説明

コネクタおよび輸液チューブセット

【課題】プライミングを行なう際に、それを充分に行なうことができるコネクタおよび輸液チューブセットを提供すること。
【解決手段】コネクタ5Aは、第1の流路74を有する筒状の第1のコネクタ部7Aと、第1の流路74に設けられ、変形することにより第1の流路74を開閉する弁体51と、第1のコネクタ部7Aの外周部に装着され、弁体51を変形させることにより第1の流路74を開閉する操作を行なう第1のキャップ8と、第1のコネクタ部7Aと異なる位置に設けられ、第2の流路621を有する筒状の第2のコネクタ部6と、第2のコネクタ部6の外周部に装着され、第2の流路621の開口部623に対して封止/封止解除を行なう第2のキャップとを備えている。このコネクタ5Aは、第1のキャップ8および/または第2のキャップ9を操作することにより、コネクタ5A内の空気を排出可能に構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタおよび輸液チューブセットに関する。
【背景技術】
【0002】
輸液、輸血、栄養投与等に用いる液体の流路接続を必要とする医療用具においては、薬液、血液、流動食等の液体を持続的、一時的に流す際、液体の流路(回路)の接続、脱離を必要に応じて行う必要がある。このとき、回路の途中に液体の流路同士を接続する接続具を取り付けることが知られている。
【0003】
このような接続具の代表的なものとしては、三方活栓(コネクタ)がある(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1に記載のコネクタ(接続具)は、内腔部(凹部)を有するコネクタ本体(ベース)と、コネクタ本体から突出形成された管状をなす3つの接続部とを有している。3つの接続部のうちの2つの接続部には、それぞれ、弁体が設置されている。このような構成のコネクタでは、弁体が設置された2つの接続部をそれぞれ「メス側接続部」と言い、残りの接続部を「オス側接続部」と言う。メス側接続部には、管体(例えば、チューブやシリンジの口部)が接続可能であり、当該管体の接続/非接続に応じて、弁体が開/閉する。
【0004】
特許文献1のコネクタを用いて、輸液回路を構成するには、輸液バッグとチューブとを別途用意し、チューブの一端側を輸液バッグに接続し、他端側をコネクタの例えばメス側接続部に接続する。これにより、輸液回路が構成される。この輸液回路では、チューブおよびコネクタ内の空気を輸液で置換した、すなわち、プライミングした際に、その空気が輸液回路から抜けきれず、輸液回路が充分にプライミングされない場合があった。すなわち、この状態で、輸液回路のコネクタの1つのメス側接続部を患者に予め接続されたチューブに接続すると、輸液回路内の空気が患者側へ流れてしまうおそれがあった。
【0005】
【特許文献1】特開2005−137407号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、プライミングを行なう際に、それを充分に行なうことができるコネクタおよび輸液チューブセットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
このような目的は、下記(1)〜(13)の本発明により達成される。
(1) 内部に液体が通過可能な第1の流路を有する、少なくとも1つの筒状の第1のコネクタ部と、
前記第1の流路に設けられ、変形することにより前記第1の流路を開閉する開閉部を有する弁体と、
前記第1のコネクタ部と異なる位置に設けられ、一端が開口し、液体が通過可能な第2の流路を有する筒状の第2のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部および前記第2のコネクタ部と異なる位置に設けられ、前記第1の流路および前記第2の流路にそれぞれ液体を注入可能な液体注入部とを備えたコネクタであって、
前記第1のコネクタ部の外周部に装着される第1の装着部と、該第1の装着部に対して変位可能に設けられ、前記弁体を変形させることにより前記第1の流路を開閉する操作を行なう操作機構と、気体が通過する第1の通気路とを有する第1のキャップと、
前記第2のコネクタ部の外周部に装着される第2の装着部と、該第2の装着部に設けられ、気体が通過する第2の通気路と、前記第2の流路の開口部を液密に封止し得る封止部と、該封止部を前記開口部を封止する封止位置とその封止を解除する封止解除位置とに移動操作する操作部とを有する第2のキャップとを有し、
前記第1のキャップを前記第1のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記操作機構の作動によって前記開閉部が開状態となったときに、前記第1の流路と前記第1の通気路とが連通し、該第1の通気路を介して前記コネクタ内の空気が排気され、
前記第2のキャップを前記第2のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記封止部が前記封止解除位置にあるとき、前記第2の流路と前記第2の通気路とが連通し、該第2の通気路を介して前記コネクタ内の空気が排気され、前記封止部が前記封止位置にあるとき、前記第2の流路と前記第2の通気路とが閉塞するよう構成されていることを特徴とするコネクタ。
【0008】
(2) 前記第2の装着部は、前記第2のコネクタ部に対し着脱自在に装着されるよう構成されている上記(1)に記載のコネクタ。
【0009】
(3) 前記第2のキャップが前記第2のコネクタ部から取り外された際、前記第2のコネクタ部は、管状体に対して挿入可能となり、該管状体に挿入された状態で前記第2の流路と前記管状体内とが連通する上記(2)に記載のコネクタ。
【0010】
(4) 前記弁体は、弾性材料で構成され、前記開閉部付近を押圧することにより該開閉部が開き、この押圧を解除すると前記開閉部が閉じるよう構成されたものであり、
前記第1の装着部は、筒状をなし、その内周部が前記第1のコネクタ部の外周部に係合するものであり、
前記操作機構は、前記開閉部付近を押圧する押圧部と、該押圧部を前記第1の装着部の軸方向に沿って移動操作する操作機構側操作部とを有する上記(1)ないし(3)のいずれかに記載のコネクタ。
【0011】
(5) 前記押圧部は、前記第1の装着部の内周側に設置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものであり、
前記押圧部の内腔部は、その両端が開口しており、前記第1の通気路として機能する上記(4)に記載のコネクタ。
【0012】
(6) 前記第1のキャップは、前記押圧部の内腔部に設けられ、気体は通過するが液体は通過しないフィルタ部材を有する上記(5)に記載のコネクタ。
【0013】
(7) 前記弁体は、少なくとも一部が前記第1の流路となる内腔部を有する胴部と、平面状の頂面から前記内腔部に到達するスリットで構成された前記開閉部とを有する頭部とを有する上記(1)ないし(6)のいずれかに記載のコネクタ。
【0014】
(8) 前記第1の装着部は、前記第1のコネクタ部に対し着脱自在に装着されるよう構成されている上記(1)ないし(7)のいずれかに記載のコネクタ。
【0015】
(9) 前記第1のキャップが前記第1のコネクタ部から取り外された際、前記第1のコネクタ部には、管状体が挿入可能となり、該挿入された管状体によって前記弁体が変形して、前記第1の流路と前記管状体内とが連通する上記(8)に記載のコネクタ。
【0016】
(10) 内部に液体が通過可能な第1の流路を有する筒状の第1のコネクタ部と、
前記第1の流路に設けられ、変形することにより前記第1の流路を開閉する開閉部を有する弁体と、
前記第1のコネクタ部と異なる位置に設けられ、一端が開口し、液体が通過可能であり、前記第1の流路と連通する第2の流路を有する筒状の第2のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部および前記第2のコネクタ部と異なる位置に設けられ、前記第1の流路および前記第2の流路にそれぞれ液体を注入可能な液体注入部とを備えたコネクタであって、
前記第1のコネクタ部の外周部に装着される第1の装着部と、該第1の装着部に対して変位可能に設けられ、前記弁体を変形させることにより前記第1の流路を開閉する操作を行なう操作機構と、気体が通過する第1の通気路とを有する第1のキャップを有し、
前記第1のキャップを前記第1のコネクタ部に装着した状態で、前記操作機構の作動によって前記開閉部が開状態となったときに、前記第1の流路と前記第1の通気路とが連通し、該第1の通気路を介して排気可能となるよう構成されていることを特徴とするコネクタ。
【0017】
(11) 内部に液体が通過可能な第1の流路を有する、少なくとも1つの筒状の第1のコネクタ部と、
前記第1の流路に設けられ、変形することにより前記第1の流路を開閉する開閉部を有する弁体と、
