コネクタおよび電気接続箱
【課題】基板に圧入される端子を保持するコネクタで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することが可能なコネクタおよび電気接続箱を提供する。
【解決手段】コネクタ1は、複数の端子を保持する端子ハウジング5と、端子ハウジング5を内嵌可能な形状に形成され、端子ハウジング5との間に端子4の収容スペースを形成するように端子ハウジング5に取り付けられる端子カバー6とを備える。端子カバー6は、端子4の先端部4cの周囲全体を覆う第一位置と、端子ハウジング5が内嵌される第二位置との間で端子ハウジング5に対してスライド可能である。端子カバー6は、第二位置側へスライドするときに先端部4cを通過可能にする複数の孔部を有する。端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の孔部から先端部4cが外部に突出し、端子の圧入部を基板2の対応するスルーホール2aに圧入させることができる。
【解決手段】コネクタ1は、複数の端子を保持する端子ハウジング5と、端子ハウジング5を内嵌可能な形状に形成され、端子ハウジング5との間に端子4の収容スペースを形成するように端子ハウジング5に取り付けられる端子カバー6とを備える。端子カバー6は、端子4の先端部4cの周囲全体を覆う第一位置と、端子ハウジング5が内嵌される第二位置との間で端子ハウジング5に対してスライド可能である。端子カバー6は、第二位置側へスライドするときに先端部4cを通過可能にする複数の孔部を有する。端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の孔部から先端部4cが外部に突出し、端子の圧入部を基板2の対応するスルーホール2aに圧入させることができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のワイヤハーネスに接続され、電源の分岐,分配を行う電気接続箱などに用いるコネクタ、特に、基板のスルーホールに直接接続するプレスフィット端子を保持したコネクタおよび電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板のスルーホールに直接接続するプレスフィット端子を保持したコネクタの技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。これらの従来技術では、ワイヤハーネス側にプレスフィット端子を設け、そのプレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入することで、ワイヤハーネスの電線を基板のスルーホールに直接電気的に接続する。
【0003】
また、従来、コネクタに保護カバーを設けた技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。この従来技術では、コネクタの露出端子に対して保護カバーをスライド自在に設け、保護カバーを押し込んだ状態で露出端子を相手コネクタの露出端子部に接触させるコネクタの端子カバー構造で、保護カバーと相手コネクタの何れか一方に可撓挟着片よりなる保護カバー引き出し用の係合部を設け、何れか他方に係合部に対する係止部を設けたものである。
【特許文献1】特開2004−236416号公報
【特許文献2】特開2005−322556号公報
【特許文献3】特開平6−36823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1及び2に開示された従来技術では、不使用時(プレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入してない時)にプレスフィット端子が露出した状態にあるので、ワイヤハーネス組立工程や輸送経路で端子曲がりが発生し、機械的、電気的接続不良が起きるという問題がある。特に近年は端子サイズの小型化が進み、端子が変形しやすくなる傾向が顕著となっている。
【0005】
また、上記特許文献3に開示された従来技術によれば、不使用時は、保護カバーで覆うことで端子を保護することができる。しかし、この特許文献3に開示された保護カバーの技術を、特許文献1及び2などに開示されているような、基板のスルーホールに直接接続するプレスフィット端子を保持したコネクタの技術に直接適用することはできない。
【0006】
すなわち、特許文献3の技術は、その公報の図8に示されるとおり、露出端子の一側面に形成された弾性接触片と、雌コネクタ部の内側面に形成されたフレキシブルプリント回路体の露出端子部とを電気的に接触させる(側面と側面を電気的に接触させる)技術において、コネクタの露出端子に対してスライド自在の保護カバーで端子を保護するものである。これに対し、特許文献1及び2などの技術は、プレスフィット端子はスルーホールに圧入されて基板と電気的に接続されるものであるため、その端子先端部を全周面露出させる必要がある。従って、特許文献3の技術の保護カバーを特許文献1及び2などの技術に単純に適用するだけでは、不使用時にはプレスフィット端子を保護し、かつ、プレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入する際にプレスフィット端子の電気的接触面を全て露出させることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、基板に圧入される端子を保持するコネクタで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することが可能なコネクタおよび電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るコネクタは、基板に圧入される基板接続部と電線の導体端末が接続される電線接続部を有する端子を保持し、前記端子の基板接続部を前記基板に圧入して前記電線を前記基板に接続するコネクタであって、前記端子を保持する端子ハウジングと、前記端子ハウジングを内嵌可能な形状に形成されるとともに、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容するように前記端子ハウジングに取り付けられる端子カバーと、を備え、前記端子カバーは、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容し前記端子の先端部を覆う第一位置と、前記端子ハウジングを内嵌する第二位置との間で、前記端子ハウジングに対してスライド可能であり、前記第一位置から前記第二位置側へスライドするときに、前記端子の先端部を通過可能にする孔部を有することを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、端子カバーと端子ハウジングが相対的にスライドして端子ハウジングが端子カバーに内嵌すると、端子カバーの孔部から端子の先端部が外部に突出させられる。これにより、端子の先端部を基板に圧入させることができる。また、端子カバーは、第一位置にあるとき、基板接続部のある端子の先端部を覆うことで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記孔部は、外方に向けて縮径する傾斜面で形成されていることを特徴とする。
【0011】
この態様によれば、端子の先端部は、孔部から突出する際に、孔部の傾斜面で基板のスルーホールへ向けて案内され、位置が補正される。これにより、基板に対する端子の位置を適正に確保することができる。つまり、端子の先端部を基板上に形成されたスルーホールに正確に圧入させることができる。これにより、端子サイズの小型化や端子間が狭ピッチ化しても、端子の変形・座屈による断線や隣接端子とのショート接続不良の発生を防止でき、歩留まりが向上する。
【0012】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記端子カバーが前記第一位置に位置するとき、前記孔部に前記端子の先端部がオーバーラップしていることを特徴とする。
【0013】
この態様によれば、端子の先端部は、第一位置にあるとき、穴部にオーバーラップしているため、端子の位置ズレを防止し、スムーズな位置だしを有利に行うことができる。なお、ここにいう「孔部に前記端子の先端部がオーバーラップしている」状態は、端子の先端部が孔部内に達している状態をいう。
【0014】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記端子カバーは、前記端子の先端部全体を囲む形状を有することを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、端子カバーが、不使用時に前記第一位置にあって、端子ハウジングから突出した基板接続部のある端子の先端部全体を囲んで端子を保護するので、ワイヤハーネス組立工程や輸送経路で発生する外力による端子曲がりを防止できる。これにより、機械的、電気的接続不良が発生するのを防止できる。
【0016】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記端子カバーと前記端子ハウジングは、不使用時に、前記端子カバーを前記第一位置に位置決めするロック機構を有することを特徴とする。
【0017】
この態様によれば、不使用時には、ロック機構により、端子カバーが端子の先端部を覆う第一位置に位置決めされているため、容易に端子の先端部が外部に露出することがなく、端子の損傷を防止することができる。
【0018】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記ロック機構は、前記端子カバーと前記端子ハウジングのいずれか一方に設けられ、先端に係合爪を有し弾性のある係合片と、前記端子カバーと前記端子ハウジングの他方に設けられ、前記係合爪が係合する係止部とを有することを特徴とする。
【0019】
この態様によれば、不使用時には、端子カバーと端子ハウジングのいずれか一方に設けられたロック機構の係合片を、その他方に設けられた係止部に係合させることにより、端子カバーを、端子の先端部を覆う第一位置に位置決めして保持することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記係合片には、前記係合片と一体に形成され、前記端子の基板接続部を基板に圧入する過程で前記係合片をロック解除側へ撓ませるロック解除部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この態様によれば、各端子の基板接続部を基板に圧入する過程で、相手部材によりロック解除部が押圧付勢され、係合片をロック解除側へ撓ませるので、係合爪と係止部の係合を解除させることができる。
【0022】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記係合爪は前記端子ハウジングの両側面にそれぞれ形成されており、前記両側面の一方に形成された前記係合爪は前記基板側へ押し込む力を受けると前記係止部の基板側端部に突き当たる係合面を有し、前記両側面の他方に形成された前記係合爪は前記基板から離脱させる力を受けると前記係止部の反基板側端部に突き当たる係合面を有することを特徴とする。
【0023】
この態様によれば、ロック機構は、各係合爪が係止部に係合して端子ハウジングと端子カバーを位置決めしてロックした状態では、端子ハウジングと端子カバーに、基板側へ押し込む力と基板から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。このため、端子カバーは、ロック機構により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように端子カバーを第一位置に保持することができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様に係る電気接続箱は、上記態様のいずれか一つに記載のコネクタと、前記コネクタが収容されるコネクタ収容部を有するケースハウジングと、電子部品が搭載され、かつ複数のスルーホールを有し、前記複数のスルーホールが前記コネクタ収容部に臨むように配置された基板と、を備えることを特徴とする。
【0025】
この態様によれば、端子カバーと端子ハウジングが相対的にスライドして端子ハウジングが端子カバーに内嵌すると、端子カバーの孔部から端子の先端部が外部に突出させられる。これにより、端子の先端部を基板に圧入させることができる。また、端子カバーは、第一位置にあるとき、基板接続部のある端子の先端部を覆うことで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することができる。これにより、不使用時に、露出する端子を保護することが可能な電気接続箱を得ることができる。
【0026】
本発明の他の態様に係る電気接続箱は、前記コネクタ収容部の内壁面に、前記端子の基板接続部を前記基板のスルーホールに圧入する過程で前記ロック解除部に係合し、該ロック解除部を押圧付勢して前記係止片をロック解除側へ撓ませるロック解除用凸部が設けられていることを特徴とする。
【0027】
