説明

コネクタ固定ネジの緩み止めキャップ

【課題】コネクタ固定ネジの緩み止めキャップを提供する。
【解決手段】緩み止めキャップ1は、本体10と本体から突出した突起22とを備え、2つの本体10は、連結部34にて連結されている。ケーブルコネクタ40は固定ネジ46でレセプタクル54に固定され、固定ネジ46の操作部48にキャップ1が装着される。固定ネジ46が緩んだときに、突起22はケーブルコネクタ40と当接してそれ以上の固定ネジの緩みを規制し、また突起22の位置の変化を確認することで固定ネジの緩みの有無を視認できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタの緩み止めに関し、より詳しくはコネクタを固定するネジの緩み止めに関する。
【背景技術】
【0002】
電気ケーブルや光ファイバケーブルなどのケーブルと電子機器との接続には、ケーブルを機器から容易に着脱できるようにコネクタが多用されている。それらのコネクタの中には、機器との嵌合状態を確実に維持するためにネジによってコネクタを嵌合相手に固定しているものがある。ネジで固定する構造では、他の手段、例えばプラスチック等の弾性的に変形できる係止片を使用したものなど、に比べて嵌合強度を高められる利点を有する。しかし、コネクタの使用環境に生ずる振動等によってネジが緩み、コネクタが脱落する虞がある。
【0003】
固定ネジによって固定されるコネクタが振動や衝撃によって脱落することを防止するために、種々の試みが成されてきた。例えば特許文献1には、「複数のコンタクトを備えた絶縁性のハウジングと、絶縁性ハウジングを受容する第1のカバーと、第1のカバーに組みつけられる第2のカバーと、1組の締結手段と1組のスプリング手段とを備えたケーブル端末コネクタ」が記載されている。この文献に記載されたコネクタでは、「ケーブル端末コネクタが相補的なコネクタから分離したときに、スプリング手段がストップ部に当接して締結部材が後方に動くように作動する。」そして、「使用中の振動や衝撃によってケーブル端末コネクタと相補的コネクタとのネジ結合が緩くなったときに、スプリング手段が自動的に元の形状に復帰して締結手段を刺激し、ストップ部が凹部の後端と当接するまで締結手段を後方に動かす。従って、ケーブル端末コネクタと相補的コネクタとの接続の緩みが容易に検出でき、信頼性のある接続を確保するためにユーザーが早急にケーブル端末コネクタと相補的コネクタとを固定できる。」ことが記載されている。
【0004】
【特許文献1】米国特許7033202号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
コネクタの使用環境下で振動が懸念となるかどうかに関わらず、全てのコネクタに固定ネジの緩み防止手段を内蔵させることはコスト面等において不利となるし、コネクタの大きさを無闇に大きくしてしまう恐れがある。また、緩み防止手段の必要性を事前に判断することも困難な場合が多い。さらには、機器の設置場所を変更する等の理由で、機器に接続されているコネクタに緩み防止手段が必要とされた場合、既存のコネクタを緩み防止手段を備えたコネクタと差し替える必要がある。加えて、その緩み防止手段が嵌合相手のコネクタにも何らかの形状的・機構的な対応を要求する場合、既存機器へ緩み防止手段を備えたコネクタを適用することが更に困難となる。
【0006】
また、緩み防止手段を備えていたとしても、想定以上の振動等が加わって固定ネジに緩みが発生する可能性がある。そのような場合、固定ネジの緩みが外部から確認できないと、コネクタが脱落して電気的接続が遮断されるまで、固定ネジの緩みを検出できないこととなる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明の一態様によれば、受容孔を有する本体と、本体に設けられ、本体の回転を規制する当接部と、本体に設けられ、本体の回転を視認できる表示部とを備えるコネクタ固定ネジの緩み止めキャップを提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様による緩み止めキャップは、コネクタの固定ネジに後付けが可能で、その当接部がコネクタと当接して固定ネジの緩みを止めるとともに、固定ネジの緩みによって表示部の位置が回転するために固定ネジの緩み発生を視認することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の一実施態様による緩み止めキャップは、電気コネクタや光ファイバコネクタ等の固定ネジで相手側コネクタと固定されるコネクタにおいて、固定ネジの操作部に装着される。