説明

ゲーム装置およびゲームシステム

【課題】キャラクターの識別情報を記録した媒体を用いるゲームおよびゲームシステムにおいて、記録媒体の接触位置をキャラクターの初期位置としつつ、その後は記録媒体の位置に関わらず、ゲームの状況に応じてキャラクター位置を移動させるものを提供する。
【解決手段】カメラ60は、インパクターAの接触位置を検出し、インパクターAの識別情報を読み取る。キャラクター表示制御手段(制御装置70)は、識別情報に対応するキャラクター画像C3を表示画面10に表示させる。キャラクター位置決定手段(制御装置70)は、キャラクター位置の初期位置を、接触位置に対応する位置とし、その後、インパクターAの位置に関わらず、ゲームの状況に応じて、キャラクター位置を初期位置から他の位置へと移動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ゲーム装置およびゲームシステムに関し、とくにキャラクターの識別情報を記録した媒体を用いるものに関する。
【背景技術】
【0002】
キャラクターが登場するゲームを実現するゲーム装置として、様々なものが公知である。これらの中には、キャラクターの識別情報を印刷したカード等の記録媒体を用いるものがある。これらのゲーム装置では、カードをあらかじめプレイヤーに配布しておき、ゲーム中にプレイヤーがカードをゲーム装置に読み取らせると、そのカードに対応するキャラクターが表示される。このようなゲーム装置の例は、特許文献1に開示される。
また、このようなゲーム装置に用いられる読取システムの例は、特許文献2に開示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−148497号公報
【特許文献2】特開2009−56260号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来のゲーム装置では、キャラクターの表示位置は、記録媒体(たとえばカード)の位置とは無関係に固定されるか、または、常にカードの位置に依存して決定されるかのいずれかであった。特許文献1のゲーム装置は後者の例であり、カードの配置およびカードの移動に応じてキャラクターが表示されまたは移動する。
したがって、従来のゲーム装置では、記録媒体の位置に応じてキャラクターの位置を決定しつつ、その後は記録媒体の位置とは無関係にキャラクターを移動させるということができなかった。
【0005】
この発明はこのような問題点を解消するためになされたものであり、記録媒体の接触位置をキャラクターの初期位置としつつ、その後は記録媒体の位置に関わらず、ゲームの状況に応じてキャラクター位置を移動させる、ゲーム装置およびゲームシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係るゲーム装置は、表示画面と、複数のキャラクターについて、各キャラクターを表す識別情報と、当該キャラクターを表すキャラクター画像とを記憶する識別情報記憶手段と、識別情報が記録された記録媒体が表示画面に接触することに応じて、記録媒体の識別情報を読み取る、識別情報読取手段と、記録媒体が表示画面に接触することに応じてその接触位置を検出する、接触位置検出手段と、表示画面においてキャラクター画像が表示されるべきキャラクター位置を決定する、キャラクター位置決定手段と、決定されたキャラクター位置に、読み取られた識別情報に対応するキャラクター画像を表示させる、キャラクター表示制御手段とを備え、キャラクター位置決定手段は、キャラクター位置の初期位置を、接触位置に対応する位置とし、その後、記録媒体の位置に関わらず、ゲームの状況に応じて、キャラクター位置を初期位置から他の位置へと移動させる。
【0007】
ゲーム装置は衝撃強度検出手段をさらに備え、衝撃強度検出手段は、記録媒体が表示画面に接触することに応じてその衝撃の強度を検出するものであってもよい。
ゲーム装置は、接触位置および衝撃の強度に応じて、表示画面における効果範囲を決定する、効果範囲決定手段をさらに備え、キャラクター位置決定手段は、効果範囲に他のキャラクター画像が含まれる場合、当該他のキャラクター画像のキャラクター位置を移動させるものであってもよい。
衝撃強度検出手段は、接触の際に発生した音量を測定することによって、または、接触の際に表示画面を介して伝達された圧力を測定することによって、衝撃の強度を検出するものであってもよい。
ゲームの状況は、読み取られた識別情報を含み、かつ、ゲームの状況は、接触位置と、表示画面に表示された他のキャラクター画像との位置関係とを含むものであってもよい。
記録媒体は、識別情報が印刷されたシート状または板状の媒体であってもよい。
【0008】
また、この発明に係るゲームシステムは、上述のゲーム装置と、1つまたは複数の記録媒体とを含む。
【発明の効果】
【0009】
この発明に係るゲーム装置およびゲームシステムは、キャラクター位置決定手段によって、キャラクター位置の初期位置を接触位置に対応する位置とし、その後、記録媒体の位置に関わらず、ゲームの状況に応じて、キャラクター位置を移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】この発明の実施の形態1に係るゲーム装置の外観を表す概略斜視図である。
【図2】図1のゲーム装置の内部構成を概略的に示す図である。
【図3】図2のバックライトの周囲の、白色LEDおよび赤外線LEDの配置を示す図である。
【図4】ゲームに用いられるインパクター(記録媒体)と、これを収容するジャケットとの形状を表す斜視図である。
【図5】図4のインパクターの断面図である。
【図6】インパクターおよびジャケットの他の形状の例を示す図である。
【図7】インパクターおよびジャケットの他の形状の例を示す図である。
【図8】図1の表示画面に表示される内容の遷移を説明する図である。
【図9】図1の表示画面に表示される内容の遷移を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
実施の形態1.
