説明

コインセレクタ

【課題】
本発明の目的は、真正コイン検知用のコインセンサに不正にアクセスできず、小型であって、コイン処理速度が速く、さらに、キャンセルすべきコインを確実にキャンセルできるようにしたコインセレクタを提供することである。
【解決手段】
コインが移動するコイン通路に沿って形成した真偽判別手段の下流に配置したコインセンサからの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、前記真偽判別手段の下流のコイン通路にコインの移動方向変更手段を設け、前記移動方向変更手段の下流のコイン通路を前記移動方向変更手段が存する平面と異なる平面に配置したことを特徴とするコインセレクタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ等に使用されるコインの真偽を判別するコインセレクタに関する。
また、コインセレクタによって真正コインとして判別されたコインを検知するコインセンサに対する不正が出来ないようにしたコインセレクタに関する。
さらには、コインセンサに対する不正が出来ない小型かつ安価なコインセレクに関する。
さらに詳細には、キャンセルすべきコインがキャンセルされずに受け入れられることを防止できるコインセレクタに関する。
なお、本発明に係るコインセレクタは、パチスロの他、コイン式ゲーム機や自動販売機等に使用可能である。
本明細書において、コインとは、円盤形のメダルおよびトークン等の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、ガイドレールに沿って設けたコイン通路と、そのコイン通路に配置した真偽判別手段である直径選別手段を有し、ガイドレール上を転がってコイン通路を移動するコインが直径選別手段においてその直径を選別され、所定の直径を有するコインのみが直径選別手段を通過して、真正コインとして受け入れられるコインセレクタにおいて、この真正コインの受け入れを検知するため、コイン通路に複数の光電式のコインセンサを配置し、これらコインセンサからの信号処理に工夫をし、不正を防止するものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、投入口から投入したコインがコイン通路を転動する過程の選別部において、偽コインを選別し、選別部の下流に配置した通路切換部を切り換えることにより収納部とキャンセル通路に振り分けるようにし、さらに、選別部と切換部との間に通過検出部を配置し、かつ、切換部の下流に投入検出部を配置し、通過検出部にてコインを検知したときから所定時間の間に投入検出部から検知信号を受けた場合のみコインの検知信号を出力するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特許第3649728号(図1−図4、2頁―5頁)
【特許文献2】特開平5−282514(図2−4、2頁―4頁)
【0004】
近時、第1の従来技術のコインセレクタに対し、赤外線発光器を先端に取り付けた板状器具をゲーム機のコイン投入口から挿入し、前記発光器を適宜発光させてコインセンサに擬似的に検知信号を発信させることにより、恰も真正コインを検知したかのように誤判別させ、不正にコインを取得する不正が問題となっている。
第2の従来技術は、コインの通路がほぼ直角をなす位置に投入検知部が配置されているので、不正用器具の挿入がし難く不正に対するセキュリティは第1の従来技術よりも向上する。
しかし、第2の従来技術は、選別部、方向転換部及び投入検知部が直列に配置されているため大型化し、パチスロ機の所定の範囲に配置できない恐れがある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、真正コイン検知用のコインセンサに不正にアクセスできないようにしたコインセレクタを提供することである。
本発明の第2の目的は、コインセンサに不正にアクセスできないようにした小型のコインセレクタを提供することである。
本発明の第3の目的は、コインセンサに不正にアクセスできないようにし、かつ、コインの処理速度が速いコインセレクタを提供することである。
本発明の第4の目的は、キャンセルすべきコインをキャンセルできない可能性が高い場合、コインを確実にキャンセルできるコインセレクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明にかかるコインセレクタは以下のように構成される。
コインが移動するコイン通路に沿って形成した真偽判別手段の下流に配置したコインセンサからの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、前記真偽判別手段の下流のコイン通路にコインの移動方向変更手段を設け、前記移動方向変更手段の下流のコイン通路を前記移動方向変更手段が存する平面と異なる平面に配置したことを特徴とするコインセレクタである。
請求項2の発明は、請求項1のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更手段にコインキャンセル手段を配置したことを特徴とするコインセレクタである。
請求項3の発明は、請求項1又は2のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更手段の下流のコイン通路にコインセンサを配置したことを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1又は2のコインセレクタにおいて、前記平面は、水平線に対し傾斜していることを特徴とするコインセレクタである。
請求項5の発明は、請求項1又は2のコインセレクタにおいて、前記真偽判別手段と前記移動方向変更手段との間にタイミングセンサを配置したことを特徴とするコインセレクタである。
請求項6の発明は、請求項1又は2のコインセレクタにおいて、移動方向変更手段の下流に引き戻し防止手段を設けたことを特徴とするコインセレクタである。
請求項7の発明は、請求項1又は2のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更手段のコイン通路と前記コイン検知通路とがオフセット案内手段によって接続されていることを特徴とするコインセレクタである。
請求項8の発明は、請求項7のコインセレクタにおいて、前記オフセット案内手段は、前記第1平面に対し傾斜する傾斜案内面を含むことを特徴とするコインセレクタである。
請求項9の発明は、請求項7のコインセレクタにおいて、前記オフセット案内手段は、前記真偽判別部のコインガイドレールの延長上の待機位置及びコイン検知通路側に向かって下向きに傾斜する案内位置にコインの重量により移動可能な案内体であることを特徴とする。
請求項10の発明は、請求項9のコインセレクタにおいて、前記案内体は前記コイン検知通路の反対側においてピボット軸回りにピボット運動可能であり、前記オフセット案内手段の上方のコイン通路に進退し、かつ、前記案内体のコイン検知通路側から前記ピボット軸側へ傾斜する傾斜案内縁を有するキャンセル体と、前記キャンセル体の上流であって、かつ、キャンセル体の反対側のコイン通路の側面を画定する側面案内体を有することを特徴とする。
請求項11の発明は、請求項9のコインセレクタにおいて、前記コインセンサは、複数のセンサから構成され、前記複数のセンサは異なる検知方式のセンサであることを特徴とする。
請求項12の発明は、請求項9のコインセレクタにおいて、前記コインセンサの下流にコイン通過時以外はコイン検知通路を閉じるシャッタ手段を配置したことを特徴とする。
請求項13の発明は、請求項12のコインセレクタにおいて、前記シャッタ手段は、自己モーメントによりコイン通路の閉止位置に保持されることを特徴とする。
請求項14の発明は、請求項10のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更部案内体は前記キャンセル体と一体的に移動し、前記キャンセル体から離れる方向に移動可能であり、かつ、前記キャンセル体側へ所定のモーメントで付勢されていることを特徴とする。
請求項15の発明は、請求項14のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更部案内体は倒立L形であって、水平部の先端部が前記キャンセル体から上方に伸びるステーの上端に回動可能に取り付けられ、前記移動方向変更部案内体の垂立する案内部の下端が前記キャンセル体から離れる方向に回動可能であり、自重により前記キャンセル体側へ付勢されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この構成において、コインはコイン通路を転がり、真偽判別手段に達する。
真偽判別手段において、偽貨は排除され、真正コインのみが下流に存する移動方向変更手段において移動方向を転換される。
真正コインは移動方向変更手段において転動抵抗が増加するため転動速度が減速される。
移動方向変更手段を通過した真正コインは、移動方向変更手段と異なる平面に位置するコイン通路へ案内される。
換言すれば、真正コインは移動方向変更手段のコイン通路に対しオフセットしているコイン検知通路へ案内される。
よって、真正コインは三次元的にコイン通路からコイン検知通路へ移動する。
コイン検知通路を移動する真正コインは、コイン検知通路に配置されたコインセンサによって検知される。
この検知信号を真正コイン受け入れ信号とする。
移動方向変更手段の下流のオフセットしているコイン通路に配置されたコインセンサに不正を行う場合、挿入した不正用器具の可撓性を利用してコイン通路から移動方向変更手段を通過させ、さらに、オフセットしているコイン検知通路へ進行させ、コインセンサに相対させねばならない。
換言すると、不正用器具は三次元的に曲げられる。
