説明

コネクタの実装構造

【課題】 本発明は複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造に関し、大量のアクセス側配線を収容しうると共に、部品点数を増加することなく小型化・薄型化を図ることを課題とする。
【解決手段】 複数のコネクタ部29が列設されたコネクタ列設体23〜35を複数段積層してなるコネクタ20Bをプリント配線基板22上に実装するコネクタの実装構造において、下段に位置するコネクタ列設体(例えば第1のコネクタ列設体23)のコネクタ部29の位置と、その上段に位置するコネクタ列設体(例えば、第2のコネクタ列設体24)のコネクタ部29の位置とをピッチPだけ横方向(X1,X2方向)にずらして配置する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタの実装構造に係り、特に複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子装置を他の電子装置とケーブル等を用いて説明する場合、コネクタを用いて接続することが行われている。この場合、ケーブル側にケーブルプラグを配設すると共に、電子装置側にこのケーブルプラグが装着されるコネクタを配設する。近年、コネクタを内設する電子機器の小型薄型化が図られており、よってコネクタについても各種小型化が図られたものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
一方、近年のブロードバンドの普及に伴い、大量のアクセス側配線(イーサ信号等)を収容し、信号を多重・集線してトランスポート側に送り出す通信装置が提供されている。このような通信装置においては、一般にコネクタとしてRJ−45コネクタが多用されている。これらの通信装置に従来から用いられていたコネクタの実装構造について、図1及び図2を用いて説明する。
【0004】
図1に示すコネクタの実装構造は、大量のアクセス側配線を収容するため、二つのコネクタ1Aを重ね合わせて使用する構成とされている。コネクタ1Aは、横方向(図中矢印X1,X2方向)に列設された8個のコネクタ部8より構成される第1のコネクタ列設体3と、この第1のコネクタ列設体3の上部に配設されており、同じく横方向に列設された8個のコネクタ部8より構成される第2のコネクタ列設体4とを有している。更に、第2のコネクタ列設体4は第1のコネクタ列設体3の上部に積層された構成とされており、その上で各コネクタ列設体3,4をモールド樹脂9で樹脂封止した構成とされている。
【0005】
また、各コネクタ部8はRJ−45コネクタに対応するよう構成されており、よって各コネクタ部8の背面側からは8本のリード6,7が延出される。具体的には、第1のコネクタ列設体3を構成するコネクタ部8からは第1のリード6が延出し、第2のコネクタ列設体4を構成するコネクタ部8からは第2のリード7が延出する。
【0006】
このリード6,7は、水平方向に所定長さ延出された後、下方に向け折り曲げられた構成とされている。そして、折り曲げられたリード6,7の下端部は、プリント配線基板2に形成されたランドにはんだ付け接続される。
【0007】
また、図2に示すコネクタの実装構造は、上記したコネクタ1Aの上部にコネクタ1Bを積み重ねた構成とされている。このコネクタ1Bは、コネクタ部8を横方向に一列だけ列設した第3のコネクタ列設体5により構成されている。また、各コネクタ部8から延出したリード14は、プリント配線基板2と別体とされたサブプリント配線基板12に接続されている。
【0008】
前記したように、コネクタ部8はRJ−45コネクタに対応するよう構成とされており、このコネクタ部8にはロック解除爪を有したプラグが装着される(図4参照)。よって、コネクタ1Aとコネクタ1Bとを積み重ねる場合、各コネクタ1A,1Bの間には、ロック解除爪を操作する操作空間を設ける必要がある(図に矢印h1で示す)。これは、図1に示した、同一構成である二つのコネクタ1Aを積み重ねる場合も同様である。
【0009】
このため、プリント配線基板2にスペーサ部材13を立設し、このスペーサ部材13の上部にサブプリント配線基板12を固定することにより、コネクタ1Aとコネクタ1Bとの間に、ロック解除爪を操作する操作空間h1を形成する構成としていた。