この態様によれば、各端子の基板接続部を基板に圧入する過程で、コネクタ収容部の内壁面に設けたロック解除用凸部によりロック解除部が押圧付勢され、係合片をロック解除側へ撓ませるので、係合爪と係止部の係合を解除させることができる。
【0028】
本発明の他の態様に係る電気接続箱は、前記コネクタの前記端子カバーが前記第二位置にスライドして前記端子ハウジングが前記端子カバーに内嵌され、前記端子の基板接続部が前記基板のスルーホールに圧入された状態では、前記端子カバーの上端面が前記コネクタ収容部に設けられた仮係止用凸部に係合して仮係止されることを特徴とする。
【0029】
この態様によれば、端子の基板接続部が基板のスルーホールに圧入された状態は、端子カバーの上端面がコネクタ収容部に設けられた仮係止用凸部に係合して仮係止されるので、端子の基板接続部が基板のスルーホールに圧入された状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、端子カバーと端子ハウジングが相対的にスライドして端子ハウジングが端子カバーに内嵌すると、端子カバーの孔部から端子の先端部が外部に突出させられる。これにより、端子の先端部を基板に圧入させることができる。また、端子カバーは、第一位置にあるとき、基板接続部のある端子の先端部を覆うことで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することができる。
【0031】
また、本発明によれば、露出する端子を保護することが可能な電気接続箱を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を具体化した各実施形態を図1乃至図15に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図、図2(A)は端子ハウジングを示す斜視図、図2(B)は端子ハウジングの正面図で、左右のロック部を拡大して示してある。図3は端子カバーを示す斜視図である。図4(A)はコネクタの端子ハウジングおよび端子カバーと、コネクタの相手部材であるケースハウジングとの関係を示す平面図、図4(B)は図4(A)のB−B断面図、図4(C)は図4(B)に示す左側ロック構造の拡大図、図4(D)は図4(B)に示す右側ロック構造の拡大図である。
【0033】
図5は、図4(A)と同様の平面図である。図6乃至図9の各(A)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のA−A断面図である。図6乃至図9の各(B)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のC−C断面図である。図10乃至図13の各(A)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のB−B断面図である。図10乃至図13の各(B)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のD−D断面図である。図14(A)乃至(D)は端子ハウジングのロック部の係合片の撓み状態の推移を示す動作説明図である。そして、図15(A)は端子カバーの仮係止状態を部分断面図、図15(B)はその仮係止状態を示す他の断面図である。
【0034】
図1に示す第1実施形態に係るコネクタ1は、FET等の電子部品を搭載した基板2をケースの内部に収納した電気接続箱で、ワイヤハーネス幹線の分岐部に設置され、電源や信号を供給する上流の電気接続箱と接続される電気接続箱に用いられる。
【0035】
図1では、コネクタ1が使用される電気接続箱のうち、コネクタ1が収容されるコネクタ収容部20aを有するケースハウジング(例えばアッパーケース)20と、複数のスルーホール2aが形成された基板2とを示している。基板2の各スルーホール2aの内壁には、電極が形成されている。そして、基板2は、複数のスルーホール2aがケースハウジング20のコネクタ収容部20aに臨むように、ケースハウジング20に対して配置されている。例えば、基板2は、図6(A)に示すように、ケースハウジング20の下端面に当接するように配置されている。
【0036】
コネクタ1は、複数の電線3のうち任意の電線間を基板2の配線パターン(図示省略)を介して電気的に相互接続するコネクタである。このコネクタ1は、図1および図6(A),(B)に示すように、基板2のスルーホール2aに圧入される基板接続部としての圧入部4aと、複数の電線3の導体端末が接続される電線接続部4bをそれぞれ有する複数の端子4を保持可能である。このコネクタ1は、複数の端子4の各圧入部4aを基板2の対応するスルーホール2aに圧入して各電線3を基板2に接続することで、複数の電線3のうち任意の電線間を基板2の配線パターン(図示省略)を介して電気的に相互接続するようになっている。
【0037】
本実施形態では、電線接続部4bは、一例として、電線3の端末に圧着により接続される構造を有し、電線3の絶縁被覆に加締めて圧着されるインシュレーションバレルと、電線3の心線に加締めて圧着されるワイヤバレルとを有する。なお、電線接続部4bは、電線3の端末が圧接により接続される圧接接続部であってもよい。
【0038】
このコネクタ1は、図1に示すように、複数の端子4を保持する端子ハウジング5と、この端子ハウジング5を内嵌可能な形状に形成されるとともに、端子ハウジング5との間に端子4(図6参照)の収容スペースを形成するように端子ハウジング5に取り付けられる端子カバー6と、を備えている。
【0039】
端子カバー6は、圧入部4aのある端子4の先端部4cの周囲全体を覆う第一位置(図6(A),(B)参照)と、端子ハウジング5が内嵌される第二位置(図9(A),(B)参照)との間で、端子ハウジング5に対してスライド可能である。
【0040】
端子カバー6は、端子ハウジング5に対し、図6(A),(B)に示す第一位置から、図9(A),(B)に示す第二位置側へスライドするときに、各端子4の先端部4cをそれぞれ通過可能にする複数の孔部7(図5(A)参照)を有している。
【0041】
また、複数の孔部7はそれぞれ、図7(A)に示すように、外方に向けて縮径する傾斜面7aで形成されている。つまり、各孔部7は、基板2側に近づくにつれて次第に内径が小さくなる傾斜面7aで形成されている。
【0042】
端子カバー6は、図3および図6(A),(B)に示すように、端子ハウジング5の下部から突出した圧入部4aのある端子4の先端部4c全体を囲む形状を有している。つまり、端子カバー6は、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態(図6(A),(B)参照)にあって、端子カバー6が図6(A),(B)に示す第一位置にあると、その周壁で各端子4の先端部4cの周囲全体を覆う(囲む)と共に、孔部7のある底壁で各端子4の先端部4cの下側全体を覆うようになっている。このように、端子カバー6は、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態において、端子ハウジング5の下部から突出した端子4の先端部4c(露出端子)全体を保護している。
【0043】
なお、本実施形態では、端子カバー6が図6(A),(B)に示す第一位置にあるとき、各端子4の先端部4cが、端子カバー6の対応する各孔部7から離間している。
【0044】
端子カバー6と端子ハウジング5は、図1および図2に示すように、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態で(不使用時に)、端子カバー6を図6(A)に示す第一位置に位置決めするロック機構10を有している。このロック機構10は、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、相手部材であるケースハウジング20との干渉により解除されるようになっている。
【0045】
(ロック機構の構成)
端子ハウジング5には、図1、図2および図4(A)に示すように、その両側面に2つずつ、全部で4つのリブ5a〜5dが形成されている。一方、端子カバー6には、リブ5a〜5dがそれぞれスライド可能に嵌合する4つのコ字状のガイド溝6a〜6dが形成されている。端子ハウジング5のリブ5a〜5dを端子カバー6のガイド溝6a〜6dにそれぞれ嵌合させることで、端子ハウジング5が端子カバー6に位置決めされるようになっている。なお、図6(B)、図7(B)および図8(B)では、ガイド溝6a〜6dを示す線の一部を省略してある。
【0046】
ロック機構10は、図1乃至図3および図10(B)に示すように、端子ハウジング5の両側面に設けられ、先端に係合爪13,14を有し弾性のある係合片11,12と、端子カバー6に設けられ、係合爪13,14がそれぞれ係合する係止部15,16とを有している。係止部15,16は、矩形の孔部を有している。各係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16の孔部に係合することで、端子カバー6と端子ハウジング5が図6(A)に示す第一位置に位置決めされてロックされるようになっている。そして、各係合爪13,14と各係止部15,16の孔部との係合が解除されると、端子カバー6が端子ハウジング5に対して図6(A)に示す第一位置から図9(A)に示す第二位置へスライド可能になる。なお、係止部15,16は、矩形の孔部に限らず、矩形の溝、或いは矩形の凹部であっても良い。
【0047】
ロック機構10は、図4に示すように、係合爪13と係止部15により右側のロック部が、係合爪14と係止部16により左側のロック部がそれぞれ形成されている。リブ5a〜5dをガイド溝6a〜6dにそれぞれ嵌合させて端子ハウジング5を端子カバー6に位置決めすると、端子カバー6の自重により端子カバー6が下がる。このとき、ロック機構10の左側のロック部では、図4(C)に示すように、矩形の孔部である係止部16の上側内面(反基板側端部)が係合爪14の上部に形成された係合面14aに当接する。このとき、ロック機構10の右側のロック部では、図4(D)に示すように、係合爪13の下部に形成された係合面13aと矩形の孔部である係止部15の下側内面との間にクリアランスC1が生じている。このクリアランスC1は、係合片11がその基端部を支点に図4(D)で左方へ弾性変形して(ロック解除側へ撓ませられて)係合爪13が係止部15から離脱する際に、係止部15の下側内面(基板側端部)が係合爪13の係合面13aの移動軌跡外に位置するような大きさになっている。
【0048】
各係合片11,12の両側には、図1乃至図3および図10(B)に示すように、各係合片11,12と一体に形成され、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で相手部材側のロック解除用凸部により押圧付勢されて係合片11,12をロック解除側へ撓ませるテーパ形状のロック解除部17,18が設けられている。
【0049】
ここにいう「相手部材」は、本実施形態では、コネクタ1が使用される電気接続箱のうち、コネクタ1が収容される矩形状のコネクタ収容部20aを有するケースハウジング20である。このケースハウジング20のコネクタ収容部20aの左右の内面には、コネクタ1をコネクタ収容部20a内に挿入して、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、テーパ形状のロック解除部17,18にそれぞれ当接し、係合片11,12を押圧付勢してロック解除側へ撓ませ、最終的に各係合爪13,14と係止部15,16の係合を解除させるロック解除用凸部としてのリブ21,22が形成されている(図10乃至図13の(B)図参照)。
【0050】
リブ21,22は、図7(A),(B)および図11(A),(B)に示すように端子ハウジング5の下端部がコネクタ収容部20aの開口部と同一面になった状態から、コネクタ1をさらに基板2側へ押し込んでいく過程で、ロック解除部17,18にそれぞれ当接し、係合片11,12を押圧付勢してロック解除側へ撓ませる。ロック解除部17,18がロック解除側へ撓むことにより、ロック解除部17,18と一体の係合片11,12もロック解除側へ撓み、最終的には係合爪13,14と係止部15,16の係合が解除される。このように、ロック機構10は、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、相手部材であるケースハウジング20のリブ21,22がロック解除部17,18に当接し、ロック解除部17,18をロック解除側へ撓ませることで、係合爪13,14が係止部15,16から外れてロック解除されるようになっている。
【0051】
なお、端子カバー6には、図3に示すように、コネクタ1をコネクタ収容部20aに嵌合させる際に、右側のリブ21,21をロック解除部17,17に、左側のリブ22,22をロック解除部18,18にそれぞれ当接可能にする溝状の開口部6e〜6hが形成されている。また、端子カバー6の左右の壁部の一方には、図3に示すように、端子ハウジング5が内嵌される第二位置(図9(A)参照)で、L字形の縦断面を有する端子ハウジング5の水平部5Aを収容する幅の切り欠き部6Aが形成されている。
【0052】
