説明

コネクタ嵌合構造

【課題】極数に応じた使い分け等が可能なコネクタ嵌合構造を提供する。
【解決手段】第一コネクタ1、第二コネクタ2は、貫通孔5のサイズよりも小さなサイズの第一コネクタハウジング8、第二コネクタハウジング9を備えてなるものとなっている。第一コネクタ1及び/又は第二コネクタ2は、貫通孔5を介して壁6の他方側10から一方側7へ挿通されるものとなっている。第三コネクタ3、3′は、貫通孔5のサイズよりも大きなサイズとなり且つ第一コネクタ1及び第二コネクタ2を組み合わせた状態の第四コネクタ4を嵌合させることが可能であるとともに第一コネクタ1又は第二コネクタ2を単独で嵌合させることも可能な第三コネクタハウジング12を備えてなるものとなっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ同士の嵌合に係るコネクタ嵌合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
貫通孔を有する壁の一方側で嵌合し合うコネクタ同士の嵌合構造としては、例えば下記特許文献1に開示された構造が知られている。この嵌合構造は、自動車用ドアの構造に係るものとして提案されている。下記特許文献1には、アウタパネルに取り付けられるリモコンミラーと、このリモコンミラーを制御するためのミラー用コネクタと、貫通孔を有するインナパネルと、インナパネルの内側(車室側)に配索されるドア用ワイヤハーネスと、このハーネスの端末に設けられるハーネス用コネクタとが開示されている。
【0003】
ハーネス用コネクタは、貫通孔を介してインナパネルの内側から外側へ挿通された後にミラー用コネクタと嵌合し、これによって電気的な接続が完了するようになっている(尚、下記特許文献1には、ミラー用コネクタがインナパネルの内側に挿通されてハーネス用コネクタと嵌合する例も開示されている)。
【0004】
インナパネルの貫通孔は、ハーネス用コネクタ又はミラー用コネクタの挿通が可能になる程度の大きさに貫通形成されている。貫通孔を小さく形成するのは、防水性に配慮してのことである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−321485号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記従来技術にあっては、近年の高機能化に伴い次のような問題点を有している。すなわち、コネクタの極数を多く(端子の数を多く)したいという要望に応えるためにコネクタを大きくすると、これと一緒に貫通孔のサイズも大きくする必要があることから、防水性の確保に影響を来してしまうという問題点を有している。
【0007】
尚、貫通孔のサイズ変更をすることが設計的にできない場合もあり、この場合、極数を多くすることが不可能になるのは勿論のこと、電気的な接続を行うこともできないという問題点を有している。
【0008】
極数を多くすることにあたり、例えばハーネス用コネクタ及びミラー用コネクタをそれぞれ二つずつにして各々挿通すれば、貫通孔のサイズを変更しなくてもよくなると考えられるが、コネクタ同士の嵌合作業(接続作業)が一回から二回に増えてしまうことから、作業性の面で影響を来してしまうことになる。また、ハーネス用コネクタ及びミラー用コネクタをそれぞれ二つずつにすれば、部品点数の増加にも繋がってしまうことにもなる。
【0009】
この他、車種やグレードによっては、従来通りのハーネス用コネクタ及びミラー用コネクタを用いてこれらを嵌合させることもあることから、従来通りの極数となるコネクタ同士を嵌合させる場合と、極数を多くしたコネクタ同士を嵌合させる場合との二パターンを使い分けなければならず、結果、部品管理の煩雑化や工数増加を招いてしまうという問題点を有している。
【0010】
本発明は、上記した事情に鑑みてなされたもので、極数が多いコネクタであっても、且つ挿通する貫通孔のサイズが小さくても、貫通孔の一方側でコネクタ同士の嵌合を行うことが可能なコネクタ嵌合構造、また、極数に応じた使い分けが可能なコネクタ嵌合構造、さらには、嵌合作業数の増加や部品点数の増加に繋がらず部品管理も容易にすることが可能なコネクタ嵌合構造を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するためになされた請求項1記載の本発明のコネクタ嵌合構造は、コネクタ同士の嵌合に係る構造において、前記コネクタは、第一コネクタ及び/又は第二コネクタと、第三コネクタとであるとともに、貫