説明

コイン機器およびそれに用いるセンサ

【課題】 擬似信号体の侵入によって真正コインの通過として検出してしまうことのないようにする。
【解決手段】 コイン通路11に、投入され通過するコイン54を非接触距離Xを置いた検知光路201にて光学的に検知するセンサ40を備え、コイン通路11に侵入する擬似信号体200がセンサ面40a前の所定位置に達し、センサ40に通過コイン54に代る信号を与えないように、センサ40をコイン通路11とセンサ面40aとの間の前記検知光路201外にて擬似信号体200からガードするガード部202を設けることにより、上記の目的を達成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コインの投入を受けるコイン機器、詳しくは、コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを検知するセンサを備え、このセンサの出力をコインや動作機器の管理に供するコイン機器、およびそれに用いるセンサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のコイン機器は、コインセレクタやメダルセレクタとして知られるし(例えば、特許文献1、2)、硬貨、代用硬貨(トークン)、遊戯用コインを選別対象にしたコイン選別装置も知られている(特許文献3、4)。さらに、硬貨識別装置としても知られている(特許文献5、6)。これらは遊技機や自動販売機などコインを投入して動作する各種動作機器に用いられるし、その一部の機構を構成する。いずれにしても、投入され通過するコインや硬貨、コインの有無、種類、真偽によって、受け入れ、計数、収納、通常動作、排出や警告、不動作といった対応が必要となる。
【0003】
中でも、特許文献1、2は、コインゲーム機や自動販売機等の不正使用や不正行為を確実に防止できるようにしている。
【特許文献1】特開平6−36116号公報
【特許文献2】特開2004−333941号公報
【特許文献3】特開2001−155206号公報
【特許文献4】特開2001−155223号公報
【特許文献5】特開2003−296788号公報
【特許文献6】特開2005−31901号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載のものは、コイン通路の途中に設けられたコイン検出用の第1のセンサと、排出口とコイン溜めとの間に設けられたコイン検出用の第2のセンサとを設け、投入されたコインと、それがコイン溜めへ落下するのとを検出できるので、投入コイン検知後の不正な取り出しを防止できるし、薄い板などが挿入された際には今1つのセンサで異物を機械的に検出し、それが透明でも確実に検出できるようにしている。しかし、その異物が通過するコインに代る断続信号を他のセンサに与え続ける擬似信号体であるような場合、異物信号と競合し混乱する。しかも、不正と判定し対応できるまでの間は不正が続いてしまうし、対応するまでに不正行為を中止されると確認できない。また、同様な不正が繰り返されることも防止できない。
【0005】
また、特許文献2に記載のものは、特許文献3、4に記載されているようなコインセレクタ、つまり屈曲したコイン通路の排出口に近い不正の届き難い位置に、コイン通過方向に2つのセンサを設けてコインの検出を行い、それらセンサの通過コインを検出する時間差のある2つのパルス信号から、コインの通過を正確に検出し、また、逆流なども検出できるコインセレクタにおいて、棒状のものを挿入して2つのセンサ位置を通過した後、2つのセンサ位置を外して戻すことを繰り返す場合の不正につき、2つのセンサをコインの通過方向および上下方向の双方に間隔を置いて対応した技術を開示している。しかし、このものは、センサが固定位置にあるため、通過するコインに代る信号をセンサに与える擬似信号体に対しては対応できず、スロットマシンなどの遊戯機でのクレジットが不正に際限なく蓄積される。
【0006】
本発明の目的は、擬似信号体の侵入によって通過コインに代わる信号を受け、真正コインの通過として検出してしまうことのないコイン機器およびそれに用いるセンサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記のような課題を達成するために、本発明のコイン機器は、コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた検知光路にて光学的に検知するセンサを備え、このセンサの出力をコインや動作機器の管理に供するコイン機器において、コイン通路に侵入する擬似信号体がセンサ面前の所定位置に達し、センサに通過コインに代る信号を与えないように、センサをコイン通路とセンサ面との間の前記検知光路外にて擬似信号体からガードするガード部を設けたことを1つの特徴としている。しかし、停止しているコインに対しても同様に有効である。
