コネクタ
【課題】部品点数を少なくし、組み付け作業の容易化を図り、相手コネクタと嵌合する際に、無理なくスムーズに嵌合作業を行えるようにする。
【解決手段】コネクタハウジング30と、その後部に装着されるリアカバー10とを備える。リアカバーは、左右一対の前部及び後部側壁12、13と、それらの上端間を繋ぐ上壁11とを有し、下面が開口した断面逆U字形をなし、開口するリアカバーの下面から露出する電線10と、後部側壁13と、上壁11とにテープの粘着面が粘着するよう、テープ巻きが施される。
【解決手段】コネクタハウジング30と、その後部に装着されるリアカバー10とを備える。リアカバーは、左右一対の前部及び後部側壁12、13と、それらの上端間を繋ぐ上壁11とを有し、下面が開口した断面逆U字形をなし、開口するリアカバーの下面から露出する電線10と、後部側壁13と、上壁11とにテープの粘着面が粘着するよう、テープ巻きが施される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアカバーを備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図3に示すように、コネクタハウジング100の後部に、2つの半割体110A、110Bを合体させることで構成される半割構造のリアカバー110を装着し、このリアカバー110により、コネクタハウジング100の後部や、その後部から引き出された電線Wなどを保護するようにしたコネクタが開示されている。
【特許文献1】特開2005−339836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、図3に示した上記従来のリアカバー110は、半割構造であるため、部品点数が2点必要であり、部品製造コストや部品管理コストが高くなるという問題がある。また、半割体110A、110Bを合体しつつ、コネクタハウジング100に係合させる必要があるため、装着が面倒である。また、半割体110A、110Bを合体した構造であるため、コネクタハウジング100を相手側コネクタに嵌合させるに当たって、指でリアカバー110を摘んだ際に、結合部分が歪んだりして、指の力をコネクタ嵌合力としてコネクタハウジング100に有効に伝えられなかったり、結合部分の外れをおそれて、強く押圧力を加えることができずに、結果的にコネクタの嵌合を半嵌合の状態で終わらせてしまう可能性もある。実際上、嵌合作業を行いにくい場所でコネクタを嵌合させる場合は、コネクタハウジング100が小さいと、コネクタハウジング100を指でしっかりと摘めないので、リアカバー100を摘んでの嵌合作業を行う必要があり、そのような不具合が起こり得る可能性は極力排除しておくのが望ましい。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なくして、部品製造コストや部品管理コストを低減すると共に、組み付け作業の容易化を図ることができ、しかも、相手コネクタと嵌合する際に、無理なくスムーズに嵌合作業を行うことのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 電線の長手方向の端部に接続された端子が内部に収容固定されると共に前記電線が後端から引き出されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後部に装着されるリアカバーと、
を備え、
前記リアカバーは、該リアカバーが前記コネクタハウジングの後部に装着された際に前記電線を部分的に収容する空間を形成する複数の壁として、前記電線に臨む左側壁部、右側壁部、および上壁部を有し、
前記上壁部は、前記左側壁部と前記右側壁部との間を繋ぐように形成され、
前記電線の前記空間に収容された部分は、開口する前記リアカバーの下面から露出されており、
粘着テープが、前記電線と前記左側壁部と前記右側壁部と前記上壁部とに粘着するように、前記リアカバーが前記電線とともにテープ巻きされていること。
(2) 上記(1)の構成のコネクタにおいて、
前記上壁部は、左右間の幅が前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど狭まった先窄まり形状をなすと共に、前記左側壁部および前記右側壁部は、前記上壁部の先窄まり形状に合わせて、前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど内方に傾斜する、
こと。
(3) 上記(1)または(2)の構成のコネクタにおいて、
前記リアカバーの前記上壁部に、前記上壁部の後端から前端側に向けて延びるスリットが形成されていること。
【0006】
上記(1)の構成のコネクタによれば、リアカバーが1個の部品として構成されているので、部品の製造コストや管理コストを削減することができるとともに、コネクタハウジングの後端から引き出される電線をテープ巻きする際に粘着テープの粘着面が電線に接着することによって、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。
