説明

ゲーム装置、取引練習方法、および、プログラム

【課題】記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引を疑似体験できるゲーム装置等を提供する。
【解決手段】実データ記憶部101は、実際に過去に取引された株取引の始値、終値、高値、低値、及び、出来高の情報を記憶する。また、変動パターン記憶部102は、1日の取引中にて変動した株価を解析することにより分類された変動パターンを記憶する。株価情報生成部103は、始値、終値、高値、及び、低値の関係と、出来高の値とにより、変動パターン記憶部102に記憶される何れか1つの変動パターンを特定し、特定した変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成する。画像生成部104は、株価情報生成部103が生成した当該株価情報を用いて、仮想の市況情報を表示する。そして、疑似取引部106は、操作部105からのプレイヤの指示情報に基づいて、株券の疑似取引を処理する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引を疑似体験できるゲーム装置、取引練習方法、および、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ビデオゲーム装置等にて実行されるゲーム(ソフトウェア等)が種々開発されている。近年では、シミュレーションゲームとジャンル分けされるゲームが人気を博しており、プレイヤは、ゲームを通じて様々な疑似体験が行えるようになっている。
このようなシミュレーションゲームには、仮想の株取引を体験できるゲームもある。
【0003】
一例として、複数プレイヤに仮想株取引ゲームを提供するゲームシステムの技術も開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−35413号公報(第5−12頁、第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した仮想の株取引を体験できるゲームでは、よりリアリティを高めるために、実際に取引された過去の株価情報を使用することも考えられている。つまり、取引中の株価のチャート(時系列の株価の変動)も含めた詳細な実データを使用することで、リアリティを最大まで高めようとするものである。
また、最近では、携帯型ゲーム機が広く普及してきており、携帯型ゲーム機にてこのような仮想の株取引を好きな場所で自由にプレイしたいという要求も高まっている。
【0005】
しかしながら、携帯型ゲーム機は、一般の家庭用ゲーム機と比べて、記憶容量が少なくなっている。そのため、過去の株価情報の全て(取引中の株価のチャートを含めた実データ)を使うことは、極めて困難となっている。
そのため、記憶容量の少ない携帯型ゲーム機でも、リアリティを高めた仮想の株取引を体験できるゲームが求められていた。
【0006】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引を疑似体験できるゲーム装置、取引練習方法、および、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の観点に係るゲーム装置は、四本値情報記憶部、株価情報生成部、市況情報表示部、指示情報取得部、及び、疑似取引部を含んで構成される。
【0008】
まず、四本値情報記憶部は、過去の取引日で実際に売り買いされた株券(取引所にて取引される証券等)についての四本値情報(始値、終値、高値、及び、低値の各情報)を記憶する。また、株価情報生成部は、記憶した当該四本値情報に基づいて、当該取引日中で時系列に変動する株価情報(値動きの情報)を生成する。そして、市況情報表示部は、生成した当該株価情報を用いて仮想の市況情報(例えば、チャートや板情報等)を表示する。
一方、指示情報取得部は、表示した当該市況情報に応じて、プレイヤから入力される株券の売買を指示する指示情報(例えば、買い注文や売り注文)を取得する。そして、疑似取引部は、取得した当該指示情報に基づいて、株券の疑似取引を処理する。なお、疑似取引処理では、例えば、プレイヤの持ち株や残高等の情報を記憶する持ち株情報が適宜更新される。
【0009】
このように、過去の実データである四本値情報だけから、その取引日中で時系列に変動する株価情報が生成される。この株価情報は、始値、終値、高値、及び、低値の情報に沿っているため、実際に取引された値動きのように、より自然なものとなる。そして、この株価情報を用いた市況情報が表示される状態でプレイヤが株券の疑似取引を行うことになるため、プレイヤはリアリティの高い株取引を体験できる。
