説明

コネクタ付き光ファイバ

【課題】光接続ユニットにおける作業性を良好にすることができるコネクタ付き光ファイバの提供。
【解決手段】光ファイバ11の一端部に光コネクタ1が組み立てられたコネクタ付き光ファイバ10。光ファイバ11には、視認可能な光を発する識別用発光部8が形成されている。識別用発光部8は、光ファイバ11の他端部側における操作により発光させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光配線盤や光接続箱等の光接続ユニットにおいて使用できるコネクタ付き光ファイバに関する。
【背景技術】
【0002】
光接続ユニットでは、多数本の光ファイバコード等の光ファイバが接続されて用いられている(例えば特許文献1を参照)。光ファイバは、一端に光コネクタが組み立てられてコネクタ付き光ファイバとして用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−246147号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、光ファイバの本数が多い場合には、これらが集合して配線され、配線変更などのため一部の光ファイバを撤去する作業や保守作業等において、光接続ユニットに接続された目的の光ファイバの一端側と他端側を特定するのが難しくなる。このため、光ファイバ撤去作業や保守作業等において作業性が低下することがあった。
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、光接続ユニットにおける作業性を良好にすることができるコネクタ付き光ファイバの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1にかかる発明は、光ファイバの少なくとも一端部に光コネクタが組み立てられたコネクタ付き光ファイバであって、前記光ファイバは、前記一端部から他端部に至るまでの1または複数箇所に、視認可能な光を発する識別用発光部を備え、前記光ファイバには、前記識別用発光部からこの光ファイバの他端部に至る識別光用光ファイバが添えられ、前記識別光用光ファイバは、前記他端側から入射させた光の少なくとも一部を前記識別用発光部にて出射させることによりこの識別用発光部を発光させることができるコネクタ付き光ファイバである。
本発明の請求項2にかかる発明は、請求項1において、前記識別光用光ファイバは、プラスチック光ファイバであるコネクタ付き光ファイバである。
本発明の請求項3にかかる発明は、請求項1または2において、前記識別用発光部は、前記識別光用光ファイバの側面に形成された凹部であるコネクタ付き光ファイバである。
本発明の請求項4にかかる発明は、請求項1〜3のうちいずれか1項において、前記識別用発光部は、前記識別光用光ファイバの長さ方向に間隔をおいて複数形成されているコネクタ付き光ファイバである。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、光ファイバに設けられた識別用発光部を、光ファイバの他端側における操作により発光させることができるため、目的の光コネクタを容易に特定できる。従って、光ファイバを撤去する作業や保守作業等における作業性が良好になる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明のコネクタ付き光ファイバの一実施形態を模式的に示す図である。
【図2】コネクタ付き光ファイバの断面図である。
【図3】光ファイバコードの断面図である。
【図4】識別光用光ファイバから光が漏れることを説明する図である。
【図5】本発明のコネクタ付き光ファイバを適用可能な光接続ユニットの要部を示す斜視図である。
【図6】本発明のコネクタ付き光ファイバに使用可能な光ファイバの他の例を示す断面図である。
【図7】本発明のコネクタ付き光ファイバに使用可能な光ファイバの他の例を示す断面図である。
【図8】本発明のコネクタ付き光ファイバに使用可能な光ファイバの他の例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
図1および図2は、本発明のコネクタ付き光ファイバの一実施形態であるコネクタ付き光ファイバ10を示すもので、図1は、このコネクタ付き光ファイバ10を模式的に示す図であり、図2は、コネクタ付き光ファイバ10の断面図である。
このコネクタ付き光ファイバは、光ファイバ11の一端部に光コネクタ1が組み立てられたものである。光ファイバ11としては、光ファイバコード、光ファイバ心線などが使用できる。ここでは光ファイバ11は光ファイバコードである。
【0009】
図1および図2に示すように、光コネクタ1は、光フェルール2(以下、単にフェルールという)と、フェルール2を収容するプラグフレーム3と、プラグフレーム3に取り付けられたストップリング4と、ストップリング4内に設けられた付勢手段5(スプリング)と、プラグフレーム3の外側に設けられたカップリング6とを備えている。符号7はブーツ部である。
フェルール2の先端面2aには、光ファイバコード11から引き出された光ファイバ心線12から口出しされた光ファイバ裸線13の先端部が露出している。
【0010】
図3は、光ファイバコード11の一例を示すもので、ここに示す光ファイバコード11は、光ファイバ心線12と、これに縦添えされた識別光用光ファイバ15と、抗張力体16とがポリエチレン等の樹脂からなる外被17に覆われている。
識別光用光ファイバ15としては、汎用のガラス光ファイバを用いてもよいが、プラスチック光ファイバを用いるのが好ましい。
プラスチック光ファイバとしては、例えば、ポリメチルメタクリレート(PMMA)からなるコアと、該コアの外周にフッ素樹脂からなるクラッドを備えたプラスチック光ファイバなどが挙げられる。このほか、アクリル樹脂やポリカーボネート樹脂などからなるものが使用できる。
【0011】