また、リアカバーの左側壁部および右側壁部に2本の指を当てて、リアカバーを摘みながら、リアカバーに押し込み力を加えることにより、コネクタハウジングを相手側のコネクタハウジングに嵌合させることができるので、コネクタハウジングを直接摘んでの嵌合作業がやりづらい場所であっても、嵌合作業がしやすくなり、半嵌合も防止できるようになる。
また、上記(2)の構成のコネクタによれば、前端側から後端側にかけて先窄むリアカバーによって、コネクタハウジングの後端から引き出される電線の可動範囲が制限される。このように電線の可動範囲の自由度を小さくすることによって、コネクタハウジングの後端から引き出した電線の本数が少ない場合でも、リアカバーと電線をテープ巻きにより固定することができる。つまり、少ない本数の電線に効果的にテープの粘着面を接触させることができるため、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。さらに、傾斜した側壁部を指で摘みながら、リアカバーを前に押すので、指の力を有効に嵌合力として、リアカバーからコネクタハウジングに伝えることができ、嵌合が容易に行える。
また、上記(3)の構成のコネクタによれば、リアカバーの上壁部にスリットを設けているので、リアカバーの左側壁部および右側壁部を指で摘んで強く押すことにより、リアカバーの後端側を、より窄ませることができる。従って、コネクタハウジングの後端から引き出した電線の本数が少ない場合でも、電線とリアカバーの側壁部との間の隙間を小さくして電線の可動範囲の自由度を小さくしながら、リアカバーと電線をテープ巻きにより固定することができる。つまり、少ない本数の電線に馴染む形にリアカバーの後端側を変形させながら、テープ巻きできることになり、テープ巻き作業の容易化が図れるし、少ないテープの巻き数で、滑らかなテープ巻き形状を作ることができるようになる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リアカバーを単一部品化したので、部品点数の減少による製造コストや管理コストの低減を図ることができるとともに、コネクタハウジングの後端から引き出される電線をテープ巻きする際にテープの粘着面が電線に接着することによって、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。
【0008】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を、ロックアーム35の根元を含む断面から視た断面図である。
【0011】
本発明の第1実施形態のコネクタは、電線Wの先端に接続された端子(図示略)が内部に収容固定されると共に電線Wが後端から引き出されるコネクタハウジング30と、該コネクタハウジング30の後部に装着されるリアカバー10と、を備えている。コネクタハウジング30の前端面には、端子挿通孔38が形成されており、端子挿通孔38は、相手コネクタのコネクタハウジングがコネクタハウジング30に嵌合する際に、相手コネクタに形成された端子によって挿通される。
【0012】
リアカバー10は、コネクタハウジング30の後端から引き出される電線Wを隠す高さの左右一対の前部側壁12及び後部側壁13と、これら一対の前部側壁12及び後部側壁13の上端間を繋ぐ上壁11とを有し、下面が開口した断面逆U字形をなしている。上壁11は、左右間の幅が、前端11a側から後端11b側へ行くほど狭まった先窄まり形状をなしている。また、左右の前部側壁12は、互いに平行であるものの、左右の後部側壁13は、上壁11の先窄まり形状に合わせて、リアカバー10の前端側から後端側へ行くほど内方に傾斜した傾斜壁として構成されている。このように前端側から後端側にかけて先窄むリアカバー10によって、コネクタハウジングの後端から引き出される電線Wの可動範囲は制限される。
【0013】
また、前部側壁12の前端には、コネクタハウジング30の側壁32の後端面32aに突き当てられる突当部12aが確保され、その突当部12aには、コネクタハウジング30の側壁32の後端面に形成された凹所(図示略)に係合する係合突起14が突設されている。また、上壁11の前端には、コネクタハウジング30の上壁31の後端に設けた被ロック部37に差し込まれてロックするロック片16が突設されている。ロック片16は、外側にロック爪17を向け、互いに間隔をあけて左右一対設けられている。この場合、コネクタハウジング30の被ロック部37は、コネクタハウジング30を相手コネクタのコネクタハウジングに嵌合してロックするためのロックアーム36の後方側の連結部として設けられている。
【0014】