実施の形態1に係るゲームシステムは、図1に示すゲーム装置100と、図4に示す記録媒体としてのインパクター200とを含んで構成される。
図1は、実施の形態1に係るゲーム装置100の外観を表す概略斜視図である。ゲーム装置100は、ゲームの進行に応じて画像を表示する表示画面10と、ゲームを開始する際にプレイヤーがコインを投入するコイン投入口20と、ゲームに用いる記録媒体を配出する景品配出口30とを備える。表示画面10はたとえば水平に、いわゆる平置きの状態で設けられており、上方から表示内容を見ることができる。
【0012】
図2は、ゲーム装置100の内部構成を概略的に示す図である。
表示画面10は積層構造を有しており、保護層としてのガラス11と、ガラス11の下側に設けられる液晶パネル12と、液晶パネル12の下側に設けられるバックライト13とを含む。液晶パネル12は、周知の構成によって画像を表示することができる。液晶パネル12の具体的構成は、以下に説明するゲーム装置100の構成および動作に基づいて当業者が適宜設計することができるものであるため、詳細な説明を省略する。
【0013】
表示画面10の最下層をなすバックライト13の周囲には、白色LED40および赤外線LED41が交互に多数配置される。この白色LED40および赤外線LED41の配置の例を図3に示す(なお図3では他の構成要素を省略している)。赤外線LED41は、上方のガラス11およびガラス11上に配置される物体に向けて赤外線を放射する。
【0014】
図2に戻り、表示画面10の下方には、表示画面10およびその周辺において発生した音を検出する集音装置として、マイク50が設けられる。マイク50は、たとえばガラス11に記録媒体(図4に示すインパクター200等)が接触または衝突した際に発生する音の音量を測定する。
また、表示画面10の下方には、表示画面10を撮影するカメラ60が設けられる。カメラ60は、少なくとも赤外線領域に含まれる光の画像を撮影する。上述のように、赤外線LED41は表示画面10に向けて赤外線を放射するので、表示画面10に赤外線を反射または吸収する物体が置かれていれば、カメラ60はその物体を検出することができる。
【0015】
さらに、ゲーム装置100の内部には、ゲーム装置100全体の動作を制御する制御装置70が設けられる。制御装置70は、液晶パネル12、マイク50およびカメラ60に電気的に接続されている。制御装置70は、たとえば記憶装置としてROMおよびRAMを有する周知のマイクロコンピュータによって構成することができる。記憶装置には制御装置70の動作を規定するプログラムが格納されており、制御装置はこのプログラムを実行することによって、本明細書に記載される機能を実現する。
また、制御装置70の記憶装置には、ゲーム装置100のゲームに登場するキャラクターのすべてについて、そのキャラクターを表す識別情報(すなわち各キャラクターを互いに識別するための識別情報)と、そのキャラクターを表すキャラクター画像と、ゲームにおけるそのキャラクターの特性を表す数値等の情報とが、関連付けられて格納されている。このような構成により、制御装置70は、識別情報記憶手段として機能する。
【0016】
また、ゲーム装置100の動作に関連して後述するように、制御装置70は、表示画面10においてキャラクター画像が表示されるべきキャラクター位置を決定する、キャラクター位置決定手段として機能し、また、キャラクター位置に応じてキャラクター画像を表示画面10に表示させる、キャラクター表示制御手段として機能し、さらに、キャラクターの攻撃処理等の表示画面10における効果範囲を決定する、効果範囲決定手段として機能する。
【0017】
図4は、ゲームに用いられる記録媒体であるインパクター200と、これを収容するジャケット203との形状を表す斜視図である。インパクター200は厚みを有する略円板状の構造を有する。
図5はインパクター200の断面図である。インパクター200は、円板形状の本体部分201と、本体部分201の外周を外側から挟み込むように設けられるカバー部分202とを含む。本体部分201はたとえばプラスチックによって形成されて所定の剛性を有し、インパクター200全体の恒久的な変形を防ぐ。カバー部分202はたとえばゴムによって形成されて弾力性を有し、インパクター200が他の構造(たとえば表示画面10)に衝突した際の衝撃を緩和する。
【0018】
