説明

コネクタ接続構造

【課題】ケーブルコネクタの電子機器側コネクタに対する挿入および抜取りを、コネクタ部材の金属疲労や弾性疲労がなく繰り返し可能にするとともに、汎用の同軸ケーブルや同軸コネクタの接続に適用可能にする。
【解決手段】オス型中心導体21の突出部21a、21bの外周面がメス型中心導体14の導体挿入孔17の内周面に接触するとともに、放電用環状導体24の内周面がメス型中心導体14の先端部の外周面に、放電用環状導体24の外周面が第1のシールド筐体16の内周面に、それぞれ接触することによって、前記オス型中心導体21と接地電位にある第1のシールド筐体16とが導通する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器側に設けられた電子機器側コネクタと、ケーブルが接続されて前記電子機器側コネクタに接続されるケーブル側コネクタとを備えるコネクタ接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブルをUSBポート等を介してコンピュータシステム等の電子機器に接続した際に、その同軸ケーブルに帯電した電荷がその電子機器内の電子回路に放電されて回路素子を破壊する場合がある。このようなケーブルの静電気放電による回路素子の破壊防止のために、ケーブルの導体(芯線)を電子機器内の導体と結合させる前に、前記ケーブルの前記導体を放電素子と結合させ、前記ケーブルの前記導体上の静電気を減少させるコネクタが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
図6(A)、(B)、(C)はかかる従来のコネクタ構造を示す。このコネクタ構造では、メス・コネクタ200が、アース220と結合されたハウジング210、取り付け板215、放電素子230および240、導体235および245、ならびにアイソレータ255(図6の(B)および図6の(C)に示される)を備える。図6の(A)および図6の(B)は、メス・コネクタ200の前面図および側面図の例をそれぞれ示す。図6の(C)は、ケーブルコネクタ290をメス・コネクタ200と結合させているときの別の側面図の例を示す。
【0004】
ハウジング210によって、メス・コネクタ200をエレクトロニクス・デバイス用のアースと結合させるとよい。例えば、ハウジング210をエレクトロニクス・デバイスの筐体と結合させるとよい。いくつかの実施態様では、ハウジング210は、メス・コネクタ200を非互換ケーブルと結合させないように、結合用の独自の形状を定めるソケットを備えるとよい。さらに別の実施態様では、ハウジング210は、接続が確定したら、ケーブルとメス・コネクタ200との間の相互接続を一緒に保持するような形状のソケットを形成するとよい。
【0005】
取り付け板215は、放電素子230および240と結合して、最初にケーブル接続(図6の(C)に例が示される)を確定する際、放電素子を定位置に保持する。取り付け板215は、導体235および245をケーブルの導体から絶縁して、エレクトロニクス・デバイスの回路への静電放電を防ぐかまたは弱めるとよい。
【0006】
放電素子230および240の位置は、放電素子230および240をケーブルコネクタ290のオス・ピン295の通路に保持し、これによって、ケーブルコネクタ290をハウジング210に挿入するとき、放電素子230および240をオス・ピン295と接触させる。放電素子230および240は、オス・ピン295と接触する一方、放電素子230および240はアイソレータ255(図6の(B)および(C)に示される)と接触してピン295上の静電気をアース220に放電させる。
【0007】
ここでは放電素子230および240がオス・ピン295と接触した後、放電素子は、図6の(C)に示されるように、オス・ピン295と導体235および245との間の接続の通路から押し退けられる。
つまり、ばね状の放電素子230、240がオス・ピン295に対し非接触となり、放電素子230、240の接地が解除されるとともに、オスピン295がエレクトロニクス・デバイス内の導体に電気的に接続される。この結果、電子機器の電子回路は静電放電の影響を受けず、ケーブルコネクタのオスピン295から信号のみを受けることとなる。