前記第1のコネクタ部と異なる位置に設けられ、一端が開口し、液体が通過可能な第2の流路を有する筒状の第2のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部および前記第2のコネクタ部と異なる位置に設けられ、前記第1の流路および前記第2の流路にそれぞれ液体を注入可能な液体注入部とを備えたコネクタであって、
前記第1のコネクタ部の外周部に装着される第1の装着部と、該第1の装着部に対して変位可能に設けられ、前記弁体を変形させることにより前記第1の流路を開閉する操作を行なう操作機構と、気体が通過する第1の通気路とを有する第1のキャップと、
前記第2のコネクタ部の外周部に装着される第2の装着部と、前記第2の流路の開口部を封止し得る封止部と、該封止部に設けられ、気体が通過するフィルタ部材とを有する第2のキャップとを有し、
前記第1のキャップを前記第1のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記操作機構の作動によって前記開閉部が開状態となったときに、前記第1の流路と前記第1の通気路とが連通し、該第1の通気路を介して前記コネクタ内の空気が排気され、
前記第2のキャップを前記第2のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記コネクタ内の空気が、前記第2の流路から前記フィルタ部材を介して排気されるよう構成されていることを特徴とするコネクタ。
【0018】
(12) 上記(10)または(11)に記載のコネクタと、
前記第2のコネクタ部および前記液体注入部にそれぞれ接続された2本のチューブと、
前記第2のコネクタ部に接続されたチューブに設置され、該チューブを封止するチューブ封止部材とを備えることを特徴とする輸液チューブセット。
【0019】
(13) 上記(1)ないし(11)のいずれかに記載のコネクタと、
一端側が前記コネクタに接続可能であり、他端側が輸液バッグに接続可能なチューブとを備えることを特徴とする輸液チューブセット。
【0020】
また、前記封止部は、有底筒状をなすものであり、前記封止位置にあるとき、内周部が前記第2のコネクタ部の外周部に嵌合するのが好ましい。
【0021】
前記操作部は、前記封止部の外周部に突出形成され、該外周部の外径よりも拡径したフランジで構成されているのが好ましい。
【0022】
前記第2の装着部は、筒状をなすものであり、その内周部に軸方向に沿って形成され、前記第2のコネクタ部の外周部に当接する複数の凸条を有し、
隣接する前記凸条同士の間には、間隙が形成されており、前記第2の通気路として機能するのが好ましい。
【0023】
前記第2のコネクタ部は、その外径が前記第2の流路の前記開口部側に向かって漸減したテーパ部を有するのが好ましい。
【0024】
前記押圧部は、前記第1の装着部の内周側に設置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものであり、
前記操作機構側操作部は、前記第1の装着部を介して、前記押圧部の外周側に配置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものであるのが好ましい。
【0025】
前記第1のキャップが前記第1のコネクタ部から取り外された際、該取り外された第1のキャップと前記第1のコネクタ部とを連結する連結手段を有するのが好ましい。
【0026】
前記第1のキャップは、前記操作機構の作動により前記開閉部が開状態となった際、該開状態を維持する維持手段を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、プライミングを行なった際に、コネクタ内の空気を排出することができる。これにより、当該コネクタ内全体を液体で満たすことができ、よって、プライミングを充分に行なうことができる。
【0028】
また、排気後に所定の操作を行なうことにより、コネクタ内を密閉状態とすることができ、よって、液体がコネクタから漏れたり、汚染されたりするのを確実に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明のコネクタおよび輸液チューブセットを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0030】
<第1実施形態>
図1〜図3は、それぞれ、本発明のコネクタの第1実施形態を示す縦断面図(図1は第1の流路が閉じ、第2の流路が開いている状態を示し、図2は第1の流路および第2の流路がそれぞれ閉じている状態を示し、図3は第1の流路が開き、第2の流路が閉じている状態を示す)、図4は、図2中のA−A線断面図、図5は、図2中のB−B線断面図、図12は、本発明の輸液チューブセットを示す概略図である。なお、以下では、説明の都合上、図1〜図3中(図6〜図8、図10および図11も同様)の左側を「左」または「左方」と言い、右側を「右」または「右方」と言う。また、図1〜図3および図12中(図6、図8および図11も同様)の上側を「上」または「上方」と言い、下側を「下」または「下方」と言う。
【0031】
図12に示す輸液チューブセット(輸液セット)1は、生体(患者)に輸液を注入(投与)する装置(セット)である。
【0032】
輸液には、例えば、薬液、補正用電解質液、生理食塩水等、生体に投与し得るあらゆる液が含まれる。
【0033】
また、輸液が薬液である場合、その薬液中の薬剤の種類は、特に限定されず、例えば、鎮静薬、静脈麻酔薬、麻酔系鎮痛薬、局所麻酔薬、非脱分極性筋弛緩薬、昇圧薬、降圧薬、冠血管拡張薬、利尿薬、抗不整脈薬、気管支拡張薬、止血剤、ビタミン剤、抗生剤、脂肪乳剤等いかなるものでもよい。
【0034】
輸液チューブセット1は、第1の輸液チューブ(第1のチューブ組立体)4bと、第1の輸液チューブ4bの一端部が接続可能なコネクタ5Aと、第1の輸液チューブ4bの他端部に設けられる瓶針451(接続部)とを備えている。以下、これらの各構成要素について順次説明する前に、輸液チューブセット1が接続される輸液投与部2について説明する。
【0035】
輸液投与部2は、患者の血管110に留置される留置針またはカテーテル(本実施形態では、留置針21)と、この留置針またはカテーテル(本実施形態では、留置針21)の基端部に接続された輸液投与部側コネクタ26とを有している。
【0036】
留置針21(またはカテーテル)の構成材料としては、留置する部位によっては、翼付静注針など金属の針のものでもよいが、好ましくは可撓性を有する高分子材料、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエステル、ポリウレタン等の熱可塑性樹脂等が挙げられる。
【0037】
留置針21のハブ211には、チューブ24を介して、輸液投与部側コネクタ26が接続されている。また、チューブ24には、ワンタッチで止められるストップクランプ25が設置されている。
【0038】
輸液投与部側コネクタ26は、コネクタ5Aが接続可能なポート261を有している。また、輸液投与部側コネクタ26には、第1の輸液チューブ4bと同様の構成の第2の輸液チューブ(第2のチューブ組立体)4aが接続される。
【0039】
次に、第1の輸液チューブ4bおよび第2の輸液チューブ4aを説明するが、これら第1の輸液チューブ4bと第2の輸液チューブ4aとの構成は同様であるので、代表的に、第2の輸液チューブ4aを説明する。
【0040】
第2の輸液チューブ4aは、可撓性(柔軟性)を有し、輸液の流路を構成するチューブ41と、チューブ41の下端部(一端側)に設けられたコネクタ43と、チューブ41の上端部(他端側)に設けられ、輸液が収納された輸液バッグ(輸液容器)(収納部)32側に接続される接続部として、鋭利な針先を有する瓶針451とを備えている。第2の輸液チューブ4aは、輸液バッグ32を鉛直上方に配置し、コネクタ43を鉛直下方に配置した状態で用いられる。
【0041】
チューブ41の構成材料としては、例えば、軟質ポリ塩化ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブタジエン等、あるいはこれらを主とする材料が挙げられる。
【0042】
また、チューブ41の途中には、輸液の流量を調節する流量調節手段として、スライド式のクレンメ(スライドクレンメ)46と、点滴筒44とが、それぞれ、設けられている。このスライドクレンメ46としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができるが、例えば、特開2004−49319号公報のようなものが挙げられる。
【0043】
また、スライドクレンメ46は、ローラー型のクレンメなど、流量を調節できるものであれば、他のものでも構わない。
