説明

コインセレクタ

【課題】
本発明の第1の目的は、真正コイン検知用のコインセンサに不正にアクセスできないようにしたコインセレクタを提供することである。
【解決手段】
コインが移動するコイン通路に沿って形成した真偽判別手段の下流に配置したコインセンサ)からの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、前記コインセンサの下流の前記コイン通路に前記コインの転動方向の通過は許容するが逆方向の通過を許容しないシャッタ手段を配置したことを特徴とするコインセレクタである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パチスロ等に使用されるコインの真偽を判別するコインセレクタに関する。
詳しくは、コインセレクタによって真正コインとして判別されたコインを検知するコインセンサに対する不正が出来ないようにしたコインセレクタに関する。
さらに詳しくは、コインセンサの真正コインの出口から器具を挿入して行う不正が出来ない小型かつ安価なコインセレクに関する。
なお、本発明に係るコインセレクタは、パチスロ機の他、コイン式ゲーム機や自動販売機等に使用可能である。
本明細書において、コインとは、円盤形のメダルおよびトークン等の総称である。
【背景技術】
【0002】
第1の従来技術として、所謂3.5インチサイズのコインセレクタが知られている。
このコインセレクタは、天井部に存するメダル投入口から垂直下方に延びた後、横方向に湾曲させて下向き傾斜通路としたコイン通路を有し、この傾斜路の途中に小径メダルの選別部を設け、その選別部の下流に通過検知センサを配置したものである(例えば、特許文献1参照。)。
第2の従来技術として、コインの選別部に続いて正通路若しくはキャンセル通路にコイン通路を切り換える通路切換部を設け、さらに、正通路に通過検出部を設け、通過検出部から検出信号があった場合に一定時間だけ正通路に切換部が切り換えられるようにすることにより、糸吊り等の不正を防止するものが知られている(例えば、特許文献2参照。)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−172203(図3−図9、2頁―4頁)
【特許文献2】特開平5−282514(図1−図2、2頁―4頁)
【0004】
近時、不正の手口が巧妙になり、入賞コイン払出口兼キャンセルコイン払出口から挿入した器具を、コインセレクタのコインの出口から挿入して不正を行う場合がある。
この対策のため、従来技術の通路切換部を取り入れることができる。
具体的には、出口にアクチュエータで作動されるシャッタを設け、当該シャッタを強制的に開放又は閉止位置に位置させる構造にすることである。
これにより、シャッタに阻止されてコイン通路への器具の挿入ができないので、これら不正を防止することができる利点がある。
しかし、従来技術は通路切換部を強制的に切り換えるため、アクチュエータやリンク機構が必要であり、大型化やコスト高になるという問題がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の第1の目的は、真正コイン検知用のコインセンサに不正にアクセスできないようにしたコインセレクタを提供することである。
本発明の第2の目的は、コインセンサに不正にアクセスできないようにした小型のコインセレクタを提供することである。
本発明の第3の目的は、コインセンサに不正にアクセスできないようにししたコインセレクタを安価に提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するため、本発明にかかるコインセレクタは以下のように構成される。
請求項1の発明は、コインが移動するコイン通路に沿って形成した真偽判別手段の下流に配置したコインセンサ)からの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、前記コインセンサの下流の前記コイン通路に前記コインの転動方向の通過は許容するが逆方向の通過を許容しないシャッタ手段を配置したことを特徴とするコインセレクタである。
請求項2の発明は、請求項1のコインセレクタにおいて、前記シャッタ手段は、支軸周りを回動可能な板状体であり、自己モーメントによりに前記コイン通路の遮蔽位置に保持され、かつ、前記コイン通路を転動するコインに押されて開放位置へ移動され、逆方向からの押動時は前記遮蔽位置に保持されることを特徴とするコインセレクタである。
