コネクタ
【課題】簡単な構造でありながらシースの抜けやシールド電線の抜けを防止できるコネクタを提供する。
【解決手段】コネクタ1は、コネクタハウジング4とストッパ5とカバー6とを備えている。コネクタハウジング4は、シールド電線2の端末に取り付けられた端子金具3を収容する。ストッパ5は、コネクタハウジング4から突出したシールド電線2を内側に通し、かつ、シールド電線2を加締める。カバー6は、シールド電線2を内側に通し、かつ、コネクタハウジング4に取り付けられて、コネクタハウジング4との間にストッパ5を挟む。
【解決手段】コネクタ1は、コネクタハウジング4とストッパ5とカバー6とを備えている。コネクタハウジング4は、シールド電線2の端末に取り付けられた端子金具3を収容する。ストッパ5は、コネクタハウジング4から突出したシールド電線2を内側に通し、かつ、シールド電線2を加締める。カバー6は、シールド電線2を内側に通し、かつ、コネクタハウジング4に取り付けられて、コネクタハウジング4との間にストッパ5を挟む。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド電線の接続等に使用されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車は、前述した電子機器に電気信号や電力を供給するためにワイヤハーネスを配索している。このようなワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線に取り付けられるコネクタとを備えている。
【0003】
前述した自動車には、走行用のモータに信号や電力等を供給する電線から外部に電気的なノイズが漏洩したり、電線内に外部からの電気的なノイズが流入したりするのを防止するために、シールド電線が用いられている。
【0004】
シールド電線は、例えば、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを有した電線と、導電性のドレイン線と、これら電線とドレイン線とを覆うシールド層としての導電性の金属箔と、金属箔を覆う絶縁性のシースとを備えている。シールド電線の端末は、皮剥きされて金属箔やシースが除去され、内線(電線やドレイン線)が露出している。また、電線の端末は、皮剥きされて被覆部が除去され、芯線が露出している。
【0005】
前述したシールド電線は、水等の水分が露出した芯線やドレイン線等に付着することを防止するために、シール処理を施すことがある。このようなシール処理としては、例えば、シールド電線のシースの端末と露出した内線とに亘った部分をホットメルト等で構成されたシール部で覆う処理が挙げられる。
【0006】
前述したシール処理では、シール部はホットメルトの接着力のみでシースや内線と密着している。このため、シールド電線が引っ張られると、シール部とシースの接着面が剥がれやすい。そして、シールド電線はシース(金属箔)と内線との隙間が大きいので、シールド電線が引っ張られると、シースのみが抜けて内線が露出してしまう(シースの抜け)といった問題があった。
【0007】
そこで、シール部を長尺に形成してシール部とシースとの接着面積を広くすることが考えられるが、シール部が大型化してしまう。また、シール部を長尺に形成した場合であっても、ホットメルトとシース構成材料との相性が悪いと、接着力が低下してシースの抜けが起こってしまう。
【0008】
このような問題を解決するために、以下のようなコネクタ(例えば、特許文献1参照)が用いられている。このコネクタは、シールド電線の端末に取り付けられる端子金具と、シールド電線の端末を収容して前述した電子機器等に固定される電線取付ケースと、電線取付ケースの電線挿入側に装着されるコルゲートホルダと、コルゲートホルダを介して電線取付ケースの電線挿入側に接続されるコルゲートチューブ等を備えている。
【0009】
このコネクタを組み立てる際には、まず、シールド電線のシース上からシース保持リングを加締め、シース保持リングよりも電線挿入側前方のシース上にゴム栓を装着した後に、シールド電線の端末を皮剥きする。そして、シース保持リングを覆うようにコルゲートチューブを引き寄せ、さらにコルゲートチューブの先端を覆うようにコルゲートホルダを装着する。
【0010】
上記工程を経たシールド電線及びコルゲートホルダを電線取付ケースに取り付けて、ゴム栓を電線取付ケースとシールド電線とに密着させる。そして、電線取付ケースから突出したシールド電線先端において、露出した被覆部上に電線取付ケースの内径よりも大きな外径の内皮保持リングを固定するとともに、露出した芯線に端子金具を接続する。以上のように、コネクタが組み立てられる。
【0011】
このように組み立てられたコネクタは、シース保持リングがシールド電線を加締めているので、シース抜けが起こることがなく、ホットメルトを用いる場合と比較してコネクタを小型化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−26093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されたコネクタにおいては、シース保持リングが電線取付ケースとコルゲートホルダとの間に挟まれていないので、シールド電線が引っ張られると、シース保持リングごとシールド電線がコネクタから抜け出てしまう。このシールド電線の抜けを防止するために内皮保持リングが設けられているが、別部品であるので、構成部品が多くなってコストが高騰する傾向にあり、また組付工程が多くなって手間がかかるといった問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、簡単な構造でありながらシースの抜けやシールド電線の抜けを防止できるコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、シールド電線の端末に取り付けられた端子金具を収容するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングから突出した前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記シールド電線を加締める加締め部材と、前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記コネクタハウジングに取り付けられて該コネクタハウジングとの間に前記加締め部材を挟むカバーと、を備えたことを特徴としたコネクタである。
【0016】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載されたコネクタにおいて、前記カバーに、前記コネクタハウジングとの間に前記シールド電線の長手方向に沿って前記加締め部材を挟む突部が設けられたことを特徴としたコネクタである。
【0017】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載されたコネクタにおいて、前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちの一方から前記シールド電線の長手方向に交差する方向に沿って突出した係止突起と、他方に設けられかつ前記係止突起を内部に通す係止孔と、を備えたことを特徴としたコネクタである。
【0018】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載されたコネクタにおいて、筒状に形成され、前記シールド電線を内側に通して内周面が前記シールド電線の外表面と密着し、かつ、前記コネクタハウジング内に取り付けられて外周面が前記コネクタハウジングの内面と密着するシール部材を備えたことを特徴としたコネクタである。
【発明の効果】
【0019】
本件発明によれば、加締め部材がシールド電線を加締めているので、シールド電線が引っ張られてもシースの抜けが起こることがなく、さらに、シールド電線内が密着してシールド電線内のシール性を向上させることができる。また、この加締め部材がコネクタハウジングとカバーとの間に挟まれているので、シールド電線が引っ張られると加締め部材がカバーと当接し、シールド電線の抜けが起こることがない。したがって、加締め部材のみの簡単な構造でありながら、シースの抜けやシールド電線の抜けを確実に防止できる。
【0020】
本件発明によれば、コネクタハウジングと突部との間に加締め部材が挟まれているので、シールド電線が引っ張られると加締め部材が突部と当接する。したがって、シールド電線の抜けを確実に防止できる。
【0021】
本件発明によれば、係止突起と係止孔とが互いに係止するので、シールド電線が引っ張られて加締め部材を介してカバーに力が作用しても、カバーがコネクタハウジングから脱落することがない。したがって、シールド電線の抜けを確実に防止できる。
【0022】
本件発明によれば、シール部材がシールド電線とコネクタハウジングとの間を確実に水密に保ち、水等の水分がシールド電線の端末に付着することを防止する。したがって、コネクタのシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるコネクタを分解して示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタが組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示されたシールド電線の端末が皮剥きされた状態を示す側面図である。
【図4】図3に示されたドレイン線に収縮チューブが被せられた状態を示す側面図である。
【図5】図4に示されたシールド電線にカバーとストッパとが通された状態を示す側面図である。
【図6】図5に示されたシールド電線にマットシールが通された状態を示す側面図である。
【図7】図6に示されたシールド電線に端子金具が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図8】図7に示されたマットシールがコネクタハウジング内に収容された状態を示す側面図である。
【図9】図8に示されたシールド電線の図8中のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図8に示されたシールド電線とコネクタの図9中のX−X線に沿った断面図である。
【図11】図8に示されたコネクタハウジングにカバーが取り付けられた状態を示す側面図である。
【図12】図11に示されたシールド電線とコネクタの図9中のX−X線に沿った断面図である。
【図13】図12に示されたシールド電線が矢印X1に沿って引っ張られた状態を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態にかかるコネクタを分解して示す斜視図である。
【図15】図14に示されたコネクタが組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図16】図14に示されたシールド電線の端末に端子金具が取り付けられる前の状態を示す側面図である。
【図17】図16に示されたシールド電線にカバーとストッパとが通された状態を示す側面図である。
【図18】図17に示されたシールド電線にマットシールが通された状態を示す側面図である。
【図19】図18に示されたシールド電線に端子金具が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図20】図19に示された端子金具がインナハウジングに取り付けられた状態を示す側面図である。
【図21】図20に示されたインナハウジング及びマットシールがアウタハウジング内に収容された状態を示す側面図である。
【図22】図21に示されたコネクタハウジングにカバーが取り付けられた状態を示す側面図である。
【図23】図22に示されたコネクタがコネクタ取付部に取り付けられた状態を示す側面図である。
【図24】図23に示されたシールド電線とコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるコネクタ1を図1ないし図13を参照して説明する。本発明の第1の実施形態にかかるコネクタ1は、自動車等に配索されるワイヤハーネスを構成する。ワイヤハーネスは、図1及び図2に示すように、シールド電線2と、コネクタ1とを備えている。
【0025】
シールド電線2は、図1等に示すように、電線21と、ドレイン線22と、金属箔23と、シース24とを備えている。電線21は、所謂被覆電線であり、例えば自動車内で電気信号を伝達する信号線である。電線21は、本実施形態では5本設けられている。電線21は、導電性の芯線25と、絶縁性の被覆部26とを備えている。芯線25は、複数の素線が撚られて形成されている。この素線は、銅やアルミニウム等の導電性の金属材料で構成されている。なお、芯線25は、一本の素線から構成されていてもよい。被覆部26は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、芯線25の外周面を被覆している。
【0026】
ドレイン線22は、本実施形態では1本設けられている。ドレイン線22は、複数の素線が撚られて形成されている。この素線は、銅やアルミニウム等の導電性の金属材料で構成されている。ドレイン線22は電線21と略同じ長さに形成されている。ドレイン線22は、金属箔23と接触しかつ後述する端子金具3を介して接地接続されて、金属箔23がシールドした電気的なノイズを外部に逃がす。以下、前述した電線21とドレイン線22とをあわせて、内線21、22ということがある。
【0027】