【0044】
輸液バッグ31内には、所定の輸液が収納されており、瓶針451がこの輸液バッグ31の栓(ゴム栓)を穿通(穿刺)すると、瓶針451を介し、輸液バッグ31と第2の輸液チューブ4aとが接続され、輸液バッグ31から第2の輸液チューブ4a側へ輸液が供給され得る状態となる。
【0045】
点滴筒44は、瓶針451の近傍に設置されている。この点滴筒44により、輸液の流量を目視で確認することができる。
【0046】
また、逆流防止弁49が、コネクタ43と点滴筒44の間に設置されている。逆流防止弁49は、輸液バッグ32からコネクタ5Aの方向への一方向弁である。逆流防止弁49は、コネクタ43と点滴筒44の間であれば、どこに設置されても良いが、好ましくは、コネクタ43により近い所、更に好ましくは、コネクタ43の内部に設置される方が良い。
【0047】
逆流防止弁49は、その内部に、図示しない一対の板状の開閉部材が形成された弁本体を有し、各開閉部材は、弾性力(復元力)により互いに密着し、これにより、逆流防止弁49内の流路は、閉塞している。輸液流が下側から上側に向いている場合には、その輸液により圧力が各開閉部材の外面にかかり、開閉部材同士を密着させるように作用する。このため、輸液は、下側から上側には流れない。
【0048】
一方、輸液流が上側から下側に向いている場合には、その輸液により所定の圧力が各開閉部材の基端側(テーパ面)にかかり、その圧力により各開閉部材が離間する方向に変位し、逆流防止弁49内の流路が開通する。これにより、輸液は、基端側から先端側に流れる。
【0049】
逆流防止弁49は、輸液ポンプなどによって注入が確実な場合には無くとも良い場合もあるが、設置されていることがより好ましい。また、弁体51が円盤状のものや、球状のもの(玉形弁)等のような逆流防止の機能を持つものであれば、他の構成(形状)のものでも構わない。この第2の輸液チューブ4aによれば、第2の輸液チューブ4aのコネクタ5Aに接続された第1の輸液チューブ4bからある程度の圧力を加えて輸液を投与しても、逆流防止弁49により、その輸液が第2の輸液チューブ4aの上流側(基端側)へ流れ込むのを防止することができ、確実に、輸液を患者へ投与することができる。
【0050】
チューブ41の下端部には、コネクタ43が設けられている。このコネクタ43は、管状部431と、当該管状部431に回転可能に支持された筒状のロック部432とを有している(図1〜図3参照)。管状部431は、その外周がテーパ状をなしている。また、ロック部432の内周部には、雌ネジ部433が形成されている。この雌ネジ部433は、後述する第3のコネクタ部7Bの雄ネジ部738と螺合することができる。この螺合により、コネクタ43とコネクタ5Aとを確実に接続することができる。
【0051】
図1〜図3に示すコネクタ5Aは、筒状をなす3つのコネクタ部(ポート)を有している。これら3つのコネクタ部のうち、2つのコネクタ部は、互いに反対方向に向かって突出して設けられている。以下、2つのコネクタ部のうちの図1中(図2および図3も同様)右側に位置するコネクタ部を「第1のコネクタ部(メスコネクタ部)7A」と言い、左側に位置するコネクタ部を「第2のコネクタ部(オスコネクタ部)6」と言う。また、残りの1つのコネクタ部は、第1のコネクタ部7Aおよび第2のコネクタ部6と直行する方向(図2中上方)に向かって突出して設けられている。以下、この3つ目のコネクタ部を「第3のコネクタ部(メスコネクタ部)7B」と言う。このように、コネクタ5Aは、全体としてT字状をなすように形成されている。
【0052】
また、コネクタ5Aは、第1のコネクタ部(コネクタ部)7Aおよび第3のコネクタ部7B内にそれぞれ収納された弁体51と、第1のコネクタ部7Aに着脱自在に装着される第1のキャップ(キャップ)8と、第2のコネクタ部6に着脱自在に装着される第2のキャップ(キャップ)9とをさらに有している。
【0053】
第1のコネクタ部7Aは、第1のキャップ8が取り外された状態で、例えば、チューブやシリンジの口部のような管状体が挿入可能となる部位である。この第1のコネクタ部7Aの構成は、第3のコネクタ部7Bの構成とほぼ同一であるため、以下、第3のコネクタ部7Bついての説明を省略し、第1のコネクタ部7Aについて代表的に説明する。
【0054】
図1(図2および図3も同様)に示すように、第1のコネクタ部7Aは、コネクタ部本体72と、蓋部73とを備えている。
【0055】
コネクタ部本体72は、その内部に弁体設置部721が形成されている。この弁体設置部721は、第2の内腔部(内腔部)723と、それより第2のコネクタ部6側に位置し、第2の内腔部723の内径よりも縮径した第3の内腔部(内腔部)724とに分けることができる。また、第3の内腔部724の内径は、後述する弁体51の胴部55の外径より若干大きいのが好ましい。
【0056】
また、コネクタ部本体72の底面722の中心部には、管状体で構成された内部突起725が設けられている。図3に示すように弁体51が押圧され始めたとき、この内部突起725により、弁体51の内部が支えられて、弁体51に座屈が生じる(弁体51がくの字状に折れる)のを防止することができる。また、液体がコネクタ5A内を通過するに際し、液体の滞留が生じるのを防ぐことができる。
【0057】
蓋部73は、内部に弁体51を収納する空間(内腔部)を有し、コネクタ部本体72(弁体設置部721)に連結される(装着される)ものである。
【0058】
蓋部73の内部には、後述する弁体51の頭部50が挿入可能な第1の内腔部731と、第1の内腔部731に連通し、第1の内腔部731より拡径した嵌合部733とが形成されている。
【0059】
第1の内腔部731は、その形状が弁体51の頭部50の外形に対応するよう形成されている。
【0060】
また、嵌合部733は、コネクタ部本体72の外周部に嵌合する部位である。これにより、蓋部73とコネクタ部本体72とが液密に連結され、よって、コネクタ5Aの内部の液体が蓋部73とコネクタ部本体72との間から漏れるのを防止することができる。また、蓋部73とコネクタ部本体72とが連結した際、第1の内腔部731と第2の内腔部723とが連通し、第1の内腔部731、第2の内腔部723および第3の内腔部724で形成された空間に弁体51を設置(収納)することができる。
【0061】
蓋部73の外周部には、雄ネジ部738が形成されている。第1のコネクタ部7Aでは、その雄ネジ部738は、第1のキャップ8と螺合する部位である。また、第3のコネクタ部7Bでは、その雄ネジ部738は、コネクタ43のロック部432の雌ネジ部433と螺合することができる。
【0062】
このような構成の第1のコネクタ部7Aでは、その内側の空間(内腔部)が、液体が通過可能な流路(第1の流路74)として機能する。また、第3のコネクタ部7Bも第1のコネクタ部7Aと同様に、内側の空間(内腔部)が、液体が通過可能な流路(第3の流路75)として機能する。第1の流路74と第3の流路75とは、直交し、互いに連通している。
【0063】
図1に示すように、第1のコネクタ部7A(第1の流路74)内および第3のコネクタ部7B内には、それぞれ、弁体51が収納(固定)されている。
【0064】
各弁体51は、弾性材料で構成されている。この弾性材料としては、例えば、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、アクリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、ヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴム、フッ素ゴムのような各種ゴム材料や、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマーが挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を混合して用いることができる。このような弾性材料を用いることにより、弁体51の頂面511に適度な弾性を得ることができる。これにより、第1のコネクタ部7A(第3のコネクタ部7Bも同様)に管状体(例えば、シリンジの口部)を接続した際、当該管状体の端面と頂面511とが液密に密着ことができる。
【0065】
図1に示すように、弁体51は、管状の胴部55と、胴部55の一端部に一体的に設けられた頭部50とを有している。
【0066】
頭部50は、その形状が有底筒状をなしており、液体が通過可能な内腔部515と、平面状の頂面511から内腔部515に到達するスリット(開閉部)512とが形成されている。このスリット512は、その形状がほぼ一文字状をなしている。スリット512の形状がこのように簡単であることにより、頂面511(スリット512付近)を押圧した際に当該頂面511が変形し、よって、スリット512が容易に(確実に)開口する(開く)。また、この押圧を解除した際には、頂面511が復元し、よって、スリット512が確実に閉じる。このように弁体51は、自己閉塞性を有するものである。