各係合爪13,14は、図2(A),(B)に示すように、端子ハウジング5の両側面にそれぞれ形成されている。両側面の一方に形成された係合爪13は、図2(B)に示すように、基板2側へ押し込む力を受けると、矩形の孔部である係止部15の下側内面(基板側端部)に突き当たる係合面13aと傾斜部13bを有する。この係合面13aは、コネクタ1を基板2側へ押し込む方向(図2で下方向)に対して垂直な面であり、傾斜部13bは下方向に対して僅かに傾斜している。
【0053】
一方、端子ハウジング5の両側面の他方に形成された係合爪14は、図2(B)に示すように、端子カバー6から端子ハウジング5を離脱させる力を受けると、矩形の孔部である係止部16の上側内面(反基板側端部)に突き当たる係合面14aと傾斜部14bを有する。この係合面14aは、コネクタ1を基板2から離脱させる方向(図2で上方向)に対して垂直な面であり、傾斜部14bは上方向に対して僅かに傾斜している。
【0054】
このように、ロック機構10は、各係合爪13,14が係止部15,16に係合して端子ハウジング5と端子カバー6を位置決めしてロックした状態では、端子ハウジング5と端子カバー6に、基板2側へ押し込む力と基板2から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。つまり、このロック機構10では、係合爪13の下部に形成された係合面13aを係止部15の孔部の反基板側端部に当接させることで、基板2側への押し込む力を受け止め、係合爪14の上部に形成された係合面14aを係止部16の孔部の基板側端部に当接させることで、基板2から離脱させる力を受け止めるようになっている。このようにして、端子カバー3は、ロック機構10により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように第一位置に保持されるようになっている。
【0055】
端子ハウジング5の下端部が図7(A),(B)に示すようにコネクタ収容部20aの開口部と同一面になって、左右のロック解除部17,18がケースハウジング20のコネクタ収容部20aに接触し始めた時点で、端子カバー6の孔部7のある底壁と基板2との間には、図7(A)に示すクリアランスC2が存在している。このクリアランスC2は、コネクタ1を、図7(A)に示す状態からさらにコネクタ収容部20a内に押し込んでいく過程で、図4に示す係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16から外れる位置まで、図1に示す左右のリブ21,22がロック解除部17,18および係合片11,12を撓ませるのに必要な距離よりも大きくなっている。これにより、コネクタ1を、図7(A)に示す状態からさらにコネクタ収容部20a内に押し込んでいく過程で、端子カバー6の底壁が基板2に当接するまでの間に、左右の係合爪13,14が係止部15,16から外れて、左右のロック機構10による端子ハウジング5と端子カバー6のロックが解除される。
【0056】
なお、コネクタ1をコネクタ収容部20aに嵌合させる前に、端子カバー6がケースハウジング20等に引っかかり、図4(D)に示す上記クリアランスC1が存在しなくなる場合でも、その嵌合時の力と係止爪13のR形状により左右の係合爪13,14をロック解除側へ撓ませることで、ロック機構10による端子ハウジング5と端子カバー6のロックを解除させることができる。
【0057】
また、端子カバー6が図9(A)に示す第二位置にあって端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌され、端子4の圧入部4aが基板2のスルーホール2aに圧入された状態(コネクタ嵌合状態)では、図15(A),(B)に示すように、端子カバー6の上端面がコネクタ収容部20aの左右の内面に設けられた仮係止用凸部24に係合して仮係止されるようになっている。
【0058】
以上のように構成されたコネクタ1の端子ハウジング5に保持された複数の端子4の各圧入部4aを基板2の複数のスルーホール2aに圧入させるコネクタの嵌合動作と、各圧入部4aを各スルーホール2aから離脱させるコネクタの離脱動作を説明する。
【0059】
図6(A),(B)および図10(A),(B)に示すコネクタ離脱状態では、端子ハウジング5の左右の係合片11,12の係止爪13,14を端子カバー6の左右の係合部15,16の孔部にそれぞれ弾発的に係合させる。これにより、端子カバー6は、端子ハウジング5の下部から突出している複数の端子4の各先端部4cの周囲全体を覆う第一位置に、ロック機構10により位置決めされてロックされている。従って、コネクタ離脱状態では、第一位置に保持された端子カバー6が、その周壁で各端子4の先端部4cの周囲全体を覆う(囲む)と共に、孔部7のある底壁で各端子4の先端部4cの下側全体を覆って、各端子4の先端部4c全体を保護している。
【0060】
このようなコネクタ離脱状態にあるコネクタ1をケースハウジング20のコネクタ収容部20aに近づけていく。端子ハウジング5の下端部がコネクタ収容部20aの開口部と同一面になった状態を、図7(A),(B)および図11(A),(B)に示す。
【0061】
このような同一面になった状態から、コネクタ1をコネクタ収容部20a内に押し込んでいくと、コネクタ収容部20aの左右の内面のリブ21,22が、端子ハウジング5の左右にあるテーパ状のロック解除部17,18にそれぞれ当接し、ロック解除部17,18を徐々にロック解除側へ撓ませる(図8(A),(B)および図12(A),(B))。ロック解除部17,18が徐々にロック解除側へ撓むことにより、ロック解除部17,18と一体の係合片11,12もロック解除側へ徐々に撓む。ロック解除部17,18がリブ21,22により押圧付勢されて、ロック解除部17,18および係合片11,12がロック解除側へ更に撓むと、係止部15,16にそれぞれ係合していた係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16から外れる。これにより、ロック機構10により第一位置に位置決めされてロックされていた端子カバー6が、端子ハウジング5に対してスライド可能になり、第一位置から端子ハウジング5が内嵌される第二位置側へ端子ハウジング5に対してスライドする。
【0062】
このように端子カバー6と端子ハウジング5が相対的にスライドして端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の各孔部7から各端子4の先端部4cが外部に突出させられる。これにより、各端子4の圧入部4aが基板2の対応するスルーホール2aに圧入させることができる。この圧入状態(コネクタ嵌合状態)を図9(A),(B)および図13(A),(B)に示す。
【0063】
このようなコネクタの嵌合動作の際に、ロック機構10がロック状態からロック解除状態へ推移していく様子を図14(A)乃至(D)に示してある。図14(A)はロック機構10のロック解除部17,18がリブ21に非接触の状態を示し、図14(B)はロック解除部17,18がリブ21に接触し始めた状態を示している。また、図14(C)はロック解除部17,18がリブ21によって撓み始めた状態を示し、図14(D)は係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16から外れロック解除状態を示している。
【0064】
そして、図9(A),(B)および図13(A),(B)に示すコネクタ嵌合状態では、図15(A),(B)に示すように、端子カバー6の上端面がコネクタ収容部20aの左右の仮係止用凸部24に係合して仮係止される。なお、この仮係止状態では、コネクタ1とケースハウジング20は、図示を省略したロック手段によりロックされるようになっている。
【0065】
次に、各圧入部4aを各スルーホール2aから離脱させる際には、図示を省略したコネクタ1とケースハウジング20のロック手段によるロックを解除し、各端子4の圧入部4aを基板2の対応するスルーホール2aから離脱させる方向(図9(A)で上方向)に端子ハウジング5を引っ張る。これにより、端子ハウジング5が端子カバー6に対して上方へスライドし、係合片11,12がロック解除部17,18と共に自身の弾性によりロック側へ復帰していき、係止部15,16にそれぞれ係合する。このようにしてロック機構10がロック状態に復帰することで、端子カバー6は、複数の端子4の各先端部4cの周囲全体を覆う第一位置に、ロック機構10により再び位置決めされてロックされる。この状態で、コネクタ1を上方へ引っ張ると、端子カバー6がコネクタ収容部20aから外れる。
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0066】
○端子カバー6と端子ハウジング5が相対的にスライドして端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の孔部7から端子4の先端部4cが外部に突出させられる。これにより、複数の端子4の各圧入部4aを基板2の対応するスルーホール2aに圧入させることができる。
【0067】
○端子カバー5は、第一位置にあるとき、圧入部4aのある各端子4の先端部4cを覆うことで、基板2に端子4が圧入されていない不使用時に、端子カバー5から露出する端子を保護することができる。
【0068】
○複数の孔部7はそれぞれ、図7(A)に示すように、外方に向けて縮径する傾斜面7aで形成されているので、各端子4の先端部4cは、複数の孔部7からそれぞれ突出する際に、各孔部7の傾斜面7aで基板2の対応するスルーホール2aへ向けて案内され、位置が補正される。これにより、基板2に対する各端子の位置を適正に確保することができる。具体的には、一列或いは複数列に配置された複数の端子を、基板2上に形成された複数のスルーホール2aのうちの対応するスルーホールにそれぞれ正確に圧入させることができる。これにより、端子サイズの小型化や端子間が狭ピッチ化しても、端子の変形・座屈による断線や隣接端子とのショート接続不良の発生を防止でき、歩留まりが向上する。
【0069】
○端子カバー6は、端子ハウジング5の下部から突出した圧入部4aのある端子4の先端部4c全体を囲む形状を有している。この構成により、基板2に端子4が圧入されていない不使用時に、端子カバー6が図5(A)に示す第一位置にあって、端子ハウジング5から突出した複数の端子4の先端部4c全体を囲んで各端子4を保護するので、ワイヤハーネス組立工程や輸送経路で発生する外力による端子曲がりを防止できる。これにより、機械的、電気的接続不良が発生するのを防止できる。
【0070】
○端子カバー6と端子ハウジング5は、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態で(不使用時に)、端子カバー6を図5(A)に示す第一位置に位置決めするロック機構10を有している。これにより、不使用時には、ロック機構10により、端子カバー6が複数の端子4の先端部4cを覆う第一位置に位置決めされているため、容易に各端子4の先端部4cが外部に露出することがなく、端子4の損傷を防止することができる。
【0071】
○不使用時には、端子ハウジング5に設けられたロック機構10の左右の係合片11,12を、端子カバー6に設けられた左右の係止部15,16にそれぞれ係合させることにより、端子カバー6を、複数の端子4の先端部4cを覆う第一位置に位置決めして保持することができる。
【0072】
○各係合片11,12の両側には、各係合片11,12と一体に形成され、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、コネクタ収容部20aのリブ21,22により押圧付勢されて係合片11,12をロック解除側へ撓ませるテーパ形状のロック解除部17,18が設けられている。これにより、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、リブ21,22がロック解除部17,18にそれぞれ当接し、係合片11,12を押圧付勢してロック解除側へ撓ませ、最終的に各係合爪13,14と係止部15,16の係合を解除させることができる。
【0073】
○ロック機構10は、各係合爪13,14が係止部15,16に係合して端子ハウジング5と端子カバー6を位置決めしてロックした状態では、端子ハウジング5と端子カバー6に、基板2側へ押し込む力と基板2から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。このため、端子カバー3は、ロック機構10により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように端子カバー3を第一位置に保持することができる。
【0074】
○ロック機構10は、各係合爪13,14が係止部15,16に係合して端子ハウジング5と端子カバー6を位置決めしてロックした状態では、端子ハウジング5と端子カバー6に、基板2側へ押し込む力と基板2から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。これにより、端子カバー3は、ロック機構10により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように、端子カバー3を第一位置に保持することができる。
【0075】