緩み止めキャップには操作部を受容する受容孔が設けられており、操作部の外周面と緩み止めキャップの内面とが係合し、緩み止めキャップが固定ネジと一体的に回転できる。緩み止めキャップは当接部を有しており、固定ネジが緩んで回転すると緩み止めキャップも一体的に回転するが、ある時点において当接部とコネクタとが当接してそれ以上の回転が規制される。これによって、固定ネジの緩みを止めることが可能となる。また、固定ネジの回転によって緩み止めキャップの表示部も回転するため、固定ネジ自体の緩みが視認できなくとも固定ネジの緩み発生を検出することができる。
【0010】
以下、各実施形態に従って本発明を説明する。図1は本発明の一実施形態による緩み止めキャップを示す斜視図である。図2は本発明の緩み止めキャップがケーブルコネクタに使用されている状態を示す平面図である。緩み止めキャップ1は、本体10と、本体から突出した突起22とを備え、2つの本体10、10は連結部34によって連結されている。連結部34は本体10がその軸方向に関して必要な程度回転できるように、例えば1回転以下、十分柔軟に構成されている。ケーブルコネクタ40はレセプタクル54と嵌合し、固定ネジ46でレセプタクル54に固定されている。そして固定ネジ46の操作部48に本発明の緩み止めキャップ1が装着されている。
【0011】
本体10は略長方体をしており、その長手方向の一端に前端面14を備え、他端に後端面16を備えている。前端面14および後端面16は、それぞれ略正方形をしている。本体10は、前端面14と後端面16とに交差する複数の側面12を更に備えている。側面12は略長方形をしており、その長辺が本体10の長手方向と実質的に一致している。隣接する側面12、12間にはコーナー部13を有し、2の側面が滑らかに連続的に構成されている。緩み止めキャップ1がケーブルコネクタ40の装着されたときに、ケーブルコネクタ40と本体10との間に多少の隙間が生じるように本体10の大きさを設定することができる。このようにすると、固定ネジ46が緩んだときに本体10の回転が許容され、緩みの発生が視覚的に検出可能となるからである。このように、固定ネジ46の緩みが本体10の回転運動として現れるので、固定ネジ46の微小な緩みも視覚的に容易に認識できる。
【0012】
本体10の前端面14には、円形の貫通孔である受容孔18が設けられており、受容孔18は内面20によって画定されている。受容孔18は前端面14のおよそ中央に配置されており、その内径は固定ネジ46の操作部48の外径とおよそ同じ寸法に構成されている。内面20は、コネクタ固定ネジ46の操作部48の外周面48aと少なくとも部分的に係合することで、本体10とコネクタ固定ネジ46とが一体的に回転することを可能とする。したがって内面20は操作部48の形状と相補的な形状を有することができる。そして操作部48との係合をより確実なものとするように、内面20に1又は複数の突起や、本体10の軸方向に延在する1または複数の溝を設けたりすることが出来る。
【0013】
突起22は、前端面14から前方に突出している平板状の部分である。突起22には、幅広で外側に向いている外面28と、その反対側に位置する下面30と、外面28と下面30とに交差して本体10の長手方向に長辺を有する2つの側壁24、24と、突起22の先端で外面28と下面30と2つの側壁24、24とに交差して、前端面14に概略平行な面を有する前面32とを備える。複数の縁部26が側壁24と下面30との間、それに加えて側壁24と外面28との間に備えられている。縁部26は突起28の2の面が交差するところであり、線を形成する。本実施形態では、突起22の外面28が本体10の一の側面12と面一に構成されており、側壁24,24および内面30とが、それぞれ対応する側面12、つまり同じ方向を向いている側面、よりも後退して設けられている。突起22は固定ネジ46に緩みが生じてある程度回転したときに、その一部がケーブルコネクタ40と当接してそれ以上の固定ネジ46の緩みを規制する機能を発揮することができる。また、ケーブルコネクタ40に対する突起22の位置の変化を確認することで、容易に固定ネジ46の緩みの有無を視認することができる。なお、外面28が側面12よりも外側に位置するように突起22を構成することもできる。突起22の形状は、上記のような平板状に限られず、多角柱、円柱や半球の突起とすることもできる。突起22の突出量は、緩み止めキャップ1をケーブルコネクタ40に取り付けたときに、本体10を回転させて突起22とケーブルコネクタ40とが当接できる突出量であればよく、任意に設定することができる。また、本実施形態では外面28の幅が側面12の幅よりも小さく構成されているが、側面12の幅と同じ幅とすることもできる。外面28の中心と側面12の中心とが概略一致するように突起22を配置しているが、これらが一致しないようにすることもできる。つまり、突起22を側面12の幅方向の中心からずらした位置に配置することもできる。