通孔を有する壁の一方側で嵌合し合うコネクタであり、前記第一コネクタは、前記貫通孔のサイズよりも小さなサイズの第一コネクタハウジングを備え且つ前記貫通孔を介して前記壁の他方側から一方側へ挿通されるものであり、前記第二コネクタは、前記第一コネクタと同様に、前記貫通孔のサイズよりも小さなサイズの第二コネクタハウジングを備え且つ前記貫通孔を介して前記壁の他方側から一方側へ挿通されるものであり、前記第三コネクタは、前記貫通孔のサイズよりも大きなサイズとなり且つ前記第一コネクタ及び前記第二コネクタを組み合わせた状態で嵌合させることが可能であるとともに前記第一コネクタ又は前記第二コネクタを単独で嵌合させることも可能な第三コネクタハウジングを備えてなるものであることを特徴としている。
【0012】
このような特徴を有する本発明によれば、貫通孔を介して壁の他方側から一方側へ第一コネクタ及び第二コネクタを挿通した場合、壁の一方側で第一コネクタ及び第二コネクタを組み合わせ、そして、組み合わせた状態の第一コネクタ及び第二コネクタを第三コネクタに対して嵌合させるようにすれば、極数が多いコネクタであっても、且つ挿通する貫通孔のサイズが小さくても、且つ挿通する貫通孔のサイズ変更をしなくても、貫通孔の一方側でコネクタ同士の嵌合を行うことが可能になる。また、一回の嵌合作業で電気的な接続を完了させることが可能になる。
【0013】
また、本発明によれば、貫通孔を介して壁の他方側から一方側へ第一コネクタ又は第二コネクタを挿通した場合、第一コネクタ又は第二コネクタを単独で第三コネクタに対して嵌合させるようにすれば、上記極数が多いコネクタ同士の嵌合の場合と併せて、極数に応じた使い分けが可能になる。極数に応じた使い分けが可能になることにより、本発明は部品管理を容易にすることや部品点数の増加抑制をすること等も可能になる。
【0014】
請求項2記載の本発明のコネクタ嵌合構造は、請求項1に記載のコネクタ嵌合構造において、前記第三コネクタは、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタを組み合わせた状態を収容する収容空間へハウジング側壁から突出する位置決めリブを有し、該位置決めリブは、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタを組み合わせた状態且つ前記第三コネクタに嵌合させた状態で、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタの側面側に位置し、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタを単独で前記第三コネクタに嵌合させた状態では、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタの下面側に位置することを特徴としている。
【0015】
このような特徴を有する本発明によれば、位置決めリブは、合体状態でも、単独状態でも、コネクタ位置決め機能を有する。
【0016】
この他、本発明のコネクタ嵌合構造は次のような特徴も有する。すなわち、本発明のコネクタ嵌合構造において、前記組み合わせに関し、前記第一コネクタハウジング及び前記第二コネクタハウジングは、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタと、前記第三コネクタとの嵌合方向に直交する方向にスライドさせて合体する合体構造部を有することを特徴としている。このような特徴によれば、第三コネクタとの嵌合の際や嵌合の後に、合体した状態の第一コネクタ及び第二コネクタの位置ズレを生じ難くすることが可能になる。
【発明の効果】
【0017】
請求項1に記載された本発明によれば、極数が多いコネクタであっても、且つ挿通する貫通孔のサイズが小さくても、且つ挿通する貫通孔のサイズ変更をしなくても、貫通孔の一方側でコネクタ同士の嵌合を行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、極数が多いコネクタであっても、且つ挿通する貫通孔のサイズが小さくても、嵌合作業数の増加に繋がらないようにすることができるという効果を奏する。さらに、本発明によれば、極数に応じた使い分けをすることができるという効果を奏する。さらにまた、本発明によれば、極数に応じた使い分けによって、部品管理を容易にすることや、部品点数の増加抑制をすることができるという効果を奏する。
【0018】