○端子4の圧入部4aが基板2のスルーホール2aに圧入された状態(コネクタ嵌合状態)で、端子カバー6の上端面がコネクタ収容部20aの左右の仮係止用凸部24に係合してコネクタ1を仮係止されるので、端子の圧入部が基板のスルーホールに圧入された状態を維持することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るコネクタ1を、図16(A),(B)に基づいて説明する。
【0076】
上記第1実施形態では、端子カバー6が図6(A),(B)に示す第一位置にあるとき、各端子4の先端部4cが、端子カバー6の対応する各孔部7から離間している。これに対して、第2実施形態に係るコネクタ1では、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態にあって、端子カバー6が図6(A),(B)と同様の図16(A),(B)に示す第一位置にあると、各端子4の先端部4cが端子カバー6の対応する各孔部7に重なっている。つまり、各端子4の先端部4cが端子カバー6の対応する各孔部7にオーバーラップしている。
【0077】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
【0078】
○端子カバー6が図16(A),(B)に示す第一位置にあると、各孔部7には、対応する各端子4の先端部4cがオーバーラップしているので、各端子4の位置ズレを防止し、スムーズな位置出しを有利に行うことができる。これにより、端子サイズの小型化や端子間が狭ピッチ化しても、端子の変形・座屈による断線や隣接端子とのショート接続不良の発生を防止でき、歩留まりが向上する。
(電気接続箱)
次に、上記第1或いは第2実施形態で説明したコネクタ1を備えた電気接続箱の一実施形態を図17に基づいて説明する。
【0079】
図17に示す電気接続箱30は、上述したように、FET等の電子部品を搭載した基板2をケースの内部に収納した電気接続箱で、ワイヤハーネス幹線の分岐部に設置され、電源や信号を供給する上流の電気接続箱(図示省略)と接続される電気接続箱である。
【0080】
この電気接続箱30は、アッパーカバー31,図1に示すケースハウジング20に相当するアッパーケース32,基板2及びロアケース33を備えている。
【0081】
基板2には、図1に示す上記コネクタ1と同様の複数のコネクタ11〜15が分散して接続可能になっている。各コネクタ11〜15には複数の上記端子4がそれぞれ保持されている。
【0082】
基板2は、複数のスルーホール2aがそれぞれ集合し分散配置された複数のスルーホール領域と、電子部品35を搭載する複数の部品搭載領域と、を有している。
【0083】
コネクタ11は、電源や信号を供給する上流の電気接続箱に接続された複数の電線3を結束したワイヤハーネス幹線Aが接続されるメインコネクタである。また、コネクタ12〜15は、複数の電線3を配索単位でまとめたコネクタで、ワイヤハーネス幹線Aの電線3を介して供給される電源や信号を電装品に伝える複数の電線3を結束したワイヤハーネス支線B〜Eがそれぞれ接続されるサブコネクタである。
【0084】
アッパーケース32には、複数のコネクタ11〜15をそれぞれ収納する複数のコネクタ収納部201〜205が形成されている。これらのコネクタ収納部201〜205が、図1に示すコネクタ収容部20aにそれぞれ対応する。さらに、アッパーケース32は、コネクタ11〜15にそれぞれ接続された電線3を外方に引き出すワイヤハーネス引出口37a,37bbを有している。ワイヤハーネス引出口37aからはワイヤハーネス幹線Aの複数の電線3が引き出され、ワイヤハーネス引出口37bからはワイヤハーネス支線B〜Eの複数の電線3がそれぞれ引き出される。
【0085】
サブコネクタ12〜15は、ワイヤハーネス引出口37bから離れた奥から降り階段状に配置され、各サブコネクタ12〜15から引き出される電線3同士が互いに干渉せずに、ワイヤハーネス引出口37bから外方に引き出せるようになっている。
【0086】
ロアケース33には、コネクタ11〜15の嵌合時、つまり、各コネクタ11〜15にそれぞれ保持された複数の端子4の圧入接続部(上記圧入接続部4a)を対応するスルーホール2aに圧入する際や、組付け状態で発生する振動に対し、基板2が撓まないように、スルーホール2a近傍にバックアップのリブ50や支柱51が形成されている。
【0087】
また、この電気接続箱30では、ロアケース33の両側面に形成された係合部60を、アッパーケース32の両側面に形成された係止部61にそれぞれ係合させることで、アッパーケース32とロアケース33を一体化できるようになっている。
【0088】
そして、この電気接続箱30では、各コネクタ収容部201〜205の内壁面に、各コネクタ11〜15の端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、上記テーパ形状のロック解除部17,18(図2(B)参照)に係合し、このロック解除部17,18を押圧付勢して左右の係合片11,12をロック解除側へ撓ませるロック解除用凸部としてのリブ21,22(図1参照)が設けられている。
【0089】
以上のように構成された一実施形態に係る電気接続箱によれば、以下の作用効果を奏する。
○各コネクタ11〜15において、端子カバー6と端子ハウジング5が相対的にスライドして端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の孔部7から各端子4の先端部4cが外部に突出させられる。これにより、各コネクタ11〜15において、各端子4の先端部4cを基板2のスルーホール2aに圧入させることができる。
【0090】
○各コネクタ11〜15において、端子カバー6は、上記第一位置にあるとき、圧入部4aのある端子4の先端部4cを覆うことで、基板2に端子4が圧入されていない不使用時に、露出する端子4を保護することができる。これにより、不使用時に、露出する端子を保護することが可能な電気接続箱を得ることができる。
【0091】
○各コネクタ11〜15において、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、各コネクタ収納部201〜205の内壁面に設けたロック解除用凸部としてのリブ21,22によりロック解除部17,18が押圧付勢され、係合片11,12をロック解除側へ撓ませるので、係合爪13,14と係止部15,16の係合を解除させることができる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0092】
・上記各実施形態に係るコネクタにおいて、ロック機構10の係合片11,12を端子ハウジング5側に、係止部15,16を端子カバー6側にそれぞれ設ける代わりに、係合片11,12を端子カバー6側に、係止部15,16を端子ハウジング5側にそれぞれ設けても良い。
【0093】
・上記各実施形態では、各係合片11,12の両側に、上記ロック解除部17,18が設けられているが、各係合片11,12の片側に、ロック解除部17,18が設けられている構成のコネクタにも本発明は適用可能である。
【0094】
・上記各実施形態では、各係合爪13,14をそれぞれ異なる形状に形成したが、同一の形状に形成するものであってもよい。また、各係合爪13,14の形状は上記各実施形態に限定されるものではなく、係止部15,16に係止される形状であればどのような形状であってもよい。例えば、係止部15,16に向けて凸状の略円錐形状に形成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図。
【図2】(A)は端子ハウジングを示す斜視図、(B)は端子ハウジングの正面図で、左右のロック部を拡大して示してある。
【図3】端子カバーを示す斜視図。
【図4】(A)は端子ハウジング、端子カバーおよびケースハウジングの関係を示す平面図、(B)は図4(A)のB−B断面図、(C)は図4(B)に示す左側ロック構造の拡大図、(D)は図4(B)に示す右側ロック構造の拡大図。
【図5】コネクタの端子ハウジング、端子カバーおよびケースハウジングの関係を示す平面図。
【図6】(A)はコネクタ離脱状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図7】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図8】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図9】(A)はコネクタ嵌合状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図10】(A)はコネクタ離脱状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図11】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図12】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図13】(A)はコネクタ嵌合状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図14】(A)乃至(D)は端子ハウジングのロック部の係合片の撓み状態の推移を示す動作説明図。
【図15】(A)は端子カバーの仮係止状態を部分断面図、(B)はその仮係止状態を示す他の断面図。
【図16】(A)は第2実施形態に係るコネクタにおけるコネクタ離脱状態を示す図6(A)と同様の断面図、(B)は同コネクタにおける図6(B)と同様の断面図。
【図17】一実施形態に係る電気接続箱の概略構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0096】
1,11〜15:コネクタ
2:基板
2a:スルーホール
4:端子
4a:圧入部
4b:電線接続部
4c:端子の先端部
5:端子ハウジング
5a〜5d:リブ
5A:水平部
6:端子カバー
6a〜6d:ガイド溝
6e〜6h:溝状の開口部
6A:切り欠き部
7:孔部
7a:傾斜面
10:ロック機構
11,12:係合片
13,14:係合爪
13a,14a:係合面
15,16:係止部
17,18:ロック解除部
20:ケースハウジング(アッパーケース)
20a,201〜205:コネクタ収容部
21,22:リブ
24:仮係止用凸部
30:電気接続箱
32:アッパーケース
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のワイヤハーネスに接続され、電源の分岐,分配を行う電気接続箱などに用いるコネクタ、特に、基板のスルーホールに直接接続するプレスフィット端子を保持したコネクタおよび電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、基板のスルーホールに直接接続するプレスフィット端子を保持したコネクタの技術が知られている(例えば、特許文献1及び2参照)。これらの従来技術では、ワイヤハーネス側にプレスフィット端子を設け、そのプレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入することで、ワイヤハーネスの電線を基板のスルーホールに直接電気的に接続する。
【0003】
また、従来、コネクタに保護カバーを設けた技術が知られている(例えば、特許文献3参照)。この従来技術では、コネクタの露出端子に対して保護カバーをスライド自在に設け、保護カバーを押し込んだ状態で露出端子を相手コネクタの露出端子部に接触させるコネクタの端子カバー構造で、保護カバーと相手コネクタの何れか一方に可撓挟着片よりなる保護カバー引き出し用の係合部を設け、何れか他方に係合部に対する係止部を設けたものである。
【特許文献1】特開2004−236416号公報
【特許文献2】特開2005−322556号公報
【特許文献3】特開平6−36823号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1及び2に開示された従来技術では、不使用時(プレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入してない時)にプレスフィット端子が露出した状態にあるので、ワイヤハーネス組立工程や輸送経路で端子曲がりが発生し、機械的、電気的接続不良が起きるという問題がある。特に近年は端子サイズの小型化が進み、端子が変形しやすくなる傾向が顕著となっている。
【0005】
また、上記特許文献3に開示された従来技術によれば、不使用時は、保護カバーで覆うことで端子を保護することができる。しかし、この特許文献3に開示された保護カバーの技術を、特許文献1及び2などに開示されているような、基板のスルーホールに直接接続するプレスフィット端子を保持したコネクタの技術に直接適用することはできない。
【0006】
すなわち、特許文献3の技術は、その公報の図8に示されるとおり、露出端子の一側面に形成された弾性接触片と、雌コネクタ部の内側面に形成されたフレキシブルプリント回路体の露出端子部とを電気的に接触させる(側面と側面を電気的に接触させる)技術において、コネクタの露出端子に対してスライド自在の保護カバーで端子を保護するものである。これに対し、特許文献1及び2などの技術は、プレスフィット端子はスルーホールに圧入されて基板と電気的に接続されるものであるため、その端子先端部を全周面露出させる必要がある。従って、特許文献3の技術の保護カバーを特許文献1及び2などの技術に単純に適用するだけでは、不使用時にはプレスフィット端子を保護し、かつ、プレスフィット端子を基板のスルーホールに圧入する際にプレスフィット端子の電気的接触面を全て露出させることができないという問題がある。