【0014】
連結部34は2つの本体10、10を連結する部分であり、一方の本体10の後端面16から延出し、他方の本体10の後端面16に至る。連結部34は2の本体10、10を一体として取り扱うことを可能とする。連結部34は本体10の回転を許す程度に十分に柔軟に構成されている。連結部34は本体10よりその長手方向に延出する第1部分35aと、第1部分35a同士を繋ぐ第2部分35bとを備える。第1部分35aはリボン状をしており、その長手方向断面が略長方形を有している。第2部分35bはその長手方向における断面形状が略正方形を有している。連結部34は図示のようにリボン状とする以外にも任意の形状とすることができる。連結部34は本体10の後端面16にから延出させる以外に、本体10の一の側面12から延出させることもできる。連結部34は本体10と一体に設けても良いし、別部材として設けてもよい。
【0015】
連結部34の第2部分35bのおよそ中央には、ケーブルが挿通できる大きさの内径を有する環状部36を備える。環状部36はその外周面の一点で第2部分35bと結合している。環状部36にケーブルを挿通しておくことで、取り外した緩み止めキャップ1の紛失を防止することができる。環状部36にはその内径よりも十分小さい幅で切れ込みを設けても良い。そのような切れ込みがあると、ケーブルをその切れ込みに通すことで、容易にケーブルに緩み止めキャップ1を装着することができる。なお、環状部36もある程度の弾性を有するため、ケーブルを切れ込みに挿通したのちには元に形状に弾性回復し、緩み止めキャップ1がケーブルから脱落することを防ぐことができる。
【0016】
緩み止めキャップ1は任意の材料から公知の方法で作製することが可能であり、例えばプラスチックや金属材料などを使用して、インジェクション成型などから作製することができる。量産性やコスト面からプラスチックから作製することが好適であり、ポリプロピレンやポリエチレンなどの熱可塑性プラスチックを使用することができる。このような比較的軟質なプラスチックを使用すると、本体10を操作部48に装着したときに、内面20が操作部48の形状に合わせて変形することができ、本体10と操作部48との係合をより強固にすることができる。
【0017】
次に本発明が適用されるコネクタについて説明する。ケーブルコネクタ40がケーブル50の一端に取り付けられ、そのケーブルコネクタ40はその嵌合面41でレセプタクル54と嵌合している。ケーブルコネクタ40は半割りの一対のハウジング42、42を有し、ハウジング42内部でケーブルの複数の芯線が分離されている。ケーブルコネクタ40の前端には図示しないインターフェース部があり、その中には典型的には複数の接触子が配置されている。ケーブルの複数の芯線はそれぞれが複数の接触子に電気的に接続されている。レセプタクル54も複数の接触子を有したインターフェース部を備えており、それは通常ケーブルコネクタ40のそれと相補的である。レセプタクル54の接触子は図示しない回路基板等に電気的に接続されている。ケーブルコネクタ40とレセプタクル54とは接触子を介して相互に電気的に接続される。ケーブルコネクタ40はその両側部にレセプタクル54と固定するための固定ネジ46を有しており、緩み止めキャップ1がそれぞれの固定ネジ46、46に装着されている。
【0018】
固定ネジ46はその先端にネジ部49を備え、他端に操作部48を備える。ネジ部49ではその外周面にネジ溝49aが設けられている。固定ネジ46の先端に設けられたネジ部49はレセプタクル54に設けられた雌ネジ56と螺合して、ケーブルコネクタ40とレセプタクル54とを固定している。作業者が固定ネジを回転させるときに指が滑らないように、操作部48の外周面には固定ネジ46の軸方向に延在する複数の溝が設けられている。また、固定ネジ46によっては、軸方向の溝に加えて、それらと交差する円周方向に延在する溝を有することもできる。
【0019】