金属箔23は、銅やアルミニウム等の導電性の金属で構成されて、柔軟性を有している。金属箔23は、長尺な筒状に形成され、電線21とドレイン線22の全周を略全長に亘って覆っている。金属箔23は、電線21を電気的にシールドして、電線21から金属箔23の外部に電気的なノイズが漏洩したり、電線21内に金属箔23の外部からの電気的なノイズが流入したりすることを防止する。また、金属箔23は、ドレイン線22と接触してドレイン線22と電気的に接続され、電気的なノイズをドレイン線22に受け渡す。なお、この金属箔23は、導電性の金属で構成された素線を編んだ筒状の編組線であってもよい。
【0028】
シース24は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。シース24は、筒状に形成され、金属箔23を覆っている。このため、シース24の外表面は、シールド電線2の外表面2aをなしている。
【0029】
前述したシールド電線2において、シース24(金属箔23)と内線21、22との隙間は比較的大きく、シールド電線2が引っ張られるとシース24と金属箔23のみが引っ張られて、内線21、22が簡単に露出してしまう。このため、シース24(金属箔23)と内線21、22との隙間を狭くするために、ドレイン線22には収縮チューブ27(図3)が被せられる。
【0030】
収縮チューブ27は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料で構成され、筒状に形成されている。収縮チューブ27は、シールド電線2の端末におけるドレイン線22のシース24外に露出した部分と、ドレイン線22のシース24内(金属箔23内)の一部分とに亘って被せられる(図10)。この収縮チューブ27が被せられてシース24と内線21、22との隙間が狭められた部分に、ストッパ5が取り付けられる。
【0031】
コネクタ1は、図1に示すように、端子金具3と、コネクタハウジング4と、加締め部材としてのストッパ5と、カバー6と、シール部材としてのマットシール7とを備えている。
【0032】
端子金具3は、導電性の板金等を折り曲げて形成され、複数設けられている。端子金具3は、図1に示すように、電気接触部31と、電線接続部32とを一体に備えている。電気接触部31は、筒部33と、筒部33の外面から突出した係止片34(図6等)とを備えている。
【0033】
筒部33は、筒状に形成され、内部に相手方のコネクタの端子金具を位置付ける。筒部33が内部に相手方のコネクタの端子金具を位置付けることで、電気接触部31と相手方のコネクタの端子金具とが電気的に接続する。
【0034】
係止片34は、筒部33の外方向に突出し、筒部33の内方向に弾性変形自在に設けられている。係止片34は、コネクタハウジング4の後述する突起44aに係止して、コネクタハウジング4内に収容された端子金具3がコネクタハウジング4内から抜け出ることを防止する。
【0035】
電線接続部32は、電気接触部31に連なる帯板状の底板部35と、底板部35の幅方向両端から突出した複数の加締め片36とを備えている。底板部35上には、一本の内線21、22が載置される。加締め片36は、それぞれ、底板部35に近づくように折り曲げられて底板部35との間に内線21、22を挟み、内線21、22を加締める。加締め片36が内線21、22を加締めることで、電線接続部32が内線21、22と電気的に接続され、端子金具3がシールド電線2の端末に取り付けられる。
【0036】
コネクタハウジング4は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。コネクタハウジング4は、図1に示すように、ハウジング本体41と、フード部42と、カバー取付部43とを一体に備えている。ハウジング本体41は、箱状に形成され、端子収容室44と、内線収容室45(図10等)とを備えている。端子収容室44は、直線孔状に形成され、複数設けられている。複数の端子収容室44は、互いに平行に並んでいる。端子収容室44の内面には、端子金具3を係止する突起44aが突出している。端子収容室44は、端子金具3を内部に収容する。端子収容室44が端子金具3を収容して、コネクタハウジング4は端子金具3を内部に収容する。
【0037】
内線収容室45は、それぞれの端子収容室44の端子金具3挿入側の開口に連なり、1つ設けられている。内線収容室45は、それぞれの端子収容室44内の端子金具3に接続された内線21、22を、弛んだ状態で収容するためのスペースである。
【0038】
フード部42は、筒状に形成され、ハウジング本体41を内部に収容した格好で、ハウジング本体41と一体に形成されている。フード部42の内面は、ハウジング本体41の外面と間隔をあけている。
【0039】
カバー取付部43は、筒状に形成され、内線収容室45の端子金具3挿入側の外縁部から突出している。カバー取付部43の外径は、フード部42の外径よりも小さく、カバー6の内径よりも小さい。カバー取付部43には、カバー取付部43を覆うようにしてカバー6が取り付けられる。カバー取付部43には、係止突起46が設けられている。
【0040】
係止突起46は、図1及び図7等に示すように、カバー取付部43の外周面からコネクタハウジング4の外方向、即ち矢印Xに直交(交差)する方向、に突出している。矢印Xは、シールド電線2の長手方向をなしている。係止突起46は、カバー取付部43の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。係止突起46のカバー6と相対する端面は、カバー6に近づくにしたがってカバー取付部43の外周面に近づくように傾斜したテーパ面とされている。また、係止突起46のカバー6から離れた端面は、矢印Xに直交する平坦面とされている。
【0041】
前述したカバー取付部43の内側は、マットシール収容室47(図10)とされている。マットシール収容室47は、前述した内線収容室45に同軸的に連なり、内線収容室45の端子収容室44から離れた側に連なっている。マットシール収容室47と内線収容室45と端子収容室44とは、矢印Xに沿ってこの順に並びかつ互いに連なっている。マットシール収容室47は、平面形状が円形状に形成されている。マットシール収容室47の内径は内線収容室45の内径よりも大きく、マットシール収容室47と内線収容室45との間には段差面47aが形成されている。また、マットシール収容部47の矢印X方向の深さはマットシール7の厚さよりも若干大きく、マットシール収容室47はマットシール7を内部に収容する。
【0042】
ストッパ5は、金属材料等で構成され、塑性変形自在に設けられている。ストッパ5は、図1に示すように、円環状に形成されている。ストッパ5の外径は、カバー6の後述するストッパ収容室65の内径よりも小さい。ストッパ5の内径は、塑性変形していない初期状態において、シールド電線2の外径よりも若干大きい。
【0043】
前述したストッパ5は、シールド電線2のコネクタハウジング4から突出した部分に取り付けられ、シールド電線2を内側に通した状態で治具等を用いて加締められて縮径し、シース24をシールド電線2の周方向全体から径方向に沿って加締める。なお、より確実にシールド電線2の周方向全体から加締めるために、例えばストッパ5の1箇所を予め切断しこの切断された端部同士を重ね合わせて、ストッパ5を円環状としてもよい。
【0044】
カバー6は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。カバー6は、図1に示すように、平面形状が円形状の基壁61と、基壁61の外縁全周から立設した側壁62とを備えている。基壁61には、貫通孔63と、突部としての抜け防止部64とが設けられている。貫通孔63は、基壁61の中央を貫通し、平面形状が円形状に形成されている。貫通孔63の内径は、シールド電線2の外径よりも大きい。貫通孔63は、内側にシールド電線2を通す。
【0045】
抜け防止部64は、図10に示すように、貫通孔63の内周面、即ちカバー6の内周面6aから突出して設けられ、内周面6a全周に亘って形成されている。抜け防止部64は、貫通孔63の中心軸方向において、内周面6aの側壁62から離れた側(コネクタハウジング4から離れた側)に設けられている。
【0046】
抜け防止部64が設けられた部分の貫通孔63の内径は、シールド電線2の外径よりも若干大きくかつストッパ5の外径よりも小さく形成されている。このため、抜け防止部64が設けられた部分の貫通孔63は、シールド電線2を内部に通すが、ストッパ5を内部に通さない。また、抜け防止部64が設けられていない部分の貫通孔63は、ストッパ収容室65とされ、ストッパ5を内部に収容する。ストッパ収容室65の矢印X方向の深さは、ストッパ5の厚さよりも大きい。ストッパ収容室65は、ストッパ5を内部に収容する。
【0047】
前述した抜け防止部64は、カバー6がコネクタハウジング4に取り付けられると、コネクタハウジング4との間に矢印Xに沿ってストッパ5を挟む。そして、ストッパ5の取り付けられたシールド電線2が矢印X1方向に引っ張られると、矢印X1に沿ってストッパ5の外縁部と当接して、ストッパ5がカバー6外に出ることを防止する。矢印X1は、矢印Xと平行である。
【0048】
側壁62には、図1に示すように、係止孔66が設けられている。係止孔66は、側壁62の基壁61との連結部分近傍を貫通している。係止孔66は、側壁62の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられ、コネクタハウジング4の係止突起46に対応する位置に設けられている。係止孔66のコネクタハウジング4寄りの内面は、矢印X(X1)に直交する平坦面とされている。係止孔66は、係止突起46を内部に通し矢印X(X1)に沿って係止突起46に係止して、カバー6がコネクタハウジング4から脱落するのを防止する。
【0049】
前述したカバー6は、シールド電線2を貫通孔63内に通してシールド電線2を内側に通す。そして、カバー6は、シールド電線2を加締めたストッパ5をストッパ収容室65内に収容した状態で係止孔66内にコネクタハウジング4の係止突起46が通されてコネクタハウジング4に取り付けられ、抜け防止部64とコネクタハウジング4との間にストッパ5を挟む。
【0050】
マットシール7は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料で構成され、弾性変形自在に設けられている。マットシール7は、図1に示すように、円環状(筒状)に形成されている。マットシール7の内周面7aと外周面7bとには、マットシール7の周方向に沿った溝71が設けられている。マットシール7の外径は、弾性変形していない初期状態において、マットシール収容室47の内径よりも若干大きい。また、マットシール7の内径は、前記初期状態において、シールド電線2の外径よりも若干小さい。
【0051】
前述したマットシール7は、弾性変形してシールド電線2を内側に通し、弾性復元力によって内周面7aがシールド電線2の外表面2aと密着する。また、マットシール7は、弾性変形してコネクタハウジング4のマットシール収容室47内に収容されてコネクタハウジング4内に取り付けられ、弾性復元力によって外周面7bがマットシール7収容部の内面(即ちコネクタハウジング4の内面4a)と密着する。なお、図10及び図12においては、前記初期状態のマットシール7を描画している。
【0052】
以下、前述したコネクタ1を組み立てる手順について説明する。まず、図3に示すように、シールド電線2の端末を皮剥きしてシース24と金属箔23とを一部除去し、内線21、22の端末を露出させる。そして、ドレイン線22の端末側から、ドレイン線22に矢印X1方向に沿って収縮チューブ27を通していき、ドレイン線22の露出した部分とドレイン線22のシース24内の一部分とに亘って収縮チューブ27を被せて、内線21、22間の隙間を狭くする(図4)。
【0053】
次いで、図4に示すように、このシールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってカバー6とストッパ5をこの順に通していき、カバー6とストッパ5とをシース24上に位置付ける(図5)。そして、ストッパ5を所定位置に位置付けた後、治具等を用いてストッパ5を加締めてシース24と金属箔23と内線21、22とを密着させる。
【0054】
ストッパ5の所定位置とは、コネクタ1を組み立てた際に、カバー6のストッパ収容室65内にストッパ5が位置付けられてカバー6をコネクタハウジング4に取り付けることができる位置である。ストッパ5がシールド電線2の端末に近すぎるとストッパ5がコネクタハウジング4内に位置付けられてしまい、シールド電線2の端末から離れすぎるとカバー6をコネクタハウジング4に取り付けることができなくなってしまう。
【0055】
続いて、図5に示すように、シールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってマットシール7を通していき、マットシール7をシース24上に位置付ける(図6)。マットシール7の内周面7aがシールド電線2の外表面2aと密着して、マットシール7とシールド電線2との間が水密に保たれる。
【0056】
そして、図6に示すように、電線21の端末を皮剥きして被覆部26を一部除去して芯線25を露出させ、ドレイン線22の端末に被せた収縮チューブ27を一部除去してドレイン線22を露出させる。
【0057】
その後、図7に示すように、露出した芯線25とドレイン線22とにそれぞれ端子金具3を取り付け、これら端子金具3を矢印X2に沿って端子収容室44内に挿入していき、端子金具3をコネクタハウジング4内に収容する(図8)。矢印X2は、矢印X、矢印X1と平行であり、矢印X1の反対方向である。また、図10(図8の断面図)に示すように、マットシール7をマットシール収容室47内に挿入し段差面47aに当接させて、マットシール7をマットシール収容室47内に収容する。マットシール7の外周面7bがマットシール収容室47の内面、即ちコネクタハウジング4の内面4aと密着して、マットシール7とコネクタハウジング4との間が水密に保たれる。このとき、ストッパ5がマットシール7から離れすぎているようであれば、シールド電線2をマットシール7内で移動させて矢印X2に沿って押し込んで、内線収容室45内で内線21、22を弛ませるとよい。