【特許文献1】特開2007‐157710号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載のコネクタ構造は、ケーブルコネクタ290がハウジング210に挿入され、放電素子230および240がオスピン295およびアイソレータ255に接触する際に変形させる構成であるために、このケーブルコネクタ290のハウジング210に対する挿入および抜取りごとに放電素子230および240がストレスを受けて次第に疲労し、弾性を失って(ヘタルことによって)前記接触が不完全となり、遂にはオス・ピン295上の静電気をアースに落とすことができなくなる。
【0009】
また、放電素子230および240はばね形状をなし、汎用の統一規格外の特殊な形態であるために、規格内の同軸ケーブルまたは同軸コネクタへの接続が不可能であるという不都合がある。
【0010】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、ケーブルコネクタの電子機器側コネクタに対する挿入および抜取りを、コネクタ部材の金属疲労や弾性疲労なく繰り返し可能にするとともに、汎用の同軸コネクタの接続に適用できるコネクタ接続構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタ接続構造は、下記(1)を特徴としている。
(1) 電子機器に設けられた電子機器側コネクタと、ケーブルが接続された状態で前記電子機器側コネクタに連結可能なケーブル側コネクタと、を備えるコネクタ接続構造において、
前記電子機器側コネクタは、軸方向に沿って穿たれた導体挿入孔を有するメス型中心導体と、前記メス型中心導体を内部に支持する第1の絶縁物と、前記第1の絶縁物を介して前記メス型中心導体の周辺を被うと共に前記メス型中心導体との間に環状空間を形成する、接地電位にある第1のシールド筒体と、を備え、
前記ケーブル側コネクタは、軸方向に沿って突出して形成され、前記電子機器側コネクタに前記ケーブル側コネクタが連結した際に前記導体挿入孔に挿通される突出部を有するオス型中心導体と、前記オス型中心導体を内部に支持する第2の絶縁物と、を備え、
前記メス型中心導体は、該メス型中心導体の先端部を除く外周面に軸方向に沿って形成された絶縁層をさらに有し、
前記ケーブル側コネクタは、前記第2の絶縁物から軸方向に向かって連設され内部に前記オス型中心導体を収容するとともに、前記電子機器側コネクタに前記ケーブル側コネクタが連結した際に前記環状空間に収容される放電用環状導体をさらに備え、
前記電子機器側コネクタに前記ケーブル側コネクタが連結する過程において、まず、前記オス型中心導体の前記突出部の外周面が前記メス型中心導体の前記導体挿入孔の内周面に接触するとともに、前記放電用環状導体の内周面が前記メス型中心導体の先端部の外周面に、前記放電用環状導体の外周面が前記第1のシールド筐体の内周面に、それぞれ接触することによって、前記前記オス型中心導体と前記第1のシールド筐体とが導通し、
その後、前記オス型中心導体の前記突出部の外周面が前記メス型中心導体の前記導体挿入孔の内周面に接触するとともに、前記放電用環状導体の内周面が軸方向の全長に亘って前記メス型中心導体の前記前記絶縁層に接触することによって、前記前記オス型中心導体と前記第1のシールド筐体との導通が遮断される、
こと。
【0012】
上記(1)の構成のコネクタ接続構造によれば、電子機器側コネクタにケーブル側コネクタを接続する場合において、電子機器側コネクタのメス型中心導体に対するケーブル側コネクタのオス型中心導体の挿し込み作業による所定の挿し込み量では、放電用環状導体が電子機器側コネクタのメス型中心導体と接地電位(グランド電位)にある第1のシールド筒体とに同時に接触(摺接)する。このため、ケーブル側コネクタに接続されたケーブルの導体(芯線)上の静電気は、オス型中心導体、メス型中心導体、放電用環状導体および第1のシールド筒体を順次通じてグランドへ放電される。