三次元的に曲げられた不正用器具の基部を操作して、先端の発光部をコインセンサに対しアクセス可能位置に移動させることは極めて困難である。
よって、真正コイン検知のためのコインセンサに不正をすることは実質的に不可能であり、不正を防止できる利点がある。
請求項2の発明において、真正コインの受入をキャンセルするキャンセル手段が、移動方向変更手段に設けられる。
よって、一つの部位に移動方向変更手段とキャンセル手段の二つの装置が配置されるので、装置を小型化できる利点がある。
請求項3の発明において、移動方向変更手段の下流のコイン検知通路にコインセンサが配置される。
コイン通路からコイン検知通路へのコインが転動する通路は三次元的に屈曲されている。
よって、不正用器具も三次元的に屈曲されるので、コインセンサにアクセス可能に挿入することは極めて困難であるので、不正用器具を用いた不正を防止することができる利点がある。
請求項4の発明において、コイン通路は水平線に対し傾斜しているので、コインの一面は傾斜の下側の面に案内されつつ移動する。
よって、コインの移動姿勢が安定し、真偽判別の精度が高まる利点がある。
請求項5の発明において、前記真偽判別手段と前記移動方向変更手段との間にタイミングセンサが配置されているので、タイミングセンサとコインセンサとの間の発生タイミングを判別することにより、異常を判別できる利点がある。
請求項6の発明において、移動方向変更手段の下流に引き戻し防止手段が配置されているので、糸つりによるコインの引き戻しを防止できる利点がある。
請求項7の発明において、移動方向変更手段のコイン通路とコイン検知通路とがオフセット案内手段によって接続されているので、コインはコイン通路に対してオフセットしているコイン検知通路へスムーズに移動することができる。
よって、コインの選別を従来と同様の速度で行うことが出来る利点がある。
請求項8の発明において、オフセット案内手段が第1平面に対し傾斜する傾斜案内面によって構成されているので、簡単な構成であり、安価に製造できる利点を有する。
請求項9の発明において、前記オフセット案内手段は案内体であり、コインが案内体上に乗っていない場合、当該案内体は真偽判別部のコインガイドレールの延長上に位置している。
正コインが案内体上に乗った場合、当該案内体はコイン重量によりコイン検知通路側に向かって下向きに傾斜する。
よって、正コインは案内体の傾斜に沿って落下し、コイン検知通路へ落下し、検知される。
正コインを受け入れない場合、キャンセル体によってコインが逸らされ、案内体はコインによって案内位置に移動されない。
よって、正コインはコイン検知通路へは案内されない。
案内体はコインの重量によって傾斜する案内位置へ移動され、通常は自己モーメントにより待機位置に移動される。
よって、案内体は駆動源を必要としないから安価に構成することができる。
また、コインは案内体の傾斜によりコイン検知通路へ案内されるので、コインはスムーズにコイン検知通路へ案内される。
請求項10の発明において、キャンセル体がコイン通路に位置している場合、正コインはキャンセル体のキャンセル縁によって案内体のピボット軸側へ移動されてコイン通路から逸らされ、コイン検知通路へは案内されない。
さらに、コインがコイン検知通路へ案内される場合、コインは案内体の上方において側方に位置する移動方向変更部案内体によって側面を案内される。
よって、コインが案内体上で不安定になった場合であっても、コインは移動方向変更部案内体によって案内されるので、案内体上から落下することはなく、コイン検知通路へ確実に案内される利点がある。
正コインを受け入れない場合、コインはキャンセル体によって案内体のピボット軸側へ逸らされる。
よって、案内体はコインが上に乗っても案内体にコイン検知通路側へ下向きに傾斜するモーメントが発生しないので、ウエイトにより案内体を構成できるので、安価に構成できる。
請求項11の発明において、コインセンサは、複数の異なる検知方式のセンサから構成されている。
不正を行う場合、種類の異なるセンサに対して誤検知させる対応をしなければならず、不正されにくい利点がある。
請求項12の発明において、コインセンサの下流にコイン通過時以外はコイン検知通路を閉じるシャッタ手段が配置されている。
換言すれば、シャッタ手段によりセンサの下流のコイン検知通路は閉止されている。
コインセレクタの出口から不正用器具を挿入しょうとしても、シャッタ手段により阻止されるので、コインセンサに不正を作用することはできない利点がある。
請求項13の発明において、前記シャッタ手段は、自己モーメントによりコイン通路の閉止位置に保持される。
よってシャッタ手段は自己モーメントによりコイン検知通路を閉止し、コインが通過するときはコインによって移動されるので、コインの転動に対し何等支障を生じることがない。
また、シャッタ手段の駆動装置を設けずとも良いので、安価に構成できる利点がある。
請求項14の発明において、前記移動方向変更部案内体は前記キャンセル体と一体的に移動し、前記キャンセル体から離れる方向に移動可能であり、かつ、前記キャンセル体側へ所定のモーメントで付勢されている。
これにより、キャンセル体と移動方向変更部案内体とは、通常、所定の力で所定の距離関係に所定のモーメントで保持される。
複数のコインがキャンセル体と移動方向変更部案内体との間に挟まれた場合、コインの圧力が所定値を超えた場合、移動方向変更部案内体はキャンセル体から離れる方向に移動される。
これにより、コインはキャンセル体によってコイン通路から逸らされ、キャンセルされることができる。
よって、複数のコインがキャンセル体と移動方向変更部案内体との間に挟まれ、動かなくなることがない利点を有する。
請求項15の発明において、前記移動方向変更部案内体は倒立L形であって、水平部の先端部が前記キャンセル体から上方に伸びるステーの上端に回動可能に取り付けられ、前記移動方向変更部案内体の垂立する案内部の下端が前記キャンセル体から離れる方向に回動可能であり、自重により前記キャンセル体側へ付勢されている。
移動方向変更部案内体が倒立L形であるので、移動方向変更部案内体の自重によるモーメントによって、所定の力でキャンセル体に近づけられる。
よって、前記のように複数のコインがキャンセル体と移動方向変更部案内体との間に挟まれた場合、コインの圧力が所定値を超えた場合、移動方向変更部案内体はキャンセル体から離れる方向に移動される。
これにより、コインはキャンセル体によってコイン通路から逸らされ、キャンセルされることができる。
よって、複数のコインがキャンセル体と移動方向変更部案内体との間に挟まれ、動かなくなることがない利点を有する。
さらに、移動方向変更部案内体の自重によるモーメントによって、所定の力でキャンセル体に付勢されるので、錘やスプリングを用いることがないので安価に構成できる利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の最良の形態は、コインが移動するコイン通路に沿って形成した真偽判別手段の下流に配置したコインセンサからの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、前記真偽判別手段の下流のコイン通路にコインの移動方向を下方に変更する移動方向変更手段を設け、前記移動方向変更手段の下流のコイン検知通路を前記移動方向変更手段が存する平面と異なる平面に配置し、前記平面は水平線に対し傾斜し、前記コイン通路に前記コインセンサを配置し、前記移動方向変更手段にコインキャンセル手段を配置し、前記真偽判別手段と前記移動方向変更手段との間にタイミングセンサを配置したことを特徴とするコインセレクタである。
【実施例1】
【0009】
図1は実施例1のコインセレクタの概略斜視図である。
図2は実施例1のコインセレクタの正面概略図である。
図3は図2におけるB―B線断面図である。
図4は実施例1のコインセレクタの作用説明図である。
図5は実施例1の作用説明用のタイミングチャートである。
【0010】
図1において、コインセレクタ100は、板状の本体102、本体102の下部に位置するガイドレール104、コイン通路106、ガイドレール104の中間に配置された真偽判別手段108である直径選別手段110、移動方向変更手段112、移動方向変更手段112の下流に位置するコイン検知通路114、コイン検知通路114を画定する第2本体138(図3、4)及び、コイン検知通路114に配置されたコインセンサ116を含んでいる。
【0011】
まず、本体102を説明する。
本体102は、コインCの一面を案内する機能を有する。
よって、本体102は同様の機能を有するものに変更されることができる。
実施例1の本体102は、平板形であって、図3に示すように垂直線に対し時計方向に約15度傾斜した状態で取り付けられている。
本体102の材料は、金属、樹脂等、コインCに対する耐摩耗性を有している材料により一体成形等により製造することができる。
【0012】
次にガイドレール104を説明する。
ガイドレール104は、本体102及び第2本体138に案内されるコインCの周面を支え、転動するコインCを支持する機能を有する。
本実施例のガイドレール104は、本体102及び第2本体138の下端に取り付けられ、コインCの厚みとほぼ同一の幅を有し、所定の角度、例えば約20度で前下がり(図2において右下がり)に傾斜し、かつ直線状をしている。
【0013】
次にコイン通路106を説明する。
コイン通路106は、投入口118に投入されたコインCが移動する通路である。
本実施例において、コイン通路106は、本体102とガイドレール104によって画定され、図1及び2に示すように右曲がりのL形をしている。
コイン通路106は、投入口118から垂直に下降する垂直部122、弧状部124及び右下がりに傾斜する傾斜部126を含んでいる。
垂直部122における本体102は、ほぼ垂立している。