【0007】
本発明は、このような従来の問題点に鑑みて為されたもので、その目的は、基板に圧入される端子を保持するコネクタで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することが可能なコネクタおよび電気接続箱を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の態様に係るコネクタは、基板に圧入される基板接続部と電線の導体端末が接続される電線接続部を有する端子を保持し、前記端子の基板接続部を前記基板に圧入して前記電線を前記基板に接続するコネクタであって、前記端子を保持する端子ハウジングと、前記端子ハウジングを内嵌可能な形状に形成されるとともに、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容するように前記端子ハウジングに取り付けられる端子カバーと、を備え、前記端子カバーは、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容し前記端子の先端部を覆う第一位置と、前記端子ハウジングを内嵌する第二位置との間で、前記端子ハウジングに対してスライド可能であり、前記第一位置から前記第二位置側へスライドするときに、前記端子の先端部を通過可能にする孔部を有することを特徴とする。
【0009】
この態様によれば、端子カバーと端子ハウジングが相対的にスライドして端子ハウジングが端子カバーに内嵌すると、端子カバーの孔部から端子の先端部が外部に突出させられる。これにより、端子の先端部を基板に圧入させることができる。また、端子カバーは、第一位置にあるとき、基板接続部のある端子の先端部を覆うことで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することができる。
【0010】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記孔部は、外方に向けて縮径する傾斜面で形成されていることを特徴とする。
【0011】
この態様によれば、端子の先端部は、孔部から突出する際に、孔部の傾斜面で基板のスルーホールへ向けて案内され、位置が補正される。これにより、基板に対する端子の位置を適正に確保することができる。つまり、端子の先端部を基板上に形成されたスルーホールに正確に圧入させることができる。これにより、端子サイズの小型化や端子間が狭ピッチ化しても、端子の変形・座屈による断線や隣接端子とのショート接続不良の発生を防止でき、歩留まりが向上する。
【0012】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記端子カバーが前記第一位置に位置するとき、前記孔部に前記端子の先端部がオーバーラップしていることを特徴とする。
【0013】
この態様によれば、端子の先端部は、第一位置にあるとき、穴部にオーバーラップしているため、端子の位置ズレを防止し、スムーズな位置だしを有利に行うことができる。なお、ここにいう「孔部に前記端子の先端部がオーバーラップしている」状態は、端子の先端部が孔部内に達している状態をいう。
【0014】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記端子カバーは、前記端子の先端部全体を囲む形状を有することを特徴とする。
【0015】
この態様によれば、端子カバーが、不使用時に前記第一位置にあって、端子ハウジングから突出した基板接続部のある端子の先端部全体を囲んで端子を保護するので、ワイヤハーネス組立工程や輸送経路で発生する外力による端子曲がりを防止できる。これにより、機械的、電気的接続不良が発生するのを防止できる。
【0016】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記端子カバーと前記端子ハウジングは、不使用時に、前記端子カバーを前記第一位置に位置決めするロック機構を有することを特徴とする。
【0017】
この態様によれば、不使用時には、ロック機構により、端子カバーが端子の先端部を覆う第一位置に位置決めされているため、容易に端子の先端部が外部に露出することがなく、端子の損傷を防止することができる。
【0018】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記ロック機構は、前記端子カバーと前記端子ハウジングのいずれか一方に設けられ、先端に係合爪を有し弾性のある係合片と、前記端子カバーと前記端子ハウジングの他方に設けられ、前記係合爪が係合する係止部とを有することを特徴とする。
【0019】
この態様によれば、不使用時には、端子カバーと端子ハウジングのいずれか一方に設けられたロック機構の係合片を、その他方に設けられた係止部に係合させることにより、端子カバーを、端子の先端部を覆う第一位置に位置決めして保持することができる。
【0020】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記係合片には、前記係合片と一体に形成され、前記端子の基板接続部を基板に圧入する過程で前記係合片をロック解除側へ撓ませるロック解除部が設けられていることを特徴とする。
【0021】
この態様によれば、各端子の基板接続部を基板に圧入する過程で、相手部材によりロック解除部が押圧付勢され、係合片をロック解除側へ撓ませるので、係合爪と係止部の係合を解除させることができる。
【0022】
本発明の他の態様に係るコネクタは、前記係合爪は前記端子ハウジングの両側面にそれぞれ形成されており、前記両側面の一方に形成された前記係合爪は前記基板側へ押し込む力を受けると前記係止部の基板側端部に突き当たる係合面を有し、前記両側面の他方に形成された前記係合爪は前記基板から離脱させる力を受けると前記係止部の反基板側端部に突き当たる係合面を有することを特徴とする。
【0023】
この態様によれば、ロック機構は、各係合爪が係止部に係合して端子ハウジングと端子カバーを位置決めしてロックした状態では、端子ハウジングと端子カバーに、基板側へ押し込む力と基板から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。このため、端子カバーは、ロック機構により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように端子カバーを第一位置に保持することができる。
【0024】
上記課題を解決するために、本発明の第2の態様に係る電気接続箱は、上記態様のいずれか一つに記載のコネクタと、前記コネクタが収容されるコネクタ収容部を有するケースハウジングと、電子部品が搭載され、かつ複数のスルーホールを有し、前記複数のスルーホールが前記コネクタ収容部に臨むように配置された基板と、を備えることを特徴とする。
【0025】
この態様によれば、端子カバーと端子ハウジングが相対的にスライドして端子ハウジングが端子カバーに内嵌すると、端子カバーの孔部から端子の先端部が外部に突出させられる。これにより、端子の先端部を基板に圧入させることができる。また、端子カバーは、第一位置にあるとき、基板接続部のある端子の先端部を覆うことで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することができる。これにより、不使用時に、露出する端子を保護することが可能な電気接続箱を得ることができる。
【0026】
本発明の他の態様に係る電気接続箱は、前記コネクタ収容部の内壁面に、前記端子の基板接続部を前記基板のスルーホールに圧入する過程で前記ロック解除部に係合し、該ロック解除部を押圧付勢して前記係止片をロック解除側へ撓ませるロック解除用凸部が設けられていることを特徴とする。
【0027】
この態様によれば、各端子の基板接続部を基板に圧入する過程で、コネクタ収容部の内壁面に設けたロック解除用凸部によりロック解除部が押圧付勢され、係合片をロック解除側へ撓ませるので、係合爪と係止部の係合を解除させることができる。
【0028】
本発明の他の態様に係る電気接続箱は、前記コネクタの前記端子カバーが前記第二位置にスライドして前記端子ハウジングが前記端子カバーに内嵌され、前記端子の基板接続部が前記基板のスルーホールに圧入された状態では、前記端子カバーの上端面が前記コネクタ収容部に設けられた仮係止用凸部に係合して仮係止されることを特徴とする。
【0029】
この態様によれば、端子の基板接続部が基板のスルーホールに圧入された状態は、端子カバーの上端面がコネクタ収容部に設けられた仮係止用凸部に係合して仮係止されるので、端子の基板接続部が基板のスルーホールに圧入された状態を維持することができる。
【発明の効果】
【0030】
本発明によれば、端子カバーと端子ハウジングが相対的にスライドして端子ハウジングが端子カバーに内嵌すると、端子カバーの孔部から端子の先端部が外部に突出させられる。これにより、端子の先端部を基板に圧入させることができる。また、端子カバーは、第一位置にあるとき、基板接続部のある端子の先端部を覆うことで、基板に端子が圧入されていない不使用時に、露出する端子を保護することができる。
【0031】
また、本発明によれば、露出する端子を保護することが可能な電気接続箱を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
次に、本発明を具体化した各実施形態を図1乃至図15に基づいて説明する。
図1は本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図、図2(A)は端子ハウジングを示す斜視図、図2(B)は端子ハウジングの正面図で、左右のロック部を拡大して示してある。図3は端子カバーを示す斜視図である。図4(A)はコネクタの端子ハウジングおよび端子カバーと、コネクタの相手部材であるケースハウジングとの関係を示す平面図、図4(B)は図4(A)のB−B断面図、図4(C)は図4(B)に示す左側ロック構造の拡大図、図4(D)は図4(B)に示す右側ロック構造の拡大図である。
【0033】
図5は、図4(A)と同様の平面図である。図6乃至図9の各(A)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のA−A断面図である。図6乃至図9の各(B)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のC−C断面図である。図10乃至図13の各(A)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のB−B断面図である。図10乃至図13の各(B)図は、コネクタ離脱状態からコネクタ嵌合状態までの各状態を示す図5のD−D断面図である。図14(A)乃至(D)は端子ハウジングのロック部の係合片の撓み状態の推移を示す動作説明図である。そして、図15(A)は端子カバーの仮係止状態を部分断面図、図15(B)はその仮係止状態を示す他の断面図である。
【0034】
図1に示す第1実施形態に係るコネクタ1は、FET等の電子部品を搭載した基板2をケースの内部に収納した電気接続箱で、ワイヤハーネス幹線の分岐部に設置され、電源や信号を供給する上流の電気接続箱と接続される電気接続箱に用いられる。
【0035】
図1では、コネクタ1が使用される電気接続箱のうち、コネクタ1が収容されるコネクタ収容部20aを有するケースハウジング(例えばアッパーケース)20と、複数のスルーホール2aが形成された基板2とを示している。基板2の各スルーホール2aの内壁には、電極が形成されている。そして、基板2は、複数のスルーホール2aがケースハウジング20のコネクタ収容部20aに臨むように、ケースハウジング20に対して配置されている。例えば、基板2は、図6(A)に示すように、ケースハウジング20の下端面に当接するように配置されている。
【0036】
コネクタ1は、複数の電線3のうち任意の電線間を基板2の配線パターン(図示省略)を介して電気的に相互接続するコネクタである。このコネクタ1は、図1および図6(A),(B)に示すように、基板2のスルーホール2aに圧入される基板接続部としての圧入部4aと、複数の電線3の導体端末が接続される電線接続部4bをそれぞれ有する複数の端子4を保持可能である。このコネクタ1は、複数の端子4の各圧入部4aを基板2の対応するスルーホール2aに圧入して各電線3を基板2に接続することで、複数の電線3のうち任意の電線間を基板2の配線パターン(図示省略)を介して電気的に相互接続するようになっている。
【0037】
本実施形態では、電線接続部4bは、一例として、電線3の端末に圧着により接続される構造を有し、電線3の絶縁被覆に加締めて圧着されるインシュレーションバレルと、電線3の心線に加締めて圧着されるワイヤバレルとを有する。なお、電線接続部4bは、電線3の端末が圧接により接続される圧接接続部であってもよい。
【0038】