本体部分201の一面、たとえば上面201aには、ゲームに登場するキャラクターのうち一つの画像が印刷される。また、本体部分201の他面、たとえば底面201bには、上面201aに印刷されたキャラクターを表す識別情報が記録される。底面201bにおける識別情報の記録は、たとえば赤外線を吸収する赤外線ステルスインクを用いたバーコードを印刷することによって行われる。このような構成によれば、底面201bに赤外線を照射し、反射された赤外線の画像を検出することによって、底面201bに印刷されたバーコードを読み取ることができ、これによってインパクター200に記録されたキャラクターの識別情報を取得することができる。
【0019】
図4に示すように、ジャケット203は略正方形状であり、一方の面にはインパクター200の形状と整合する凹部203aが形成されている。ジャケット203はたとえばプラスチックによって形成されて所定の剛性を有する。ジャケット203の凹部203aには、インパクター200を嵌合させて固定することができる。このように固定することにより、全体の形状が略正方形の板状となり、保管および運搬が容易となる。
【0020】
図6および図7は、インパクターおよびジャケットの他の形状の例を示す。インパクターは、図6のインパクター210のように円板形状の本体部分のみを有してもよく、すなわち図5のカバー部分202に相当する独立した部材を有さない構造であってもよい。この場合、インパクター210はその全体をプラスチックによって形成してもよく、またはその全体を弾力性を有するゴムによって形成してもよい。図6のジャケット211には、インパクター210に対応した形状の凹部211aが形成されている。
さらに、インパクターは円板形状でなくともよく、図7のインパクター220のように正六角形であってもよい。図7のジャケット221には、これに対応した形状の凹部221aが形成されている。また、インパクターは正方形等、他の多角形の形状でもよい。
あるいは、インパクターは、図4〜図7に示すように板状の媒体でなくともよく、カードまたはシート状の媒体であってもよい。
【0021】
図示しないが、ゲーム装置100の内部には、インパクター200を収容した状態のジャケット203を多数格納する格納部が設けられる。格納されたジャケットおよびインパクターは、制御装置70の制御に応じて、配出物として景品配出口30から配出される。たとえば、1回のゲームにつき1つ、ゲーム開始前に、ジャケットおよびインパクターの配出が行われる。
【0022】
ここで、後述するようにインパクターは表示画面10に投げつけて使用するものであるため、図4のカバー部分202を構成するゴム等によって、ある程度の弾力性を持たせる必要がある。しかしながら、弾力性を持ったインパクター200を限られた格納部に多数収容して自動的に配出するのは困難である。しかしながら、図4のジャケット203はある程度の剛性を有するプラスチックで形成されているので、インパクター200をジャケット203に収容することにより、収容および配出が容易となる。
また、プレイヤーが多数のインパクター200を所有する場合には、書籍のように並べて収納することができ、プレイヤーの利便性が向上する。
【0023】
また、図4のインパクター200のように全体形状が凹凸を有している場合や、全体が弾力性を有するインパクターを使用する場合等には、その表面への視覚的情報の印刷コストが高くなる。ここで、インパクターをジャケットと組み合わせることにより、インパクターに関する情報、たとえばキャラクターの特性を説明する文章等をジャケットに印刷することができ、印刷コストを下げることができる。
【0024】
以上のような構成を有するゲームシステムによって実現されるゲームの具体例を、以下に説明する。
ゲーム装置100は、複数のキャラクターにそれぞれ対応するキャラクター画像を表示してゲームを進行させる。各キャラクターは、あるプレイヤーに対応するグループ(味方)のキャラクターと、別のプレイヤーまたは制御装置70が制御する仮想プレイヤーに対応するグループ(敵)のキャラクターとに分かれる。キャラクターはそれぞれ所定の効果範囲を持つゲーム上の処理(他のキャラクターへの攻撃等)を発生させることがあり、あるキャラクターがなんらかの効果範囲に含まれるかどうかの判定は、そのキャラクターの位置と、その効果範囲との関係に基づいて行われる。すなわち、キャラクターの位置およびその位置に表示されるキャラクター画像は、いわゆる「当たり判定」を表す。