傾斜部126は、本体102が水平線に対し約75度傾斜しているので、同様に約75度傾斜している。
よって、コインCはガイドレール104及び本体102に案内されつつ垂直部122を垂直に落下した後、弧状部124において右方向に方向転換されつつ本体102にその一面がもたれた後、コインCはガイドレール104上を転がって傾斜部126を移動する。
コインCがコイン通路106においてジャムした場合、ジャムしたコインCを返却できるよう、コインCは図示しない押出体によりガイドレール104から落下される。
【0014】
次に真偽判別手段108を説明する。
真偽判別手段108は、投入されたコインCの真偽を判別し、偽コインを排除する機能を有する。
本実施例における真偽判別手段108は、直径選別手段110であり、傾斜部126に配置されている。
直径選別手段110は、ガイドレール104に対しその上端縁127が所定の距離を有するよう本体102に形成された矩形の開口128である。
傾斜部126において、その下周面がガイドレール104に支えられ、かつ、下面が本体102に支えられつつ転動する小径コインは、その上端縁が上縁127よりも下方に位置する。
よって、小径コインの上端縁が本体102に案内されないため、開口128内に倒れ込み、ガイドレール104から落下し、直径選別手段110を通過することができない。
換言すれば、直径が所定値よりも小さい小径コインSCが用いられる場合、直径選別手段110において小径コインSCの下端がガイドレール104から外れて落下し、選別される。
落下した小径コインSCは、図示しない通路を通って返却口(図示せず)に返却される。
なお、コインCが許容コインよりも大きい場合、投入口118においてストップされることにより選別される。
したがって、直径が所定値のコインCのみ、換言すれば、真正コインCのみが直径選別手段110を通過することができる。
【0015】
次に移動方向変更手段112を説明する。
移動方向変更手段112は、傾斜部126を移動してきたコインCを傾斜部126の延長線上から逸らせる機能を有する。
「延長線上から逸らせる」とは、実施例1のように下方向に方向変更する場合、コイン通路106に対し右方向(図1において紙面の下方)若しくはコイン通路106に対し左方向(図1において紙面の上方向)に変更する場合を含む。
実施例1において、移動方向変更手段112は傾斜部126のガイドレール104を転動してきた真正コインCの移動方向を下方に変更する。
実施例1の移動方向変更手段112は、少なくとも本体102及び傾斜部126の延長線を横断するように配置された弧状の変更ガイド132を含んでいる。
よって、傾斜部126及び移動方向変更手段112のコイン通路106は、図3に示すように、水平線に対し約75度傾斜している第1平面134内に位置している。
本体102によって一面を案内されつつ傾斜部126のガイドレール104上を転動してきたコインCは、変更ガイド132によって急激に移動方向を下方に変更される。
詳述すれば、本体102によってコインCの面が約15度傾斜した状態を保ちつつ、約20度傾斜のガイドレール104上を転動してきたコインCは、コインCの進行方向に対し約110度方向変更され、第1平面134において、下方に移動方向が変更される。
よって、傾斜部126を移動してきた真正コインCは変更ガイド132によって滑らかに下向きに移動方向を変更される。
変更ガイド132は、コインCとの摩擦接触によってコインCの移動速度を僅かに減速する減速機能も有する。
変更ガイド132に相対するコイン通路106の反本体102側には移動方向変更手段開口135が形成され、コインCが移動方向変更手段開口135を介して落下できるようになっている(図4参照)。
【0016】
次にコイン検知通路114を説明する。
コイン検知通路114は、真偽判別手段108及び移動方向変更手段112を通過した真正コインCを案内する機能を有する。
コイン検知通路114は、コイン通路106に対しオフセット配置されている。
オフセット配置とは、コイン通路106が位置する第1平面134に対し、異なる第2平面136に位置することをいう。
実施例1において、コイン検知通路114は、本体102の下方に位置し、かつ、本体102対し平行に配置された第2本体138、及び、第2本体138にコインCの厚みを超え且つコイン厚みの二倍以下の間隔で配置された隔壁142によって構成されている。
換言すれば、コイン検知通路114が位置する第2平面136は、実施例1では第1平面134に対し平行であり、かつ、コインCの厚みないしコイン厚みの二倍以下の間隔でずれている。
なお、第2平面136は、第1平面134に対し平行でなくとも良いが、平行である場合、製造し易い利点がある。
真正コインCは、移動方向変更手段112からコイン検知通路114へオフセット案内手段144を経由して移動する。
よって、真正コインCは、オフセット案内手段144において、上から下に向かって案内されつつ横方向(図3において右方向)に移動するので三次元的に移動する。
【0017】
次に真正コインCを移動方向変更手段112からコイン検知通路114にスムーズに案内するためのオフセット案内手段144を説明する。
オフセット案内手段144は、隔壁142の上端に形成した第2本体138に対して約45度の角度で傾斜する傾斜案内面146を有する。
換言すれば、傾斜案内面146は第1平面134に対し約45度傾斜している。
傾斜案内面146の上端部は、外方に向かう弧状面148に形成されている。
よって、移動方向変更手段112において変更ガイド132によって案内されたコインCは、第1平面134内を下方に移動し、その下端周縁が傾斜案内面146に衝突する。
これにより、コインCの下端は第2本体138側へ向かう反力を受け、当該下端は第2本体138に向かって案内される。
よって、コインCはコイン検知通路114にスムーズに案内される。
コインCの姿勢が安定せず、コインCの下端が弧状面148側へずれた場合、外向きの弧状面148によって隔壁142の上側に案内され、コイン検知通路114へは案内されない。
なお、コインCが衝突する傾斜案内面146は、衝突による摩耗を防止するため、ステンレス板等の金属で覆うことが好ましい。
【0018】
次にコインセンサ116を説明する。
コインセンサ116は、コイン検知通路114を移動する真正コインCを検知し、検知信号を出力する機能を有する。
よってコインセンサ116は当該機能を有するセンサであれば、透過型若しくは反射型の光電センサ、磁気センサ、接触式センサ等使用することができる。
【0019】
次にタイミングセンサ152を説明する。
タイミングセンサ152は、真偽判別手段108を通過したコインCを検知し、検知信号を出力する機能を有する。
実施例1において、タイミングセンサ152は真偽判別手段108と移動方向変更手段112との間のコイン通路106に面して配置され、コインセンサ116同様、コイン通路106を移動するコインCを検知できればセンサのタイプは限定されない。
【0020】
次に判別装置154を説明する。
判別装置154は、少なくともコインセンサ116から検知信号を受け、真正コインCの通過信号PSを出力する機能を有する。
実施例1において、コインセンサ116とタイミングセンサ152は、判別装置154に接続されている。
判別装置154は、コインセンサ116とタイミングセンサ152からの検知信号の入力順及び信号間の発生タイミングに基づいてそれら信号の真偽を判別し、正常な場合、通過信号PSを出力し、異常な場合、異常信号ESを出力する。
すなわち、コインセンサ116及びタイミングセンサ152から検知信号を受信した場合であっても、それら信号間の出力順又は出力間隔が異常な場合、異常と判別する。
具体的には、図5に示すように、タイミングセンサ152の検知信号DS1が出力された後、所定時間T1経過後の所定時間T2の間にコインセンサ116からの検知信号DS2が出力された場合、通過信号PSを出力する。
コインセンサ116の検知信号DS2の次にタイミングセンサ152の検知信号DS1が出力された場合、タイミングセンサ152の検知信号DS1が出力され所定時間T1後から所定時間T2経過の間にコインセンサ116から検知信号DS2が出力されない場合若しくは所定時間T1終了前にコインセンサ116から検知信号DS2が出力された場合、異常と判別して異常信号ESを出力する。
【0021】
次にコインキャンセル手段162を説明する。
コインキャンセル手段162は、真正コインCをコインセンサ116に検知させない場合に使用される。
換言すれば、コインセレクタ100の下流の装置が真正コインCを受入可能状態に無い場合、真正コインCがコインセンサ116に達する前に排除する機能を有する。
実施例1においては、移動方向変更手段112のコイン通路106にコインCの面を押す、逸らせ体164をソレノイド166によって突出させる。
すなわち、タイミングセンサ152でコインCを検知した後、所定時間後にソレノイド166を励磁して逸らせ体164をコイン通路166に突入させ、コインCの側面を押すことにより、コインCを移動方向変更手段開口135から押出し、コイン通路106から排除する。
【0022】
次に引き戻し防止手段172を説明する。
引き戻し防止手段172は、コインCに糸を接続してコイン通路106とコイン検知通路114とを往復移動させ、不正にコインセンサ116に検知させることより行う不正を防止する機能を有する。
本実施例において、引き戻し防止手段172はコイン検知通路114のコインセンサ116の上流側に配置されている。
引き戻し防止手段172は、阻止体174を含んでいる。
阻止体174は、支軸145にピボット運動可能に取り付けられた板であり、図示しない付勢手段により図3において反時計方向に付勢されている。
阻止体174の先端は第2本体138に回動を阻止され、コインCの移動方向に対し鈍角に交差するように停止される。
