説明

ゲーム装置、ペン入力デバイス

【課題】入力操作において完全にコントロールできない要素を加えて新たな面白さを有するゲーム装置を提供する。
【解決手段】ディスプレイ14と、ディスプレイ14の表示面と積層一体化されたタブレット15と、タブレット15上を自走しながらペンによってタブレット15に対して位置データを入力するペン入力デバイスと、ディスプレイ14にゲーム画面を表示するゲーム画面表示部30bと、ゲーム画面表示部30bにより表示されたゲーム画面とペン入力デバイスがタブレット15上を走行することによってタブレット15から入力された位置データとの関係に基づいてゲームを制御するゲーム制御部30aとを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タブレットから位置データを入力してゲームを実行するゲーム装置、及び同ゲーム装置で使用されるペン入力デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ビデオゲームは、レバーやボタンの操作によって制御されるものが多い。また、近年では、タブレット(タッチパネル)に対してペンを用いて接触することで位置データを入力し、ペンにより指示された位置の変化を利用して制御されるゲームも広く使用されている。
【0003】
タッチパネルを用いたゲーム装置としては、例えば仮想空間に設けられたコースに沿って車両を示す車両画像を移動させるゲーム装置が考えられている(特許文献1)。
【0004】
特許文献1に記載されたゲーム装置は、液晶ディスプレイ14の上面にタッチパネルが配設されている。タッチパネルは、ゲームのプレイヤーによって操作されるタッチペンでタッチされた位置を検出する。このゲーム装置は、ペンによってタッチパネルにタッチすることで機能ボタンを選択できる他、ディスプレイに表示された地図上で車両を走行させるルートを指定することによりコースを設定し、そのコースを車両により走行させることができる。
【特許文献1】特開2007−222640号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ビデオゲームではない実物の物を利用したゲーム、例えばボーリングや玉入れゲームなどは、操作対象であるボールや玉をある程度コントロールすることはできても、完全にはコントロールできないところに面白さがある。しかし、従来のビデオゲームでは、レバーやボタン、あるいはペンを用いた操作が明確に規定されているために、入力操作が不完全になることはなく、入力操作に対して予め決められた制御が操作対象に対して行われる。すなわち、従来のビデオゲーム装置では、操作対象を制御するための入力操作が完全にコントロールされるために、ボーリングや玉入れゲームのように、操作者が必ずしも意図しない入力操作によってゲームが制御されるといった面白さがなかった。
【0006】
本発明は前述した事情に考慮してなされたもので、その目的は、入力操作において完全にコントロールできない要素を加えて新たな面白さを有するゲーム装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、ディスプレイと、前記ディスプレイの表示面と積層一体化されたタブレットと、前記タブレット上を自走しながらペンによって前記タブレットに対して位置データを入力するペン入力デバイスと、前記ディスプレイにゲーム画面を表示するゲーム画面表示手段と、前記ゲーム画面表示手段により表示されたゲーム画面と前記ペン入力デバイスが前記タブレット上を走行することによって前記タブレットから入力された位置データとの関係に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段とを具備したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、タブレット上を自走しながらペンによってタブレットに対して位置データを入力するペン入力デバイスを用いることで、入力操作において完全にコントロールできない要素を加え、この入力されたデータをもとにゲームを制御して、完全にコントロールした入力操作のみで行われるゲームでは得ることができない新たな面白さを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。
図1は、本実施形態におけるゲーム装置10の外観構成を示す図である。本実施形態におけるゲーム装置10は、自走機能を有するペン入力デバイス12が使用されるビデオゲーム装置であり、主にゲームセンターなどの遊技施設に設置される業務用のビデオゲーム用筐体により実現されるものとする。ゲーム装置10は、ペン入力デバイス12が自走することにより入力されるデータをもとにゲームを制御する。