【0008】
このような構成では、ガード部がコイン通路と、コイン通路に投入され通過するコインを非接触距離を置いた検知光路で光学的に検知するセンサのセンサ面との間の、前記検知光路外に位置していて、コイン通路、検知光路のいずれも遮らないのは勿論、突出もしないので、コインの通過やそのセンサによる検知を邪魔することはなく、しかも、コイン通路のセンサ部へ擬似信号体が侵入してきても、それが通過するコインに代る信号をセンサに与えるセンサ前の所定位置に到達させないで、つまり邪魔をして、センサを擬似信号体からガードし通過するコインに代る擬似信号の影響を受けないようにすることができる。
【0009】
本発明のコイン機器は、また、コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた検知光路にて光学的に検知するセンサを備え、このセンサの出力をコインや動作機器の管理に供するコイン機器において、コイン通路に侵入する擬似信号体がセンサに通過コインに代る信号を与えるセンサ前の所定位置に達しないようにコイン通路とセンサ面との間の前記検知光路外に位置して、センサを擬似信号体からガードするガード部を設けたことを別の特徴としている。
【0010】
このような構成では、ガード部がコイン通路と、コイン通路に投入され通過するコインを非接触距離を置いた検知光路で光学的に検知するセンサのセンサ面との間の、前記検知光路外に位置していて、コイン通路、検知光路のいずれも遮らないのは勿論、突出もしないので、コインの通過やそのセンサによる検知を邪魔することはなく、しかも、その位置は、擬似信号体がコイン通路のセンサ部に侵入してきても、それが通過するコインに代る信号をセンサに与える所定位置に到達させない位置、つまり邪魔をする位置であるので、センサを擬似信号体からガードし通過するコインに代る擬似信号の影響を受けないようにすることができる。
【0011】
検知光路は反射光路であり、所定位置はセンサ面の投光部と受光部とに擬似信号体の信号取り扱い部が対面し合う位置、具体的には接触位置である、さらなる構成では、
センサの検知光路が反射光路であることにより、センサ面とコイン通路を通過するコインとの非接触距離が特定していることに対し、擬似信号体は同じ非接触距離にあるとセンサに検知されてしまい、センサに通過するコインに代る信号を与え得たとしても、センサの出力上それらの信号が重畳するので、折角の擬似信号は生きない。また、擬似信号体が非接触距離内に位置すると、擬似信号体はセンサに検知されずに通過するコインに代る信号をセンサに与えられるが、センサ面から離れた条件ではまわりをいくら暗くしても外乱光は生じ、センサ出力にそれが重畳するので、確実性に欠け、この場合も折角の擬似信号が生きない。しかも、非接触距離よりも大きく離れるのでは集光性の問題もあり信号の明るさは距離の二乗に反比例するので、センサに通過するコインに代る信号を与えること自体が困難になる。そこで、反射型のセンサは、擬似信号体がセンサ面の投光部と受光部とに信号取り扱い部が対向し合う接触状態にて働くことを最善とし、それには、また、センサ側の投光を吸収、遮断し、通過するコインに代る信号を作って受光させるか、センサ側の投光を受け入れてからセンサに戻し受光させることを内部シャッタ機能で定期的に遮断するかでしか対応させないことになる。
【0012】
これに具体的に対応するには、ガード部は、センサ面前の所定位置に侵入してくる擬似信号体を、センサ前の所定位置に対して手前、またはおよび、センサ面の面方向に位置ズレした位置に受け止めればよい。
【0013】
ここに、センサ前所定位置は、センサ面に対向する位置まで侵入させないことと、センサ面に接触するまで近づけないこととを含み、これによって、少なくともセンサの投光が外乱光となって、擬似信号体がセンサに通過するコインに代る信号を与え得たとしてもエラーとすることができるし、擬似信号体がセンサ面に対して傾斜した姿勢ではさらに、擬似信号体が通過するコインに代る信号をセンサ側に出して届くにしても送信方向が斜めになってセンサの受光部に達しないので、エラーとすることができる。また、センサ面の面方向への位置ズレは擬似信号体がセンサ面に接触、非接触の別を問わず信号取り扱い部がセンサの投光部、受光部に対向する位置からズレさせる位置に受け止めることを意味していて、センサ側の投光を受光処理させず、外乱光とさせてしまったり、当然のことながらセンサ側への戻し光とすることもできなくするし、擬似信号体が通過するコインに代る信号を出しているにしてもそれをセンサに受光させられないので、共にエラーとすることができる。