これにより、コインCがコイン検知通路114を図3において上から下へ移動する場合、阻止体174は、コインCによって押動されるので、コインCは阻止体174を押しのけて通過可能である。
コインCが通過した後、阻止体174は付勢手段(図示せず)の付勢力により元に戻され、、先端が第2本体138に接した状態において待機状態になる。
阻止体174を通過したコインCに接続した糸を引き上げた場合、阻止体174はコインCによって押し上げられ、さらに大きな力で第2本体138に押し付けられるので、コインCは阻止体174によって移動を規制され、引き上げられることができない。
よって、引き戻し防止手段172を用いることによって、糸吊りによる不正を防止できる。
なお、引き戻し防止手段172は、必要に応じ配置しないことができる。
【0023】
次に本コインセレクタ100の作用を図4をも参照しつつ説明する。
コインCは投入口118から投入され、ガイドレール104に沿って垂直部122を垂直に落下した後、弧状部124において図2において右方へ転動方向を変更された後、傾斜部126においてガイドレール104上を自重によって所定の速度で転動する。
小径コインCSは、直径選別手段110において前述のように選別され、真正コインCのみが移動方向変更手段112へ達する。
この転動途中でコインCはタイミングセンサ152によって検知される。
コインCは、移動方向変更手段112において変更ガイド132によって強制的に下方へ移動方向を変更される。
換言すれば、コインCは変更ガイド132に案内されて傾斜部126に対し下方へほぼ110度移動方向を変更される。
移動方向変更手段112において下方に移動するコインCの下端周面は傾斜案内面146に衝突し、その傾斜による反力により第2本体138側へ向かって案内される。
これにより、コインCは第1平面134に対しオフセットしている第2平面136に位置するコイン検知通路114に案内される。
コイン検知通路114に案内されたコインCは、コイン検知通路114を移動して出口143から下流の処理装置に供給される。
コイン検知通路114を移動するコインCは、コインセンサ116によって検知される。
よって、判別装置154は、タイミングセンサ152からの検知信号DS1から所定時間T1経過後、所定時間T2の間にコインセンサ114から検知信号DS2を受信した場合、通過信号PSを出力する。
【0024】
真正コインCが連続して投入された場合、コインCが隙間無く傾斜部126のガイドレール104上を転動し、移動方向変更手段112に達する。
移動方向変更手段112において、先頭のコインCが変更ガイド132によって減速されつつ下方へ方向転換され、かつ、傾斜案内面146に衝突することで先頭のコインCの移動速度が減速されるので、後続のコインCは先頭コインCの上端に乗り上げる。
これにより、後続のコインCはガイドレール104に案内されず、移動方向変更手段開口135を通ってコイン通路106から飛び出し、落下する。
換言すれば、コインCが隙間無くコイン検知通路114を転動することを防止できる。
よって、コインCが連なって移動方向変更手段112におけるコイン通路133を通過しないので、後述のように通過させるべきでないコインCを確実にコイン通路から排除できる利点がある。
すなわち、下流の装置が受入状態にない場合、タイミングセンサ152がコインCを検知し、移動方向変更手段112に丁度達する所定時間後にソレノイド166が所定時間励磁され、逸らせ体164が移動方向変更手段のコイン通路106に一瞬突入する。
これにより、図4に示すように、移動方向変更手段112においてコインCは側方からつつかれてコイン通路106から逸らされ、移動方向変更手段開口135から落下する。
よって、下流のコイン処理装置にコインCを供給することを確実に防止できる。
【0025】
可撓性を有する不正用器具を用いてカウントセンサ116に不正を行う場合、不正用器具の先端がタイミングセンサ152を経由してコインセンサ116に到達させる必要がある。
この場合、不正用器具は移動方向変更手段112において鋭角的に屈曲された後、オフセット案内手段144において伸長方向に対し横方向に屈曲された後、コイン検知通路114に配置されたコインセンサ116によって検知されるようにしなければならない。
よって、不正用器具をこのように屈曲させることは極めて困難である。
また、不正用器具をタイミングセンサ152からコインセンサ116に所定時間T1後であって、かつ、所定時間T2の間に移動させてコインセンサ116から検知信号DS2を出力させることは極めて困難である。
さらに、予めコインセンサ116とタイミングセンサ152に相対して発光体等のセンサに対するアクセス手段を取り付けた不正用器具を使用した場合、不正用器具を移動させる必要はないが、三次元的に曲がったコイン通路106及びコイン検知通路114において、曲がった不正用器具を操作してそれらコインセンサ116とタイミングセンサ152に対し各発光体をそれらコインセンサに対しアクセス可能に位置させることは極めて困難である。
【0026】
さらに、コインセンサ116に対する不正用器具とタイミングセンサ152に対する不正用器具とを別個に形成した場合、タイミングセンサ152に対してアクセス可能位置に不正用器具をもたらすことは比較的容易に行うことができる。
しかし、コインセンサ116に対するアクセス位置に不正用器具を位置させることは、不正用器具が三次元的に曲がっているため極めて困難である。
【0027】
したがって、本発明は不正用器具を使用してコインセレクタ100の真正コインCの通過検知のための信号を不正に出力させることを防止できる利点がある。
【実施例2】
【0028】
図6は、実施例2の図2と同様の断面図である。
【0029】
実施例2は、引き戻し防止手段172の阻止体174の上面を傾斜案内面146にしたものである。
図6に示すように、隔壁142の上端の直上に引き戻し防止手段172の阻止体174が、固定された支軸145にピボット運動可能、かつ、通常は自重により回動するよう取り付けられている。
通常、阻止体174は、隔壁142の上端によって回動を阻止され、第2本体138に対し約45度の角度をなしている。
阻止体174の第2本体138側の先端は、鋸歯形になっている。
通常、阻止体174は、自重によって図6において時計方向に回動し、隔壁142の上端によって受け止められ、静止している。
この静止状態において、阻止体174の先端が僅かにコイン検知通路114に突出している。
ストッパ176が第2本体138に固定されている。
ストッパ176は、コインCの通過の邪魔にならない位置に配置され、阻止体174がほぼ水平になった状態において阻止体174の先端に突き当たり、ストッパ176をその状態に保持する機能を有する。
糸吊りによる不正をした場合、コイン通路106とコイン検知通路114とはオフセットしていることから、コインCに接続した糸は必ず阻止体174の先端の鋸歯の凹部に位置する。
よって、吊り糸を介してコインCを引き上げた場合、コインCの上端によって阻止体174は図6において反時計方向に回動され、阻止体174の先端がストッパ176にストップされ、その状態を保つ。
よって、コインCをそれ以上引き上げることが出来ないので、糸吊りによる不正をすることができない利点がある。
【実施例3】
【0030】
図7は、本発明の実施例3のコインセレクタの正面図である。
図8は、本発明の実施例3のコインセレクタの背面図である。
図9は、本発明の実施例3のコインセレクタの分解斜視図である。
図10は、本発明の実施例3のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り外した状態の正面図である。
図11は、本発明の実施例3のコインセレクタの第3本体の背面図である。
図12は、図7におけるA―A断面図である。
図13は、図7におけるB―B断面図であって、(A)はコインの受入時、(B)はコインのキャンセル時である。
図14は、図7におけるC―C断面図である。
図15は、図7におけるD―D断面図である。
図16は、図7におけるE―E断面図である。
【0031】
実施例3のコインセレクタ300は、本体302、ガイドレール304、コイン通f路306、コイン通路306の中間に配置された真偽判別部308である直径選別手段310、移動方向変更手段312、移動方向変更手段312の下流に位置するコイン検知通路314、コイン検知通路314を画定する第2本体318及びコイン検知通路314に配置されたコインセンサ316、キャンセル手段318及びシャッタ手段320を含んでいる。
【0032】
まず、本体302を図7から図10を参照して説明する。
本体302は、コインセレクタ300を構成する部品が取り付けられ、及び、コインCの一面を案内する機能を有する。
本実施例の本体302は、錐立するガイド壁322、ガイド壁322の左右端部からそれぞれ直角に折り曲げられた左側壁324及び右側壁325を含み、ガイド壁322、左側壁324及び右側壁325によって垂立方向に伸びる凹溝328を形成する。
本体302の幅及び高さは、3.5インチであり、所謂デファクトスタンダードサイズである。
左側壁324及び右側壁236から突出する突起332をゲーム機の取付溝(図示せず)に掛止めすることにより、コインセレクタ300をゲーム機に取り付ける。
【0033】
次にガイドレール304を図7及び図11を参照して説明する。
ガイドレール304は、投入口334に投入されたコインCが転動し、所定の方向へ案内される機能を有する。
ガイドレール304は、本体322に回動自在に取り付けられた第3本体326のガイド壁322に対面するガイド面328から本体302のガイド壁322に向かってコインCの厚みよりも僅かに多く突出し、ほぼ垂立した上部レール304U及び図7において斜め右方へ湾曲する湾曲部304Cから構成される。
