説明

コネクタ

【課題】コネクタにおいて、比較的少ない部品点数で結合確認機構を構成すると共に、相手方部材を抜脱不能に固定するロック部材の移動量を小さくしてコンパクト化を実現する。
【解決手段】コネクタ1は、パイプ2が挿入される挿入孔4を有するハウジング3と、ハウジングに取り付けられ、パイプによって初期位置からロック位置に駆動されて、当該ロック位置でパイプを抜脱不能に固定するロック部材5と、ハウジングに設けられ、ロック部材とは色彩の異なる表示片74,74を有する識別部材6とを備え、ロック部材が、その初期位置において表示片を遮蔽する一方、そのロック位置において表示片を露出させる構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相手方部材との結合完了を確認可能なコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、相手方部材との結合完了を使用者に確認させるための結合確認機構を備えたコネクタとして、例えば、コネクタハウジングと、このコネクタハウジングに出没自在に嵌入され、パイプ体(相手方部材)がコネクタハウジングに挿入された際にその抜け止めを行うリテーナ(ロック部材)とを備え、リテーナは、初期状態においてコネクタハウジングから突出位置にあり、パイプ体がコネクタハウジングに挿入された際に、当該パイプ体の環状係合突部と係合することにより、没入位置まで移動するものが知られている(特許文献1参照)。このリテーナは、パイプ体の環状係合突部との係合により外側に押し広げられる一対の脚部と、この脚部の変位にともなって変形することにより、リテーナ本体を没入位置側へ付勢するバネ力を発生するバネ部とを有している。
【0003】
この従来のコネクタによれば、使用者は、リテーナの位置(すなわち、リテーナが突出位置または没入位置のいずれにあるか)により、コネクタと相手方部材との結合が完了したか否かを認識することができ、比較的少ない部品点数で結合確認機構を実現できるという利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−316944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記従来技術において、使用者に結合の完了をより容易かつ明確に確認させるためには、突出位置と没入位置と間のリテーナの変位量をできる限り大きく確保する必要がある。しかしながら、そのようなリテーナの変位量の増大は、コネクタの大型化やコネクタに対するパイプ体の挿入抵抗の増大を招くという問題があった。
【0006】
また、上記従来技術では、リテーナの移動をバネ部の付勢によって行う構成であるため、バネ部の付勢力が経年劣化等によって低下すると、使用者が結合確認を正常に行えなくなるという問題もあった。
【0007】
本発明は、このような従来技術の課題を鑑みて案出されたものであり、比較的少ない部品点数で結合確認機構を構成し、しかもコネクタハウジングに挿入された相手方部材を抜脱不能に固定するロック部材の移動量が小さくコンパクトなコネクタを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するためになされた第1の発明は、相手方部材(2)との結合状態を確認可能なコネクタ(1)であって、前記相手方部材が挿入される挿入孔(4)を有するハウジング(3)と、前記ハウジングに取り付けられ、前記挿入孔に挿入された前記相手方部材によって初期位置からロック位置に駆動されて、当該ロック位置で当該相手方部材を抜脱不能に固定するロック部材(5)と、前記ハウジングに設けられ、前記ロック部材とは色彩の異なる結合完了表示部(74)を有する識別部材(6)とを備え、前記ロック部材は、前記初期位置において前記結合完了表示部を遮蔽する一方、前記ロック位置において前記結合完了表示部を露出させる構成とする。
【0009】
また、第2の発明として、前記ロック部材は、前記初期位置において前記ハウジングの外形よりも外側に突出し、前記ロック位置において前記ハウジングの外形と面一またはそれよりも内側に収容される構成とすることができる。
【0010】
また、第3の発明として、前記ロック部材は、前記初期位置において前記ハウジングの外形よりも外側に突出し、その突出量が前記ロック位置において変化する構成とすることができる。
【0011】
また、第4の発明として、前記ロック部材は、前記初期位置において前記ハウジングの所定部位から突出し、前記ロック位置において前記ハウジングの前記所定部位とは異なる部位から突出する構成とすることができる。
【0012】