【0025】
図8および図9は、プレイヤーの行動およびゲームの進行に伴って変化する表示画面10の表示内容の遷移を説明する図である。ただし、図8および図9はそれぞれ同一の状態から開始するものであり、図8はプレイヤーが比較的弱い力でインパクターAを投げつけた場合の動作を表し、図9はプレイヤーが比較的強い力でインパクターAを投げつけた場合の動作を表す。
【0026】
図8(a)は、進行中であるゲームの一時点の表示内容である。それまでの進行の結果として、表示画面10には2つのキャラクターにそれぞれ対応するキャラクター画像C1およびC2が表示されている。キャラクター画像C1およびC2は、プレイヤーから見て敵方のキャラクターである。
【0027】
図8(b)は、図8(a)の状態においてプレイヤーがインパクターAを表示画面10の上方から投げつけた時点の表示内容である。ここで、プレイヤーはインパクターAの底面、すなわちキャラクターの識別情報が表示されている面を下側にして投げつける。
赤外線LED41は常時点灯しており、投げつけられたインパクターAが表示画面10に対して所定の位置関係となると(たとえばインパクターAが表示画面10に接触すると)、照射された赤外線がインパクターAによって反射され、カメラ60に入射することになる。カメラ60がこの赤外線の画像を撮影し、表示画面10におけるインパクターAの接触位置を検出して制御装置70に送信する。また、カメラ60は、インパクターAに印刷されたバーコードを認識することによって、インパクターAのキャラクターの識別情報を読み取り、この識別情報を制御装置70に送信する。このように、赤外線LED41およびカメラ60は、制御装置70の制御に応じて、接触位置検出手段および識別情報読取手段として機能する。
【0028】
また、上述のようにカメラ60がインパクターAの接触位置を検出すると、これに応じて、制御装置70は、マイク50によって検出され送信される音声データを受信し、インパクターAが表示画面10に与えた衝撃の強度を判定する。ここで、制御装置70は、マイク50が検出した音声の音量が大きければ衝撃が強いと判定し、小さければ衝撃が弱いと判定する。この判定は所定の閾値を用いて、「強」「弱」の2段階で行うことができる。図8の例では、プレイヤーは「弱」に相当する強度でインパクターAを投げつけたものとする。
なお、衝撃の強度の判定は、複数の閾値を用いて段階的になされてもよく、または音量に基づいて連続的な数値をもってなされてもよい。このように、マイク50は、制御装置70の制御に応じて、衝撃の強度を検出する衝撃強度検出手段として機能する。
【0029】
このようにしてインパクターAの接触位置が検出され、キャラクターの識別情報が読み取られると、制御装置70はキャラクター位置決定手段として機能し、表示画面10においてキャラクター画像を表示すべき位置(キャラクター位置)を決定する。このキャラクター位置は、たとえば表示画面10上の座標または液晶パネル12上の座標によって表される。キャラクター位置は、インパクターAの接触位置に基づいて決定され、たとえば、接触位置と一致する位置として、または接触位置に最も近い位置として決定される。ここで決定されるキャラクター位置が、このキャラクターの初期位置となる。
【0030】
次に、制御装置70はキャラクター画像表示手段として機能し、表示画面10を制御してキャラクター画像を表示する。
図8(c)は、キャラクター画像表示手段がキャラクター画像C3を表示させた状態を示す。キャラクター画像表示手段は、キャラクターの識別情報に基づいてこれに関連付けられたキャラクター画像(この例ではキャラクター画像C3)を取得し、このキャラクター画像を、キャラクター位置決定手段によって決定されたキャラクター位置に表示する。ここで、キャラクター画像C3は、インパクターAのキャラクターの識別情報に対応するキャラクター画像である。
【0031】
次に、ゲーム装置100は、インパクターAを表示画面10から取り除くことをプレイヤーに促す。これは、たとえば表示画面10にその旨のメッセージを表示することによって行われる。これに応じてプレイヤーは、図8(c)に示すように、インパクターAを表示画面10上から取り除く。ここで、インパクターAの接触位置にはキャラクター画像C3が表示されているので、プレイヤーには、インパクターAを投げつけることで発生したキャラクター画像C3がそのまま残っているように見える。このようにして、表示画面10にはキャラクター画像C3に対応する当たり判定が残ることになる。