この結果、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引をプレイヤが疑似体験できる。
【0010】
上記ゲーム装置は、実際の取引中にて変動した株価を解析することにより得られた複数の変動パターンを記憶する変動パターン記憶部を更に備え、前記株価情報生成部は、当該四本値情報における始値、終値、高値、及び、低値の関係に従って、記憶される当該各変動パターンから1つを特定し、特定した当該変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成してもよい。
この場合、生成される株価情報が、始値、終値、高値、及び、低値の関係に従って特定された変動パターンに沿ったものであるため、実際に取引された値動きに近いものとなる。このため、株取引のリアリティをより高めることができる。
【0011】
上記ゲーム装置は、過去の取引日で実際に売り買いされた株券についての出来高情報を記憶する出来高情報記憶部を更に備え、前記株価情報生成部は、当該四本値情報における始値、終値、高値、及び、低値の関係並びに、当該出来高情報に従って、記憶される当該各変動パターンから1つを特定し、特定した当該変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成してもよい。
この場合、生成される株価情報が、四本値情報だけでなく出来高情報に従って特定された変動パターンに沿ったものであるため、実際に取引された値動きにより近いものとなる。このため、株取引のリアリティをより高めることができる。
【0012】
前記株価情報生成部は、始値から終値まで変動する株価情報を、高値を超えず、かつ、低値を下らない範囲内でランダムに生成した株価を配列して生成してもよい。
この場合、生成される株価情報が、実際の始値、終値、高値、及び、低値の関係を維持するため、実際に取引された値動きに沿ったものとなる。このため、株取引のリアリティをより高めることができる。
【0013】
前記株価情報生成部は、乱数のシードに過去の取引日時を用いることにより、再現性のあるランダムな株価の株価情報を生成してもよい。
この場合、同じ過去日付の同一銘柄の取引であれば、どのプレイヤがいつプレイしても、同じ株価情報が生成されるため、運・不運等に左右されることなく、同一条件で株取引を体験できる。
【0014】
前記市況情報表示部は、生成した当該株価情報に基づいて順次変化する気配値を配列した板情報を生成し、当該板情報を仮想の市況情報として表示してもよい。
この場合、株価情報に基づいて板情報が生成されるため、よりリアリティを高めた株取引を体験できる。
【0015】
本発明の第2の観点に係る取引練習方法は、
過去の取引日で実際に売り買いされた株券(取引所にて取引される証券等)についての四本値情報(始値、終値、高値、及び、低値の各情報)を記憶する記憶部、演算処理部、表示制御部、表示部、及び、操作受付部を用いる取引練習方法であって、株価情報生成ステップ、市況情報表示ステップ、指示情報取得ステップ、及び、疑似取引ステップを含んで構成される。
【0016】
まず、演算処理部が行う株価情報生成ステップでは、記憶部に記憶された当該四本値情報に基づいて、当該取引日中で時系列に変動する株価情報(値動きの情報)を生成する。また、前記表示制御部が行う市況情報表示ステップでは、演算処理部が生成した当該株価情報を用いて仮想の市況情報(例えば、チャートや板情報等)を表示部に表示する。
一方、操作受付部が行う指示情報取得ステップでは、表示部に表示した当該市況情報に応じて、プレイヤから入力される株券の売買を指示する指示情報(例えば、買い注文や売り注文)を取得する。そして、前記演算処理部が行う疑似取引ステップでは、操作受付部が取得した当該指示情報に基づいて、株券の疑似取引を処理する。
【0017】
このように、過去の実データである四本値情報だけから、その取引日中で時系列に変動する株価情報が生成される。この株価情報は、始値、終値、高値、及び、低値の情報に沿っているため、実際に取引された値動きのように、より自然なものとなる。そして、この株価情報を用いた市況情報が表示される状態でプレイヤが株券の疑似取引を行うことになるため、プレイヤはリアリティの高い株取引を体験できる。
この結果、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引をプレイヤが疑似体験できる。