このコネクタ1は、図1に示すように、複数の端子4を保持する端子ハウジング5と、この端子ハウジング5を内嵌可能な形状に形成されるとともに、端子ハウジング5との間に端子4(図6参照)の収容スペースを形成するように端子ハウジング5に取り付けられる端子カバー6と、を備えている。
【0039】
端子カバー6は、圧入部4aのある端子4の先端部4cの周囲全体を覆う第一位置(図6(A),(B)参照)と、端子ハウジング5が内嵌される第二位置(図9(A),(B)参照)との間で、端子ハウジング5に対してスライド可能である。
【0040】
端子カバー6は、端子ハウジング5に対し、図6(A),(B)に示す第一位置から、図9(A),(B)に示す第二位置側へスライドするときに、各端子4の先端部4cをそれぞれ通過可能にする複数の孔部7(図5(A)参照)を有している。
【0041】
また、複数の孔部7はそれぞれ、図7(A)に示すように、外方に向けて縮径する傾斜面7aで形成されている。つまり、各孔部7は、基板2側に近づくにつれて次第に内径が小さくなる傾斜面7aで形成されている。
【0042】
端子カバー6は、図3および図6(A),(B)に示すように、端子ハウジング5の下部から突出した圧入部4aのある端子4の先端部4c全体を囲む形状を有している。つまり、端子カバー6は、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態(図6(A),(B)参照)にあって、端子カバー6が図6(A),(B)に示す第一位置にあると、その周壁で各端子4の先端部4cの周囲全体を覆う(囲む)と共に、孔部7のある底壁で各端子4の先端部4cの下側全体を覆うようになっている。このように、端子カバー6は、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態において、端子ハウジング5の下部から突出した端子4の先端部4c(露出端子)全体を保護している。
【0043】
なお、本実施形態では、端子カバー6が図6(A),(B)に示す第一位置にあるとき、各端子4の先端部4cが、端子カバー6の対応する各孔部7から離間している。
【0044】
端子カバー6と端子ハウジング5は、図1および図2に示すように、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態で(不使用時に)、端子カバー6を図6(A)に示す第一位置に位置決めするロック機構10を有している。このロック機構10は、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、相手部材であるケースハウジング20との干渉により解除されるようになっている。
【0045】
(ロック機構の構成)
端子ハウジング5には、図1、図2および図4(A)に示すように、その両側面に2つずつ、全部で4つのリブ5a〜5dが形成されている。一方、端子カバー6には、リブ5a〜5dがそれぞれスライド可能に嵌合する4つのコ字状のガイド溝6a〜6dが形成されている。端子ハウジング5のリブ5a〜5dを端子カバー6のガイド溝6a〜6dにそれぞれ嵌合させることで、端子ハウジング5が端子カバー6に位置決めされるようになっている。なお、図6(B)、図7(B)および図8(B)では、ガイド溝6a〜6dを示す線の一部を省略してある。
【0046】
ロック機構10は、図1乃至図3および図10(B)に示すように、端子ハウジング5の両側面に設けられ、先端に係合爪13,14を有し弾性のある係合片11,12と、端子カバー6に設けられ、係合爪13,14がそれぞれ係合する係止部15,16とを有している。係止部15,16は、矩形の孔部を有している。各係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16の孔部に係合することで、端子カバー6と端子ハウジング5が図6(A)に示す第一位置に位置決めされてロックされるようになっている。そして、各係合爪13,14と各係止部15,16の孔部との係合が解除されると、端子カバー6が端子ハウジング5に対して図6(A)に示す第一位置から図9(A)に示す第二位置へスライド可能になる。なお、係止部15,16は、矩形の孔部に限らず、矩形の溝、或いは矩形の凹部であっても良い。
【0047】
ロック機構10は、図4に示すように、係合爪13と係止部15により右側のロック部が、係合爪14と係止部16により左側のロック部がそれぞれ形成されている。リブ5a〜5dをガイド溝6a〜6dにそれぞれ嵌合させて端子ハウジング5を端子カバー6に位置決めすると、端子カバー6の自重により端子カバー6が下がる。このとき、ロック機構10の左側のロック部では、図4(C)に示すように、矩形の孔部である係止部16の上側内面(反基板側端部)が係合爪14の上部に形成された係合面14aに当接する。このとき、ロック機構10の右側のロック部では、図4(D)に示すように、係合爪13の下部に形成された係合面13aと矩形の孔部である係止部15の下側内面との間にクリアランスC1が生じている。このクリアランスC1は、係合片11がその基端部を支点に図4(D)で左方へ弾性変形して(ロック解除側へ撓ませられて)係合爪13が係止部15から離脱する際に、係止部15の下側内面(基板側端部)が係合爪13の係合面13aの移動軌跡外に位置するような大きさになっている。
【0048】
各係合片11,12の両側には、図1乃至図3および図10(B)に示すように、各係合片11,12と一体に形成され、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で相手部材側のロック解除用凸部により押圧付勢されて係合片11,12をロック解除側へ撓ませるテーパ形状のロック解除部17,18が設けられている。
【0049】
ここにいう「相手部材」は、本実施形態では、コネクタ1が使用される電気接続箱のうち、コネクタ1が収容される矩形状のコネクタ収容部20aを有するケースハウジング20である。このケースハウジング20のコネクタ収容部20aの左右の内面には、コネクタ1をコネクタ収容部20a内に挿入して、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、テーパ形状のロック解除部17,18にそれぞれ当接し、係合片11,12を押圧付勢してロック解除側へ撓ませ、最終的に各係合爪13,14と係止部15,16の係合を解除させるロック解除用凸部としてのリブ21,22が形成されている(図10乃至図13の(B)図参照)。
【0050】
リブ21,22は、図7(A),(B)および図11(A),(B)に示すように端子ハウジング5の下端部がコネクタ収容部20aの開口部と同一面になった状態から、コネクタ1をさらに基板2側へ押し込んでいく過程で、ロック解除部17,18にそれぞれ当接し、係合片11,12を押圧付勢してロック解除側へ撓ませる。ロック解除部17,18がロック解除側へ撓むことにより、ロック解除部17,18と一体の係合片11,12もロック解除側へ撓み、最終的には係合爪13,14と係止部15,16の係合が解除される。このように、ロック機構10は、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、相手部材であるケースハウジング20のリブ21,22がロック解除部17,18に当接し、ロック解除部17,18をロック解除側へ撓ませることで、係合爪13,14が係止部15,16から外れてロック解除されるようになっている。
【0051】
なお、端子カバー6には、図3に示すように、コネクタ1をコネクタ収容部20aに嵌合させる際に、右側のリブ21,21をロック解除部17,17に、左側のリブ22,22をロック解除部18,18にそれぞれ当接可能にする溝状の開口部6e〜6hが形成されている。また、端子カバー6の左右の壁部の一方には、図3に示すように、端子ハウジング5が内嵌される第二位置(図9(A)参照)で、L字形の縦断面を有する端子ハウジング5の水平部5Aを収容する幅の切り欠き部6Aが形成されている。
【0052】
各係合爪13,14は、図2(A),(B)に示すように、端子ハウジング5の両側面にそれぞれ形成されている。両側面の一方に形成された係合爪13は、図2(B)に示すように、基板2側へ押し込む力を受けると、矩形の孔部である係止部15の下側内面(基板側端部)に突き当たる係合面13aと傾斜部13bを有する。この係合面13aは、コネクタ1を基板2側へ押し込む方向(図2で下方向)に対して垂直な面であり、傾斜部13bは下方向に対して僅かに傾斜している。
【0053】
一方、端子ハウジング5の両側面の他方に形成された係合爪14は、図2(B)に示すように、端子カバー6から端子ハウジング5を離脱させる力を受けると、矩形の孔部である係止部16の上側内面(反基板側端部)に突き当たる係合面14aと傾斜部14bを有する。この係合面14aは、コネクタ1を基板2から離脱させる方向(図2で上方向)に対して垂直な面であり、傾斜部14bは上方向に対して僅かに傾斜している。
【0054】
このように、ロック機構10は、各係合爪13,14が係止部15,16に係合して端子ハウジング5と端子カバー6を位置決めしてロックした状態では、端子ハウジング5と端子カバー6に、基板2側へ押し込む力と基板2から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。つまり、このロック機構10では、係合爪13の下部に形成された係合面13aを係止部15の孔部の反基板側端部に当接させることで、基板2側への押し込む力を受け止め、係合爪14の上部に形成された係合面14aを係止部16の孔部の基板側端部に当接させることで、基板2から離脱させる力を受け止めるようになっている。このようにして、端子カバー3は、ロック機構10により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように第一位置に保持されるようになっている。
【0055】
端子ハウジング5の下端部が図7(A),(B)に示すようにコネクタ収容部20aの開口部と同一面になって、左右のロック解除部17,18がケースハウジング20のコネクタ収容部20aに接触し始めた時点で、端子カバー6の孔部7のある底壁と基板2との間には、図7(A)に示すクリアランスC2が存在している。このクリアランスC2は、コネクタ1を、図7(A)に示す状態からさらにコネクタ収容部20a内に押し込んでいく過程で、図4に示す係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16から外れる位置まで、図1に示す左右のリブ21,22がロック解除部17,18および係合片11,12を撓ませるのに必要な距離よりも大きくなっている。これにより、コネクタ1を、図7(A)に示す状態からさらにコネクタ収容部20a内に押し込んでいく過程で、端子カバー6の底壁が基板2に当接するまでの間に、左右の係合爪13,14が係止部15,16から外れて、左右のロック機構10による端子ハウジング5と端子カバー6のロックが解除される。
【0056】
なお、コネクタ1をコネクタ収容部20aに嵌合させる前に、端子カバー6がケースハウジング20等に引っかかり、図4(D)に示す上記クリアランスC1が存在しなくなる場合でも、その嵌合時の力と係止爪13のR形状により左右の係合爪13,14をロック解除側へ撓ませることで、ロック機構10による端子ハウジング5と端子カバー6のロックを解除させることができる。
【0057】
また、端子カバー6が図9(A)に示す第二位置にあって端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌され、端子4の圧入部4aが基板2のスルーホール2aに圧入された状態(コネクタ嵌合状態)では、図15(A),(B)に示すように、端子カバー6の上端面がコネクタ収容部20aの左右の内面に設けられた仮係止用凸部24に係合して仮係止されるようになっている。
【0058】
以上のように構成されたコネクタ1の端子ハウジング5に保持された複数の端子4の各圧入部4aを基板2の複数のスルーホール2aに圧入させるコネクタの嵌合動作と、各圧入部4aを各スルーホール2aから離脱させるコネクタの離脱動作を説明する。
【0059】
図6(A),(B)および図10(A),(B)に示すコネクタ離脱状態では、端子ハウジング5の左右の係合片11,12の係止爪13,14を端子カバー6の左右の係合部15,16の孔部にそれぞれ弾発的に係合させる。これにより、端子カバー6は、端子ハウジング5の下部から突出している複数の端子4の各先端部4cの周囲全体を覆う第一位置に、ロック機構10により位置決めされてロックされている。従って、コネクタ離脱状態では、第一位置に保持された端子カバー6が、その周壁で各端子4の先端部4cの周囲全体を覆う(囲む)と共に、孔部7のある底壁で各端子4の先端部4cの下側全体を覆って、各端子4の先端部4c全体を保護している。
【0060】
このようなコネクタ離脱状態にあるコネクタ1をケースハウジング20のコネクタ収容部20aに近づけていく。端子ハウジング5の下端部がコネクタ収容部20aの開口部と同一面になった状態を、図7(A),(B)および図11(A),(B)に示す。
【0061】
