説明

コイル部品

【課題】特性インピーダンスのばらつきが抑制され、かつコアの形状が単純なコイル部品の提供。
【解決手段】巻芯部3と、巻芯部3の両端に接続される第一鍔部4及び第二鍔部5とを有するドラムコア2と、巻芯部3に巻回され、第一鍔部4に一端が継線され第二鍔部5に他端が継線される第一、第二導線8、9と、を備え、巻芯部3には、底面と、底面の軸方向一端側と接続される一端側斜面と、底面の軸方向他端側と接続される他端側斜面とから画成されて巻芯部3の表面から巻芯部3の軸芯に向かって凹む凹部である第一規制凹部32aと第二規制凹部34aが複数形成され、第一、第二導線8、9は、第一導線8が凹部において底面に配置されるように巻芯部3に巻回され、第二導線9が第一導線8に接するように凹部内において一端側斜面に配置されて第一導線8に沿うように巻芯部3に巻回されているコイル部品1を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイル部品に関し、特に導線が巻回される巻芯部の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、コイル部品の一例として、高速差動信号伝送に用いられるコモンモードフィルタが公知である。このコモンモードフィルタにおいては特性インピーダンスの値を所望の値にバラツキ無く調整することが求められている。特性インピーダンスはコイルの線間容量によって変化するため、例えばバイファイラ巻きした時は、コイル間距離(コイルを形成する巻線の隣り合う一ターンと他ターンとの間の距離)及び線間距離(コイルを形成する複数のワイヤ(芯線)間の距離)に依存してその特性が適宜ばらつき変化する。
【0003】
この特性のばらつきを抑制するために、例えば特許文献1に示されるように、巻芯部にワイヤの本数と対応した数の螺旋状の溝を形成し、この溝に各々のワイヤを配置することにより、コイル間距離及び線間距離を規制したコイル部品が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02−42705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、溝にワイヤを配置することにより、コイル間距離及び線間距離は正確に規制され、特性インピーダンスのばらつきは抑制される。しかし溝が形成されたコアの形状が複雑になり、また巻回されるコイルの形状が溝の形状により定められるため、微調整が困難であった。
【0006】
よって本発明は、特性インピーダンスのばらつきが抑制され、かつコアの形状が単純なコイル部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために本発明は、巻芯部と、巻芯部の軸方向一端側及び他端側にそれぞれ接続される一方の鍔部及び他方の鍔部とを有するドラムコアと、巻芯部に巻回され、一方の鍔部に一端が継線され他方の鍔部に他端が継線される複数の導線と、を備え、巻芯部には、底面と、底面の軸方向一端側と接続される一端側斜面と、底面の軸方向他端側と接続される他端側斜面とから画成されて巻芯部の表面から巻芯部の軸芯に向かって凹む凹部が複数形成され、複数の凹部は、一方の鍔部から他方の鍔部に向かって等間隔で整列する複数の第一規制凹部と、軸芯を挟んで複数の第一規制凹部と軸芯周りに180°反対の位置に配置され一方の鍔部から他方の鍔部に向かって等間隔で整列する複数の第二規制凹部と、を有し、第一規制凹部と第二規制凹部とは、同数個形成されると共に軸方向において交互になるように配置され、複数の導線は、一の導線が凹部において底面に配置されるように一方の鍔部から引き回され一方の鍔部に最も近接する第一規制凹部に掛止されて第二規制凹部と第一規制凹部とに相互に配置されるように軸方向他端側に向かって巻回され他方の鍔部に最も近接する第二規制凹部に掛止されると共に他方の鍔部に引き回され、他の導線が一の導線に接するように凹部内において一端側斜面若しくは他端側斜面のいずれかに配置されて一方の鍔部から他方の鍔部へ向けて一の導線に沿うように巻回されているコイル部品を提供する。
【0008】