【特許文献1】特開平10−340744号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来のコネクタの実装構造では、図1に示す従来例では、単に同一構成とされたコネクタ1Aを積み重ねる構造であったため、夫々のコネクタ1A毎にプリント配線基板2が必要となってしまう。また、ロック解除爪の操作を確保するため、前記のように一対のコネクタ1Aの間にロック解除爪を操作する操作空間を設ける必要がある。このため、各コネクタ全体としての高さ(図1に矢印h2で示す)が大きくなってしまい、小型化・薄型化を図ることができないという問題点があった。
【0011】
また、図2に示す従来例では、上記と同様の理由によりコネクタ1Aとコネクタ1Bとの間にロック解除爪を操作する操作空間を設ける必要があるため、やはり小型化・薄型化を図ることができない。更に、図2に示す従来例では、コネクタ1Bをコネクタ1Aの上方に操作空間を設けて支持するためにスペーサ部材13を設けており、よって部品点数が増加すると共に実装時における工数が増大し、コストが上昇してしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、大量のアクセス側配線を収容しうると共に、部品点数を増加することなく小型化・薄型化を図りうるコネクタの実装構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記の課題を解決するために本発明では、次に述べる各手段を講じたことを特徴とするものである。
【0014】
請求項1記載の発明は、
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
少なくとも3段以上の前記コネクタ列設体を積層すると共に、各コネクタ部のリードを一の前記基板に接続する構成とし、
かつ、前記複数段の前記コネクタ列設体を樹脂封止した構成としたことを特徴とするものである。
【0015】
上記発明によれば、多層積層がされたコネクタ列設体に設けられた各コネクタ部のリードを一の基板に接続する構成としたため、従来に比べて基板数を削減することができ、コネクタの小型化を図ることができる。また、複数段の前記コネクタ列設体を樹脂封止したことにより、上段に位置するコネクタ列設体及び基板を保持する機構も不要となるため、これによってもコネクタの小型化を図ることができる。
【0016】
また、請求項2記載の発明は、
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
下段に位置する前記コネクタ列設体の前記コネクタ部の位置と、その上段に位置する前記コネクタ列設体の前記コネクタ部の位置とをずらして配置したことを特徴とするものである。
【0017】
上記発明によれば、上段と下段でコネクタ列設体のコネクタ部の位置をずらした構成としているため、各コネクタ部から延出するリードが干渉することを防止でき、よってコネクタ部を高密度に配設することが可能となり、コネクタの小型化を図ることができる。また、コネクタ部がロック解除爪を有したコネクタが装着される構成のものである場合には、上段と下段においてロック解除爪の位置がずれるため、ロック解除爪の操作領域を確保しつつ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0018】
また、請求項3記載の発明は、
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
前記コネクタ部から延出される複数のリードを、第1のリードと、折り曲げ形成されることにより該第1のリードに対して前記基板からの高さが低く形成された第2のリードとにより構成し、
かつ、前記第1のリードと前記第2のリードが、前記基板を平面視した場合に一部が交差するよう配置されていることを特徴とするものである。
【0019】
上記発明によれば、第1のリードと第2のリードが基板を平面視した場合に一部が交差するよう配置されているため、第1及び第2のリードを高密度に配設することができ、基板上におけるリードの接続領域を狭くでき、よってコネクタの小型化を図ることができる。
【0020】
また、請求項4記載の発明は、
請求項2または3記載のコネクタの実装構造において、
少なくとも3段以上の前記コネクタ列設体を積層すると共に、各コネクタ部のリードを一の前記基板に接続する構成としたことを特徴とするものである。
【0021】
上記発明によれば、多層積層がされたコネクタ列設体に設けられた各コネクタ部のリードを一の基板に接続する構成としたため、従来に比べて基板数を削減することができ、コネクタの小型化を図ることができる。
【0022】
また、上記発明において、前記コネクタ部は、ロック解除爪を有したプラグが装着される構成としてもよい。
【0023】