このような同一面になった状態から、コネクタ1をコネクタ収容部20a内に押し込んでいくと、コネクタ収容部20aの左右の内面のリブ21,22が、端子ハウジング5の左右にあるテーパ状のロック解除部17,18にそれぞれ当接し、ロック解除部17,18を徐々にロック解除側へ撓ませる(図8(A),(B)および図12(A),(B))。ロック解除部17,18が徐々にロック解除側へ撓むことにより、ロック解除部17,18と一体の係合片11,12もロック解除側へ徐々に撓む。ロック解除部17,18がリブ21,22により押圧付勢されて、ロック解除部17,18および係合片11,12がロック解除側へ更に撓むと、係止部15,16にそれぞれ係合していた係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16から外れる。これにより、ロック機構10により第一位置に位置決めされてロックされていた端子カバー6が、端子ハウジング5に対してスライド可能になり、第一位置から端子ハウジング5が内嵌される第二位置側へ端子ハウジング5に対してスライドする。
【0062】
このように端子カバー6と端子ハウジング5が相対的にスライドして端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の各孔部7から各端子4の先端部4cが外部に突出させられる。これにより、各端子4の圧入部4aが基板2の対応するスルーホール2aに圧入させることができる。この圧入状態(コネクタ嵌合状態)を図9(A),(B)および図13(A),(B)に示す。
【0063】
このようなコネクタの嵌合動作の際に、ロック機構10がロック状態からロック解除状態へ推移していく様子を図14(A)乃至(D)に示してある。図14(A)はロック機構10のロック解除部17,18がリブ21に非接触の状態を示し、図14(B)はロック解除部17,18がリブ21に接触し始めた状態を示している。また、図14(C)はロック解除部17,18がリブ21によって撓み始めた状態を示し、図14(D)は係合片11,12の係合爪13,14が係止部15,16から外れロック解除状態を示している。
【0064】
そして、図9(A),(B)および図13(A),(B)に示すコネクタ嵌合状態では、図15(A),(B)に示すように、端子カバー6の上端面がコネクタ収容部20aの左右の仮係止用凸部24に係合して仮係止される。なお、この仮係止状態では、コネクタ1とケースハウジング20は、図示を省略したロック手段によりロックされるようになっている。
【0065】
次に、各圧入部4aを各スルーホール2aから離脱させる際には、図示を省略したコネクタ1とケースハウジング20のロック手段によるロックを解除し、各端子4の圧入部4aを基板2の対応するスルーホール2aから離脱させる方向(図9(A)で上方向)に端子ハウジング5を引っ張る。これにより、端子ハウジング5が端子カバー6に対して上方へスライドし、係合片11,12がロック解除部17,18と共に自身の弾性によりロック側へ復帰していき、係止部15,16にそれぞれ係合する。このようにしてロック機構10がロック状態に復帰することで、端子カバー6は、複数の端子4の各先端部4cの周囲全体を覆う第一位置に、ロック機構10により再び位置決めされてロックされる。この状態で、コネクタ1を上方へ引っ張ると、端子カバー6がコネクタ収容部20aから外れる。
以上のように構成された第1実施形態によれば、以下の作用効果を奏する。
【0066】
○端子カバー6と端子ハウジング5が相対的にスライドして端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の孔部7から端子4の先端部4cが外部に突出させられる。これにより、複数の端子4の各圧入部4aを基板2の対応するスルーホール2aに圧入させることができる。
【0067】
○端子カバー5は、第一位置にあるとき、圧入部4aのある各端子4の先端部4cを覆うことで、基板2に端子4が圧入されていない不使用時に、端子カバー5から露出する端子を保護することができる。
【0068】
○複数の孔部7はそれぞれ、図7(A)に示すように、外方に向けて縮径する傾斜面7aで形成されているので、各端子4の先端部4cは、複数の孔部7からそれぞれ突出する際に、各孔部7の傾斜面7aで基板2の対応するスルーホール2aへ向けて案内され、位置が補正される。これにより、基板2に対する各端子の位置を適正に確保することができる。具体的には、一列或いは複数列に配置された複数の端子を、基板2上に形成された複数のスルーホール2aのうちの対応するスルーホールにそれぞれ正確に圧入させることができる。これにより、端子サイズの小型化や端子間が狭ピッチ化しても、端子の変形・座屈による断線や隣接端子とのショート接続不良の発生を防止でき、歩留まりが向上する。
【0069】
○端子カバー6は、端子ハウジング5の下部から突出した圧入部4aのある端子4の先端部4c全体を囲む形状を有している。この構成により、基板2に端子4が圧入されていない不使用時に、端子カバー6が図5(A)に示す第一位置にあって、端子ハウジング5から突出した複数の端子4の先端部4c全体を囲んで各端子4を保護するので、ワイヤハーネス組立工程や輸送経路で発生する外力による端子曲がりを防止できる。これにより、機械的、電気的接続不良が発生するのを防止できる。
【0070】
○端子カバー6と端子ハウジング5は、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態で(不使用時に)、端子カバー6を図5(A)に示す第一位置に位置決めするロック機構10を有している。これにより、不使用時には、ロック機構10により、端子カバー6が複数の端子4の先端部4cを覆う第一位置に位置決めされているため、容易に各端子4の先端部4cが外部に露出することがなく、端子4の損傷を防止することができる。
【0071】
○不使用時には、端子ハウジング5に設けられたロック機構10の左右の係合片11,12を、端子カバー6に設けられた左右の係止部15,16にそれぞれ係合させることにより、端子カバー6を、複数の端子4の先端部4cを覆う第一位置に位置決めして保持することができる。
【0072】
○各係合片11,12の両側には、各係合片11,12と一体に形成され、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、コネクタ収容部20aのリブ21,22により押圧付勢されて係合片11,12をロック解除側へ撓ませるテーパ形状のロック解除部17,18が設けられている。これにより、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、リブ21,22がロック解除部17,18にそれぞれ当接し、係合片11,12を押圧付勢してロック解除側へ撓ませ、最終的に各係合爪13,14と係止部15,16の係合を解除させることができる。
【0073】
○ロック機構10は、各係合爪13,14が係止部15,16に係合して端子ハウジング5と端子カバー6を位置決めしてロックした状態では、端子ハウジング5と端子カバー6に、基板2側へ押し込む力と基板2から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。このため、端子カバー3は、ロック機構10により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように端子カバー3を第一位置に保持することができる。
【0074】
○ロック機構10は、各係合爪13,14が係止部15,16に係合して端子ハウジング5と端子カバー6を位置決めしてロックした状態では、端子ハウジング5と端子カバー6に、基板2側へ押し込む力と基板2から離脱させる力のいずれの力が作用しても、そのロック状態が容易には解除されないようになっている。これにより、端子カバー3は、ロック機構10により、第一位置に位置決めされていると共に、その第一位置から容易にはロックが解除されないように、端子カバー3を第一位置に保持することができる。
【0075】
○端子4の圧入部4aが基板2のスルーホール2aに圧入された状態(コネクタ嵌合状態)で、端子カバー6の上端面がコネクタ収容部20aの左右の仮係止用凸部24に係合してコネクタ1を仮係止されるので、端子の圧入部が基板のスルーホールに圧入された状態を維持することができる。
(第2実施形態)
次に、第2実施形態に係るコネクタ1を、図16(A),(B)に基づいて説明する。
【0076】
上記第1実施形態では、端子カバー6が図6(A),(B)に示す第一位置にあるとき、各端子4の先端部4cが、端子カバー6の対応する各孔部7から離間している。これに対して、第2実施形態に係るコネクタ1では、コネクタ1がケースハウジング20から離脱した状態にあって、端子カバー6が図6(A),(B)と同様の図16(A),(B)に示す第一位置にあると、各端子4の先端部4cが端子カバー6の対応する各孔部7に重なっている。つまり、各端子4の先端部4cが端子カバー6の対応する各孔部7にオーバーラップしている。
【0077】
以上のように構成された第2実施形態によれば、上記第1実施形態の奏する作用効果に加えて以下の作用効果を奏する。
【0078】
○端子カバー6が図16(A),(B)に示す第一位置にあると、各孔部7には、対応する各端子4の先端部4cがオーバーラップしているので、各端子4の位置ズレを防止し、スムーズな位置出しを有利に行うことができる。これにより、端子サイズの小型化や端子間が狭ピッチ化しても、端子の変形・座屈による断線や隣接端子とのショート接続不良の発生を防止でき、歩留まりが向上する。
(電気接続箱)
次に、上記第1或いは第2実施形態で説明したコネクタ1を備えた電気接続箱の一実施形態を図17に基づいて説明する。
【0079】
図17に示す電気接続箱30は、上述したように、FET等の電子部品を搭載した基板2をケースの内部に収納した電気接続箱で、ワイヤハーネス幹線の分岐部に設置され、電源や信号を供給する上流の電気接続箱(図示省略)と接続される電気接続箱である。
【0080】
この電気接続箱30は、アッパーカバー31,図1に示すケースハウジング20に相当するアッパーケース32,基板2及びロアケース33を備えている。
【0081】
基板2には、図1に示す上記コネクタ1と同様の複数のコネクタ11〜15が分散して接続可能になっている。各コネクタ11〜15には複数の上記端子4がそれぞれ保持されている。
【0082】
基板2は、複数のスルーホール2aがそれぞれ集合し分散配置された複数のスルーホール領域と、電子部品35を搭載する複数の部品搭載領域と、を有している。
【0083】
コネクタ11は、電源や信号を供給する上流の電気接続箱に接続された複数の電線3を結束したワイヤハーネス幹線Aが接続されるメインコネクタである。また、コネクタ12〜15は、複数の電線3を配索単位でまとめたコネクタで、ワイヤハーネス幹線Aの電線3を介して供給される電源や信号を電装品に伝える複数の電線3を結束したワイヤハーネス支線B〜Eがそれぞれ接続されるサブコネクタである。
【0084】
アッパーケース32には、複数のコネクタ11〜15をそれぞれ収納する複数のコネクタ収納部201〜205が形成されている。これらのコネクタ収納部201〜205が、図1に示すコネクタ収容部20aにそれぞれ対応する。さらに、アッパーケース32は、コネクタ11〜15にそれぞれ接続された電線3を外方に引き出すワイヤハーネス引出口37a,37bbを有している。ワイヤハーネス引出口37aからはワイヤハーネス幹線Aの複数の電線3が引き出され、ワイヤハーネス引出口37bからはワイヤハーネス支線B〜Eの複数の電線3がそれぞれ引き出される。
【0085】
サブコネクタ12〜15は、ワイヤハーネス引出口37bから離れた奥から降り階段状に配置され、各サブコネクタ12〜15から引き出される電線3同士が互いに干渉せずに、ワイヤハーネス引出口37bから外方に引き出せるようになっている。
【0086】
ロアケース33には、コネクタ11〜15の嵌合時、つまり、各コネクタ11〜15にそれぞれ保持された複数の端子4の圧入接続部(上記圧入接続部4a)を対応するスルーホール2aに圧入する際や、組付け状態で発生する振動に対し、基板2が撓まないように、スルーホール2a近傍にバックアップのリブ50や支柱51が形成されている。
【0087】
また、この電気接続箱30では、ロアケース33の両側面に形成された係合部60を、アッパーケース32の両側面に形成された係止部61にそれぞれ係合させることで、アッパーケース32とロアケース33を一体化できるようになっている。
【0088】
そして、この電気接続箱30では、各コネクタ収容部201〜205の内壁面に、各コネクタ11〜15の端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、上記テーパ形状のロック解除部17,18(図2(B)参照)に係合し、このロック解除部17,18を押圧付勢して左右の係合片11,12をロック解除側へ撓ませるロック解除用凸部としてのリブ21,22(図1参照)が設けられている。
【0089】
以上のように構成された一実施形態に係る電気接続箱によれば、以下の作用効果を奏する。
○各コネクタ11〜15において、端子カバー6と端子ハウジング5が相対的にスライドして端子ハウジング5が端子カバー6に内嵌すると、端子カバー6の孔部7から各端子4の先端部4cが外部に突出させられる。これにより、各コネクタ11〜15において、各端子4の先端部4cを基板2のスルーホール2aに圧入させることができる。
【0090】