【0067】
また、このようなスリット512の作動により、第1の流路74を容易かつ確実に開閉することができる。
【0068】
また、頂面511が平面状をなしていることにより、前記管状体を接続する場合、予め、頂面511(スリット512)を容易に消毒することができる。
【0069】
また、頭部50は、前述したような押圧力が付与されていないとき、蓋部73の第1の内腔部731に挿入され、スリット512が閉じている。
【0070】
胴部55は、蛇腹状をなした筒状体で構成されている。すなわち、胴部55は、外形において大径リング部552と小径リング部553とが軸方向に交互に配列された蛇腹状をなしている。このような胴部55は、弁体51をその胴部55側から頭部50側に向って(頭部50が蓋部73の第1の内腔部731に挿入される方向に)付勢する変形部(付勢手段)として機能している。
【0071】
このように胴部55が変形部として機能していることにより、別途に付勢手段を構成するための部品をコネクタ5Aに設ける必要がなく、部品点数の減少、構造の簡素化に寄与することができる。
【0072】
また、この胴部55は、弁体51がその胴部55側から頭部50側に向って復元する復元力の大半を担っているが、頭部50がその復元力の一部を担っていてもよい。
【0073】
前述したように、第3のコネクタ部7Bには、弁体51が収納されている。コネクタ5Aでは、第3のコネクタ部7Bと弁体51とにより、液体を注入可能な液体注入部が構成されている。この液体注入部から注入された液体は、第3の流路75を通過し、第1の流路74および後述する第2のコネクタ部6の第2の流路621にそれぞれ供給される。これにより、コネクタ5A内の空気を液体に置換する、すなわち、コネクタ5Aに対してプライミングすることができる。
【0074】
第1のコネクタ部7Aには、第1のキャップ8が着脱自在に装着される。第1のキャップ8は、第1のコネクタ部7Aの外周部(雄ネジ部738)に装着される第1の装着部(装着部)81と、第1の装着部81に対して変位可能に設けられた操作部材(操作機構)82とを有している。
【0075】
第1の装着部81は、筒状体で構成されている。第1の装着部81の内周部には、第1のコネクタ部7Aの雄ネジ部738と螺合する(係合する)雌ネジ部811が設けられている。第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aに装着するには、第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aに対して所定方向に回転させることにより、雌ネジ部811と雄ネジ部738とが螺合する。これにより、第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aに装着することができる。また、第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aから取り外すには、第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aに対して前記とは反対方向に回転させることにより、それ(取り外し操作)を行なうことができる。
【0076】
操作部材82は、第1のキャップ8が第1のコネクタ部7Aに装着された状態(装着状態)で、弁体51を変形させることにより第1の流路74を開閉する操作を行なうものである。操作部材82は、弁体51の頂面511(スリット512付近)を押圧する押圧部83と、押圧部83を第1の装着部81の軸方向(図1〜図3中左右方向)に沿って移動操作する操作部(操作機構側操作部(第1の操作部))84とを有している。
【0077】
押圧部83は、第1の装着部81の内周側に設置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものである。すなわち、押圧部83は、筒状をなし、第1の装着部81と同心的に配置されたものである。これにより、弁体51に対する押圧部83の位置決めがなされ、押圧部83が変位した際に弁体51を確実に押圧することができ、また、その押圧を解除、すなわち、弁体51から確実に離間することができる。よって、第1の流路74の開閉が確実に行なわれる。
【0078】
押圧部83の外周部には、外径が弁体51側に向って漸減したテーパ部831が形成されている。このテーパ部831が形成されていることにより、押圧部83が第1のコネクタ部7Aに挿入される際に、押圧部83の端部が第1のコネクタ部7Aの開口部の縁部に引っ掛かるのが防止され、よって、その挿入操作を容易に行なうことができる。
【0079】
また、前述したように押圧部83は筒状をなしているため、その内腔部は、両端が開口したものとなっている。この内腔部は、気体が通過する通気路(第1の通気路832)として機能する。押圧部83が弁体51を押圧してスリット512が開口した際には、この開口したスリット512を介して、第1の流路74と第1の通気路832とが連通する。これにより、第1の流路74内の空気を第1の通気路832から排出することができる(図3参照)。
【0080】
操作部84は、押圧部83の外周側に配置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものである。すなわち、操作部84は、筒状をなし、押圧部83と同心的に配置されたものである。また、操作部84は、その右端部が押圧部83の右端部と連結されている。このような操作部84と押圧部83とは、一体的に形成されるのが好ましい。これにより、操作部材82を製造する際、それを容易に行なうことができ、よって、製造コストを抑えることができる。
【0081】
操作部84の内周部841と押圧部83の外周部との間には、間隙が形成されており、この間隙に、第1の装着部81が挿入されている。第1の装着部81の外周部の右端部付近には、突出形成された2つの突部812が配置されている。各突部812は、それぞれ、操作部材82を操作するときに、操作部84の内周部841を摺動する。これにより、操作部材82が安定して移動することができ、よって、操作部材82に対する操作が容易となる。
【0082】
また、操作部84の内周部841には、各突部812よりも左側に、内径が変化する段差部842が形成されている。図1、図2に示すように、段差部842に各突部812がそれぞれ当接することにより、操作部材82が第1の装着部81から不本意に離脱するのを確実に防止することができる。コネクタ5Aでは、段差部842と各突部812とにより、操作部材82が第1の装着部81から離脱するのを防止する離脱防止手段が構成されていると言うことができる。
【0083】
また、操作部84には、その右端部に、管壁を貫通する2つの貫通孔843が形成されている。各貫通孔843は、それぞれ、各突部812に対応した位置に設けられている。図3に示すように、操作部材82の作動によりスリット512が開状態となった(開口した)際、各突部812は、それぞれ、各貫通孔843の縁部に係合する。これにより、操作部材82の位置が規定され(固定され)、よって、スリット512の開状態を確実に維持することができる。これにより、空気が排出されるまで、スリット512を開状態とすることができる。コネクタ5Aでは、各貫通孔843と各突部812とにより、スリット512の開状態を維持する維持手段が構成されていると言うことができる。
【0084】
第1のコネクタ部7Aの反対側には、第2のコネクタ部6が配置されている。第2のコネクタ部6は、第2のキャップ9が取り外された状態で、例えば、三方活栓が有するポートに対して挿入可能となる部位である。この第2のコネクタ部6は、形状が筒状をなし、その内腔部が液体が通過可能な第2の流路621として機能する。また、第2の流路621は、一端(図1中左側)が開口し、他端部(図1中右側)が第1の流路74と第3の流路75とに連通している。
【0085】
また、第2のコネクタ部6は、その外径が第2の流路621の開口部623側に向かって漸減したルアーテーパ部(テーパ部)622を有している。例えば三方活栓に第2のコネクタ部6を接続する際に、このルアーテーパ部622により、いわゆるルアー接続を行なうことができる。これにより、コネクタ5Aと三方活栓が連通し、コネクタ5Aから三方活栓に液体を供給することができる。
【0086】
また、ルアーテーパ部622は、漸減したテーパが開口部623側の一部だけであってもよく、また、ルアーテーパ部622の同心円状の外周に、ネジ式のロック部材(図示せず)を設置して、ルアーロックが可能な形状にする等、一般的な輸液回路と接続可能な形態であれば、これに限定されない。
【0087】
