説明

コネクタ装置

【課題】防塵性が良く、両側開きの防塵カバーを備えたコネクタを提供する。
【解決手段】本発明は、相手方コネクタ装置と係合し電気的に接触する接触部1aを備えたハウジング1と、接触部を開閉可能に覆う一対の防塵部材2、2とを備えたコネクタ装置において、一対の防塵部材は、ハウジングにそれぞれの開口端部2iを突き合わせた状態で支持されるとともに、各防塵部材には相手方コネクタ装置の一部が当接するとそれぞれ防塵部材を開く方向へ移動させる開放当接部2fが設けられているという特徴を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタ装置に関し、特に、防塵部材を備えたコネクタ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ホームオーディオ機器は、例えば、テレビとハードディスクレコーダーやサラウンドシステムのように、他の機器と接続して複数の機器が連動して使われることが多い。これらの機器を接続する手段として、コネクタ装置を使い有線で接続する方法がある。
【0003】
据え置き型のホームオーディオ機器の場合、機器間を繋ぐ配線を差し込むコネクタ装置は、機器の裏側に配置されることが多く、塵埃をかぶってもそのまま放置され易く、塵埃による接続不良が発生したり、接続不良が原因の火災の発生などが懸念される。その為、接続箇所に塵埃がかぶらないように、未使用時に接続箇所を覆う防塵カバーの付いたコネクタ装置が求められている。
【0004】
防塵カバーの付いたコネクタ装置としては、下記の特許文献1に記載のコネクタ装置が知られている。該コネクタ装置は、筐体の一方端側に配設されるとともに筐体には弾性変形可能な金属製のカバーが設けられており、この金属製のカバーの一方端側は折り曲げられてコネクタ装置の挿入口を塞ぐように形成されている。筐体の一方端側には、凹部が形成されており、その凹部に相手方コネクタ装置の一部が入り込むことでカバーの一方端側は持ち上げられて挿入口が開口するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9−81699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、防塵カバーが1つで一方向に開閉するコネクタ装置について記載されているが、コネクタ装置の端子が2列に配置された構造等の場合には一対のカバーの開口端を突き合わせた両開き構造としたいことがある。しかし、上記従来の片開き構造をそのまま適用すると筐体に相手方コネクタ装置の一部が入り込む凹部を設けなくてはならないことから一対のカバーの開口端を隙間なく突き合わせることが難しく、その隙間から塵埃が入り込んでしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、その目的は、両開き構造でも塵埃の進入防止を高めることができる防塵カバーを備えたコネクタ装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、相手方コネクタ装置の接点部と電気的に接触する接触部が配置され前記接点部を挿入可能な挿入口が設けられたハウジングと、前記ハウジングに支持され、前記接触部を開閉可能に覆う一対の防塵部材とを備えたコネクタ装置において、前記一対の防塵部材は、前記ハウジングにそれぞれの閉鎖部の開口端部を突き合わせた状態で支持されるとともに、前記各防塵部材には前記相手方コネクタ装置の一部が当接するとともにそれぞれ前記防塵部材を開く方向へ移動させる開放当接部が設けられていることを特徴とする。
【0009】
これにより、両開き構造であっても、防塵部材自体に開放当接部を設けたことにより防塵部材の開口端部を隙間なく突き合わせることができ、コネクタ装置内への塵埃の進入防止効果を高めることができるため、防塵性の良いコネクタ装置を提供することが可能となる。
【0010】
また、本発明は、前記防塵部材は、金属板材を折り曲げて形成され、前記閉鎖部は、前記相手方コネクタ装置が挿入される挿入口に位置して前記相手方コネクタ装置の挿入方向に対してほぼ直交する面を有して形成されるとともに、前記開放当接部は前記挿入口に位置して前記相手方コネクタ装置の挿入方向に対して斜めに傾く斜面を備え、前記挿入口が配置された領域の外側に配置され、前記斜面に前記開放当接部と前記接点部の間に配置された前記相手方コネクタ装置の一部が当接することで前記閉鎖部を開く方向へ移動させるという特徴を有する。