このリアカバー10をコネクタハウジング30に装着するには、リアカバー10を、コネクタハウジング30の後端から引き出された電線Wの上に被せ、その状態で、コネクタハウジング30の後端に向けてリアカバー10の突当部12aを押し付ける。そして、そのままロック片16を、コネクタハウジング30側に差し込んで、コネクタハウジング30側の被ロック部37にロック片16のロック爪17をロックさせる。こうすることにより、コネクタハウジング30にリアカバー10を結合することができる。従って、リアカバー10をコネクタハウジング30に容易に装着することができる。
【0015】
このようにしてリアカバー10が装着されたコネクタハウジング30において、その後端から引き出される電線Wに対してテープ巻きを施す。このとき、開口するリアカバーの下面から露出する電線10と、後部側壁13と、上壁11とにテープの粘着面が粘着するよう、テープ巻きを施す。このようにテープを電線Wに巻きつけることによって、後部側壁13および上壁11によって電線の可動範囲の自由度が小さくなっているため、コネクタハウジングの後端から引き出した電線の本数が少ない場合でも、リアカバーと電線をテープ巻きにより固定することができる。つまり、少ない本数の電線に効果的にテープの粘着面を接触させることができるため、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。
【0016】
また、この状態で、コネクタハウジング30を相手コネクタのコネクタハウジングに嵌合させる場合には、リアカバー10の左右後部側壁13に2本の指を当てて、リアカバー10を摘みながら、リアカバー10を前方へ向けて押し込む。そうすると、リアカバー10を介して、押し込み力がコネクタハウジング30に伝えられることにより、コネクタハウジング30が相手側のコネクタハウジングに嵌合される。
【0017】
このように嵌合作業を行うことにより、コネクタハウジング30を直接摘んでの嵌合作業がやりづらい場所であっても、嵌合作業がしやすくなり、半嵌合も防止できるようになる。その際、指で傾斜した後部側壁13を摘みながら、リアカバー10を前に押すので、指の力を有効に嵌合力として、リアカバー10からコネクタハウジング30に伝えることができ、嵌合が容易に行える。また、リアカバー10の前部側壁12の前端の突当部12aが、コネクタハウジング30の後端面に突き当っているので、指からリアカバー10に伝える前向きの力を、無駄なくコネクタハウジング30に嵌合力として伝えることができ、安定した嵌合作業が可能となる。
【0018】
また、リアカバー10は、1個の部品として構成されているので、部品の製造コストや管理コストを削減することができる。また、リアカバー10をコネクタハウジング30に装着する場合は、リアカバー10の前端をコネクタハウジング30の後端面に突き当てて、ロック片16をコネクタハウジング30側に差し込むだけでよいので、コネクタハウジング30側の被ロック部37として、相手コネクタとロックするためのロックアーム36や、その周囲の形状を利用することにより、コネクタハウジング30側に特別な形状を追加する必要を無くすことができ、既存のコネクタハウジング30にそのままリアカバー10を取り付けることも可能である。
【0019】
<第2実施形態>
図2は第2実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す上面図、(d)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を示す上面図である。
【0020】
このコネクタのリアカバー60では、上壁11に、該上壁11の後端側の幅が小さくなる方向にリアカバー60を撓ませるための複数のスリット19が、上壁11の後端から前端側に向けて延びるように形成されている。それ以外の構成は、前記第1実施形態と全く同じであるので、同一構成要素に同一符号を付して説明を省略する。
【0021】
このコネクタによれば、リアカバー60の上壁11にスリット19を設けているので、図2(d)に示すように、リアカバー60の左右後部側壁13を指で摘んで、矢印Aの方向に内側に強く押すことにより、リアカバー60の後端側を窄ませることができる。従って、コネクタハウジング30の後端から引き出した電線Wの本数が少ない場合でも、電線Wとリアカバー60の後部側壁13との間の隙間を小さくして電線の可動範囲の自由度を小さくしながら、リアカバー60と電線WをテープTを巻き付けることによって固定することができる。つまり、少ない本数の電線Wに馴染む形にリアカバー60の後端側を変形させながら、テープTを巻き付けることができるようになり、テープ巻き作業の容易化が図れるし、少ないテープTの巻き数で、滑らかなテープ巻き形状を作ることができる。
【0022】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を、ロックアーム35の根元を含む断面から視た断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す上面図、(d)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を示す上面図である。