ガイドレール304は、耐摩耗性を有する材料により第3本体326と一体に成形することができるが、実施例3のように、表面に細長い金属板330を配置し、耐摩耗性を向上させることができる。
【0034】
次に第3本体326を図10及び図11を参照して説明する。
第3本体326は、コイン通路306の一面を画定し、かつ、ガイドレール304が設けられ、さらに、コイン通路306においてジャムしたコインCをキャンセルする機能を有する。
第3本体326は、ガイド壁322の上端部において横方向に突出する軸受336及び右側壁325からガイド壁322と平行に突出する第1軸338及び第2軸342に第3本体326に形成した第1軸穴344(図には表れない)、第2軸穴346に挿入されている。
第1軸338及び第2軸342は図10において左上がりに傾斜する同一軸線L1上に形成されている。
これにより第3本体326は、ガイド壁322に対し平行な位置及び下端部がガイド壁322から離れる所定角度位置の間を回動可能に取り付けられている。
第3本体326を本体302に装着する場合、第3本体326を本体302に対して左側壁324上端の傾斜縁331に沿って斜めに保持し、第1軸338を第1軸穴344に、第2軸342を第2軸孔346に挿入し、横方向(図9において右方向)にずらして各軸に装着した後、ガイド壁322に向けて回動させる。
これにより、第3本体326は、軸338と軸穴344に形成された嵌合部(図示せず)が嵌り合い、当該嵌合を解除することができない。
さらに、第3本体326は、ガイド壁322の背面に突出する円筒348内に配置されたスプリング(図示せず)により押されるプッシャ(図示せず)により第2軸穴346の側方の被動斜面350に軸回りのモーメントを受け、ガイド壁322に向かう所定力の付勢力を受ける。
第3本体326の中央には、コイン通路306に沿って弧状の落下開口352が形成されている。
また、第3本体326は、左側壁324側の下端部から横方向へ伸び、ガイド壁322の貫通孔351から突出する被動片353がガイド壁322側へ押されることにより、第1軸338及び第2軸342を支点に回動される(図9において時計方向)。
これにより、ガイドレール304の端面がガイド壁322からコインCの厚み以上離れ、かつ、ガイドレール304が下向きに傾斜するため、コイン通路306において転動出来なくなったコインCはガイドレール304から落下し、リジェクトされる。
【0035】
次にコイン通f路306を説明する。
コイン通路306は、投入口334に投入されたコインCがガイドレール304上を転動して移動方向変更手段312へ案内する機能を有する。
コイン通路306は、ガイド壁322の案内面354、ガイドレール304、第3本体326の案内面327及び直径選別体356によって画定された断面矩形であって、図7において右方へ湾曲する通路であり、第1平面内に位置する。
直径選別体356は、図9に示すように、位置決め孔362を第3本体326から突出する位置決めピン(図示せず)に嵌め合わせ、スクリュウ(図示せず)によって第3本体326に移動不能に固定されている。
第3本体326に相対してガイド壁322の上端部から凹溝328内へ向かって突出する取付台358が形成されている。
直径選別体356は、その案内面360がガイド壁322と平行な第3本体326の案内面328と同一の平面内に位置するよう、かつ、その案内縁364がガイドレール304と相似形に形成され、ガイドレール304と所定の間隔に設定されている。
換言すれば、真正コインCがガイドレール304上を転動する場合、真正コインCの上端部側面は直径選別体356の案内面360に案内され、小径の偽コインは、案内面360に案内されず、落下開口352から落下可能である。
なお、案内面354には、コインCの移動方向に伸びる複数の突条を形成し、コインCの移動抵抗を減少させることが好ましい。
もちろん、案内面328及び360に突条を形成することが出来る。
異なる直径のコインCが使用される場合、直径選別体356の案内縁364とガイドレール304との間の距離が異なる直径選別体356に交換される。
直径選別体356は、コインが擦ることから、金属板等耐摩耗性を有する材料で作ることが好ましい。
【0036】
次に直径選別手段310を説明する。
直径選別手段310は、コイン通路306を転動する小径の偽コインFCをリジェクトする機能を有する。
直径選別手段310は、逸らせ体372及び付勢手段374を含んでいる。
逸らせ体372は、上端の軸378の両端がガイド壁322の背面の上端部に設けた第3軸受376L及び第4軸受376Rに回転自在に取り付けられている(図8参照)。
逸らせ体372は、板状であって、ガイド壁322の弧状開口380を通って直径選別体356の案内縁364よりも僅かにガイドレール304に近いコイン通路306に進退可能であり、コイン通路306の曲率に合わせて湾曲している。
図7に示すように、逸らせ体372によって直径選別体356に近い小径偽コインSCの上端側面を横方向に押すことにより、偽小径コインSCを速やかにコイン通路306から排除することができる。
逸らせ体372の先端372T(図12参照)はコイン通路306に対し傾斜しているので、逸らせ体372がコイン通路306に位置する場合、投入口334から投入されたコインCは横方向に案内され、コイン通路306から押し出される力を受ける。
逸らせ体372のガイド壁322の裏面側には第1付勢体374としての第1錘382が取り付けられ、逸らせ体372は、軸378を支点に図12において所定の力で時計方向のモーメントを受ける。
これにより、通常、逸らせ体372は所定のモーメントでコイン通路306に突出している。
よって、真正コインCがガイドレール304に沿って転動した場合、その上端側面は直径選別体356の案内面360及び第3本体326の案内面328によって案内されるため、コイン通路306を移動する。
第1付勢体374は、逸らせ体372に付勢力を与えればよいので、錘に代えてスプリングを用いることができる。
しかし、錘を用いた場合、個々のバラツキが小さいため、品質の安定のため好ましい。
小径の偽コインSCがガイドレール304上を転動した場合、その上端側面は直径選別体356の案内面360に案内されないので、落下開口352へ倒され、ガイドレール304から落下させられ、リジェクト通路385を通ってリジェクトされる。
【0037】
次に移動方向変更手段312を説明する。
移動方向変更手段312は、コイン通路306の下流に配置され、かつ、コイン通路306に対し異なる方向にコインCの移動方向を変更する機能を有する。
本実施例3において、移動方向変更手段312によってコインCはコイン通路306に対しオフセット配置されているコイン検知通路314に案内される。
コイン検知通路314は後述するように、コイン通路306に対し後方(ガイド壁322の裏面側)にオフセットされ、さらに斜めに傾斜する第2平面内に位置している。
移動方向変更手段312は、案内体386を含んでいる。
案内体386は、細長矩形の板状であって、ガイドレール304の延長線上に配置され、図7において右下がりに傾斜し、さらに、前面側端部一端は軸受(図示せず)を介してピボット軸である支持軸392に回転自在に取り付けられている。
支持軸392は、ガイド壁322から横方向へ突出する第5軸受394及び右側壁325の近くから突出する第6軸受396に取り付けられている。
この支持軸392は、図13に示すように、平面視コイン通路306に対し鈍角をなしている。
案内体386の支持軸392の反対側に第2付勢体398である第2錘402が固定されている。
これにより、案内体386は図16において支持軸392回りに反時計回りのモーメントを受け、第2錘402の裏面が第2本体318に形成したストッパ397によって回転を阻止され、ガイドレール304の延長平面をなす待機位置SP1に保持される。
第2付勢体398もスプリング等他の付勢手段に変更できるが、個々のバラツキが少ないため、錘を用いることが好ましい。
案内体386の先端は、角形鋸歯404に形成され、待機位置SP1に位置する場合、ガイド壁322との距離は、真正コインCの厚みよりも小さく設定され、コインCが通過することができない。
コイン通路306を転動したコインCが案内体386上に載った場合、案内体386はコインCの重量によって図16において時計方向へ回動され、ガイド壁322に向かって下向きに傾斜する。
案内体386が傾斜した場合、その先端とガイド壁322との距離は真正コインCの厚みよりも大きく離れることができる。
これにより、コインCは案内体386上を滑り、コイン検知通路314に落下する。
このとき、コインCは案内体386に対し鈍角で衝突する。
よって、案内体386は下向きに傾斜することにより、コインCに対しつま先上がりを呈し、また、コインCの後端をガイド壁322側へスピンさせる。
これによって、後続のコインCが連なっていても、移動方向変更手段312においてジャムすることなく移動することができる。
【0038】
次にコイン検知通路314を図9及び10を参照して説明する。
コイン検知通路314は、移動方向変更手段312によって移動方向を変更された真正コインCを所定方向に案内し、さらに、当該コイン検知通路314を転動する真正コインが検知される機能を有する。
コイン検知通路314は、コイン通路306の下流に配置され、コイン通路306とは異なるほぼ垂立する平面に配置される。
コイン検知通路314はコイン通路306に対しガイド壁322側にオフセットしたほぼ垂立する第2平面内に配置される。
本実施例3において、さらに、図13に示すように、コイン検知通路314はコイン通路306に対し傾斜するほぼ垂立する平面内に配置されている。
移動方向変更手段312は、コイン検知通路314の上端部に配置されている。