この様な構成によると、複数の導線が複数の凹部に巻回されてコイルが形成されるため、コイル間の距離を複数の凹部の間隔により正確に規定することができる。また一の凹部に複数の導線が巻回されるが、一の凹部は斜面を備えた凹形状であるため、巻回時に導線を巻絞ることにより複数の導線は凹部の底面に落ち込み、接触した状態を採る。故に線間の距離を複数の導線が接触した状態で規定することができる。またドラムコアにおいて凹部を形成するには、ドラムコアを形成する金型に、凹部に対応した凸部を設ければよく、製造工程が過度に増えることはなく、容易に凹部を形成することができる。
【0009】
上記構成のコイル部品において、巻芯部は、軸方向と直交する断面が四角形になるように構成され、表面が四角形の四辺に対応する第一平面、第二平面、第三平面、第四平面から構成され、第一平面と第三平面とが互いに対向すると共に第二平面と第四平面とが互いに対向し、各々の平面が他の平面と交わる箇所に角部が形成され、複数の第一規制凹部は、第一平面と第二平面とが交わる箇所の角部に形成され、複数の第二規制凹部は、第三平面と第四平面とが交わる箇所の角部に形成されていることが好ましい。
【0010】
また複数の第一規制凹部は、第一平面と第四平面とが交わる箇所の角部に形成されると共に、第一平面において第二平面と交わる角部から第四平面と交わる角部まで一連に形成され、複数の第二規制凹部は、第三平面と第二平面とが交わる箇所の角部に形成されると共に、第三平面において第二平面と交わる角部から第四平面と交わる角部まで一連に形成されていることが好ましい。
【0011】
これらの様な構成によると、断面四角形の巻芯部において、四角形の四隅となる角に凹部が形成される。断面四角形の巻芯部においては、四隅の角に必ず導線が接触するため、この接触する角部のうち、少なくとも対角となる二つの角部に凹部を形成することにより確実に凹部内に導線を配置することができる。また凹部を単純な構成により形成することができるため、金型による成型品としてドラムコアを容易に成型することができる。
【0012】
また一端側斜面と他端側斜面とは、表面に対する角度がそれぞれ等しい角度になるように構成されていることが好ましい。
【0013】
この様な構成によると、どちらの斜面にも導線を巻回することができ、コイル部品に要求される性能に応じて一端側斜面と他端側斜面とのいずれにも導線を巻回することができる。
【0014】
他の導線は、他端側斜面に配置されていてもよい。この様な構成によると、他端側斜面は導線が巻回されて行く方向を遮るように構成されているため、この遮る斜面に導線を巻回することにより、導線を確実に巻締めながら巻回することができ、巻解け難くなる。
【0015】
また他の導線は、一端側斜面に配置されていてもよい。この様な構成によると、導線が巻回されていく方向を前方と仮定した際に、一の凹部内において、他の導線の前側に一の導線が配置される。この状態で他の導線を巻締めることにより他の導線が前側へと(凹部内の底方向へと)移動するため、他の導線が底に位置する一の導線に確実に接触することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明のコイル部品によれば、コイル間距離、線間距離が正確に規定されるため、特性インピーダンスのばらつきが抑制される。またドラムコアの形状を単純化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係るコイル部品の平面図。
【図2】本発明の実施の形態に係るコイル部品のドラムコアに係る平面図。
【図3】本発明の実施の形態に係るコイル部品のドラムコアに係る側面図。
【図4】本発明の実施の形態に係るコイル部品の正面図。
【図5】本発明の実施の形態に係るコイル部品の側面図。
【図6】本発明の実施の形態に係るコイル部品の変形例の平面図。
【図7】本発明の実施の形態に係るコイル部品の変形例のドラムコアに係る(a)第一側面側側面図、(b)第二側面側側面図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態に係るコイル部品について、図1から図6に基づき説明する。図1に示されるコイル部品1は、高速差動信号伝送に用いられるコモンモードフィルタであり、ドラムコア2と、第一電極6、第二電極7と、第一導線8、第二導線9とを主に備え、第一導線8、第二導線9がバイファイラ巻きされてコイルを形成して構成されている。
【0019】