【0018】
本発明の第3の観点に係るプログラムは、コンピュータ(電子機器を含む。)を、上記のゲーム装置として機能させるように構成する。
【0019】
このプログラムは、コンパクトディスク、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、ディジタルビデオディスク、磁気テープ、半導体メモリ等のコンピュータ読取可能な情報記録媒体に記録することができる。
【0020】
上記プログラムは、当該プログラムが実行されるコンピュータとは独立して、コンピュータ通信網を介して配布・販売することができる。また、上記情報記録媒体は、当該コンピュータとは独立して配布・販売することができる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引をプレイヤが疑似体験できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下に本発明の実施形態を説明する。以下では、理解を容易にするため、携帯型ゲーム機に本発明が適用される実施形態を説明するが、各種のコンピュータ、PDA、携帯電話などの情報処理装置においても同様に本発明を適用することができる。すなわち、以下に説明する実施形態は説明のためのものであり、本願発明の範囲を制限するものではない。したがって、当業者であればこれらの各要素または全要素をこれと均等なものに置換した実施形態を採用することが可能であるが、これらの実施形態も本発明の範囲に含まれる。
【0023】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施の形態に係る取引練習装置が実現される典型的な携帯型ゲーム機(ゲーム装置)の概要構成を示す模式図である。以下、本図を参照して説明する。
【0024】
携帯型ゲーム機1は、処理制御部10と、コネクタ11と、カートリッジ12と、無線通信部13と、通信コントローラ14と、サウンドアンプ15と、スピーカ16と、操作キー17と、第1の表示部18と、第2の表示部19と、タッチパネル20と、を備える。
【0025】
処理制御部10は、CPU(Central Processing Unit)コア10aと、画像処理部10bと、VRAM(Video Random Access Memory)10cと、WRAM(Work RAM)10dと、LCD(Liquid Crystal Display)コントローラ10eと、タッチパネルコントローラ10fと、を備える。
【0026】
CPUコア10aは、携帯型ゲーム機1全体の動作を制御し、各構成要素と接続され制御信号やデータをやりとりする。具体的には、カートリッジ12がコネクタ11に装着された状態で、カートリッジ12内のROM(Read Only Memory)12aに記憶されたプログラムやデータを読み出して、所定の処理を実行する。
【0027】
画像処理部10bは、カートリッジ12内のROM 12aから読み出されたデータや、CPUコア10aにて処理されたデータを加工処理した後、これをVRAM 10cに格納する。
【0028】
VRAM 10cは、表示用の情報を記憶するメモリであり、画像処理部10b等により加工された画像情報を記憶する。
WRAM 10dは、CPUコア10aがプログラムに従った各種処理を実行する際に必要となるワークデータ等を記憶する。
【0029】
LCDコントローラ10eは、第1の表示部18および、第2の表示部19を制御し、所定の表示用画像を表示させる。たとえば、LCDコントローラ10eは、VRAM 10cに記憶された画像情報を、所定の同期タイミングで表示信号に変換し、第1の表示部18に出力する。また、LCDコントローラ10eは、第2の表示部19に所定の指示アイコン等を表示する。
【0030】
タッチパネルコントローラ10fは、タッチペンやユーザの指によるタッチパネル20への接触(タッチ)を検出する。たとえば、第2の表示部19に所定の指示アイコン等が表示されている状態で、タッチパネル20上の接触およびその位置等を検出する。
【0031】
コネクタ11は、カートリッジ12と脱着自在に接続可能な端子であり、カートリッジ12が接続された際に、カートリッジ12との間で所定のデータを送受信する。
【0032】
カートリッジ12は、ROM 12aと、RAM(Random Access Memory)12bと、を備える。
ROM 12aには、ゲームを実現するためのプログラムとゲームに付随する画像データや音声データ等が記録される。