【0011】
これにより、閉鎖部を設けたことでコネクタ装置内への塵埃の進入防止効果を高めながら、開放当接部に相手方コネクタ装置の一部が当接する斜面を形成したことで、相手方コネクタ装置の挿入力を防塵部材を開かせる方向へ作用させ、容易に防塵部材を開かせることができるという効果を奏する。また、防塵部材を開動作させる相手方コネクタ装置の一部が、接点部が防塵部材に当接することの無いように、防塵部材を開動作させるため、接点部が防塵部材に当接し接点部および防塵部材が破損するのを防ぐ効果を奏する。また、接触部の配置領域の外側に当接部が配置されているため、当接部と当接する相手方コネクタ装置の当接箇所を接点部の外側に配置できる為、当接箇所の設置が容易になるという効果を奏する。
【0012】
また、本発明は、導電性を有する材料からなり外部機器への取付を可能とする取付部材を有し、前記防塵部材は導電性を有する材料からなり、前記取付部材と前記防塵部材とは接触しているという特徴を有する。
【0013】
これにより、取付部材を外部機器のアース部に取り付けることで防塵部材を容易に接地させることができ、相手方コネクタ装置の挿抜時に発生する静電気を防塵部材を介して外部に逃がしノイズの発生を抑えることで例えば安定した電子データのやり取りが可能となるという効果を奏する。
【0014】
また、本発明は、前記各防塵部材において、前記開放当接部は前記閉鎖部の両側に位置し、前記各閉鎖部の開口端部は閉じた状態で近接しているとともに、前記防塵部材同士がいずれかの箇所で常時接触しているという特徴を有する。
【0015】
これにより、各防塵部材同士が常に接触しているため、より確実に、相手方コネクタ装置の挿抜時に発生する静電気を逃がすことでノイズを抑えることができるという効果を奏する。
【0016】
また、本発明は、前記防塵部材には、弾性変形可能な変形部が形成されており、前記変形部が変形することで前記防塵部材が開く方向へ移動するという特徴を有する。
【0017】
これにより、防塵部材が弾性変形可能な変形部を形成することで、防塵部材は弾性力による開閉動作が可能となり、付勢部材やヒンジなどの開閉動作機構を用いず容易な構造とすることが可能となる。また、変形部を設けることで、防塵部材の開動作荷重が軽減され、防塵部材を容易に開くことができ、操作性の向上に寄与する。
【0018】
また、本発明は、前記防塵部材は、金属板材を折り曲げて形成され、前記変形部は、前記金属板材を部分的に打ち抜いて貫通孔を形成することで弾性変形可能に形成されているという特徴を有する。
【0019】
これにより、防塵部材を金属板材で形成したため防塵部材の剛性を確保ながら容易に変形部を形成することができる。
【0020】
また、本発明は、前記貫通孔は、前記防塵部材を前記ハウジングに取り付けた状態で、前記ハウジングによって塞がれている、という特徴を有する。
【0021】
これにより、打ち抜いて変形部を形成したとしても、ハウジングに取り付けた状態では打ち抜かれた貫通孔がハウジングによって塞がれるので、接触部へ塵埃が浸入し難くなり、より安定した電気的な接続が得られるという効果を奏する。
【発明の効果】
【0022】
本発明のコネクタ装置は、両開き構造であっても、防塵部材自体に開放当接部を設けたことにより閉じた状態で防塵部材の開口端部を隙間なく突き合わせることができる。従って、コネクタ装置内への塵埃の進入防止効果を高めることができ、防塵性の良いコネクタ装置を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施形態のコネクタ装置を示す斜視図である。
【図2】本実施形態のコネクタ装置の構成を示す分解斜視図である。
【図3】本実施形態のコネクタ装置および挿入される相手方コネクタ装置の例を示した斜視図である。
【図4】相手方コネクタ装置が挿入される際の防塵部材2の開動作について示した略断面図である。
【図5】開放当接部2fと接触部1aとバネ部2bとの位置関係を示した図である。