ドラムコア2はフェライト等の磁性粉体が金型により成型された後に焼成されて製造されており、図2、図3に示されるように、巻芯部3と、巻芯部3の軸方向一端側及び他端側にそれぞれ接続される第一鍔部4及び第二鍔部5とから主に構成されている。
【0020】
巻芯部3は、表面3Aを有すると共に、図4に示されるように軸方向と直交する断面が略長方形になるように構成されている。表面3Aは、略長方形の四辺に対応する第一面、第二面、第三面、第四面に対応する上面31、第一側面32、下面33、第二側面34から構成されており、上面31と下面33とが互いに対向して略長方形の長辺を成し、第一側面32と第二側面34とが互いに対向して略長方形の短辺を成している。またそれぞれの面が他の面と接続される部分には、略長方形の四隅の角に対応する角部が形成されている。
【0021】
また巻芯部3には、表面3Aから巻芯部3の軸芯に向かって凹む凹部が複数形成され、凹部は、図3に示されるように第一側面32において上面31と接続される角部から下面33と接続される角部に亘って一連に形成される溝状の複数の第一規制凹部32aと、図2、図4に示されるように第二側面34において上面31と接続される角部から下面33と接続される角部に亘って一連に形成される溝状の複数の第二規制凹部34aとから構成されている。
【0022】
第一規制凹部32aは、図2に示されるように、凹部形状の底を成す底面32Aと、底面32Aの軸方向一端側と表面3Aとに接続される一端側斜面32Bと、底面32Aの軸方向他端側と表面3Aとに接続される他端側斜面32Cとから画成されている。一端側斜面32Bと他端側斜面32Cとの、表面3Aに対する角度はそれぞれ等しくなるように構成されている。第二規制凹部34aも第一規制凹部32aと同じ構成を採る底面34Aと一端側斜面34Bと他端側斜面34Cとから画成されており、第二規制凹部34aにおいて一端側斜面34Bと他端側斜面34Cとの、表面3Aに対する角度はそれぞれ等しくなるように構成されている。
【0023】
複数の第一規制凹部32aは、巻芯部3の一端側である第一鍔部4側から他端側である第二鍔部5側に向かって等間隔に三個が整列して配置されている。複数の第二規制凹部34aは、巻芯部3の軸芯を挟んで複数の第一規制凹部32aと軸芯周りに180°反対の位置に配置され、第一鍔部4側から他端側である第二鍔部5側に向かって等間隔に三個が整列して配置されている。
【0024】
また複数の第一規制凹部32aと複数の第二規制凹部34aとは、第一鍔部4から第二鍔部5に向かう方向において、第一規制凹部32a、第二規制凹部34a、第一規制凹部32a・・・と交互になるように配置されており、隣り合う第一規制凹部32a間の間隔と、隣り合う第二規制凹部34a間の間隔とが同一になるように構成されている。また第一鍔部4から第一鍔部4に最も近接する第一規制凹部32aまでの距離と、第二鍔部5から第二鍔部5に最も近接する第二規制凹部34aまでの距離とは等しくなるように構成されている。よって巻芯部3は、図2の平面図に示されるように配置された状態で、平面と平行に180°回転しても同様の形状を採る対称形状に構成されている。
【0025】
第一鍔部4と第二鍔部5とは、それぞれ同形状を採るため、代表として第一鍔部4について説明する。第一鍔部4は、略立方体に成型され、立方体の一面で巻芯部3の一端に接続されると共に、巻芯部3の上面31と平行に形成された上面4Aと、上面4A及び巻芯部3の軸心と直交する端面4Bと、巻芯部3の下面33と平行に形成された下面4Cとを含んで構成されている。第二鍔部5も第一鍔部4と同様に、上面5Aと端面5Bと下面5Cとを含んで構成されている。第一鍔部4及び第二鍔部5は同形状を採るため、ドラムコア2は、図2の平面図に示されるように配置された状態で平面と平行に180°回転しても同様の形状を成す対称形状を採る。
【0026】
第一電極6と第二電極7とはそれぞれ同形状を採るため、代表として第一電極6について説明する。第一電極6は図5に示されるように、一対の電極6A、6Bがそれぞれ第一鍔部4において上面4A、端面4B、下面4Cに亘って一連に設けられて構成されており、これら一対の電極6A、6Bは、それぞれ銀ペーストを塗布して焼き付けた後にニッケル及びスズのメッキを施すことにより形成されている。第二電極7も第一電極6と同様に一対の電極7A、7Bから構成されている。第一電極6及び第二電極7においては、上面4A部分及び上面5A部分が第一導線8、第二導線9との継線箇所になり、下面4C部分及び下面5C部分が図示せぬ基板への実装箇所になる。