続いて、ケーブル側コネクタを電子機器側コネクタに対して更に深く挿し込む。この作業により前記放電用環状導体が前記メス型中心導体の導体外周部分から離れて、前記絶縁層上に完全に乗り移る。これにより、放電用環状導体とそのメス型中心導体との電気的接続が断たれる。したがって、前記同軸ケーブルの導体を流れる信号は、前記オス型中心導体、電子機器側コネクタのメス型中心導体を経て電子機器13内の電子回路へ供給される。
このように、両コネクタの接続当初に同軸ケーブルの静電気の放電を行い、その上で、続く接続作業により速やかに両コネクタ間で信号の授受を可能にし、電子回路の静電気による破壊を確実に防止することができる。このコネクタ接続構造では、両コネクタの挿入および抜取りを繰り返しても、各中心導体や放電用環状導体等の金属疲労やヘタリが発生することはなく、また、汎用の同軸コネクタへの適用が可能である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、ケーブルコネクタの電子機器側コネクタに対する挿入および抜取りを、コネクタ構成部材の金属疲労や弾性疲労なく繰り返し可能にするとともに、汎用の同軸コネクタを利用したケーブルの接続に広く適用できる。
【0014】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に、本発明にかかるコネクタ構造の好適な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明に係る実施形態のコネクタ接続構造を備える電子機器を示す概念図である。図2は、本発明に係る実施形態のコネクタ構造を示す縦断面図である。図3は、図3(A)が図1に示す絶縁体と放電用環状導体との結合構造を示す斜視縦断面図、図3(B)がその絶縁体と放電用環状導体との結合前の組み付け状況を示す説明図である。図4は、電子機器側コネクタとケーブル側コネクタとの接続当初の状態を示す縦断面図である。図5は、電子機器側コネクタとケーブル側コネクタとを完全に接続した状態を示す縦断面図である。
【0016】
図2に示すように、本発明に係る実施形態のコネクタ構造は、電子機器側コネクタ11とケーブル側コネクタ12とを連結するものからなる。電子機器側コネクタ11は電子機器13内の電子回路に接続され、ケーブル側コネクタ12は同軸ケーブル(図示しない)に接続される。電子機器側コネクタ11はメス型中心導体14と、絶縁物15と、第1のシールド筒体16とを備えている。メス型中心導体14は導体金属棒などからなり、先端から軸方向に沿って所定長に亘って穿たれた導体挿入孔17が形成されている。この導体挿入孔17は、後述のオス型中心導体を挿入および抜出し可能にするサイズ、形態をなす。
【0017】
導体挿入孔17は、例えば円形断面の孔であり、前記オス型中心導体との摺接によって、このオス型中心導体と電子機器13内の電子回路との間でメス型中心導体14を通して電気信号の授受を行えるようにしている。
【0018】
絶縁物15は、全体として合成樹脂のリング状成形品からなり、その中心孔15aにメス型中心導体14を貫通させることで、このメス型中心導体14を第1のシールド筒体16内に絶縁支持可能にしている。この絶縁物15はメス型中心導体14の先端部付近を除く部位を所定長に亘って支持している。
【0019】
第1のシールド筒体16は、絶縁物15を介してメス型中心導体14の一部周辺を被うとともに、メス型中心導体14との間に環状空間18を形成している。この環状空間18は後述の放電用環状導体の移動空間として用いられる。
【0020】
メス型中心導体14には、メス型中心導体14の先端部および絶縁物15が保持する部位を除く箇所の外周に、このメス型中心導体14の軸方向に沿って所定長に亘って絶縁層19が形成されている。この絶縁層19は、前記放電用環状導体の軸方向の長さより長く、その外周径はメス型中心導体14の外径と略同一である。従って、絶縁層19の外周面とこの絶縁層19が設けられていない部位のメス型中心導体14の外周面とは滑らかに繋がる均等面になっている。
【0021】