【0010】
図1に示すように、ゲーム装置10の筐体上面部には、ディスプレイ14が配設されている。ディスプレイ14は、表示面が平面となっている例えば液晶ディスプレイである。図1に示す構成では、例えば3つのディスプレイ14(14a,14b,14c)を直線的に連続して配設することにより、比較的長い長方形のディスプレイ面を形成している。例えば、ディスプレイ14は、1m程度の長さが確保されるものとする。また、ディスプレイ14の表示面には積層一体化させたタブレット15(15a,15b,15c)が、3つのディスプレイ14a,14b,14cのそれぞれに対応して設けられている。タブレット15は、例えば電磁誘導方式によって、ペン入力デバイス12(ペン先)により指示される位置を示す位置データ(座標データ)の読み取りを行う。
【0011】
ペン入力デバイス12は、タブレット15に対して、例えば電磁誘導方式によって位置データを入力するためのもので、自走機能を有している。ペン入力デバイス12は、ペン先をタブレット15に接触させた状態で自走可能に構成されている(詳細については後述する)。ペン入力デバイス12は、プレイヤの直接的な操作によらないで自走するため、完全にコントロールしてデータを入力することができない。ペン入力デバイス12を利用することで入力操作において完全にコントロールできない要素を加え、新たな面白さを実現できる。
【0012】
ゲーム装置10の筐体上面の一方の端部には、操作パネルが設けられている。操作パネルには、複数のボタン16やコイン投入口17などが設けられている。ゲーム装置10の筐体下部には、BGM(back ground music)や効果音などの音を出力するためのスピーカ18が設けられている。
【0013】
また、ディスプレイ14(タブレット15)の周辺には、ペン入力デバイス12を自走させた際に、ペン入力デバイス12が飛び出さないようにするための所定の高さをもった透明カバー19が設けられている。
【0014】
図2は、ペン入力デバイス12の構成例を示す外観図である。
図2(a)に示すように、ペン入力デバイス12は、2つの車輪21、車輪21を回転駆動させるためのプルバックゼンマイ20、及び伸縮ペン22が設けられている。ペン入力デバイス12は、2つの車輪21と伸縮ペン22のペン先23の3点によって、プルバックゼンマイ20を支持している。なお、車輪21の数は4つであっても勿論良い。プルバックゼンマイ20は、車輪21を走行方向とは逆の方向に回転させることによって駆動力がチャージされるように構成されている。ペン入力デバイス12は、車輪21を走行面に接触させた状態で走行方向と逆方向に引き、手を離すことによって自走させることができる。
【0015】
伸縮ペン22には、電磁誘導方式によってタブレット15を通じて位置データを入力するための構成、例えば、コイル、LC共振回路、圧力センサ等が収納されている。伸縮ペン22のペン先23がタブレット15と接触した状態でペン入力デバイス12が走行されることにより、走行経路を表す連続した位置データ(ラインデータ)を入力することができる。
【0016】
また、ペン入力デバイス12は、図2(b)に示すように、伸縮ペン22の長さを任意に変更することができる。伸縮ペン22の長さを変更することでタブレット15との接触状態を変更して走行に変化を与えることができる。また、伸縮ペン22を長く伸ばすことで、指示棒などの他の目的で使用することもできる。
【0017】
図3は、図2に示すペン入力デバイス12にオーバーボディ25を装着した構成例を示している。
図3に示すように、オーバーボディ25を装着することで、任意の形状を有した自走する入力デバイスとして提供することができる。図3に示す例では、自動車を模したオーバーボディ25を装着することでミニカーとして構成している。オーバーボディ25の形状を様々な車種に合わせてデザインすることで、プレイヤは、自分が好きなデザインのものを購入してゲームに使用することができ、またコレクションとしても楽しむことができる。
【0018】
また、オーバーボディ25には、RF(Radio Frequency)タグ26(ICタグ)が装着されている。RFタグ26は、近距離無線通信によってゲーム装置10との間でデータの送受信をすることができる。RFタグ26にはデバイスを識別する固有の識別データが記録されており、ペン入力デバイス12がゲーム装置10と近接されることによって、この識別データをゲーム装置10に送信する。
【0019】