請求項2に記載された本発明によれば、位置決めリブを有することにより、合体状態でも、単独状態でも、コネクタ位置決めをすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明のコネクタ嵌合構造の実施の形態を示す模式図であり、(a)及び(c)はコネクタ同士の嵌合前の状態を示す模式図、(b)及び(d)はコネクタ同士の嵌合後の状態を示す模式図である。
【図2】第一コネクタを示す斜視図である。
【図3】第二コネクタを示す斜視図である。
【図4】第一コネクタ及び第二コネクタ同士の合体前の状態を示す斜視図である。
【図5】第一コネクタ及び第二コネクタ同士の合体後の状態を示すとともに第四コネクタを示す斜視図である。
【図6】合体構造部を示す要部拡大図である。
【図7】第三コネクタを示す斜視図である。
【図8】第三コネクタを示す正面図である。
【図9】第三コネクタ及び第四コネクタのコネクタ嵌合状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図面を参照しながら説明する。図1は本発明のコネクタ嵌合構造の実施の形態を示す模式図であり、(a)及び(c)はコネクタ同士の嵌合前の状態を示す模式図、(b)及び(d)はコネクタ同士の嵌合後の状態を示す模式図である。
【0021】
図1において、引用符号1は第一コネクタ、引用符号2は第二コネクタ、引用符号3、3′は第三コネクタを示している。また、引用符号4は第一コネクタ1及び第二コネクタ2を合体させてなる第四コネクタを示している。本発明のコネクタ嵌合構造は、貫通孔5を有する壁6の一方側7で嵌合し合う第三コネクタ3と第四コネクタ4との嵌合構造や、第三コネクタ3′と第一コネクタ1との嵌合構造となっている(特に図示しないが第三コネクタと第二コネクタ2との嵌合構造も可能であるものとする)。
【0022】
第一コネクタ1は、貫通孔5のサイズよりも小さなサイズの第一コネクタハウジング8を備えてなるものとなっている。また、第二コネクタ2も貫通孔5のサイズよりも小さなサイズの第二コネクタハウジング9を備えてなるものとなっている。第一コネクタ1及び/又は第二コネクタ2は、貫通孔5を介して壁6の他方側10から一方側7へ挿通されるものとなっている。
【0023】
第一コネクタ1及び第二コネクタ2は、本形態において、それぞれ9つの極数(端子の数)を有するコネクタとなっている。第一コネクタ1及び第二コネクタ2からは、電線11が引き出されている。尚、電線11は、束ねるようにしても良いものとする。
【0024】
第三コネクタ3(3′)は、貫通孔5のサイズよりも大きなサイズとなり且つ第一コネクタ1及び第二コネクタ2を組み合わせた状態の第四コネクタ4を嵌合させることが可能であるとともに第一コネクタ1又は第二コネクタ2を単独で嵌合させることも可能な第三コネクタハウジング12を備えてなるものとなっている。
【0025】
第三コネクタ3は、本形態において、18の極数(端子の数)を有するコネクタとなっている(第三コネクタ3′は、9つの極数を有するコネクタとなっている)。第三コネクタ3(3′)から引き出される電線13は、特に限定するものでないが、図示の如く束ねられている。
【0026】
上記構成において、図1(a)に示す如く、貫通孔5を介して壁6の他方側10から一方側7へ第一コネクタ1及び第二コネクタ2を各々挿通し、そして、壁6の一方側7で第一コネクタ1及び第二コネクタ2を合体させて(上下に重なるよう組み合わせて)第四コネクタ4を形成し、この後に形成した第四コネクタ4を、図1(b)に示す如く、第三コネクタ3に対して嵌合させると、第一コネクタ1、第二コネクタ2、及び第三コネクタ3(第四コネクタ及び第三コネクタ3)の嵌合及び電気的な接続が完了する。
【0027】
一方、図1(c)に示す如く、貫通孔5を介して壁6の他方側10から一方側7へ第一コネクタ1を挿通し、そして、壁6の一方側7で図1(d)に示す如く第一コネクタ1を第三コネクタ3に対して単独で嵌合させると、第一コネクタ1及び第三コネクタ3の嵌合及び電気的な接続が完了する。
【0028】
本発明によれば、極数が多いコネクタであっても、且つ挿通する貫通孔5のサイズが小さくても、且つ挿通する貫通孔5のサイズ変更をしなくても、貫通孔5の一方側7でコネクタ同士の嵌合を行うことができるという効果を奏する。また、本発明によれば、一回の嵌合作業で電気的な接続を完了させることができるという効果を奏する。さらに、本発明によれば、極数に応じた使い分けをすることができるという効果を奏する。さらにまた、本発明によれば、極数に応じた使い分けによって、部品管理を容易にすることや、部品点数の増加抑制をすることができるという効果を奏する。