図1および図4に示すように、識別光用光ファイバ15の側面には、凹部からなる1または複数の識別用発光部8を形成することができる。
識別用発光部8は、レーザ加工で形成してもよいし、切削などの機械加工によって形成することもできる。
識別用発光部8を構成する凹部の深さや大きさを変えることで漏れ光の量を調整できる。凹部の直径は例えば5〜50μmであり、深さは例えば5〜50μmである。
【0012】
識別用発光部8の形成位置は、コネクタ付き光ファイバ10の識別が容易になるよう適宜選択される。図1に示す例では、複数の識別用発光部8が識別光用光ファイバ15の全長にわたってほぼ一定間隔をおいて形成されている。
図4に示すように、識別光用光ファイバ15の内部を伝搬する光の一部は、識別用発光部8から外部に漏出できる。なお、符号15aはコアを示し、符号15bはクラッドを示す。
識別用発光部8が複数ある場合には、他の識別用発光部8からも十分量の光が出射できるように、漏光量を調整するのが好ましい。
【0013】
次に、コネクタ付き光ファイバ10の使用方法について説明する。
図5は、コネクタ付き光ファイバ10が適用される光接続ユニット21を示すもので、光接続ユニット21は、フレーム22内に、上下に多段に設けられた複数の成端部23を備えている。
成端部23は、光コネクタアダプタ24(光コネクタハウジング)が複数配列されて構成された複数のアダプタ配列部25を備えている。
コネクタ付き光ファイバ10の光コネクタ1は、各光コネクタアダプタ24に接続可能である。
【0014】
図5に示すように、複数のコネクタ付き光ファイバ10が光接続ユニット21のアダプタ配列部25に接続され、これらコネクタ付き光ファイバ10が多数(例えば数10〜数100本)集合配置されているときには、目的とする1本のコネクタ付き光ファイバ10(符号10Aで示す)を特定するのが難しくなる。
このため、コネクタ付き光ファイバ10Aの一端部に設けられた光コネクタ1(符号1Aで示す)を、他端部側から特定するには、次の方法をとることができる。
【0015】
LEDなどの発光素子を用いた発光部19aを有する発光装置19を用いて、光ファイバコード11の他端部の光コネクタ1(符号1Bで示す)から、識別光用光ファイバ15に光を入射させる。発光部19aとしては視認可能な光を発するものが使用される。
【0016】
入射した光は識別光用光ファイバ15内を伝搬し、コネクタ付き光ファイバ10Aの識別用発光部8から外部に出射する(図4参照)。この出射光を確認することによって、光コネクタ1Aを容易に特定できる。
識別用発光部8は光ファイバコード11に設けられているため、多数の光ファイバコード11が集合配置されていても、光ファイバコード11Aを特定するのが容易である。
従って、光ファイバを撤去する作業や保守作業等における作業性が良好になる。
なお、識別光用光ファイバ15には、光ファイバコード11の一端部と他端部との間の中間位置から光を導入してもよい。
【0017】
図6〜図8は、光ファイバコード11に代えて使用できる光ファイバの例を示すものである。
図6に示す光ファイバコード31は、プラスチック光ファイバである識別光用光ファイバ15として、光ファイバ心線12より外径が大きいものが用いられている。
図7に示す光ファイバ心線41は、識別光用光ファイバ15と光ファイバ12とが被覆42で覆われて一体化され、その外周に被覆43が形成されている。
図8に示す光ファイバ心線51は、被覆43がないこと以外は図7に示す光ファイバ心線41と同じ構成である。
【0018】
光コネクタ10の基本構造としては、SC形光コネクタ(SC:Single fiber Coupling optical fiber connector。JIS C 5973に制定されるF04形光コネクタ(光コネクタプラグ)など)や、SC2形光コネクタ等の基本構造を採用できる。
【符号の説明】
【0019】
1・・・光コネクタ、8・・・識別用発光部、10・・・コネクタ付き光ファイバ、11・・・光ファイバ、15・・・識別光用光ファイバ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバの少なくとも一端部に光コネクタが組み立てられたコネクタ付き光ファイバであって、
前記光ファイバは、前記一端部から他端部に至るまでの1または複数箇所に、視認可能な光を発する識別用発光部を備え、
前記光ファイバには、前記識別用発光部からこの光ファイバの他端部に至る識別光用光ファイバが添えられ、
前記識別光用光ファイバは、前記他端側から入射させた光の少なくとも一部を前記識別用発光部にて出射させることによりこの識別用発光部を発光させることができることを特徴とするコネクタ付き光ファイバ。
【請求項2】
前記識別光用光ファイバは、プラスチック光ファイバであることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ付き光ファイバ。
【請求項3】
前記識別用発光部は、前記識別光用光ファイバの側面に形成された凹部であることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ付き光ファイバ。
【請求項4】
前記識別用発光部は、前記識別光用光ファイバの長さ方向に間隔をおいて複数形成されていることを特徴とする請求項1〜3のうちいずれか1項に記載のコネクタ付き光ファイバ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2010−231144(P2010−231144A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−81420(P2009−81420)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【出願人】(000004226)日本電信電話株式会社 (13,992)
【Fターム(参考)】