RAM 12bには、ゲームの進行状況等を示す種々のデータが記憶される。
【0033】
無線通信部13は、他の携帯型ゲーム装置1の無線通信部13との間で、無線通信を行うユニットであり、図示せぬアンテナ(内蔵アンテナ等)を介して所定のデータを送受信する。
なお、無線通信部13は、所定のアクセスポイントとの間で、無線LAN通信を行うこともできる。また、無線通信部13には、固有のMAC(Media Access Control)アドレスが採番されている。
【0034】
通信コントローラ14は、無線通信部13を制御し、所定のプロトコルに沿って、処理制御部10と他の携帯型ゲーム装置1の処理制御部10との間で行われる通信の仲立ちをする。
【0035】
サウンドアンプ15は、処理制御部10にて生成された音声信号を増幅し、スピーカ16に供給する。
スピーカ16は、例えば、ステレオスピーカ等からなり、サウンドアンプ15にて増幅された音声信号に従って、所定の楽曲音や効果音等を出力する。
【0036】
操作キー17は、ゲーム装置1に適宜配置された複数のキースイッチ等からなり、ユーザの操作に従って、所定の指示入力を受け付ける。
【0037】
第1の表示部18および、第2の表示部19は、LCD等からなり、LCDコントローラ10eに制御され、ゲーム画像等を適宜表示する。
なお、第2の表示部19は、タッチパネル20の接触によりユーザから操作指示を入力させるための指示アイコン等を表示する。
【0038】
タッチパネル20は、第2の表示部19の前面に重畳して配置され、タッチペンやユーザの指の接触による入力を受け付ける。
タッチパネル20は、たとえば、感圧式のタッチセンサパネル等からなり、ユーザの指等の圧力を検出し、接触状態および、接触状態から非接触状態への移行等を検出する。なお、タッチパネル20は、他に静電容量の変化等から、ユーザの指等の接触を検出してもよい。
【0039】
(取引練習装置の概要構成)
図2は、本実施形態に係る取引練習装置の概要構成を示す模式図である。この取引練習装置は、一例として、仮想の株取引(証券の売り買い)を練習するための装置である。以下、本図を参照して説明する。
【0040】
取引練習装置100は、実データ記憶部101と、変動パターン記憶部102と、株価情報生成部103と、画像生成部104と、操作部105と、疑似取引部106と、持ち株情報記憶部107とを備える。
【0041】
実データ記憶部101は、実際に過去に取引された株取引の情報を記憶する。具体的には、四本値情報101a及び、出来高情報101bを記憶する。
四本値情報101aは、1日の株価の値動きを端的に示すための「始値、終値、高値、低値」からなる四本値の情報である。
また、出来高情報101bは、1日の株の売買高を株数で示した情報である。
なお、実データ記憶部101は、これら四本値情報101a及び出来高情報101bを、各銘柄について、過去の取引日単位に分けて記憶している。つまり、図3(a)に示すように、各銘柄について、過去の取引日単位に、始値、終値、高値、低値、及び、出来高の実データを記憶している。
また、四本値情報101aの各値(始値、終値、高値、及び、低値)は、例えば、図3(b)に示すようなローソク足として特徴化される際にも使用される。
そして、ROM12aやRAM12b等がこのような実データ記憶部101として機能しうる。
【0042】
図2に戻って、変動パターン記憶部102は、1日の取引中にて変動した株価を幾つも(各種銘柄、各取引日について)解析することにより分類された変動パターンを記憶する。
例えば、変動パターン記憶部102は、図4(a)〜(d)に示すような各種変動パターンを記憶する。なお実際には、このような4種類だけではなく、より多くの変動パターンが記憶されている。
また、これらのような変動パターンは、上述した始値、終値、高値、及び、低値の関係と、出来高の値とにより、何れか1つの変動パターンが定まるようになっている。
なお、ROM12aやRAM12b等がこのような変動パターン記憶部102として機能しうる。
【0043】
図2に戻って、株価情報生成部103は、上述した四本値(始値、終値、高値、及び、低値)等の情報に基づいて、過去の取引日中で時系列に変動する株価情報(値動きの情報)を生成する。
具体的に株価情報生成部103は、始値、終値、高値、及び、低値の関係と、出来高の値とにより、変動パターン記憶部102に記憶される何れか1つの変動パターンを特定し、特定した変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成する。
【0044】