【図3】従来のリアカバー付きコネクタの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
W 電線
10 リアカバー
11 上壁
11a 前端
11b 後端
12 前部側壁
12a 突当部
13 後部側壁
16 ロック片
19 スリット
30 コネクタハウジング
32a 側壁の後端面
37 被ロック部
38 端子挿通孔
【技術分野】
【0001】
本発明は、リアカバーを備えたコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、図3に示すように、コネクタハウジング100の後部に、2つの半割体110A、110Bを合体させることで構成される半割構造のリアカバー110を装着し、このリアカバー110により、コネクタハウジング100の後部や、その後部から引き出された電線Wなどを保護するようにしたコネクタが開示されている。
【特許文献1】特開2005−339836号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、図3に示した上記従来のリアカバー110は、半割構造であるため、部品点数が2点必要であり、部品製造コストや部品管理コストが高くなるという問題がある。また、半割体110A、110Bを合体しつつ、コネクタハウジング100に係合させる必要があるため、装着が面倒である。また、半割体110A、110Bを合体した構造であるため、コネクタハウジング100を相手側コネクタに嵌合させるに当たって、指でリアカバー110を摘んだ際に、結合部分が歪んだりして、指の力をコネクタ嵌合力としてコネクタハウジング100に有効に伝えられなかったり、結合部分の外れをおそれて、強く押圧力を加えることができずに、結果的にコネクタの嵌合を半嵌合の状態で終わらせてしまう可能性もある。実際上、嵌合作業を行いにくい場所でコネクタを嵌合させる場合は、コネクタハウジング100が小さいと、コネクタハウジング100を指でしっかりと摘めないので、リアカバー100を摘んでの嵌合作業を行う必要があり、そのような不具合が起こり得る可能性は極力排除しておくのが望ましい。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、部品点数を少なくして、部品製造コストや部品管理コストを低減すると共に、組み付け作業の容易化を図ることができ、しかも、相手コネクタと嵌合する際に、無理なくスムーズに嵌合作業を行うことのできるコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述した目的を達成するために、本発明に係るコネクタは、下記(1)〜(3)を特徴としている。
(1) 電線の長手方向の端部に接続された端子が内部に収容固定されると共に前記電線が後端から引き出されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後部に装着されるリアカバーと、
を備え、
前記リアカバーは、該リアカバーが前記コネクタハウジングの後部に装着された際に前記電線を部分的に収容する空間を形成する複数の壁として、前記電線に臨む左側壁部、右側壁部、および上壁部を有し、
前記上壁部は、前記左側壁部と前記右側壁部との間を繋ぐように形成され、
前記電線の前記空間に収容された部分は、開口する前記リアカバーの下面から露出されており、
粘着テープが、前記電線と前記左側壁部と前記右側壁部と前記上壁部とに粘着するように、前記リアカバーが前記電線とともにテープ巻きされていること。
(2) 上記(1)の構成のコネクタにおいて、
前記上壁部は、左右間の幅が前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど狭まった先窄まり形状をなすと共に、前記左側壁部および前記右側壁部は、前記上壁部の先窄まり形状に合わせて、前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど内方に傾斜する、
こと。
(3) 上記(1)または(2)の構成のコネクタにおいて、
前記リアカバーの前記上壁部に、前記上壁部の後端から前端側に向けて延びるスリットが形成されていること。
【0006】
上記(1)の構成のコネクタによれば、リアカバーが1個の部品として構成されているので、部品の製造コストや管理コストを削減することができるとともに、コネクタハウジングの後端から引き出される電線をテープ巻きする際に粘着テープの粘着面が電線に接着することによって、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。