請求項3の発明は、請求項1又は2のコインセレクタにおいて、前記支軸がコインの転動方向に対し直角方向に配置され、前記板状体がコインの転動方向に対し前方に傾斜する傾斜部を有し、かつ、自己モーメントにより前記転動通路を遮蔽する方向に回動し、前記コイン転動方向とは逆方向からの押し力によって前記傾斜部が前記遮蔽位置に留められる力を受けることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項3のコインセレクタにおいて、前記板状体の先端は、転動通路の画定壁の溝に進入して前記コイン通路を遮蔽することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
この構成において、コインはコイン通路を転がり、真偽判別手段に達する。
真偽判別手段において、偽貨は排除され、真正コインのみがさらにコイン通路を下流に転動し、コインセンサによって検知された後、シャッタ手段を通過して出口から流出する。
シャッタ手段は、コインが通過する方向に対し逆方向からの押動によってはコイン通路を開通しない。
不正用器具を出口から挿入した場合、シャッタ手段によって阻止されるので、コインセンサにアクセスすることが出来ない。
よって、コインセレクタの出口から不正用器具を挿入して行う不正を行うことができない利点を有する。
請求項2の発明において、シャッタ手段は支軸周りを回動可能な板状体であり、自己モーメントによりに前記コイン通路の遮蔽位置に保持され、かつ、前記コイン通路を転動するコインに押されて開放位置へ移動され、逆方向からの押動時は遮蔽位置に保持される。
シャッタ手段は自己モーメントによりコインによって押された場合、支軸周りに回転してコインの通過を許容し、反対側から押された場合は遮蔽位置を継続して不正用器具の通過を許容しない。
よって、シャッタ手段はアクチュエータやリンク機構を必要としないので、装置を小型化でき、更に安価に製造できる利点がある。
請求項3の発明において、シャッタ手段である板状体は、その支軸がコインの転動方向に対し直角方向に配置され、前記板状体がコインの転動方向に対し前方に傾斜する傾斜部を有し、かつ、自己モーメントにより前記転動通路を遮蔽する方向に回動し、前記コイン転動方向とは逆方向からの押し力によって前記傾斜部が前記遮蔽位置に留められる力を受ける。
これにより、板状体はコインによってその支軸に対し直角方向から押動され、コインによって効率的に支軸周りに回転されるので、コインは円滑に通過できる。
また、逆方向から板状体が押された場合、遮蔽位置に板状体は保持されるので、不正用器具を出口から挿入する不正を防止することができる利点がある。
請求項4の発明において、板状体の先端は転動通路の画定壁の溝に進入して前記コイン通路を遮蔽する。
よって、不正用器具を出口から挿入しただけでは遮蔽位置に保持させる方向に板状体を押すのみであるので、不正を行うことが極めて困難である利点がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明の最良の形態は、コインが移動するコイン通路に沿って形成した真偽判別手段の下流に配置したコインセンサからの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、前記コインセンサの下流の前記コイン通路に前記コインの転動方向の通過は許容するが逆方向の通過を許容しないシャッタ手段を配置し、前記シャッタ手段はコインの転動方向に対し直角方向に配置された支軸周りを回動可能な板状体であり、コインの転動方向に対し前方に傾斜する傾斜部を有し、かつ、自己モーメントにより前記転動通路を遮蔽する方向に回動し、前記コイン転動方向とは逆方向からの押し力によって前記傾斜部が前記遮蔽位置に留められる力を受け、前記板状体の先端は転動通路の画定壁の溝に進入して前記コイン通路を遮蔽することを特徴とするコインセレクタである。
【実施例】
【0009】
図1は、本発明の実施例のコインセレクタの正面図である。
図2は、本発明の実施例のコインセレクタの背面図である。
図3は、本発明の実施例のコインセレクタの分解斜視図である。
図4は、本発明の実施例のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り外した状態の正面図である。
図5は、本発明の実施例のコインセレクタの第3本体の背面図である。
図6は、図1におけるA―A断面図である。
図7は、図1におけるB―B断面図であって、(A)はコインの受入時、(B)はコインのキャンセル時である。
図8は、図1におけるC―C断面図である。
図9は、図1におけるD―D断面図である。
図10は、図1におけるE―E断面図である。
【0010】
実施例のコインセレクタ100は、本体102、ガイドレール104、コイン通f路106、コイン通路106の中間に配置された真偽判別手段108である直径選別手段110、移動方向変更手段112、移動方向変更手段112の下流に位置するコイン検知通路114、コイン検知通路114を画定する第2本体118及びコイン検知通路114に配置されたコインセンサ116、キャンセル手段119及びシャッタ手段120を含んでいる。