【0029】
引用符号24、29は合体構造部を示している。合体構造部24、29に関しては後述する。
【0030】
次に、図2ないし図9を参照しながら、もう少し詳しく各コネクタや嵌合等について説明する。
【0031】
図2は第一コネクタを示す斜視図、図3は第二コネクタを示す斜視図、図4は第一コネクタ及び第二コネクタ同士の合体前の状態を示す斜視図、図5は第一コネクタ及び第二コネクタ同士の合体後の状態を示すとともに第四コネクタを示す斜視図、図6は合体構造部を示す要部拡大図、図7は第三コネクタを示す斜視図、図8は第三コネクタを示す正面図、図9は第三コネクタ及び第四コネクタのコネクタ嵌合状態を示す斜視図である。
【0032】
尚、各コネクタの図は、端子金具及び電線の図示を省略した状態で示すものとする(端子金具及び電線は公知のものを用いるものとする)。
【0033】
図2において、第一コネクタ1は、第一コネクタハウジング8と、この第一コネクタハウジング8の端子収容室21に収容・係止される図示しない端子金具と、端子収容室21に収容・係止された端子金具を二重に係止するためのスペーサ22とを備えて構成されている。
【0034】
第一コネクタハウジング8は、貫通孔5(図1参照)のサイズよりも小さなサイズのものであって、この上部に突起形状のロック部23(図4参照)を有するとともに、下部に合体構造部24を有している。ロック部23は、第三コネクタ3の第三コネクタハウジング12(図9参照)との嵌合の際に用いられる部分として形成されている。合体構造部24は、第一コネクタ1及び第二コネクタ2を合体させる(上下に重なるよう組み合わせる)際に用いられる部分として形成されている。第一コネクタハウジング8の合体構造部24は、リブ25と一対のボス26とを有している。
【0035】
リブ25は、第三コネクタ3と第四コネクタ4との嵌合方向(図1参照)に直交する方向にのびるように形成されている。また、リブ25は、第二コネクタハウジング9の後述する合体構造部29(図3参照)に対してスライドしながら挿入される部分として形成されている。リブ25には、一対のスライド部分27が形成されている。このようなリブ25の両側には、摺接面28がそれぞれ形成されている。
【0036】
一対のボス26は、合体状態を維持するための部分として形成されている。一対のボス26は、各摺接面28に突出形成されている。一対のボス26は、リブ25の両側の所定位置に配置形成されている。
【0037】
スペーサ22は、第一コネクタハウジング8の下部であって合体構造部24よりも後方に嵌合するように形成されている。スペーサ22は、公知の機能を有しており、ここでは詳細な説明は省略するものとする。
【0038】
図3において、第二コネクタ2は、上記第一コネクタ1(図2参照)と同様に、第二コネクタハウジング9と、この第二コネクタハウジング9の端子収容室21に収容・係止される図示しない端子金具と、端子収容室21に収容・係止された端子金具を二重に係止するためのスペーサ22とを備えて構成されている(端子金具及びスペーサ22は第一コネクタ1と同じであるものとする)。
【0039】
第二コネクタハウジング9は、貫通孔5(図1参照)のサイズよりも小さなサイズのものであって、この下部に突起形状のロック部(図示省略。上記ロック部23を参照)を有するとともに、上部に合体構造部29を有している。ロック部は、第三コネクタ3の第三コネクタハウジング12(図9参照)との嵌合の際に用いられる部分として形成されている。合体構造部29は、第一コネクタ1及び第二コネクタ2を合体させる(組み合わせる)際に用いられる部分として形成されている。第二コネクタハウジング9の合体構造部29は、リブ受け部30と一対の凹部31とを有している。
【0040】
リブ受け部30は、第三コネクタ3と第四コネクタ4との嵌合方向(図1参照)に直交する方向にのびるように形成されている。また、リブ受け部30は、第一コネクタハウジング8のリブ25(図2参照)のスライドを可能にする部分として形成されている。リブ受け部30には、リブ25のスライド部分27を案内するためのガイド部分32が一対形成されている。一対のガイド部分32の上には、摺接面33が各々形成されている。摺接面33は、第一コネクタハウジング8の摺接面28に対し摺接する部分として形成されている。
【0041】
