説明

コネクタ接続構造

【課題】コストを高騰させずに、コネクタを移動自在としても該コネクタの脱落を防止できるコネクタ接続構造を提供する。
【解決手段】コネクタ接続構造1は内側にコネクタ4を収容してコネクタ4を保持するホルダ3と内側にホルダ3を収容してホルダ3を保持する収容部本体10と収容部本体10に取り付けられホルダ3を固定するプレート5を備えている。収容部材10は内径がホルダ3の外径より大きく形成されかつホルダ3を収容した際にホルダ3との間に隙間を生じる収容孔14を備えている。ホルダは収容孔14の開口部を通して収容部本体10内に挿入される。プレート5は収容部本体10に取り付けられるとホルダ3の収容部本体10への挿入方向Kに沿って収容部本体10との間にホルダ3を挟んでホルダ3を収容部本体10に固定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線の接続等に使用されるコネクタを備えたコネクタ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車のヘッドレストには、モニタや衝突時のむち打ちを防止するむち打ち防止装置などの各種の電子機器が取り付けられることがある。この種のヘッドレストに取り付けられる電子機器に所望の電力や信号を供給するために、従来から種々のコネクタ接続構造が用いられてきた。
【0003】
従来のコネクタ接続構造は、シートに取り付けられた収容部材としての円筒状のスリーブと、該スリーブ内に収容されたコネクタと、ヘッドレストに取り付けられたポールと、該ポールの先端に取り付けられた相手方のコネクタとを備えている。前述したコネクタ接続構造は、ポールをスリーブ内に挿入して、コネクタに相手方のコネクタを結合して、組み立てられる。こうして組み立てられたコネクタ接続構造は、互いに結合したコネクタと相手方のコネクタなどを介して、自動車の車体側の電子機器と、ヘッドレスト側の電子機器とを接続して、該ヘッドレスト側の電子機器に所望の電力や信号を伝送する。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述したコネクタ接続構造では、ヘッドレストをシートに近づける際に、コネクタ同士を確実に嵌合させるために、コネクタをスリーブ内で移動自在とする必要があった。このため、コネクタをスリーブから脱落することなく、該コネクタをスリーブ内で移動自在とするために、スリーブの内面とコネクタの外面などに互いに係合する係合突起や係合アームなどを形成する必要が生じて、スリーブやコネクタの形状が複雑となって、これらのコストが高騰してしまう。
【0005】
したがって、本発明の目的は、コストを高騰させずに、コネクタを移動自在としても該コネクタの脱落を防止できるコネクタ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載の本発明のコネクタ接続構造は、内側にコネクタを収容して当該コネクタを保持するホルダと、内側に前記ホルダを収容して当該ホルダを保持する収容部材と、前記収容部材に取り付けられ前記ホルダを固定する固定部材と、を備えたコネクタ接続構造において、前記収容部材は、内径が前記ホルダの外径より大きく形成されているとともに前記ホルダを収容した際に該ホルダとの間に隙間を生じる収容孔を備えており、前記ホルダは、前記収容孔の開口部を通して前記収容部材内に挿入されるとともに、前記固定部材が、前記収容部材に取り付けられると、前記ホルダの収容部材への挿入方向に沿って、前記収容部材との間に前記ホルダを挟んで、該ホルダを前記収容部材に固定することを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載の本発明のコネクタ接続構造は、請求項1に記載のコネクタ接続構造において、前記収容部材は、前記固定部材の一端部を係止する係止部と、ボルトがねじ込まれることで前記固定部材の他端部を固定する固定部とを備えたことを特徴としている。
【0008】
請求項3に記載の本発明のコネクタ接続構造は、請求項1又は請求項2に記載のコネクタ接続構造において、前記コネクタが相手方のコネクタと嵌合する際に、前記ホルダが前記収容孔内で移動することで、前記コネクタが前記相手方のコネクタと嵌合することを許容することを特徴としている。