【0014】
以上のようなガード部は、センサ自体に持つことができ、コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた反射型の検知光路にて光学的に検知するセンサにおいて、擬似信号体がセンサ面前の所定位置に位置して通過コインに代る信号を与えないように、前記検知光路外で前記非接触距離未満内にて擬似信号体からガードするガード部をセンサ面に設けたことを特徴とするセンサ、あるいは、擬似信号体がセンサに通過コインに代る信号を与えるセンサ前の所定位置に達しないように、センサ面の前記検知光路外で前記非接触距離未満内にて擬似信号体からガードするガード部を設けたことを特徴とするセンサ、を用いて前記のような擬似信号体に対応することができる。
【0015】
万一、擬似信号体をセンサ面前の所定位置に達しないようにしたときの外乱光によってエラーが検出できないような場合は、コイン通路の投入口からセンサに至る間の途中位置にセンサ部まで侵入している擬似信号体を機械的に検出するセンサを設けて、異物が存在し続けることの検出と併せれば、コインの通過の検出がなくコイン通路に異物を検出しつづけることによりエラーとすることができる。
【0016】
本発明のそれ以上の目的および特徴は、以下の詳細な説明および図面の記載によって明らかになる。本発明の各特徴は、それ単独で、あるいは可能な限りにおいて種々な組合せで複合して用いることができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明のコイン機器やセンサによれば、コインの通過やそのセンサによる検知を邪魔することはなく、擬似信号体がコイン通路のセンサ部に侵入してきてもセンサを擬似信号体からガードし影響を受けないようにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
本発明の実施の形態に係るコイン機器について、図を参照しながら以下説明する。本実施の形態のコイン機器は図1、図2に示すように、特許文献3、4に開示されたコインセレクタ1を一例とするものであり、例えば、図10、図11に示すように、特許文献2に記載されたようなスロットマシン100などの遊技機に用いられる。しかし、本発明は、このようなコインセレクタに限られることはなく、コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを検知するセンサを備え、このセンサの出力をコインや動作機器の管理に供するコイン機器、およびそれに用いるセンサ一般に適用できる。
【0019】
このスロットマシン100は図10に示すように、スロットマシン本体120と、このスロットマシン本体120の前面片側にヒンジ等により開閉可能に取り付けられた前扉130とを備えている。前記前扉130の前面には、図10に示すように、ほぼ中央にゲーム表示部131を設け、ゲーム表示部131の右下隅部に、遊技者がコインを投入するためのコイン投入口132を設け、コイン投入口132のさらに右側には、コイン投入口132から投入され、詰まってしまったコインをスロットマシン100外に強制的に排出するためのリジェクトボタン133が設けられている。
【0020】
ゲーム表示部131の左下方には、ゲームを開始するためのスタートボタン134を設けてあり、前扉130の下端部中央には、コインの払出し口135を設けてある。スロットマシン本体120の内部には図11に示すように、その内底面に固定され、内部に複数のコインを貯留して、貯留したコインを前扉130の前面に設けた払出し口135に1枚ずつ払い出すためのホッパ装置121が設置されている。このホッパ装置121の上部には、上方に向けて開口し、内部に複数のコインを貯留するホッパタンク122を備えている。
【0021】
前扉130の裏面には図11に示すように、コインセレクタ1が、前扉130の前面に設けられたコイン投入口132の裏側に取り付けられている。このコインセレクタ1は、コイン投入口132から投入されたコインの通過を検出しながら、当該コインをホッパ装置121に向かって転動させ、外径が所定寸法と違う異径コインや、鉄又は鉄合金で作製された不正コインを選別して排除するとともに、1ゲームあたりに投入可能な所定枚数以上のコインを選別して排除する。
【0022】
コインセレクタ1の下側には、図11に示すように、その下部側を覆って前扉130の払出し口135に連通する導出路136が設けられている。コインセレクタ1により振り分けられたコインは、この導出路136を介して払出し口135から遊技者に返却される。
【0023】