また、上記発明において、前記コネクタ部は、RJ−45コネクタとすることができる。
【0024】
また、上記発明において、基板上に複数段積層された前記コネクタ列設体の基板を含めた高さが、Uピッチの整数倍の高さとなるよう設定してもよい。
【0025】
更に、基板に対してコネクタを、前記請求項1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタの実装構造を用いて実装することにより電子装置を構成してもよい。
【発明の効果】
【0026】
上述の如く本発明によれば、コネクタ部及びリードを高密度に配置できるため、コネクタの小型化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
次に、本発明を実施するための最良の形態について図面と共に説明する。
【0028】
図3は、本発明の第1実施例であるコネクタの実装構造を示している。同図に示す実装構造で用いるコネクタ20Aは、例えば大量のアクセス側配線を収容し、信号を多重・集線してトランスポート側に送り出す通信装置に適用されるものであり、また後述するコネクタ部29はRJ−45コネクタに対応した構成とされている。
【0029】
このため図3に示すコネクタの実装構造では、大量のアクセス側配線を収容するため、第1のコネクタ列設体23、第2のコネクタ列設体24、及び第3のコネクタ列設体25を複数段積層した構成とされている。各コネクタ列設体23〜25は、横方向(図中矢印X1,X2方向)に列設された8個のコネクタ部29により構成されている。
【0030】
各コネクタ列設体23〜25のコネクタ部29はRJ−45コネクタに対応しているため、その背面側からは夫々8本のリードが延出されている。具体的には、第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29からは第1のリード26が延出し、第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29からは第2のリード27が延出し、また第3のコネクタ列設体25のコネクタ部29からは第3のリード28が延出する。
【0031】
この第1乃至第3のリード26〜28は、本実施例では水平方向に所定長さ延出された後、下方に略直角に折り曲げられた構成とされている。そして、折り曲げられた各リード26〜28の下端部は、プリント配線基板22に形成されたランド34にはんだ付け接続される。
【0032】
ここで、コネクタ部29に装着されるプラグ40について説明する。図4は、コネクタ部29に装着されるプラグ40を示している。プラグ40は、ケーブル43に接続されたプラグ本体41を有している。このプラグ本体41がコネクタ部29内に挿入されることにより、プラグ40とコネクタ部29内に配設された各リード26〜28とが電気的に接続される。
【0033】
また、プラグ40がコネクタ20Aから容易に離脱しないよう、プラグ40にはロック解除爪42が設けられている。このロック解除爪42はレバー部44と一体的に図中矢印A1,A2方向に可撓変形してうる構成とされている。更に、コネクタ部29にはこのロック解除爪42と係合するロック部が形成されている。
【0034】
プラグ40がコネクタ部29に装着される際、プラグ本体41のコネクタ部29内への挿入に伴いロック解除爪42は矢印A2方向に弾性変形し、所定装着位置において矢印A1方向に弾性復元することによりコネクタ部29のロック部と係合する。これにより、プラグ40のコネクタ20A(コネクタ部29)からの離脱が防止される。
【0035】
一方、プラグ40をコネクタ20A(コネクタ部29)から取り外す場合は、レバー部44を矢印A2方向に操作することによりロック解除爪42とロック部との係合を解除し、そのままプラグ40をコネクタ20A(コネクタ部29)から引き抜く。このように、プラグ40をコネクタ20A(コネクタ部29)から取り外す場合にはレバー部44を操作する必要があり、よってコネクタ20Aにはこの操作用の操作空間を設ける必要がある。本実施例において、第2のコネクタ列設体24と第3のコネクタ列設体25との間に矢印H2で示す空間部を形成しているが、この空間部分がレバー部44の操作用の操作空間である。
【0036】
再び図3に戻り、コネクタ20Aの説明を続ける。上記のように積層された第1のコネクタ列設体23は、モールド樹脂30により封止され、これにより固定される。ここで、第1乃至第3のコネクタ列設体23〜25に設けられた各コネクタ部29から延出した第1乃至第3のリード26〜28の電気的な接続に注目する。本実施例においては、第1乃至第3のリード26〜28は、1枚のプリント配線基板22に全て接続された構成とされている。