第2のコネクタ部6には、第2のキャップ9が着脱自在に装着される。この第2のキャップ9は、全体として有底筒状をなす部材であり、この部材を、第2のコネクタ部6の外周部(ルアーテーパ部622)に装着される第2の装着部91と、第2の流路621の開口部623を液密に封止し得る封止部92と、封止部92を移動操作する操作部(第2の操作部)93とに分けることができる。
【0088】
第2のキャップ9では、内径が変化する段差部94が形成されており、この段差部94よりも右側が第2の装着部(装着部)91となっており、左側が封止部92となっている。
【0089】
第2の装着部91は、その内周部911に形成された複数(図5に示す構成では3本)のリブ(凸条)912を有している。各リブ912は、それぞれ、第2の装着部91の軸方向に沿って形成されており、第2のコネクタ部6のルアーテーパ部622に当接している。これにより、第2のキャップ9が第2のコネクタ部6に対して支持され、よって、当該第2のキャップ9が安定して軸方向に沿った移動することができる。
【0090】
図5に示すように、これらのリブ912は、第2の装着部91の中心軸回りに等角度間隔に配置されている。これにより、第2のキャップ9が第2のコネクタ部6に対して安定して支持され、前記第2のキャップ9の移動が容易となる。
【0091】
また、隣接するリブ912同士の間には、間隙が形成されている。各間隙は、それぞれ、気体が通過する通気路(第2の通気路913)として機能する(図1参照)。各間隙の横断面積の合計は、開口部623の横断面積の20%以上が好ましく、35〜98%がより好ましい。
【0092】
また、第2のコネクタ部6から第2のキャップ9を取り外す際には、所定の大きさの力で第2のキャップ9を左方に引張ることで、それを行なうことができる。
【0093】
封止部92は、第2の装着部91よりも内径が縮径している。これにより、封止部92の内周部921が第2のコネクタ部6のルアーテーパ部622に嵌合することができ、よって、第2の流路621の開口部623を確実に封止することができ、第2の流路621と第2の通気路913とが遮断される(閉塞する)(図2、図3参照)。このときの封止部92の位置を「封止位置」と言う。また、この封止位置から封止部92が左方に移動すると、封止部92の内周部921と第2のコネクタ部6のルアーテーパ部622とが離間し、よって、第2の流路621の開口部623に対する封止が解除される(図1参照)。このときの封止部92の位置を「封止解除位置」と言う。
【0094】
使用する前のコネクタ5Aを組み立てた状態では、第2のキャップ9は、封止解除位置に設置されている。
【0095】
なお、封止部92の底部には、弾性材料(例えばゴム材料)で構成されたパッキン(封止部材)95が設置されていてもよい。これにより、封止位置でパッキン95が第2の流路621の開口部623を塞ぐこととなり、よって、第2の流路621の開口部623に対してより確実に封止することができる。
【0096】
パッキン95は、封止部92の内周部921に設置されていてもよく、この場合Oリング状のパッキンであってもよい。
【0097】
封止部92の外周部には、フランジが突出形成されている。このフランジは、封止部92の外周部の外径よりも拡径した板状をなす部位であり、操作部93として機能する。封止部92を封止位置から封止解除位置へ、または、封止解除位置から封止位置へ移動する際には、操作部93に指を掛けて、その操作を行なうことができる。
【0098】
図1に示す状態で、プライミングを行なうと、輸液は、コネクタ5Aの第3の流路75および第2の流路621まで至る。このとき、第2の流路621と第2の通気路913とが連通しているので、第2の流路621内の空気が第2の通気路913を介して排出される。これにより、第2の流路621の端部(開口部623付近)にまで輸液が充填されることとなり、よって、プライミングを充分に行なうことができる。また、排気後に、第2のキャップ9を図2中矢印方向に操作して、第2の流路621の開口部623を封止する。
【0099】
第2のキャップ9を操作することにより、第2の流路621の開口部623を封止した後、前述したように第1のキャップ8を操作し、第1の流路74内のプライミングを行う。これにより、コネクタ5A内の全ての流路(第1の流路74、第2の流路621、第3の流路75)のプライミングが完了する。この場合、前述したように第1のキャップ8(操作部材82)を操作すると、開状態の弁体51を介して、第1の流路74と第1の通気路832とが連通し、第1の流路74内の空気が第1の通気路832を介して排出される(図3参照)。これにより、第1の流路74の端部にまで輸液が充填されることとなり、よって、プライミングを充分に行なうことができる。また、排気後に、第1のキャップ8を操作して、開状態の弁体51を再度閉状態とする。これにより、コネクタ5A内の液密性が維持され、よって、例えば、輸液が漏れたり、汚染されたりするのを確実に防止することができる。
【0100】
また、操作が完了したときには、第2のキャップ9により、第2の流路621の開口部623を封止してあるので、コネクタ5A内の液密性が維持され、よって、例えば、輸液が漏れたり、汚染されたりするのを確実に防止することができる。
【0101】
また、プライミング後に、第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aから取り外した場合には、この第1のコネクタ部7Aに前記管状体を接続する(挿入する)ことができる。この接続状態では、前記管状体によって弁体51が変形して開状態となり、第1の流路74と前記管状体の内部(内腔部)とが連通する。これにより、第1の流路74から前記管状体へ輸液を供給することができる。
【0102】
また、プライミング後に、第2のキャップ9を第2のコネクタ部6から取り外した場合には、この第2のコネクタ部6を輸液投与部2の輸液投与部側コネクタ26のポート261に接続する(挿入する)ことができる。この接続状態では、第2の流路621と輸液投与部側コネクタ26(ポート261)とが連通する。これにより、第2の流路621から輸液投与部2へ輸液を供給することができる。
【0103】
なお、コネクタ5A(弁体51およびパッキン95を除く)の構成材料としては、特に限定されないが、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体等のポリオレフィン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリブタジエン、ポリ塩化ビニル等の各種樹脂材料が挙げられる。
【0104】
次に、輸液チューブセット1の使用方法の一例について、図12を参照しつつ説明する。
【0105】
ここでは、第2の輸液チューブ4aを、患者に輸液を投与するための第1輸液ライン(第1輸液ルート)、すなわち、主に、基本液等が流される輸液チューブとし、第1の輸液チューブ4b(輸液チューブセット1)を、患者に輸液を投与するための第2輸液ライン(第2輸液ルート)、すなわち、主に、副ルートとして用い、例えば、脂肪乳剤、治療薬、抗生剤等が流される輸液チューブとする場合を例に挙げて説明する。また、患者の血管(例えば、末梢静脈等)110には、予め留置針21留置されている。
【0106】
第2の輸液チューブ4aを接続するにあたり、まず、輸液バッグ31に、例えば維持輸液剤を調剤する。
【0107】
次に、第2の輸液チューブ4aのコネクタ43を輸液投与部2の輸液投与部側コネクタ26のポート262に接続する。
【0108】
次に、この輸液の収納された輸液バッグ31の栓(ゴム栓)に第2の輸液チューブ4aの瓶針451を穿通(穿刺)する。これにより、瓶針451を介し、輸液バッグ31と第2の輸液チューブ4aとが接続され、輸液バッグ31から第2の輸液チューブ4a側へ輸液が供給され得る状態となる。
【0109】
次に、第2の輸液チューブ4aの流路をプライミングする。
次に、第2の輸液チューブ4aのスライドクレンメ46を操作し、第2の輸液チューブ4aの輸液の流量(投与速度)を維持輸液剤の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0110】
次に、患者の容態によって、一定時間の間隔をおいて、例えば抗生剤を投与するために用いる第1の輸液チューブ4bを接続するにあたり、まず、輸液バッグ32に抗生剤を溶解した生理食塩水を調剤する。
【0111】
次に、第1の輸液チューブ4bのコネクタ43をコネクタ5Aの第3のコネクタ部7Bに接続する。このとき、コネクタ5Aは、図1に示す状態となっている。
【0112】
次に、この輸液の収納された輸液バッグ32の栓(ゴム栓)に第1の輸液チューブ4bの瓶針451を穿通(穿刺)する。これにより、瓶針451を介し、輸液バッグ32と第1の輸液チューブ4bとが接続され、輸液バッグ32から第1の輸液チューブ4b側へ輸液が供給され得る状態となる。