【0027】
第一導線8、第二導線9は、それぞれ芯線に絶縁被覆が施された被覆導線であり巻芯部3に巻回されてコイルを形成している。第一導線8、第二導線9において、芯線の径は約30μm、絶縁被覆の厚さは約13μmを採っており、その径が約56μmとなる様に構成されている。第一導線8の一端と他端とが第一電極6の電極6Aと第二電極7の電極7Aとにそれぞれ継線され、第二導線9の一端と他端とが第一電極6の電極6Bと第二電極7の電極7Bとにそれぞれ継線されて電気的に接続されている。
【0028】
第一導線8と第二導線9との巻芯部3への巻回構成としては、図1に示されるように、第一電極6の電極6Aと電極6Bとにそれぞれの端部を継線した状態で、この継線箇所から、第一導線8が第二導線9より常に第二鍔部5側に位置するように平行に引き出され、巻芯部3と第一鍔部4との接続部分において、第二側面34上に引き回される。その後に図5に示されるように、下面33に沿わされて第一側面32側に延出されて図1及び図5に示されるように第一鍔部4に最も近接する第一規制凹部32a内に配置され、上面31側に引き回される。その後に上面31から第二側面34側に延出されて図1に示されるように第一鍔部4に最も近接する第二規制凹部34a内に配置され、下面33側に引き回される。この構成を繰り返し、第一導線8と第二導線9とを第二鍔部5に最も近接する第二規制凹部34aに配置した後に巻芯部3と第二鍔部5との接続部分となる第一側面32から第二鍔部5の上面5Aに位置する第二電極7へと引き出し、電極7Aと電極7Bとにそれぞれ継線する。
【0029】
第一導線8及び第二導線9は、第一規制凹部32a内及び第二規制凹部34a内で第一導線8が底面32A、34A内に位置するように配置されるため、第二導線9は底面32A、34Aよりも第一鍔部4側に位置する一端側斜面32B、34B上に配置される。一端側斜面32B、34Bは、第一導線8及び第二導線9が巻回される方向である第一鍔部4から第二鍔部5に向かう方向において、表面3Aから底面32A、34Aに落ち込むように構成されている。よって第二導線9を一端側斜面32B、34B上に配置して巻締めながら巻回することにより、第二導線9は第二鍔部5側に移動して底面32A、34Aに落ち込み、底面32A、34Aに配置されている第一導線8と接触する。第一導線8及び第二導線9は厚さが13μmの絶縁被覆で覆われているため、第一導線8の芯線と第二導線9の芯線との間の線間距離L1(図5)を約26μm(13μm×2)の距離に規定することができる。
【0030】
上記構成のコイル部品1によると、第一導線8及び第二導線9が複数の第一規制凹部32aと複数の第二規制凹部34aとに巻回されてコイルが形成されるため、コイル間距離(コイルを形成する第一導線8及び第二導線9の隣り合う一ターンと他ターンとの間の距離)を複数の第一規制凹部32aと複数の第二規制凹部34aとの間隔L2(図5)により正確に規定することができる。また第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aにおいて、第一導線8が底面32A、34Aに配置されると共に第二導線9が一端側斜面32B、34Bに配置されることにより、第一導線8と第二導線9とは接触した状態を採る。故に第一導線8と第二導線9との間の距離を接触した状態で規定することができる。またドラムコア2において第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aを形成するには、ドラムコア2を形成する金型に、第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aに対応した凸部を設ければよく、製造工程が過度に増えることはなく、容易に第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aを形成することができる。
【0031】