【0058】
最後に、図8に示すように、カバー6を矢印X2に沿って移動させていき、係止孔66内にコネクタハウジング4の係止突起46を通して、カバー6をコネクタハウジング4に取り付ける(図11)。このとき、図12(図11の断面図)に示すように、ストッパ5と抜け防止部64とは矢印X(X1、X2)に沿って隙間をあけて配されている。こうして、図2及び図11に示すコネクタ1が組み立てられる。そして、このコネクタ1を所望の電子機器に接続された相手方のコネクタと嵌合させる。
【0059】
このように相手方のコネクタと嵌合したコネクタ1において、例えばコネクタ1を相手方のコネクタから取り外す際やシールド電線2に他部品が引っ掛かる等して、シールド電線2が矢印X1方向に引っ張られることがある。シールド電線2がX1方向に引っ張られると、図9に示すようにストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2全体に力が作用してシース24の抜けが起こることがなく、シールド電線2全体が引っ張られる。
【0060】
そして、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、内線収容室45内で弛んでいたシールド電線2が僅かに伸びてシールド電線2がマットシール7内で矢印X1方向に移動し(もしくは、マットシール7がコネクタハウジング4内で矢印X1方向に移動し、または、コネクタハウジング4が矢印X1方向に移動し)、図13に示すように、ストッパ5が矢印X1に沿って抜け防止部64に当接して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0061】
さらに、ストッパ5が抜け防止部64に当接した状態でシールド電線2がさらに矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5と当接した抜け防止部64、即ちカバー6が矢印X1方向に引っ張られ、係止孔66の平坦面が係止突起46の平坦面に矢印X1に沿って当接して係止孔66が係止突起46に係止して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0062】
本実施形態によれば、ストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2が引っ張られてもシース24の抜けが起こることがなく、さらに、シース24と金属箔23と内線21、22とが密着してシールド電線2内のシール性を向上させることができる。また、このストッパ5がコネクタハウジング4とカバー6との間に挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5がカバー6と当接し、シールド電線2の抜けが起こることがない。したがって、1部品のストッパ5のみの簡単な構造でありながら、シース24の抜けやシールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0063】
円環状のストッパ5が、シールド電線2の周方向全体からシールド電線2を加締める。したがって、シールド電線2をより確実に加締めることができ、シールド電線2内が密着してシールド電線2内のシール性を向上させることができる。
【0064】
コネクタハウジング4と抜け防止部64との間にストッパ5が挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5が抜け防止部64と当接する。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0065】
係止突起46と係止孔66とが互いに係止するので、シールド電線2が引っ張られてストッパ5を介してカバー6に力が作用しても、カバー6がコネクタハウジング4から脱落することがない。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0066】
マットシール7がシールド電線2とコネクタハウジング4との間を確実に水密に保ち、水等の水分がシールド電線2の端末に付着することを防止する。したがって、コネクタ1のシール性を向上させることができる。
【0067】
前述した実施形態においては、ストッパ5と抜け防止部64とは矢印X(X1、X2)に沿って隙間をあけて配されていたが、この隙間がなくストッパ5と抜け防止部64とが接触していてもよい。この場合、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5が抜け防止部64に当接し、同時に係止孔66と係止突起46とが当接して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0068】
また、前述した実施形態においては、取り付けられたコネクタハウジング4とカバー6とには矢印X(X1、X2)に沿った隙間(がたつき)を意図的には設けていないが、この隙間を意図的に設けてもよい。この場合、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、まずストッパ5が抜け防止部64に当接し、その後、係止孔66内で係止突起46が移動し係止孔66と係止突起46とが当接して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0069】
また、前述した実施形態においては、係止突起46がコネクタハウジング4に設けられ、係止孔66がカバー6に設けられていた。しかしながら本発明では、係止突起46がカバー6に設けられ、係止孔66がコネクタハウジング4に設けられていてもよい。また、前述した実施形態においては、シールド電線2が5本の電線21と1本のドレイン線22とを備えていた。しかしながら本発明では、シールド電線2の電線21の本数やドレイン線22の本数は何本であってもよい。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態にかかるコネクタ101を、図14ないし図24を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
本発明の第2の実施形態にかかるコネクタ101は、図14に示すように、端子金具103と、コネクタハウジング104と、加締め部材としてのストッパ5と、カバー106と、シール部材としてのマットシール7とを備えている。ストッパ5とマットシール7は、第1の実施形態と略同一構造であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
端子金具103は、導電性の板金等を折り曲げて形成され、複数設けられている。端子金具103は、所謂雄型の端子金具である。端子金具103は、図14に示すように、電気接触部131と、電線接続部132とを一体に備えている。電気接触部131は、中空棒状に形成されている。電線接続部132の先端には、図15に示すように、回路体としてのフレキシブルプリントサーキット(Flexible Printed Circuit、以下、FPCという)8が接続される。電線接続部132は、端子金具3の電線接続部32と略同一構造であるので、詳細な説明は省略する。
【0073】
FPC8は、帯状に形成され、複数の導体81と、当該導体81を被覆する一対の絶縁シート82とを備えている(図22等)。導体81は、断面矩形状に形成され、一方向に沿って延びている。導体81は、各端子金具103に対応して設けられ、端子金具103と同数設けられている。これら導体81は、互いに間隔をあけ、かつ互いに平行に設けられている。一対の絶縁シート82は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、帯状に形成されている。一対の絶縁シート82は、互いの間に複数の導体81を挟んでこれら導体81を被覆している。
【0074】
FPC8の一端部には、各端子金具103に対応しかつ各導体81と接続された複数のスルーホール81aと、各スルーホール81aの外縁部に形成されたランド81bとが設けられている。FPC8の一端部は、コネクタハウジング104の電気接触部131の突出する端面に重ねられ、電気接触部131の先端がスルーホール81a内に通されかつランド81bにハンダ付けされることで、端子金具103と電気的に接続する。
【0075】
また、FPC8の他端部では、一対の絶縁シート82のうち一方の絶縁シート82が除去されて導体81が露出しているとともに、他方の絶縁シート82上にはスライダ83が接着剤等で貼り付けられる(図22)。FPC8の他端部は、接続相手の電子機器のプリント配線板上に重ねられ、当該プリント配線板と電気的に接続する。なお、本実施形態においては、回路体はFPC8とされているが、フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable、FFC)等であっても勿論よい。
【0076】
コネクタハウジング104は、図14に示すように、アウタハウジング140と、インナハウジング150とを備えている。アウタハウジング140は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、ハウジング本体141と、フランジ部142と、カバー収容部143とを一体に備えている。ハウジング本体141は、筒状に形成され、端子収容室144と、内線収容室145とを備えている。
【0077】
端子収容室144は、図24に示すように、ハウジング本体141内の矢印X2方向前方側の空間である。端子収容室144は、端子金具103の取り付けられたインナハウジング150を内側に収容して、端子金具103を内側に収容する。端子収容室144内の端子金具103の電気接触部131は、先端がハウジング本体141から突出する。また、ハウジング本体141の端子収容室144側の外周面141aには、後述するコネクタ取付部9のねじ溝にねじ込まれるねじ山(図示せず)が全周に亘って形成されている。
【0078】
内線収容室145は、ハウジング本体141の矢印X2方向後方側の空間であり、端子収容室144の端子金具103挿入側の開口に連なっている。内線収容室145は、端子収容室144内の端子金具103に接続された内線21、22を、弛んだ状態で収容するためのスペースである。
【0079】
フランジ部142は、図14に示すように、ハウジング本体141の内線収容室145側の外周面から突出して設けられ、ハウジング本体141の全周に亘って形成されている。フランジ部142の前記ねじ山側の表面には、後述するコネクタ取付部9のハウジング取付部94の先端面が重ねられる。また、ハウジング本体141のフランジ部142と前記ねじ山の間の外周面には、パッキン146の取り付けられるパッキン溝147が形成されている。
【0080】
パッキン146は、ゴムやエラストマー等の弾性材料で構成され、リング状に形成されている。パッキン146は、パッキン溝147の内面及びハウジング取付部94の内面とそれぞれ密着して、アウタハウジング140(即ちコネクタ101)とコネクタ取付部9の間を水密に保つ。
【0081】
カバー収容部143は、筒状に形成され、ハウジング本体141の内線収容室145側の端面から突出している。カバー収容部143の外形は、断面六角形状に形成され、レンチ等を用いて、前述したねじ山の設けられたアウタハウジング140(即ちコネクタ101)をコネクタ取付部9にねじ留め可能な構成となっている。カバー収容部143の内側は、マットシール7とカバー106を収容する収容室148とされている。
【0082】
収容室148は、図24に示すように、前述した内線収容室145に同軸的に連なり、内線収容室145の端子収容室144から離れた側に連なっている。収容室148と端子収容室144と内線収容室145は、矢印Xに沿ってこの順に並びかつ互いに連なっている。収容室148は、断面円形状に形成され、初期状態のマットシール7の外径よりも若干小さく、かつカバー106の外径よりも大きな内径となっている。
【0083】
また、収容室148の内径は内線収容室145の内径よりも大きく、収容室148と内線収容室145との間にはマットシール7を係止する段差面148aが形成されている。収容室148の矢印X方向の深さはマットシール7の厚さとカバー106の厚さの合計よりも若干大きく、収容室148はマットシール7とカバー106の全体を内部に収容する。
【0084】
また、カバー収容部143には、図14に示すように、内側に収容したカバー106の後述する係止突起161を係止する係止孔149が設けられている。係止孔149は、カバー収容部143の外壁を貫通している。係止孔149は、カバー収容部143の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。係止孔149のカバー106寄りの内面は、矢印Xに直交する平坦面とされている。
【0085】
インナハウジング150は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、端子収容室144の内径よりも幅狭な肉厚板状に形成されている。インナハウジング150には、図14に示すように、端子収容溝151と、ガイド溝152とが設けられている。
【0086】
端子収容溝151は、インナハウジング150の図14中の上面と下面にそれぞれ複数(本実施形態では3つずつ)設けられ、矢印Xに沿って平行に形成されている。各端子収容溝151は、互いに間隔をあけ、かつ互いに平行に設けられている。端子収容溝151は、端子金具103の電線接続部132を内側に位置付ける。