また、リアカバーの左側壁部および右側壁部に2本の指を当てて、リアカバーを摘みながら、リアカバーに押し込み力を加えることにより、コネクタハウジングを相手側のコネクタハウジングに嵌合させることができるので、コネクタハウジングを直接摘んでの嵌合作業がやりづらい場所であっても、嵌合作業がしやすくなり、半嵌合も防止できるようになる。
また、上記(2)の構成のコネクタによれば、前端側から後端側にかけて先窄むリアカバーによって、コネクタハウジングの後端から引き出される電線の可動範囲が制限される。このように電線の可動範囲の自由度を小さくすることによって、コネクタハウジングの後端から引き出した電線の本数が少ない場合でも、リアカバーと電線をテープ巻きにより固定することができる。つまり、少ない本数の電線に効果的にテープの粘着面を接触させることができるため、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。さらに、傾斜した側壁部を指で摘みながら、リアカバーを前に押すので、指の力を有効に嵌合力として、リアカバーからコネクタハウジングに伝えることができ、嵌合が容易に行える。
また、上記(3)の構成のコネクタによれば、リアカバーの上壁部にスリットを設けているので、リアカバーの左側壁部および右側壁部を指で摘んで強く押すことにより、リアカバーの後端側を、より窄ませることができる。従って、コネクタハウジングの後端から引き出した電線の本数が少ない場合でも、電線とリアカバーの側壁部との間の隙間を小さくして電線の可動範囲の自由度を小さくしながら、リアカバーと電線をテープ巻きにより固定することができる。つまり、少ない本数の電線に馴染む形にリアカバーの後端側を変形させながら、テープ巻きできることになり、テープ巻き作業の容易化が図れるし、少ないテープの巻き数で、滑らかなテープ巻き形状を作ることができるようになる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、リアカバーを単一部品化したので、部品点数の減少による製造コストや管理コストの低減を図ることができるとともに、コネクタハウジングの後端から引き出される電線をテープ巻きする際にテープの粘着面が電線に接着することによって、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。
【0008】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための最良の形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明に係る好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
<第1実施形態>
図1は第1実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を、ロックアーム35の根元を含む断面から視た断面図である。
【0011】
本発明の第1実施形態のコネクタは、電線Wの先端に接続された端子(図示略)が内部に収容固定されると共に電線Wが後端から引き出されるコネクタハウジング30と、該コネクタハウジング30の後部に装着されるリアカバー10と、を備えている。コネクタハウジング30の前端面には、端子挿通孔38が形成されており、端子挿通孔38は、相手コネクタのコネクタハウジングがコネクタハウジング30に嵌合する際に、相手コネクタに形成された端子によって挿通される。
【0012】
リアカバー10は、コネクタハウジング30の後端から引き出される電線Wを隠す高さの左右一対の前部側壁12及び後部側壁13と、これら一対の前部側壁12及び後部側壁13の上端間を繋ぐ上壁11とを有し、下面が開口した断面逆U字形をなしている。上壁11は、左右間の幅が、前端11a側から後端11b側へ行くほど狭まった先窄まり形状をなしている。また、左右の前部側壁12は、互いに平行であるものの、左右の後部側壁13は、上壁11の先窄まり形状に合わせて、リアカバー10の前端側から後端側へ行くほど内方に傾斜した傾斜壁として構成されている。このように前端側から後端側にかけて先窄むリアカバー10によって、コネクタハウジングの後端から引き出される電線Wの可動範囲は制限される。
【0013】
また、前部側壁12の前端には、コネクタハウジング30の側壁32の後端面32aに突き当てられる突当部12aが確保され、その突当部12aには、コネクタハウジング30の側壁32の後端面に形成された凹所(図示略)に係合する係合突起14が突設されている。また、上壁11の前端には、コネクタハウジング30の上壁31の後端に設けた被ロック部37に差し込まれてロックするロック片16が突設されている。ロック片16は、外側にロック爪17を向け、互いに間隔をあけて左右一対設けられている。この場合、コネクタハウジング30の被ロック部37は、コネクタハウジング30を相手コネクタのコネクタハウジングに嵌合してロックするためのロックアーム36の後方側の連結部として設けられている。