【0037】
このように、多層積層がされたコネクタ列設体23〜25に設けられた各コネクタ部29のリード26〜28を一のプリント配線基板22に接続する構成としたため、従来の実装構造(図2参照)に比べて基板数を削減することができ、コネクタ20Aの小型化・薄型化を図ることができる。また、複数段のコネクタ列設体23〜25をモールド樹脂30で封止したことにより、従来コネクタ1Bを支持するために必要であったスペーサ部材13(図2参照)を不要とすることができ、部品点数の削減及び低コスト化を図ることができる。更に、スペーサ部材13を設けるスペースが不要となるため、コネクタ20Aの小型化にも寄与することができる。
【0038】
尚、本実施例の実装構造を用いることにより、コネクタ20Aの高さを、図2に示した従来の実装構造に比べて約90%の高さに低背化することができた(H1=h3×0.9)。このように、コネクタ20Aの低背化が行えることにより、コネクタ20Aのプリント配線基板22を含めた高さを、Uピッチ(1Uピッチ=44.45mm)の整数倍の高さとすることが容易となる。
【0039】
次に、本発明の第2実施例について説明する。
【0040】
図5乃至図8は、第2実施例に係るコネクタの実装構造を説明するための図である。尚、図5乃至図8において、第1実施例の説明に用いた図3に示した構成と対応する構成については同一符号を付して、その説明を省略する。
【0041】
本実施例に係る実装構造も、第1乃至第3のコネクタ列設体23〜25を複数段積層した構成としている。また、各コネクタ列設体23〜25は、モールド樹脂30により樹脂封止されており、よって部品点数の削減、低コスト化、及び小型・薄型化が図られている。更に本実施例に係る実装構造では、下段に位置するコネクタ列設体のコネクタ部29の位置と、その上段に位置するコネクタ列設体のコネクタ部29の位置とをずらして配置したことを特徴としている
具体的には、第1のコネクタ列設体23と第2のコネクタ列設体24に注目すると、第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29は、第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29に対して、コネクタ部29の配設ピッチの半ピッチ分(図中、矢印Pで示す長さ)だけ矢印X1方向にずらして配置した構成としている。また、第3のコネクタ列設体25のコネクタ部29は、第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29に対して、コネクタ部29の配設ピッチの半ピッチ分(図中、矢印Pで示す長さ)だけ矢印X2方向にずらして配置した構成としている。
【0042】
この構成とすることにより、コネクタ部29にプラグ40が装着さている場合、プラグ40のレバー部44(ロック解除爪42)の位置が、上段のコネクタ列設体と下段のコネクタ列設体においてピッチPだけ左右方向(X1,X2方向)にずれる。これにより、上下においてレバー部44(ロック解除爪42)の操作領域が干渉することがなくなるため、レバー部44(ロック解除爪42)の操作領域を小さくすることができる。
【0043】
具体的には、図3(A)に示す第1実施例では図中矢印H2で示す領域だけ必要であった操作領域を、図5(A)に矢印H4で示す領域に縮小することができる(H4<H2)。これにより、レバー部44(ロック解除爪42)の操作領域を確保しつつ、コネクタ20Bの小型化を図ることができる。
【0044】
また、本実施例のように下段に位置するコネクタ列設体のコネクタ部29の位置と、その上段に位置するコネクタ列設体のコネクタ部29の位置とをずらした構成とすることにより、各コネクタ部29から後方(Y2方向)に延出するリード26〜28も上下段でずれた構成となる。これにより、リード26〜28が接続されるプリント配線基板22上のランド34を高密度に配設することが可能となり、これによってもコネクタ20Bの小型化を図ることができる。
【0045】
これについて、図6を参照して説明する。尚、図6では図示の便宜上、各コネクタ列設体23〜25の一つのコネクタ部29のみを示している。
【0046】
