説明

コネクタ

【課題】コネクタの着脱方向の軸から角度がある方向へケーブルが強く引っ張られた場合は、抜け防止機構の有る無しに拘わらずコネクタは抜けにくくなり、ケーブルまたはコネクタが張力に耐えられない時は、ケーブルまたはコネクタを破損してしまう。 ケーブルにあらゆる方向へ強い張力が加えられても、ケーブルまたはコネクタが破損する前に離脱するコネクタを提供する。
【解決手段】相互に嵌合する第1コネクタと第2コネクタから成るコネクタにおいて、第1コネクタは加えられた張力の方向へ回転する球形コネクタで構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋内の壁面や電気器具からコネクタおよびケーブルを通して信号や電源を他の装置
へ接続するためのコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
電子機器、電気器具および電気信号や電源を必要とする装置は、電源等のほか、外部との通信に使用されるケーブルにはコネクタが接続されている場合が多く、壁面や他の装置に装備されている相手コネクタと容易に勘合して電源や信号の送受をすることが出来る。
本来、勘合されたコネクタは、取り扱い者の意思に反して簡単に抜けては困るため、様々な抜け防止機構(ロック機構)が提案されている。 (たとえば特許文献1を参照)
【特許文献1】特許公開2002−305059
【特許文献2】特許公開2002−216898
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、抜け防止機構のあるコネクタは、ケーブルに強い張力が加えられた時にコネクタが離脱することはないが、張力に耐えられない場合にはケーブルやコネクタが破損してしまう。
不注意などでケーブルに強い張力を加えてしまい、ケーブルやコネクタが破損すると修理が必要となるため、その電子機器や電気器具は修理中の間はすぐに再利用出来なくなる。
【0004】
運用上、ケーブルに強い張力が加えられる可能性が高い場所では、抜け防止機構のあるコネクタは、
かえって不都合になる場合がある。 例えば、病院などの医療機関や介護・福祉施設で利用されているナースコール装置では、壁取り付け子機とベッドに備えられているナースコール呼出子機との間はケーブル付コネクタで接続されているが、頻繁に行われるベッド移動の際やベッドの背の上げ下げの際に、ベッドの柵などに固定されたナースコール呼出子機のケーブルが強く引っ張られて、ケーブルまたはコネクタが破損することが度々発生している。
【0005】
抜け防止機構のあるコネクタであってもケーブルに強い張力が加えられた場合に、抜け防止機構が働かなくなり嵌合状態が外れる構造のコネクタが提案されている。
(たとえば特許文献2を参照)
しかし、コネクタの着脱方向の軸から角度がある方向(つまり斜めの方向)へケーブルが強く引っ張られた場合は、抜け防止機構の有る無しに拘わらずコネクタは抜けにくくなり、ケーブルまたはコネクタが張力に耐えられない時は、ケーブルまたはコネクタを破損してしまう。
【0006】
本発明は、上記の問題を解決するために成されたものであり、ケーブルにあらゆる方向へ強い張力が加えられても、ケーブルまたはコネクタが破損する前に離脱するコネクタを提案する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
相互に嵌合する第1コネクタと第2コネクタから成るコネクタにおいて、第1コネクタは壁面または電気器具の表面に固定され、第2コネクタにはケーブルが接続されている場合、第2コネクタのケーブルに張力が加えられると、第1コネクタは加えられた張力の方向へ回転する球形コネクタで製作し、壁面または電気器具の球形コネクタの支持部は、球形コネクタが自由に回転できる球形コネクタを半分以上包み込んだ球形の凹みを持ち、球形コネクタとの間で摩擦が少ない構造とする。
(この手段を手段1と呼ぶことにする。 請求項1に該当する。 )
【0008】
相互に嵌合する第1コネクタと第2コネクタから成るコネクタにおいて、第1コネクタは壁面または電気器具の表面に固定され、第2コネクタにはケーブルが接続されている場合、第2コネクタの着脱方向が第1コネクタの取り付け面と水平方向になる様に第1コネクタを取り付け、第2コネクタの着脱方向の延長線上に第1コネクタの取り付け面に固定された円筒型中空パイプを設け、第2コネクタとケーブルを円筒型中空パイプの中を通して第1コネクタと嵌合させ、接続しているケーブルにあらゆる方向へ張力が加えられた場合に第2コネクタに加わる力の方向が常に第2コネクタの着脱方向と一致する構造とする。
(この手段を手段2と呼ぶことにする。 請求項2に該当する。 )
【発明の効果】
【0009】
本発明は、誤ってケーブルに強い張力を斜めの方向に加えても、ケーブルが接続しているコネクタに加わる力の方向をコネクタの着脱方向に一致させることでコネクタまたはケーブルが破損する前にコネクタを離脱することが出来、コネクタが外れた後、コネクタを元の様に嵌合すれば再度すぐに運用することが可能である。 利用する電子機器や電気器具等がケーブル付コネクタの修理のために長い時間使えなくなることがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、球形コネクタの横方向断面図であり、手段1を示したものである。 図1において、第1コネクタ(1)は球形に近い形状をしていて、 前方向(第2コネクタ(2)がある方向)と後部(ケーブル(3)が挿入される方向)が平面になっている。 第1コネクタ(1)は、第1コネクタの支持部(4)で支えられ、第1コネクタ(1)の球形を包み込む凹んだ球形で支えられ、第1コネクタ(1)が自由に回転できるが抜け落ちることがない構造にする。 第1コネクタ(1)の後部は空洞部(7)を持ち、第1コネクタ(1)が上下左右に回転しても第1コネクタの支持部(4)にケーブルが挟まれたり摩擦を受けることが無くケーブルを痛めない。
【0011】
図1では第2コネクタ(2)を第1コネクタ(1)に嵌合する前の状態で表示しているが、嵌合すると導電性接続部(5)が相互に密着して電気的に接続状態になる。
【0012】
図2は、球形コネクタの正面図を示す。
【0013】
図3は、第1コネクタ(1)と第2コネクタ(2)が嵌合した状態でケーブル(3)に張力(矢印8が力の方向)が加えられた場合の球形コネクタの横方向断面を示す。
矢印8の方向へ張力がある場合、第1コネクタ(1)は回転(矢印9の方向)して、常に第2コネクタ(2)の着脱方向へ向く。 張力がコネクタ同志の摩擦力よりも大きい場合は、コネクタの接続が外れる。 コネクタの強度やケーブルの強度およびケーブルとコネクタの接続強度をコネクタ同志の摩擦力よりも充分大きく製作してあれば、コネクタやケーブルを損傷することが無く、コネクタが外れる。 張力の方向と第2コネクタ(2)の着脱方向がほぼ同じ方向になるので、
斜めの方向へ無理な力がコネクタに掛かる事も無く、抜けにくくなる心配は無い。
【0014】
図4は、第1コネクタ(1)と第2コネクタ(2)の着脱方向を第1コネクタ(1)の取り付け面と水平方向になる様に第1コネクタ(1)を取り付け、着脱方向側に円筒型中空パイプ(10)を
設けた手段2を示す図である。 (以降、説明の都合上、 着脱方向一定コネクタと呼ぶことにする) 円筒型中空パイプ(10)は第1コネクタ(1)の支持部(4)に固定する。
第2コネクタ(2)は、円筒型中空パイプ(10)の中空部を通して第1コネクタ(1)と嵌合する。 矢印11が第2コネクタ(2)の挿入方向を示す。
【0015】
図5は、着脱方向一定コネクタの側面から見た断面図を示す。
【0016】
図6は、着脱方向一定コネクタの外観図を示す。
第1コネクタ(1)と第2コネクタ(2)が嵌合した状態でケーブル(3)に張力が加えられた場合(張力の方向は矢印13、14、15と様々な方向が想定される) 、 第2コネクタ(2)に加わる張力の方向が円筒型中空パイプ(10)によって変えられて矢印12の方向になる。
【0017】
いかなる方向へ張力がケーブルに加えられても、常に第2コネクタ(2)の着脱方向へ力が加わるため、斜めの方向へ力が加えられる様な抜けにくい心配は無く、ケーブルやコネクタを損傷すること無しにコネクタの接続が外れる。
【0018】
球形コネクタは張力に対しては優れているが、構造が複雑で製造上高い技術が必要となる。
着脱方向一定コネクタは、繰り返して張力が加えられれば円筒型中空パイプの縁でケーブルを痛める可能性があるが、構造が簡単で安価に目的(斜めの方向に張力が加わっても容易にコネクタを離脱する目的)を達成できる。