また、第5の発明として、前記ロック部材は、前記ハウジングに係止可能な被係止部(43)を有し、前記被係止部は、前記ロック部材が初期位置にある場合には前記ハウジングに係止されず、前記ロック部材が前記ロック位置にある場合に前記ハウジングに係止される構成とすることができる。
【0013】
また、第6の発明として、前記ハウジングは、前記ロック部材の被係止部を係止する係止部(24)を有し、前記被係止片部は、前記ロック部材が前記初期位置から前記ロック位置まで移動する際に、当該ロック部材の弾性変形により、前記係止部の一側の非係止位置から当該係止部を乗り越えるようにしてその他側の係止位置まで移動する構成とすることができる。
【0014】
また、第7の発明は、前記ハウジングは、前記結合完了表示部を露出する第1の表示開口(23)を有し、前記ロック部材は、前記初期位置において前記第1の表示開口と重ならず、且つ前記ロック位置において前記第1の表示開口と重なる第2の表示開口(61)を有する構成とすることができる。
【0015】
また、第8の発明は、相手方部材(2)との結合状態を確認可能なコネクタ(1)であって、前記相手方部材が挿入される挿入孔(4)を有するハウジング(3)と、前記ハウジングに取り付けられ、前記挿入孔に挿入された前記相手方部材によって初期位置からロック位置に駆動されて、当該ロック位置で当該相手方部材を抜脱不能に固定するロック部材(5)と、前記ハウジングに設けられ、前記ロック部材とは色彩の異なる結合完了表示部(74)を有する識別部材(6)とを備え、前記ロック部材は、前記初期位置において前記結合完了表示部を露出させる一方、前記ロック位置において前記結合完了表示部を遮蔽する構成とする。
【発明の効果】
【0016】
上記第1及び第8の発明によれば、相手方部材によって初期位置からロック位置に駆動されるロック部材と、このロック部材とは色彩の異なる結合完了表示部を有する識別部材とを備え、当該結合完了表示部が、初期位置にあるロック部材によって遮蔽される(または露出する)一方、ロック部材がロック位置に移動した際に露出する(または遮蔽される)構成としたため、比較的少ない部品点数で結合確認機構を構成することができ、しかもロック部材の移動量が小さくコンパクトなコネクタを実現することができるという優れた作用効果を奏する。
また、上記第2の発明によれば、識別部材の結合完了表示部の遮蔽状態または露出状態と、ロック部材の突出状態または収容状態とによって、使用者は結合状態の確認をより確実に行うことが可能となる。
また、上記第3の発明によれば、識別部材の結合完了表示部の遮蔽状態または露出状態と、ロック部材の突出量の変化とによって、使用者は結合状態の確認をより確実に行うことが可能となる。
また、上記第4の発明によれば、識別部材の結合完了表示部の遮蔽状態または露出状態と、ロック部材の突出位置の変化とによって、使用者は結合状態の確認をより確実に行うことが可能となる。
また、上記第5の発明によれば、ロック部材をロック位置に保持可能として、相手方部材の抜脱を防止することができる。
また、上記第6の発明によれば、簡易な構成により、ロック部材をロック位置に安定的に保持可能となる。
また、上記第7の発明によれば、簡易な構成により、ロック部材の位置に対応して結合完了表示部の遮蔽または露出を実現することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1実施形態に係る(A)非結合状態および(B)結合完了状態のコネクタを示す斜視図である。
【図2】第1実施形態に係るコネクタの分解斜視図である。
【図3】ロック部材の(A)前面側から見た斜視図および(B)背面図である。
【図4】第1実施形態に係る非結合状態のコネクタの断面斜視図である。
【図5】第1実施形態に係る結合途中のコネクタの断面斜視図である。
【図6】第1実施形態に係る結合完了状態のコネクタの断面斜視図である。
【図7】第1実施形態に係る結合完了状態のコネクタの断面図である。
【図8】第1実施形態に係るコネクタの変形例を示す斜視図である。
【図9】第2実施形態に係るコネクタにおけるロック部材の斜視図である。
【図10】第2実施形態に係るコネクタの底面図である。
【図11】第2実施形態に係る(A)非結合状態および(B)結合完了状態のコネクタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
<第1実施形態>
以下、本発明の第1実施形態に係るコネクタについて図1から図8を参照しながら説明する。説明にあたり、方向を示す用語については、図1中に示した方向に従うものとする。
【0019】