ゲーム装置10は、ペン入力デバイス12から受信される識別データに応じてゲームを制御することで、プレイヤが選択したペン入力デバイス12の種類に応じたゲーム内容とすることができる。ゲーム装置10は、識別データに応じたゲーム画面(グラフィックス)を表示し、また識別データに応じたオブジェクト画像、例えばゲーム画面中で走行する自動車画像を表示させることができる。すなわち、ゲーム装置10がレースゲームを実行する場合、識別データは、ゲーム中で使用される自動車の車種を示す車種コードとして処理される。
【0020】
なお、RFタグ26には、識別データ以外の他のデータを記憶させておくことも可能である。例えば、過去にゲーム装置10で使用された際のゲーム結果などをゲーム装置10によって書き込まれるようにしても良い。ゲーム装置10は、RFタグ26に書き込まれたゲーム結果のデータを識別データと共に受信し、ゲームの制御に利用することができる。
【0021】
また、図3においては、RFタグ26をオーバーボディ25に装着しているが、図2に示すオーバーボディ25がない構成において、例えばプルバックゼンマイ20が収納された筐体内に装着されるようにしても良い。
【0022】
また、図2及び図3に示すペン入力デバイス12は、駆動機構としてプルバックゼンマイ20を設けた構成としているが、例えばラジオコントロールされるモータなど、他の駆動機構を搭載した構成とすることも可能である。また、車輪21以外の他の走行機構が設けられていても良い。
【0023】
図4は、本実施形態におけるゲーム装置10の機能構成を示すブロック図である。
図4に示すように、ゲーム装置10には、制御部30、記憶部31、操作部33、音出力部34、コイン検知部35、近距離無線通信部36、通信部37、ディスプレイ14(14a,14b,14c)、及びタブレット15(15a,15b,15c)が設けられている。
【0024】
制御部30は、CPUやメモリ(RAM、ROM)を含んで構成されるもので、ゲームプログラム31aを実行することにより各種の機能を実現してゲーム装置10全体を制御する。制御部30において実現される機能としては、ゲーム制御部30a、ゲーム画面表示部30b、ペン入力制御部30c、及びペン入力デバイス通信制御部30dが含まれている。
【0025】
ゲーム制御部30aは、ペン入力デバイス12の操作によってタブレット15から入力された位置データをもとにゲームを制御する。ゲーム制御部30aは、ゲーム画面表示部30bによって表示されたゲーム画面(例えば複数のオブジェクト画像を含む)と、ペン入力デバイス12がタブレット15上を走行することによってタブレット15から入力された位置データとの関係に基づいてゲームを制御する。本実施形態では、例えばゲーム空間中に設定されるコースを車両によって走行させるレースゲームを実行するものとする。
【0026】
ゲーム画面表示部30bは、ゲーム制御部30aにより制御されるゲームに応じたゲーム画面をディスプレイ14において表示させるための処理を実行する。本実施形態では、例えば3枚のディスプレイ14a,14b,14cが連続して配置されているため、ゲーム画面表示部30bは、ディスプレイ14a,14b,14cのそれぞれの配置位置に応じたゲーム画面を表示させる。
【0027】
ペン入力制御部30cは、ペン入力デバイス12を用いたタブレット15からの位置データの入力を制御する。
【0028】
ペン入力デバイス通信制御部30dは、近距離無線通信部36を通じて、ペン入力デバイス12に設けられたRFタグ26との通信を制御する。ペン入力デバイス通信制御部30dは、RFタグ26から識別データを受信して、ゲーム制御部30aにより実行されるゲーム処理に反映させる。
【0029】
記憶部31は、ハードディスク装置などにより実現されるもので、各種のプログラムやデータが記憶される。記憶部31に記憶されるプログラムには、基本制御プログラム(OS)の他に、ペン入力デバイス12による入力に応じたゲーム処理を実行するためのゲームプログラム31aが含まれる。記憶部31に記憶されるデータには、グラフィックデータ31b、入力デバイス管理データ31c、入力デバイスパラメータ31dが含まれる。グラフィックデータ31bは、ゲーム状況に応じたゲーム画面を表示させるためのデータである。グラフィックデータ31bには、ペン入力デバイス12(RFタグ26)から受信される識別データに応じて表示させるオブジェクト画像、例えば自動車画像を表示させるためのデータが含まれている。グラフィックデータ31bは、例えば、新規のペン入力デバイス12が提供(販売)された場合に合わせて、管理サーバ41からダウンロードすることができるものとする。入力デバイス管理データ31cは、ペン入力デバイス12(RFタグ26)に固有の識別データと、ゲーム中で取り扱われる自動車の種類を示す車種コードとの対応を示すデータである。入力デバイスパラメータ31dは、ペン入力デバイス12の種類(車種)に応じてゲームを制御するためのゲームパラメータである。入力デバイスパラメータ31dには、複数の車種(識別データ)毎に用意されているゲームパラメータが含まれる。ゲームパラメータ異なることで、タブレット15から入力される位置データが同じであったとしても異なる制御が行われる。また、ゲームパラメータは、グラフィックデータ31bと同様にして、新規のペン入力デバイス12が提供(販売)された場合に合わせて、管理サーバ41からダウンロードすることができるものとする。