図3a、図3bを参照し、本実施形態の緩み止めキャップ1の動作を説明する。図3a、図3bは緩み止めキャップ1が装着されたケーブルコネクタ40を、その嵌合面から見た正面図である。レセプタクル54にケーブルコネクタ40を勘合させ、固定ネジ46によって両者を固定する。そして、緩み止めキャップ1の本体10をそれぞれの固定ネジ46に装着する。このとき、突起22をケーブルコネクタ40の側面44の側方に位置させ、かつ固定ネジ46がその緩む方向に回転できるように突起22と側面44との間に間隔を開けておく(図3a)。コネクタに振動が加わって固定ネジ46が緩むと、突起22がケーブルコネクタ40のハウジング42に当接する(図3b)。本実施形態では突起22の下面30と側壁24との間の縁部26がケーブルコネクタ40と当接し、当接部として作用する。緩み止めキャップ1は固定ネジ46と一体的に係合しているので、緩み止めキャップ1とハウジング42とが当接すると固定ネジ46の更なる緩みが規制される。なお、当接部は縁部26に限定されず、ケーブルコネクタ40のハウジング42形状等によっては、突起22の側壁24がケーブルコネクタ40と当接して当接部としての機能を果たすことができるし、緩み止めキャップ1の突起以外の部分とケーブルコネクタ40とが当接して固定ネジ46の回転を規制することもできる。また、緩み止めキャップ1が回転して突起22のケーブルコネクタ40に対する位置が変化するため、突起22が表示部として機能し、突起22の位置を視認することで固定ネジ46の緩み発生の有無が判別できる。通常、固定ネジ46と雌ネジ56とは複数のネジ山で螺合しているので、固定ネジ46を雌ネジ56から離脱させるには、数回固定ネジ46を回転させる必要がある。本発明の緩み止めキャップ1は、固定ネジ46の回転を通常は1回転未満に規制する。従って、表示部で固定ネジ46の緩みが視認されるときには、固定ネジ46は雌ネジ56との嵌合を依然維持している。このように、緩み止めキャップ1では、固定ネジ46が雌ネジから離脱する前に、固定ネジ46の緩み発生を検知することが可能である。コネクタに加わる振動が固定ネジ46を回転させる力が思いの外大きく、その回転トルクが操作部46と内面20との係合力に打ち勝ち、固定ネジ46が緩み止めキャップ1に対して空回りすることも考えられる。緩み止めキャップ1がケーブルコネクタ40に対して回転可能にしてあるので、固定ネジ46の緩みを止められない場合でも緩み止めキャップ1の回転から固定ネジ46の緩み発生を検知できる。したがって、コネクタの脱落が発生する前に作業者が固定ネジ46の締め直し等の適切な処置をすることが可能になる。なお、緩み止めキャップ1の装着方向は上記の向きに限定されるわけではなく、固定ネジ46の緩む方向に回転可能であればよい。なお、上記は緩み止めキャップ1が緩み防止機能を発揮する前に固定ネジ46のある程度の緩みを許す使用方法について述べたが、固定ネジ46の緩みを全く許容しないように緩み止めキャップ1を使用することもできる。つまり固定ネジ46が緩む方向に回転できないように、当接部(突起22)とケーブルコネクタ40とを当接させた状態で、緩み止めキャップ1を固定ネジ46に取り付けることもできる。
【0020】
固定ネジ46の緩み判別をより容易にするために、本体10の一つの側面12や突起22の外面28に表示手段を公知の手段によって設けても良い。表示手段としては例えば矢印等の記号や数字や文字等が使用でき、それを公知の手段、例えば印刷や金型への掘り込みによる転写等で設けることができる。このような表示手段を設けておくと、緩み止めキャップ1のどの部分を参照して固定ネジ46の緩みの有無を判断するかが容易に分かる。
【0021】
図4に本発明の第2の実施形態にかかる緩み止めキャップ101を示す。緩み止めキャップ101は本体110と連結部134とを備える。本実施形態は、突起122を本体110の一つの側面112上に有する点で、第1の実施形態と異なる。突起122は側面112よりも狭い幅を有し、一つの側面112上で前端面114から後端面116に向かう方向に延在している。操作部48を前端面114に配された受容孔118に挿入してケーブルコネクタ40に緩み止めキャップ101を装着するときは、例えば突起122がハウジング42と接触しない向きで取り付けることができる。振動によって固定ネジ46に緩みが生じた場合には、緩み止めキャップ101が固定ネジ46とともに回転し、それによって突起122のケーブルコネクタ40に対する相対的な位置が変化する。この突起122の回転によって、固定ネジ46の緩み発生を視認することができる。また、側壁124や縁部126がハウジング42と当接することで、固定ネジ46のそれ以上の回転を規制することができる。