【0087】
ガイド溝152は、インナハウジング150の各側面から凹に設けられ、端子収容溝151と平行に設けられている。ガイド溝152は、端子収容室144内に突出した突起(図示せず)を内側に位置付けて、インナハウジング150を端子収容室144内に案内するとともに、インナハウジング150が端子収容室144内でその中心軸方向に回転することを防止する。
【0088】
カバー106は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。カバー106は、シールド電線2の外径よりも大きな内径の筒状に形成され、内側にシールド電線2を通す。カバー106には、係止突起161と、突部としての抜け防止部162とが設けられている。
【0089】
係止突起161は、カバー106の外周面から当該カバー106の外方向、即ち矢印Xに直交(交差)する方向、に突出している。係止突起161は、カバー106の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられ、アウタハウジング140の係止孔149に対応する位置に設けられている。
【0090】
係止突起161のアウタハウジング140と相対する端面は、アウタハウジング140に近づくにしたがってカバー106の外周面に近づくように傾斜したテーパ面とされている。また、係止突起161のアウタハウジング140から離れた端面は、矢印Xに直交する平坦面とされている。係止突起161は、係止孔149内に進入して矢印Xに沿って係止孔149の前述した平坦面に係止して、カバー106がアウタハウジング140から脱落するのを防止する。
【0091】
抜け防止部162は、カバー106の内周面から突出して設けられ、前記内周面全周に亘って形成されている。抜け防止部162は、カバー106の中心軸方向において、アウタハウジング140から離れた側に設けられている。
【0092】
抜け防止部162が設けられた部分のカバー106の内径は、シールド電線2の外径よりも若干大きくかつストッパ5の外径よりも小さく形成されている。このため、抜け防止部162が設けられた部分のカバー106は、シールド電線2を内部に通すが、ストッパ5を内部に通さない。また、抜け防止部162が設けられていない部分のカバー106内の空間は、ストッパ収容室163とされ、ストッパ5を内部に収容する。ストッパ収容室163の矢印X方向の深さはストッパ5の厚さよりも大きく、ストッパ収容室163はストッパ5全体を内部に収容する。
【0093】
前述した抜け防止部162は、カバー106がアウタハウジング140に取り付けられると、ハウジング本体141との間即ちコネクタハウジング104との間に矢印Xに沿ってストッパ5を挟む。そして、ストッパ5の取り付けられたシールド電線2が矢印X1方向に引っ張られると、矢印X1に沿ってストッパ5と当接して、ストッパ5がカバー106外に出ることを防止する。
【0094】
前述したカバー106は、シールド電線2を内側に通しかつシールド電線2を加締めたストッパ5をストッパ収容室163内に収容した状態で、係止突起161がアウタハウジング140の係止孔149内に係止してアウタハウジング140即ちコネクタハウジング104に取り付けられ、抜け防止部162とコネクタハウジング104との間にストッパ5を挟む。
【0095】
前述したコネクタ101は、接続対象の電子機器のケースに設けられたコネクタ取付部9に取り付けられる。コネクタ取付部9は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。コネクタ取付部9は、図15に示すように、平面形状が正方形状の基壁91と、基壁91の外縁全周から立設した複数の側壁92とを備えている。
【0096】
基壁91の中央には、平面形状が円形状の貫通孔93が貫通している。貫通孔93の内面93aには、コネクタハウジング104のねじ山に螺合するねじ溝(図示せず)が形成されている。また、貫通孔93の側壁92から離れた外縁部には、側壁92と反対方向に突出したハウジング取付部94が全周に亘って形成されている。
【0097】
以下、前述したコネクタ101を組み立てる手順について説明する。まず、前述した第1の実施形態のシールド電線2と同様に、シールド電線2の端末を皮剥きして内線21、22の端末を露出させるとともに、ドレイン線22の露出した部分とドレイン線22のシース24内の一部分とに亘って収縮チューブ27を被せて、内線21、22間の隙間を狭くする(図16)。
【0098】
次いで、図16に示すように、このシールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってカバー106とストッパ5をこの順に通していき、カバー106とストッパ5をシース上に位置付ける(図17)。そして、ストッパ5を前述した所定位置に位置付けた後、治具等を用いてストッパ5を加締めてシース24と金属箔23と内線21、22とを密着させる。
【0099】
続いて、図17に示すように、シールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってマットシール7を通していき、マットシール7をシース24上に位置付ける(図18)。マットシール7の内周面7aがシールド電線2の外表面2aと密着して、マットシール7とシールド電線2との間が水密に保たれる。
【0100】
そして、図18に示すように、電線21の端末を皮剥きして被覆部26を一部除去して芯線25を露出させる。また、ドレイン線22の端末に被せた収縮チューブ27を一部除去してドレイン線22を露出させる。その後、露出した芯線25とドレイン線22とにそれぞれ端子金具103を取り付け(図19)、これら端子金具103をインナハウジング150に取り付ける(図20)。
【0101】
その後、図20に示すように、端子金具103の取り付けられたインナハウジング150に矢印X1に沿ってアウタハウジング140を近づけてインナハウジング150を端子収容室144内に挿入し、端子金具103をアウタハウジング140内に収容するとともに、電気接触部131の先端をアウタハウジング140から突出させる(図21)。
【0102】
また、マットシール7を収容室148内に挿入し段差面148aに当接させて、マットシール7を収容室148内に収容する。マットシール7の外周面7bが収容室148の内面、即ちコネクタハウジング104の内面104aと密着して、マットシール7とコネクタハウジング104との間が水密に保たれる。このとき、ストッパ5がマットシール7から離れすぎているようであれば、シールド電線2をマットシール7内で移動させて矢印X2に沿って押し込んで、内線収容室145内で内線21、22を弛ませるとよい。
【0103】
そして、図21に示すように、カバー106を矢印X2に沿って移動させていき、係止突起161を係止孔149内に通して、カバー106をコネクタハウジング104に取り付ける(図22)。その後、コネクタハウジング104から突出した端子金具103の電気接触部131の先端をFPC8のスルーホール81a内に通し、前記先端とランド81bをハンダ付けして、端子金具103とFPC8を接続する。また、シールド電線2の端末側からアウタハウジング140に矢印X1に沿ってパッキン146を通していき、パッキン146をパッキン溝147に取り付ける。こうして、図15及び図22に示すコネクタ101が組み立てられる。
【0104】
こうして組み立てられたコネクタ101を、コネクタ取付部9に取り付ける。即ち、FPC8をコネクタ取付部9の貫通孔93に通して接続対象の電子機器に接続した後、アウタハウジング140の先端をコネクタ取付部9のハウジング取付部94内に位置付ける。そして、カバー収容部143にレンチを取り付けて回転させ、貫通孔93内にアウタハウジング140をねじ込んでいく。パッキン146がパッキン溝147の内面と側壁92の内面とそれぞれ密着して、コネクタ101とコネクタ取付部9の間が水密に保たれる。
【0105】
このようにコネクタ取付部9に取り付けられたコネクタ101において、シールド電線2が矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2全体に力が作用してシース24の抜けが起こることがなく、シールド電線2全体が引っ張られる。
【0106】
そして、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、内線収容室145内で弛んでいたシールド電線2が僅かに伸びてシールド電線2がマットシール7内で矢印X1方向に移動し(または、マットシール7がコネクタハウジング104内で矢印X1方向に移動し)、ストッパ5が矢印X1に沿って抜け防止部162に当接して、シールド電線2がコネクタ101から抜け出ることを防止する。
【0107】
さらに、ストッパ5が抜け防止部162に当接した状態でシールド電線2がさらに矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5と当接した抜け防止部162、即ちカバー106が矢印X1方向に引っ張られ、係止孔149の平坦面が係止突起161の平坦面に矢印X1に沿って当接して係止孔149が係止突起161に係止して、シールド電線2がコネクタ101から抜け出ることを防止する。
【0108】
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様、ストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2が引っ張られてもシース24の抜けが起こることがなく、さらに、シース24と金属箔23と内線21、22とが密着してシールド電線2内のシール性を向上させることができる。また、このストッパ5がコネクタハウジング104とカバー106との間に挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5がカバー106と当接し、シールド電線2の抜けが起こることがない。したがって、1部品のストッパ5のみの簡単な構造でありながら、シース24の抜けやシールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0109】
コネクタハウジング104と抜け防止部162との間にストッパ5が挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5が抜け防止部162と当接する。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0110】
係止突起161と係止孔149とが互いに係止するので、シールド電線2が引っ張られてストッパ5を介してカバー106に力が作用しても、カバー106がコネクタハウジング104から脱落することがない。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0111】
マットシール7がシールド電線2とコネクタハウジング104との間を確実に水密に保ち、水等の水分がシールド電線2の端末に付着することを防止する。したがって、コネクタ101のシール性を向上させることができる。
【0112】
さらに、本実施形態によれば、端子金具103に、接続相手の電子機器のプリント配線板と接続されるFPC8が直接接続されている。前述した第1の実施形態においては、接続対象の電子機器に、コネクタ1と嵌合する相手方のコネクタを設ける必要がある。この相手方のコネクタは、コネクタハウジング4と嵌合するハウジング部と、ハウジング部内に突出した棒状の端子金具とを備えたものである。前記棒状の端子金具は、電子機器内に配される一端部が、前記プリント配線板に接続されたFPCにハンダ付けされて当該FPCと接続し、他端部がコネクタ1の端子金具3と接続する。
【0113】
このように、第1の実施形態のコネクタ1は端子金具3と棒状の端子金具を介してFPCと接続するが、本実施形態のコネクタ101は端子金具103のみを介してFPC8と接続している。このため、棒状の端子金具の分、コネクタ101と電子機器の接続部分を低背化できる。
【0114】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 コネクタ
2 シールド電線
2a 外表面
3 端子金具
4 コネクタハウジング
4a 内面
5 ストッパ(加締め部材)
6 カバー
6a 内周面
7 マットシール(シール部材)
7a 内周面
7b 外周面
46 係止突起
64 抜け防止部(突部)
66 係止孔
101 コネクタ
103 端子金具
104 コネクタハウジング
104a 内面
106 カバー
149 係止孔
161 係止突起
162 抜け防止部(突部)
X シールド電線の長手方向
【技術分野】
【0001】
本発明は、シールド電線の接続等に使用されるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車には、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車は、前述した電子機器に電気信号や電力を供給するためにワイヤハーネスを配索している。このようなワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線に取り付けられるコネクタとを備えている。
【0003】
前述した自動車には、走行用のモータに信号や電力等を供給する電線から外部に電気的なノイズが漏洩したり、電線内に外部からの電気的なノイズが流入したりするのを防止するために、シールド電線が用いられている。
【0004】