【0030】
操作部33は、操作パネルに設けられたボタン16などに対する操作を制御する。
音出力部34は、ゲーム制御部30aの制御のもとで、ゲーム処理の実行状況に応じた音声(BGM、効果音など)をスピーカ18から出力させる。
【0031】
コイン検知部35は、ゲーム装置10を利用するための対価とするコインがコイン投入口17に投入されたことを検知する。
【0032】
近距離無線通信部36は、ペン入力デバイス12に装着されたRFタグ26との間で通信を行う。近距離無線通信部36は、例えば通信可能距離を短くして、ゲーム装置10の筐体に設けられたリーダ部にペン入力デバイス12がかざされた場合にRFタグ26との通信が可能となるものとする。なお、近距離無線通信部36の通信可能距離をディスプレイ14(タブレット15)の範囲程度としても良い。この場合、ディスプレイ14にペン入力デバイス12(RFタグ26)が載置されることで、このペン入力デバイス12のRFタグ26との通信が行われるようにする。これにより、リーダ部にペン入力デバイス12をかざす操作をすることなく、ゲームで使用するペン入力デバイス12を識別させることができる。
【0033】
通信部37は、制御部30の制御のもとで、インターネットなどを含む広域のネットワーク40を通じて管理サーバ41との間で通信を行う。通信部37は、例えば制御部30からの要求に応じて、管理サーバ41に接続して、ゲーム処理で使用するグラフィックスデータ(車種別のデータ)などをダウンロードすることができる。
【0034】
なお、前述した説明では、ペン入力デバイス12を走行可能な距離を長くするために3つのディスプレイ14a,14b,14cを連続して配置する構成としているが、1枚のディスプレイ14によって構成することも勿論可能である。また、4つ以上のディスプレイ14を配置することも可能であり、また直線的な配置でなくても良い。また、タブレット15についてもディスプレイ14と合わせて、前述と異なる配置とすることが可能である。
【0035】
次に、本実施形態におけるゲーム装置10により実行されるゲーム処理について、図5に示すフローチャートを参照しながら説明する。
制御部30は、コイン検知部35によってコインが検知されたかを監視している。ゲーム装置10を使用しようとするプレイヤがコイン投入口17からコイン(例えば100円硬貨)を投入するとコイン検知部35により検知される。コイン検知部35は、コインが投入されたことを制御部30に通知する(ステップA1)。
【0036】
制御部30は、コインが投入されたことが通知されると、ゲーム準備モードに移行する(ステップA2)。制御部30は、ゲーム準備モードに移行すると、ゲームで使用されるペン入力デバイス12(RFタグ26)から車種コード(識別データ)を受信するための車種コード入力処理をペン入力デバイス通信制御部30dにより実行させる(ステップA3)。ペン入力デバイス通信制御部30dは、近距離無線通信部36によって通信可能範囲内で、ペン入力デバイス12に装着されたRFタグ26を探索する。
【0037】
プレイヤがゲームで使用するペン入力デバイス12をリーダ部にかざすと、近距離無線通信部36は、ペン入力デバイス12に装着されたRFタグ26との通信を行い、RFタグ26に記憶された車種コード(識別データ)を受信する。
【0038】
ペン入力デバイス通信制御部30dは、RFタグ26から車種コードを受信すると(ステップA4、Yes)、この車種コードを記憶部31に記憶させる(ステップA5)。
【0039】
次に、制御部30は、レースゲームの対象とするコースをプレイヤによって選択させる。例えば、制御部30は、予め用意されたコースの画像をディスプレイ14において表示し、プレイヤによってボタン16の操作により何れかを選択させる。
【0040】
制御部30は、コースを選択する入力があると(ステップA6)、選択されたコースに応じたゲーム画面をグラフィックデータ31bをもとにディスプレイ14において表示させる。この際、制御部30は、このコースを用いて過去に実行されたレースゲームについて、例えばタイムのベスト10などを表示させる。
【0041】
また、制御部30は、ペン入力デバイス12から受信した車種コードに応じたゲームパラメータを設定する(ステップA7)。
【0042】