【0011】
まず、本体102を図1から図4を参照して説明する。
本体102は、コインセレクタ100を構成する部品が取り付けられ、及び、コインCの一面を案内する機能を有する。
図3に示すように本体102は、錐立するガイド壁122、ガイド壁122の左右端部からそれぞれ直角に折り曲げられた左側壁124及び右側壁125を含み、ガイド壁122、左側壁124及び右側壁125によって垂立方向に伸びる凹溝128を形成する。
本体102の幅及び高さは、3.5インチであり、所謂デファクトスタンダードサイズである。
左側壁124及び右側壁125から突出する複数の突起132をゲーム機の取付溝(図示せず)に掛止めすることにより、コインセレクタ100をゲーム機に取り付ける。
【0012】
次にガイドレール104を図1、図4及び図5を参照して説明する。
ガイドレール104は、投入口134に投入されたコインCを転動させつつ所定の方向へ案内する機能を有する。
ガイドレール104は、本体102のガイド壁122に回動自在に取り付けられた第3本体126のガイド壁122に平行に対面するガイド面128から本体102のガイド壁122に向かってコインCの厚みよりも僅かに多く突出し、ほぼ垂立した上部レール104U及び図1において斜め右方へ湾曲する湾曲部104Cから構成される。
ガイドレール104は、耐摩耗性を有する材料により第3本体126と一体に成形することができるが、実施例のように、表面に細長い金属板ガイドレール130を配置し、耐摩耗性を向上させることが好ましい。
【0013】
次に第3本体126を図5及び図6を参照して説明する。
第3本体126は、コイン通路106の一面を画定し、かつ、ガイドレール104が設けられ、さらに、コイン通路106においてジャムしたコインCをキャンセルする機能を有する。
第3本体126は、ガイド壁122の上端部において横方向に突出する軸受136及び右側壁125からガイド壁122と平行に突出する第1軸138及び第2軸142に第3本体126に形成した第1軸穴144、第2軸穴146にそれぞれ挿入されている。
第1軸138及び第2軸142は、図4において左上がりに傾斜する同一軸線L1上に形成されている。
これにより、第3本体126は、ガイド壁122に対し平行なガイド位置GP及び下端部がガイド壁122から離れる所定角度回動したキャンセル位置CPの間を回動可能に取り付けられている。
【0014】
第3本体126を本体102に装着する場合、第3本体126を本体102に対して左側壁124の上端の傾斜縁131に沿って斜めに保持し、第1軸138を第1軸穴144に、第2軸142を第2軸孔146に挿入し、横方向(図3において右方向)にずらして各軸に装着した後、ガイド壁122に向けて回動させる。
これにより、第3本体126は、第1軸138と軸穴144に形成された嵌合部(図示せず)が嵌り合い、当該嵌合を解除することができない。
さらに、第3本体126は、ガイド壁122の背面に突出する円筒148内に配置されたスプリング(図示せず)により押されるプッシャ(図示せず)により、第2軸穴146の側方の被動斜面150に軸回りのモーメントを受け、ガイド壁122に向かう所定力の付勢力を受ける。
換言すれば、第3本体126は、ガイド壁122に近づくよう弾性的に回動力を受けている。
第3本体126の中央には、コイン通路106に沿って弧状の落下開口152が形成されている。
また、第3本体126は、左側壁124側の下端部から横方向へ伸び、ガイド壁122の貫通孔151から突出する被動片153がガイド壁122側へ押されることにより、第1軸138及び第2軸142を支点に回動される(図3において時計方向)。
これにより、ガイドレール104の端面がガイド壁122からコインCの厚み以上離れ、かつ、ガイドレール104が下向きに傾斜するため、コイン通路106において転動出来なくなったコインCはガイドレール104から落下し、リジェクトされる。
【0015】
次にコイン通f路106を説明する。
コイン通路106は、投入口134に投入されたコインCがガイドレール104上を転動して移動方向変更手段112へ案内する機能を有する。
コイン通路106は、ガイド壁122の表面の案内面154、ガイドレール104、第3本体126の案内面127及び直径選別体156によって画定された断面矩形であって、図1において右方へ湾曲する通路であり、第1平面P1内に位置する。
案内面154は、コインCの一面を案内する機能を有し、ガイドレール104に沿ってガイド壁122の上部左側に形成され、僅かに垂下した後、図4において右方向へ湾曲し、コインCの転動方向に伸びる複数の突条が形成される。