例えば、図5(a)に示すような変動パターンを特定した場合、図5(b)に示すような四本値に沿って、変動パターンの波形を全体的に伸縮させる。つまり、図5(c)に示すように、四本値の各値が当てはまるように(各値と等しくなるように)、波形を適宜伸縮させる。
そして、四本値の各値に対応する箇所(時刻)を除いて、波形の値をランダムに増減させる。つまり、波形は、図5(d)に示すような時系列に配列された株価により構成されているが、これらの株価をランダムに増減させて、より自然な値動きに近づける。
【0045】
すなわち、図5(e)に示すように、始値(9:00)のような四本値を除いた各株価について、所定の範囲内(例えば、高値と安値との差の10%程度で増減する範囲:この場合、−3円〜+3円の範囲)で、乱数によって発生させた値を加算又は減算する。但し、増減算後の株価が、高値を超えたり、低値を下回るような場合は、その加減算をやめるか、又は、極性(+又は−)を反転して加減算する。
このようにして、図5(f)に示すような、より自然な値動きとなる株価情報を生成することができる。
なお、このようにして生成される株価情報が、ランダムでありながらも再現性のある値動きとするため、乱数のシードには、対応する過去の日時(年月日時刻)が使用される。これにより、同じ銘柄の同じ日付であれば、いつでも同じ株価情報が生成されることになる。
そして、CPUコア10aがこのような株価情報生成部103として機能しうる。
【0046】
図2に戻って、画像生成部104は、表示用画像を適宜生成する。
例えば、画像生成部104は、株価情報生成部103が生成した当該株価情報を用いて、仮想の市況情報を表示する。
具体的に画像生成部104は、株価情報を用いて、図6(a)に示すような過去の取引日の日中チャートの画像や、図6(b)に示すような気配値を並べた板情報の画像といった市況情報を生成する。そして、これらの市況情報がプレイヤに提示され、株の売り買いの判断や株価の推移の見極め等に利用される。
なお、画像処理部10bがこのような画像生成部104として機能しうる。
【0047】
図2に戻って、操作部105は、ゲーム中にプレイヤから入力される株券の売買を指示する指示情報等を取得する。
なお、操作キー17やタッチパネル20がこのような操作部105として機能しうる。
【0048】
疑似取引部106は、操作部105からのプレイヤの指示情報に基づいて、株券の疑似取引を処理する。
例えば、上述した図6(b)に示すような板情報が表示されている状態で、プレイヤから、成行で30,000株の買い注文が指示された場合、疑似取引部106は、価格を指定しない買い注文であるため、現在の気配値に優先して、1,300円の15,000株から1,302円の5,000株までの売り注文について、売買成立させる。
つまり、この売買成立により、1300円の15,000株から、1301円の10,000株までが板情報から消えて、1302円の8,000株が3,000株の表示に変わることになる。そして、この結果、この株券の時価が1302円に上昇することになる。
疑似取引部106は、このような疑似取引を、持ち株情報記憶部107に記憶される情報を更新しつつ行う。つまり、プレイヤが現在所有している株券の情報や、口座残高等を更新しながら、処理を行う。
なお、CPUコア10aがこのような疑似取引部106として機能しうる。
【0049】
図2に戻って、持ち株情報記憶部107は、ゲーム中において必要となる株券等の情報を記憶する。
つまり、持ち株情報記憶部107は、プレイヤが所有している株券の銘柄及びその数や、仮想の口座に蓄えられた金額の金額等の情報を記憶する。
なお、RAM12b等がこのような持ち株情報記憶部107として機能しうる。
【0050】
(取引練習装置の動作概要)
図7は、上述した構成の取引練習装置100において実行される疑似取引処理の流れを示すフローチャートである。以下、本図を参照して取引練習装置100の動作について説明する。なお、この疑似取引処理は、ゲーム開始後、プレイヤによる所定の指示に応答して開始される。
【0051】
まず、取引練習装置100は、プレイヤにより任意に設定される過去の取引日を取得する(ステップS201)。
例えば、取引練習装置100は、所定の日付設定画面を表示した状態で、操作部105から指示される過去の取引日(年月日の情報)を取得する。
【0052】
取引練習装置100は、取得した取引日の実データを実データ記憶部101から読み出す(ステップS202)。
つまり、プレイヤに指定された取引日の各銘柄について、図3(a)に示すような、始値、終値、高値、低値、及び、出来高を含んだ実データを読み出す。