次に、制御部30は、ゲーム画面表示部30bによって、車種コード(識別データ)と、選択されたコースに応じたゲーム画面をディスプレイ14において表示させる。
【0043】
図6(a)には、ゲーム画面の表示例を示している。図6(a)に示すゲーム画面では、手前側にスタートエリア、奥側にゴールエリアを設けて、ペン入力デバイス12をスタートエリアからゴールエリアまで(1m程度)自走させることを表している。スタートエリアとゴールエリアとの間には、スピードアップ/スピードダウンを表すオブジェクト、障害物を表すオブジェクト、ボーナスポイントを表すオブジェクトなどが表示されている。複数のオブジェクトには、位置が移動するもの、位置が固定されたものが混在しているものとする(全てが移動あるいは固定であっても良い)。なお、複数のオブジェクトの種類や数、あるいは動きについては、ペン入力デバイス12から受信した識別データ(ゲームパラメータ)に応じて変化させることができる。
【0044】
このレースゲームは、スタートエリアからゴールエリアまでの到達タイムを争うもので、単にペン入力デバイス12がスタートエリアからゴールエリアに到達した実際の時間だけでなく、何れのオブジェクト上を通過したかによって、ゲーム空間中を走行する自動車がスピードアップ、あるいはスピードダウンしたものと判別してタイムが算出されるものとする。
【0045】
ここでゲーム装置10は、ペン入力デバイス12がタブレット15の上で自走されることにより位置データが入力されるのを待つ。
【0046】
プレイヤは、ゲーム画面中に表示される障害物やボーナスポイントなどのオブジェクトの動きを読み、タイミング良く的確なラインを選択してペン入力デバイス12を自走させる。当然、ペン入力デバイス12を直進させて、スタートエリアとゴールエリアとの間を最短で走行させれば物理的な到達タイムが最短となるが、障害物やボーナスポイントのオブジェクトを通過する状況によっては最終的な到達タイムが異なる。プレイヤは、各オブジェクトの位置と、ペン入力デバイス12を走行させるライン(透明カバー19に衝突して変化するラインも含めて)判断して、タイミング良くペン入力デバイス12を走行させる必要がある。
【0047】
ペン入力制御部30cは、ペン入力デバイス12が自走するのに伴って、ペン入力デバイス12に装着された伸縮ペン22のペン先23が示す位置の位置データをタブレット15から入力する。すなわち、ペン入力制御部30cは、連続的な位置データ(ラインデータ)の読み取りを行う(ステップA9)。
【0048】
ゲーム画面表示部30bは、ペン入力制御部30cによって読み取られたラインデータに応じてゲーム画面を更新する(ステップA10)。例えば、ゲーム画面表示部30bは、入力されたラインデータをもとに、何れかのオブジェクト上をペン入力デバイス12が通過したと判別される場合、このオブジェクトを別の表示形態に変更して、プレイヤが通過したオブジェクトを認識できるようにする。
【0049】
ゲーム制御部30aは、ペン入力制御部30cによって入力されたラインデータから、ペン入力デバイス12がゴールエリアに到達したことを検知すると、ペン入力制御部30cによるデータ読み取りを終了させる(ステップA11、Yes)。
【0050】
図6(b)には、ペン入力デバイス12がゴールエリアに到達した時点のゲーム画面の一例を示している。図6(b)に示すように、ペン入力デバイス12が通過したラインが表示されると共に、ペン入力デバイス12が通過した(ライン上の)複数のオブジェクトの表示形態(例えば反転表示)が変更されている。
【0051】
次に、ゲーム制御部30aは、ペン入力制御部30cによって入力されたラインデータに応じて、ゲーム画面表示部30bによって再生ゲーム画面を表示させる(ステップA12)。すなわち、ゲーム画面表示部30bは、ラインデータに応じた三次元で表現されるゲーム空間中のコースにおいて、ペン入力デバイス12の識別データが示す車種の自動車を走行させる。
【0052】
図6(c)には、再現ゲーム画面の一例を示している。
【0053】
例えば、ペン入力デバイス12が障害物のオブジェクト上を通過していた場合には、再現ゲーム画面中においても自動車が障害物にぶつかって減速する場面を表示させる。また、スピードアップを表すオブジェクト上を通過していた場合には、例えばジャンプ台などによってジャンプして加速する場面を表示する。
【0054】
ゲーム制御部30aは、ペン入力デバイス12の識別データに応じて設定されたゲームパラメータに応じた、再現ゲーム画面を表示させる。ゲームパラメータは、自動車の性能、例えば加速性能や最高速度、耐久性、車両重量などを表しており、その値の違いによって各種のオブジェクトとの関係が異なってくる。
【0055】