本実施例では、各コネクタ列設体23〜25が上下でコネクタ部29の配設ピッチの半ピッチ分(図中、矢印Pで示す長さ)だけずらして配置されているため、第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29の位置と第3のコネクタ列設体25のコネクタ部29の位置は、上下で一致している。これに対して第2のコネクタ列設体24に設けられたコネクタ部29の位置は、第1及び第3のコネクタ列設体23,25に対してピッチPだけずれている。
【0047】
よって、第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29から延出した第1のリード26がプリント配線基板22に接続されるランド34の領域(図中、一点鎖線で示す第1の接続領域31)と、第3のコネクタ列設体25のコネクタ部29の位置から延出した第3のリード28(図6では一部省略して図示している)がプリント配線基板22に接続されるランド34の領域(図中、一点鎖線で示す第3の接続領域33)は、図中矢印Y1,Y2方向に並んだ構成となる。
【0048】
これに対し、第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29から延出した第2のリード27がプリント配線基板22に接続されるランド34の領域(図中、一点鎖線で示す第2の接続領域32)は、上記のように第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29が第1及び第3のコネクタ列設体23,25に対してずれているため、第1及び第2の接続領域31,23に対して図中矢印X1,X2方向にずれた位置に配置することが可能となる。
【0049】
これにより、ランド34が形成される第1乃至第3の接続領域31〜33の図中矢印Y1,Y2方向に対する幅を狭くすることができる。即ち、図3(B)に示す第1実施例のように第1乃至第3のリード26〜28が接続されるランド34を矢印Y1,Y2方向に並設させた構成では、プリント配線基板22上におけるランド34の矢印Y1,Y2方向の占有面積が広くなってしまう。
【0050】
しかしながら、上記したように本実施例によれば、第1乃至第3の接続領域31〜33のY1,Y2方向に対する幅を狭くすることができるため、プリント配線基板22上においてコネクタ20Bを実装するのに必要とする矢印Y1,Y2方向の面積を小さくすることができる。更に、コネクタ部29からプリント配線基板22に至るまでの第2及び第3のリード27,28の長さを、従来に比べて短くすることができるため、外乱の各リード27,28の混入及び各リード27,28からの不要な放射を低減でき、EMI(電磁放射)特性の向上を図ることができる。
【0051】
また、本実施例においても、コネクタ列設体23〜25に設けられた各コネクタ部29から延出した各リード26〜28は、プリント配線基板22に全て接続した構成とされている。よって、第1実施例と同様に、従来に比べてプリント配線基板の数を削減することができると共に、コネクタ20Bの小型化を図ることができる。尚、本実施例の実装構造を用いることにより、コネクタ20Bの高さを、図2に示した従来の実装構造に比べて約80%の高さに低背化することができた(H3=h3×0.8)。
【0052】
図7及び図8は、第2実施例に係るコネクタ20Bの実装構造の適用例を示している。図7に示す例は、第2実施例に係るコネクタ20Bの実装構造をプラグインユニット45に適用したものである。このプラグインユニット45は、ラックに設けられたシェルフに挿入脱されることにより搭載されるものであり、搭載状態においてカードレバー48によりシェルフにロックされる構成とされている。
【0053】
また、シェルフに搭載された状態でプリント配線基板22のコネクタ20Bの配設位置と反対側の端部(シェルフの奥側)に設けられたシートコネクタ46は、シェルフに配設されているコネクタに装着される。尚、図において符号47で示すのは、プリント配線基板22に配設された電子部品である。
【0054】
また、図8に示す例は、第2実施例に係るコネクタ20Bの実装構造を電子装置50に適用したものである。電子装置50はハウジングケース49内にコネクタ20Bを実装したプリント配線基板22を内設した構成とされている。
【0055】
この電子装置50は、ハウジングケース49の鍔部55がラックのマウントアングルに固定されることによりラックに搭載される。また、シェルフに搭載された状態でプリント配線基板22のコネクタ20Bの配設位置と反対側の端部(シェルフの奥側)に設けられた電源端子51に電源ケーブルを接続して使用する。
【0056】
次に、本発明の第3実施例について説明する。
【0057】