【0053】
取引練習装置100は、プレイヤにより銘柄が指定されるまで、後続処理の実行を待機する(ステップS203)。
例えば、取引練習装置100は、ステップS202で読み出した実データから各銘柄名を抽出し、所定のグループ分けして各銘柄を表示するなどして、プレイヤにより任意の銘柄が指定されるまで待機する。
【0054】
そして、プレイヤにより所望の銘柄が指定されると、取引練習装置100は、指定された銘柄の四本値等に基づいて、過去の取引日中で時系列に変動する株価情報を生成する(ステップS204)。
すなわち、株価情報生成部103は、始値、終値、高値、及び、低値の関係と、出来高の値とにより、変動パターン記憶部102に記憶される何れか1つの変動パターンを特定し、特定した変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成する。
【0055】
取引練習装置100は、生成した株価情報を用いて、仮想の市況情報を表示する(ステップS205)。
すなわち、画像生成部104は、上述した図6(a)に示すような日中チャートの画像や、図6(b)に示すような板情報の画像を生成して、仮想の市況情報として表示する。
【0056】
取引練習装置100は、プレイヤによる取引の指示があったか否かを判別する(ステップS206)。つまり、プレイヤにより、株券の売り買いを指示する情報が操作部105から入力されたかどうかを判別する。
【0057】
取引練習装置100は、プレイヤによる取引の指示がないと判別すると(ステップS206;No)、仮想の市況情報の表示を継続する。
一方、プレイヤによる取引の指示があったと判別した場合に、取引練習装置100は、指示に応答して、株券の疑似取引を行う(ステップS207)。
つまり、疑似取引部106は、持ち株情報記憶部107に記憶される情報を更新しつつ、疑似取引を行う。
【0058】
このような疑似取引処理によって、実際に取引された過去の実データ(四本値等)に基づいて、過去の取引日中で時系列に変動する株価情報(値動きの情報)が生成される。この株価情報は、分類分けがなされた変動パターンに沿ったものであるため、実際に取引された値動きに沿ったより自然なものとなる。そして、この株価情報を用いた市況情報が表示される状態でプレイヤが株券の疑似取引を行うことになるため、プレイヤはリアリティの高い仮想の株取引を体験できる。
また、生成される株価情報が、ランダムでありながらも再現性のある値動きとするため、同じ銘柄の同じ日付であれば、いつでも同じ株価情報が生成することができる。つまり、運・不運等に左右されることなく、同一条件で株取引を体験できる。
【0059】
この結果、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引を疑似体験できる。
【0060】
(他の実施形態)
上記の実施形態では、株券の取引を一例として説明したが、取引対象は、このような株券に限られず、適宜適用可能である。例えば、為替等の取引においても、四本値等の実データから為替レート情報等を同様に生成することができる。
【0061】
また、上記の実施形態では、携帯型ゲーム機を一例として説明したが、通常の家庭用ゲーム機においても同様に適用可能である。
【0062】
以上説明したように、本発明によれば、記憶容量を適切に削減しつつ、リアリティのある株取引をプレイヤが疑似体験できる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯型ゲーム機の概要構成を示すブロック図である。
【図2】取引練習装置の概要構成を説明するためのブロック図である。
【図3】実データ記憶部に記憶される四本値等の情報を説明するための模式図である。
【図4】(a)〜(d)共に、変動パターンの一例を説明するための模式図である。
【図5】(a)〜(f)共に、株価情報生成部が時系列に変動する株価情報を生成する様子を説明するための模式図である。
【図6】(a)が日中チャートの一例を示す模式図であり、(b)が板情報の一例を示す模式図である。
【図7】本発明の実施形態に係る疑似取引処理の一例を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0064】
1 携帯型ゲーム機
10 処理制御部
11 コネクタ
12 カートリッジ
13 無線通信部
14 通信コントローラ
15 サウンドアンプ
16 スピーカ
17 操作キー
18 第1の表示部
19 第2の表示部