また断面四角形の巻芯部3において、四角形の四隅に、第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aが形成されている。断面四角形の巻芯部3においては、四隅の角に必ず第一導線8と第二導線9とが接触するため、この接触する角部に第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aを形成することにより確実に第一規制凹部32a内及び第二規制凹部34a内に第一導線8と第二導線9とを配置することができる。また第一規制凹部32a及び第二規制凹部34aを単純な構成により形成することができるため、金型による成型品としてドラムコア2を容易に成型することができる。
【0032】
本発明によるコイル部品は上述の実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された範囲で種々の改良や変形が可能である。例えば、巻芯部3に第一導線8及び第二導線9を巻回する際に、第一電極6から第一導線8及び第二導線9を、第二導線9が第一導線8より常に第二鍔部5側に位置するように平行に引き出して巻回してもよい。この構成によれば、第一規制凹部32a内及び第二規制凹部34a内において、底面32A、34Aに配置される第一導線8より第二鍔部5側に位置する他端側斜面32C、34Cに第二導線9が配置される。他端側斜面32C、34Cは、第一導線8及び第二導線9が巻回される方向である第一鍔部4から第二鍔部5に向かう方向を遮るように配置されているため、他端側斜面32C、34Cに第二導線9を配置して巻締めながら第一導線8及び第二導線9を巻回する際に、確実に他端側斜面32C、34Cに第二導線9が掛け止められ、第一導線8及び第二導線9の巻崩れを抑制することができる。
【0033】
また変形例として、図6及び図7(a)(b)に示されるように、巻芯部3において、断面四角形の四隅にのみ凹部を形成してもよい。具体的には、第一側面32と上面31との角部に第一規制凹部132aを形成し、第一側面32と下面33との角部に第二規制凹部132bを形成する。また第二側面34と上面31との角部に第三規制凹部134aを形成し、第二側面34と下面33との角部に第四規制凹部134bを形成する。第一規制凹部132a及び第二規制凹部132bは、巻芯部3の軸方向において図1における第一規制凹部32aと同様の位置に配置され、第三規制凹部134a及び第四規制凹部134bは巻芯部3の軸方向において図1における第二規制凹部34aと同様の位置に配置されている。これら第一〜第四規制凹部132a〜134bは図1の第一規制凹部32a、第二規制凹部34aと同様に、巻芯部3の軸心に向かって凹み、かつ底面と一端側斜面と他端側斜面とを有している。
【0034】
上述のように断面が長方形の巻芯部3においては、第一導線8及び第二導線9が四隅の角に必ず当接するため、この四隅のみに凹部を形成したとしても、第一導線8と第二導線9とを接触させて線間距を規定することができ、またコイル間の距離を規定することができる。
【0035】
また必ずしも四隅に必要ではなく、少なくとも対角となる二隅(巻芯部3の軸芯を挟んで軸芯周りに180°反対となる位置)に凹部を形成しても巻回されてコイルを形成する複数の導線の線間距離及びコイル間距離を規定することができる。
【0036】
また巻芯部については断面が四角形に限らず、例えば円形であっても、巻芯部の軸芯を挟んで軸芯周りに180°反対となる位置にそれぞれ凹部を形成することにより、コイルを形成する複数の導線の線間距離及びコイル間距離を規定することができる。
【0037】
また本実施の形態では、第一導線8、第二導線9の巻芯部3への巻回開始位置となる巻芯部3と第一鍔部4との接合部分、及び巻回終了位置となる巻芯部3と第二鍔部5との接合部分には、凹部を形成していないが、これに限らず、この巻回開始位置、巻回終了位置となる部分にそれぞれ凹部を形成してもよい。また一端側斜面32B、34B、他端側斜面32C、34Cを表面3Aに対して等しい角度にしたが、これに限らず異なる角度にしてもよい。また本実施の形態及び変形例に係るコイル部品においては、第一鍔部と第二鍔部との間に、板状コアを架け渡す構成を採ってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1・・コイル部品 2・・ドラムコア 3・・巻芯部 3A・・表面 4・・第一鍔部