シールド電線は、例えば、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを有した電線と、導電性のドレイン線と、これら電線とドレイン線とを覆うシールド層としての導電性の金属箔と、金属箔を覆う絶縁性のシースとを備えている。シールド電線の端末は、皮剥きされて金属箔やシースが除去され、内線(電線やドレイン線)が露出している。また、電線の端末は、皮剥きされて被覆部が除去され、芯線が露出している。
【0005】
前述したシールド電線は、水等の水分が露出した芯線やドレイン線等に付着することを防止するために、シール処理を施すことがある。このようなシール処理としては、例えば、シールド電線のシースの端末と露出した内線とに亘った部分をホットメルト等で構成されたシール部で覆う処理が挙げられる。
【0006】
前述したシール処理では、シール部はホットメルトの接着力のみでシースや内線と密着している。このため、シールド電線が引っ張られると、シール部とシースの接着面が剥がれやすい。そして、シールド電線はシース(金属箔)と内線との隙間が大きいので、シールド電線が引っ張られると、シースのみが抜けて内線が露出してしまう(シースの抜け)といった問題があった。
【0007】
そこで、シール部を長尺に形成してシール部とシースとの接着面積を広くすることが考えられるが、シール部が大型化してしまう。また、シール部を長尺に形成した場合であっても、ホットメルトとシース構成材料との相性が悪いと、接着力が低下してシースの抜けが起こってしまう。
【0008】
このような問題を解決するために、以下のようなコネクタ(例えば、特許文献1参照)が用いられている。このコネクタは、シールド電線の端末に取り付けられる端子金具と、シールド電線の端末を収容して前述した電子機器等に固定される電線取付ケースと、電線取付ケースの電線挿入側に装着されるコルゲートホルダと、コルゲートホルダを介して電線取付ケースの電線挿入側に接続されるコルゲートチューブ等を備えている。
【0009】
このコネクタを組み立てる際には、まず、シールド電線のシース上からシース保持リングを加締め、シース保持リングよりも電線挿入側前方のシース上にゴム栓を装着した後に、シールド電線の端末を皮剥きする。そして、シース保持リングを覆うようにコルゲートチューブを引き寄せ、さらにコルゲートチューブの先端を覆うようにコルゲートホルダを装着する。
【0010】
上記工程を経たシールド電線及びコルゲートホルダを電線取付ケースに取り付けて、ゴム栓を電線取付ケースとシールド電線とに密着させる。そして、電線取付ケースから突出したシールド電線先端において、露出した被覆部上に電線取付ケースの内径よりも大きな外径の内皮保持リングを固定するとともに、露出した芯線に端子金具を接続する。以上のように、コネクタが組み立てられる。
【0011】
このように組み立てられたコネクタは、シース保持リングがシールド電線を加締めているので、シース抜けが起こることがなく、ホットメルトを用いる場合と比較してコネクタを小型化できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平11−26093号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかしながら、前述した特許文献1に記載されたコネクタにおいては、シース保持リングが電線取付ケースとコルゲートホルダとの間に挟まれていないので、シールド電線が引っ張られると、シース保持リングごとシールド電線がコネクタから抜け出てしまう。このシールド電線の抜けを防止するために内皮保持リングが設けられているが、別部品であるので、構成部品が多くなってコストが高騰する傾向にあり、また組付工程が多くなって手間がかかるといった問題があった。
【0014】
本発明は、このような問題を解決することを目的としている。即ち、本発明は、簡単な構造でありながらシースの抜けやシールド電線の抜けを防止できるコネクタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決し目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、シールド電線の端末に取り付けられた端子金具を収容するコネクタハウジングと、前記コネクタハウジングから突出した前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記シールド電線を加締める加締め部材と、前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記コネクタハウジングに取り付けられて該コネクタハウジングとの間に前記加締め部材を挟むカバーと、を備えたことを特徴としたコネクタである。
【0016】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載されたコネクタにおいて、前記カバーに、前記コネクタハウジングとの間に前記シールド電線の長手方向に沿って前記加締め部材を挟む突部が設けられたことを特徴としたコネクタである。
【0017】
請求項3に記載された発明は、請求項1または請求項2に記載されたコネクタにおいて、前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちの一方から前記シールド電線の長手方向に交差する方向に沿って突出した係止突起と、他方に設けられかつ前記係止突起を内部に通す係止孔と、を備えたことを特徴としたコネクタである。
【0018】
請求項4に記載された発明は、請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載されたコネクタにおいて、筒状に形成され、前記シールド電線を内側に通して内周面が前記シールド電線の外表面と密着し、かつ、前記コネクタハウジング内に取り付けられて外周面が前記コネクタハウジングの内面と密着するシール部材を備えたことを特徴としたコネクタである。
【発明の効果】
【0019】
本件発明によれば、加締め部材がシールド電線を加締めているので、シールド電線が引っ張られてもシースの抜けが起こることがなく、さらに、シールド電線内が密着してシールド電線内のシール性を向上させることができる。また、この加締め部材がコネクタハウジングとカバーとの間に挟まれているので、シールド電線が引っ張られると加締め部材がカバーと当接し、シールド電線の抜けが起こることがない。したがって、加締め部材のみの簡単な構造でありながら、シースの抜けやシールド電線の抜けを確実に防止できる。
【0020】
本件発明によれば、コネクタハウジングと突部との間に加締め部材が挟まれているので、シールド電線が引っ張られると加締め部材が突部と当接する。したがって、シールド電線の抜けを確実に防止できる。
【0021】
本件発明によれば、係止突起と係止孔とが互いに係止するので、シールド電線が引っ張られて加締め部材を介してカバーに力が作用しても、カバーがコネクタハウジングから脱落することがない。したがって、シールド電線の抜けを確実に防止できる。
【0022】
本件発明によれば、シール部材がシールド電線とコネクタハウジングとの間を確実に水密に保ち、水等の水分がシールド電線の端末に付着することを防止する。したがって、コネクタのシール性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1の実施形態にかかるコネクタを分解して示す斜視図である。
【図2】図1に示されたコネクタが組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示されたシールド電線の端末が皮剥きされた状態を示す側面図である。
【図4】図3に示されたドレイン線に収縮チューブが被せられた状態を示す側面図である。
【図5】図4に示されたシールド電線にカバーとストッパとが通された状態を示す側面図である。
【図6】図5に示されたシールド電線にマットシールが通された状態を示す側面図である。
【図7】図6に示されたシールド電線に端子金具が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図8】図7に示されたマットシールがコネクタハウジング内に収容された状態を示す側面図である。
【図9】図8に示されたシールド電線の図8中のIX−IX線に沿った断面図である。
【図10】図8に示されたシールド電線とコネクタの図9中のX−X線に沿った断面図である。
【図11】図8に示されたコネクタハウジングにカバーが取り付けられた状態を示す側面図である。
【図12】図11に示されたシールド電線とコネクタの図9中のX−X線に沿った断面図である。
【図13】図12に示されたシールド電線が矢印X1に沿って引っ張られた状態を示す断面図である。
【図14】本発明の第2の実施形態にかかるコネクタを分解して示す斜視図である。
【図15】図14に示されたコネクタが組み立てられた状態を示す斜視図である。
【図16】図14に示されたシールド電線の端末に端子金具が取り付けられる前の状態を示す側面図である。
【図17】図16に示されたシールド電線にカバーとストッパとが通された状態を示す側面図である。
【図18】図17に示されたシールド電線にマットシールが通された状態を示す側面図である。
【図19】図18に示されたシールド電線に端子金具が取り付けられた状態を示す側面図である。
【図20】図19に示された端子金具がインナハウジングに取り付けられた状態を示す側面図である。
【図21】図20に示されたインナハウジング及びマットシールがアウタハウジング内に収容された状態を示す側面図である。
【図22】図21に示されたコネクタハウジングにカバーが取り付けられた状態を示す側面図である。
【図23】図22に示されたコネクタがコネクタ取付部に取り付けられた状態を示す側面図である。
【図24】図23に示されたシールド電線とコネクタの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の第1の実施形態にかかるコネクタ1を図1ないし図13を参照して説明する。本発明の第1の実施形態にかかるコネクタ1は、自動車等に配索されるワイヤハーネスを構成する。ワイヤハーネスは、図1及び図2に示すように、シールド電線2と、コネクタ1とを備えている。
【0025】
シールド電線2は、図1等に示すように、電線21と、ドレイン線22と、金属箔23と、シース24とを備えている。電線21は、所謂被覆電線であり、例えば自動車内で電気信号を伝達する信号線である。電線21は、本実施形態では5本設けられている。電線21は、導電性の芯線25と、絶縁性の被覆部26とを備えている。芯線25は、複数の素線が撚られて形成されている。この素線は、銅やアルミニウム等の導電性の金属材料で構成されている。なお、芯線25は、一本の素線から構成されていてもよい。被覆部26は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、芯線25の外周面を被覆している。
【0026】
ドレイン線22は、本実施形態では1本設けられている。ドレイン線22は、複数の素線が撚られて形成されている。この素線は、銅やアルミニウム等の導電性の金属材料で構成されている。ドレイン線22は電線21と略同じ長さに形成されている。ドレイン線22は、金属箔23と接触しかつ後述する端子金具3を介して接地接続されて、金属箔23がシールドした電気的なノイズを外部に逃がす。以下、前述した電線21とドレイン線22とをあわせて、内線21、22ということがある。
【0027】
金属箔23は、銅やアルミニウム等の導電性の金属で構成されて、柔軟性を有している。金属箔23は、長尺な筒状に形成され、電線21とドレイン線22の全周を略全長に亘って覆っている。金属箔23は、電線21を電気的にシールドして、電線21から金属箔23の外部に電気的なノイズが漏洩したり、電線21内に金属箔23の外部からの電気的なノイズが流入したりすることを防止する。また、金属箔23は、ドレイン線22と接触してドレイン線22と電気的に接続され、電気的なノイズをドレイン線22に受け渡す。なお、この金属箔23は、導電性の金属で構成された素線を編んだ筒状の編組線であってもよい。
【0028】
シース24は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。シース24は、筒状に形成され、金属箔23を覆っている。このため、シース24の外表面は、シールド電線2の外表面2aをなしている。
【0029】
前述したシールド電線2において、シース24(金属箔23)と内線21、22との隙間は比較的大きく、シールド電線2が引っ張られるとシース24と金属箔23のみが引っ張られて、内線21、22が簡単に露出してしまう。このため、シース24(金属箔23)と内線21、22との隙間を狭くするために、ドレイン線22には収縮チューブ27(図3)が被せられる。
【0030】
収縮チューブ27は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料で構成され、筒状に形成されている。収縮チューブ27は、シールド電線2の端末におけるドレイン線22のシース24外に露出した部分と、ドレイン線22のシース24内(金属箔23内)の一部分とに亘って被せられる(図10)。この収縮チューブ27が被せられてシース24と内線21、22との隙間が狭められた部分に、ストッパ5が取り付けられる。
【0031】
コネクタ1は、図1に示すように、端子金具3と、コネクタハウジング4と、加締め部材としてのストッパ5と、カバー6と、シール部材としてのマットシール7とを備えている。
【0032】
端子金具3は、導電性の板金等を折り曲げて形成され、複数設けられている。端子金具3は、図1に示すように、電気接触部31と、電線接続部32とを一体に備えている。電気接触部31は、筒部33と、筒部33の外面から突出した係止片34(図6等)とを備えている。