【図6】開放当接部2fと相手方コネクタ装置の一部との当接箇所を拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下において、本発明の実施形態に係るコネクタ装置を具体的に説明する。
【0025】
[第1実施形態]
以下、本発明の第1実施形態について、図1ないし図6を用いて説明する。
図1は、本実施形態のコネクタ装置を示す斜視図である。図2は、本実施形態のコネクタ装置の構成を示す分解斜視図である。
【0026】
本実施形態のコネクタ装置は、図1、図2に示すように、後述する相手方コネクタ装置90の基板部90bと電気的な接続をする接触部1aを複数の有するハウジング1と、複数の接触部1aを開閉可能に覆う防塵部材2と、図示しない外部機器への取り付けに使う取付部材3と、から構成される。
【0027】
ハウジング1は、図2に示すように、合成樹脂材で、上面を開口した中空の直方体形状に形成されている。(ここで開放面の側を上方向と定義する。)ハウジング1の内部中央には相手方コネクタ装置90と係合する直方体形状の台座部1bが上方向へ突出して形成され、台座部1bとハウジング1の外周壁の間には溝部1cが形成されている。この溝部1cには、後述する相手方コネクタ装置90を構成する保護壁部90cが嵌り込むようになっている。
【0028】
台座部1bには、上方から相手方コネクタ装置90の接点部が配置された基板部90bを挿入可能な長方形状の挿入部(挿入口)1eが形成され、挿入部1eの長辺方向で対向する内壁(図2中、左斜め下側と右斜め上側)には相手方コネクタ装置90の接点部と電気的な接続が可能な複数の接触部1aがそれぞれ等間隔で配置されている。また、台座部1bの左右両端部(図2中、左斜め上側と右斜め下側)は上方へ突出し、挿入部1eを挟んで対向する面に相手方コネクタ装置90の一部を誘導するガイド部1dがそれぞれ設けられている。
【0029】
防塵部材2は、図2に示すように、同一構造のものが前後(図2中、左右)に一対対向して配置されており、各防塵部材2は導電性を有した金属板を折り曲げて形成されている。各防塵部材2には、長辺方向に複数の貫通孔2kを等間隔で打ち抜き形成することで各貫通孔2k間に形成された複数の細長な部分にバネ部(変形部)2bが形成され、その各バネ部2bによって可動板部2aが変位可能に支持されている。また、可動板部2aの先端部分はそれぞれ対向する方向にほぼ直角に折り曲げられて蓋部(閉鎖部)2eとなっている。
【0030】
各防塵部材2の左右両方縁部(図2中、左上縁と右下縁)は、それぞれ内方へ対向して折り曲げられて対称形状の側壁2cを形成している。さらに、各側壁2cの上端部はさらに内方へ折り曲げられて接触部2dを形成しており、各防塵部材2を組み付けた際にそれぞれの接触部2d同士が接触するようになっている。
【0031】
また、各防塵部材2の下縁部左右両端部は、外方へ突出して保持部2gとなっている。保持部2gの先端はほぼ垂直に上方へ折り曲げられており、その先端部には取付部材3に当接可能で片持ち梁状に形成された導通部2hが設けられている。
【0032】
可動板部2aの先端をほぼ内方へ垂直に折り曲げて形成された蓋部2eは、さらにその先端が僅かに下方へ斜めに折り曲げられて開口端部2iとなっており、各防塵部材2を組み付けた状態で開口端部2i同士が接触して挿入部1e内への塵埃の侵入を防いでいる。
【0033】
蓋部2eの左右両端部(図2中、左上端と右下端)は、切り欠かれ開放当接部2fを形成している。この開放当接部2fは、蓋部2eの平坦部に対する傾斜角が開口端部2iよりさらに大きく形成されており、各防塵部材2を組み付けた状態で対向する開放当接部2fの間に相手方コネクタ装置90の後述する楔部90aが進入する、図1に示すような、進入部2jを形成している。即ち、開放当接部2fは、相手方コネクタの挿入方向に対して開口端部2iより大きく傾き、相手方コネクタ装置90の楔部90aが当接すると挿入力を外側方向(蓋部2eを開かせる方向)へ作用せるようになっている。
【0034】
取付部材3は、図2に示すように、導電性のある金属板を折り曲げて形成されている。取付部材3は、長方形形状の天面3aを有し、天面3aの短辺からそれぞれ天面3aに対して下方向へ垂直に折り曲げて側壁3cが形成されている。側壁3cの前後両端部(図2中、左下端と右上端)は下方へ延びてその下端部が、図示しない回路基板のグランド部に半田付け可能な半田付け部3eとなっている。