このように突起122が横方向へ突出する本実施形態でも、突起部122が当接部として機能することができる。また突起122は上述のとおり表示部としても機能をすることができる。ケーブルコネクタ40の大きさや形状によっては、突起以外の部分とケーブルコネクタ40とが当接して固定ネジ46の回転を規制することもできる。なお、本実施形態では外面128の幅が側面112の幅よりも小さく構成されているが、側面112の幅と同じ幅とすることもできる。外面128の幅方向の中心と側面112の幅方向の中心とが概略一致するように突起122を配置しているが、これらが一致しないようにすることもできる。つまり、突起122を側面112の幅方向の中心からずらした位置に配置することもできる。また、本体110の前端面114から後端面116に渡って突起122が延在しても良い。もしくは、後端面116から前端面114に向けて本体110の長さよりも短く突起122を延在させても良い。あるいは、突起122を本体110の長手方向の中間部分にのみ延在させても良い。
【0022】
図5aに本発明の第3の実施形態にかかる緩み止めキャップを示す。本実施形態では、本体210の一部に欠損部223が設けられている。欠損部223は、1の側面212から後退した第1表面223aと、前端面214から後退した第2表面223bとを有する。欠損部223の表面もしくは縁部226が当接部として機能し、欠損部223はまた表示部としての機能を果たすことができる。本実施形態においても表記手段を設けることが出来、たとえは一つの側面212や第1表面223aに表示手段を設けることが出来る。このような形態の緩み止めキャップは、固定ネジ46に対向しているハウジング42の側面44aを使用して緩み止めキャップの回転を規制したい場合等に使用できる。なお受容孔218の一部が第2表面223bに開口するように、欠損部223を設けることも可能である。
【0023】
本実施形態の本体210の動作を、図6a、図6bを参照して説明する。図6a、図6bはケーブルコネクタ40の固定ネジ46が取り付けられた部分を、ケーブルコネクタ40の嵌合面側から見た正面図である。欠損部223の第1表面223aがケーブルコネクタ40の側面42aと対抗する向きで、本体210を固定ネジ46の操作部48に装着する。このとき、第1表面223aを側面44aに対して略平行にすることができる。ケーブルコネクタ40に振動が加わって固定ネジ46に緩みが生じると、固定ネジ46とともに本体210が回転する。本体210が回転すると、欠損部223の縁部226が側面44aと当接し、それ以上の回転が規制される(図6b)。この状態においては、欠損部223が側面44aと対向している初期位置からずれていることが容易に視認できるので、作業者は固定ネジ46の緩みを容易に発見できる。なお、本体210を固定ネジ46に取り付けるときの向きは上記の向きに限定されるわけではなく、固定ネジ46の緩む方向に回転可能であればよい。また、ケーブルコネクタ40のハウジング42の形状によっては、第1表面223aがケーブルコネクタ40と当接して当接部としての役割を果たすことができる。
【0024】
図5bから図5dに第3の実施形態の変形例を幾つか挙げる。図5bでは、本体310に欠損部323が前端面314と三方の側面312とに交差する凹面状の1の曲面323aとして構成されている。曲面323aまたは縁部326が当接部として機能し、欠損部323はまた表示部としての機能を果たすことができる。本実施形態においても表記手段を設けることが出来、たとえは曲面323aに表示手段を設けることが出来る。なお受容孔318の一部が曲面323aに開口するように、欠損部323を設けることも可能である。図5cでは、欠損部423が前端面414と三方の側面412とに交差する、本体410の軸方向に対して傾斜した1の平面(傾斜面)423aから構成されている。傾斜面423aまたは縁部426が当接部として機能し、欠損部423はまた表示部としての機能を果たすことができる。本実施形態においても表記手段を設けることが出来、たとえは傾斜面423aに表示手段を設けることが出来る。なお受容孔418の一部が傾斜面423aに開口するように、欠損部423を設けることも可能である。図5dには、欠損部523が大きく形成され、受容孔518が欠損部523の傾斜面523aに開口している本体510が示されている。傾斜面523aは前端面514と三方の側面512とに交差する。傾斜面523aまたは縁部526が当接部として機能し、欠損部523はまた表示部としての機能を果たすことができる。本実施形態においても表記手段を設けることが出来、たとえは傾斜面523aに表示手段を設けることが出来る。