一対の凹部31は、合体状態を維持するための部分として形成されている。一対の凹部31は、第一コネクタハウジング8の一対のボス26(図2参照)の位置に合わせて配置形成されている。一対の凹部31は、一対のボス26を引っ掛けるための係止部分34を有している。
【0042】
図4において、第一コネクタ1及び第二コネクタ2は、図中の矢印方向(第三コネクタ3と第四コネクタ4との嵌合方向(図1参照)に直交する方向)にスライドさせて各合体構造部24、29同士を係合させると、図5に示す如く第一コネクタ1及び第二コネクタ2が上下に合体して第四コネクタ4が形成される。合体に関しては、図6に示す如く、第一コネクタハウジング8のリブ25が第二コネクタハウジング9のリブ受け部30に挿入されて、各スライド部分27が各ガイド部分32に案内される。また、第一コネクタハウジング8の摺接面28と第二コネクタハウジング9の摺接面33とが摺接する。さらに、第一コネクタハウジング8の各ボス26(図2参照)が第二コネクタハウジング9の各係止部分34に引っ掛かって係止され、合体状態が維持される。
【0043】
尚、第一コネクタ1又は第二コネクタ2を単独で用いる場合には、上記の合体を行うことはない。
【0044】
図7及び図8において、第三コネクタ3は、第三コネクタハウジング12と、この第三コネクタハウジング12の端子収容室41に収容・係止される図示しない端子金具と、端子収容室41に収容・係止された端子金具を二重に係止するためのスペーサ42(図9参照)とを備えて構成されている。
【0045】
第三コネクタハウジング12は、貫通孔5(図1参照)のサイズよりも大きなサイズのものであって、この上部及び下部にロック部43を各々有している。ロック部43は、第四コネクタ4(図5参照)との嵌合の際に用いられる部分、又は、第一コネクタ1単独や第二コネクタ2単独の嵌合の際に用いられる部分として形成されている。ロック部43は、第一コネクタ1や第二コネクタ2のロック部23を係止するためのロッキングアーム44等を有している。尚、引用符号45は、図示しないブラケット等に第三コネクタ3を固定するための固定部を示している。
【0046】
第三コネクタハウジング12は、この前部を開口させて形成されるコネクタ嵌合部46を有している。コネクタ嵌合部46は、上下に合体した状態の第一コネクタハウジング8、第二コネクタハウジング9を挿入し収容することができる形状に形成されている(収容空間を有する形状に形成されている)。このようなコネクタ嵌合部46の両側部中間には、内方に突出する位置決めリブ47が形成されている。位置決めリブ47は、コネクタ嵌合部46を上下二段の嵌合部にするように形成されている。位置決めリブ47は、第一コネクタ1又は第二コネクタ2を単独で用いる場合に、言い換えれば第一コネクタハウジング8又は第二コネクタハウジング9を単独で嵌合させる場合に、位置決めとして機能するようになっている。また、位置決めリブ47は、合体状態の第一コネクタ1及び第二コネクタ2を嵌合させる場合にも、位置決めとして機能するようになっている。
【0047】
位置決めリブ47に関し補足説明をすると、位置決めリブ47は、第一コネクタ1及び第二コネクタ2を組み合わせた状態を収容する収容空間へハウジング側壁から突出するように形成されている。位置決めリブ47は、第一コネクタ1及び第二コネクタ2を組み合わせた状態、且つ第三コネクタ3に嵌合させた状態で、第一コネクタ1及び第二コネクタ2の側面側に位置するように形成されている。また、第一コネクタ1又は第二コネクタ2を単独で第三コネクタ3に嵌合させた状態では、第一コネクタ1又は第二コネクタ2の下面側に位置するように形成されている。
【0048】
上記構成及び構造において、図9に示す如く第四コネクタ4を第三コネクタ3に対して嵌合させると、言い換えれば上下に合体した状態の第一コネクタ1及び第二コネクタ2を図中の矢印方向に移動させて第三コネクタ3に対し嵌合させると、第一コネクタ1、第二コネクタ2、及び第三コネクタ3(第四コネクタ及び第三コネクタ3)の嵌合及び電気的な接続が完了する。尚、第四コネクタ4となる第一コネクタ1及び第二コネクタ2は、合体構造部24、29の構造によってガタ付きなく嵌合する。
【0049】
また、上記構成及び構造において、特に図示しないが、第一コネクタ1を第三コネクタ3に対して嵌合させると(第二コネクタ2を第三コネクタ3に対して嵌合させると)、第一コネクタ1及び第三コネクタ3の嵌合及び電気的な接続が完了する(第二コネクタ2及び第三コネクタ3の嵌合及び電気的な接続が完了する)。
【0050】