コイン検知通路314は、検知通路ガイド壁410、検知通路ガイド壁410から横方向に突出する弧状の検知部ガイドレール412、及び第2本体318の内面413によって画定され、図9に示すように右側下方に向かって湾曲し、下流端は右側壁325に開口した縦長スリット形の出口414である。
検知通路ガイド壁410は、後述のコインセンサ316を通過するまで、コイン通路306に対して傾斜する平面内に位置し、後述のシャッタ手段320の直前においてコイン通路306のガイド壁と同一平面内に位置するよう形成してある。
なお、コイン検知通路314は、コイン通路306に対し傾斜させず、平行にすることもできる。
【0039】
次にコインセンサ316を図9及び10を参照して説明する。
コインセンサ316は、コイン検知通路314を転動する真正コインCを検知する機能を有する。
コインセンサ316は、透過式光電センサ、反射式光電センサ、磁気センサ、及び、接触センサ等使用することができ、複数配置することが好ましい。
検知信号の出力順等を判別することにより、出口414からの不正用器具挿入による不正を判別できるからである。
本実施例3において、コインセンサ316は、透過式光電センサ416及び磁気センサ418の異なる方式の複数のセンサにより構成されている。
異なる方式のセンサを用いた場合、不正を行うには異なるセンサに対応して誤検知を生じるよう行わねばならないため、不正を困難にする利点がある。
上流側に配置された透過式光電センサ416は、コイン検知通路314を挟んで投光部と受光部とが配置されている。
下流側に隣接配置された磁気センサ418は、コイン検知通路314を挟んでコイルが配置されている。
透過式光電センサ416及び磁気センサ418は、案内体386が糸吊りしたコインCによって引き上げられ、ガイドレール304の延長平面を形成する状態において進行が停止された場合、コインCの検知状態を維持する位置関係に配置されている。
【0040】
次にキャンセル手段318を図8及び13を参照して説明する。
キャンセル手段318は、真偽判別部308を通過した真正コインCをコイン検知通路314へ進行しないようキャンセルする機能を有する。
本実施例3においてキャンセル手段318は、キャンセル体422及び電磁アクチュエータ424を含んでいる。
キャンセル体422は、案内体386の上方のコイン通路306に適宜励磁される電磁アクチュエータ424であるロータリーソレノイド426の出力軸428に固定されている。
ロータリーソレノイド426が消磁されている場合、キャンセル体422が内蔵する磁石の反発力により図13(B)のように時計方向に回動される。
これにより、キャンセル体422に一体に形成された突起452がガイド壁322の裏面に当接してキャンセル体422の案内縁454がコイン通路306を横断するキャンセル位置CPに保持される。
よって、ガイドレール304上を転動してきたコインCは案内縁454によって横方向へ逸らされ、案内体386上から落下される。
このとき、案内体386上にコインCが乗るが、コインCは案内体386に乗る前から案内縁454によって案内体386の支持軸392側へ逸らされることにより、案内体386をそのモーメントに反して回動させることはなく、案内体386は待機位置SP1を保持する。
よって、コインCは案内体386上から落下し、キャンセル通路456を通ってキャンセルされる。
突起452に続いて移動方向変更部案内体458が形成されている。
移動方向変更部案内体458は、案内体386の上方のキャンセル体422に対しコイン通路306を挟んだ側方に配置される。
キャンセル体422が待機位置SP2に位置する場合、移動方向変更部案内体458はコイン通路306の側方に位置し、コインCが案内体386から落下しないよう案内する。
キャンセル体422がキャンセル位置CPに位置する場合、移動方向変更部案内体458はコイン通路306から離れ、案内体386上から落下するコインCを邪魔しない。
【0041】
次にシャッタ手段320を図7、9、14及び15を参照し説明する。
シャッタ手段320は、出口414からコイン検知通路314への不正用器具の挿入を阻止する機能を有する。
本実施例3のシャッタ手段320は、シャッタ体462を含んでいる。
シャッタ体462は、平面視クランク形(図15参照)の板状であって、コインセンサ316と出口414との間のコイン検知通路314に進退可能である。
シャッタ体462は、図14に示すように、第2本体318の表側に突出する第7軸受464及び第8軸受466に回転自在に取り付けられている。
第7軸受464は、下向きの円柱形であって、シャッタ体462の上端部に形成された軸穴472に挿入されている。
第8軸受466は、円錐形突起であって、シャッタ体462の下端部に形成された円錐形軸穴474に嵌め合わされている。
第8軸受468の円錐突起の円錐角度が円錐形軸穴474の円錐角度よりも小さく形成されているので、シャッタ体462の回転抵抗が少ない利点がある。
第7軸受464と第8軸受486の軸線は、図7に示すように、正面視コイン検知通路314の伸長方向に対し直角をなすよう配置されている。
よって、シャッタ体462は図7に示すように本体302に対し斜めに取り付けられ、軸線回りにモーメントを受ける。
シャッタ体462は、自己モーメントにより図15において反時計方向に回転するよう設定されている。
換言すれば、通常、シャッタ体462の先端462Tはコイン検知通路壁410側に回転し、コイン検知通路壁410に形成された受入溝468の底に所定の力で接している。
このとき、先端462Tはコイン検知通路314においてコインの移動方向の下流側に向かって傾斜している。
これにより、コインCがコイン検知通路314を転動する場合、シャッタ体462はコインCにより押されて図15において時計方向へ回動されるので、コインCは出口414へ移動することができる。
出口414から不正用器具を挿入した場合、シャッタ体462は図15において反時計方向へ押されるから、シャッタ体462によってそれ以上の進行を阻止される。
【0042】
次に実施例3の作用を説明する。
コインセレクタ300が装着されたゲーム機等がコインCの受入状態にない場合、ロータリーソレノイド426が消磁されているので、キャンセル体422が内蔵磁石の吸引により時計方向へ回動され、コイン通路306に進出したキャンセル位置CPに保持されている。
真正コインCを投入口334に投入した場合、コインCは案内面354、第3本体326及び直径選別体356によって両側面を案内されつつガイドレール304上を転動し、キャンセル体422に達する。
コインCは案内体386上に乗る前からコイン通路306を横断するキャンセル体422の案内縁454に案内されて案内体386の支持軸392側に逸らされ、キャンセル通路456へ落下する。
【0043】
次に、コインセレクタ300がコインCの受入状態にある場合を説明する。
換言すれば、図13(A)に示すように、ロータリーソレノイド426が励磁され、キャンセル体422がコイン通路306から退出している状態である。
まず、真正コインCが投入されたケースを説明する。
真正コインCは、ガイドレール304上を転動し、真偽判別部310に達する。
真偽判別部310である直径選別手段308において、コイン通路306を横断する逸らせ体372の先端372Tによって横方向へ逸らされる力を受ける。
しかし、真正コインCの上端部側面は直径選別体356の案内面360によって、下端部側面は第3本体326の案内面328によって案内されるので、コインCは真偽判別部310を落下することなく通過し、案内体386に達する。
案内体386は、その上に乗った真正コインCによって図9において支持軸392の時計回りにモーメントを受け、回動する。
よって、真正コインCは案内体386上を滑ってコイン通路306に対し横方向にオフセット配置されているコイン検知通路314に移動し、検知部ガイドレール412上を転動する。
検知部ガイドレール412上を転動するコインCは透過光を遮断するので光電センサ416は検知信号を出力し、直後に磁気センサ418も金属製のコインを検知して検知信号を出力する。
これら検知信号は、真正コインCのカウント等に用いられる。
さらに、真正コインCはシャッタ体462を押して図13において時計方向へ回動させてシャッタ手段320を通過し、出口414からゲーム機に取り込まれる。
【0044】
次に小径偽コインSCが投入された場合を説明する。
真偽判別部310において、小径偽コインSCの上端側面は直径選別体356によって案内されない。
よって、逸らせ体372の横方向からの押し力によって、小径偽コインCの上端部は落下開口352へ押し出されるので、コインCは側転してガイドレール304からリジェクト通路385へ落下し、リジェクトされる。
【0045】
次に大径偽コインが投入された場合を説明する。
大径偽コインは、取付部358の周縁とガイドレール304との間に挟まり、コイン通路306を転動できない。
この場合、被動片353を押動することにより、第3本体326を第1軸338及び第2軸342の回りに回動させる。
これにより、第3本体326のガイドレール304の端面と案内面354との間にはコインCの厚み以上の間隔が形成され、かつ、ガイドレール304の上面が下向きに傾斜するので、動けなくなったコインCが落下し、リジェクトされる。
【0046】
次に不正用器具を投入口334に挿入した場合を説明する。
不正用器具をコイン通路306に沿わして挿入した場合であっても、オフセット配置された異なる平面に位置するコイン検知通路314に進行させる必要がある。
しかし、オフセットされたコイン検知通路314へ狭い範囲で不正用器具を進行させることは困難であり、実質的に進行させることは出来ない。
よって、投入口334から挿入した不正用器具によってコインセンサ316に不正を行うことはできない。