【0009】
請求項4に記載の本発明のコネクタ接続構造は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタ接続構造において、前記収容部材は、外縁が前記収容孔の一端に連なり、かつ前記固定部材との間に前記ホルダを挟む底板を備えたことを特徴としている。
【0010】
請求項5に記載の本発明のコネクタ接続構造は、請求項4に記載のコネクタ接続構造において、前記ホルダは、前記収容孔の他端側から前記収容部材内に挿入されることを特徴としている。
【0011】
請求項6に記載の本発明のコネクタ接続構造は、請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載のコネクタ接続構造において、前記ホルダは、前記コネクタと係合するとともに互いに間隔をあけて配置された一対の係合アームと、前記一対の係合アーム同士を連結する連結部とを備えたことを特徴としている。
【0012】
請求項1に記載された本発明のコネクタ接続構造によれば、収容部材の収容孔の内径をホルダの外径よりも大きくしているので、収容孔内でホルダが確実に移動できる。また、固定部材が収容部材との間にホルダを挟むので、収容孔の内面とホルダの外面とを簡素な形状にしても、筒部からのホルダの脱落を防止できる。
【0013】
請求項2に記載された本発明のコネクタ接続構造によれば、固定部材の一端部が係止部によって固定されるので、固定部材の取付にかかる構成が簡素なものとなる。
【0014】
請求項3に記載された本発明のコネクタ接続構造によれば、ホルダが収容孔内で移動するので、コネクタ同士が嵌合する際に、コネクタ同士が嵌合できる位置に、ホルダが位置付けられる。
【0015】
請求項4に記載された本発明のコネクタ接続構造によれば、収容部材に固定部材との間にホルダを挟む底板が設けられているので、収容部材からのホルダ即ちコネクタの脱落を確実に防止できる。
【0016】
請求項5に記載された本発明のコネクタ接続構造によれば、ホルダが収容部材の収容孔の他端側から挿入されるので、ホルダを如何なる形状に形成しても、該収容部材の収容孔内にホルダを確実に収容でき、底板と固定部材との間にホルダを確実に挟むことができる。
【0017】
請求項6に記載された本発明のコネクタ接続構造によれば、ホルダがコネクタに係合する一対の係合アーム同士を連結する連結部を備えているので、ホルダの剛性を確保でき、係合アームからのコネクタの脱落を防止できる。
【発明の効果】
【0018】
以上説明したように請求項1に記載の本発明は、収容孔内でホルダが確実に移動でき、収容孔の内面とホルダの外面とを簡素な形状にしても、収容孔からのホルダの脱落を防止できる。したがって、コストを高騰させずに、ホルダ即ちコネクタを移動自在としても該ホルダ即ちコネクタの脱落を防止できる。
【0019】
請求項2に記載の本発明は、固定部材の取付にかかる構成が簡素なものとなるので、コストの高騰をより確実に防止できる。
【0020】
請求項3に記載の本発明は、コネクタが相手方のコネクタと嵌合する際に、コネクタ同士が嵌合できる位置に、ホルダが位置付けられるので、コネクタを相手方のコネクタと確実に嵌合させることができる。
【0021】
請求項4に記載の本発明は、収容部材に固定部材との間にホルダを挟む底板が設けられているので、収容部材からのホルダ即ちコネクタの脱落を確実に防止できる。
【0022】
請求項5に記載の本発明は、ホルダを如何なる形状に形成しても、収容部材の収容孔内にホルダを確実に収容でき、底板と固定部材との間にホルダを確実に挟むことができる。したがって、コストの高騰をより確実に防止しながらも、ホルダ即ちコネクタの脱落を確実に防止できる。
【0023】
請求項6に記載の本発明は、ホルダの剛性を確保でき、係合アームからのコネクタの脱落を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の一実施形態にかかるコネクタ接続構造(以下、単に接続構造と記す。)を、図1乃至8を参照して説明する。図1などに示す接続構造1は、自動車などのヘッドレストに取り付けられるモニタやむち打ち防止装置などの各種の電子機器に所望の電力や信号を伝送するために用いられる。
【0025】