【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】球形コネクタの横方向断面図
【図2】球形コネクタの正面図
【図3】球形コネクタが嵌合した状態で張力が加えられた場合の横方向断面図
【図4】着脱方向一定コネクタの正面図
【図5】着脱方向一定コネクタの側面図
【図6】着脱方向一定コネクタの外観図(ケーブルに加えられる張力が色々な方向の場合の説明図)
【符号の説明】
【0020】
1.
第1コネクタ
2.
第2コネクタ
3.
ケーブル
4.
第1コネクタの支持部
5.
導電性接続部
6.
ケーブル接続部
7.
第1コネクタの空洞部
8.
ケーブルに加えられた張力の方向
9.
第1コネクタの回転方向
10.
円筒型中空パイプ
11.
第2コネクタの挿入方向
12.
ケーブルに張力が加えられた場合に第2コネクタが受ける張力の方向
13.
ケーブルに加えられた張力の方向を示す
14.
ケーブルに加えられた張力の方向を示す
15.
ケーブルに加えられた張力の方向を示す














【特許請求の範囲】
【請求項1】
相互に嵌合して電気的に接続される第1コネクタと第2コネクタとからなり、前記第1コネクタ
は壁面または電気器具の表面に固定され、前記第2コネクタにはケーブルが接続され電気信号を
他の装置へ伝えるために設けられるコネクタであって、
前記第1コネクタと前記第2コネクタが嵌合完了時、前記第2コネクタに接続されているケー
ブルにあらゆる方向へ張力が加えられた場合に前記第1コネクタが張力の印加方向へ回転する
ことに拠り前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよびケーブルを破損する前に前記第2コネ
クタを前記第1コネクタから離脱させることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
相互に嵌合して電気的に接続される第1コネクタと第2コネクタとからなり、前記第1コネクタ
は壁面または電気器具の表面に固定され、前記第2コネクタにはケーブルが接続され電気信号を
他の装置へ伝えるために設けられるコネクタであって、
前記第2コネクタの着脱方向が前記第1コネクタの取り付け面と水平方向になる様に前記第1コ
ネクタを取り付け、前記第2コネクタの着脱方向の延長線上に前記第1コネクタの取り付け面に
固定された円筒型中空パイプを設け、前記第2コネクタを前記円筒型中空パイプの中を通して前
記第1コネクタと嵌合完了時、前記第2コネクタに接続しているケーブルにあらゆる方向へ張力
が加えられた場合に前記第2コネクタに加わる力の方向が常に前記第2コネクタの着脱方向と一
致することに拠り前記第1コネクタ、前記第2コネクタおよびケーブルを破損する前に前記第2
コネクタを前記第1コネクタから離脱させることを特徴とするコネクタ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−10363(P2008−10363A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−181826(P2006−181826)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(591253593)株式会社ケアコム (493)
【Fターム(参考)】