次に、ケーブル側コネクタ12は同軸ケーブル側に接続され、メス型中心導体20と、オス型中心導体21と、絶縁物22、23と、放電用環状導体24と、第2のシールド筒体25と、からなる。これらのうちメス型中心導体20は導体金属棒からなり、一端(図上では、左端)から軸方向に沿った所定長に亘って、同軸ケーブル(図示しない)の導体(芯線)を挿入および保持する導体挿入孔26が穿設されている。オス型中心導体21は、メス型中心導体20と同径の導体金属棒からなり、図示のようにこのメス型中心導体20の他端に連接されている。従って、メス型中心導体20とオス型中心導体21との電気的接続が得られる。
【0022】
オス型中心導体21は、これの軸方向の過半部が縮径された小径部21aを有しており、この小径部21a先端は尖端状(円錐状)に加工されて、尖端状部21bとされている。この尖端状部21bは小径部21aの前記メス型中心導体14における導体挿入孔17への挿入を容易化している。なお、小径部21aおよび尖端状部21bを総称して突出部と称することがある。この小径部21aの外径サイズは導体挿入孔17の内径サイズより僅かに小さい。また、小径部21aの長さは、その導体挿入孔17の長さに略等しいか、僅か大き目とされている。
【0023】
絶縁物22は合成樹脂の環状成形品からなり、これの中心孔にメス型中心導体20とオス型中心導体21との連接端部付近を共に貫通させるように支持している。
【0024】
第2のシールド筒体25は、絶縁物22を介してメス型中心導体20およびオス型中心導体21の全体を被うとともに、これらのメス型中心導体20およびオス型中心導体21間にそれぞれ環状空間27、28を形成している。環状空間27は、メス型中心導体20のうちの絶縁物22から突出した部分を内側に収容する空間である。絶縁物22の一端にはこの絶縁物22に比べて内外周径および厚みのサイズが小さ目の絶縁物23が一体に連接され、これが合成樹脂の環状成形品からなる。この絶縁物23は、電子機器側コネクタ11にケーブル側コネクタ12が連結した際に電子機器側コネクタ11内部に形成された環状空間18に収容される。
【0025】
また、この絶縁物23には、図3(A)に示すように、この絶縁物23と内外周径のサイズが等しい放電用環状導体24が、絶縁物23から軸方向に向かって連設されている。放電用環状導体24は、電子機器側コネクタ11にケーブル側コネクタ12が連結した際に環状空間18に収容される。絶縁物23の一端面側には、図3(B)に示すように、所定深さの環状溝23aが形成されており、放電用環状導体24の一側面側には環状突起24aが設けられている。これらの環状溝23aに環状突起24aを、接着剤などを介在させて嵌合することで、絶縁物23と放電用環状導体24を、図3(A)に示すように一体化することができる。
【0026】
この絶縁物23と放電用環状導体24とを合わせた長さは、第2のシールド筒体25内の環状空間18に収まる長さである。放電用環状導体24の軸方向の長さは、前述のように絶縁層19の軸方向の長さに比べて小さい。また、絶縁物23と放電用環状導体24の内径は、相互が摺接可能になるように、メス型中心導体14の外径に対し僅か大き目である。更に、絶縁物23および放電用環状導体24の外周面と第2のシールド筒体25の内周面との間には空隙Gが設けられ、この空隙Gは、放電用環状導体24の外周面と第2のシールド筒体25の内周面とに摺接しながら第1のシールド筒体16が滑らかに出入できるサイズとされる。また、第1のシールド筒体16および第2のシールド筒体25は電子機器13のケース13Aとともにグランドに接地されている。
【0027】
電子機器13側にはロック部材29が設けられており、このロック部材29は電子機器側コネクタ11に嵌合されたケーブル側コネクタ12を電子機器13に固定保持する。従って、ケーブル側コネクタ12を電子機器側コネクタ11から抜き取る場合には、このロック部材29によるケーブル側コネクタ12のロックを解除すればよい。このロック部材29のロックおよびロック解除の機構としては、周知のものを用いることができる。
【0028】
次に、電子機器側コネクタ11に対するケーブル側コネクタ12の連結手順を説明する。電子機器側コネクタ11およびケーブル側コネクタ12は、図2に示すように別々に組み付けられている。電子機器側コネクタ11を介して電子機器13との間で電気信号のやり取りをするには、ケーブル側コネクタ12に同軸ケーブルを接続し、電子機器側コネクタ11およびケーブル側コネクタ12を、図4に示すように連結する。
