説明

コイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法

【課題】金属帯のコイルの巻き戻しを行い、コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法において、オンラインでコイル先端部の矯正処理を行うことにより、生産性や作業効率を向上させる。
【解決手段】本発明に係るコイルオープニング装置10及びこれを用いたコイルの巻き戻し方法では、プレッシャーロール20を用いて、オープナ12により口出しされたコイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する。オープナ12は、コイル1の先端部1aの口出しの後、ペイオフリール11の回転によるコイル1の送り速度に同調して、ペイオフリール11から離反する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金属帯のコイルの巻き戻しを行い、コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コイル状に巻かれた鋼帯等の金属帯には巻き癖がついている。そのため、特別な処理を行わずにコイルを巻き戻しながらその後の処理ラインに供給する所謂スレッディング作業を行うと、巻き戻されたコイルの先端部がコイルオープナの上面、ピンチロール、搬送ローラ等に送られる際に、コイルの先端部の巻き癖が抵抗となり、スレッディング作業を円滑に行うことが困難となる。
【0003】
このような抵抗を取り除いて、スレッディング作業を容易にするために、従来は、オフラインに設置されたコイル先端部矯正装置(以下、「矯正装置」という。)を使用して、あるいは手動で、事前に(通常は、コイルをペイオフリールに装着する前に)コイル先端部の巻き癖を矯正する処理を行っていた(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−227628号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献1に記載されているように、事前にコイル先端部の矯正処理を行う場合には、コイルの巻き戻し(オープニング)を行う前に別途コイルの矯正処理が必要となるため、生産性や作業効率が低下する、という問題があった。
【0006】
また、コイルのオープニングを行うコイルオープニング装置に加え、別途矯正装置を設ける必要があるため、コストが増大するとともに、矯正装置を設けるスペースが必要となり、設備が巨大化する、という問題もあった。
【0007】
一方、コイル先端部矯正装置を使用せずに、手動によりコイル先端部の矯正処理を行う場合には、オペレータの熟練を要し、多大な労力と時間がかかるため、生産性や作業効率が矯正装置を使用する場合よりもさらに低下する、という問題があった。
【0008】
そこで、本発明は、このような問題に鑑みてなされたもので、金属帯のコイルの巻き戻しを行い、コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法において、オンラインでコイル先端部の矯正処理を行うことにより、生産性や作業効率を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、巻き戻された金属帯の腰折れを防止するために使用されるプレッシャーロールを用いて、オープナにより口出しされたコイルの先端部の巻き癖を矯正することにより、オンラインでコイル先端部の矯正処理を行うことができることを見出し、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1) 金属帯のコイルの巻き戻しを行い、前記コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルオープニング装置であって、回転可能に設けられ、外周部に前記コイルが装着されるペイオフリールと、前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられ、前記ペイオフリールに装着された前記コイルの先端部の口出しを行うオープナと、互いに離隔して前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられ、巻き戻し中の前記コイルの外周面を押さえる少なくとも第1及び第2のスナバロールと、前記第1及び第2のスナバロールと離隔して前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられ、前記ペイオフリールに装着された前記コイルの外周面の鉛直方向の最高位置よりも前記ピンチロール側を押さえるプレッシャーロールと、を備え、前記プレッシャーロールを用いて、前記オープナにより口出しされた前記コイルの先端部の巻き癖を矯正し、前記オープナは、前記コイル先端部の口出しの後、前記ペイオフリールの回転による前記コイルの送り速度に同調して、前記ペイオフリールから離反することを特徴とする、コイルオープニング装置。
(2) 前記ピンチロールの手前に設置され、前記コイルの前記ピンチロールへの誘導をガイドする板状のガイド部材をさらに備え、前記オープナの上面部は、オープナの前記ペイオフリール側の先端部に連設された直線状の直線部と、前記直線部に連設された円弧状のR形状部とからなり、前記オープナが、前記コイル先端部の巻き癖が矯正される矯正位置にある場合に、前記直線部と前記ガイド部材の上面とが略一直線状に位置することを特徴とする、(1)に記載のコイルオープニング装置。
(3) 前記プレッシャーロールの位置を検出するプレッシャーロール位置検出部をさらに備えることを特徴とする、(1)または(2)に記載のコイルオープニング装置。