【0032】
次に、制御装置70は、キャラクター画像C3によって発生する効果(たとえば敵キャラクターに対する攻撃)の範囲を決定する。ここで、制御装置70は効果範囲決定手段として機能し、インパクターAの接触位置(またはキャラクター画像C3のキャラクター位置)と、その接触による衝撃の強度とに応じて、表示画面10における効果範囲を決定する。
【0033】
図8(d)は、このように決定された効果範囲R1が表示画面10に表示された状態を示す。この例では、インパクターAの衝撃の強度は「弱」に相当するものであるため、「弱」に対応する効果範囲R1が表示される。ここで、効果範囲R1は表示画面10上において所定の面積を占める領域(たとえば円形の領域)である。図8(d)の例では、演出の便宜上、効果範囲の境界であるR1の外周のみを表示している。
【0034】
次に、制御装置70は影響判定手段として機能し、敵キャラクターのそれぞれについて、発生した効果範囲R1にそのキャラクター画像が含まれるか否かを判定する。ここで、「含まれる」とは、たとえばキャラクター画像の少なくとも一部が、効果範囲R1の少なくとも一部と重複している状態を意味する。これは、攻撃しているキャラクターの攻撃範囲内に敵キャラクターの当たり判定が入ったか否かを判定することに相当する。
図8(d)の例では、キャラクター画像C2は効果範囲R1と一部重複しているので、キャラクター画像C2は効果範囲R1に含まれると判定される。一方、キャラクター画像C1は効果範囲R1と全く重複していないので、キャラクター画像C1は効果範囲R1に含まれないと判定される。
【0035】
次に、制御装置70は再びキャラクター位置決定手段として機能し、影響を受けるキャラクター画像を弾き飛ばす。ここで、キャラクター位置決定手段は、敵キャラクター(キャラクター画像C1およびC2)について、そのキャラクターが効果範囲に含まれる場合に、対応するキャラクター画像を移動させる。
【0036】
図8(e)はこの動作を示す。キャラクター画像C2は効果範囲R1に含まれていたので、この処理の対象となる。まずキャラクター位置決定手段は、攻撃側のキャラクター(効果範囲R1を発生させたキャラクター)のキャラクター位置(キャラクター画像C3に対応)を移動させ、影響を受けるキャラクター(キャラクター画像C2に対応)に近づけてこれに接触させる。次に、キャラクター位置決定手段は、影響を受けるキャラクターのキャラクター画像C2を他の位置へと移動させる。この移動の方向は、たとえばキャラクター画像C3から離れる方向である。また、この移動の距離は、一定の距離であってもよく、またはインパクターAの識別情報に応じて(すなわちキャラクター画像C3のキャラクターに応じて)異なってもよい。
【0037】
なおこの動作の間、キャラクター位置の移動に伴い、キャラクター画像表示手段は適宜キャラクター画像の更新を行い、キャラクター位置とキャラクター画像の表示との整合性を保つ。
このような動作により、ゲーム装置100は、キャラクター画像C3の当たり判定が自動的に動き、攻撃範囲に入った敵であるキャラクター画像C2を攻撃し、これによってキャラクター画像C2が弾き飛ばされるという演出を行う。
【0038】
その後、制御装置70は効果範囲R1の表示を消去し、図8(a)〜図8(e)の動作を繰り返す。すなわち、対戦相手または協力者となる別のプレイヤーが新たなインパクターを投げつけ、これに応じてキャラクター画像C1〜C3が影響を受け移動する。なお、このような別のプレイヤーによる操作に加えて、またはこれに代えて、制御装置70が対戦相手または協力者となる仮想プレイヤーとなってもよい。
【0039】
ここで、対戦相手(または対戦相手仮想プレイヤー)の操作により、新たに他のキャラクター画像が表示され、その効果範囲にキャラクター画像C3が含まれることとなった場合、キャラクター位置決定手段は、これに応じてキャラクター画像C3のキャラクター位置を移動させる。この処理は、図8(e)に関連して説明した処理と同様になされる。
【0040】
以上のように、実施の形態1に係るゲーム装置100によれば、キャラクター位置決定手段は、キャラクター画像C3のキャラクター位置の初期位置を、インパクターAの接触位置に対応する位置とし、その後は、インパクターAの存在および位置に関わらず、ゲームの状況に応じて、キャラクター画像C3のキャラクター位置を初期位置から他の位置へと移動させる。