【0033】
筒部33は、筒状に形成され、内部に相手方のコネクタの端子金具を位置付ける。筒部33が内部に相手方のコネクタの端子金具を位置付けることで、電気接触部31と相手方のコネクタの端子金具とが電気的に接続する。
【0034】
係止片34は、筒部33の外方向に突出し、筒部33の内方向に弾性変形自在に設けられている。係止片34は、コネクタハウジング4の後述する突起44aに係止して、コネクタハウジング4内に収容された端子金具3がコネクタハウジング4内から抜け出ることを防止する。
【0035】
電線接続部32は、電気接触部31に連なる帯板状の底板部35と、底板部35の幅方向両端から突出した複数の加締め片36とを備えている。底板部35上には、一本の内線21、22が載置される。加締め片36は、それぞれ、底板部35に近づくように折り曲げられて底板部35との間に内線21、22を挟み、内線21、22を加締める。加締め片36が内線21、22を加締めることで、電線接続部32が内線21、22と電気的に接続され、端子金具3がシールド電線2の端末に取り付けられる。
【0036】
コネクタハウジング4は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。コネクタハウジング4は、図1に示すように、ハウジング本体41と、フード部42と、カバー取付部43とを一体に備えている。ハウジング本体41は、箱状に形成され、端子収容室44と、内線収容室45(図10等)とを備えている。端子収容室44は、直線孔状に形成され、複数設けられている。複数の端子収容室44は、互いに平行に並んでいる。端子収容室44の内面には、端子金具3を係止する突起44aが突出している。端子収容室44は、端子金具3を内部に収容する。端子収容室44が端子金具3を収容して、コネクタハウジング4は端子金具3を内部に収容する。
【0037】
内線収容室45は、それぞれの端子収容室44の端子金具3挿入側の開口に連なり、1つ設けられている。内線収容室45は、それぞれの端子収容室44内の端子金具3に接続された内線21、22を、弛んだ状態で収容するためのスペースである。
【0038】
フード部42は、筒状に形成され、ハウジング本体41を内部に収容した格好で、ハウジング本体41と一体に形成されている。フード部42の内面は、ハウジング本体41の外面と間隔をあけている。
【0039】
カバー取付部43は、筒状に形成され、内線収容室45の端子金具3挿入側の外縁部から突出している。カバー取付部43の外径は、フード部42の外径よりも小さく、カバー6の内径よりも小さい。カバー取付部43には、カバー取付部43を覆うようにしてカバー6が取り付けられる。カバー取付部43には、係止突起46が設けられている。
【0040】
係止突起46は、図1及び図7等に示すように、カバー取付部43の外周面からコネクタハウジング4の外方向、即ち矢印Xに直交(交差)する方向、に突出している。矢印Xは、シールド電線2の長手方向をなしている。係止突起46は、カバー取付部43の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。係止突起46のカバー6と相対する端面は、カバー6に近づくにしたがってカバー取付部43の外周面に近づくように傾斜したテーパ面とされている。また、係止突起46のカバー6から離れた端面は、矢印Xに直交する平坦面とされている。
【0041】
前述したカバー取付部43の内側は、マットシール収容室47(図10)とされている。マットシール収容室47は、前述した内線収容室45に同軸的に連なり、内線収容室45の端子収容室44から離れた側に連なっている。マットシール収容室47と内線収容室45と端子収容室44とは、矢印Xに沿ってこの順に並びかつ互いに連なっている。マットシール収容室47は、平面形状が円形状に形成されている。マットシール収容室47の内径は内線収容室45の内径よりも大きく、マットシール収容室47と内線収容室45との間には段差面47aが形成されている。また、マットシール収容部47の矢印X方向の深さはマットシール7の厚さよりも若干大きく、マットシール収容室47はマットシール7を内部に収容する。
【0042】
ストッパ5は、金属材料等で構成され、塑性変形自在に設けられている。ストッパ5は、図1に示すように、円環状に形成されている。ストッパ5の外径は、カバー6の後述するストッパ収容室65の内径よりも小さい。ストッパ5の内径は、塑性変形していない初期状態において、シールド電線2の外径よりも若干大きい。
【0043】
前述したストッパ5は、シールド電線2のコネクタハウジング4から突出した部分に取り付けられ、シールド電線2を内側に通した状態で治具等を用いて加締められて縮径し、シース24をシールド電線2の周方向全体から径方向に沿って加締める。なお、より確実にシールド電線2の周方向全体から加締めるために、例えばストッパ5の1箇所を予め切断しこの切断された端部同士を重ね合わせて、ストッパ5を円環状としてもよい。
【0044】
カバー6は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。カバー6は、図1に示すように、平面形状が円形状の基壁61と、基壁61の外縁全周から立設した側壁62とを備えている。基壁61には、貫通孔63と、突部としての抜け防止部64とが設けられている。貫通孔63は、基壁61の中央を貫通し、平面形状が円形状に形成されている。貫通孔63の内径は、シールド電線2の外径よりも大きい。貫通孔63は、内側にシールド電線2を通す。
【0045】
抜け防止部64は、図10に示すように、貫通孔63の内周面、即ちカバー6の内周面6aから突出して設けられ、内周面6a全周に亘って形成されている。抜け防止部64は、貫通孔63の中心軸方向において、内周面6aの側壁62から離れた側(コネクタハウジング4から離れた側)に設けられている。
【0046】
抜け防止部64が設けられた部分の貫通孔63の内径は、シールド電線2の外径よりも若干大きくかつストッパ5の外径よりも小さく形成されている。このため、抜け防止部64が設けられた部分の貫通孔63は、シールド電線2を内部に通すが、ストッパ5を内部に通さない。また、抜け防止部64が設けられていない部分の貫通孔63は、ストッパ収容室65とされ、ストッパ5を内部に収容する。ストッパ収容室65の矢印X方向の深さは、ストッパ5の厚さよりも大きい。ストッパ収容室65は、ストッパ5を内部に収容する。
【0047】
前述した抜け防止部64は、カバー6がコネクタハウジング4に取り付けられると、コネクタハウジング4との間に矢印Xに沿ってストッパ5を挟む。そして、ストッパ5の取り付けられたシールド電線2が矢印X1方向に引っ張られると、矢印X1に沿ってストッパ5の外縁部と当接して、ストッパ5がカバー6外に出ることを防止する。矢印X1は、矢印Xと平行である。
【0048】
側壁62には、図1に示すように、係止孔66が設けられている。係止孔66は、側壁62の基壁61との連結部分近傍を貫通している。係止孔66は、側壁62の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられ、コネクタハウジング4の係止突起46に対応する位置に設けられている。係止孔66のコネクタハウジング4寄りの内面は、矢印X(X1)に直交する平坦面とされている。係止孔66は、係止突起46を内部に通し矢印X(X1)に沿って係止突起46に係止して、カバー6がコネクタハウジング4から脱落するのを防止する。
【0049】
前述したカバー6は、シールド電線2を貫通孔63内に通してシールド電線2を内側に通す。そして、カバー6は、シールド電線2を加締めたストッパ5をストッパ収容室65内に収容した状態で係止孔66内にコネクタハウジング4の係止突起46が通されてコネクタハウジング4に取り付けられ、抜け防止部64とコネクタハウジング4との間にストッパ5を挟む。
【0050】
マットシール7は、ゴムや熱可塑性エラストマー等の弾性を有する材料で構成され、弾性変形自在に設けられている。マットシール7は、図1に示すように、円環状(筒状)に形成されている。マットシール7の内周面7aと外周面7bとには、マットシール7の周方向に沿った溝71が設けられている。マットシール7の外径は、弾性変形していない初期状態において、マットシール収容室47の内径よりも若干大きい。また、マットシール7の内径は、前記初期状態において、シールド電線2の外径よりも若干小さい。
【0051】
前述したマットシール7は、弾性変形してシールド電線2を内側に通し、弾性復元力によって内周面7aがシールド電線2の外表面2aと密着する。また、マットシール7は、弾性変形してコネクタハウジング4のマットシール収容室47内に収容されてコネクタハウジング4内に取り付けられ、弾性復元力によって外周面7bがマットシール7収容部の内面(即ちコネクタハウジング4の内面4a)と密着する。なお、図10及び図12においては、前記初期状態のマットシール7を描画している。
【0052】
以下、前述したコネクタ1を組み立てる手順について説明する。まず、図3に示すように、シールド電線2の端末を皮剥きしてシース24と金属箔23とを一部除去し、内線21、22の端末を露出させる。そして、ドレイン線22の端末側から、ドレイン線22に矢印X1方向に沿って収縮チューブ27を通していき、ドレイン線22の露出した部分とドレイン線22のシース24内の一部分とに亘って収縮チューブ27を被せて、内線21、22間の隙間を狭くする(図4)。
【0053】
次いで、図4に示すように、このシールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってカバー6とストッパ5をこの順に通していき、カバー6とストッパ5とをシース24上に位置付ける(図5)。そして、ストッパ5を所定位置に位置付けた後、治具等を用いてストッパ5を加締めてシース24と金属箔23と内線21、22とを密着させる。
【0054】
ストッパ5の所定位置とは、コネクタ1を組み立てた際に、カバー6のストッパ収容室65内にストッパ5が位置付けられてカバー6をコネクタハウジング4に取り付けることができる位置である。ストッパ5がシールド電線2の端末に近すぎるとストッパ5がコネクタハウジング4内に位置付けられてしまい、シールド電線2の端末から離れすぎるとカバー6をコネクタハウジング4に取り付けることができなくなってしまう。
【0055】
続いて、図5に示すように、シールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってマットシール7を通していき、マットシール7をシース24上に位置付ける(図6)。マットシール7の内周面7aがシールド電線2の外表面2aと密着して、マットシール7とシールド電線2との間が水密に保たれる。
【0056】
そして、図6に示すように、電線21の端末を皮剥きして被覆部26を一部除去して芯線25を露出させ、ドレイン線22の端末に被せた収縮チューブ27を一部除去してドレイン線22を露出させる。
【0057】
その後、図7に示すように、露出した芯線25とドレイン線22とにそれぞれ端子金具3を取り付け、これら端子金具3を矢印X2に沿って端子収容室44内に挿入していき、端子金具3をコネクタハウジング4内に収容する(図8)。矢印X2は、矢印X、矢印X1と平行であり、矢印X1の反対方向である。また、図10(図8の断面図)に示すように、マットシール7をマットシール収容室47内に挿入し段差面47aに当接させて、マットシール7をマットシール収容室47内に収容する。マットシール7の外周面7bがマットシール収容室47の内面、即ちコネクタハウジング4の内面4aと密着して、マットシール7とコネクタハウジング4との間が水密に保たれる。このとき、ストッパ5がマットシール7から離れすぎているようであれば、シールド電線2をマットシール7内で移動させて矢印X2に沿って押し込んで、内線収容室45内で内線21、22を弛ませるとよい。
【0058】
最後に、図8に示すように、カバー6を矢印X2に沿って移動させていき、係止孔66内にコネクタハウジング4の係止突起46を通して、カバー6をコネクタハウジング4に取り付ける(図11)。このとき、図12(図11の断面図)に示すように、ストッパ5と抜け防止部64とは矢印X(X1、X2)に沿って隙間をあけて配されている。こうして、図2及び図11に示すコネクタ1が組み立てられる。そして、このコネクタ1を所望の電子機器に接続された相手方のコネクタと嵌合させる。
【0059】
このように相手方のコネクタと嵌合したコネクタ1において、例えばコネクタ1を相手方のコネクタから取り外す際やシールド電線2に他部品が引っ掛かる等して、シールド電線2が矢印X1方向に引っ張られることがある。シールド電線2がX1方向に引っ張られると、図9に示すようにストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2全体に力が作用してシース24の抜けが起こることがなく、シールド電線2全体が引っ張られる。
【0060】
そして、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、内線収容室45内で弛んでいたシールド電線2が僅かに伸びてシールド電線2がマットシール7内で矢印X1方向に移動し(もしくは、マットシール7がコネクタハウジング4内で矢印X1方向に移動し、または、コネクタハウジング4が矢印X1方向に移動し)、図13に示すように、ストッパ5が矢印X1に沿って抜け防止部64に当接して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0061】