接続構造1は、図1及び図2に示すように、ブラケット2と、ホルダ3と、コネクタ4と、固定部材としてのプレート6と、ボルト7とを備えている。
【0026】
ブラケット2は、絶縁性の合成樹脂で構成され、板状の本体部8と、一対の収容部9とを備えている。本体部8は、一対の収容部9同士を連結している。一対の収容部9は、互いに間隔をあけて平行に配置されている。収容部9は、収容部本体(収容部材に相当する)10と、フランジ部11とを備えている。収容部本体10は、図5及び図6に示すように、円環状の底板12と、該底板12の外縁から立設した円筒状の円筒部13とを一体に備えて、有底筒状に形成されている。収容部本体10は、内側にホルダ3を収容して、当該ホルダ3を保持する。
【0027】
フランジ部11は、板状に形成されているとともに、収容部本体10の円筒部13の底板12から離れた側の外縁から該収容部本体10の円筒部13の外周方向に延在している。フランジ部11は、収容部本体10の円筒部13の底板12から離れた側の外縁の約半周分に設けられている。フランジ部11には、該フランジ部11の外周に向かうにしたがって段階的に該フランジ部11を厚くする段差15が設けられている。さらに、フランジ部11の本体部8寄りの端部には、ボルト通し孔16が設けられているとともに、該ボルト通し孔16とねじ孔が連通したナットが埋設されている。ボルト通し孔16は、プレート5の他端部に設けられたボルト通し孔6を通ったボルト7がねじ込まれて、該プレート5の他端部を固定する。ボルト通し孔16は、特許請求の範囲に記載された固定部をなしている。また、フランジ部11の本体部8から離れた側の端部には、プレート5の一端部を係止する係止部29が設けられている。
【0028】
底板12は、図3及び図4に示すように、コネクタ4を通す開口部12aが設けられており、収容部本体10内に収容されたホルダ3にコネクタ4を収容する際に、該コネクタ4が底板12の開口部12aを通されて、該コネクタ4がホルダ3に収容される。また、底板12は、収容孔14即ち収容部本体10内に収容されたホルダ3が表面上に位置付けられて、該ホルダ3をプレート5との間に挟む。
【0029】
円筒部13は、内側にホルダを収容する収容孔14が設けられているとともに、該収容孔14の内面に該内面から径方向に突出する当接リブ14aと、規制リブ14bとが設けられている。即ち、収容部本体10は、収容孔14を備えている。当接リブ14aと規制リブ14bとは収容孔14の径方向に相対するとともに、当接リブ14aが収容孔14のフランジ部11側の内面に配されて、規制リブ14bが収容孔14のフランジ部11から離れた側の内面に配されている。また、円筒部13即ち収容孔14の図2中下方に位置する一端に、前述した底板12の外縁が連なっている。
【0030】
また、円筒部13内即ち収容孔14には、図2中上方に位置する他端側の開口部を通して、矢印Kに沿って、ホルダ3が挿入される。なお、矢印Kは、特許請求の範囲に記載されたホルダ3の挿入方向をなしている。
【0031】
ホルダ3は、絶縁性の合成樹脂で構成されており、全体として円筒状に形成されている。ホルダ3は、図2に示すように、円筒状のホルダ本体17と、フランジ部18とを一体に備えている。ホルダ本体17は、複数の切欠きや孔が設けられて全体として円筒状に形成されている。ホルダ本体17は、収容部本体10内に収容される。ホルダ本体17即ちホルダ3の外径は、収容孔14の内径よりも小さい。このため、ホルダ本体17即ちホルダ3は、収容孔14内で移動自在となるとともに、ホルダ3のホルダ本体17を収容した収容孔14の内面とホルダ本体17即ちホルダ3との間には、隙間が生じる。なお、ホルダ本体17の外径は、特許請求の範囲に記載されたホルダ3の外径をなしている。ホルダ本体17のフランジ部18から図2中の下端までの長さは、収容孔14の深さと等しい。
【0032】
ホルダ本体17には、図2に示すように、第1位置決めアーム19と、第2位置決めアーム20と、係合アームとしてのホルダロックアーム21と、規制部24と、連結部30とが設けられている。第1位置決めアーム19は、図4に示すように、ホルダ本体17の径方向のフランジ部18側の側面に一対設けられている。一対の第1位置決めアーム19は、それぞれ、弾性変形可能な棒状に形成されており、一端部がホルダ本体17に連なっているとともに、他端部に当接突片19aが設けられている。当接突片19aは、一対の第1位置決めアーム19双方が近づく方向に突出するように形成され、一対の第1位置決めアーム19の当接突片19a双方が近づいたり離れたりする方向、即ちホルダ本体17の外周と平行な方向に弾性変形自在となっている。