スロットマシンで遊技を楽しもうとする遊技者は、まず図示しないコイン貸機等から遊技媒体であるコインを借り、コイン投入装置のコイン投入口132に直接コインを入れることができる。スロットマシンの筐体の中央部及び上部には、遊技者側に向かって臨む四角窓状の表示窓が形成されている。そして、この中央部の表示窓の中央には、三個の回転リールの図柄を見ることができる図柄表示窓が形成されている。スタートボタン134は回転リールの斜め下方に位置するレバーであって、遊技コインの投入を条件に、リールユニットの駆動を開始させる。リールユニットは、ストップスイッチによりその駆動が停止される。リールユニットは、三個の回転リールから構成されている。そして、各回転リールは、合成樹脂からなる回転ドラムと、この回転ドラムの周囲に貼付されるテープ状のリールテープとを備えている。
【0024】
コインセレクタ1は図1、図2に示すように、プラスチック等の合成樹脂で形成された矩形状のメインプレート2と、このメインプレート2の表面の上半部強を開閉自在に覆うステンレス等の金属板により形成されたゲートプレート3とを備えている。メインプレート2の表面とゲートプレート3の裏面との間に、コイン投入口132に上端が連通し、下端が下方へ向け延設された第1のコイン通路10と、該第1のコイン通路10の下端に連通し、図面右下方へ向けて直線状に延設された第2のコイン通路11が形成されている。ゲートプレート3はその右側方に配設された軸5を介しメインプレート2に対し回動自在に支承され、またこのゲートプレート3は軸5に巻回されたコイルバネ6の付勢力により常時は閉じているが、コイン54の詰まり解除やメンテナンスなどのためにはゲートプレート3をコイルバネ6に抗して表面側へ開くことができる。
【0025】
ゲートプレート3の下端には図1〜図3に示すような第2のコイン通路11に沿い、メインプレート2側へ折り曲げられた直線状のフランジからなる一本の傾斜転送レール3aが形成されている。また、第2のコイン通路11には、第2のコイン通路11内を転送するコイン54をその外径の差異により選別するコイン選別手段12が設けられている。このコイン選別手段12は、ゲートプレート3に形成され、傾斜転送レール3aから上縁3bまでの高さが転送される真正のコイン54の外径よりも若干短く形成された切り欠3cと、この切り欠3cが形成された側壁がコインの進行方向に対し外側へ傾斜した傾斜壁3dとを備え、第1のコイン通路10の下端にあって、コイン投入口132から落下するコイン54を切り欠3cの傾斜壁3d側へバネで常時押し付けるコイン押付け手段13と協働し、真正なコイン54よりも小さな径の不正コイン類を傾斜壁3dに沿わせることで傾斜転送レール3aから外し落し、遊戯者に返還するようにしている。また、コイン押付け手段13の上流に位置するメインプレート2の表面には、コイン投入口132から落下するコイン54の板厚をシックネススクリューの突出により規制する板厚規制手段15が設けられ、所定厚以上の不正コイン類は受け付けないようにしている。
【0026】
一方、第2のコイン通路11の途中には前記コイン選別手段12を介し選別されて前記第2のコイン通路11を通過するコイン54を、この第2のコイン通路11から強制的に排除するコイン強制排除手段20が設けられている。このコイン強制排除手段20は、メインプレート2側に軸22を中心に回動自在に支承されて、コイン排除位置に常時位置するようにバネで付勢したコイン排除レバー23と、このコイン排除レバー23を図示せぬ制御装置の駆動信号に基づいて第2のコイン通路11内から待避させるソレノイド25とよりなり、スロットマシン100が遊戯者の投入するコイン54をクレジットとして溜め置く上下に達しない間は退避位置に保持しておくが、上限に達したときはソレノイド25をオフしてコイン排除レバー23を排除位置に戻し、以降投入されるコイン54は強制的に排除して遊戯者に返還するようにしている。なお、コイン排除レバー23にはコイン案内レバー30が付帯して連動し、コイン排除レバー23が退避位置にあるとき、コイン案内レバー30はコイン54がコイン強制排除手段20の位置で転落しないように案内する。
【0027】
また、第1のコイン通路10には、コイン投入口132から投入されたコイン54に当接し、コイン54の落下速度を緩和させるコイン落下速度緩和手段60が設けられ、ゲートプレート3の表面に回動自在に支承されたスイングレバー62と、このスイングレバー62を常時時計方向へ付勢するバネ63とから構成されている。
【0028】
さらに、第2のコイン通路11の排出口11a側には、投光素子20aおよび受光素子20bを1組としたフォトカプラからなる反射式のコイン検出用のセンサ40がコイン54の通過方向に隣接して一対設けられ、第2のコイン通路11内を排出口11aへ通過していくコイン54の数を検出する。