【0035】
天面3aには、相手方コネクタ装置90を挿入可能な開口部3bが形成されている。開口部3bは長方形形状をしており、開口部3bの対向する長辺からそれぞれ天面3aに対して内方へ垂直に折り曲げられて、防塵部材2の導通部2hと接触可能な内側壁3dが形成されている。
【0036】
次に上述した各部材の組み付けについて図1および図2を用いて説明する。
【0037】
先ず、図1に示すように、2個の防塵部材2を開口端部2i同士が対向するように並べ、蓋部2eがハウジング1の挿入部1eの上方を覆うようにハウジング1の溝部1c内に配置する。防塵部材2が溝部1c内に配置されると、蓋部2eの開口端部2i同士は接触し、挿入部1e内に配設された接触部1aへの塵埃の付着を防ぐ効果を奏する。
【0038】
次に、防塵部材2および台座部1bを開口部3bに挿通させ、内側壁3dが溝部1c内に収まるように取付部材3をハウジング1に被せて係止する。取付部材3をハウジング1に係止することで、防塵部材2の保持部2gを取付部材3の内側壁3dとハウジング1の溝部1cの底面及び側面とで狭持し、防塵部材2を保持する。
【0039】
また、防塵部材2は内側壁3dに当接し保持される際に、保持部2gに設けられた導通部2hを内側壁3dに圧接させるとともに取付部材3は半田付け部3eを介して回路基板のグランドに半田付けされる。これにより、防塵部材2と取付部材3は確実に電気的に接続され、相手方コネクタ装置90を挿入する際に静電気が発生した場合でも、静電気を防塵部材2および取付部材3を介してアースすることが可能となる。
【0040】
また、防塵部材2同士はそれぞれの対向する接触部2d同士が常時接触しており、相手方コネクタ装置90がどちらの防塵部材2と接触しても、相手方コネクタ装置90を挿入する際に発生した静電気をより確実にアースすることができる。
【0041】
続いて、本実施形態における相手方コネクタ装置90との結合動作について図3ないし図6を用いて説明する。
【0042】
図3は、結合前の状態にある相手方コネクタ装置90と本実施形態のコネクタ装置を示した斜視図である。(本実施形態のコネクタ装置の斜視図では説明の為に防塵部材2が開いた状態を図示している。)図4は相手方コネクタ装置90が本実施形態のコネクタ装置に挿入される際の防塵部材2の開動作について示した台座部1bおよび防塵部材2の略断面図である。図5は開放当接部2fと接触部1aとバネ部2bとの位置関係を示した図で、図5(a)は本実施形態のコネクタ装置の上面図であり、図5(b)は図5(a)のA−A断面で切断した図である。なお、説明の都合上、防塵部材2は開いた状態で図示している。図6は開放当接部2fと相手方コネクタ装置90の当接箇所を拡大した図である。
【0043】
動作の説明をするため、本実施形態のコネクタ装置に挿入される相手方コネクタ装置90について説明する。相手方コネクタ装置90は、図3のように、先端付近が楔形状をした楔部90aと板状で複数の接点部が配置された基板部90bと基板部90bの周辺を囲み保護する保護壁部90cとを有している。
【0044】
楔部90aは基板部90bの両側方に突出して配置され、楔部90aの先端は基板部90bの先端よりも突出し、楔部90aの厚さは基板部90bの厚さよりも厚く形成されている。
【0045】
相手方コネクタ装置90を本実施形態のコネクタ装置に挿入する際、保護壁部90cは台座部1bと係合し、基板部90bを挿入部1eへ挿入可能な位置へガイドする。また、傾いた状態で相手方コネクタ装置90が挿入された場合でも、ガイド部1dが楔部90aをガイドすることで、基板部90bは挿入部1eへ確実に挿入される。
【0046】
相手方コネクタ装置90が本実施形態のコネクタ装置に挿入される前は、相手方コネクタ装置90と本実施形態のコネクタ装置は図4(a)のような離れた位置関係にある。
【0047】
楔部90aの先端は基板部90bの先端よりも突出しているため、相手方コネクタ装置90を挿入すると、図4(b)のように、先ず初めに楔部90aの先端付近と開放当接部2fの斜面とが当接する。