【0033】
一対の第1位置決めアーム19は、それぞれ、ホルダ本体17が収容部本体10の円筒部13の収容孔14内に収容されると、当接突片19aが収容孔14の内面に設けられた当接リブ14aと当接する。一対の第1位置決めアーム19は、ホルダ本体17が収容部本体10の円筒部13の収容孔14内に収容されて、該ホルダ本体17が軸芯回りの一方向に回転すると、一方の第1位置決めアーム19の当接突片19aが当接リブ14aと当接して弾性変形するとともに、ホルダ本体17が軸芯周りの一方向と反対方向の他方向に回転すると、他方の第1位置決めアーム19の当接突片19aが当接リブ14aと当接して弾性変形する。
【0034】
そして、一対の第1位置決めアーム19は、それぞれ、当接突片19aが収容孔14の内面の当接リブ14aと当接して弾性変形することで、ホルダ本体3を収容部本体10内で軸芯回り方向に移動可能に支持するとともに、常に収容部本体10内で軸芯回り方向に付勢している。
【0035】
第2位置決めアーム20は、図示例では、4つ設けられており、互いにホルダ本体17の周方向に間隔をあけて配されるとともに、ホルダ本体17の外周面から外方向に突出して設けられている。これら複数の第2位置決めアーム20は、それぞれ、弾性変形可能な棒状に形成されており、その一端部がホルダ本体17に連なっているとともに、他端部に当接突起20aが設けられ、ホルダ本体17に接離する方向に弾性変形自在となっている。当接突起20aは、ホルダ本体17の外縁から外側方向に凸に形成されている。
【0036】
複数の第2位置決めアーム20は、それぞれ、ホルダ本体17が収容部本体10の円筒部13の収容孔14に収容されると、当接突起20aが収容孔14の内面と当接する。複数の第2位置決めアーム20は、それぞれ、当接突起20aが収容孔14の内面と当接して弾性変形することで、ホルダ本体17を収容部本体10の収容孔14内に径方向に移動自在に支持するとともに、常に収容部本体10の中央に向かって付勢している。
【0037】
規制部24は、図1に示すように、ホルダ本体17の径方向のフランジ部18から離れた側の側面に一対設けられている。一対の規制部24は、ホルダ本体17に設けられた切欠の内縁であり、ホルダ本体17の中心を挟んで一対の第1位置決めアーム19と相対する位置に配され、かつホルダ本体17の外周方向に互いに相対している。一対の規制部24は、ホルダ本体17が収容部本体10の円筒部13の収容孔14内に収容されて、該ホルダ本体17が嵌合中心軸方向の一方向に所定角度回転すると、一方の規制部24が収容孔14の内面に設けられた規制リブ14bに当接するとともに、ホルダ本体17が嵌合中心軸方向の一方向と反対方向の他方向に所定角度回転すると、他方の規制部24が規制リブ14bに当接する。
【0038】
そして、一対の規制部24は、それぞれ、ホルダ本体17が収容部本体10の円筒部13の収容孔14内で嵌合中心軸回り方向に所定角度回転した際に収容孔14の内面に設けられた規制リブ14bと当接することで、ホルダ3の収容部本体10内で嵌合中心軸回り方向への回転角度を規制する。
【0039】
ホルダロックアーム21は、図示例では、一対設けられている。これら一対のホルダロックアーム21は、ホルダ本体17の中心を挟んで互いに相対する位置に配されている。即ち、一対のホルダロックアーム21は、互いに間隔をあけて配置されている。ホルダロックアーム21は、図2に示すように、それぞれ、棒状のアーム本体22とロック突起23とを備えている。アーム本体22は、その長手方向がホルダ本体17の軸芯に沿って配置されている。アーム本体22は、長手方向の両端部がホルダ本体17と一体に形成されて、両端部以外の箇所がホルダ本体17と間隔をあけて配置されて、所謂両持ち状に形成されている。ロック突起23は、アーム本体22の長手方向の中央部に配置され、アーム本体22から一対のホルダロックアーム21同士が近づく方向に凸に形成されている。
【0040】
連結部30は、ホルダロックアーム21のアーム本体22同士を連結した梁状に形成されている。
【0041】