以上、図1ないし図9を参照しながら説明してきたように、本発明によれば、極数が多いコネクタであっても、且つ挿通する貫通孔5のサイズが小さくても、且つ挿通する貫通孔のサイズ変更をしなくても(貫通孔5を大きくしなくても)、貫通孔5の一方側7でコネクタ同士の嵌合を行うことができるという効果を奏する。また、一回の嵌合作業で電気的な接続を完了させることができるという効果を奏する(本発明は、極数が多い場合、第一コネクタ1及び第二コネクタ2に分割することにより、限られた場所への挿通作業をすることができるという効果を奏する。また、本発明は、第一コネクタ1及び第二コネクタ2を組み合わせて第四コネクタ4を形成することにより、第三コネクタ3に対する嵌合作業を一回で済ませることができるという効果を奏する)。
【0051】
さらに、本発明によれば、極数に応じた使い分けをすることができるという効果を奏する。さらにまた、本発明によれば、極数に応じた使い分けによって、部品管理を容易にすることや、部品点数の増加抑制をすることができるという効果を奏する。
【0052】
本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。
【0053】
上記説明において、第四コネクタ4はハーネス用コネクタに、第一コネクタ1及び第二コネクタ2は分割コネクタ又はハーネス用コネクタに、第三コネクタ3はミラー用コネクタに、壁6はインナパネルに読み替えても良いものとする(読み替えの名称は一例であるものとする)。
【符号の説明】
【0054】
1 第一コネクタ
2 第二コネクタ
3、3′ 第三コネクタ
4 第四コネクタ
5 貫通孔
6 壁
7 一方側
8 第一コネクタハウジング
9 第二コネクタハウジング
10 他方側
11、13 電線
12 第三コネクタハウジング
21、41 端子収容室
22、42 スペーサ
23、43 ロック部
24、29 合体構造部
25 リブ
26 ボス
27 スライド部分
28、33 摺接面
30 リブ受け部
31 凹部
32 ガイド部分
34 係止部分
44 ロッキングアーム
45 固定部
46 コネクタ嵌合部
47 位置決めリブ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コネクタ同士の嵌合に係る構造において、
前記コネクタは、第一コネクタ及び/又は第二コネクタと、第三コネクタとであるとともに、貫通孔を有する壁の一方側で嵌合し合うコネクタであり、
前記第一コネクタは、前記貫通孔のサイズよりも小さなサイズの第一コネクタハウジングを備え且つ前記貫通孔を介して前記壁の他方側から一方側へ挿通されるものであり、
前記第二コネクタは、前記第一コネクタと同様に、前記貫通孔のサイズよりも小さなサイズの第二コネクタハウジングを備え且つ前記貫通孔を介して前記壁の他方側から一方側へ挿通されるものであり、
前記第三コネクタは、前記貫通孔のサイズよりも大きなサイズとなり且つ前記第一コネクタ及び前記第二コネクタを組み合わせた状態で嵌合させることが可能であるとともに前記第一コネクタ又は前記第二コネクタを単独で嵌合させることも可能な第三コネクタハウジングを備えてなるものである
ことを特徴とするコネクタ嵌合構造。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタ嵌合構造において、
前記第三コネクタは、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタを組み合わせた状態を収容する収容空間へハウジング側壁から突出する位置決めリブを有し、
該位置決めリブは、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタを組み合わせた状態且つ前記第三コネクタに嵌合させた状態で、前記第一コネクタ及び前記第二コネクタの側面側に位置し、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタを単独で前記第三コネクタに嵌合させた状態では、前記第一コネクタ又は前記第二コネクタの下面側に位置する
ことを特徴とするコネクタ嵌合構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−170702(P2010−170702A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−9570(P2009−9570)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】