【0113】
次に、第1の輸液チューブ4bの流路(コネクタ5Aの第1の流路74〜第3の流路75を含む)をプライミングする。このとき、前述したように、排気操作を行なうことができるため、第1の輸液チューブ4bの流路の全体が輸液で満たされることとなる。
【0114】
次に、コネクタ5Aの第2のコネクタ部6から第2のキャップ9を取り外し、その第2のコネクタ部6を輸液投与部2の輸液投与部側コネクタ26のポート261に接続する。
【0115】
次に、第1の輸液チューブ4bのスライドクレンメ46を操作し、第1の輸液チューブ4bの輸液の流量(投与速度)を抗生剤の指示流量(指示投与速度)に調節し、その輸液を投与する。
【0116】
このようにして、第2の輸液チューブ4aから維持輸液剤を、第1の輸液チューブ4bから抗生剤を溶解した生理食塩水を、それぞれ、患者に投与することができる(混注することができる)。また、このとき、第1の輸液チューブ4bからは空気が除去されているため、生理食塩水のみが患者側へ流れる。
【0117】
<第2実施形態>
図6は、本発明のコネクタの第2実施形態を示す縦断面図(第1の流路が開き、第2の流路が閉じている状態を示す図)である。
【0118】
以下、この図を参照して本発明のコネクタおよび輸液チューブセットの第2実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0119】
本実施形態は、第1のキャップがフィルタ部材をさらに有すること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0120】
図6に示すコネクタ5Bでは、第1のキャップ8が、気体は通過するが液体は通過しない機能を有するフィルタ部材85をさらに備えている。このフィルタ部材85は、押圧部83の第1の通気路832の途中に設けられている。
【0121】
第1のキャップ8により排気操作が行なわれた際に、空気とともに輸液が第1の通気路832に流出した場合、この輸液をフィルタ部材85でせき止めることができる。これにより、コネクタ5Bから不本意に輸液が流出するのを確実に防止することができる。また、例えば直接手で触れることによって、皮膚表面が汚染される危険性の高い、例えば抗がん剤などの薬剤を扱う場合であっても、指先等の皮膚表面が汚染されることが確実に防止され、かつ、プライミングを完了することができる。さらに、操作者がプライミング操作が終了した後も、開口状態を維持した状態のままで保持し、第1のキャップ8を取り外すことなく投与を始めた場合であっても、薬剤や、患者の体液(血液)等が漏れ出ることが防止され、輸液の投与が可能となる。
【0122】
なお、フィルタ部材85は、その表面が疎水化処理されているか、または、疎水性膜(疎水膜)であるのが好ましい。前記疎水性膜の構成材料としては、例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンの共重合体(FEP)、テトラフルオロエチレンとパーフルオロアルキルビニルエーテルの共重合体(PFA)、ポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)、ポリフッ化ビニリデン(PVDF)、エチレンとテトラフルオロエチレンの共重合体(ETFE)、エチレンとクロロトリフルオロエチレンの共重合体(ECTFE)、ポリプロピレン(PP)等が挙げられる。フィルタ部材9は、これらの材料を、延伸法、ミクロ相分離法、電子線エッチング法、焼結法、アルゴンプラズマ粒子等の方法で多孔質としたものが好適に用いられる。また、前記疎水化処理の方法は、特に限定されず、例えば、フィルタ部材9の表面に、疎水性を有する構成材料をコーティングする方法等が挙げられる。
【0123】
<第3実施形態>
図7は、本発明のコネクタの第3実施形態を示す縦断面図である。
【0124】
以下、この図を参照して本発明のコネクタおよび輸液チューブセットの第3実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0125】
本実施形態は、第2のコネクタ部に装着されていた第2のキャップと、第3のコネクタ部に設置されていた弁体とが省略され、また、コネクタが連結手段をさらに有すること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0126】
図7に示すコネクタ5Cでは、第2のコネクタ部6の左端部に、第2の流路621の内径よりも内径が拡径した拡径部624が設けられている。この拡径部624には、チューブ11が接続されている。
【0127】
また、第2のコネクタ部6の途中には、管状をなす第3のコネクタ部7B’が突出形成されている。第3のコネクタ部7B’の内腔部が第3の流路75として機能し、第2の流路621に連通して(合流して)いる。第3のコネクタ部7B’には、チューブ12が接続されている。このチューブ12を介して第3のコネクタ部7B’(第3の流路75)に流入した液体(輸液)は、第1の流路74および第2の流路621に流れ込む(注入される)。
【0128】
また、本実施形態の輸液チューブセット1では、チューブ11に、例えばストップクランプ25(図12参照)のようなチューブ封止部材(図示せず)が設けられて(装着されて)いる。これにより、第3のコネクタ部7B’から注入された液体を止めることができる。これにより、前記第1、第2実施形態の第2のキャップ9と同様の機能を発揮する。
【0129】
さて、このような構成のコネクタ5Cは、第1のキャップ8が第1のコネクタ部7Aから取り外された際、この第1のキャップ8と第1のコネクタ部7Aとを連結する2つの連結部材(連結手段)13を有している。各連結部材13は、それぞれ、可撓性を有する線状または帯状をなすものである。また、各連結部材13の左端部131は、第1のコネクタ部7A(蓋部73)の外周部に固定され、右端部132は、第1のキャップ8の第1の装着部81の外周部に固定されている。この固定方法としては、特に限定されず、例えば、接着(接着剤や溶媒による接着)による方法、融着(熱融着、高周波融着、超音波融着等)による方法等が挙げられる。
【0130】
このような連結部材13が設けられていることにより、第1のキャップ8を第1のコネクタ部7Aから取り外した際に、第1のキャップ8が不本意に落下するのを防止することができる。また、取り外された第1のキャップ8を紛失するのを防止することができる。
【0131】
なお、各連結部材13の構成材料としては、特に限定されないが、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィンのような軟質樹脂材料が挙げられる。
【0132】
<第4実施形態>
図8は、本発明のコネクタの第4実施形態を示す縦断面図、図9は、図8中のC−C線断面図、図10は、図8中のD−D線断面図である。
【0133】
以下、これらの図を参照して本発明のコネクタおよび輸液チューブセットの第4実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0134】
本実施形態は、第1のキャップの構成が異なること以外は前記第1実施形態と同様である。
【0135】
図8に示すコネクタ5Dの第1のコネクタ部7Aには、第1のキャップ8Aが着脱自在に装着される。第1のキャップ8Aは、第1のコネクタ部7Aの外周部(雄ネジ部738)に装着される第1の装着部(装着部)81と、第1の装着部81に対して変位可能に設けられた操作部材(操作機構)82とを有している。
【0136】
第1の装着部81は、筒状体で構成されている。第1の装着部81の内周部には、第1のコネクタ部7Aの雄ネジ部738と螺合する(係合する)雌ネジ部811が設けられている。第1のキャップ8Aを第1のコネクタ部7Aに装着するには、第1のキャップ8Aを第1のコネクタ部7Aに対して所定方向に回転させることにより、雌ネジ部811と雄ネジ部738とが螺合する。これにより、第1のキャップ8Aを第1のコネクタ部7Aに装着することができる。また、第1のキャップ8Aを第1のコネクタ部7Aから取り外すには、第1のキャップ8Aを第1のコネクタ部7Aに対して前記とは反対方向に回転させることにより、それ(取り外し操作)を行なうことができる。
【0137】
操作部材82は、第1のキャップ8Aが第1のコネクタ部7Aに装着された状態(装着状態)で、弁体51を変形させることにより第1の流路74を開閉する操作を行なうものである。操作部材82は、弁体51の頂面511(スリット512付近)を押圧する押圧部83と、押圧部83を第1の装着部81の軸方向(図8中左右方向)に沿って移動操作する操作部84とを有している。
【0138】