【0014】
このリアカバー10をコネクタハウジング30に装着するには、リアカバー10を、コネクタハウジング30の後端から引き出された電線Wの上に被せ、その状態で、コネクタハウジング30の後端に向けてリアカバー10の突当部12aを押し付ける。そして、そのままロック片16を、コネクタハウジング30側に差し込んで、コネクタハウジング30側の被ロック部37にロック片16のロック爪17をロックさせる。こうすることにより、コネクタハウジング30にリアカバー10を結合することができる。従って、リアカバー10をコネクタハウジング30に容易に装着することができる。
【0015】
このようにしてリアカバー10が装着されたコネクタハウジング30において、その後端から引き出される電線Wに対してテープ巻きを施す。このとき、開口するリアカバーの下面から露出する電線10と、後部側壁13と、上壁11とにテープの粘着面が粘着するよう、テープ巻きを施す。このようにテープを電線Wに巻きつけることによって、後部側壁13および上壁11によって電線の可動範囲の自由度が小さくなっているため、コネクタハウジングの後端から引き出した電線の本数が少ない場合でも、リアカバーと電線をテープ巻きにより固定することができる。つまり、少ない本数の電線に効果的にテープの粘着面を接触させることができるため、リアカバーと電線をテープ巻きにより強固に固定することができる。
【0016】
また、この状態で、コネクタハウジング30を相手コネクタのコネクタハウジングに嵌合させる場合には、リアカバー10の左右後部側壁13に2本の指を当てて、リアカバー10を摘みながら、リアカバー10を前方へ向けて押し込む。そうすると、リアカバー10を介して、押し込み力がコネクタハウジング30に伝えられることにより、コネクタハウジング30が相手側のコネクタハウジングに嵌合される。
【0017】
このように嵌合作業を行うことにより、コネクタハウジング30を直接摘んでの嵌合作業がやりづらい場所であっても、嵌合作業がしやすくなり、半嵌合も防止できるようになる。その際、指で傾斜した後部側壁13を摘みながら、リアカバー10を前に押すので、指の力を有効に嵌合力として、リアカバー10からコネクタハウジング30に伝えることができ、嵌合が容易に行える。また、リアカバー10の前部側壁12の前端の突当部12aが、コネクタハウジング30の後端面に突き当っているので、指からリアカバー10に伝える前向きの力を、無駄なくコネクタハウジング30に嵌合力として伝えることができ、安定した嵌合作業が可能となる。
【0018】
また、リアカバー10は、1個の部品として構成されているので、部品の製造コストや管理コストを削減することができる。また、リアカバー10をコネクタハウジング30に装着する場合は、リアカバー10の前端をコネクタハウジング30の後端面に突き当てて、ロック片16をコネクタハウジング30側に差し込むだけでよいので、コネクタハウジング30側の被ロック部37として、相手コネクタとロックするためのロックアーム36や、その周囲の形状を利用することにより、コネクタハウジング30側に特別な形状を追加する必要を無くすことができ、既存のコネクタハウジング30にそのままリアカバー10を取り付けることも可能である。
【0019】
<第2実施形態>
図2は第2実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す上面図、(d)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を示す上面図である。
【0020】
このコネクタのリアカバー60では、上壁11に、該上壁11の後端側の幅が小さくなる方向にリアカバー60を撓ませるための複数のスリット19が、上壁11の後端から前端側に向けて延びるように形成されている。それ以外の構成は、前記第1実施形態と全く同じであるので、同一構成要素に同一符号を付して説明を省略する。
【0021】
このコネクタによれば、リアカバー60の上壁11にスリット19を設けているので、図2(d)に示すように、リアカバー60の左右後部側壁13を指で摘んで、矢印Aの方向に内側に強く押すことにより、リアカバー60の後端側を窄ませることができる。従って、コネクタハウジング30の後端から引き出した電線Wの本数が少ない場合でも、電線Wとリアカバー60の後部側壁13との間の隙間を小さくして電線の可動範囲の自由度を小さくしながら、リアカバー60と電線WをテープTを巻き付けることによって固定することができる。つまり、少ない本数の電線Wに馴染む形にリアカバー60の後端側を変形させながら、テープTを巻き付けることができるようになり、テープ巻き作業の容易化が図れるし、少ないテープTの巻き数で、滑らかなテープ巻き形状を作ることができる。
【0022】