図1または図2に示すように、コネクタ1は、流体を輸送するパイプ2と結合されるものであり、その本体をなすハウジング3と、このハウジング3の挿入孔4に挿入されたパイプ2を抜脱不能に固定するロック部材5と、パイプ2とハウジング3との結合状態を使用者が目視確認可能なように表示する識別部材6とを主として備える。コネクタ1を構成する各部材3,5,6は、それぞれ合成樹脂材料から形成され、左右対称の形状を有している。
【0020】
パイプ2は、金属や合成樹脂等からなり、その先端側の外周面には、コネクタ1との結合に用いられる円環状の鍔部11が突設されている。パイプ2は、コネクタ1との結合またはその解除に際し、コネクタ1に対して前後方向に相対移動する。
【0021】
ハウジング3は、その先端部に図示しない他の配管等を接続可能な管状のジョイント部12と、このジョイント部12の後端に連なり、パイプ2の挿入孔4が形成された挿入部14とを有している。ジョイント部12は、その先端に向けて段階的に縮径されていると共に、その後部の内壁には、図4に示すように、流路を密閉するためのOリング15,16が円環状のブッシュ17を介して装着されている。
【0022】
図2に示すように、挿入部14の上部には、ロック部材5が挿入される上部開口21が形成されている。また、挿入部14の左右壁22,22には、上下方向に所定の間隔で互いに連なるように、複数(ここでは、4つ)の表示開口23がそれぞれ左右方向に貫通するように形成されている。左右壁22,22において、各表示開口23の間に位置する間隙部22aの上下方向(ロック部材5の移動方向)の幅は、各表示開口23の幅と同一となるように設けられている。また、挿入部14の後壁25において、挿入孔4の下側に位置する下部の前面には、後述するロック部材5の被係止部43を係止する係止爪24(図4参照)が前方に突設されている。
【0023】
ロック部材5は、ハウジング3に対してその上部開口21内で上下移動可能なように取り付けられ、図3にも示すように、パイプ2の挿入孔31が形成された環状の本体部32と、この本体部32の左右側面に沿ってその上部からそれぞれ下方に延設された左右一対の腕部33,33とを有している。
【0024】
図2に示すように、本体部32は、その後壁32aよりも前方に配置され、パイプ2の挿入孔31の下部を画成する弾性ロック片41を有している。弾性ロック片41は、略U字形を呈し、上下方向に延在する左右一対のパイプ当接部42,42と、これらパイプ当接部42,42の下端を連結する被係止部43とを主として有する。図3(A)に示すように、パイプ当接部42,42は、撓曲容易に設けられた撓曲部44,44を介して本体部32の左右側壁の内面にそれぞれ接続されており、これにより、被係止部43と共に前後方向(パイプ2の挿脱方向)に変位可能となっている。被係止部43は、前後方向から見て中央部43aの厚みが左右側部の厚みよりも小さくなるように形成されている。
【0025】
また、図3(B)に示すように、本体部32の後壁32aは、上方に凸状をなす半円弧状に切り欠かれることにより、パイプ2の挿入孔31の上部を画成する。また、本体部32の後壁32aには、後方に向けてガイド突起51が突設されている。ガイド突起51は、ハウジング3の挿入部14の後壁に形成された縦溝52(図4参照)内に摺動可能に保持され、これにより、ロック部材5の上下移動がガイドされる。
【0026】
腕部33,33は、それぞれの下部が内側に湾曲して形成された段部33aを有している。この段部33aは、ロック部材5がハウジング3に取り付けられた際に、ハウジング3の左右壁22,22に設けられた凹部55(図2参照)内に保持される。これにより、ロック部材5のハウジングからの離脱が防止される。
【0027】
また、腕部33,33には、ハウジング3の左右壁22,22における表示開口23と略同一の構成を有する表示開口61がそれぞれ形成されている。表示開口61は、腕部33,33において上下方向に所定の間隔で互いに連なるように複数(ここでは、4つ)形成されている。また、腕部33,33において、各表示開口61の間に位置する間隙部33aの上下方向(ロック部材5の移動方向)の幅は、各表示開口61の幅と同一となるように設けられている。
【0028】
識別部材6は、図2に示すように、パイプ2の挿入孔71が形成された環状の本体部72と、この本体部72の前面から突設された環状凸部73と、本体部72の左右側縁からそれぞれ後方に向けて延設された一対の表示片74,74と、本体部72の後面から突設された複数の円弧状のパイプ規制部75とを主として有している。識別部材6は、環状凸部73がハウジング3のジョイント部12の開口12aに後方から嵌入されることにより、ハウジング3に対して取り付けられる。
【0029】