押圧部83は、第1の装着部81の内周側に設置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものである。すなわち、押圧部83は、筒状をなし、第1の装着部81と同心的に配置されたものである。これにより、弁体51に対する押圧部83の位置決めがなされ、押圧部83が変位した際に弁体51を確実に押圧することができ、また、その押圧を解除、すなわち、弁体51から確実に離間することができる。よって、第1の流路74の開閉が確実に行なわれる。
【0139】
押圧部83の外周部には、外径が弁体51側に向って漸減したテーパ部831が形成されている。このテーパ部831が形成されていることにより、押圧部83が第1のコネクタ部7Aに挿入される際に、押圧部83の端部が第1のコネクタ部7Aの開口部の縁部に引っ掛かるのが防止され、よって、その挿入操作を容易に行なうことができる。
【0140】
図8に示すように、押圧部83の右端部には、管状をなす補助操作部833が設けられている。第1のキャップ8Aを回転して第1のコネクタ部7Aに対して装着/取り外しを行なう際、補助操作部833に指等を掛けることができ、その操作を容易に行なうことができる。なお、補助操作部833の外面は、緩やかな球面状をなすのが好ましい。
【0141】
補助操作部833は、その軸が押圧部83の軸に対してほぼ直交するように配置されている。また、補助操作部833の内腔部834は、第1の通気路832と連通しており、当該第1の通気路832とともに、気体が通過する通気路として機能する。この内腔部834は、補助操作部833の端面で開放しており、開口部835を有している。押圧部83が弁体51を押圧してスリット512が開口した際には、この開口したスリット512を介して、第1の流路74と第1の通気路832とが連通する。これにより、第1の流路74内の空気は、前記通気路(第1の通気路832および内腔部834)を通過し、開口部835を介して、排出される。
【0142】
図10に示すように、操作部84の側壁には、当該側壁を貫通する2つの貫通孔843が形成されている。各貫通孔843には、それぞれ、各突部812が係合している。操作部材82を操作するときに、各突部812は、それぞれ、貫通孔843を摺動する。これにより、操作部材82が安定して移動することができ、よって、操作部材82に対する操作が容易となる。また、各貫通孔843にそれぞれ各突部812が係合していることにより、操作部材82が第1の装着部81から不本意に離脱するのを確実に防止することができる。コネクタ5Dでは、各貫通孔843と各突部812とにより、操作部材82が第1の装着部81から離脱するのを防止する離脱防止手段が構成されていると言うことができる。
【0143】
また、コネクタ5Dでは、操作部材82を押圧操作して、押圧部83が弁体51を押圧している状態から、当該操作部材82に対する押圧力を解除した際には、操作部材82は、弁体51の反発力(復元力)によって元の位置(図8に示す状態)に戻るよう構成されている。これにより、所望のタイミングで排気を停止することができる。
【0144】
図9に示すように、装着部81の内周部には、その軸回りに複数(本実施形態では3つ)の溝813が形成されている。また、操作部材82の押圧部83の外周部には、各溝813に対応する位置に3つのリブ836が設けられている。各リブ836は、それぞれ、溝813に挿入されている。これにより、第1のキャップ8Aを第1のコネクタ部7Aに対して取り付け/取外し操作を行うときには、操作部材82を回転させた際の回転力を第1の装着部81に確実に伝達することができる。また、操作部材82を押圧操作して弁体51を開状態とするときには、各リブ836がそれぞれ溝813によって案内される。これにより、押圧部83が弁体51のスリット512を正確に押圧することができ、弁体51が確実に開状態となる。
【0145】
<第5実施形態>
図11は、本発明のコネクタの第5実施形態を示す縦断面図である。
【0146】
以下、この図を参照して本発明のコネクタおよび輸液チューブセットの第5実施形態について説明するが、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
【0147】
本実施形態は、第2のキャップの構成が異なること以外は前記第4実施形態と同様である。
【0148】
図11に示すコネクタ5Eの第2のキャップ9Aは、全体として筒状をなす部材であり、その左端開口部97がフィルタ部材96で封止されたものである。このフィルタ部材96は、気体は通過するが液体は通過しない機能を有している。第3のコネクタ部7Bから液体(輸液)が第2の流路621に流入した際に、空気とともに輸液が第2の流路621の開口部623に流出すると、この輸液をフィルタ部材96でせき止めることができる。これにより、コネクタ5Eから不本意に輸液が流出するのを確実に防止することができる。また、第2のキャップ9Aに対しての操作(移動操作)を省略して、排気を確実に行なうことができる。
【0149】
なお、フィルタ部材96は、その表面が疎水化処理されているか、または、疎水性膜(疎水膜)であるのが好ましい。前記疎水性膜の構成材料としては、前記第1実施形態のフィルタ部材85についての説明で挙げた材料を用いることができる。
【0150】
また、第2のキャップ9Aの操作部93の縁部には、右方向に突出したリング状の突部931が設けられている。
【0151】
以上、本発明のコネクタおよび輸液チューブセットを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、コネクタおよび輸液チューブセットを構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
【0152】
また、本発明のコネクタおよび輸液チューブセットは、前記各実施形態のうちの、任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【0153】
例えば、前記第2、第4、第5実施形態のコネクタが、前記第3実施形態とほぼ同様の連結部材を有していてもよい。
【0154】
また、前記第3実施形態のコネクタが、前記第2実施形態とほぼ同様のフィルタ部材を有していてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】本発明のコネクタの第1実施形態を示す縦断面図(第1の流路が閉じ、第2の流路が開いている状態を示す図)である。
【図2】本発明のコネクタの第1実施形態を示す縦断面図(第1の流路および第2の流路がそれぞれ閉じている状態を示す図)である。
【図3】本発明のコネクタの第1実施形態を示す縦断面図(第1の流路が開き、第2の流路が閉じている状態を示す図)である。
【図4】図2中のA−A線断面図である。
【図5】図2中のB−B線断面図である。
【図6】本発明のコネクタの第2実施形態を示す縦断面図(第1の流路が開き、第2の流路が閉じている状態を示す図)である。
【図7】本発明のコネクタの第3実施形態を示す縦断面図である。
【図8】本発明のコネクタの第4実施形態を示す縦断面図である。
【図9】図8中のC−C線断面図である。
【図10】図8中のD−D線断面図である。
【図11】本発明のコネクタの第5実施形態を示す縦断面図である。
【図12】本発明の輸液チューブセットを示す概略図である。
【符号の説明】
【0156】
1 輸液チューブセット
110 血管
2 輸液投与部
21 留置針
211 ハブ
24 チューブ
25 ストップクランプ
26 輸液投与部側コネクタ
261、262 ポート
31 輸液バッグ
32 輸液バッグ
4a 第2の輸液チューブ(第2のチューブ組立体)
4b 第1の輸液チューブ(第1のチューブ組立体)
41 チューブ
43 コネクタ
431 管状部
432 ロック部
433 雌ネジ部
44 点滴筒
451 瓶針
46 スライドクレンメ(クレンメ)
49 逆流防止弁
5A、5B、5C、5D、5E コネクタ
50 頭部
51 弁体
511 頂面
512 スリット(開閉部)
515 内腔部
55 胴部
552 大径リング部
553 小径リング部
6 第2のコネクタ部(オスコネクタ部)
621 第2の流路
622 ルアーテーパ部
623 開口部
624 拡径部
7A 第1のコネクタ部(メスコネクタ部)
7B、7B’ 第3のコネクタ部(メスコネクタ部)
72 コネクタ部本体
721 弁体設置部
722 底面
723 第2の内腔部
724 第3の内腔部
725 内部突起
73 蓋部
731 第1の内腔部
733 嵌合部
738 雄ネジ部
74 第1の流路
75 第3の流路
8、8A 第1のキャップ(キャップ)
81 第1の装着部(装着部)
811 雌ネジ部
812 突部
813 溝
82 操作部材(操作機構)
83 押圧部
831 テーパ部
832 第1の通気路
833 補助操作部
834 内腔部
835 開口部
836 リブ
