206は再開部205から受け付けた軌跡の情報を追加部207に送る。追加部207は、受け付けた軌跡を新たに署名記憶部203に記憶させ、受け付けた軌跡に対応付けてゲームの進行状態を状態記憶部204に記憶させる(ステップS310)。
【0073】
例えば、署名記憶部203に記憶されておらず(署名パターンでない)、かつ指令パターンでもない、例えば図10に示す“あおき”という軌跡29が入力されたとすると、追加部207は、“あおき”の軌跡29を署名記憶部203に記憶させ、“あおき”に対応付けて、新たに進行状態を状態記憶部204に記憶させる。
また、このときに図11に示すように、確認のメッセージ30を表示し、再度署名の入力を求めるようにしてもよい。これによりプレイヤが誤って軌跡を入力してしまった場合に、新たなプレイヤとして署名記憶部203及び状態記憶部204に追加されるのを防ぐことができる。
【0074】
署名パターンでなく、かつ指令パターンでもない軌跡が入力された場合には、署名記憶部203に記憶させるのではなく、第1の表示部19又は第2の表示部20にエラーを表示させてもよい。その場合は通常のゲーム装置のように、初期画面等へ移行してからプレイヤの追加を行う。
【0075】
本実施形態によれば、ゲームの途中にプレイヤを交替する際に、セーブ・ロード画面に移行することなく、簡易にプレイヤを変更することができる。また、ゲームプレイ中のプレイヤが、プレイを中断し、再度自分がプレイを再開したい場合に、ゲームプレイ中のプレイヤが自己の署名を入力することによって、ゲーム装置をロックすることができる。さらに、ゲームプレイの途中でも、新たなプレイヤが、直ちにプレイを開始することができる。
【0076】
また、本実施形態において、図12に示すように、指令入力領域32と署名の入力領域を予め分けて設定してもよい。例えば、図12に示すような問題で軌跡31の署名をする場合では、署名パターンと指令パターンとが類似する可能性がある。このような場合でも、予め入力領域を分けて設定しておくことで、指令パターンと署名パターンとが類似してしまう場合でも署名パターンが指令パターンに誤って認識されたり、指令パターンが署名パターンに誤って認識されたりという誤認識を防ぐことができる。
【0077】
また、署名パターンは、プレイヤが形状を再現できるものであればよく、名前を文字で表記したものに限らない。例えば、署名パターンは、丸や四角、三角、L字型等の単純な形状の図形でもよいし、星形等の複雑な形状の図形でもよい。
【0078】
また、軌跡の入力は、タッチパネルに対するものに限らず、例えば、ゲーム装置のコントローラを、懐中電灯やレーザポインタのように用いてディスプレイ上に軌跡を描くことができるような構成では、当該軌跡を本発明の入力とすることができる。
【0079】
また、位置センサや加速度センサを備えるコントローラが利用できる形態では、プレイヤがコントローラを動かすと、位置や加速度の情報が得られる。位置や加速度の情報は、数値を複数並べたベクトルと考えることができる。従って、プレイヤがコントローラを動かすと、ベクトルは三次元的な空間内を移動することになる。この移動の軌跡は、位置や加速度の変化を三次元的なグラフに描いたものと考えることができる。そこで、この構成では三次元的な軌跡を本発明の入力とすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0080】
以上説明したように、本発明によれば、ゲームの途中でプレイヤを簡易に変更するのに好適なゲーム装置、ゲーム制御方法、ならびにこれらをコンピュータにて実現するプログラムを提供することができる。
【符号の説明】
【0081】
1 携帯型情報処理装置
10 処理制御部
10a CPUコア
10b 画像処理部
10c VRAM
10d WRAM
10e LCDコントローラ
10f タッチパネルコントローラ
11 コネクタ
12 カートリッジ
12a ROM
12b RAM
13 無線通信部
14 通信コントローラ
15 サウンドアンプ
16 スピーカ
17 マイク
18 操作キー
19 第1の表示部
20 第2の表示部
21 タッチパネル
22 タッチペン
23、24、26、28、29、31 軌跡
25、27、28、30 メッセージ
32 指令入力領域
201 ゲーム装置
202 入力受付部
203 署名記憶部
204 状態記憶部
205 再開部
206 進行部
207 追加部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のプレイヤのそれぞれに対応付けられる軌跡のパターン(以下署名パターンという)を記憶する署名記憶部と、
前記複数のプレイヤのそれぞれのゲームの進行状態を記憶する状態記憶部と、
前記複数のプレイヤのうちいずれかのプレイヤから軌跡の入力を受け付ける入力受付部と、
前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが異なる場合、現在のゲームの進行状態を当該現在のプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶し、当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶されるゲームの進行状態からゲームを再開する再開部と、
前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれとも類似しない場合、前記受け付けられた軌跡に基づいてゲームを進行させる進行部と、
を備えることを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが一致する場合、当該現在のプレイヤに対応付けられる署名パターンに類似する軌跡が前記入力受付部により受け付けられるまで、前記進行部によるゲームの進行を停止する
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のゲーム装置であって、
前記進行部は、前記受け付けられた軌跡が、ゲームを進行させるための複数の軌跡のパターンのいずれか(以下指令パターンという)に類似する場合、当該類似する指令パターンに対応付けられる指令に基づいて当該ゲームを進行させ、
前記状態記憶部にゲームの進行状態が記憶されていない新たなプレイヤからの軌跡の入力を前記入力受付部に受け付けさせ、当該受け付けられた軌跡が前記複数の指令パターンのいずれとも類似しない場合、当該新たなプレイヤに対応付けて当該受け付けられた軌跡を前記署名記憶部に記憶させ、当該新たなプレイヤに対応付けて当該ゲームの開始時点の進行状態を前記状態記憶部に記憶させることにより、当該新たなプレイヤを追加する追加部をさらに備える
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
署名記憶部、状態記憶部、入力受付部、再開部、進行部を備えるゲーム装置が実行するゲーム制御方法であって、
前記署名記憶部が、複数のプレイヤのそれぞれに対応付けられる軌跡のパターン(以下署名パターンという)を記憶する署名記憶工程と、
前記状態記憶部が、前記複数のプレイヤのそれぞれのゲームの進行状態を記憶する状態記憶工程と、
前記入力受付部が、前記複数のプレイヤのうちいずれかのプレイヤから軌跡の入力を受け付ける入力受付工程と、
前記再開部が、前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが異なる場合、現在のゲームの進行状態を当該現在のプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶し、当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶されるゲームの進行状態からゲームを再開する再開工程と、
前記進行部が、前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれとも類似しない場合、前記受け付けられた軌跡に基づいてゲームを進行させる進行工程と、
を備えることを特徴とするゲーム制御方法。
【請求項5】
コンピュータを、
複数のプレイヤのそれぞれに対応付けられる軌跡のパターン(以下署名パターンという)を記憶する署名記憶部、
前記複数のプレイヤのそれぞれのゲームの進行状態を記憶する状態記憶部、
前記複数のプレイヤのうちいずれかのプレイヤから軌跡の入力を受け付ける入力受付部、
前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれかと類似し、現在のプレイヤと当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤとが異なる場合、現在のゲームの進行状態を当該現在のプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶し、当該類似する署名パターンに対応付けられるプレイヤに対応付けて前記状態記憶部に記憶されるゲームの進行状態からゲームを再開する再開部、
前記受け付けられた軌跡が、前記署名パターンのいずれとも類似しない場合、前記受け付けられた軌跡に基づいてゲームを進行させる進行部、
として機能させるプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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