直径選別体156は、図5に示すように位置決め孔162を第3本体126から突出する位置決めピン163に嵌め合わせ、スクリュウ165によって第3本体126に固定されている。
第3本体126に相対してガイド壁122の上端部から凹溝128内へ向かって突出する取付台159(図4参照)が形成されている。
直径選別体156は、その案内面160がガイド壁122と平行な第3本体126のガイド面128と同一の平面内に位置するよう、かつ、その案内縁164がガイドレール104と相似形に形成され、ガイドレール104と所定の間隔に設定されている。
換言すれば、真正コインCがガイドレール104上を転動する場合、真正コインCの上端部側面は直径選別体156の案内面160に案内され、小径の偽コインは、案内面160に案内されず、ガイド面128の端部と案内縁164の間の落下開口152から落下可能である。
【0016】
なお、案内面154には、コインCの移動方向に平行に伸びる複数の突条を形成し、コインCの移動抵抗を減少させることが好ましい。
ガイド面128及び案内面160にもコインの移動方向に延びる突条を形成することが出来る。
異なる直径のコインCが使用される場合、直径選別体156の案内縁164とガイドレール104との間の距離が異なる直径選別体156に交換される。
直径選別体156は、コインが擦ることから、金属板等耐摩耗性を有する材料で作ることが好ましい。
【0017】
次に直径選別手段110を図1、図2及び図6を参照して説明する。
直径選別手段110は、コイン通路106を転動する小径の偽コインSCをリジェクトする機能を有する。
直径選別手段110は、逸らせ体172及び第1付勢手段174を含んでいる。
逸らせ体172は、上端の軸178の両端がガイド壁122の背面の上端部に設けた第3軸受176L及び第4軸受176Rに回転自在に取り付けられている(図2参照)。
逸らせ体172は、板状であって、ガイド壁122の弧状開口180を通って直径選別体156の案内縁164よりも僅かにガイドレール104に近いコイン通路106に進退可能であり、コイン通路106の曲率に合わせて湾曲している。
図1に示すように、逸らせ体172によって直径選別体156に近い小径偽コインSCの上端側面を横方向に押すことにより、偽小径コインSCを速やかにコイン通路106から排除することができる。
逸らせ体172の先端172T(図6参照)はコイン通路106に対し傾斜しているので、逸らせ体172がコイン通路106に位置する場合、投入口134から投入されたコインCは横方向に案内され、コイン通路106から押し出される力を受ける。
逸らせ体172のガイド壁122の裏面側には第1付勢手段174としての第1錘182が取り付けられ、逸らせ体172は、軸178を支点に図6において所定の力で時計方向のモーメントを受ける。
【0018】
これにより、通常、逸らせ体172は所定のモーメントでコイン通路106に突出している。
よって、真正コインCがガイドレール104に沿って転動した場合、その上端側面は直径選別体156の案内面160及び第3本体126のガイド面128によって案内されるため、コイン通路106を移動する。
小径の偽コインSCがガイドレール104上を転動した場合、その上端側面は直径選別体156の案内面160に案内されないので、落下開口152へ倒され、ガイドレール104から落下させられ、リジェクト通路185を通ってリジェクトされる。
第1付勢体174は、逸らせ体172に付勢力を与えればよいので、錘に代えてスプリングを用いることができる。
しかし、錘を用いた場合、個々のバラツキが小さいため、品質の安定のため好ましい。
【0019】
次に移動方向変更手段112を図1、図3及び図10を参照して説明する。
移動方向変更手段112は、コイン通路106の下流に配置され、かつ、コイン通路106に対し異なる方向にコインCの移動方向を変更する機能を有する。
本実施例において、移動方向変更手段112によってコインCはコイン通路106に対しオフセット配置されているコイン検知通路114に案内される(図4参照)。
コイン検知通路114は、後述するように、コイン通路106に対し後方(ガイド壁122の裏面側)にオフセットされ、さらに、コイン通路106に対し斜めに傾斜する第2平面P2内(図7A参照)に位置している。
【0020】
移動方向変更手段112は、案内体186を含んでいる。
図10に示すように、案内体186はほぼ水平をなす細長矩形の案内板186Tとほぼ垂直な受動片186Pとにより断面L形に形成され、案内板186Tはガイドレール104の延長線上に傾斜配置され、図1において右下がりに傾斜し、さらに、前面側端部の一端は軸受(図示せず)を介してピボット軸である支持軸192に回転自在に取り付けられている。