(4) 前記巻き癖の矯正時における前記オープナの前記ペイオフリール側の先端部から前記コイルの外周面に引いた接線からの前記プレッシャーロールの押し込み量は、前記接線の長さの10〜25%であることを特徴とする、(1)〜(3)のいずれかに記載のコイルオープニング装置。
(5) 金属帯のコイルの巻き戻しを行い、前記コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルの巻き戻し方法であって、ペイオフリールに装着された金属帯のコイルの先端部の口出しを、前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられたオープナにより行い、前記オープナが、前記ペイオフリールの回転による前記コイルの送り速度に同調して前記ペイオフリールから離反し、前記コイル先端部の巻き癖を矯正する矯正位置まで移動して停止した後に、前記ペイオフリールに装着された前記コイルの外周面の鉛直方向の最高位置よりも前記ピンチロール側を押さえるプレッシャーロールを用いて、前記オープナにより口出しされた前記コイルの先端部の巻き癖を矯正することを特徴とする、コイルの巻き戻し方法。
(6) 前記プレッシャーロールは、第1のロールと、前記第1のロールの外周部に沿って移動可能に設けられた前記第1のロールよりも小径の第2のロールとからなり、前記コイルの先端部の巻き癖を矯正する際、前記第2のロールが前記第1のロールの外周部に沿って前記コイルに接触しない位置まで退避し、前記第1のロールにより前記コイルの先端部の巻き癖を矯正することを特徴とする、(5)に記載のコイルの巻き戻し方法。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、金属帯のコイルの巻き戻しを行い、コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法において、巻き戻された金属帯の腰折れを防止するために使用されるプレッシャーロールを用いて、オープナにより口出しされたコイルの先端部の巻き癖を矯正することにより、オンラインでコイル先端部の矯正処理を行うことが可能となる。これにより、冷延鋼板、熱延鋼板の連続処理ライン、酸洗ライン等の生産性や作業効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るコイルオープニング装置の構成を示す説明図である。
【図2】同実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置の動作を示す説明図である。
【図3】同実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置の動作を示す説明図である。
【図4】同実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置の動作を示す説明図である。
【図5】同実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置の動作を示す説明図である。
【図6】同実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置の動作を示す説明図である。
【図7】同実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置の動作を示す説明図である。
【図8】本発明に第2の実施形態に係るコイルオープニング装置による巻き癖矯正処理前の状態を示す説明図である。
【図9】同実施形態に係るワークロールの駆動機構の構成を示す説明図である。
【図10】同実施形態に係るコイルオープニング装置による巻き癖矯正処理中の状態を示す説明図である。
【図11】本発明の実施例における実験方法を示す説明図である。
【図12】本発明の実施例における実験結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0014】
[第1の実施形態]
(コイルオープニング装置の構成について)
まず、図1を参照しながら、本発明の第1の実施形態に係るコイルオープニング装置の構成について説明する。なお、図1は、本実施形態に係るコイルオープニング装置の構成を示す説明図である。
【0015】
本実施形態に係るコイルオープニング装置10は、金属帯のコイル1の巻き戻しを行い、コイル1の先端部1aをピンチロール2まで案内する装置である。具体的には、図1に示すように、コイルオープニング装置10は、ペイオフリール11と、オープナ12と、本実施形態に係る第1のスナバロールの一例としての横押さえロール15と、本実施形態に係る第2のスナバロールの一例としての上押さえロール18と、プレッシャーロール20と、本実施形態に係るガイド部材の一例としてのガイドテーブル27と、を主に備える。なお、本実施形態では、スナバロールが2つ(横押さえロール15と上押さえロール18)である例を示しているが、スナバロールの数は特に限定されず、3つ以上あってもよい。
【0016】
ペイオフリール11は、回転軸を中心として正逆方向に回転可能に設けられており、その外周部にコイル1が装着される。外周部にコイル1が装着された状態でペイオフリール11を回転させると、コイル1を巻き戻し、ピンチロール2までコイル1を送ることができる。
【0017】