識別部材6において、少なくとも表示片74,74は、パイプ2との結合の完了を表示すべく、ロック部材5(少なくとも、表示開口61が形成された腕部33,33の表面)と色彩が異なるように設けられている。例えば、ロック部材5の外表面を黒色とした場合、表示片74,74の色を視認性の高い赤色とすることができる。また、表示片74,74は、ロック部材5の本体部32の左右側面と腕部33,33との間隙G(図3(B)参照)に挿入されると共に、ハウジング3の左右壁22,22と対峙するようにそれらの内側にそれぞれ配置されている。したがって、表示片74,74は、ロック部材5をハウジング3に取り付けていない状態では、ハウジング3の表示開口23から露出する。
【0030】
次に、上記構成のコネクタ1とパイプ2との結合動作の詳細について説明する。
【0031】
図4に示すように、非結合状態(すなわち、パイプ2と結合前)のコネクタ1では、ロック部材5は、その本体部32の上部がハウジング3の上部開口21から突出した上昇位置(初期位置)にある。このとき、ロック部材5は、その段部33a(図3(B)参照)がハウジング3の凹部55(図2参照)の上面に当接し、その上方への移動が規制されている。また、このとき、ロック部材5における弾性ロック片41の被係止部43は、非係止位置に位置にあり、その中央部43a(図2参照)がハウジングの係止爪24の上面24aに当接した状態にある。これにより、ロック部材5は下方への移動も規制されている。
【0032】
また、ロック部材5が上昇位置にある場合には、腕部33,33における各表示開口61は、その内側に位置するハウジング3の各表示開口23に対して表示開口23の1つ分の幅だけ上側にずれた状態にある。これにより、表示開口61からは各表示開口23の間に位置する各間隙部22aが露出されている。各間隙部22aは、ロック部材5(少なくとも、表示開口61が形成された腕部33,33の表面)と色彩が同一となるように形成されており、これにより、使用者は、表示開口61には何も表示されていない(すなわち、コネクタ1は非結合状態である)と認識する。
【0033】
使用者がハウジング3の挿入孔4にパイプ2を挿入する際には、パイプ2の外周面が識別部材6の挿入孔71やブッシュ17の内周面に摺接することにより、そのパイプ2の挿入がガイドされる。図5に示すように、ハウジング3に対するパイプ2の挿入途中において、パイプ2の鍔部11がロック部材5における弾性ロック片41のパイプ当接部42(図4参照)に当接する。より詳細には、パイプ当接部42の上部には、その後部内側が斜めに切り欠かれて当接面81(図4参照)がそれぞれ形成されており、この当接面81にパイプ2の鍔部11が当接する。
【0034】
図5に示した状態から、使用者がパイプ2を更に前方に押し込むと、前方へ移動する鍔部11が当接面81を押圧することにより、ロック部材5には、自身を下向きに移動させる力と共に、その撓曲部44(図4参照)を弾性変形させて弾性ロック片(被係止部43)を前方に変位させる力が作用する。これにより、図6および図7に示すように、弾性ロック片41の被係止部43が係止爪24を乗り越えて係止位置に移動し、当該係止爪24の下側の傾斜面24bに当接する。これにより、ロック部材5は、上方への移動が規制され、下降位置に安定的に保持される。
【0035】
このとき、ロック部材5は、その本体部32がハウジング3の上部開口21内に収容された下降位置(ロック位置)にある。そして、図7に示すように、ロック部材5の本体部32における後壁32aと識別部材6のパイプ規制部75との間にパイプ2の鍔部11が挟持された状態となる。また、このとき、腕部33,33における各表示開口61が、内側のハウジング3の各表示開口23に対して重なった状態となる。ここでは、ロック部材5の上昇位置から下降位置への移動量は、表示開口23の1つ分の幅に設定されている。これにより、表示開口23および表示開口61を介して識別部材6の表示片74,74の一部が露出され、使用者は、表示開口61に結合完了表示がなされた(すなわち、コネクタ1は結合完了状態である)と認識する。このようにして、コネクタ1とパイプ2との結合が完了する。
【0036】
なお、ロック部材5における本体部32の上壁の前縁には切欠き部91が形成されており、使用者は、切欠き部91に所定の工具を差し込むことにより、ロック部材5に上向きの力を作用させることができる。これにより、ロック部材5は、その被係止部43が係止爪24の下側の傾斜面24bに沿って弾性変形し、ハウジングの係止爪24による係止が解除されて、図4に示した上昇位置に再び移動する。
【0037】