【0029】
この連結作業によって、ケーブル側コネクタ12のオス型中心導体21の小径部21aが電子機器側コネクタ11を構成するメス型中心胴体14の導体挿入孔17内に挿入される。同時に、絶縁物23および放電用環状導体24が電子機器側コネクタ11を構成する第1のシールド筒体16およびメス型中心導体14間の環状空間18内に進入する。このとき、同軸ケーブルの導体はメス型中心導体20、オス型中心導体21、メス型中心導体14、放電用環状導体24、第1のシールド筒体16および第2のシールド筒体25を順次介してグランドに接地される。
【0030】
従って、同軸ケーブルの導体上に帯電した静電気は、電子機器側コネクタ11に対するケーブル側コネクタ12の所定の接続ストローク中にグランドに落とされる。この結果、その静電気は電子装置の電子回路内に侵入することはなく、電子回路部品を前記静電気による絶縁破壊から守ることができる。
【0031】
続いて、メス型コネクタ20に同軸ケーブルを、図3に示すように接続した後、図5に示すように、ケーブル側コネクタ12を更に電子機器側コネクタ11に挿し込む。これによりオス型中心導体21の小径部21aは導体挿入孔17内に更に深く進入するとともに、放電用環状導体24はメス型中心導体14の外周の絶縁層19に接触する位置に移動する。そして、放電用環状導体24が略最大移動可能位置に達すると、放電用環状導体24がメス型中心導体14外周との直接的な接触から外れて、全長(全幅)に亘って絶縁層19上に接触する状態となる。
【0032】
このように放電用環状導体24の全長が絶縁層19上に乗り移ると、放電用環状導体24とメス型中心導体14との電気的接続が遮断され、同軸ケーブルの導体およびオス型中心導体21の、放電用環状導体24を通じての接地回路は開放される。従って、同軸ケーブルを通じて伝えられる電気信号をオス型中心導体21およびメス型中心導体14を通じて電子機器13内の電子回路に安全に供給することができる。
【0033】
この場合に、電子機器側コネクタ11およびケーブル側コネクタ12の連結(嵌合)および連結解除(嵌合解除)時にあっては、放電用環状導体24の内周面がメス型コネクタ14の外周の導体部分とこれに面一となる絶縁層19とに滑らかに摺接しながら移動する動作となるため、電子機器側コネクタ11およびケーブル側コネクタ12の接続および接続解除を繰り返しても、所期の安定した電気信号の授受が半永久的に可能になる。また、同軸ケーブル接続用のコネクタ構造として有用となる。
【0034】
なお、前述にあっては、ケーブル側コネクタ12のメス型中心導体20およびオス型中心導体21を別々に構成した場合について述べたが、これらのメス型中心導体20およびオス型中心導体21を一体構成したものを用いてもよい。一体構成とすることにより、静電気の放電や信号の授受がより滑らかになる。
【0035】
また、前述においては、別々の絶縁物22、23を連結したものについて説明したが、これらの絶縁物22、23を一体成形品として成形したものを用いることもできる。この場合には、放電用環状導体24の支持強度を高めることができる。
【0036】
以上説明したように、本発明に係る実施形態は、ケーブル側コネクタ12のオス型中心導体21を支持する絶縁物22と、この絶縁物22を介してオス型中心導体21の周辺を被う第2のシールド筒体25と、オス型中心導体21を被うように絶縁物22に連設され、電子機器側コネクタ11のメス型中心導体14および絶縁層19の外周と第1のシールド筒体16の内周とにそれぞれ摺接しながら環状空間27内を軸方向移動可能に設けられた放電用環状導体24と、を備え、前記電子機器側コネクタ11のメス型中心導体14に対するケーブル側コネクタ12のオス型中心導体21の挿し込み作業当初においては、メス型中心導体14およびオス型中心導体21を放電用環状導体24を介して予め接地された第1のシールド筒体16および第2のシールド筒体25に導通可能にするとともに、前記挿し込み作業を更に続け、放電用環状導体24を全長に亘って絶縁層19に摺接させることにより、メス型中心導体14およびオス型中心導体21の第1のシールド筒体16および第2のシールド筒体25に対する導通を遮断可能にする構成とした。