オープナ12は、基台5上にヒンジ部13を中心として回動可能に設けられており、また、例えば、空圧式又は油圧式のシリンダ14のような移動機構を有している。シリンダ14は、シリンダ本体14aと、可動部14bとからなり、可動部14bの一端がシリンダ本体14a内に位置し、可動部14bの他端がヒンジ部14cにより回動可能にオープナ12に取り付けられている。また、シリンダ本体14aの可動部14bとは反対側の端部は、ヒンジ部14dにより基台5に回動可能に設置されている。このようなシリンダ14の可動部14bの伸縮動作、シリンダ本体14aのヒンジ部14dを軸とした回動、可動部14bのヒンジ部14cを軸とした回動等の動作により、オープナ12がヒンジ部13を中心として回動し、これにより、オープナ12(の先端部12a)がペイオフリール11に対し接近及び離反可能となっている。
【0018】
このような構成を有するオープナ12は、ペイオフリール11に装着されたコイル1の先端部1aの口出しを行う。また、本実施形態に係るコイルオープニング装置10では、コイル1の先端部1aの口出しの後、コイル1の先端部1aの巻き癖の矯正処理が行われるのであるが、オープナ12は、口出し後、ペイオフリール11の回転によるコイル1の送り速度に同調して、ペイオフリール11から離反するように、シリンダ14によりオープナ12を移動させてもよい。これにより、コイル1から巻き戻された金属帯とオープナ12との間の抵抗による板送り不良を防止することができる。
【0019】
また、オープナ12の形状は特に限定はされないが、例えば、オープナ12の上面部が、オープナ12のペイオフリール11側の先端部12aに連設された直線状の直線部12bと、直線部12bに連設された円弧状のR形状部12cとからなることが好ましい。これにより、後述するように、先端部の巻き癖矯正後のコイル1を、さらに円滑にピンチロール2まで案内することができる。
【0020】
横押さえロール15及び上押さえロール18は、互いに離隔して設けられており、ともに巻き戻し中のコイル1のばらけ防止のために、巻き戻し中のコイル1の外周面を押さえる部材である。
【0021】
横押さえロール15は、アーム16の先端部に設置されており、アーム16は、例えば、壁面6に設置された空圧式又は油圧式のシリンダ17により、ヒンジ部26を中心として回動可能となっている。シリンダ17は、シリンダ本体17aと、可動部17bとからなり、可動部17bの一端がシリンダ本体17a内に位置し、可動部17bの他端がヒンジ部17cにより回動可能にアーム16に取り付けられている。また、シリンダ本体17aの可動部17bとは反対側の端部は、ヒンジ部17dにより壁面6に回動可能に設置されている。このようなシリンダ17の可動部17bの伸縮動作、シリンダ本体17aのヒンジ部17dを軸とした回動、可動部17bのヒンジ部17cを軸とした回動等の動作により、アーム16がヒンジ部26を中心として回動し、これにより、横押さえロール15がペイオフリール11に対し接近及び離反可能となっている。
【0022】
また、横押さえロール15の押さえ位置は、例えば、コイル1の鉛直方向の最高位置(以下、「頂点位置」という。)を基準として時計回り方向の回転角が200度〜320度程度(コイル1の頂点位置の回転角を0度とする。)とするとよい。
【0023】
上押さえロール18は、アーム23の先端部寄りに連結されたアーム19の先端部に設置されている。アーム19は、図示してはいないが、例えば、壁面6に設置された空圧式又は油圧式のシリンダ(図示せず)により、アーム23の先端部寄りに設けられたヒンジ部25を中心として回動可能となっている。アーム19を回動動作させるシリンダの構造は、例えば、上述したシリンダ17と同様の構造とすることができる。このようなシリンダの動作により、アーム19がヒンジ部25を中心として回動し、これにより、上押さえロール18がペイオフリール11に対し接近及び離反可能となっている。
【0024】
なお、上押さえロール18は、プレッシャーロール20と連動して動作するようにしてもよく、あるいは、プレッシャーロール20とは独立した位置制御が可能なアクチュエータ等によりアーム19を操作し、プレッシャーロール20と独立して動作するようにしてもよい。
【0025】
また、上押さえロール18は、横押さえロール15よりもプレッシャーロール20側に設けられており、後述するように、コイル1の口出し時、プレッシャーロール20によるコイル1の巻き癖の矯正時、コイル1の巻き癖矯正後におけるピンチロール2への先端部1aの案内時等にコイル1の外周面を押さえる。このような用途に適したものとする観点から、上押さえロール18の押さえ位置は、例えば、コイル1の頂点位置を基準として時計回り方向の回転角が270度〜360度程度(コイル1の頂点位置の回転角を0度とする。)で、横押さえロール15と干渉しない位置とするとよい。
【0026】
また、詳しくは後述するように、上押さえロール18は、ペイオフリール11の回転によるコイル1の巻き戻し(口出し)開始と同時にコイル1の外周面から離反し、プレッシャーロール20によるコイル1の先端部1aの巻き癖の矯正が行われる際に、コイル1の外周面に接近するように動作することができる。
【0027】
プレッシャーロール20は、横押さえロール15及び上押さえロール18と離隔してペイオフリール11に対し接近及び離反可能に設けられ、ペイオフリール11に装着されたコイル1の外周面を押さえる。プレッシャーロール20の押さえ位置は、コイル1の径によっても異なるが、コイル1の頂点位置よりもピンチロール2側を押さえる。
【0028】