【0041】
ここで、「ゲームの状況」とは、表示画面10の表示内容および制御装置70に電子的に記憶されるゲームに関連する状態を表すデータの全体をいうが、たとえば次の2点の情報を含むものとすることができる。
(1)表示画面10に接触したインパクター(この例では投げつけられたインパクターA)から読み取られたキャラクターの識別情報。
(2)表示画面10に接触したインパクター(この例では投げつけられたインパクターA)の接触位置と、表示画面10に表示される他のキャラクター画像(この例では敵キャラクターであるキャラクター画像C1およびC2)との位置関係。ここで、他のキャラクター画像とは、キャラクター画像C1およびC2のようにキャラクター画像C3よりも前から表示されているものであってもよく、また、キャラクター画像C3が表示された後に、たとえば対戦相手プレイヤーの操作に応じて新たに表示されるものであってもよい。
【0042】
このように、初期位置が決定された後は、キャラクター位置はインパクターAの存在および位置には影響されないので、プレイヤーは、投げつけたインパクターAを、その後のゲーム進行に影響を与えずに表示画面10上から取り除くことができる。したがって、キャラクター画像C3やその他の演出の表示がインパクターAによって遮られず、キャラクターの動作等、表示画面10上の表示をより十分に楽しむことができる。また、キャラクター画像C3の形状およびサイズを、インパクターAに合わせる必要がなく、ゲームデザインの自由度が高まる。
【0043】
また、インパクターAが表示を遮らないので、画面全体を用いた特殊な演出、たとえば各キャラクターの画像を一時的にすべて消去して他の画像を表示する等の演出も行うことができる。さらに、表示画面10上にインパクターAを配置するための領域を準備する必要がないので、筐体をコンパクトにすることができる。
また、キャラクター画像C3の表示位置がインパクターAによって制限されないので、ゲーム装置100は、キャラクター画像C3をゲームの状況に合わせて様々に移動させることができる。これによって、キャラクターの初期位置についてはプレイヤーに決定権を与えつつ、その後の位置についてはゲームの状況に応じて様々に変更することができるので、ゲーム性が高まる。
【0044】
また、図8(b)に示すインパクターAを投げつける位置に応じて、図8(d)に示す効果範囲R1の位置が変化するので、プレイヤーはインパクターAを投げつける位置を選択することによってゲームの進行を左右することができ、ゲームの戦略性が高まる。また、狙った位置に的確に投げつける技術が要求されるので、ゲームのアクション性が高まる。
【0045】
なお、ゲームのルールおよび演出等は上記以外のものが追加されてよく、各キャラクター画像も上記以外の処理によって移動するものであってもよい。
【0046】
図9は、プレイヤーが図8の例よりも強い力でインパクターAを投げつけた場合の動作を表す。以下、図8の例と異なる部分を中心に説明する。
図9(a)は、図8(a)と同一の状態を示す。表示画面10には2つのキャラクターにそれぞれ対応するキャラクター画像C1およびC2が表示されている。
図9(b)は、図9(a)の状態においてプレイヤーがインパクターAを表示画面10の上方から投げつけた時点の表示内容である。図9の例では、プレイヤーは「強」に相当する強度でインパクターAを投げつけたものとする。図9(c)に示すようにキャラクター画像C3が表示される。
【0047】
次に、図9(d)に示すように効果範囲R2が表示される。この例では、インパクターAの衝撃の強度が「強」に相当するものであるため、「強」に対応する効果範囲R2が表示される。図9(d)の効果範囲R2は、図8(d)の効果範囲R1よりも広い。
ここで、キャラクター画像C1は効果範囲R2と一部重複しており、また、キャラクター画像C2は効果範囲R2に含まれてその全体が効果範囲R2と重複している。したがって、キャラクター画像C1およびC2はいずれも効果範囲R2に含まれると判定される。
【0048】