支持軸192は、ガイド壁122から横方向へ突出する第5軸受194及び右側壁125の近くから突出する第6軸受196に取り付けられている。
この支持軸192は、図7に示すように、平面視、コイン通路106に対し鈍角をなしている。
案内体186の支持軸192の反対側において下方へ延びる受動片186Pに第2付勢体198である第2錘202が固定されている。
これにより、案内体186は図10において支持軸192回りに反時計回りのモーメントを受け、受動片186Pの裏面が第2本体118に形成したストッパ197によって回転を阻止され、案内板186Tの上面がガイドレール104の延長上に位置する待機位置SP1に保持される。
第2付勢体198もスプリング等他の付勢手段に変更できるが、個々のバラツキが少ないため、錘202を用いることが好ましい。
図10に示すように案内板186Tの先端は、下向きの丸みを付され、角形鋸歯204形に形成され、待機位置SP1に位置する場合、ガイド壁122との間に真正コインCの厚みよりも小さい隙間を形成するよう設定されている。
よって、案内板186Tが待機位置SP1に位置する場合、コインCはコイン検知通路114へ通過することができない。
この隙間を形成することにより、案内体186が円滑に回動するようにしている。
【0021】
コイン通路106を転動したコインCが案内板186T上に載った場合、案内体186はコインCの重量によって図10において時計方向へ回動され、下向きに傾斜する。
案内体186が下向きに傾斜した場合、案内板186Tの先端とガイド壁122との距離は真正コインCの厚みよりも大きく離れることができる。
これにより、コインCは案内板186T上を滑り、コイン検知通路114に落下する。
また、案内板186Tはコイン通路106に対して鈍角をなしていることから、コインCは案内板186Tに対し鈍角で衝突する。
よって、案内板186Tは下向きに傾斜することにより、コインCに対しつま先上がりの傾斜を呈するので、案内板186TはコインCの重量のみならず、コインCの移動によっても下向きに傾斜させられる。
これらにより、コインCはコイン検知通路114へスムーズに移動することができる。
さらに、コインCは傾斜する案内板186Tによってガイド壁122側へ、換言すれば、横方向へスライドされる。
これによって、後続のコインCが連なっていても、移動方向変更手段112においてジャムすることなく移動することができる。
【0022】
次にコイン検知通路114を図3及び4を参照して説明する。
コイン検知通路114は、移動方向変更手段112によって移動方向を変更された真正コインCを所定方向に案内する機能を有し、さらに、当該コイン検知用のコインセンサ116が配置される。
コイン検知通路114は、コイン通路106の下流に配置され、コイン通路106とは異なるほぼ垂立する平面に配置される。
換言すれば、コイン検知通路114は、コイン通路106に対しガイド壁122側にオフセットしたほぼ垂立する第2平面P2内に配置される。
本実施例において図7に示すように、コイン検知通路114はコイン通路106に対し傾斜するほぼ垂立する第2平面内P2に配置されている。
移動方向変更手段112は、コイン検知通路114の上端部に配置されている。
コイン検知通路114は、検知通路ガイド壁210、検知通路ガイド壁210から横方向に突出する弧状の検知部ガイドレール212、及び第2本体118の内面213によって画定され、図4に示すように右側下方に向かって湾曲し、下流端は右側壁125にほぼ垂直に開口した縦長スリット形の出口214である。
検知通路ガイド壁210は、後述のコインセンサ116を通過するまで、コイン通路106に対して傾斜する第2平面P2内に位置し、後述のシャッタ手段120の直前においてコイン通路106の案内面154と同一平面内に位置するよう形成してある。
なお、コイン検知通路114は、コイン通路106に対し傾斜させず、平行にすることもできる。
【0023】
次にコインセンサ116を図3及び図4を参照して説明する。
コインセンサ116は、コイン検知通路114を転動する真正コインCを検知する機能を有する。
コインセンサ116は、透過式光電センサ、反射式光電センサ、磁気センサ、及び、接触センサ等使用することができ、複数配置することが好ましい。
検知信号の出力順等を判別することにより、投入口134若しくはリジェクト通路185から挿入した不正用器具挿入による不正を判別できるからである。
本実施例においてコインセンサ116は、透過式光電センサ216及び磁気センサ218の異なる方式の複数のセンサにより構成されている。