図9及び図10は、第3実施例に係るコネクタの実装構造を説明するための図である。尚、図9及び図10においても、第1実施例の説明に用いた図3に示した構成と対応する構成については同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0058】
本実施例に係る実装構造は、二つのコネクタ20Cを重ね合わせて使用する構成とされている。コネクタ20Cは、横方向(図中矢印X1,X2方向)に列設された8個のコネクタ部29より構成される第1のコネクタ列設体23と、この第1のコネクタ列設体23の上部に配設されており、同じく横方向に列設された8個のコネクタ部29より構成される第2のコネクタ列設体24とを有している。
【0059】
第2のコネクタ列設体24は、第1のコネクタ列設体23の上部に積層された構成とされている。この際、第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29と第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29は、コネクタ部29の配設ピッチの半ピッチ分(図中、矢印Pで示す長さ)だけ矢印X1,X2方向にずらして配置した構成としている。
【0060】
更に、二つのコネクタ20Cを重ね合わせる際、下段に位置するコネクタ20Cの第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29と、上段に位置するコネクタ20Cの第1のコネクタ列設体23の各コネクタ部29とが、コネクタ部29の配設ピッチの半ピッチ分(図中、矢印Pで示す長さ)だけ矢印X1,X2方向にずれるよう位置決されて配置される。
【0061】
上記構成とすることにより、二つのコネクタ20Cを積み重ねた際に対向した状態となる下段の第2のコネクタ列設体24に配設されたコネクタ部29と、上段の第1のコネクタ列設体23に配設されたコネクタ部29とは、ピッチPだけ左右方向(X1,X2方向)にずれる。これにより、上下においてプラグ40のレバー部44(ロック解除爪42)の操作領域が干渉することがなくなるため、レバー部44(ロック解除爪42)の操作領域を小さくすることができ、レバー部44(ロック解除爪42)の操作領域を確保しつつ、積み重ねた状態におけるコネクタ20Cの小型化を図ることができる。
【0062】
また、本実施例のように各コネクタ20Cにおいて、下段に位置する第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29の位置と、その上段に位置する第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29の位置とを矢印X1,X2方向にずらした構成としたため、各コネクタ部29から後方(Y2方向)に延出するリード26,27も矢印X1,X2方向にずれた構成となる。
【0063】
よって、第1のコネクタ列設体23のコネクタ部29から延出した第1のリード26がプリント配線基板22に接続されるランド34の領域(図中、一点鎖線で示す第1の接続領域31)と、第2のコネクタ列設体24のコネクタ部29の位置から延出した第2のリード27がプリント配線基板22に接続されるランド34の領域(図中、一点鎖線で示す第2の接続領域32)は、図中矢印Y1,Y2方向に並んだ構成となる。
【0064】
よって、本実施例においても、ランド34が形成される第1及び第2の接続領域31,32の図中矢印Y1,Y2方向に対する幅を狭くすることができ、プリント配線基板22上においてコネクタ20Cを実装するのに必要とする矢印Y1,Y2方向の面積を小さくすることができる。
【0065】
次に、本発明の第4実施例について説明する。
【0066】
図11乃至図13は、第4実施例に係るコネクタの実装構造を説明するための図である。尚、図11乃至図13においても、第1実施例の説明に用いた図3に示した構成と対応する構成については同一符号を付して、その説明を省略するものとする。
【0067】
一つのコネクタ部29からは8本のリードが延出される。図12及び図13では、図示及び説明の便宜上、第1のコネクタ列設体23を構成する一つのコネクタ部29を示している。前記した各実施例では、コネクタ部29の背面から延出したリードを、そのまま矢印Y2方向に所定長さにわたり延出させた後、直角下方(Z2方向)に折曲してプリント配線基板22のランド34に接続する構成としていた。
【0068】
これに対して本実施例では、中央に位置する4本のリード26C〜26F(請求項に記載の第1のリードに相当)は、他の実施例と同様な構成としているが、両側に位置するリード26A,26B,26G,26H(請求項に記載の第2のリードに相当)はその途中に段部52を形成した構成としている。具体的には、図12に示されるように、リード26A,26B,26G,26Hは、矢印Y2方向に所定の長さ延出した後、先ず下方(矢印Z2方向)に所定長さ垂下した後、再び直角に折り曲げられた上でリード26C〜26Fの下部に向け水平方向に延出される。これにより、各リード26A,26B,26G,26Hには段部52が形成される。
【0069】
このように形成することにより、リード26C〜26Fに対してリード26A,26B,26G,26Hは低背化するため、リード26A,26B,26G,26Hをリード26C〜26Fの下部に配設することが可能となる。また、リード26A,26B,26G,26Hとリード26C〜26Fとを平面視した場合に交差させることが可能となる。
【0070】
具体的には、図13(リード26A〜26Hの平面図)に示すように、リード26Aがプリント配線基板22に接続するランド34Aは、リード26Dの直下位置に設定されている。同様に、リード26Bが接続するランド34Bは、リード26Cの直下位置に、リード26Gが接続するランド34Gは、リード26Eの直下位置に、リード26Hが接続するランド34Hは、リード26Fの直下位置にそれぞれ配設されている。更に、リード26Aとリード26C及びリード26Fとリード26Gは、上記のように平面視した場合に交差している。
【0071】
本実施例では、上記のようにリード26C〜26Fに対してリード26A,26B,26G,26Hは低背化することにより、各リード26A〜26Hのレイアウトの自由度が向上する。よって、リード26A,26B,26G,26Hが接続されるプリント配線基板22上のランド34A,34B,34G,34Hの接続領域31Bを、他のリード26C〜26Fが接続されるプリント配線基板22上のランド34C〜34Fの接続成領域31Aに比べてコネクタ部29に近い位置(図中、矢印Y1方向位置)に設けることが可能となる。これにより、各リード26A〜26Hを高密度に配設することができ、プリント配線基板22上におけるランド34A〜34Hの接続成領域31A,31Bを狭くできる。また、各リード26A〜26Hを短くすることができるため、EMI(電磁放射)特性の向上を図ることができる。
【0072】
以上の説明に関し、更に以下の項を開示する。
(付記1)
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
少なくとも3段以上の前記コネクタ列設体を積層すると共に、各コネクタ部のリードを一の前記基板に接続する構成とし、
かつ、前記複数段の前記コネクタ列設体を樹脂封止した構成としたことを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記2)
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
下段に位置する前記コネクタ列設体の前記コネクタ部の位置と、その上段に位置する前記コネクタ列設体の前記コネクタ部の位置とをずらして配置したことを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記3)
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
前記コネクタ部から延出される複数のリードを、第1のリードと、折り曲げ形成されることにより該第1のリードに対して前記基板からの高さが低く形成された第2のリードとにより構成し、
かつ、前記第1のリードと前記第2のリードが、前記基板を平面視した場合に一部が交差するよう配置されていることを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記4)
付記2または3記載のコネクタの実装構造において、
少なくとも3段以上の前記コネクタ列設体を積層すると共に、各コネクタ部のリードを一の前記基板に接続する構成としたことを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記5)
付記1乃至4のいずれか1項に記載のコネクタの実装構造において、
前記コネクタ部は、ロック解除爪を有したプラグが装着される構成であることを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記6)
付記1乃至5のいずれか1項に記載のコネクタの実装構造において、
前記コネクタ部は、RJ−45コネクタであることを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記7)
付記1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタの実装構造において、
基板上に複数段積層された前記コネクタ列設体の基板を含めた高さが、Uピッチの整数倍の高さとなるよう設定したことを特徴とするコネクタの実装構造。
(付記8)
基板に対してコネクタを、前記付記1乃至6のいずれか1項に記載のコネクタの実装構造を用いて実装してなることを特徴とする電子装置。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】図1は、従来の第1従来例を説明するための図である。
【図2】図2は、従来の第2従来例を説明するための図である。
【図3】図3は、本発明の第1実施例であるコネクタの実装構造を説明するための図であり、(A)はコネクタの正面図、(B)はコネクタの断面図である。
【図4】図4は、コネクタに装着されるプラグを示す図である。
【図5】図5は、本発明の第2実施例であるコネクタの実装構造を説明するための図であり、(A)はコネクタの正面図、(B)はコネクタの断面図である。
【図6】図6は、第2実施例におけるリード構造を説明するための構成図である。
【図7】図7は、本発明の第2実施例であるコネクタの実装構造を適用したプラグインユニットを示す図である。
【図8】図8は、本発明の第2実施例であるコネクタの実装構造を適用した電子装置を示す図である。
【図9】図9は、本発明の第3実施例であるコネクタの実装構造を説明するための図であり、(A)はコネクタの正面図、(B)はコネクタの断面図である。
【図10】図10は、第3実施例におけるリード構造を説明するための構成図である。
【図11】図11は、本発明の第4実施例であるコネクタの実装構造を説明するための断面図である。
【図12】図12は、第4実施例におけるリード構造を説明するための構成図である。
【図13】図13は、第4実施例におけるリード構造を説明するための平面図である。
【符号の説明】
【0074】
20A〜20D コネクタ
22 プリント配線基板
23 第1のコネクタ列設体
24 第2のコネクタ列設体
25 第3のコネクタ列設体
26 第1のリード
27 第2のリード
28 第3のリード
29 コネクタ部
30 モールド樹脂
31 第1の接続領域
32 第2の接続領域
33 第3の接続領域
34 ランド
40 プラグ
42 ロック解除爪
45 プラグインユニット
46 シートコネクタ
49 ハウジングケース

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
少なくとも3段以上の前記コネクタ列設体を積層すると共に、各コネクタ部のリードを一の前記基板に接続する構成とし、
かつ、前記複数段の前記コネクタ列設体を樹脂封止した構成としたことを特徴とするコネクタの実装構造。
【請求項2】
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
下段に位置する前記コネクタ列設体の前記コネクタ部の位置と、その上段に位置する前記コネクタ列設体の前記コネクタ部の位置とをずらして配置したことを特徴とするコネクタの実装構造。
【請求項3】
複数のコネクタ部が列設されたコネクタ列設体を複数段積層してなるコネクタを基板上に実装するコネクタの実装構造において、
前記コネクタ部から延出される複数のリードを、第1のリードと、折り曲げ形成されることにより該第1のリードに対して前記基板からの高さが低く形成された第2のリードとにより構成し、
かつ、前記第1のリードと前記第2のリードが、前記基板を平面視した場合に一部が交差するよう配置されていることを特徴とするコネクタの実装構造。
【請求項4】
請求項2または3記載のコネクタの実装構造において、
少なくとも3段以上の前記コネクタ列設体を積層すると共に、各コネクタ部のリードを一の前記基板に接続する構成としたことを特徴とするコネクタの実装構造。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2006−278288(P2006−278288A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−99886(P2005−99886)
【出願日】平成17年3月30日(2005.3.30)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】