次に、効果範囲R2に含まれるキャラクター画像C1およびC2のそれぞれが弾き飛ばされる。この動作を図9(e)に示す。これは、たとえば、インパクターAの接触位置に近いものから順に、弾き飛ばす演出を個別に行うことによって実現される。すなわち、まず図8(e)と同様にして、攻撃側のキャラクター画像C3が影響を受けるキャラクター画像C2を弾き飛ばす演出を行い、次に、これと同様にして、攻撃側のキャラクター画像C3が影響を受けるキャラクター画像C1を弾き飛ばす演出を行う。
【0049】
以上のように、実施の形態1に係るゲーム装置100によれば、衝撃強度検出手段としてのマイク50がインパクターAの衝撃の強度を検出するので、制御装置70はこれに応じてゲームの進行を変化させることができ、ゲーム性が高まる。たとえば、プレイヤーはインパクターを投げつける力を調整することによって、攻撃すべき敵キャラクターの数を変更することができる。また、強く投げつけて多数の敵キャラクターを攻撃するか、または慎重に狙いをつけて確実に特定の敵キャラクターを攻撃するか等の選択を行うことができる。
【0050】
上述の実施の形態1では、マイク50が衝撃強度検出手段として機能する。変形例として、マイク50の代わりに圧力センサ等の圧力検出装置が設けられてもよく、この圧力検出装置が表示画面10に下向きに加わる圧力を測定することによって、衝撃強度検出手段として機能してもよい。この場合、カメラ60がインパクターの接触位置を検出すると、これに応じて、制御装置70は、圧力検出装置によって検出され送信される圧力データを受信し、インパクターが表示画面10に与えた衝撃の強度を判定することになる。
【0051】
また、実施の形態1では、カメラ60がインパクターAの接触位置の検出および識別情報の読み取りを行う。変形例として、カメラ60は画像を撮影してその画像データを出力するものであってもよい。この場合、出力された画像データを制御装置70が受け取り、画像処理を行ってインパクターAの接触位置を検出するとともにインパクターAの識別情報を読み取ってもよい。このような構成では、カメラ60および制御装置70が協働して接触位置検出手段および識別情報読取手段として機能することになる。
なお、実施の形態1ではカメラ60は表示画面10の下方に設けられるが、これは他の位置たとえば表示画面10の上方に設けられてもよい。
【0052】
また、実施の形態1では、カメラ60が接触位置検出手段として機能しており、インパクターAの接触位置はカメラ60が撮影した画像に基づいて検出される。変形例として、他の接触位置検出手段、たとえばタッチパネルが設けられてもよい。この場合、タッチパネルはガラス11に代えて、またはガラス11を含んで、液晶パネル12の上側に設けられ、インパクターAが接触することに応じてその接触位置を検出する。
【0053】
また、実施の形態1では、プレイヤーがインパクターAを取り除いた後に効果範囲R1またはR2が表示されるが、インパクターAを取り除くタイミングはこれと異なるものであってもよい。たとえば、ゲーム装置100は、効果範囲R1またはR2を表示した後、敵キャラクター画像を移動させる前にインパクターAを取り除くことを促してもよく、または、敵キャラクター画像を移動させた後にインパクターAを取り除くことを促してもよい。
【0054】
また、実施の形態1では、インパクターAのキャラクターを表すキャラクター画像C3は、表示された直後に自身が発生させた効果によって移動するが(図8(e))、変形例として、この時点ではキャラクター画像C3は移動しないものであってもよい。すなわち、キャラクター画像C3は出現した位置に固定されたまま敵キャラクターのみが弾き飛ばされて移動してもよい。なお、この場合でも、その後新たに出現した他のキャラクターの効果範囲に含まれた場合には、キャラクター画像C3は弾き飛ばされて移動してもよい。
【0055】
また、実施の形態1では、効果範囲R1またはR2に含まれる敵キャラクター画像のみが処理の対象となるが、効果範囲R1またはR2に含まれる味方キャラクター画像を処理の対象に含めてもよい。たとえば、効果範囲R1またはR2に含まれる味方キャラクターのキャラクター位置を移動させてもよく、あるいは、効果範囲R1またはR2に含まれる味方キャラクターに応じて効果の内容を異ならせてもよい。たとえば、味方キャラクターが含まれる場合には、敵キャラクターに対する影響の程度(たとえば攻撃によるダメージ量)をより大きくしてもよい。
【0056】