上記コネクタ1では、パイプ2によって上昇位置から下降位置に駆動されるロック部材5と、このロック部材5とは色彩の異なる表示片74,74を有する識別部材6とを備え、当該表示片74,74が、初期位置にあるロック部材5によって遮蔽される一方、ロック部材5が下降位置に移動した際に露出する構成としたため、比較的少ない部品点数で結合確認機構を構成することができ、しかもロック部材5の移動量が小さくコンパクトな構成とすることが可能となる。この場合、使用者は、必ずしもロック部材5の位置変化によらず、表示開口61内の色彩の変化により、コネクタ1の結合状態を確認できるという利点がある。
【0038】
なお、結合完了表示方法の変形例として、表示開口23,61の配置等を変更することにより、表示片74,74が、初期位置にあるロック部材5によって露出する一方、ロック部材5が下降位置に移動した際に遮蔽される構成としてもよい。また、識別部材6は、必ずしも独立した部材として設ける必要はなく、例えば、ハウジング3と一体に形成することも可能である。なお、表示片74,74は、上述のようなロック部材5と色彩の異なる構成に限定されるものではなく、例えば、使用者に認識可能な文字、記号及び図形等を表示開口23,61から表示するものであってもよい。
【0039】
また、上記コネクタ1では、ロック部材5は、上昇位置においてハウジング3の外形よりも外側に突出し、下降位置においてハウジング3の外形と面一またはそれよりも内側に収容される構成としたため、使用者は、識別部材6の表示片74,74の遮蔽状態または露出状態と、ロック部材5の突出状態または収容状態とによって、結合状態の確認をより確実に行うことが可能となる。この場合、使用者は、ロック部材5の突出状態または収容状態を、必ずしも目視によらず指先等の触覚により確認できるという利点がある。
【0040】
上記のような第1の実施形態の変形例として、図8に示すように、ロック部材5が、上昇位置においてハウジング3の外形よりも外側に突出し、その突出量が下降位置において変化する(すなわち、ロック部材5はハウジング内に完全には収容されない)構成も可能である。ここでは、ロック部材5の突出量は、図8(B)に示すコネクタ1の結合状態において図8(A)に示すコネクタ1の非結合状態よりも減少しているが、逆にコネクタ1の結合時にその突出量が増大する構成も可能である。
【0041】
このような変形例の構成により、使用者は、識別部材6の表示片74,74の遮蔽状態または露出状態と、ロック部材5の突出量の変化とによって、結合状態の確認をより確実に行うことが可能となる。この場合、使用者は、ロック部材5の突出量を、必ずしも目視によらず指先等の触覚により確認できるという利点がある。
【0042】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るコネクタについて、図9から図11を参照しながら説明する。この第2実施形態において、上記第1実施形態と同様の構成要素については、図示を省略するか或いは同一の符号が付してあり、それらの構成や機能については以下で言及する事項を除いて上記第1実施形態の場合と同様とする。
【0043】
第2実施形態に係るコネクタ1では、図9に示すように、ロック部材5の構成が第1実施形態の場合とは異なる。図9において、ロック部材5は、腕部33,33において段部33aの下方に位置する下端部33bが、図2に示したロック部材5よりも下方に延長されている。また、図10に示すように、ハウジング3の挿入部14の下面には、その腕部33,33の下端部33bに対応する位置に一対の突出開口95が設けられている。
【0044】
これにより、第1実施形態と同様にコネクタ1とパイプ2との結合の際にロック部材5が下降すると、図11に示すように、腕部33,33の下端部33bがハウジング3の突出開口95からそれぞれ突出する。
【0045】
このような第2実施形態の構成により、使用者は、識別部材6の表示片74,74の遮蔽状態または露出状態と、ロック部材5の突出位置の変化とによって、使用者は結合状態の確認をより確実に行うことが可能となる。この場合、図11(A)に示すコネクタ1の非結合状態においてロック部材5(より詳細には、本体部32の上部)が突出する部位(すなわち、上部開口21)が、ハウジング3の一方側(上側)に設けられる一方、図11(B)に示すコネクタ1の結合完了状態においてロック部材5(より詳細には、その脚部33,33の下端部33b)が突出する部位(すなわち、突出開口95)が、ハウジング3の他方側(下側)に設けられた構成としたため、使用者は、ロック部材5の突出位置の変化を指先等の触覚によっても容易に確認できるという利点がある。
【0046】