【0029】
上記コインセレクタ1の構成上、センサ40の位置には真正なコイン54が到達し、通過する。また、通過するコイン54はクレジット方式上50枚程度を上限としてスロットマシン100にストックされるので、時間を掛けて遊戯しようとする遊戯者が多数枚のコイン54を連続投入することがある。この場合、図2に示すようにコイン54は
連続してセンサ40の位置を通過する。この連続するコイン54の枚数をカウントするのにセンサ40は通過するコイン54の直径線上を大きく外した位置でコイン54を検出することにより、特許文献2が開示するように通過するコイン54の間の隙間を利用したパルス波形をなした出力で検出ができ、パルス数=コイン数となる。また、隣接する2つのセンサ40のコイン検出タイミングにはズレがあるので、それぞれの検出出力のパルスに特定の位相差が生じる。これによって、コイン54の連続投入、断続投入の別なく正確な枚数をカウントしてクレジットすることができる。
【0030】
しかし、既述したように、通過するコイン54に代る断続信号をセンサ40に与え続ける図4、図5に仮想線で示すような擬似信号体200の侵入があるような場合、これを無能化する対策はまだなく、侵入異物の検出によって、あるいはクレジットのコイン枚数と払い出しコイン枚数との関係を、その間のゲーム状況と照合することによって、擬似投入操作のあったことを判定するにすぎず、それに気付いて対応するまでの間、被害に遭っていることになる。
【0031】
そこで、本実施の形態では、コイン54が投入される第1、第2のコイン通路10、11に、投入され通過するコイン54を図3に示す非接触距離Xを置いた検知光路201にて光学的に検知するセンサ40を上記のように備え、このセンサ40の出力をコイン54や動作機器であるスロットマシン100などの管理に供するコイン機器であるコインセレクタ1において、第1、第2のコイン通路10、11に侵入する擬似信号体200がセンサ面40a前の所定位置に達し、センサ40に通過コイン54に代る信号、一例としては既述したパルス信号を与えないように、センサ40を、第1、第2のコイン通路10、11、具体的には第2のコイン通路11とセンサ面40aとの間の前記検知光路201外にて擬似信号体200からガードするガード部202を設けている。これにより、ガード部02は、図3、図5に示すように、第2のコイン通路11と投入され通過するコイン54を非接触距離Xを置いた検知光路201で光学的に検知するセンサ40のセンサ面40aとの間の、図1、図3、図4に示すように検知光路201外に位置していて、第2のコイン通路11、検知光路201のいずれも遮らないのは勿論、突出もしないので、コイン54の通過やそのセンサ40による検知を邪魔することはなく、しかも、第2のコイン通路11のセンサ40部へ擬似信号体200が侵入してきても、それが通過するコイン54に代る信号をセンサ40に与えるセンサ40前の図12(a)、図13(a)に示すような所定位置に到達させないで、つまり邪魔をして、センサ40を擬似信号体200からガードし通過するコイン54に代る擬似信号の影響を受けないようにすることができる。
【0032】
換言すると、コインセレクタ1において、第1、第2のコイン通路10、11に侵入する擬似信号体200がセンサ40に通過コイン54に代るパルス信号を与えるセンサ40前の所定位置に達しないように第2のコイン通路11とセンサ面40aとの間の前記検知光路201外に位置して、センサ40を擬似信号体200からガードするガード部202を設けたものでもあり、これによっても、ガード部202は、第2のコイン通路11、検知光路201のいずれも遮らないのは勿論、突出もしないので、コイン54の通過やそのセンサ40による検知を邪魔することはなく、しかも、その位置は、擬似信号体200が第2のコイン通路11のセンサ40部に侵入してきても、それが通過するコイン54に代るパルス信号をセンサ40に与える図12(a)、図13(a)に仮想線でしめすような所定位置に到達させない位置、つまり邪魔をする位置であるので、センサ40を擬似信号体200からガードし通過するコイン54に代る擬似信号の影響を受けないようにすることができる。
【0033】
これらの結果、コイン54の通過やそのセンサ40による検知を邪魔することなく、擬似信号体200が第2のコイン通路11のセンサ40部に侵入してきてもセンサ40を擬似信号体200から、具体的には擬似信号体200からの信号操作からガードし影響を受けないようにすることができる。
【0034】