さらに、ストッパ5が抜け防止部64に当接した状態でシールド電線2がさらに矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5と当接した抜け防止部64、即ちカバー6が矢印X1方向に引っ張られ、係止孔66の平坦面が係止突起46の平坦面に矢印X1に沿って当接して係止孔66が係止突起46に係止して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0062】
本実施形態によれば、ストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2が引っ張られてもシース24の抜けが起こることがなく、さらに、シース24と金属箔23と内線21、22とが密着してシールド電線2内のシール性を向上させることができる。また、このストッパ5がコネクタハウジング4とカバー6との間に挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5がカバー6と当接し、シールド電線2の抜けが起こることがない。したがって、1部品のストッパ5のみの簡単な構造でありながら、シース24の抜けやシールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0063】
円環状のストッパ5が、シールド電線2の周方向全体からシールド電線2を加締める。したがって、シールド電線2をより確実に加締めることができ、シールド電線2内が密着してシールド電線2内のシール性を向上させることができる。
【0064】
コネクタハウジング4と抜け防止部64との間にストッパ5が挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5が抜け防止部64と当接する。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0065】
係止突起46と係止孔66とが互いに係止するので、シールド電線2が引っ張られてストッパ5を介してカバー6に力が作用しても、カバー6がコネクタハウジング4から脱落することがない。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0066】
マットシール7がシールド電線2とコネクタハウジング4との間を確実に水密に保ち、水等の水分がシールド電線2の端末に付着することを防止する。したがって、コネクタ1のシール性を向上させることができる。
【0067】
前述した実施形態においては、ストッパ5と抜け防止部64とは矢印X(X1、X2)に沿って隙間をあけて配されていたが、この隙間がなくストッパ5と抜け防止部64とが接触していてもよい。この場合、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5が抜け防止部64に当接し、同時に係止孔66と係止突起46とが当接して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0068】
また、前述した実施形態においては、取り付けられたコネクタハウジング4とカバー6とには矢印X(X1、X2)に沿った隙間(がたつき)を意図的には設けていないが、この隙間を意図的に設けてもよい。この場合、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、まずストッパ5が抜け防止部64に当接し、その後、係止孔66内で係止突起46が移動し係止孔66と係止突起46とが当接して、シールド電線2がコネクタ1から抜け出ることを防止する。
【0069】
また、前述した実施形態においては、係止突起46がコネクタハウジング4に設けられ、係止孔66がカバー6に設けられていた。しかしながら本発明では、係止突起46がカバー6に設けられ、係止孔66がコネクタハウジング4に設けられていてもよい。また、前述した実施形態においては、シールド電線2が5本の電線21と1本のドレイン線22とを備えていた。しかしながら本発明では、シールド電線2の電線21の本数やドレイン線22の本数は何本であってもよい。
【0070】
次に、本発明の第2の実施形態にかかるコネクタ101を、図14ないし図24を参照して説明する。なお、前述した第1の実施形態と同一構成部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0071】
本発明の第2の実施形態にかかるコネクタ101は、図14に示すように、端子金具103と、コネクタハウジング104と、加締め部材としてのストッパ5と、カバー106と、シール部材としてのマットシール7とを備えている。ストッパ5とマットシール7は、第1の実施形態と略同一構造であるので、詳細な説明は省略する。
【0072】
端子金具103は、導電性の板金等を折り曲げて形成され、複数設けられている。端子金具103は、所謂雄型の端子金具である。端子金具103は、図14に示すように、電気接触部131と、電線接続部132とを一体に備えている。電気接触部131は、中空棒状に形成されている。電線接続部132の先端には、図15に示すように、回路体としてのフレキシブルプリントサーキット(Flexible Printed Circuit、以下、FPCという)8が接続される。電線接続部132は、端子金具3の電線接続部32と略同一構造であるので、詳細な説明は省略する。
【0073】
FPC8は、帯状に形成され、複数の導体81と、当該導体81を被覆する一対の絶縁シート82とを備えている(図22等)。導体81は、断面矩形状に形成され、一方向に沿って延びている。導体81は、各端子金具103に対応して設けられ、端子金具103と同数設けられている。これら導体81は、互いに間隔をあけ、かつ互いに平行に設けられている。一対の絶縁シート82は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、帯状に形成されている。一対の絶縁シート82は、互いの間に複数の導体81を挟んでこれら導体81を被覆している。
【0074】
FPC8の一端部には、各端子金具103に対応しかつ各導体81と接続された複数のスルーホール81aと、各スルーホール81aの外縁部に形成されたランド81bとが設けられている。FPC8の一端部は、コネクタハウジング104の電気接触部131の突出する端面に重ねられ、電気接触部131の先端がスルーホール81a内に通されかつランド81bにハンダ付けされることで、端子金具103と電気的に接続する。
【0075】
また、FPC8の他端部では、一対の絶縁シート82のうち一方の絶縁シート82が除去されて導体81が露出しているとともに、他方の絶縁シート82上にはスライダ83が接着剤等で貼り付けられる(図22)。FPC8の他端部は、接続相手の電子機器のプリント配線板上に重ねられ、当該プリント配線板と電気的に接続する。なお、本実施形態においては、回路体はFPC8とされているが、フレキシブルフラットケーブル(Flexible Flat Cable、FFC)等であっても勿論よい。
【0076】
コネクタハウジング104は、図14に示すように、アウタハウジング140と、インナハウジング150とを備えている。アウタハウジング140は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、ハウジング本体141と、フランジ部142と、カバー収容部143とを一体に備えている。ハウジング本体141は、筒状に形成され、端子収容室144と、内線収容室145とを備えている。
【0077】
端子収容室144は、図24に示すように、ハウジング本体141内の矢印X2方向前方側の空間である。端子収容室144は、端子金具103の取り付けられたインナハウジング150を内側に収容して、端子金具103を内側に収容する。端子収容室144内の端子金具103の電気接触部131は、先端がハウジング本体141から突出する。また、ハウジング本体141の端子収容室144側の外周面141aには、後述するコネクタ取付部9のねじ溝にねじ込まれるねじ山(図示せず)が全周に亘って形成されている。
【0078】
内線収容室145は、ハウジング本体141の矢印X2方向後方側の空間であり、端子収容室144の端子金具103挿入側の開口に連なっている。内線収容室145は、端子収容室144内の端子金具103に接続された内線21、22を、弛んだ状態で収容するためのスペースである。
【0079】
フランジ部142は、図14に示すように、ハウジング本体141の内線収容室145側の外周面から突出して設けられ、ハウジング本体141の全周に亘って形成されている。フランジ部142の前記ねじ山側の表面には、後述するコネクタ取付部9のハウジング取付部94の先端面が重ねられる。また、ハウジング本体141のフランジ部142と前記ねじ山の間の外周面には、パッキン146の取り付けられるパッキン溝147が形成されている。
【0080】
パッキン146は、ゴムやエラストマー等の弾性材料で構成され、リング状に形成されている。パッキン146は、パッキン溝147の内面及びハウジング取付部94の内面とそれぞれ密着して、アウタハウジング140(即ちコネクタ101)とコネクタ取付部9の間を水密に保つ。
【0081】
カバー収容部143は、筒状に形成され、ハウジング本体141の内線収容室145側の端面から突出している。カバー収容部143の外形は、断面六角形状に形成され、レンチ等を用いて、前述したねじ山の設けられたアウタハウジング140(即ちコネクタ101)をコネクタ取付部9にねじ留め可能な構成となっている。カバー収容部143の内側は、マットシール7とカバー106を収容する収容室148とされている。
【0082】
収容室148は、図24に示すように、前述した内線収容室145に同軸的に連なり、内線収容室145の端子収容室144から離れた側に連なっている。収容室148と端子収容室144と内線収容室145は、矢印Xに沿ってこの順に並びかつ互いに連なっている。収容室148は、断面円形状に形成され、初期状態のマットシール7の外径よりも若干小さく、かつカバー106の外径よりも大きな内径となっている。
【0083】
また、収容室148の内径は内線収容室145の内径よりも大きく、収容室148と内線収容室145との間にはマットシール7を係止する段差面148aが形成されている。収容室148の矢印X方向の深さはマットシール7の厚さとカバー106の厚さの合計よりも若干大きく、収容室148はマットシール7とカバー106の全体を内部に収容する。
【0084】
また、カバー収容部143には、図14に示すように、内側に収容したカバー106の後述する係止突起161を係止する係止孔149が設けられている。係止孔149は、カバー収容部143の外壁を貫通している。係止孔149は、カバー収容部143の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられている。係止孔149のカバー106寄りの内面は、矢印Xに直交する平坦面とされている。
【0085】
インナハウジング150は、絶縁性の合成樹脂等で構成され、端子収容室144の内径よりも幅狭な肉厚板状に形成されている。インナハウジング150には、図14に示すように、端子収容溝151と、ガイド溝152とが設けられている。
【0086】
端子収容溝151は、インナハウジング150の図14中の上面と下面にそれぞれ複数(本実施形態では3つずつ)設けられ、矢印Xに沿って平行に形成されている。各端子収容溝151は、互いに間隔をあけ、かつ互いに平行に設けられている。端子収容溝151は、端子金具103の電線接続部132を内側に位置付ける。
【0087】
ガイド溝152は、インナハウジング150の各側面から凹に設けられ、端子収容溝151と平行に設けられている。ガイド溝152は、端子収容室144内に突出した突起(図示せず)を内側に位置付けて、インナハウジング150を端子収容室144内に案内するとともに、インナハウジング150が端子収容室144内でその中心軸方向に回転することを防止する。
【0088】
カバー106は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。カバー106は、シールド電線2の外径よりも大きな内径の筒状に形成され、内側にシールド電線2を通す。カバー106には、係止突起161と、突部としての抜け防止部162とが設けられている。
【0089】
係止突起161は、カバー106の外周面から当該カバー106の外方向、即ち矢印Xに直交(交差)する方向、に突出している。係止突起161は、カバー106の周方向に沿って互いに間隔をあけて複数(本実施形態では4つ)設けられ、アウタハウジング140の係止孔149に対応する位置に設けられている。
【0090】
係止突起161のアウタハウジング140と相対する端面は、アウタハウジング140に近づくにしたがってカバー106の外周面に近づくように傾斜したテーパ面とされている。また、係止突起161のアウタハウジング140から離れた端面は、矢印Xに直交する平坦面とされている。係止突起161は、係止孔149内に進入して矢印Xに沿って係止孔149の前述した平坦面に係止して、カバー106がアウタハウジング140から脱落するのを防止する。
【0091】
抜け防止部162は、カバー106の内周面から突出して設けられ、前記内周面全周に亘って形成されている。抜け防止部162は、カバー106の中心軸方向において、アウタハウジング140から離れた側に設けられている。
【0092】
抜け防止部162が設けられた部分のカバー106の内径は、シールド電線2の外径よりも若干大きくかつストッパ5の外径よりも小さく形成されている。このため、抜け防止部162が設けられた部分のカバー106は、シールド電線2を内部に通すが、ストッパ5を内部に通さない。また、抜け防止部162が設けられていない部分のカバー106内の空間は、ストッパ収容室163とされ、ストッパ5を内部に収容する。ストッパ収容室163の矢印X方向の深さはストッパ5の厚さよりも大きく、ストッパ収容室163はストッパ5全体を内部に収容する。