異なる方式のセンサを用いた場合、不正を行うには異なるセンサに対応して誤検知を生じるよう行わねばならないため、不正を一層困難にする利点がある。
上流側に配置された透過式光電センサ216は、コイン検知通路114を挟んで投光部と受光部とが配置されている。
下流側に隣接配置された磁気センサ218は、コイン検知通路114を挟んでコイルが配置されている。
案内板186Tが糸吊りしたコインCによって引き上げられ、受動片186Pがストッパ197によって係止され、かつ、ガイドレール104の延長上の待機位置SP1において進行が停止された場合、透過式光電センサ216及び磁気センサ218がコインCの検知状態を維持する位置関係に配置されている。
これにより、光電センサ216及び磁気センサ218が同時に所定時間以上検知信号を出力する場合、異常であることを検知できる。
【0024】
次にキャンセル手段119を図2及び図7を参照して説明する。
キャンセル手段119は、真偽判別手段108を通過した真正コインCをコイン検知通路114へ進行しないようキャンセルする機能を有する。
キャンセル手段119は、キャンセル片222及び電磁アクチュエータ224を含んでいる。
キャンセル片222は、案内体186の上方のコイン通路106に進退自在であり、適宜励磁される電磁アクチュエータ224であるロータリーソレノイド226の出力軸228に固定されている。
ロータリーソレノイド226が消磁されている場合、キャンセル片222が内蔵する磁石の反発力により図7(B)のように時計方向に回動される。
内蔵磁石による時計方向への回動力が小さい場合、スプリング等により加勢することができる。
これにより、キャンセル片222に一体に形成された突起252がガイド壁122の裏面に当接してキャンセル片222の案内縁254がコイン通路106を横断するキャンセル位置CPに保持される。
よって、ガイドレール104上を転動してきたコインCは案内縁254によって横方向へ逸らされ、案内体186上から落下される。
このとき、案内体186上にコインCが乗るが、コインCは案内体186に乗る前から案内縁254によって案内体186の支持軸192側へ逸らされることにより、案内体186がそのモーメントに反して回動さることはなく、案内板186Tは待機位置SP1を保持する。
よって、コインCは案内体186上から落下し、第2本体118の前方のキャンセル通路256を通ってキャンセルされる。
【0025】
突起252に連続して移動方向変更部案内体258が形成されている。
詳細には、突起252の上方に続いて水平部及び下方へ延びる垂立部が形成され、この垂立部が移動方向変更部案内体258である。
よって、移動方向変更部案内体258は、案内体186の上方のキャンセル片222に対しコイン通路106を挟んだ側方に配置され、る。
キャンセル片222が待機位置SP2に位置する場合、移動方向変更部案内体258はコイン通路106の側方に位置し、コインCが案内体186から落下しないよう案内する。
待機位置SP2は、移動方向変更部案内体258がガイド壁122から突出するストッパに係止されることにより保持される。
キャンセル片222がキャンセル位置CPに位置する場合、移動方向変更部案内体258はコイン通路106から離れ、案内体186上から落下するコインCを邪魔しない。
【0026】
次にシャッタ手段120を図1、3、8及び9を参照し説明する。
シャッタ手段120は、出口214からコイン検知通路114への不正用器具の挿入を阻止する機能を有する。
本実施例のシャッタ手段120は、シャッタ体262を含んでいる。
シャッタ体262は、平面視クランク形(図9参照)の板状であって、コインセンサ116と出口214との間のコイン検知通路114に進退可能である。
シャッタ体262は、図8に示すように、第2本体118の表側に突出する第7軸受264及び第8軸受266に回転自在に取り付けられている。
第7軸受264は、下向きの円柱形であって、シャッタ体262の端部上端部に形成された軸穴272に挿入されている。
第8軸受266は、円錐形突起であって、シャッタ体262の端部下端部に形成された円錐形軸穴274に嵌め合わされている。
第8軸受268の円錐突起の円錐角度が円錐形軸穴274の円錐角度よりも小さく形成され、シャッタ体262の回転抵抗が一層小さくなるように形成されている。
第7軸受264と第8軸受286の軸線は、図1に示すように同一軸線上に配置され、正面視コイン検知通路114の伸長方向、換言すれば、コインCの転動方向に対し直角をなすよう配置されている。
【0027】
よって、シャッタ体262は図1に示すように本体102に対し斜めに取り付けられ、その重心位置により軸線回りにモーメントを受ける。
シャッタ体262は、自己モーメントにより図9において反時計方向に回転するよう設定されている。