ここで、検知光路201は図3に示すように反射光路であり、所定位置は図12(a)、図13(a)に示すようにセンサ面40aの投光部である投光素子20aと受光部である受光素子20bとの2組分に擬似信号体200の図12(b)に示すような4つの信号取り扱い部200aが対向し合う接触位置となっている。これを満足するのに現在使われている擬似信号体200は、正面から見て図4に示すような面上で湾曲した板形態をなして、コイン投入口132から第1のコイン通路10、第2のコイン通路11へ侵入し、上端部200bがコイン投入口132に位置決めされた時点で、先端部の信号取り扱い部200aが配列された擬似信号作用面をなす先端部200cがセンサ面40aの手前に到達するようにしている。また、先端部200cはセンサ40のセンサ面40aの広さに合った細幅部をなし、上端部200b側で第1、第2のコイン通路10、11に侵入する幅広な本体部200dとの間に、第2のコイン通路11部からセンサ40側に大きく湾曲した湾曲部200eを有し、湾曲部200eから先端部200cが先端に向けセンサ40側に斜めに屈曲している。この湾曲形状および屈曲形状は形状記憶され、いつでもこの状態に復元できるようになっている。
【0035】
これにより、擬似信号体200は、コイン投入口132から挿入されると、狭い第1、第2のコイン通路10、11を前記湾曲形状および屈曲形状を押し延ばされながら侵入し、先端部200cはセンサ40部への侵入直前位置にある図13のガード壁211を乗り越えていくのに従い、前記屈曲形状への復元力によって先端側からセンサ40のセンサ面40aに近づき、また着地して先へ滑っていきながら徐々に沿っていき、先端部200cの後端がガード壁211から外れるに至ると、前記屈曲形状への復元力によってセンサ面40aへ一挙に落し込まれて、図12(a)、図13(a)に仮想線で示す圧着状態とされるようにしている。これによって、擬似信号体200はほぼ失敗なくセンサ40に対する所定位置に位置させられる。
【0036】
しかし、センサ40の検知光路201が反射光路であることにより、センサ面40aと第2のコイン通路11を通過するコイン54との非接触距離Xが特定していることに対し、擬似信号体200は同じ非接触距離Xにあるとセンサ40に検知されてしまい、センサ40に通過するコイン54に代るパルス信号を与え得たとしても、センサ40の出力上それらの信号が重畳するので、折角の擬似信号は生きない関係になる。また、擬似信号体200が非接触距離X内に位置すると、擬似信号体200はセンサ40に検知されずに通過するコイン54に代るパルス信号をセンサ40に与えられるが、センサ面40aから離れた条件ではまわりをいくら暗くしても外乱光は生じ、センサ40の出力にそれが重畳する関係となるので、確実性に欠け、この場合も折角の擬似信号が生きない。しかも、非接触距離Xよりも大きく離れるのでは集光性の問題もあり信号の明るさは距離の二乗に反比例するので、センサ40に通過するコイン54に代るパルス信号を与えること自体が困難になる。そこで、反射型のセンサ40は、擬似信号体200がセンサ面40aの投光素子20aと受光素子20bとに信号取り扱い部200aが対向し合う接触状態にて働くことを最善とし、それには、また、センサ40側の投光を吸収、遮断し、通過するコイン54に代るパルス信号を作って受光させるか、センサ40側の投光を受け入れてからセンサ40に戻し受光させることを内部シャッタ機能で定期的に遮断するかでしか対応させないことになる。
【0037】
このような特定の働きが必要となる擬似信号体200の使用に対して具体的に対応するには、ガード部202は、センサ面40a前の所定位置に侵入してくる擬似信号体200を、センサ40前の所定位置に対して手前、またはおよび、センサ面40aの面方向に位置ズレした位置に受け止めればよいことになる。ここに、センサ前手前位置は、センサ面40aに対向する位置まで侵入させないことと、図5に仮想線で示すように擬似信号体200をセンサ面40aに接触するまで近づけないこととを含み、これによって、少なくともセンサ40の投光が外乱光となって、擬似信号体200がセンサ40に通過するコイン54に代る信号を与え得たとしてもエラーとすることができるし、図5に仮想線で示すように擬似信号体200がセンサ面40aに対して傾斜した姿勢となる手前位置ではさらに、擬似信号体200が通過するコイン54に代るパルス信号をセンサ40側に出して、それがセンサ40に届くにしても、送信方向が斜めになってセンサ40の受光素子20bに達しないので、エラーとすることができる。また、センサ面40aの面方向への図6に仮想線で示すような位置ズレは、擬似信号体200がセンサ面40aに接触、非接触の別を問わず信号取り扱い部200aがセンサ40の投光素子20a、受光素子20bに対向する位置からズレさせる位置に受け止めることを意味していて、センサ40側の投光を受光処理させず、外乱光とさせてしまったり、当然のことながらセンサ40側への戻し光とすることもできなくするし、擬似信号体200が通過するコイン54に代るパルス信号を出しているにしてもそれをセンサ40に受光させられないので、共にエラーとすることができる。