例えば、最高速度が遅くても加速性能が良ければ障害物で減速した場合に有利であり、車両重量が軽ければジャンプ台などのボーナスポイント(スピードアップ)においてタイム短縮が大きくなる。こうして、ペン入力デバイス12によって特徴を持たせることで、プレイヤに対してペン入力デバイス12を選択する面白さを提供できる。
【0056】
ゲーム制御部30aは、入力されたラインデータ、ゲームパラメータ、通過したオブジェクトの種類などに基づいて、前述したように再現ゲーム画面を表示させると共に、その結果により得られるゲームポイントを算出する(ステップA13)。ここでは、最終的な到達タイムを算出する。
【0057】
このようにして、本実施形態におけるゲーム装置10では、ゲーム画面が表示されたディスプレイ14(タブレット15)の上で、ペン入力デバイス12を自走させることによってレースゲームを実行することができる。ペン入力デバイス12は、スタートエリアにおいて手を離した後は自走するので、プレイヤが介在することなく位置データの入力が行われる。ゲーム装置10は、完全にコントロールされないで入力されたデータをもとにゲームを制御するので、完全にコントロールされた状態で入力されたデータにより制御されるゲームからは得られない面白さを提供することができる。また、ペン入力デバイス12の違い(識別データ)によってゲーム内容も変化を与えることができるので、ゲーム内容に変化を与え、またプレイヤにペン入力デバイス12を選択する楽しみを与えることもできる。
【0058】
なお、前述した説明では、ペン入力デバイス12を利用したゲームとして、レースゲームを実行する場合を例にして説明しているが、その他のゲームにおいてペン入力デバイス12を利用することが可能である。
【0059】
図7(a)(b)(c)には、他のゲームを実行する場合のゲーム画面の一例を示している。
図7(a)は、ビリヤードゲームを実行する場合のゲーム画面の一例を示している。図7(a)に示すように、ゲーム画面には、複数のボール(9個)と、ボールを落下させるためのポケット(6箇所)が表示されている。プレイヤは、ゲーム画面中に表示されたボール上を通過するように、ペン入力デバイス12をキューボール(手球)の代わりにして自走させる。すなわち、実際のボールにペン入力デバイス12を衝突させるような感覚で、ボールを狙ってペン入力デバイス12を自走させる。
【0060】
ゲーム装置10は、ペン入力デバイス12がタブレット15の上を自走することによって入力される位置データ(ラインデータ)をもとに、表示されたボールに対する衝突角度や衝突時のスピードを演算し、各ボールの衝突後の移動位置を求める。この際、ペン入力デバイス12から受信した識別データに対応するゲームパラメータに応じて、プレイヤが使用するペン入力デバイス12の違いによって演算方法を変えるようにしても良い。例えば、キューボールの反発係数を変えて演算することで、衝突後のボールの移動位置が変わるようにすることができる。ボールがポケットが表示された位置に移動されたと判別された場合には、そのボールがポケットに落下したものと判別する。以下、同様にして、ペン入力デバイス12をキューボールのように用いて、各ボールをポケットに落下させていく。
【0061】
図7(b)は、奥側で左右方向に移動するUFOを表すオブジェクトに、ペン入力デバイス12を衝突させてポイントを獲得するゲームのゲーム画面の一例を示している。UFOとの間には、複数の隕石を表すオブジェクトがランダムに左右方向に移動している。プレイヤは、隕石の間隙を縫って、ペン入力デバイス12を自走させてUFOに衝突させる。ゲーム装置10は、ペン入力デバイス12が自走することによって入力される位置データ(ラインデータ)をもとにして、隕石に衝突したか否か、またUFOに衝突したか否かを判定し、ポイントを算出する。
【0062】
図7(c)は、ホッケーゲームを実行する場合のゲーム画面の一例を示している。図7(c)に示すホッケーゲームは、対戦型のゲームであり、2人のプレイヤが交互にそれぞれのペン入力デバイス12を使用する。図7(c)に示すように、ゲーム画面には、ディフェンダーを表すオブジェクトが表示されている。プレイヤは、交互に相手側のディフェンダーを回避するようにペン入力デバイス12を自走させてゴールを狙う。ゲーム装置10は、ペン入力デバイス12が自走することによって入力される位置データ(ラインデータ)をもとにして、ディフェンダーを表すオブジェクトと接触することなくゴールに入ったか否かを判定し、ポイントを算出する。
【0063】
図7(a)(b)(c)に示す各ゲームは、何れもペン入力デバイス12を用いているため完全なコントロールができず、不完全な要素をゲームに加えて新たな面白さを提供することができる。また、ペン入力デバイス12に固有の識別データに応じたゲームパラメータを設定し、このゲームパラメータによってゲームを制御することができるので、プレイヤが使用するペン入力デバイス12によってもゲーム内容が変化されるためゲーム性を向上させることができる。