プレッシャーロール20は、以下の構成に限定されるわけではないが、例えば、バックアップロール22と、バックアップロール22の外周部に設けられてバックアップロール22よりも小径のワークロール21とからなり、バックアップロール22は、アーム23の先端部に設置されている。アーム23は、例えば、壁面6に設置された空圧式又は油圧式のシリンダ24により、ヒンジ部26を中心として回動可能となっている。シリンダ24は、シリンダ本体24aと、可動部24bとからなり、可動部24bの一端がシリンダ本体24a内に位置し、可動部24bの他端がヒンジ部24cにより回動可能にアーム23に取り付けられている。また、シリンダ本体24aの可動部24bとは反対側の端部は、ヒンジ部24dにより壁面6に回動可能に設置されている。このようなシリンダ24の可動部24bの伸縮動作、シリンダ本体24aのヒンジ部24dを軸とした回動、可動部24bのヒンジ部24cを軸とした回動等の動作により、アーム23がヒンジ部26を中心として回動し、これにより、プレッシャーロール20がペイオフリール11に対し接近及び離反可能となっている。
【0029】
ワークロール21は、主に、コイル1から巻き戻された金属帯の腰折れを防止するために用いられている。このような腰折れ防止用途としてワークロール21を用いる場合には、金属帯に歪を多く与えるために、ワークロール21の径を小さくする必要がある。
【0030】
本実施形態では、このような構成を有するプレッシャーロール20を用いて、オープナ12により口出しされたコイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する。具体的には、オープナ12によりコイル1の先端部1aが口出しされた後に、プレッシャーロール20がコイル1から巻き戻された金属帯の表面を押圧する(押し込む)ことにより、コイル1の内周側に湾曲している金属帯がコイル1の外周側に湾曲するような力を与える。これにより、コイル1の先端部1aの巻き癖をオンラインで矯正することができる。
【0031】
このプレッシャーロール20によるコイル1の先端部1aの巻き癖矯正処理におけるプレッシャーロール20の押し込み量は、少な過ぎると先端部1aの矯正が不十分となり、多過ぎると巻き癖と逆向きへの湾曲が大きくなってしまう。また、ストリップの板厚およびコイル1の外径によって適切な押込み量は変わるため、あらかじめ試験を行いコイル1の条件毎に適正な押し込み量を決定しておき、巻き戻すコイル1の条件に応じて設定すればよい。
【0032】
例えば、ストリップの板厚が4mm〜8mm、コイル1の外径が1000mm〜2200mm、巻き癖の矯正に使用するプレッシャーロール20のロール径が120mm〜300mmの場合には、プレッシャーロール20の押し込み量は、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正時におけるオープナ12の先端部12aからコイル1の外周面に引いた接線の長さの10〜25%(通常は75〜250mm程度)であることが好ましい。なお、本発明におけるプレッシャーロール20の押し込み量とは、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正時におけるオープナ12の先端部12aからコイル1の外周面に引いた接線からのプレッシャーロール20の押し込み方向のロール押し込み量のことを意味している。
【0033】
ここで、プレッシャーロール20の押し込み量をオープナ先端部12aからコイル1の外周面に引いた接線の長さの10〜25%としたのは、後述する実施例に示した本発明者が行った実験の結果に基づいている。また、プレッシャーロール20の押し込み量を上記接線の長さに対する割合で規定しているのは、プレッシャーロール20の押し込み量の実績値は、設備構成(例えば、オープナ12とペイオフリール11との距離等)で変わってくるためである。
【0034】
ここで、コイルオープニング装置10は、プレッシャーロール20の位置を検出する本実施形態に係るプレッシャーロール位置検出部の一例として、位置検出器を備えていてもよい。具体的には、本実施形態に係るプレッシャーロール20の位置検出器は、ヒンジ部26に取り付けられた回転位置検出器である。この位置検出器は、プレッシャーロール20の回転角を測定することにより、主に、コイル1の先端部の巻き癖矯正時や腰折れ防止用途への使用時におけるプレッシャーロール20の位置を検出する。さらに、コイルオープニング装置10は、プレッシャーロール20を任意の位置に設定可能なアクチュエータ等を備えていてもよい。このアクチュエータ等によりシリンダ24を制御することで、コイル1の径に応じてプレシャーロール20の位置を好適に制御できる。
【0035】
なお、本実施形態では、アーム16とアーム23とがヒンジ部26で連結されており、アーム16とアーム23のそれぞれが、独立した位置制御が可能なアクチュエータ等によりシリンダ17やシリンダ24の動作が制御される。これにより、横押さえロール15及びプレッシャーロール20は、独立してペイオフリール11に対する接近及び離反動作、コイル1外周面の押さえ動作を行うことができる。
【0036】
ガイドテーブル27は、ピンチロール2の手前に設置され、コイル1のピンチロール2への誘導をガイドする板状の部材である。また、オープナ12の上面部は、上述したように、直線部12bと、R形状部12cとからなるが、オープナ12がコイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する矯正位置にある場合に、オープナ12の直線部12bとガイドテーブル27の上面とが略一直線状に位置するように、ガイドテーブル27を配置することが好ましい。これにより、巻き癖矯正後のコイル1の先端部1aをより円滑にピンチロール2まで案内することが可能となる。
【0037】
ピンチロール2は、コイル1から巻き戻された金属帯を一定の圧力で押さえ、後工程の装置(例えば、切断シャー)の方向へ送られるように規制したり送り込んだりするロール状の部材である。本実施形態では、ピンチロール2は、上ピンチロール2Aと、下ピンチロール2Bとからなり、それぞれ、上ピンチロール昇降手段3A、下ピンチロール昇降手段3Bにより、鉛直方向に移動可能となっている。これにより、コイル1から巻き戻された金属帯の板厚に応じて、適切な圧力で金属帯を押さえることができる。