フランジ部18は、板状に形成され、かつホルダ本体17が収容部本体10内に収容された際にホルダ本体17のフランジ部11寄りに位置付けられる一方の端部からホルダ本体17の外周方向に延在している。フランジ部18は、ホルダ本体17の前述した一方の端部の約半周分に設けられている。フランジ部18の厚みは、前述した段差15の高さと等しい。
【0042】
前述したホルダ3は、フランジ部18が収容部9のフランジ部11に重ねられて、ホルダ本体17が収容部9の収容部本体10内に収容される。そして、ホルダ3は、ホルダ本体17内にコネクタ4を収容して、ホルダロックアーム21にコネクタ4の後述するロックアーム28が係合して、当該コネクタ4を保持する。なお、ホルダ3のフランジ部18は、収容部9の段差15の内側に位置付けられる。
【0043】
コネクタ4は、図示しない端子金具と、図2及び図3に示すように、コネクタハウジング25とを備えている。端子金具は、導電性の板金で構成されている。端子金具は、電線26の端末が取り付けられて、該電線26の芯線と電気的に接続される。
【0044】
コネクタハウジング25は、絶縁性の合成樹脂で構成され、箱状のハウジング本体27と、ロックアーム28とを備えている。ハウジング本体27には、複数の端子収容室が設けられている。端子収容室は、それぞれ、直線状に延在している。複数の端子収容室は、互いに平行に配置されている。端子収容室は、両端がハウジング本体27の外表面に開口した孔(空間)である。
【0045】
ロックアーム28は、コネクタハウジング25に二つ設けられている。ロックアーム28は、互いの間にハウジング本体27を位置付けている。ロックアーム28は、それぞれ、帯板状に形成され、かつ端子収容室と平行に配置されている。ロックアーム28は、コネクタ4に嵌合する図示しない相手方のコネクタから離れた側の一方の端部がハウジング本体27に連なった片持ち状に形成されている。ロックアーム28は、他方の端部がホルダロックアーム21のロック突起23と係合するとともに、図示しない相手方のコネクタのロック突起と係合する。
【0046】
前述したコネクタ4は、ホルダ3のホルダ本体17内にフランジ部11から離れた側の底板12に設けられた開口部12aから挿入されて、該ホルダ本体17内に収容される。コネクタ4は、ロックアーム28の他端部にロック突起23が係合して、ホルダ3のホルダ本体17内に保持される。なお、コネクタ4は、端子収容室の長手方向及びホルダ3のホルダ本体17の軸芯と平行な矢印Sに沿って、ホルダ3のホルダ本体17内に挿入される。なお、矢印Sは、ホルダ3のホルダ本体17へのコネクタ4の挿入方向をなしている。
【0047】
プレート5は、厚手の板金で構成されて、平板状に形成されている。プレート5は、一端部が収容部9のフランジ部11に設けられた係止部29に係止する。プレート5は、他端部にボルト7を通すボルト通し孔6が設けられている。プレート5は、一端部が収容部9のフランジ部11に設けられた係止部29に係止した状態で、該フランジ部11に重ねられる。そして、プレート5は、ボルト通し孔6が収容部9のフランジ部11に設けられたボルト通し孔16と連通する。
【0048】
プレート5は、収容部9のフランジ部11との間にホルダ3のフランジ部18を挟む。そして、ボルト通し孔6,16内を通ってナットにボルト7が螺合することで、プレート5は、収容部9のフランジ部11に取り付けられる。プレート5は、矢印Kに沿って、収容部9のフランジ部11との間にホルダ3のフランジ部18を挟んで、ホルダ3を収容部9に固定する。
【0049】
前述した構成の接続構造1は、以下のように組み立てられる。まず、ホルダ本体17が収容部本体10の円筒部13の収容孔14内に他端側の開口部を通して矢印Kに沿って挿入され、かつフランジ部18がフランジ部11に重ねられて、ホルダ3が収容部9に保持される。そして、プレート5がホルダ3のフランジ部18に重ねられて、ボルト7によって収容部9のフランジ部11に固定される。
【0050】
その後、図3に示すように、コネクタ4を底板12に設けられた開口部12aと間隔をあけて相対させる。そして、ホルダ3のホルダ本体17内にコネクタ4が挿入されて、図2乃至図4に示すように、該コネクタ4がホルダ本体17内に保持される。こうして、前述した構成の接続構造1が組み立てられる。すると、図7及び図8に示すように、底板12上にホルダ3のホルダ本体17が位置付けられ、かつフランジ部11とプレート5との間にホルダ3のフランジ部18が挟まれるとともに、プレート5と底板12との間にホルダ3が矢印Kに沿って挟まれる。