換言すれば、通常、シャッタ体262の先端262Tはコイン検知通路壁210側に回転し、コイン検知通路壁210に形成された受入溝268の底に所定の力で接している。
このとき、先端262Tはコイン検知通路114においてコインの移動方向の下流側に向かって傾斜している。
これにより、コインCがコイン検知通路114を転動する場合、シャッタ体262の先端262Tは転動するコインCにより押されて図9において時計方向へ回動され、コインCは出口214へ移動することができる。
このとき、コインCによってシャッタ体262は回動軸線に対し直交方向から回転力を受けるので、スムーズに回転することができる。
よって、コインCはコイン検知通路114においてジャムすることなくシャッタ体262を通過する。
出口214から不正用器具を挿入した場合、シャッタ体262は斜面を押され、図9において反時計方向へ押されるから、シャッタ体262の先端262Tは一層大きな力で受入溝268に押し付けられ、それ以上の進行を阻止される。
換言すれば、シャッタ体262はコイン検知通路114の遮蔽位置を継続する。
よって、出口214から挿入した器具によってコインセンサ116に不正が行われることはない。
【0028】
次に実施例の作用を説明する。
コインセレクタ100が装着されたゲーム機等がコインCの受入状態にない場合、ロータリーソレノイド226が消磁されているので、キャンセル片222が内蔵磁石の吸引により時計方向へ回動され、図7(B)に示すように、コイン通路106に進出したキャンセル位置CPに保持されている。
真正コインCを投入口134に投入した場合、コインCは案内面154、第3本体126のガイド面128及び直径選別体156の案内面160によって両側面を案内されつつガイドレール104上を転動し、キャンセル片222に達する。
コインCは案内板186T上に乗る前からコイン通路106を横断するキャンセル片222の案内縁254に案内されて案内板186Tの支持軸192側に逸らされ、キャンセル通路256へ落下させられる。
【0029】
次に、コインセレクタ100がコインCの受入状態にある場合を説明する。
換言すれば、図7(A)に示すように、ロータリーソレノイド226が励磁され、キャンセル片222がコイン通路106から退出している状態である。
まず、真正コインCが投入されたケースを説明する。
真正コインCは、ガイドレール104上を転動し、真偽判別部110に達する。
真偽判別部108である直径選別手段110において、真正コインCはコイン通路106を横断する逸らせ体172の先端172Tによって横方向へ逸らされる。
しかし、真正コインCの上端部側面は直径選別体156の案内面160によって、下端部側面は第3本体126のガイド面128によって案内されるので、コインCは真偽判別部110を落下することなく通過し、案内体186に達する。
案内体186は、案内板186T上に乗った真正コインCによって図3において支持軸192の時計回りにモーメントを受け、回動する。
これにより、案内板186Tは真正コインCの重量及びコインCの衝突によって生じるモーメントにより、図10において時計方向へ回動される。
よって、真正コインCは案内体186上を滑ってコイン通路106に対し横方向にオフセット配置されているコイン検知通路114に移動し、検知部ガイドレール212上を転動する。
検知部ガイドレール212上を転動するコインCは光電センサ216の透過光を遮断するので光電センサ216は検知信号を出力し、直後に磁気センサ218も金属製のコインを検知して検知信号を出力する。
これら検知信号は、真正コインCのカウント等に用いられる。
さらに、真正コインCはシャッタ体262を押して図9において時計方向へ回動させてシャッタ手段120を通過し、出口214からゲーム機に取り込まれる。
【0030】
次に小径偽コインSCが投入された場合を説明する。
真偽判別部110において、小径偽コインSCの上端側面は直径選別体156によって案内されない。
よって、逸らせ体172の横方向からの押し力によって、小径偽コインCの上端部は落下開口152へ押し出されるので、コインCは側転してガイドレール104からリジェクト通路185へ落下し、リジェクトされる。
【0031】
次に大径偽コインが投入された場合を説明する。
大径偽コインは、取付台159の周縁とガイドレール104との間に挟まり、コイン通路106を転動できない。
この場合、被動片153を図2において紙面に対し押し込むよう押動することにより、第3本体126を第1軸138及び第2軸142の回りに回動させる。
これにより、第3本体126のガイドレール104の端面と案内面154との間にはコインCの厚み以上の間隔が形成され、かつ、ガイドレール104の上面が下向きに傾斜するので、動けなくなったコインCが落下し、リジェクトされる。