【0038】
(コイルの巻き戻し方法について)
以上、本実施形態に係るコイルオープニング装置10の構成について詳細に説明したが、続いて、図2〜図7を参照しながら、このような構成を有するコイルオープニング装置10を用いたコイルの巻き戻し方法(コイルオープニング装置10の動作)について詳細に説明する。図2〜図7は、本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法におけるコイルオープニング装置10の動作を示す説明図である。なお、図2〜図7では、説明の便宜のため、基台5、壁面6、シリンダ14、シリンダ17、シリンダ24については図示を省略してある。
【0039】
本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法は、金属帯のコイル1の巻き戻しを行い、コイル1の先端部1aをピンチロール2まで案内するコイルの巻き戻し方法であって、主に、以下の(1)〜(3)の3つの段階を含むものである。ただし、本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法は、以下の3つの段階に明確に分けられるものではなく、一連の動作により行われるものである。
(1)ペイオフリール11に装着された金属帯のコイル1の先端部1aの口出しを、ペイオフリール11に対し接近及び離反可能に設けられたオープナ12により行う。
(2)オープナ12が、ペイオフリール11の回転によるコイル1の送り速度に同調してペイオフリール11から離反し、コイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する矯正位置まで移動して停止する。
(3)その後、巻き戻し中のコイル1の外周面の鉛直方向の最高位置よりもピンチロール2側を押さえるプレッシャーロール20を用いて、オープナ12により口出しされたコイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する。
【0040】
以下、図2〜図7を順に参照しながら、本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法について詳細に説明する。
【0041】
まず、コイル1の口出し時には、図2に示すように、オープナ12の先端部12aがペイオフリール11に装着されたコイル1の外周面に接するように、オープナ12がペイオフリール11に接近するように移動する。このとき、横押さえロール15及び上押さえロール18は、図2に示すように、コイル1のばらけ防止のために、ペイオフリール11に装着されたコイル1の外周面を押さえている状態である。また、このときコイル1の最先端部は、上押さえロール18で押さえた位置とオープナ12の先端部12aが接している位置との間に位置している。次いで、この状態で、コイル1の口出しが行われる。すなわち、ペイオフリール11が図の矢印Pの方向(時計回り方向)に回転を始め、図の矢印Qに示すように、ピンチロール2の方向に向かってコイル1を送り出す。また、ペイオフリール11の回転によるコイル1の送り出し(口出し)開始と同時に、上押さえロール18は、図の矢印Rに示すように、ペイオフリール11から離反するように上昇を始める。この上押さえロール18の上昇は、コイル1から巻き戻されて巻き癖のついた金属帯の抵抗とならないようにし、かつ、スプリングバックによる跳ね上げを防止するため、コイル1の送り出しに同調させ、金属帯の通り道を作るようにして行われる。このような観点から、上押さえロールの上昇高さとしては、例えば、オープナ12の先端部12aよりも鉛直方向に200mm程度高い位置とする。このようにして、コイル1が口出しされる。
【0042】
コイル1の口出し後、オープナ12は、ペイオフリール11の回転によるコイル1の送り速度に同調して、図の矢印Sに示すように、ペイオフリール11から離反する(後退する)ように移動する。すなわち、コイル1の板送り速度とオープナ12の後退速度とを同調させる。これにより、コイル1から巻き戻された金属帯とオープナ12との間の抵抗による板送り不良を防止することができる。
【0043】
次に、図3に示すように、オープナ12が、コイル1の先端部1aの巻き癖の矯正処理が行われる矯正位置まで移動すると、ペイオフリール11の回転が止まり、プレッシャーロール20が、コイル1の先端部1aの巻き癖を矯正するために、図3の矢印Tに示すように下降を始める。このとき、上押さえロール18は、プレッシャーロール20の下降と同調して下降を始める。そして、プレッシャーロール20によるコイル1の先端部1aの巻き癖矯正時には、その際の板逃げを防止するために、コイル1の外周面を押さえる。
【0044】
なお、コイル1から巻き戻された先端部1aは、巻き癖矯正処理の前は、図3に示すように、コイル1の内周側に向かって湾曲した巻き癖を有している。
【0045】
次に、図4に示すように、プレッシャーロール20がコイル1の先端部1aに接触し、それに同調して、上押さえロール18がまだ巻き戻されていないコイル1の外周面を押さえている状態で、プレッシャーロール20が先端部1aを押圧することにより、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正処理がオンラインで実施される。これにより、コイル1の先端部1aには、図4に示すように、コイル1の外周側に向かって湾曲するような力が加えられ、図4に2点鎖線で示したコイル1の内周側に向かって湾曲した巻き癖が矯正される。