【0037】
これにより、ケーブル側コネクタ12の電子機器側コネクタ11に対する挿入および抜取りを、コネクタ部材の金属疲労や弾性疲労を招かずに繰り返し可能にするとともに、汎用の同軸ケーブルの接続に広く適用できることとなる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明に係る実施形態のコネクタ構造を備える電子機器を示す概念図である。
【図2】本発明に係る実施形態のコネクタ構造を示す縦断面図である。
【図3】図3(A)が図1に示す絶縁体と放電用環状導体との結合構造を示す斜視縦断面図、図3(B)がその絶縁体と放電用環状導体との結合前の組み付け状況を示す説明図である。
【図4】電子機器側コネクタとケーブル側コネクタとの接続当初の状態を示す縦断面図である。
【図5】電子機器側コネクタとケーブル側コネクタとを完全に接続した状態を示す縦断面図である。
【図6】従来のコネクタ構造を示す説明図である。
【符号の説明】
【0039】
11 電子機器側コネクタ
12 ケーブル側コネクタ
13 電子機器
14 メス型中心導体
15 絶縁物
16 第1のシールド筒体
17 導体挿入孔
18 環状空間
19 絶縁層
20 メス型中心導体
21 オス型中心導体
22、23 絶縁物
24 放電用環状導体
25 第2のシールド導体
26 導体導入孔
27、28 環状空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子機器に設けられた電子機器側コネクタと、ケーブルが接続された状態で前記電子機器側コネクタに連結可能なケーブル側コネクタと、を備えるコネクタ接続構造において、
前記電子機器側コネクタは、軸方向に沿って穿たれた導体挿入孔を有するメス型中心導体と、前記メス型中心導体を内部に支持する第1の絶縁物と、前記第1の絶縁物を介して前記メス型中心導体の周辺を被うと共に前記メス型中心導体との間に環状空間を形成する、接地電位にある第1のシールド筒体と、を備え、
前記ケーブル側コネクタは、軸方向に沿って突出して形成され、前記電子機器側コネクタに前記ケーブル側コネクタが連結した際に前記導体挿入孔に挿通される突出部を有するオス型中心導体と、前記オス型中心導体を内部に支持する第2の絶縁物と、を備え、
前記メス型中心導体は、該メス型中心導体の先端部を除く外周面に軸方向に沿って形成された絶縁層をさらに有し、
前記ケーブル側コネクタは、前記第2の絶縁物から軸方向に向かって連設され内部に前記オス型中心導体を収容するとともに、前記電子機器側コネクタに前記ケーブル側コネクタが連結した際に前記環状空間に収容される放電用環状導体をさらに備え、
前記電子機器側コネクタに前記ケーブル側コネクタが連結する過程において、まず、前記オス型中心導体の前記突出部の外周面が前記メス型中心導体の前記導体挿入孔の内周面に接触するとともに、前記放電用環状導体の内周面が前記メス型中心導体の先端部の外周面に、前記放電用環状導体の外周面が前記第1のシールド筐体の内周面に、それぞれ接触することによって、前記前記オス型中心導体と前記第1のシールド筐体とが導通し、
その後、前記オス型中心導体の前記突出部の外周面が前記メス型中心導体の前記導体挿入孔の内周面に接触するとともに、前記放電用環状導体の内周面が軸方向の全長に亘って前記メス型中心導体の前記前記絶縁層に接触することによって、前記前記オス型中心導体と前記第1のシールド筐体との導通が遮断される、
ことを特徴とするコネクタ接続構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−123429(P2010−123429A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−296657(P2008−296657)
【出願日】平成20年11月20日(2008.11.20)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】