【0032】
次に不正用器具を投入口134に挿入した場合を説明する。
不正用器具をコイン通路106に沿わせて挿入した場合であっても、コイン通路106に対しオフセット配置された異なる平面P2に位置するコイン検知通路114に進行させる必要がある。
しかし、オフセットされたコイン検知通路114へ狭い範囲で不正用器具を進行させるには、不正用器具が大きな柔軟性を有していなければならず、極めて困難であり、実質的にコイン検知通路114へ進行させることは出来ない。
よって、投入口134から挿入した不正用器具によってコインセンサ116に不正を行うことはできない。
また、真正コインCに紐を結びつけ、コインセンサ116をON、OFFさせようとしても、コインCを引き上げた場合、コインCは案内体186に係止され、案内体186を図10において反時計回りに回動させる。
これにより、案内体186はガイドレール104の延長上の待機位置SP1まで回動可能である。
よって、コインCは前述のように光電センサ216及び磁気センサ218により所定時間以上検知され続けるので、コインCの糸吊りを検知し、警報等を発することができるので、糸吊りによる不正を行うことが出来ない。
【0033】
次に不正用器具を出口214に挿入したケースを説明する。
不正用器具を出口214に挿入した場合、シャッタ体262の先端262Tは器具によって図9において反時計方向へおされるので、先端が受入溝268の底部に押し付けられ、コイン検知通路114の遮蔽状態は継続される。
よって、出口214に挿入した不正用器具によってコインセンサ116に不正を行うことはできない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】図1は、本発明の実施例のコインセレクタの正面図である。
【図2】図2は、本発明の実施例のコインセレクタの背面図である。
【図3】図3は、本発明の実施例のコインセレクタの分解斜視図である。
【図4】図4は、本発明の実施例のコインセレクタの第2本体及び第3本体を取り外した状態の正面図である。
【図5】図5は、本発明の実施例のコインセレクタの第3本体の背面図である。
【図6】図6は、図1におけるA―A断面図である。
【図7】図7は、図1におけるB―B断面図であって、(A)はコインの受入時、(B)はコインのキャンセル時である。
【図8】図8は、図1におけるC―C断面図である。
【図9】図9は、図1におけるD―D断面図である。
【図10】図10は、図1におけるE―E断面図である。
【符号の説明】
【0035】
C コイン
106 コイン通路
108 真偽判別手段
116 コインセンサ
120 シャッタ手段
264、266 支軸
262板状体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コイン(C)が移動するコイン通路(106)に沿って形成した真偽判別手段(108)の下流に配置したコインセンサ(116)からの信号に基づいて前記コインの通過を検知するコインセレクタにおいて、
前記コインセンサの下流の前記コイン通路に前記コインの転動方向の通過は許容するが逆方向の通過を許容しないシャッタ手段(120)を配置したことを特徴とするコインセレクタ。
【請求項2】
請求項1のコインセレクタにおいて、
前記シャッタ手段は、支軸(264、266)周りを回動可能な板状体(262)であり、自己モーメントによりに前記コイン通路の遮蔽位置に保持され、かつ、前記コイン通路を転動するコインに押されて開放位置へ移動され、逆方向からの押動時は前記遮蔽位置に保持されるとを特徴とするコインセレクタ。
【請求項3】
請求項1又は2のコインセレクタにおいて、
前記支軸がコインの転動方向に対し直角方向に配置され、
前記板状体がコインの転動方向に対し前方に傾斜する傾斜部を有し、かつ、自己モーメントにより前記転動通路を遮蔽する方向に回動し、前記コイン転動方向とは逆方向からの押し力によって前記傾斜部が前記遮蔽位置に留められる力を受けることを特徴とする。
【請求項4】
請求項3のコインセレクタにおいて、
前記板状体の先端は、転動通路の画定壁の溝に進入して前記コイン通路を遮蔽することを特徴とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−117072(P2008−117072A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−298095(P2006−298095)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000116987)旭精工株式会社 (210)
【Fターム(参考)】