【0093】
前述した抜け防止部162は、カバー106がアウタハウジング140に取り付けられると、ハウジング本体141との間即ちコネクタハウジング104との間に矢印Xに沿ってストッパ5を挟む。そして、ストッパ5の取り付けられたシールド電線2が矢印X1方向に引っ張られると、矢印X1に沿ってストッパ5と当接して、ストッパ5がカバー106外に出ることを防止する。
【0094】
前述したカバー106は、シールド電線2を内側に通しかつシールド電線2を加締めたストッパ5をストッパ収容室163内に収容した状態で、係止突起161がアウタハウジング140の係止孔149内に係止してアウタハウジング140即ちコネクタハウジング104に取り付けられ、抜け防止部162とコネクタハウジング104との間にストッパ5を挟む。
【0095】
前述したコネクタ101は、接続対象の電子機器のケースに設けられたコネクタ取付部9に取り付けられる。コネクタ取付部9は、絶縁性の合成樹脂等で構成されている。コネクタ取付部9は、図15に示すように、平面形状が正方形状の基壁91と、基壁91の外縁全周から立設した複数の側壁92とを備えている。
【0096】
基壁91の中央には、平面形状が円形状の貫通孔93が貫通している。貫通孔93の内面93aには、コネクタハウジング104のねじ山に螺合するねじ溝(図示せず)が形成されている。また、貫通孔93の側壁92から離れた外縁部には、側壁92と反対方向に突出したハウジング取付部94が全周に亘って形成されている。
【0097】
以下、前述したコネクタ101を組み立てる手順について説明する。まず、前述した第1の実施形態のシールド電線2と同様に、シールド電線2の端末を皮剥きして内線21、22の端末を露出させるとともに、ドレイン線22の露出した部分とドレイン線22のシース24内の一部分とに亘って収縮チューブ27を被せて、内線21、22間の隙間を狭くする(図16)。
【0098】
次いで、図16に示すように、このシールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってカバー106とストッパ5をこの順に通していき、カバー106とストッパ5をシース上に位置付ける(図17)。そして、ストッパ5を前述した所定位置に位置付けた後、治具等を用いてストッパ5を加締めてシース24と金属箔23と内線21、22とを密着させる。
【0099】
続いて、図17に示すように、シールド電線2の端末側からシールド電線2に矢印X1に沿ってマットシール7を通していき、マットシール7をシース24上に位置付ける(図18)。マットシール7の内周面7aがシールド電線2の外表面2aと密着して、マットシール7とシールド電線2との間が水密に保たれる。
【0100】
そして、図18に示すように、電線21の端末を皮剥きして被覆部26を一部除去して芯線25を露出させる。また、ドレイン線22の端末に被せた収縮チューブ27を一部除去してドレイン線22を露出させる。その後、露出した芯線25とドレイン線22とにそれぞれ端子金具103を取り付け(図19)、これら端子金具103をインナハウジング150に取り付ける(図20)。
【0101】
その後、図20に示すように、端子金具103の取り付けられたインナハウジング150に矢印X1に沿ってアウタハウジング140を近づけてインナハウジング150を端子収容室144内に挿入し、端子金具103をアウタハウジング140内に収容するとともに、電気接触部131の先端をアウタハウジング140から突出させる(図21)。
【0102】
また、マットシール7を収容室148内に挿入し段差面148aに当接させて、マットシール7を収容室148内に収容する。マットシール7の外周面7bが収容室148の内面、即ちコネクタハウジング104の内面104aと密着して、マットシール7とコネクタハウジング104との間が水密に保たれる。このとき、ストッパ5がマットシール7から離れすぎているようであれば、シールド電線2をマットシール7内で移動させて矢印X2に沿って押し込んで、内線収容室145内で内線21、22を弛ませるとよい。
【0103】
そして、図21に示すように、カバー106を矢印X2に沿って移動させていき、係止突起161を係止孔149内に通して、カバー106をコネクタハウジング104に取り付ける(図22)。その後、コネクタハウジング104から突出した端子金具103の電気接触部131の先端をFPC8のスルーホール81a内に通し、前記先端とランド81bをハンダ付けして、端子金具103とFPC8を接続する。また、シールド電線2の端末側からアウタハウジング140に矢印X1に沿ってパッキン146を通していき、パッキン146をパッキン溝147に取り付ける。こうして、図15及び図22に示すコネクタ101が組み立てられる。
【0104】
こうして組み立てられたコネクタ101を、コネクタ取付部9に取り付ける。即ち、FPC8をコネクタ取付部9の貫通孔93に通して接続対象の電子機器に接続した後、アウタハウジング140の先端をコネクタ取付部9のハウジング取付部94内に位置付ける。そして、カバー収容部143にレンチを取り付けて回転させ、貫通孔93内にアウタハウジング140をねじ込んでいく。パッキン146がパッキン溝147の内面と側壁92の内面とそれぞれ密着して、コネクタ101とコネクタ取付部9の間が水密に保たれる。
【0105】
このようにコネクタ取付部9に取り付けられたコネクタ101において、シールド電線2が矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2全体に力が作用してシース24の抜けが起こることがなく、シールド電線2全体が引っ張られる。
【0106】
そして、シールド電線2全体が矢印X1方向に引っ張られると、内線収容室145内で弛んでいたシールド電線2が僅かに伸びてシールド電線2がマットシール7内で矢印X1方向に移動し(または、マットシール7がコネクタハウジング104内で矢印X1方向に移動し)、ストッパ5が矢印X1に沿って抜け防止部162に当接して、シールド電線2がコネクタ101から抜け出ることを防止する。
【0107】
さらに、ストッパ5が抜け防止部162に当接した状態でシールド電線2がさらに矢印X1方向に引っ張られると、ストッパ5と当接した抜け防止部162、即ちカバー106が矢印X1方向に引っ張られ、係止孔149の平坦面が係止突起161の平坦面に矢印X1に沿って当接して係止孔149が係止突起161に係止して、シールド電線2がコネクタ101から抜け出ることを防止する。
【0108】
本実施形態においても、前述した第1の実施形態と同様、ストッパ5がシールド電線2を加締めているので、シールド電線2が引っ張られてもシース24の抜けが起こることがなく、さらに、シース24と金属箔23と内線21、22とが密着してシールド電線2内のシール性を向上させることができる。また、このストッパ5がコネクタハウジング104とカバー106との間に挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5がカバー106と当接し、シールド電線2の抜けが起こることがない。したがって、1部品のストッパ5のみの簡単な構造でありながら、シース24の抜けやシールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0109】
コネクタハウジング104と抜け防止部162との間にストッパ5が挟まれているので、シールド電線2が引っ張られるとストッパ5が抜け防止部162と当接する。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0110】
係止突起161と係止孔149とが互いに係止するので、シールド電線2が引っ張られてストッパ5を介してカバー106に力が作用しても、カバー106がコネクタハウジング104から脱落することがない。したがって、シールド電線2の抜けを確実に防止できる。
【0111】
マットシール7がシールド電線2とコネクタハウジング104との間を確実に水密に保ち、水等の水分がシールド電線2の端末に付着することを防止する。したがって、コネクタ101のシール性を向上させることができる。
【0112】
さらに、本実施形態によれば、端子金具103に、接続相手の電子機器のプリント配線板と接続されるFPC8が直接接続されている。前述した第1の実施形態においては、接続対象の電子機器に、コネクタ1と嵌合する相手方のコネクタを設ける必要がある。この相手方のコネクタは、コネクタハウジング4と嵌合するハウジング部と、ハウジング部内に突出した棒状の端子金具とを備えたものである。前記棒状の端子金具は、電子機器内に配される一端部が、前記プリント配線板に接続されたFPCにハンダ付けされて当該FPCと接続し、他端部がコネクタ1の端子金具3と接続する。
【0113】
このように、第1の実施形態のコネクタ1は端子金具3と棒状の端子金具を介してFPCと接続するが、本実施形態のコネクタ101は端子金具103のみを介してFPC8と接続している。このため、棒状の端子金具の分、コネクタ101と電子機器の接続部分を低背化できる。
【0114】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、前述した実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【符号の説明】
【0115】
1 コネクタ
2 シールド電線
2a 外表面
3 端子金具
4 コネクタハウジング
4a 内面
5 ストッパ(加締め部材)
6 カバー
6a 内周面
7 マットシール(シール部材)
7a 内周面
7b 外周面
46 係止突起
64 抜け防止部(突部)
66 係止孔
101 コネクタ
103 端子金具
104 コネクタハウジング
104a 内面
106 カバー
149 係止孔
161 係止突起
162 抜け防止部(突部)
X シールド電線の長手方向
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シールド電線の端末に取り付けられた端子金具を収容するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングから突出した前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記シールド電線を加締める加締め部材と、
前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記コネクタハウジングに取り付けられて該コネクタハウジングとの間に前記加締め部材を挟むカバーと、を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバーに、前記コネクタハウジングとの間に前記シールド電線の長手方向に沿って前記加締め部材を挟む突部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちの一方から前記シールド電線の長手方向に交差する方向に沿って突出した係止突起と、他方に設けられかつ前記係止突起を内部に通す係止孔と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
筒状に形成され、前記シールド電線を内側に通して内周面が前記シールド電線の外表面と密着し、かつ、前記コネクタハウジング内に取り付けられて外周面が前記コネクタハウジングの内面と密着するシール部材を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタ。
【請求項1】
シールド電線の端末に取り付けられた端子金具を収容するコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングから突出した前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記シールド電線を加締める加締め部材と、
前記シールド電線を内側に通し、かつ、前記コネクタハウジングに取り付けられて該コネクタハウジングとの間に前記加締め部材を挟むカバーと、を備えたことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記カバーに、前記コネクタハウジングとの間に前記シールド電線の長手方向に沿って前記加締め部材を挟む突部が設けられたことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記コネクタハウジングと前記カバーとのうちの一方から前記シールド電線の長手方向に交差する方向に沿って突出した係止突起と、他方に設けられかつ前記係止突起を内部に通す係止孔と、を備えたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコネクタ。
【請求項4】
筒状に形成され、前記シールド電線を内側に通して内周面が前記シールド電線の外表面と密着し、かつ、前記コネクタハウジング内に取り付けられて外周面が前記コネクタハウジングの内面と密着するシール部材を備えたことを特徴とする請求項1ないし請求項3のうちいずれか一項に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【公開番号】特開2010−118328(P2010−118328A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−128759(P2009−128759)
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
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