【0025】
図7a、図7bに、本発明の第4の実施形態にかかる緩み止めキャップ601を示す。緩み止めキャップ601は略長方体の本体610と連結部634とを備えている。緩み止めキャップ601は、上述の実施例とことなり突起や欠損部を備えていない。操作部48を前端面614に配された受容孔618に挿入してケーブルコネクタに緩み止めキャップ601を装着する時は、1の側面612がケーブルコネクタに対向する向きで、緩み止めキャップ601を操作部に装着することができる。本実施形態では、1の側面612もしくはコーナー部613が当接部としての機能を果たし、固定ネジ46が緩むと1の側面612もしくは1のコーナー部613がケーブルコネクタ40と当接して固定ネジ46の緩みを防止する。本体610の1または複数の側面612は、表示部としての機能を果たすことができる。表示部として機能させる側面612には、上述のような表示手段を更に設けることも可能である。
【0026】
第4の実施形態の変形例として、例えば前端面714の形状が略台形を有した本体710と連結部734とを備えた緩み止めキャップ701を図7bに示す。本変形例によれば、ケーブルコネクタの形状によっては、台形の短辺に相当する側面712aをケーブルコネクタ40に対向させて配置したときと、台形の長辺に相当する側面712bをケーブルコネクタに対向させたときとで、固定ネジの許容される緩み量(回転量)を変化させることができる。側面712aをケーブルコネクタ40に対向させた場合は、側面712bを対向させた場合に比べて固定ネジの許容される緩み量が大きくなり、緩みの発生がより視認しやすくなる。また、本体710が明確な方向性を有するので、本体710の回転を容易に認識できる。
【0027】
上述の各実施形態を説明することによって、本発明の緩み止めキャップを説明した。しかし、本発明は上述の実施形態に限定されるものではなく、以下のような更なる変形を行うことができる。下記の変形を複数組み合わせることも可能であるし、上述の実施形態の幾つかと組み合わせたものとすることも可能である。
本体に設けられた受容孔は本体の長軸と同軸状に設けられた場合について述べてきた。しかし、固定ネジとハウジングとの隙間の関係や、許容する固定ネジの回転量を調整する等の目的で、受容孔を本体の長軸の位置から偏心させて配置することも可能である。
【0028】
本体の形状は任意の形状とすることができ、略長方体の他に例えば、円柱状や六角柱等の多角柱とすることができる。
【0029】
受容孔の形状は、操作部と相補的な形状とする場合には、操作部の形状に応じた任意の形状とすることができる。また受容孔は、操作部の形状と相補的でなくとも、本体と操作部との相対的な回転を許さない限り、任意の形状とすることができる。例えば、内面の一部分で操作部と接触する形状とすることができる。さらに受容孔は貫通孔とする代わりに、底面を有する凹所として構成してもよい。上記実施形態では、受容孔は直径が均一な孔としているが、例えば前端面側の直径が大きく、後端面側の直径が小さい、円錐台形としても良い。このようにすると、操作部への本体の装着が容易となるし、操作部の大きさが異なる複数のケーブルコネクタに適用可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施形態を表す斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施形態の使用状態を表す部分断面平面図である。
【図3a】本発明の第1の実施形態の緩み止めキャップがコネクタに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図3b】本発明の第1の実施形態の緩み止めキャップがコネクタと当接した状態を示す正面図である。
【図4】本発明の第2の実施形態を示す斜視図である。
【図5a】本発明の第3の実施形態の緩み止めキャップを示す平面図である。
【図5b】本発明の第3の実施形態の緩み止めキャップの変形例を示す平面図である。
【図5c】本発明の第3の実施形態の緩み止めキャップの変形例を示す平面図である。
【図5d】本発明の第3の実施形態の緩み止めキャップの変形例を示す平面図である。
【図6a】本発明の第3の実施形態の緩み止めキャップがコネクタに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図6b】本発明の第3の実施形態の緩み止めキャップがコネクタに取り付けられた状態を示す正面図である。