4A・・上面 4B・・端面 4C・・下面 5・・第二鍔部 5A・・上面
5B・・端面 5C・・下面 6・・第一電極 6A・・電極 6B・・電極
7・・第二電極 7A・・電極 7B・・電極 8・・第一導線 9・・第二導線
31・・上面 32・・第一側面 32A・・底面 32B・・一端側斜面
32C・・他端側斜面 32a・・第一規制凹部 33・・下面 34・・第二側面
34A・・底面 34B・・一端側斜面 34C・・他端側斜面
34a・・第二規制凹部 132a・・第一規制凹部 132b・・第二規制凹部
134a・・第三規制凹部 134b・・第四規制凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯部と、該巻芯部の軸方向一端側及び他端側にそれぞれ接続される一方の鍔部及び他方の鍔部とを有するドラムコアと、
該巻芯部に巻回され、該一方の鍔部に一端が継線され該他方の鍔部に他端が継線される複数の導線と、を備え、
該巻芯部には、底面と、該底面の該軸方向一端側と接続される一端側斜面と、該底面の該軸方向他端側と接続される他端側斜面とから画成されて該巻芯部の表面から該巻芯部の軸芯に向かって凹む凹部が複数形成され、
該複数の凹部は、該一方の鍔部から該他方の鍔部に向かって等間隔で整列する複数の第一規制凹部と、該軸芯を挟んで該複数の第一規制凹部と該軸芯周りに180°反対の位置に配置され該一方の鍔部から該他方の鍔部に向かって等間隔で整列する複数の第二規制凹部と、を有し、
該第一規制凹部と該第二規制凹部とは、同数個形成されると共に該軸方向において交互になるように配置され、
該複数の導線は、一の該導線が該凹部において該底面に配置されるように該一方の鍔部から引き回され該一方の鍔部に最も近接する該第一規制凹部に掛止されて該第二規制凹部と該第一規制凹部とに相互に配置されるように該軸方向他端側に向かって巻回され該他方の鍔部に最も近接する該第二規制凹部に掛止されると共に該他方の鍔部に引き回され、他の該導線が一の該導線に接するように該凹部内において該一端側斜面若しくは該他端側斜面のいずれかに配置されて該一方の鍔部から該他方の鍔部へ向けて一の該導線に沿うように巻回されていることを特徴とするコイル部品。
【請求項2】
該巻芯部は、該軸方向と直交する断面が四角形になるように構成され、該表面が該四角形の四辺に対応する第一平面、第二平面、第三平面、第四平面から構成され、該第一平面と該第三平面とが互いに対向すると共に該第二平面と該第四平面とが互いに対向し、各々の平面が他の平面と交わる箇所に角部が形成され、
該複数の第一規制凹部は、該第一平面と該第二平面とが交わる箇所の角部に形成され、
該複数の第二規制凹部は、該第三平面と該第四平面とが交わる箇所の角部に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコイル部品。
【請求項3】
該複数の第一規制凹部は、該第一平面と該第四平面とが交わる箇所の角部に形成されると共に、該第一平面において該第二平面と交わる該角部から該第四平面と交わる該角部まで一連に形成され、
該複数の第二規制凹部は、該第三平面と該第二平面とが交わる箇所の角部に形成されると共に、該第三平面において該第二平面と交わる該角部から該第四平面と交わる該角部まで一連に形成されていることを特徴とする請求項2に記載のコイル部品。
【請求項4】
該一端側斜面と該他端側斜面とは、該表面に対する角度がそれぞれ等しい角度になるように構成されていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一に記載のコイル部品。
【請求項5】
他の該導線は、該他端側斜面に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一に記載のコイル部品。
【請求項6】
他の該導線は、該一端側斜面に配置されていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一に記載のコイル部品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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