【0048】
当接した楔部90aと開放当接部2fとは、図6のように、線(曲面)で接触しながら矢印C方向へと挿入される。このとき、楔部90aを矢印Cの方向に、力F(N)で挿入動作を行なうと、力F(N)は楔部90aの面に垂直な向きの力Fv(N)と水平な向きの力Fh(N)に分解でき、開放当接部2fは楔部90aの面に垂直な向きの力Fv(N)を受ける。
【0049】
開放当接部2fの受けた力Fv(N)は、水平成分の力fh(N)と垂直成分の力fv(N)に分解することができ、fh(N)がfv(N)より強い場合に蓋部2eの開動作を行うことが可能となる。
【0050】
fh(N)とfv(N)の強さは楔部90aの先端部の角度によって変化する。この先端部の角度が鋭角の場合、fh(N)はfv(N)よりも強い力となる。本実施形態においては、相手方コネクタ装置90未挿入時の開放当接部2f同士がなす角度(図4に示す角度θ)を90°未満とすることで、楔部90aの先端角度が鋭角になるように設定される為、蓋部2eを開く方向の力であるfh(N)が、蓋部2eを矢印C方向に押し込む力であるfv(N)よりも強くなる。これにより蓋部2eの開動作を行なうことができる。
【0051】
したがって、相手方コネクタ装置90をさらに奥まで挿入すると、図4(c)のように、楔部90aによって開放当接部2fは押し広げられ、それに伴って蓋部2eが開動作を行なう。これにより、両開き構造の防塵部材2を開動作させることが可能となっている。
【0052】
また、図6のように、開放当接部2fの先端部は曲げ加工で曲面が形成されている。このため、一点鎖線で描いたように、蓋部2eの開動作に伴って楔部90aとの当接箇所が変化しても、平面や角、エッジで当接することなく、曲面で当接することでより滑らかに蓋部2eの開動作を行なうことができる。
【0053】
楔部90aによって蓋部2eが開動作してから基板部90bが挿入される。蓋部2eは基板部90bよりも厚さの厚い楔部90aによって開かれているため、蓋部2eの開口幅は基板部90bの厚さよりも広い。そのため、基板部90bは防塵部材2に当接することなく対向する開口端部2iの間を通り、挿入部1eへ挿入可能となる。これにより基板部90bと防塵部材2の当接による相手方コネクタ装置90および本実施形態のコネクタ装置の破損を防止し、より安定した電気的な接続が得られるという効果を奏する。
【0054】
また、本実施形態では防塵部材2が開動作しやすい様に切り欠きや貫通孔2kによるバネ部2bを設けたが、防塵部材2の板厚を薄くすることで同様の効果を得ることができる。
【0055】
しかし、本実施形態ではバネ部2bを設けたことで、蓋部2eの開動作を容易に行なうことが可能となるとともに、開放当接部2fは楔部90aによる押圧に耐えるだけの十分な強度を確保でき、塑性変形を起こすことなく蓋部2eの開動作に繋げることが可能となった。
【0056】
また、防塵部材2の弾性力により蓋部2eの開閉動作を行なう構造としたことで、開閉動作をさせるために別途弾性部材やヒンジ部材などを用いることなく簡易な構造とすることが可能となった。
【0057】
また、図5(b)の破線で囲んだ領域Bのように、バネ部2bの両端部を繋ぎ形状ではなく切り欠き形状としたことで、バネ部2bの両端部は変位する際に拘束を受け難くなり、蓋部2eの両端に配置された開放当接部2fと楔部90aが当接した際に蓋部2eがより容易に開動作を行なうことが可能となるという効果を奏する。
【0058】
また、図5(a)のように、開放当接部2fを接触部1aが配置された領域Aの外側に配置したことで、相手方コネクタ装置90側で楔部90aを基板部90bの外側に容易に設けることが可能となるとともに、相手方コネクタ装置90が未挿入の状態において対向する開放当接部2fの部分にできる隙間から入った塵埃が接触部1aに付着しにくいため、より安定した電気的な接続が得られるという効果を奏する。
【0059】
また、防塵部材2がハウジング1と係合し配置されたとき、図5(b)のように、台座部1bの接触部1a(図5(a)参照)が配置されている部分の高さは貫通孔2kよりも高い位置にある。そのため、相手方コネクタ装置90が挿入されていない時、貫通孔2kの一端は台座部1bにより塞がれ、塵埃が貫通孔2kから浸入し接触部1aに付着するのを防止し、より安定した電気的な接続が得られるという効果を奏する。