【0051】
すると、勿論、収容部本体10の円筒部13の収容孔14に設けられた当接リブ14aにホルダ3のホルダ本体17に設けられた一対の第1位置決めアーム19双方の当接突片19aが当接することによって、ホルダ3が収容部本体10内で嵌合中心軸回り方向に位置決めされるとともに、収容孔14の内面にホルダ本体17に設けられた複数の第2位置決めアーム20の当接突起20aが当接することによって、ホルダ3が収容部本体10内で収容孔14の径方向に位置決めされる。
【0052】
さらに、収容部本体10の円筒部13の収容孔14に設けられた規制リブ14bにホルダ3のホルダ本体17の規制部24が当接することにより、ホルダ3の収容部本体10内で嵌合中心軸回り方向への回転角度を規制する。
【0053】
前述した接続構造1のコネクタ4は、ヘッドレストに取り付けられた図示しない相手方のコネクタと嵌合する。相手方のコネクタは、図示しない端子金具と、絶縁性の合成樹脂で構成されたコネクタハウジングとを備えている。端子金具は、前述したモニタやむち打ち防止装置などの各種の電子機器と接続した電線の端末に取り付けられて、該電線の芯線と接続している。コネクタハウジングは、前述した端子金具を収容する端子収容室を複数設けているとともに、外表面から突出してコネクタ4のロックアーム28と係合するロック突起を設けている。相手方のコネクタは、ロック突起がロックアーム28に係合して、コネクタ4と嵌合する
【0054】
また、前述した接続構造1は、ブラケット2がシートに固定されて、該シートに取り付けられる。そして、ヘッドレストがシートに近づけられて、該ヘッドレストに取り付けられた相手方のコネクタがコネクタ4に近づいて、コネクタ4に相手方のコネクタが嵌合する。このとき、コネクタ4は、ホルダ3が収容部本体10内で移動することで、相手方のコネクタ4の位置に応じて、該相手方のコネクタと嵌合できる位置に適宜移動する。このように、収容部本体10は、コネクタ4同士が嵌合する際に、ホルダ3が収容孔14内で移動すること、コネクタ4が相手方のコネクタと嵌合することを許容する。こうして、接続構造1は、自動車の車体側の電子機器と、ヘッドレストに取り付けられた電子機器とを互いに接続して、ヘッドレストに取り付けられた電子機器に所望の電力や信号を供給する。
【0055】
本実施形態によれば、収容部本体10の収容孔14の内径がホルダ3のホルダ本体17外径よりも大きくしているので、収容孔14内でホルダ3が確実に移動できる。また、プレート5が収容部本体10との間にホルダ3のフランジ部18を挟むので、収容孔14の内面とホルダ3の外面とを簡素な形状にしても、収容孔14即ち収容部本体10からのホルダ3の脱落を防止できる。このため、収容孔14内でホルダ3が確実に移動でき、収容孔14の内面とホルダ3の外面とを簡素な形状にしても、収容孔14からのホルダ3の脱落を防止できる。したがって、コストを高騰させずに、ホルダ3即ちコネクタ4を移動自在としても該ホルダ3即ちコネクタ4の脱落を防止できる。
【0056】
プレート5の一端部が係止部29によって固定されるので、プレート5の取付にかかる構成が簡素なものとなる。したがって、コストの高騰をより確実に防止できる。
【0057】
ホルダ3が収容孔14内で移動するので、コネクタ4同士が嵌合する際に、コネクタ4同士が嵌合できる位置に、ホルダ3が位置付けられる。したがって、コネクタ4を相手方のコネクタと確実に嵌合させることができる。
【0058】
収容部本体10にプレート5との間にホルダ3を挟む底板12が設けられているので、収容部本体10からのホルダ3即ちコネクタ4の脱落を確実に防止できる。
【0059】
ホルダ3が収容部本体10の収容孔14の他端側から挿入されるので、ホルダ3を如何なる形状に形成しても、該収容部本体10の収容孔14内にホルダ3を確実に収容でき、底板12とプレート5との間にホルダ3を確実に挟むことができる。したがって、コストの高騰をより確実に防止しながらも、ホルダ3即ちコネクタ4の脱落を確実に防止できる。
【0060】