84 操作部(操作機構側操作部(第1の操作部))
841 内周部
842 段差部
843 貫通孔
85 フィルタ部材
9、9A 第2のキャップ(キャップ)
91 第2の装着部(装着部)
911 内周部
912 リブ(凸条)
913 第2の通気路
92 封止部
921 内周部
93 操作部(第2の操作部)
931 突部
94 段差部
95 パッキン(封止部材)
96 フィルタ部材
97 左端開口部
11、12 チューブ
13 連結部材(連結手段)
131 左端部
132 右端部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に液体が通過可能な第1の流路を有する、少なくとも1つの筒状の第1のコネクタ部と、
前記第1の流路に設けられ、変形することにより前記第1の流路を開閉する開閉部を有する弁体と、
前記第1のコネクタ部と異なる位置に設けられ、一端が開口し、液体が通過可能な第2の流路を有する筒状の第2のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部および前記第2のコネクタ部と異なる位置に設けられ、前記第1の流路および前記第2の流路にそれぞれ液体を注入可能な液体注入部とを備えたコネクタであって、
前記第1のコネクタ部の外周部に装着される第1の装着部と、該第1の装着部に対して変位可能に設けられ、前記弁体を変形させることにより前記第1の流路を開閉する操作を行なう操作機構と、気体が通過する第1の通気路とを有する第1のキャップと、
前記第2のコネクタ部の外周部に装着される第2の装着部と、該第2の装着部に設けられ、気体が通過する第2の通気路と、前記第2の流路の開口部を液密に封止し得る封止部と、該封止部を前記開口部を封止する封止位置とその封止を解除する封止解除位置とに移動操作する操作部とを有する第2のキャップとを有し、
前記第1のキャップを前記第1のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記操作機構の作動によって前記開閉部が開状態となったときに、前記第1の流路と前記第1の通気路とが連通し、該第1の通気路を介して前記コネクタ内の空気が排気され、
前記第2のキャップを前記第2のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記封止部が前記封止解除位置にあるとき、前記第2の流路と前記第2の通気路とが連通し、該第2の通気路を介して前記コネクタ内の空気が排気され、前記封止部が前記封止位置にあるとき、前記第2の流路と前記第2の通気路とが閉塞するよう構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記第2の装着部は、前記第2のコネクタ部に対し着脱自在に装着されるよう構成されている請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記第2のキャップが前記第2のコネクタ部から取り外された際、前記第2のコネクタ部は、管状体に対して挿入可能となり、該管状体に挿入された状態で前記第2の流路と前記管状体内とが連通する請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記弁体は、弾性材料で構成され、前記開閉部付近を押圧することにより該開閉部が開き、この押圧を解除すると前記開閉部が閉じるよう構成されたものであり、
前記第1の装着部は、筒状をなし、その内周部が前記第1のコネクタ部の外周部に係合するものであり、
前記操作機構は、前記開閉部付近を押圧する押圧部と、該押圧部を前記第1の装着部の軸方向に沿って移動操作する操作機構側操作部とを有する請求項1ないし3のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項5】
前記押圧部は、前記第1の装着部の内周側に設置され、その周方向に沿って形成された筒状をなすものであり、
前記押圧部の内腔部は、その両端が開口しており、前記第1の通気路として機能する請求項4に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記第1のキャップは、前記押圧部の内腔部に設けられ、気体は通過するが液体は通過しないフィルタ部材を有する請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記弁体は、少なくとも一部が前記第1の流路となる内腔部を有する胴部と、平面状の頂面から前記内腔部に到達するスリットで構成された前記開閉部とを有する頭部とを有する請求項1ないし6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
前記第1の装着部は、前記第1のコネクタ部に対し着脱自在に装着されるよう構成されている請求項1ないし7のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項9】
前記第1のキャップが前記第1のコネクタ部から取り外された際、前記第1のコネクタ部には、管状体が挿入可能となり、該挿入された管状体によって前記弁体が変形して、前記第1の流路と前記管状体内とが連通する請求項8に記載のコネクタ。
【請求項10】
内部に液体が通過可能な第1の流路を有する筒状の第1のコネクタ部と、
前記第1の流路に設けられ、変形することにより前記第1の流路を開閉する開閉部を有する弁体と、
前記第1のコネクタ部と異なる位置に設けられ、一端が開口し、液体が通過可能であり、前記第1の流路と連通する第2の流路を有する筒状の第2のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部および前記第2のコネクタ部と異なる位置に設けられ、前記第1の流路および前記第2の流路にそれぞれ液体を注入可能な液体注入部とを備えたコネクタであって、
前記第1のコネクタ部の外周部に装着される第1の装着部と、該第1の装着部に対して変位可能に設けられ、前記弁体を変形させることにより前記第1の流路を開閉する操作を行なう操作機構と、気体が通過する第1の通気路とを有する第1のキャップを有し、
前記第1のキャップを前記第1のコネクタ部に装着した状態で、前記操作機構の作動によって前記開閉部が開状態となったときに、前記第1の流路と前記第1の通気路とが連通し、該第1の通気路を介して排気可能となるよう構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項11】
内部に液体が通過可能な第1の流路を有する、少なくとも1つの筒状の第1のコネクタ部と、
前記第1の流路に設けられ、変形することにより前記第1の流路を開閉する開閉部を有する弁体と、
前記第1のコネクタ部と異なる位置に設けられ、一端が開口し、液体が通過可能な第2の流路を有する筒状の第2のコネクタ部と、
前記第1のコネクタ部および前記第2のコネクタ部と異なる位置に設けられ、前記第1の流路および前記第2の流路にそれぞれ液体を注入可能な液体注入部とを備えたコネクタであって、
前記第1のコネクタ部の外周部に装着される第1の装着部と、該第1の装着部に対して変位可能に設けられ、前記弁体を変形させることにより前記第1の流路を開閉する操作を行なう操作機構と、気体が通過する第1の通気路とを有する第1のキャップと、
前記第2のコネクタ部の外周部に装着される第2の装着部と、前記第2の流路の開口部を封止し得る封止部と、該封止部に設けられ、気体が通過するフィルタ部材とを有する第2のキャップとを有し、
前記第1のキャップを前記第1のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記操作機構の作動によって前記開閉部が開状態となったときに、前記第1の流路と前記第1の通気路とが連通し、該第1の通気路を介して前記コネクタ内の空気が排気され、
前記第2のキャップを前記第2のコネクタ部に装着した状態で、前記液体注入部から液体を注入した際に、前記コネクタ内の空気が、前記第2の流路から前記フィルタ部材を介して排気されるよう構成されていることを特徴とするコネクタ。
【請求項12】
請求項10または11に記載のコネクタと、
前記第2のコネクタ部および前記液体注入部にそれぞれ接続された2本のチューブと、
前記第2のコネクタ部に接続されたチューブに設置され、該チューブを封止するチューブ封止部材とを備えることを特徴とする輸液チューブセット。
【請求項13】
請求項1ないし11のいずれかに記載のコネクタと、
一端側が前記コネクタに接続可能であり、他端側が輸液バッグに接続可能なチューブとを備えることを特徴とする輸液チューブセット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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