○各コネクタ11〜15において、端子カバー6は、上記第一位置にあるとき、圧入部4aのある端子4の先端部4cを覆うことで、基板2に端子4が圧入されていない不使用時に、露出する端子4を保護することができる。これにより、不使用時に、露出する端子を保護することが可能な電気接続箱を得ることができる。
【0091】
○各コネクタ11〜15において、各端子4の圧入部4aを基板2のスルーホール2aに圧入する過程で、各コネクタ収納部201〜205の内壁面に設けたロック解除用凸部としてのリブ21,22によりロック解除部17,18が押圧付勢され、係合片11,12をロック解除側へ撓ませるので、係合爪13,14と係止部15,16の係合を解除させることができる。
なお、この発明は以下のように変更して具体化することもできる。
【0092】
・上記各実施形態に係るコネクタにおいて、ロック機構10の係合片11,12を端子ハウジング5側に、係止部15,16を端子カバー6側にそれぞれ設ける代わりに、係合片11,12を端子カバー6側に、係止部15,16を端子ハウジング5側にそれぞれ設けても良い。
【0093】
・上記各実施形態では、各係合片11,12の両側に、上記ロック解除部17,18が設けられているが、各係合片11,12の片側に、ロック解除部17,18が設けられている構成のコネクタにも本発明は適用可能である。
【0094】
・上記各実施形態では、各係合爪13,14をそれぞれ異なる形状に形成したが、同一の形状に形成するものであってもよい。また、各係合爪13,14の形状は上記各実施形態に限定されるものではなく、係止部15,16に係止される形状であればどのような形状であってもよい。例えば、係止部15,16に向けて凸状の略円錐形状に形成されるものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図。
【図2】(A)は端子ハウジングを示す斜視図、(B)は端子ハウジングの正面図で、左右のロック部を拡大して示してある。
【図3】端子カバーを示す斜視図。
【図4】(A)は端子ハウジング、端子カバーおよびケースハウジングの関係を示す平面図、(B)は図4(A)のB−B断面図、(C)は図4(B)に示す左側ロック構造の拡大図、(D)は図4(B)に示す右側ロック構造の拡大図。
【図5】コネクタの端子ハウジング、端子カバーおよびケースハウジングの関係を示す平面図。
【図6】(A)はコネクタ離脱状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図7】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図8】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図9】(A)はコネクタ嵌合状態を示す図5のA−A断面図、(B)は同状態を示す図5のC−C断面図。
【図10】(A)はコネクタ離脱状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図11】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図12】(A)はコネクタ離脱状態とコネクタ嵌合状態の間の状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図13】(A)はコネクタ嵌合状態を示す図5のB−B断面図、(B)は同状態を示す図5のD−D断面図。
【図14】(A)乃至(D)は端子ハウジングのロック部の係合片の撓み状態の推移を示す動作説明図。
【図15】(A)は端子カバーの仮係止状態を部分断面図、(B)はその仮係止状態を示す他の断面図。
【図16】(A)は第2実施形態に係るコネクタにおけるコネクタ離脱状態を示す図6(A)と同様の断面図、(B)は同コネクタにおける図6(B)と同様の断面図。
【図17】一実施形態に係る電気接続箱の概略構成を示す斜視図。
【符号の説明】
【0096】
1,11〜15:コネクタ
2:基板
2a:スルーホール
4:端子
4a:圧入部
4b:電線接続部
4c:端子の先端部
5:端子ハウジング
5a〜5d:リブ
5A:水平部
6:端子カバー
6a〜6d:ガイド溝
6e〜6h:溝状の開口部
6A:切り欠き部
7:孔部
7a:傾斜面
10:ロック機構
11,12:係合片
13,14:係合爪
13a,14a:係合面
15,16:係止部
17,18:ロック解除部
20:ケースハウジング(アッパーケース)
20a,201〜205:コネクタ収容部
21,22:リブ
24:仮係止用凸部
30:電気接続箱
32:アッパーケース
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に圧入される基板接続部と電線の導体端末が接続される電線接続部を有する端子を保持し、前記端子の基板接続部を前記基板に圧入して前記電線を前記基板に接続するコネクタであって、
前記端子を保持する端子ハウジングと、
前記端子ハウジングを内嵌可能な形状に形成されるとともに、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容するように前記端子ハウジングに取り付けられる端子カバーと、を備え、
前記端子カバーは、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容し前記端子の先端部を覆う第一位置と、前記端子ハウジングを内嵌する第二位置との間で、前記端子ハウジングに対してスライド可能であり、前記第一位置から前記第二位置側へスライドするときに、前記端子の先端部を通過可能にする孔部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記孔部は、外方に向けて縮径する傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子カバーが前記第一位置に位置するとき、前記孔部に前記端子の先端部がオーバーラップしていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子カバーは、前記端子の先端部全体を囲む形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子カバーと前記端子ハウジングは、不使用時に、前記端子カバーを前記第一位置に位置決めするロック機構を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記端子カバーと前記端子ハウジングのいずれか一方に設けられ、先端に係合爪を有し弾性のある係合片と、前記端子カバーと前記端子ハウジングの他方に設けられ、前記係合爪が係合する係止部とを有することを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記係合片には、前記係合片と一体に形成され、前記端子の基板接続部を基板に圧入する過程で前記係合片をロック解除側へ撓ませるロック解除部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記係合爪は前記端子ハウジングの両側面にそれぞれ形成されており、前記両側面の一方に形成された前記係合爪は前記基板側へ押し込む力を受けると前記係止部の基板側端部に突き当たる係合面を有し、前記両側面の他方に形成された前記係合爪は前記基板から離脱させる力を受けると前記係止部の反基板側端部に突き当たる係合面を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記コネクタが収容されるコネクタ収容部を有するケースハウジングと、
電子部品が搭載され、かつ複数のスルーホールを有し、前記複数のスルーホールが前記コネクタ収容部に臨むように配置された基板と、を備えることを特徴とする電気接続箱。
【請求項10】
前記コネクタ収容部の内壁面に、前記端子の基板接続部を前記基板のスルーホールに圧入する過程で前記ロック解除部に係合し、該ロック解除部を押圧付勢して前記係止片をロック解除側へ撓ませるロック解除用凸部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の電気接続箱。
【請求項11】
前記コネクタの前記端子カバーが前記第二位置にスライドして前記端子ハウジングが前記端子カバーに内嵌され、前記端子の基板接続部が前記基板のスルーホールに圧入された状態では、前記端子カバーの上端面が前記コネクタ収容部に設けられた仮係止用凸部に係合して仮係止されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の電気接続箱。
【請求項1】
基板に圧入される基板接続部と電線の導体端末が接続される電線接続部を有する端子を保持し、前記端子の基板接続部を前記基板に圧入して前記電線を前記基板に接続するコネクタであって、
前記端子を保持する端子ハウジングと、
前記端子ハウジングを内嵌可能な形状に形成されるとともに、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容するように前記端子ハウジングに取り付けられる端子カバーと、を備え、
前記端子カバーは、前記端子ハウジングとの間に前記端子を収容し前記端子の先端部を覆う第一位置と、前記端子ハウジングを内嵌する第二位置との間で、前記端子ハウジングに対してスライド可能であり、前記第一位置から前記第二位置側へスライドするときに、前記端子の先端部を通過可能にする孔部を有することを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記孔部は、外方に向けて縮径する傾斜面で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記端子カバーが前記第一位置に位置するとき、前記孔部に前記端子の先端部がオーバーラップしていることを特徴とする請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記端子カバーは、前記端子の先端部全体を囲む形状を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記端子カバーと前記端子ハウジングは、不使用時に、前記端子カバーを前記第一位置に位置決めするロック機構を有することを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ロック機構は、前記端子カバーと前記端子ハウジングのいずれか一方に設けられ、先端に係合爪を有し弾性のある係合片と、前記端子カバーと前記端子ハウジングの他方に設けられ、前記係合爪が係合する係止部とを有することを特徴とする請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記係合片には、前記係合片と一体に形成され、前記端子の基板接続部を基板に圧入する過程で前記係合片をロック解除側へ撓ませるロック解除部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ。
【請求項8】
前記係合爪は前記端子ハウジングの両側面にそれぞれ形成されており、前記両側面の一方に形成された前記係合爪は前記基板側へ押し込む力を受けると前記係止部の基板側端部に突き当たる係合面を有し、前記両側面の他方に形成された前記係合爪は前記基板から離脱させる力を受けると前記係止部の反基板側端部に突き当たる係合面を有することを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のコネクタ。
【請求項9】
請求項1から請求項8のいずれか1項に記載のコネクタと、
前記コネクタが収容されるコネクタ収容部を有するケースハウジングと、
電子部品が搭載され、かつ複数のスルーホールを有し、前記複数のスルーホールが前記コネクタ収容部に臨むように配置された基板と、を備えることを特徴とする電気接続箱。
【請求項10】
前記コネクタ収容部の内壁面に、前記端子の基板接続部を前記基板のスルーホールに圧入する過程で前記ロック解除部に係合し、該ロック解除部を押圧付勢して前記係止片をロック解除側へ撓ませるロック解除用凸部が設けられていることを特徴とする請求項9に記載の電気接続箱。
【請求項11】
前記コネクタの前記端子カバーが前記第二位置にスライドして前記端子ハウジングが前記端子カバーに内嵌され、前記端子の基板接続部が前記基板のスルーホールに圧入された状態では、前記端子カバーの上端面が前記コネクタ収容部に設けられた仮係止用凸部に係合して仮係止されることを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の電気接続箱。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2009−26629(P2009−26629A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−189111(P2007−189111)
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年7月20日(2007.7.20)
【出願人】(000005290)古河電気工業株式会社 (4,457)
【Fターム(参考)】
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