【0060】
以上のように、本実施形態のコネクタ装置では、相手方のコネクタ装置は構成部品として扱っていなかったが、相手方コネクタ装置90を構成部品として扱い、種々の用途に対応したコネクタ装置としても良い。この様にすることにより、前述した楔部90aの先端形状(角度)を開放当接部2fとの相性がよりよい形状にすることが可能となり、より安定した開動作を行なうコネクタ装置を提供できるという効果を奏する。
【符号の説明】
【0061】
1 ハウジング
1a 接触部
1b 台座部
1c 溝部
1d ガイド部
1e 挿入部(挿入口)
2 防塵部材
2a 可動板部
2b バネ部(変形部)
2c 側壁
2d 接触部
2e 蓋部(閉鎖部)
2f 開放当接部
2g 保持部
2h 導通部
2i 開口端部
2j 進入部
2k 貫通孔
3 取付部材
3a 天面
3b 挿入口
3c 側壁
3d ガイド壁
3e 半田付け部
90 相手方コネクタ装置
90a 楔部
90b 基板部
90c 保護壁部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方コネクタ装置の接点部と電気的に接触する接触部が配置され前記接点部を挿入可能な挿入口が設けられたハウジングと、
前記ハウジングに支持され、前記接触部を開閉可能に覆う一対の防塵部材とを備えたコネクタ装置において、
前記一対の防塵部材は、前記ハウジングにそれぞれの閉鎖部の開口端部を突き合わせた状態で支持されるとともに、前記各防塵部材には前記相手方コネクタ装置の一部が当接するとともにそれぞれ前記防塵部材を開く方向へ移動させる開放当接部が設けられていることを特徴とするコネクタ装置。
【請求項2】
前記防塵部材は、金属板材を折り曲げて形成され、前記閉鎖部は、前記相手方コネクタ装置が挿入される挿入口に位置して前記相手方コネクタ装置の挿入方向に対してほぼ直交する面を有して形成されるとともに、前記開放当接部は前記挿入口に位置して前記相手方コネクタ装置の挿入方向に対して斜めに傾く斜面を備え、前記挿入口が配置された領域の外側に配置され、前記斜面に前記開放当接部と前記接点部の間に配置された前記相手方コネクタ装置の一部が当接することで前記閉鎖部を開く方向へ移動させることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ装置。
【請求項3】
導電性を有する材料からなり外部機器への取付を可能とする取付部材を有し、
前記防塵部材は導電性を有する材料からなり、
前記取付部材と前記防塵部材とは接触していることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ装置。
【請求項4】
前記各防塵部材において、前記開放当接部は前記閉鎖部の両側に位置し、前記各閉鎖部の開口端部は閉じた状態で近接しているとともに、前記防塵部材同士がいずれかの箇所で常時接触していることを特徴とする請求項1ないし請求項3に記載のコネクタ装置。
【請求項5】
前記防塵部材には、弾性変形可能な変形部が形成されており、前記変形部が変形することで前記防塵部材が開く方向へ移動することを特徴とする請求項1ないし請求項4に記載のコネクタ装置。
【請求項6】
前記防塵部材は、金属板材を折り曲げて形成され、前記変形部は、前記金属板材を部分的に打ち抜いて貫通孔を形成することで弾性変形可能に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のコネクタ装置。
【請求項7】
前記貫通孔は、前記防塵部材を前記ハウジングに取り付けた状態で、前記ハウジングによって塞がれていることを特徴とする請求項6に記載のコネクタ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146401(P2012−146401A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1673(P2011−1673)
【出願日】平成23年1月7日(2011.1.7)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】