尚、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を、ロックアーム35の根元を含む断面から視た断面図である。
【図2】本発明の第2実施形態のコネクタの構成図で、(a)はリアカバー単体の構成を示す斜視図、(b)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す外観斜視図、(c)はリアカバーをコネクタハウジングに装着した状態を示す上面図、(d)はリアカバーの後端と電線をテープ巻きした状態を示す上面図である。
【図3】従来のリアカバー付きコネクタの構成を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0024】
W 電線
10 リアカバー
11 上壁
11a 前端
11b 後端
12 前部側壁
12a 突当部
13 後部側壁
16 ロック片
19 スリット
30 コネクタハウジング
32a 側壁の後端面
37 被ロック部
38 端子挿通孔
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線の長手方向の端部に接続された端子が内部に収容固定されると共に前記電線が後端から引き出されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後部に装着されるリアカバーと、
を備え、
前記リアカバーは、該リアカバーが前記コネクタハウジングの後部に装着された際に前記電線を部分的に収容する空間を形成する複数の壁として、前記電線に臨む左側壁部、右側壁部、および上壁部を有し、
前記上壁部は、前記左側壁部と前記右側壁部との間を繋ぐように形成され、
前記電線の前記空間に収容された部分は、開口する前記リアカバーの下面から露出されており、
粘着テープが、前記電線と前記左側壁部と前記右側壁部と前記上壁部とに粘着するように、前記リアカバーが前記電線とともにテープ巻きされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記上壁部は、左右間の幅が前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど狭まった先窄まり形状をなすと共に、前記左側壁部および前記右側壁部は、前記上壁部の先窄まり形状に合わせて、前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど内方に傾斜する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記リアカバーの前記上壁部に、前記上壁部の後端から前端側に向けて延びるスリットが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【請求項1】
電線の長手方向の端部に接続された端子が内部に収容固定されると共に前記電線が後端から引き出されたコネクタハウジングと、
前記コネクタハウジングの後部に装着されるリアカバーと、
を備え、
前記リアカバーは、該リアカバーが前記コネクタハウジングの後部に装着された際に前記電線を部分的に収容する空間を形成する複数の壁として、前記電線に臨む左側壁部、右側壁部、および上壁部を有し、
前記上壁部は、前記左側壁部と前記右側壁部との間を繋ぐように形成され、
前記電線の前記空間に収容された部分は、開口する前記リアカバーの下面から露出されており、
粘着テープが、前記電線と前記左側壁部と前記右側壁部と前記上壁部とに粘着するように、前記リアカバーが前記電線とともにテープ巻きされていることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記上壁部は、左右間の幅が前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど狭まった先窄まり形状をなすと共に、前記左側壁部および前記右側壁部は、前記上壁部の先窄まり形状に合わせて、前記リアカバーの前端側から後端側へ行くほど内方に傾斜する、
ことを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記リアカバーの前記上壁部に、前記上壁部の後端から前端側に向けて延びるスリットが形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図2】
【図3】
【公開番号】特開2010−33946(P2010−33946A)
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−196244(P2008−196244)
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月30日(2008.7.30)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]