ホルダ3がコネクタ4に係合する一対のホルダロックアーム21同士を連結する連結部30を備えているので、ホルダ3の剛性を確保でき、ホルダロックアーム21からのコネクタ4の脱落を防止できる。したがって、コネクタ4の脱落を確実に防止できる。
【0061】
前述した実施形態では、シートに取り付けられて、ヘッドレストに取り付けられた電子機器に所望の電力や信号を伝送するための接続構造1を示しているが、本発明では、これに限定することなく、シート以外の物品(自動車以外の物品でも良い)に取り付けられて、ヘッドレスト以外の物品(自動車以外の物品でも良い)に取り付けられた電子機器に所望の電力や信号を伝送しても良い。
【0062】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の一実施形態にかかるコネクタ接続構造を示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタ接続構造の分解斜視図である。
【図3】図1に示されたコネクタ接続構造の正面図である。
【図4】図1に示されたコネクタ接続構造の収容部の平面図である。
【図5】図3中のA−A線に沿った断面図である。
【図6】図5中のB−B線に沿った断面図である。
【図7】図4中のC−C線に沿った断面図である。
【図8】図4中のD−D線に沿った断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1 コネクタ接続構造
3 ホルダ
4 コネクタ
5 プレート(固定部材)
10 収容部本体(収容部材)
12 底板
14 収容孔
16 ボルト通し孔(固定部)
21 ホルダロックアーム
29 係止部
30 連結部
K ホルダの挿入方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内側にコネクタを収容して当該コネクタを保持するホルダと、
内側に前記ホルダを収容して当該ホルダを保持する収容部材と、
前記収容部材に取り付けられ前記ホルダを固定する固定部材と、
を備えたコネクタ接続構造において、
前記収容部材は、内径が前記ホルダの外径より大きく形成されているとともに前記ホルダを収容した際に該ホルダとの間に隙間を生じる収容孔を備えており、
前記ホルダは、前記収容孔の開口部を通して前記収容部材内に挿入されるとともに、
前記固定部材が、前記収容部材に取り付けられると、前記ホルダの収容部材への挿入方向に沿って、前記収容部材との間に前記ホルダを挟んで、該ホルダを前記収容部材に固定することを特徴とするコネクタ接続構造。
【請求項2】
前記収容部材は、前記固定部材の一端部を係止する係止部と、ボルトがねじ込まれることで前記固定部材の他端部を固定する固定部とを備えたことを特徴とする請求項1記載のコネクタ接続構造。
【請求項3】
前記コネクタが相手方のコネクタと嵌合する際に、前記ホルダが前記収容孔内で移動することで、前記コネクタが前記相手方のコネクタと嵌合することを許容することを特徴とする請求項1又は請求項2記載のコネクタ接続構造。
【請求項4】
前記収容部材は、外縁が前記収容孔の一端に連なり、かつ前記固定部材との間に前記ホルダを挟む底板を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタ接続構造。
【請求項5】
前記ホルダは、前記収容孔の他端側から前記収容部材内に挿入されることを特徴とする請求項4記載のコネクタ接続構造。
【請求項6】
前記ホルダは、前記コネクタと係合するとともに互いに間隔をあけて配置された一対の係合アームと、前記一対の係合アーム同士を連結する連結部とを備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のうちいずれか一項に記載のコネクタ接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2008−52976(P2008−52976A)
【公開日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−226581(P2006−226581)
【出願日】平成18年8月23日(2006.8.23)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】