また、真正コインCに紐を結びつけ、コインセンサ316をON、OFFさせようとしても、コインCを引き上げた場合、コインCは案内体386に係止され、案内体386を図16において反時計回りに回動させる。
これにより、案内体386はガイドレール304の延長上の平面位置まで回動可能である。
よって、光電センサ416及び磁気センサ418がOFFにならないので、コインCの糸吊りによっても不正を行うことが出来ない。
【0047】
次に不正用器具を出口414に挿入したケースを説明する。
不正用器具を出口414に挿入した場合、シャッタ体462は器具によって押され、先端がガイド壁を押圧する方向にのみ回動される。
よって、出口414に挿入した不正用器具によってコインセンサ316に不正を行うことはできない。
【実施例4】
【0048】
図17は、本発明の実施例4のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り外した状態の正面図である。
図18は、本発明の実施例4のコインセレクタの背面図である。
図19は、図17におけるF―F線断面図である。
図20は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体のコイン移動方向上流側上方からの斜視図である。
図21は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体のコイン移動方向下流側上方からの斜視図である。
図22は、図17におけるG―G線断面図である。
図23〜25は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体の作用説明図である。
【0049】
本実施例4は、実施例3に対しキャンセル体422及び移動方向変更部案内体458を変更したのみであるので、変更部のみを説明する。
まず、キャンセル体502を説明する。
本実施例4のキャンセル体502は、ロータリーソレノイド426の出力軸428が一端のボス孔504に挿入され、止めネジ(図示せず)により固定されている。
キャンセル体502は、ボス孔504側が一枚板状の基部505であり、中間から先端は上下関係に上キャンセル片502A及び下キャンセル片502UがコインCの直径よりも狭い間隔の所定の間隔で設けられている。
この間隔は、コインCの一面を確実に押すため、コインCの直径の三分の一程度が好ましい。
上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uは、コイン通路306に沿って案内体386の上方のコイン通路306に沿って所定の長さを有し、ガイド壁322に形成した上透孔506A、下透孔506Uからコイン通路306に進退自在に設けられている。
上キャンセル片502A及び下キャンセル片502UのコインCをガイドする上ガイド縁508A、下ガイド縁508Uは図20〜図22に示すように弧状に形成され、コイン通路306に突出した場合、コインCをキャンセル通路456へ緩やかな曲線で案内するよう形成される。
コインCをスムーズにキャンセル通路456へ案内するためである。
【0050】
本実施例4において、キャンセル体502はロータリーソレノイド426に内蔵される磁石の反発力に加え、ボスの周囲に配置された弦巻バネ510のスプリング力によっても図22において時計方向(コイン通路306への突出方向)に回動されるよう付勢される。
キャンセル体502のコイン通路306への移動速度を高めることにより、真正コインCを確実にキャンセルするためである。
本実施例4において、キャンセル体502はロータリーソレノイド426が励磁されることにより図22において反時計方向へ回動され、基部505の裏面に形成された第1係止部512がガイド壁322と一体に形成されたストッパ(図示せず)に係止され、移動方向変更部案内体522が後述のコイン通路306の一側に保持される。
ロータリーソレノイド426が消磁された場合、内蔵される磁石の反発力及びバネ510のスプリング力によって図22において時計方向に回動され、ボス部の側方に形成された係止部507がガイド壁322の裏面の図示しないストッパに係止されることにより、上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uがコイン通路306に突出したキャンセル位置CPに保持される(図25参照)。
【0051】
次に移動方向変更部案内体522を説明する。
移動方向変更部案内体522は、倒立L字体524の下向き垂立部である。
倒立L字体524の水平部526の端部に所定の間隔で形成した軸受528A、528Bが、基部505から垂立するステー532の上端に横向きに形成した軸534A、534Bに回動自在に嵌め合わされている。
倒立L字体524は、錘やスプリングを付加することなく自己モーメントを生じるので、樹脂成形若しくは樹脂を加工して作成し、所定の付勢力を得ることが好ましい。
軸受528Aからステー532の正面側へ延びる案内位置係止片536が突出している。
この案内位置係止片536は、ステー532のコイン通路306側のストッパ面538によって停止され、ステー532と平行の案内位置GPに保たれる。
回動規制片542は軸受け528Bからステー532の背面側へ延び、倒立L字体524が案内位置GPから所定角度回動した位置においてステー532の背面のストッパ面540に係止され、回動が停止される。
換言すれば、移動変更部案内体522がキャンセル片502A、502Uから所定距離離れた場合、回動規制片542によって移動変更部案内体522の移動が停止される(図23において二点鎖線示)。
【0052】
キャンセル体502がコインCの受入状態にある場合、換言すれば、ロータリーソレノイド426が励磁され、係止部512が図示しないストッパによって係止された場合(図22の状態)、移動変更部案内体522のガイド面544はコイン通路306の反ガイド壁322側に配置されている。
ガイド面544は、コイン通路306に対しコインCの転動方向の前方に向かって鋭角をなして形成され、コイン通路306から外れようとするコインCをコイン通路306に案内する。
換言すれば、ガイド面544は案内面354の延長線546に対し鋭角をなしている。
ガイド面544の最もコイン通路306側部は、案内面354の延長線546に対しコインCの厚みよりも僅かに大きな隙間を有する。
コイン通路306を転動するコインCをコイン検知通路314へスムーズに案内するためである。
また、ガイド面544の上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Bに相対する部分は、下方ほどそれらとの距離が大きくなるよう斜面548に形成されている。
上キャンセル片502A及び下キャンセル片502BによってキャンセルされるコインCが落下しやすいようにするためである。
さらに、移動方向変更部案内体522のコイン通路306の下流側縁550は、コインCがキャンセル通路456へ転動して落下し易くなるよう、上キャンセル片502Aと下キャンセル片502Uとの距離が可及的に大きくなるよう傾斜して形成される。
換言すれば、コインCが案内体386に接する下端を支点に上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Bによって押された上端側が回動してキャンセル通路456へ上下が反転して落下できるよう上ガイド縁508A及び下ガイド縁508Uと下流側縁550との距離が定められている。
また、コインCのガイド面544は可及的に大きいことが好ましい。
これらを両立するため、本実施例4においては移動方向変更部案内体522は下向きの先すぼまりのナイフ形に形成されている。
【0053】
倒立L字体524は、図23において軸534A、534B周りに反時計方向の自己モーメントを生じるので、移動方向変更部案内体522は案内位置係止片536がストッパ面538によって停止された案内位置GPに所定の付勢力で保持される。
一方、複数のコインCが上キャンセル片502Aと下キャンセル片502U及び移動方向変更部案内体522間に挟まれた場合、移動方向変更部案内体522は回動規制片542がストッパ面540に係止されるまで回動できるので、複数コインC間の圧接力を所定の圧力以下に保つことが出来る。
換言すれば、コインC間の摩擦力をコインCが自重によってスライド出来る値以下に保ち、コインCを自由落下させることができる。
【0054】
次に本実施例4の作用を図24及び図25をも参照して説明する。
まず、真正コインCを受け入れるケースを説明する。
コインセレクタ300が真正コインCの受入状態にある場合、ロータリーソレノイド426が励磁されるので、キャンセル体502は図22に示すように反時計方向に回動され、上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uがコイン通路306から外れて位置する。
真偽判別部310を通過したコインCは、案内体386に達する。
このとき、コインCのキャンセル通路456側面は、ガイド面544によって案内されることが出来るので、転動位置がずれた場合であっても、案内体386上に案内される。
この後、コインCは実施例3において説明したと同様にコイン検知通路314に案内される。
【0055】
次に真正コインCをキャンセルするケースを説明する。
真正コインCをキャンセルする場合、ロータリーソレノイド426は消磁されるので、キャンセル体502は内蔵の磁石及びスプリング510の弾発力によって高速で係止部507がガイド壁322の背面に進行を阻止されるまで回動され、図25に示すキャンセル位置CPに保持される。
この場合、真偽判別部310を通過したコインCは、案内体386に載る直前から上ガイド縁508A及び下ガイド縁508Uに案内されるので、コインCは案内体386の支持軸392側に逸らされ、キャンセル通路456へ落下させられる。