【0046】
このようにして、コイル1の先端部1aの巻き癖の矯正処理がされた後に、プレッシャーロール20は、図4の矢印Rに示すように、再び上昇を始める。
【0047】
次に、横押さえロール15及び上押さえロール18がコイル1の解け防止のためにコイル1の外周面を押さえている状態で、ペイオフリール11が、図5の矢印Pに示す方向(図5では時計回り方向)に再び回転を始め、先端部1aの巻き癖が矯正されたコイル1の巻き戻しが再開される。コイル1は、ペイオフリール11の回転に応じて、図の矢印Qの方向に向かって巻き戻され、コイル1の先端部1aは、図の矢印Uに示すように、ピンチロール2に向かって案内される。
【0048】
このとき、本実施形態においては、図5に1点鎖線Lで示したように、オープナ12上面の直線部12bとガイドテーブル27の上面とが略一直線状に位置した状態となっている。これにより、巻き癖矯正後のコイル1の先端部1aを、より円滑にピンチロール2まで案内することが可能となる。
【0049】
次に、図6に示すように、コイル1の先端部1aが、ピンチロール2まで案内され、ピンチロール2に噛み込まれた状態となると、ペイオフリール11は回転を停止し、アーム23が図6の矢印Rに示す方向に回動することにより、上押さえロール18がコイル1の外周面から離反するように上昇を始める。同時に、オープナ12も図6の矢印Sに示すようにペイオフリール11から離反するように回動を始める。なお、本実施形態では、上押さえロール18の上昇がアーム23の回動のみにより行われているが、より確実にコイル1の外周面から退避させるために、アーム23のみならず、アーム19が図6の矢印Vに示す方向に回動するようにしてもよい。
【0050】
次に、図7に示すように、上押さえアーム18、プレッシャーロール20及びオープナ12が、次のコイル1の口出し、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正等の処理に備えて待機する待機位置まで移動すると、図示してはいないが、その後は、ペイオフリール11が再び回転を始め、ピンチロール2によりガイドされながら、コイル1が完全に巻き戻される。
【0051】
以上のようにして、本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法によれば、プレッシャーロール20を用いて、コイル1の先端部1aの巻き癖の矯正処理をオンラインで行うことができる。
【0052】
(第1の実施形態における巻き癖矯正の際に懸念される点)
ところで、上述したように、プレッシャーロール20は、本来、コイル1から巻き戻された金属帯の腰折れを防止するために用いられている。このような観点から、バックアップロール22は、上述したように、通常は、ピンチロール2とコイル1との間に張力を張った状態でワークロール21から垂直に力を受ける方向に配置されている。
【0053】
一方で、コイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する目的でプレッシャーロール20を使用した場合には、コイル1の先端部1aはピンチロール2に噛み込んでいないため、プレッシャーロール20に受けた力の方向がバックアップロール22方向と異なる。そのため、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正時には、ワークロール21が受けた力をバックアップロール22が吸収することができず、ワークロール21の強度に対して過大な押し付け力がワークロール21にかかることにより、ワークロール21の径によっては、ワークロール21が変形してしまうおそれがある、ということが本発明者のさらなる検討により判明した。
【0054】
そこで、以下に説明する第2の実施形態に係るコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法では、プレッシャーロール20を腰折れ防止用途で使用する場合には、ロール径の小さなワークロール21を使用し、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正用途で使用する場合には、ワークロール21をバックアップロール22の周囲に沿って回転させて退避させることにより、ロール径の大きなバックアップロール22を使用することとしている。
【0055】
[第2の実施形態]
(コイルオープニング装置の構成について)
以下、図8〜図10を参照しながら、本発明の第2の実施形態に係るコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法について詳細に説明する。図8は、本実施形態に係るコイルオープニング装置による巻き癖矯正処理前の状態を示す説明図である。図9は、本実施形態に係るワークロールの駆動機構の構成を示す説明図である。図10は、本実施形態に係るコイルオープニング装置による巻き癖矯正処理中の状態を示す説明図である。なお、以下の説明では、上述した第1の実施形態に係るコイルオープニング装置及びコイルの巻き戻し方法と同様の点については、詳細な説明を省略する。
【0056】
上述したように、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正にワークロール21を使用すると、ワークロール21の径によっては、ワークロール21が変形してしまうおそれがある。そこで、本実施形態に係るコイルオープニング装置10−2においては、コイル1の先端部1aの巻き癖矯正時には、図8の矢印Wに示すように、ワークロール21をバックアップロール22の外周部に沿って回転させ、コイル1に接触しない位置(以下、「退避位置」という。)まで退避させることにより、ロール径の大きなバックアップロール22を使用して巻き癖矯正を行っている。