なお、実施の形態1では効果範囲R1およびR2が与える影響は敵キャラクターに対する攻撃であるが、これは敵キャラクターに所定のダメージ量を与える処理を伴ってもよい。または、敵キャラクターの特性を表す情報に所定の変化を与える処理を伴ってもよい。変形例として、敵キャラクターに対する攻撃以外の影響を与えてもよく、また味方キャラクターに対しても攻撃またはその他の影響を与えてもよい。
【0057】
また、効果範囲R1およびR2は、衝撃の強度だけでなく、キャラクターの識別情報に応じて異なってもよい。すなわち、あるキャラクターのインパクターをある力で投げつけた場合と、別のキャラクターのインパクターを同じ力で投げつけた場合とで、効果範囲が異なってもよい。この場合、インパクターを複数準備し、プレイヤーの戦略に応じてインパクターを選択させることで、ゲーム性を高めることができる。
【符号の説明】
【0058】
10 表示画面、41 赤外線LED(識別情報読取手段)、50 マイク(衝撃強度検出手段)、60 カメラ(接触位置検出手段、識別情報読取手段)、70 制御装置(キャラクター位置決定手段、キャラクター表示制御手段、効果範囲決定手段)、100 ゲーム装置、200 インパクター(記録媒体)、C1〜C3 キャラクター画像、R1,R2 効果範囲。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示画面と、
複数のキャラクターについて、各キャラクターを表す識別情報と、当該キャラクターを表すキャラクター画像とを記憶する識別情報記憶手段と、
前記識別情報が記録された記録媒体が前記表示画面に接触することに応じて、前記記録媒体の前記識別情報を読み取る、識別情報読取手段と、
前記記録媒体が前記表示画面に接触することに応じてその接触位置を検出する、接触位置検出手段と、
前記表示画面においてキャラクター画像が表示されるべきキャラクター位置を決定する、キャラクター位置決定手段と、
決定された前記キャラクター位置に、読み取られた前記識別情報に対応するキャラクター画像を表示させる、キャラクター表示制御手段と
を備え、
前記キャラクター位置決定手段は、前記キャラクター位置の初期位置を、前記接触位置に対応する位置とし、その後、前記記録媒体の位置に関わらず、ゲームの状況に応じて、前記キャラクター位置を前記初期位置から他の位置へと移動させる、ゲーム装置。
【請求項2】
前記ゲーム装置は衝撃強度検出手段をさらに備え、前記衝撃強度検出手段は、前記記録媒体が前記表示画面に接触することに応じてその衝撃の強度を検出する、請求項1に記載のゲーム装置。
【請求項3】
前記ゲーム装置は、前記接触位置および前記衝撃の強度に応じて、前記表示画面における効果範囲を決定する、効果範囲決定手段をさらに備え、
前記キャラクター位置決定手段は、前記効果範囲に他のキャラクター画像が含まれる場合、当該他のキャラクター画像のキャラクター位置を移動させる
請求項2に記載のゲーム装置。
【請求項4】
前記衝撃強度検出手段は、前記接触の際に発生した音量を測定することによって、または、前記接触の際に前記表示画面を介して伝達された圧力を測定することによって、前記衝撃の強度を検出する、請求項1〜3のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項5】
前記ゲームの状況は、読み取られた前記識別情報を含み、かつ、
前記ゲームの状況は、前記接触位置と、前記表示画面に表示された他のキャラクター画像との位置関係とを含む、請求項1〜4のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項6】
前記記録媒体は、前記識別情報が印刷されたシート状または板状の媒体である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のゲーム装置。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか一項に記載のゲーム装置と、1つまたは複数の前記記録媒体とを含む、ゲームシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−67526(P2011−67526A)
【公開日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−222807(P2009−222807)
【出願日】平成21年9月28日(2009.9.28)
【出願人】(500362763)株式会社AQインタラクティブ (5)
【Fターム(参考)】