【0064】
なお、前述した各ゲームは一例であって、他のゲームにおいてデータ入力手段としてペン入力デバイス12を使用することが可能である。
【0065】
また、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本実施形態におけるゲーム装置10の外観構成を示す図。
【図2】ペン入力デバイス12の構成例を示す外観図。
【図3】図2に示すペン入力デバイス12にオーバーボディ25を装着した構成例。
【図4】本実施形態におけるゲーム装置10の機能構成を示すブロック図。
【図5】本実施形態におけるゲーム装置10により実行されるゲーム処理のフローチャート。
【図6】ゲーム画面の表示例を示す図。
【図7】他のゲームを実行する場合のゲーム画面の一例を示す図。
【符号の説明】
【0067】
10…ゲーム装置、12…ペン入力デバイス、14(14a,14b,14c)…ディスプレイ、15(15a,15b,15c)…タブレット、16…ボタン、17…コイン投入口、18…スピーカ、20…プルバックゼンマイ、21…車輪、22…伸縮ペン、23…ペン先、25…オーバーボディ、30…制御部、30a…ゲーム制御部、30b…ゲーム画面表示部、30c…ペン入力制御部、30d…ペン入力デバイス通信制御部、31…記憶部、31a…ゲームプログラム、31b…グラフィックデータ、31c…入力デバイス管理データ、31d…入力デバイスパラメータ、33…操作部、34…音出力部、35…コイン検知部、36…近距離無線通信部、37…通信部、40…ネットワーク、41…管理サーバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイと、
前記ディスプレイの表示面と積層一体化されたタブレットと、
前記タブレット上を自走しながらペンによって前記タブレットに対して位置データを入力するペン入力デバイスと、
前記ディスプレイにゲーム画面を表示するゲーム画面表示手段と、
前記ゲーム画面表示手段により表示されたゲーム画面と前記ペン入力デバイスが前記タブレット上を走行することによって前記タブレットから入力された位置データとの関係に基づいてゲームを制御するゲーム制御手段と
を具備したことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
前記ペン入力デバイスは、車輪と、前記車輪を回転させる駆動部と、前記タブレット上に載置された際にペン先が前記タブレット面に接触するように装着されたデータ入力用のペンとを有することを特徴とする請求項1記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記ペン入力デバイスには、近距離無線通信によって同デバイスを識別する識別データを送信する通信手段を有し、
前記ゲーム制御手段は、前記通信手段によって受信された前記識別データに応じてゲームを制御することを特徴とする請求項2記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記ゲーム画面表示手段は、前記通信手段によって受信された前記識別データに応じたゲーム画面を前記ディスプレイに表示し、
前記ゲーム制御手段は、前記ペン入力デバイスが走行することによって入力された位置データに応じてゲームを制御することを特徴とする請求項3記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記ゲーム画面表示手段は、前記通信手段によって受信された前記識別データに応じたオブジェクト画像を、前記ゲーム画面中に表示させることを特徴とする請求項4記載のゲーム装置。
【請求項6】
車輪と、
前記車輪を回転駆動させる駆動手段と、
前記駆動手段により前記車輪が回転駆動されて走行される状態においてペン先が走行面に接触するように装着された、タブレットに対する位置データ入力用のペンとを具備したことを特徴とするペン入力デバイス。
【請求項7】
前記ペンは伸縮可能とすることを特徴とする請求項6記載のペン入力デバイス。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−279347(P2009−279347A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−137137(P2008−137137)
【出願日】平成20年5月26日(2008.5.26)
【出願人】(306019111)株式会社タイトー (475)
【Fターム(参考)】