本発明を特定の実施形態に基づいて詳細に説明したが、上記実施形態はあくまでも例示であって、本発明はこれらの実施形態によって限定されるものではない。例えば、本発明に係るコネクタの結合対象となる相手方部材は、上記パイプ2に限らず、種々の変更が可能である。なお、上記実施形態に示した本発明に係るコネクタの各構成要素は、必ずしも全てが必須ではなく、少なくとも本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて適宜取捨選択することが可能である。
【符号の説明】
【0047】
1 コネクタ
2 パイプ(相手方部材)
3 ハウジング
4 挿入孔
5 ロック部材
6 識別部材
11 鍔部
21 上部開口
22a 間隙部
23 表示開口(第1の表示開口)
24 係止爪
33 腕部
41 弾性ロック片
42 パイプ当接部
43 被係止部
61 表示開口(第2の表示開口)
74 表示片(結合完了表示部)
81 当接面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相手方部材との結合状態を確認可能なコネクタであって、
前記相手方部材が挿入される挿入孔を有するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記挿入孔に挿入された前記相手方部材によって初期位置からロック位置に駆動されて、当該ロック位置で当該相手方部材を抜脱不能に固定するロック部材と、
前記ハウジングに設けられ、前記相手方部材との結合の完了を表示する結合完了表示部を有する識別部材と
を備え、
前記ロック部材は、前記初期位置において前記結合完了表示部を遮蔽する一方、前記ロック位置において前記結合完了表示部を露出させることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロック部材は、前記初期位置において前記ハウジングの外形よりも外側に突出し、前記ロック位置において前記ハウジングの外形と面一またはそれよりも内側に収容されることを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ロック部材は、前記初期位置において前記ハウジングの外形よりも外側に突出し、その突出量が前記ロック位置において変化することを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記ロック部材は、前記初期位置において前記ハウジングの所定部位から突出し、前記ロック位置において前記ハウジングの前記所定部位とは異なる部位から突出することを特徴とする、請求項1に記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ロック部材は、前記ハウジングに係止可能な被係止部を有し、
前記被係止部は、前記ロック部材が初期位置にある場合には前記ハウジングに係止されず、前記ロック部材が前記ロック位置にある場合に前記ハウジングに係止されることを特徴とする、請求項1から請求項4のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項6】
前記ハウジングは、前記ロック部材の被係止部を係止する係止部を有し、
前記被係止片部は、前記ロック部材が前記初期位置から前記ロック位置まで移動する際に、当該ロック部材の弾性変形により、前記係止部の一側の非係止位置から当該係止部を乗り越えるようにしてその他側の係止位置まで移動することを特徴とする、請求項5に記載のコネクタ。
【請求項7】
前記ハウジングは、前記結合完了表示部を露出する第1の表示開口を有し、
前記ロック部材は、前記初期位置において前記第1の表示開口と重ならず、且つ前記ロック位置において前記第1の表示開口と重なる第2の表示開口を有することを特徴とする、請求項1から請求項6のいずれかに記載のコネクタ。
【請求項8】
相手方部材との結合状態を確認可能なコネクタであって、
前記相手方部材が挿入される挿入孔を有するハウジングと、
前記ハウジングに取り付けられ、前記挿入孔に挿入された前記相手方部材によって初期位置からロック位置に駆動されて、当該ロック位置で当該相手方部材を抜脱不能に固定するロック部材と、
前記ハウジングに設けられ、前記ロック部材とは色彩の異なる結合完了表示部を有する識別部材と
を備え、
前記ロック部材は、前記初期位置において前記結合完了表示部を露出させる一方、前記ロック位置において前記結合完了表示部を遮蔽することを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−94668(P2011−94668A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−247630(P2009−247630)
【出願日】平成21年10月28日(2009.10.28)
【出願人】(000135209)株式会社ニフコ (972)
【Fターム(参考)】