【図7a】本発明の第4の実施形態の緩み止めキャップを示す斜視図である。
【図7b】本発明の第4の実施形態の緩み止めキャップの変形例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0031】
1 緩み止めキャップ
10 本体
12 側面
13 コーナー部
14 前端面
16 後端面
18 受容孔
20 内面
22 突起
24 側壁
26 縁部
28 外面
30 下面
32 前面
34 連結部
35a 第1部分
35b 第2部分
36 環状部
40 ケーブルコネクタ
41 嵌合面
42 ハウジング
44、44a 側面
46 固定ネジ
48 操作部
48a 外周面
49 ネジ部
50 ケーブル
54 レセプタクル
56 雌ネジ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
受容孔を有する本体と、
前記本体に設けられ、前記本体の回転を規制する当接部と、
前記本体に設けられ、前記本体の回転を視認できる表示部と、
を備えるコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項2】
前記受容孔は、そこに受容されるコネクタ固定ネジの外周面と接触し、前記本体と前記固定ネジとを一体的に回転可能にする内面を備える請求項1に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項3】
前記当接部がコネクタと当接することで前記本体の回転を規制する請求項1または2に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項4】
前記当接部が前記本体に突設された突起部である請求項1から3の何れか1項に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項5】
前記当接部が前記本体に凹設された面である請求項1から3の何れか1項に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項6】
前記当接部が前記本体の複数の側面うちの一つである請求項1から3の何れか1項に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項7】
前記当接部が、前記表示部を兼ねる請求項1から6の何れか1項に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。
【請求項8】
前記表示部の表面に、表示手段をさらに備える請求項1から7の何れか1項に記載のコネクタ固定ネジの緩み止めキャップ。

【図1】
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【図2】
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【図3a】
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【図3b】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図5c】
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【図5d】
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【図6a】
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【図6b】
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【図7a】
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【図7b】
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【公開番号】特開2009−289685(P2009−289685A)
【公開日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−143216(P2008−143216)
【出願日】平成20年5月30日(2008.5.30)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】