【0038】
図示する例について詳述すると、図1〜図6に示す例では、ガード部202は、センサ面40の下部にバー部材212を横設し、接着などして固定するようにしてあり、侵入してきた擬似信号体200の先端部200cの下辺側がセンサ面40aの手前で図4、図5、図6に仮想線で示すように当接して、先端部200cがガード部202上を滑りながらガード壁211を完全に取り越えた位置でも、ガード部202の前面以上にはセンサ面40aに近づけず、前記屈曲形状部および湾曲形状部のばね性によって先端部200cの上辺部がセンサ面40aに近づけるにしても、図5に仮想線で示すように傾斜してしまうので、仮想線で示すように接触できないかどうかにかかわらずエラーとなる。しかも、擬似信号体200はガード壁211を越えた部分で先端部200cは第2のコイン通路11と同じような表裏からの挟圧を受けて扁平化し、先端側への延びを示して信号取り扱い部200aがセンサ40の投光素子20aおよび受光素子20bと正しく対向できる所定位置にないことによってもエラーとなる。
【0039】
バー部材212は、図7に示すようなL字型の一辺として形成してコイン通過方向上流側から前記センサ面40aの下部位置へ挿入して、他辺212aをガード壁211に連続する部分に接着などしたり、垂直面上でコの字型の上辺部としてコイン通過方向上流側から前記センサ面40aの下部位置へ挿入して、下部辺212bとの間でセンサ支持壁213の上下を挟み込んで固定したり、水平面上でコの字型の前辺部としてコイン通過方向下流側からセンサ面40aの下部位置に挿入して、後部辺212cとの間でセンサ40の前後を挟み込んで固定したりしてもよい。この場合、センサ40の前後面に有した凹部と係合する突起212dを設けておけば固定するのに有利である。また、2つのセンサ40の間にできる隙間314に嵌め込んで固定する固定部212eを持ったバー部材212として、センサ面40の下部位置に配置して嵌め込み固定してもよい。
以上のようにコインセレクタ1自体を一切変更することなしに、バー部材212を後付けするだけで簡単に改良することができ便利である。
【0040】
ここで、センサ面40aに対して擬似信号体200の先端部200cを所定位置とさせないためにガード部202がセンサ面40a上で採り得る代表的なパターンを示すと、図8(a)の上辺バー部材212、図8(b)の2つのセンサ40の中央に配置した、あるいは図示しないコイン通過方向上流側または下流側に配置した縦向きバー部材212、図8(c)に示すように2つのセンサ40の2つずつの投光素子20a、受光素子20bの境界部に位置するように配した十字部材214、図8(d)に示すように2つのセンサ40の2つずつの投光素子20a、受光素子20bを囲う形の枠型部材215、図8(e)に示すような2つのセンサ40の投光素子20a、受光素子20bの組どうしを個別に囲うめがね型枠部材216、図8(f)に示すような2つのセンサ40の2つずつの投光素子20a、受光素子20bのそれぞれを個別に囲う格子型枠部材217などがあり、先端部200cを傾斜させて、あるいは平行にセンサ面40aから離すことができ、そのいずれの場合もエラーにできる。しかも、図8(b)の縦向きバー部材212はその位置によって、あるいは先端部200cの侵入の仕方によっては、先端部200cが先端をセンサ面40aに接触しながらコイン通過方向下流へ移動するときに所定位置の手前で当接させて、それ以上侵入させなくセンサ40に対しコイン通過方向に位置ズレさせる役目をしてエラーを誘うこともできる。
【0041】
これらのパターンのガード部202は、センサ40のセンサ面40a自体に固設したり、一体成形して設けられるし、センサ40のセンサ面40aに図9に示すような突起218を1つ以上もうけてガード部とすることもできる。このような突起218も先端部200cを所定位置のコイン通過方向手前で受け止め位置ズレさせる機能も発揮できる。しかも、センサ40自体で擬似信号体200に対するがードを完結しておける利点がある。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明のコイン機器やセンサによれば、コイン遊技機などに実用して、コインの通過やその検出を邪魔せず、擬似信号体の侵入があっても働かないようにガードできる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の実施の形態を示すコインセレクタの正面図である。