20 タッチパネル
100 取引練習装置
101 実データ記憶部
102 変動パターン記憶部
103 株価情報生成部
104 画像生成部
105 操作部
106 疑似取引部
107 持ち株情報記憶部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去の取引日で実際に売り買いされた株券についての四本値情報を記憶する四本値情報記憶部と、
記憶した当該四本値情報に基づいて、当該取引日中で時系列に変動する株価情報を生成する株価情報生成部と、
生成した当該株価情報を用いて仮想の市況情報を表示する市況情報表示部と、
表示した当該市況情報に応じて、プレイヤから入力される株券の売買を指示する指示情報を取得する指示情報取得部と、
取得した当該指示情報に基づいて、株券の疑似取引を処理する疑似取引部と、を備える、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項2】
請求項1に記載のゲーム装置であって、
実際の取引中にて変動した株価を解析することにより分類された複数の変動パターンを記憶する変動パターン記憶部を更に備え、
前記株価情報生成部は、当該四本値情報における始値、終値、高値、及び、低値の関係に従って、記憶される当該各変動パターンから1つを特定し、特定した当該変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項3】
請求項2に記載のゲーム装置であって、
過去の取引日で実際に売り買いされた株券についての出来高情報を記憶する出来高情報記憶部を更に備え、
前記株価情報生成部は、当該四本値情報における始値、終値、高値、及び、低値の関係並びに、当該出来高情報に従って、記憶される当該各変動パターンから1つを特定し、特定した当該変動パターンに沿って、時系列に変動する株価情報を生成する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項4】
請求項1乃至3の何れか1項に記載のゲーム装置であって、
前記株価情報生成部は、始値から終値まで変動する株価情報を、高値を超えず、かつ、低値を下らない範囲内でランダムに生成した株価を配列して生成する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項5】
請求項4に記載のゲーム装置であって、
前記株価情報生成部は、乱数のシードに過去の取引日時を用いることにより、再現性のあるランダムな株価の株価情報を生成する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れか1項に記載のゲーム装置であって、
前記市況情報表示部は、生成した当該株価情報に基づいて順次変化する気配値を配列した板情報を生成し、当該板情報を仮想の市況情報として表示する、
ことを特徴とするゲーム装置。
【請求項7】
記憶部、演算処理部、表示制御部、表示部、及び、操作受付部を用いる取引練習方法であって、前記記憶部は、過去の取引日で実際に売り買いされた株券についての四本値情報を記憶し、
前記記憶部に記憶された当該四本値情報に基づいて、前記演算処理部が行う、当該取引日中で時系列に変動する株価情報を生成する株価情報生成ステップと、
前記表示制御部が行う、前記演算処理部が生成した当該株価情報を用いて仮想の市況情報を表示部に表示する市況情報表示ステップと、
前記表示部に表示した当該市況情報に応じて、前記操作受付部が行う、プレイヤから入力される株券の売買を指示する指示情報を取得する指示情報取得ステップと、
前記操作受付部が取得した当該指示情報に基づいて、前記演算処理部が行う、株券の疑似取引を処理する疑似取引ステップと、を備える、
ことを特徴とする取引練習方法。
【請求項8】
コンピュータを、
過去の取引日で実際に売り買いされた株券についての四本値情報を記憶する四本値情報記憶部、
記憶した当該四本値情報に基づいて、当該取引日中で時系列に変動する株価情報を生成する株価情報生成部、
生成した当該株価情報を用いて仮想の市況情報を表示する市況情報表示部、
表示した当該市況情報に応じて、プレイヤから入力される株券の売買を指示する指示情報を取得する指示情報取得部、
取得した当該指示情報に基づいて、株券の疑似取引を処理する疑似取引部、
として機能させることを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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