【0057】
ここで、図9を参照しながら、ワークロール21の駆動機構の構成について説明する。図9に示すように、本実施形態に係るワークロール21の駆動機構は、ロール支持部材31と、ロール支持部材31に連結されたシリンダ32と、位置決めストッパ37と、を主に有する。
【0058】
ロール支持部材31は、バックアップロール22に対してワークロール21が回転移動可能となるように、ワークロール21及びバックアップロール22を支持する。このロール支持部材31は、一端がヒンジ部36によりシリンダ32と連結され、他端が通常の状態(コイル1の先端部1aの巻き癖矯正処理を行っていない状態)でストッパ37と接触している。
【0059】
シリンダ32は、シリンダヘッド33と、ピストン34とからなり、ピストン34は、シリンダヘッド33に対して伸縮可能となっている。また、シリンダヘッド33には、ヒンジ部35が設けられており、このヒンジ部35を中心として、シリンダ32全体が図9の矢印W’方向及びその逆方向に回動可能となっている。このシリンダ32のヒンジ部35を軸とした回動動作及びピストン34の伸縮動作等により、シリンダ32とヒンジ部36で回動可能に連結されたロール支持部材31がバックアップロール22の外周部に沿って回動する。その結果、ロール支持部材31に支持されたワークロール21がバックアップロール22の外周部に沿って回動し、ワークロール21を退避位置まで移動させることができる。また、ワークロール21を退避位置から図の矢印W’とは逆の方向に回動させると、ワークロール21が通常の状態における位置(以下、「通常位置」という。)まで到達した時点で、ワークロール21を支持するロール支持部材31がストッパ37と接触することにより、ワークロール21の回動が制止される。
【0060】
(コイルの巻き戻し方法について)
続いて、以上のような構成を有する本実施形態に係るコイルオープニング装置10−2を用いたコイルの巻き戻し方法(コイルオープニング装置10−2の動作)について詳細に説明する。
【0061】
本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法では、上述した第1の実施形態の場合と異なり、コイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する際、ワークロール21がバックアップロール22の外周部に沿ってペイオフリール11に装着されたコイル1の外周面に接触しない位置まで退避し、バックアップロール22によりコイル1の先端部1aの巻き癖を矯正する。
【0062】
具体的には、上述した図3の状態から、プレッシャーロール20が、コイル1の先端部1aの巻き癖を矯正するために、図3の矢印Tに示すように下降を始め、図4に示すように、プレッシャーロール20のワークロール21がコイル1の先端部1aに接触する前に、図8に示すように、ワークロール21がバックアップロール22の外周部に沿ってコイル1の外周面に接触しない位置まで退避する。さらに、図10に示すように、バックアップロール22をコイル1の先端部1aの外周面に接触させ、バックアップロール22により先端部1aの巻き癖を矯正する。
【0063】
このような本実施形態に係るコイルの巻き戻し方法によれば、小径のワークロール21を巻き癖矯正に使用することによるワークロール21の変形を防止するとともに、腰折れ防止とコイル先端部1aの矯正を同一のプレッシャーロール20を用いて行うことができる。従って、コイル1の先端部1aの巻き癖をコイル1の巻き戻しに先立って事前に行うことが不要となり、生産性や作業効率が向上するとともに、別途矯正装置を設けることによるコストも削減することができる。
【実施例】
【0064】
次に、図11及び図12を参照しながら、コイル先端部の巻き癖矯正の際のプレッシャーロールの押し込み量の好適な範囲を検討するために、本発明者が行った実験の詳細について説明する。図11は、本発明の実施例における実験方法を示す説明図である。図12は、本発明の実施例における実験結果を示すグラフである。
【0065】
本実験は、図11に示すようなコイルオープニング装置100を用いて行った。また、本実験では、プレッシャーロール20の2つのロールのうち、バックアップロール22を用いてコイル1の先端部1aの矯正を行った。先端矯正に用いたバックアップロール22の径r1は260mmであり、コイル1として巻き取られたストリップの板厚は6mmであった。
【0066】
以上のような条件でプレッシャーロール20によりコイル1の先端部1aの矯正を行い、外径の異なる4種類のコイルA〜Dに対して、矯正が不十分とならず、かつ、巻き癖と逆向きへの湾曲が大きくならないような適切なプレッシャーロール20の押し込み量を測定した。このときのコイル1の外径(コイル径)(mm)とプレッシャーロール20の押し込み量(mm)との関係を下記表1及び図12に示す。なお、表1には、オープナ12の先端部12aからコイル1の外周面に引いた接線の長さL、及び、プレッシャーロール20の水平線に対する角度θも同時に示してある。
【0067】
【表1】

【0068】
表1に示すように、各コイルA,B,C,Dにおけるプレッシャーロール20の押し込み量は、それぞれ、接線の長さLの約10%、17%、21%、12%となっていた。このことから、バックアップロール22を用いたコイル1の先端矯正においては、通常の条件では、プレッシャーロール20の押し込み量は接線の長さLの10〜25%(実績値としては、75〜250mm程度)が好適であることが示唆された。