【図2】図1のコインセレクタのコイン連続通過状態を示す正面図である。
【図3】図1のコインセレクタのコイン排出口側から見た一部の側面図である。
【図4】図1のコインセレクタに擬似信号体が侵入した場合のゲートプレートを外して見た説明図である。
【図5】図4の状態のコインセレクタのコイン排出口側から見た一部の側面図である。
【図6】図5のコイン通路部の平面図である。
【図7】本発明の実施の形態におけるガード部の別の例を幾つか示すコイン通路部の平面図である。
【図8】ガード部の他の形態を示す説明図である。
【図9】ガード部を持ったセンサの斜視図である。
【図10】本実施の形態のコインセレクタが装備される一般スロットマシンを示す正面図である。
【図11】図10のスロットマシンの蓋を開いて見た内部構造図である。
【図12】従来のコインセレクタと擬似信号体との関係を示すコイン通路をコイン排出口側からみた説明図および擬似信号体の先端部の正面図である。
【図13】図12のコインセレクタのコイン通路部の平面図および擬似信号体の先端部の平面図である。
【符号の説明】
【0044】
X 非接触距離
1 コインセレクタ
10 第1のコイン通路
11 第2のコイン通路
20a 投光素子
20b 受光素子
40 センサ
40a センサ面
54 コイン
100 スロットマシン
132 コイン投入口
200 擬似信号体
200a 信号取り扱い部
200b 上端部
200c 先端部
200d 本体部
200e 湾曲部
201 検知光路
202 ガード部
212 バー部材
214 十字部材
215 枠型部材
216 めがね型枠部材
217 格子型枠部材
218 突起

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた検知光路にて光学的に検知するセンサを備え、このセンサの出力をコインや動作機器の管理に供するコイン機器において、
コイン通路に侵入する擬似信号体がセンサ面前の所定位置に達し、センサに通過コインに代る信号を与えないように、センサをコイン通路とセンサ面との間の前記検知光路外にて擬似信号体からガードするガード部を設けたことを特徴とするコイン機器。
【請求項2】
コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた検知光路にて光学的に検知するセンサを備え、このセンサの出力をコインや動作機器の管理に供するコイン機器において、
コイン通路に侵入する擬似信号体がセンサに通過コインに代る信号を与えるセンサ前の所定位置に達しないようにコイン通路とセンサ面との間の前記検知光路外に位置して、センサを擬似信号体からガードするガード部を設けたことを特徴とするコイン機器。
【請求項3】
検知光路は反射光路であり、所定位置はセンサ面の投光部と受光部とに擬似信号体の信号取り扱い部が対面し合う位置である請求項1、2のいずれか1項に記載のコイン機器。
【請求項4】
ガード部は、擬似信号体をセンサ前の所定位置に対して手前、またはおよび、センサ面の面方向に位置ズレした位置に受け止める請求項3に記載のコイン機器。
【請求項5】
コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた反射型の検知光路にて光学的に検知するセンサにおいて、
擬似信号体がセンサ面前の所定位置に位置して通過コインに代る信号を与えないように、前記検知光路外で前記非接触距離未満内にて擬似信号体からガードするガード部をセンサ面に設けたことを特徴とするセンサ。
【請求項6】
コインが投入されるコイン通路に、投入され通過するコインを非接触距離を置いた反射型の検知光路にて光学的に検知するセンサにおいて、
擬似信号体がセンサに通過コインに代る信号を与えるセンサ前の所定位置に達しないように、センサ面の前記検知光路外で前記非接触距離未満内にて擬似信号体からガードするガード部を設けたことを特徴とするセンサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−252398(P2006−252398A)
【公開日】平成18年9月21日(2006.9.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−70732(P2005−70732)
【出願日】平成17年3月14日(2005.3.14)
【出願人】(505093688)株式会社IT−FK (1)
【出願人】(505093699)有限会社ホワイトレディ (2)
【Fターム(参考)】