【0056】
次に真正コインCをキャンセルするケースにおいて、上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uのキャンセル位置CPへの移動の途中においてコインCが案内体386に達したケースを説明する。
コインCは、案内体386がコインCの重量によって僅かに回動し、コイン検知通路314側へ滑り落ち始めた直後にキャンセル位置CPへ移動途上の上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uによってコイン検知通路314への移動を阻止され、キャンセル通路456側へ押される。
これにより、コインCは案内体386に載置されている下端を支点に上端部が側方へ押されるので、コインCの上端側からキャンセル通路456へ倒れ込み、コインCの上端が下端になるよう側方に転動されてキャンセルされる。
【0057】
次に上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uのキャンセル位置CPへの移動の途中において、三枚のコインCが数珠つなき状態で案内体386に達したケースを説明する。
この場合、最初のコインCキャンセル通路456へ転動される前に次のコインCが到達するので、上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uと移動方向変更部案内体522との間にコインCが複数枚、例えば3枚挟まれる。
この場合、移動方向変更部案内体522は軸534A、534Bを支点に図23において時計方向に回動規制片542がステー534の背面に係止されるまで回動される(鎖線示参照)。
この回動により、複数のコインC間の圧接力が減少するため、コインC間の摩擦力は所定値以上増加しない。
これにより、上キャンセル片502A及び下キャンセル片502Uがキャンセル位置CPに移動した場合、コインCは案内体386上から逸らされる。
よって、案内体386によって支持されなくなったコインCは、自然落下することができ、キャンセル通路456へキャンセルされる。
換言すれば、キャンセル体502のキャンセル位置CPへの移動途上においても、コインCをキャンセル出来るので、真正コインCが投入されたにも拘わらずに投入したコインがカウントされないという、所謂「飲み込み」を生じない利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】図1は実施例1のコインセレクタの概略斜視図である。
【図2】図2は実施例1のコインセレクタの正面概略図である。
【図3】図3は図2におけるB―B線断面図である。
【図4】図4は実施例1のコインセレクタの作用説明図である。
【図5】図5は実施例1の作用説明用のタイミングチャートである。
【図6】図6は、実施例2の図2と同様の断面図である。
【図7】図7は、本発明の実施例3のコインセレクタの正面図である。
【図8】図8は、本発明の実施例3のコインセレクタの背面図である。
【図9】図9は、本発明の実施例3のコインセレクタの分解斜視図である。
【図10】図10は、本発明の実施例3のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り外した状態の正面図である。
【図11】図11は、本発明の実施例3のコインセレクタの第3本体の背面図である。
【図12】図12は、図7におけるA―A断面図である。
【図13】図13は、図7におけるB―B断面図であって、(A)はコインの受入時、(B)はコインのキャンセル時である。
【図14】図14は、図7におけるC―C断面図である。
【図15】図15は、図7におけるD―D断面図である。
【図16】図16は、図7におけるE―E断面図である。
【図17】図17は、本発明の実施例4のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り外した状態の正面図である。
【図18】図18は、本発明の実施例4のコインセレクタの背面図である。
【図19】図19は、図17におけるF―F線断面図である。
【図20】図20は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体のコイン移動方向上流側上方からの斜視図である。
【図21】図21は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体のコイン移動方向下流側上方からの斜視図である。
【図22】図22は、図17におけるG―G線断面図である。
【図23】図23は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体の作用説明図である。
【図24】図24は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体がキャンセル位置へ移動する途上の作用説明図である。
【図25】図25は、本発明の実施例4のコインセレクタのキャンセル体及び移動方向変更部案内体がキャンセル位置に位置した状態の図17におけるH―H線断面図である。
【符号の説明】
【0059】
C コイン
108、308 真偽判別手段
106、306 コイン通路
112、312 移動方向変更手段
114、314 コイン検知通路
116、316 コインセンサ
134 第1平面
136 第2平面
144、344 オフセット案内手段
146 傾斜案内面
162、318 コインキャンセル手段
386 案内体
422、502 キャンセル体
458、522 移動方向変更部案内体
320 シャッタ手段
524 倒立L字体
526 水平部
532 ステー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン(C)が移動するコイン通路(106)に沿って形成した真偽判別手段(108)の下流に配置したコインセンサ(116)からの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、
前記真偽判別手段の下流の前記コイン通路にコインの移動方向変更手段(112)を設け、
前記移動方向変更手段の下流のコイン検知通路(114)を前記移動方向変更手段が存する第1平面(134)と異なる第2平面(136)に配置したことを特徴とするコインセレクタ。
【請求項2】
請求項1のコインセレクタにおいて、
前記移動方向変更手段にコインキャンセル手段(162)を配置したことを特徴とするコインセレクタ。
【請求項3】
請求項1又は2のコインセレクタにおいて、
前記移動方向変更手段の下流の前記コイン検知通路に前記コインセンサを配置したことを特徴とする。
【請求項4】
請求項1又は2のコインセレクタにおいて、
前記第1平面及び前記第2平面は、水平線に対し傾斜していることを特徴とする。
【請求項5】
請求項1又は2のコインセレクタにおいて、
前記真偽判別手段と前記移動方向変更手段との間にタイミングセンサ(152)を配置したことを特徴とする。
【請求項6】
請求項1又は2のコインセレクタにおいて、
移動方向変更手段の下流に引き戻し防止手段(172)を設けたことを特徴とする。
【請求項7】
請求項1又は2のコインセレクタにおいて、
前記移動方向変更手段のコイン通路と前記コイン検知通路とがオフセット案内手段(144)によって接続されていることを特徴とする。
【請求項8】
請求項7のコインセレクタにおいて、
前記オフセット案内手段は、前記第1平面に対し傾斜する傾斜案内面(146)を含むことを特徴とする。
【請求項9】
請求項7のコインセレクタにおいて、
前記オフセット案内手段は、前記真偽判別部のコインガイドレールの延長上の待機位置及びコイン検知通路側に向かって下向きに傾斜する案内位置にコインの重量により移動可能な案内体(386)であることを特徴とする。
【請求項10】
請求項9のコインセレクタにおいて、
前記案内体は前記コイン検知通路の反対側においてピボット軸回りにピボット運動可能であり、
前記オフセット案内手段の上方のコイン通路に進退し、かつ、前記案内体のコイン検知通路側から前記ピボット軸側へ傾斜する傾斜案内縁を有するキャンセル体(422)と、
前記キャンセル体の上流であって、かつ、キャンセル体の反対側のコイン通路の側面を画定する移動方向変更部案内体(458)を有することを特徴とする。
【請求項11】
請求項9のコインセレクタにおいて、
前記コインセンサは、複数のセンサ(416、418)から構成され、前記複数のセンサは異なる検知方式のセンサであることを特徴とする。
【請求項12】
請求項9のコインセレクタにおいて、
前記コインセンサの下流にコイン通過時以外はコイン検知通路を閉じるシャッタ手段(320)を配置したことを特徴とする。
【請求項13】
請求項12のコインセレクタにおいて、
前記シャッタ手段は、自己モーメントによりコイン通路の閉止位置に保持されることを特徴とする。
【請求項14】
請求項10のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更部案内体は前記キャンセル体と一体的に移動し、前記キャンセル体から離れる方向に移動可能であり、かつ、前記キャンセル体側へ所定のモーメントで付勢されていることを特徴とする。
【請求項15】
請求項14のコインセレクタにおいて、前記移動方向変更部案内体は倒立L字体(524)であって、水平部(526)の先端部が前記キャンセル体から上方に伸びるステー(532)の上端に回動可能に取り付けられ、前記移動方向変更部案内体は下端が前記キャンセル体から離れる方向に回動可能であり、自重により前記キャンセル体側へ付勢されていることを特徴とする。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate