説明

コネクタモジュールおよび電子機器

【課題】電子機器本体への電力の供給を仲介するコネクタモジュールおよびそのコネクタモジュールを備えた電子機器に関し、ケーブルに想定外の力が加わった場合に外れる構造を提供する。
【解決手段】筐体から上方向および下方向にそれぞれ突出し、筐体の、電子機器本体への支持を担うとともに、筐体の左右方向の回動の軸を形成する突出体と、突出体を筐体内側から弾性的に突出方向に付勢し、突出体が押されたときに、突出体の、筐体内に押し込まれる方向の動きを許容する弾性部材とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本件は、電子機器本体への電力の供給を仲介するコネクタモジュールおよびそのコネクタモジュールを備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば電子機器の一例としてのノート型パーソナルコンピュータ(以下、「ノートPC」と略記する)には、AC電力がACアダプタで変換されたDC電力の入力を受けるDC−INコネクタを備えている。このDC−INコネクタは、ノートPC内部に収容されているマザーボード上に半田付けされているか、または機構構造の勘合にて強固に固定されている。
【0003】
ところが、下記(1)〜(3)の事象が生じた場合、DC−INコネクタに想定外の力が加わることがある。その場合、DC−INコネクタは、強固に固定されているため、DC−INコネクタの半田付け部分が破損(クラック)したり、DC−INコネクタ自体が機械的に破損を起こし、ACアダプタからの電力供給に支障が生じ、ノートPCが正常に動作しなくなるおそれがある。また、電源供給部分であることから、最悪の場合には、発煙、発熱といった重要故障になる場合がある。また、DC−INコネクタが破損した場合、個人では修復不可能なため修理工場へ修理を依頼することになり、その間、使用することができなくなる。
【0004】
DC−INコネクタに負荷がかかる事象として、以下の例が考えられる。
(1)ノートPCを移動する際には、ACアダプタのコネクタケーブルを外す必要があるが、接続したまま鞄等に入れて持ち運ぶと、狭い鞄の中で、ACアダプタのコネクタからDC−INコネクタに強い力が加わり、破損する場合がある。
(2)通常使用時、誤って、ACアダプタのケーブルに手、足が引っ掛かってしまい、DC−INコネクタに強い力が加わる。
(3)通常使用時に、ノートPCの向きを変えたり、スライドさせて壁にぶつけてしまった場合、DC−INコネクタに強い力が加わる。
【0005】
ここで、電源ケーブルに過剰な外力が作用したとき結合が解除されるマグネット式コンセントアダプタが提案されている。
【0006】
また、両側がコネクタで接続され引っ張られたときに予定した一方のコネクタのみが抜けるように挿抜力に強弱を持たせる構造が提案されている。
【0007】
さらに、ケーブルに強い張力が加えられても破損前に離脱するコネクタが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−243312号公報
【特許文献2】実開平5−25551号公報
【特許文献3】実開平5−33471号公報
【特許文献4】特開2008−10363号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本件開示のコネクタモジュールおよび電子機器の課題は、ケーブルに想定外の力が加わった場合に外れる構造のコネクタモジュールおよびそのコネクタモジュールを備えた電子機器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本件開示のコネクタモジュールは、電子機器本体への電力の供給を仲介するコネクタモジュールであって、筐体と、コネクタと、突出体と、弾性部材と、接点とを有する。
【0011】
筐体は、電子機器本体に装着される、その電子機器本体とは独立した筐体である。
【0012】
コネクタは、上記筐体に支持され、その筐体の、電子機器本体に装着されたときの外向きの側面から側方に覗く、電力供給用ケーブル先端部のコネクタと組み合うコネクタである。
【0013】
突出体は、上記筐体の第1面および該第1面に対向した第2面からそれぞれ突出し、筐体の、電子機器本体への支持を担うとともに、筐体の上記第1面および上記第2面方向の回動の軸を形成する部材である。
【0014】
弾性部材は、上記突出体を筐体内側から弾性的に突出方向に付勢し、その突出体が押されたときに、その突出体の、筐体内に押し込まれる方向の動きを許容する部材である。
【0015】
接点は、電子機器本体に装着されたときの内向きの側面に設けられた、コネクタを介して入力されてきた電力を電子機器本体に伝達する接点である。
【0016】
また、本件開示の電子機器は、本件開示のコネクタモジュールと、そのコネクタモジュールを収容する収容部を有する電子機器本体とを有する。
【0017】
ここで、収容部は、側壁と、本体側接点と、上壁および下壁とを有する。
【0018】
収容部の側壁は、上記内向きの側面に対面する壁である。
【0019】
また、本体側接点は、その側壁に形成された、コネクタモジュールの接点に接触してその接点から電力の供給を受ける接点である。
【0020】
また、上壁および下壁は、上記突出体を収容する窪みが形成された壁である。
【発明の効果】
【0021】
本件開示のコネクタモジュールおよび電子機器によれば、ケーブルに不用意に力が加わっても破損を免れることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】電子機器の一例としてのノートPCの外観斜視図である。
【図2】図1に示すノートPCの、コネクタモジュールを収容した部分の拡大斜視図である。
【図3】ノートPCから取り外した状態の、コネクタモジュール単体の斜視図である。
【図4】図1に示すノートPCの、コネクタモジュールを取り外した後の、コネクタモジュールを収容する収容部の斜視図である。
【図5】コネクタモジュール50の背面(A)、断面(B)、および正面(C)を示した図である。
【図6】本体ユニットに設けられた収容部の構造を示す模式断面図である。
【図7】コネクタモジュールの別の例を示す斜視図である。
【図8】図7に示すコネクタモジュールが収容される本体側の収容部を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、実施形態について説明する。
【0024】
図1は、電子機器の一例としてのノートPCの外観斜視図である。
【0025】
このノートPC10は、本体ユニット20と、その本体ユニット20にヒンジ接続されて本体ユニット20に対し開閉する表示ユニット30とを有する。本体ユニット20はその上面にキーボード21やトラックパッド22等を有し、その内部にはCPU(Central Processing Unit)やその他多数の電子部品が搭載されたメインボード等が収容されている。また、このノートPC10の表示ユニット30には、表示画面31が広がっている。この表示画面31には、本体ユニット20からの指示に応じた画像が表示される。さらに本体ユニット20の側面には、DC−INコネクタを有するコネクタモジュール50が備えられている。
【0026】
このコネクタモジュール50を構成するDC−INコネクタには、AC電力がACアダプタで変換されたDC電力を伝えるケーブルの先端部のコネクタが挿入される。そしてこのDC−INコネクタは、DC電力の供給を受けてそのDC電力をこのノートPC10の各部に供給する。
【0027】
図2は、図1に示すノートPCの、コネクタモジュールを収容した部分の拡大斜視図である。また図3は、ノートPCから取り外した状態の、コネクタモジュール単体の斜視図である。また図4は、図1に示すノートPCの、コネクタモジュールを取り外した後の、コネクタモジュールを収容する収容部の斜視図である。
【0028】
コネクタモジュール50は、図3に示すように、ノートPC10の本体とは独立した筐体51を有し、その筐体51には、ACアダプタのケーブル先端部のコネクタと組み合うDC−INコネクタ52が支持されている。ここで、DC−INコネクタ52は、コネクタモジュール50がノートPC10の本体ユニット20に装着されたときの外向きの側面511から側方に覗く姿勢に支持されている。また、コネクタモジュール50には、コネクタ52で受けた電力をノートPCの本体側に伝える接点53が設けられており、さらに筐体51の上下面512,513からは、球体54が上下に突出している。尚、図3は下面513が見えない方向から見た斜視図であるため、ここには、上面512から突出した球体54のみ示されているが、下面からも同様な球体が突出している。ここで、上面512は、本件にいう筐体の第1面の一例であり、下面513は、本件にいう、第1面に対向した第2面の一例である。
【0029】
接点53は、筐体51の、このコネクタモジュール50がノートPC10の本体ユニット20に装着されたときのその本体ユニット本体の壁面に対面する内向きの側面514に設けられている。この内向きの側面514は、筐体51の上下面512,513から突出した球体54どうしを結んだ軸を中心とした円弧形状を有し、接点53は、その円弧形状の側面に沿って水平に円弧状に延びた形状を有する。これは、コネクタモジュール50がその軸を中心に多少回動しても本体ユニット側に電力を供給し続けることができるようにするためである。また、この接点53は、コネクタモジュール50の単体の状態ではその内向きの側面514から突出しており、本体ユニットに装着されると本体ユニットに押されて弾性的に変形する。これにより本体ユニットと確実に接触する。
【0030】
また、筐体51の上下面512,513には、穴が設けられていて、球体54はその穴から突出している。この穴の径は球体54の直径よりも小さく、球体54が筐体51から外れてしまうことが防止されている。
【0031】
またこれらの球体54は、後述するバネ部材55(図5参照)により弾性的に突出方向に付勢されている。したがって、この球体54が押されると球体54は、筐体51内に押し込まれる方向に動くことができる。
【0032】
一方、本体ユニット20には、図4に示すように、図3に示すコネクタモジュール50を収容する収容部60が形成されている。この収容部60は、本体ユニット20の1つの角部を、上下の壁を残して切り欠いた形状を有する。その残された上下の壁には、コネクタモジュール50の上下面512,513から突出した球体54が嵌め込まれる窪み61が形成されている。また、この収容部60の奥側の、コネクタモジュール50の内向きの側面514(図3参照)と対面する側壁62も、コネクタモジュール50の内向きの側面514の円弧形状に沿った円弧形状に形成されている。またこの対面する側壁62には、コネクタモジュール50に設けられた接点53と接触する接点63が設けられている。このコネクタモジュール50により仲介された電力は、接点63を介してノートPC10の各部に供給される。
【0033】
図5は、コネクタモジュール50の背面(A)、断面(B)、および正面(C)を示した図である。
【0034】
ACアダプタ側に接続されるDC−INコネクタ52は、中央の棒状の接点521と、その棒状の接点521を取り巻く円筒形状の接点522とを有する。これらの接点521,522は、内向きの側面514に設けられた接点53を構成する一方の接点531および他方の接点532とそれぞれ接続されている。これらの接点531,532は、バネ板金からなり、装着時に、本体側の接点に接して押され、弾性的に平らに変形する。
【0035】
また、筐体51の上下面512,513から突出している球体54はバネ55で突出方向に付勢されている。
【0036】
図6は、本体ユニットに設けられた収容部の構造を示す模式断面図である。図6には、コネクタモジュール未装着の状態が示されており、図6(B)には、コネクタモジュールが装着された状態が示されている。
【0037】
収容部60の上下の壁には、コネクタモジュール50の球体54が嵌り込む半球形の窪み61が形成されている。また、この収容部60の、コネクタモジュール筐体51の内向きの側面514に対面する側壁には、コネクタモジュール50側の接点531,532とそれぞれ接触する一対の接点621,622からなる本体側接点62が配置されている。これらの接点621,622は、本体ユニット20内のメインボード28等、ノートPC10内の、電力を必要とする各部に接続されている。
【0038】
ここで、DC−INコネクタ52に接続されたケーブル(不図示)に不用意な力が加わったときその力がさほど大きくないときはコネクタモジュール50が上下の球体54を結ぶ軸を中心に回動してその力を吸収する。そのときは、ノートPCには電力が供給され続けられる。ケーブルにさらに大きな力が加わると、球体54が筐体51側に押されながら窪み61から外れ、コネクタモジュール50が収容部60から外れる。この場合は、ノートPCへの電力供給は途絶えるものの、DC−INコネクタ52やACアダプタケーブルの損傷を免れることができる。
【0039】
図7は、コネクタモジュールの別の例を示す斜視図である。また図8は、図7に示すコネクタモジュールが収容される本体側の収容部を示す斜視図である。
【0040】
ここでは、前述の実施形態との相違点のみを取り挙げて説明する。
【0041】
図7に示すように、このコネクタモジュール50’の内向きの側面514’には、2つの接点531,532の間に、その側面514’に沿って水平に円弧状に延びるガイド溝58が形成されている。これに対応して、図8に示す収容部60’には、コネクタモジュール50’の内向きの面514’に形成されたガイド溝58に入り込む、水平に延びたガイド突起68が設けられている。コネクタモジュール50の球体54は、上下に突出しバネ部材で付勢されている。このため、コネクタモジュールの収容部の上下の壁の間の寸法が上下面512,513間の寸法よりも大きい場合、コネクタモジュールが収容部内で球体54のみで支えられているとDC−INコネクタに接続されたケーブルに上下方向の力が加わったときにコネクタモジュールが上下方向に動くおそれがある。この場合、コネクタモジュール側の接点531,532と本体側の接点621,622が互いに上下方向にずれてしまい、それらの接点531,532,621,622の上下方向の幅が狭いと接触が不確実となるおそれがある。
【0042】
図7,図8に示す実施形態の場合、ガイド突起68がガイド溝58に入り込んでいるため、上下方向の力が加わっても安定的な接触が継続される。
【0043】
尚、ここでは、筐体51の上面512および下面513を筐体の第1面および第2面の各一例として説明した。ただし、例えば、図3に示す筐体51の上下面512,513が左右の面となるように図3に示す筐体51の全体を90°倒してノートPCに取り付ける構造としてもよい。
【符号の説明】
【0044】
10 ノートPC
20 本体ユニット
28 メインボード
30 表示ユニット
50,50’ コネクタモジュール
51 筐体
52 コネクタ、DC−INコネクタ
53,62,63,521,522,531,532,621,622 接点
54 球体
55 バネ部材
58 ガイド溝
60,60’ 収容部
61 窪み
62 側壁
68 ガイド突起
511,514,514‘ 側面
512 上面
513 下面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器本体への電力の供給を仲介するコネクタモジュールであって、
電子機器本体に装着される、該電子機器本体とは独立した筐体と、
前記筐体に支持され、該筐体の、前記電子機器本体に装着されたときの外向きの側面から側方に覗く、電力供給用ケーブル先端部のコネクタと組み合うコネクタと、
前記筐体の第1面および該第1面に対向した第2面からそれぞれ突出し、該筐体の、前記電子機器本体への支持を担うとともに、該筐体の前記第1面及び前記第2面方向の軸を形成する突出体と、
前記突出体を前記筐体内側から弾性的に突出方向に付勢し、該突出体が押されたときに、該突出体の、該筐体内に押し込まれる方向の動きを許容する弾性部材と、
電子機器本体に装着されたときの内向きの側面に設けられた、前記コネクタを介して入力されてきた電力を該電子機器本体に伝達する接点とを有することを特徴とするコネクタモジュール。
【請求項2】
前記内向きの側面が前記突出体により形成される回動軸を中心とした円弧形状を有する面であることを特徴とする請求項1記載のコネクタモジュール。
【請求項3】
前記内向きの側面に、前記筐体の左右への回動時に前記電子機器本体に案内される案内部を有することを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタモジュール。
【請求項4】
当該コネクタモジュールが、ACアダプタで変換されたDC電力の、電子機器本体への供給を仲介するものであることを特徴とする請求項1から3のうちいずれか1項記載のコネクタモジュール。
【請求項5】
請求項1から4のうちいずれか1項記載のコネクタモジュールと、
前記コネクタモジュールを収容する収容部を有する電子機器本体とを有し、
前記収容部が、
前記内向きの側面に対面する側壁と、
前記対面する側壁に形成された、前記接点に接触して該接点から電力の供給を受ける本体側接点と、
前記突出体を収容する窪みが形成された上壁および下壁とを有することを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−178245(P2012−178245A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39658(P2011−39658)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】