【0069】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されないことは言うまでもない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0070】
例えば、上述した実施形態においては、プレッシャーロール20が小径のワークロール21と大径のバックアップロール22とからなる場合について説明したが、単一のロールであってもよい。
【0071】
また、上述した実施形態においては、オープナ12、横押さえロール15、上押さえロール18及びプレッシャーロール20の駆動機構として、空圧式又は油圧式のシリンダを例に挙げて説明したが、上記駆動機構としては、シリンダには限られない。
【符号の説明】
【0072】
1 コイル
1a コイル先端部
2 ピンチロール
2A 上ピンチロール
2B 下ピンチロール
5 基台
6 壁面
10 コイルオープニング装置
11 ペイオフリール
12 オープナ
12a オープナ先端部
12b 直線部
12c R形状部
13 (位置検出器付き)ヒンジ部
14 シリンダ
15 横押さえロール
17 シリンダ
18 上押さえロール
20 プレッシャーロール
21 ワークロール
22 バックアップロール
24 シリンダ
26 (位置検出器付き)ヒンジ部
27 ガイドテーブル


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属帯のコイルの巻き戻しを行い、前記コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルオープニング装置であって、
回転可能に設けられ、外周部に前記コイルが装着されるペイオフリールと、
前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられ、前記ペイオフリールに装着された前記コイルの先端部の口出しを行うオープナと、
互いに離隔して前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられ、巻き戻し中の前記コイルの外周面を押さえる少なくとも第1及び第2のスナバロールと、
前記第1及び第2のスナバロールと離隔して前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられ、前記ペイオフリールに装着された前記コイルの外周面の鉛直方向の最高位置よりも前記ピンチロール側を押さえるプレッシャーロールと、
を備え、
前記プレッシャーロールを用いて、前記オープナにより口出しされた前記コイルの先端部の巻き癖を矯正し、
前記オープナは、前記コイル先端部の口出しの後、前記ペイオフリールの回転による前記コイルの送り速度に同調して、前記ペイオフリールから離反することを特徴とする、コイルオープニング装置。
【請求項2】
前記ピンチロールの手前に設置され、前記コイルの前記ピンチロールへの誘導をガイドする板状のガイド部材をさらに備え、
前記オープナの上面部は、オープナの前記ペイオフリール側の先端部に連設された直線状の直線部と、前記直線部に連設された円弧状のR形状部とからなり、
前記オープナが、前記コイル先端部の巻き癖が矯正される矯正位置にある場合に、前記直線部と前記ガイド部材の上面とが略一直線状に位置することを特徴とする、請求項1に記載のコイルオープニング装置。
【請求項3】
前記プレッシャーロールの位置を検出するプレッシャーロール位置検出部をさらに備えることを特徴とする、請求項1または2に記載のコイルオープニング装置。
【請求項4】
前記巻き癖の矯正時における前記オープナの前記ペイオフリール側の先端部から前記コイルの外周面に引いた接線からの前記プレッシャーロールの押し込み量は、前記接線の長さの10〜25%であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のコイルオープニング装置。
【請求項5】
金属帯のコイルの巻き戻しを行い、前記コイルの先端部をピンチロールまで案内するコイルの巻き戻し方法であって、
ペイオフリールに装着された金属帯のコイルの先端部の口出しを、前記ペイオフリールに対し接近及び離反可能に設けられたオープナにより行い、
前記オープナが、前記ペイオフリールの回転による前記コイルの送り速度に同調して前記ペイオフリールから離反し、前記コイル先端部の巻き癖を矯正する矯正位置まで移動して停止した後に、
前記ペイオフリールに装着された前記コイルの外周面の鉛直方向の最高位置よりも前記ピンチロール側を押さえるプレッシャーロールを用いて、前記オープナにより口出しされた前記コイルの先端部の巻き癖を矯正することを特徴とする、コイルの巻き戻し方法。
【請求項6】
前記プレッシャーロールは、第1のロールと、前記第1のロールの外周部に沿って移動可能に設けられた前記第1のロールよりも小径の第2のロールとからなり、
前記コイルの先端部の巻き癖を矯正する際、前記第2のロールが前記第1のロールの外周部に沿って前記コイルに接触しない位置まで退避し、前記第1のロールにより前記コイルの先端部の巻き癖を矯正することを特徴とする、請求項5に記載のコイルの巻き戻し方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−56375(P2013−56375A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−286635(P2012−286635)
【出願日】平成24年12月28日(2012.12.28)
【分割の表示】特願2009−56938(P2009−56938)の分割
【原出願日】平成21年3月10日(2009.3.10)
【出願人】(000006655)新日鐵住金株式会社 (6,474)
【Fターム(参考)】