説明

コネクタ

【課題】構成部品の増加や組立工程の増加を招かずに、コネクタハウジング相互をレバー式コネクタと同等又はそれ以上の低挿入力で嵌合接続することのでき、また、小型化にも適したコネクタを提供すること。
【解決手段】一方のコネクタハウジング10は、他方のコネクタハウジング20との嵌合開始位置に位置決めされた場合に先端部が他方のコネクタハウジング20の後端部よりも後方側に突出する突起部14と、別体の棒状部材の先端を挿通可能に突起部14の先端部14aに形成された棒材支持孔15と、を備え、他方のコネクタハウジング20は、突起部14の先端部14aと対向する隆起部23と、先端を棒材支持孔15に挿入した棒状部材の中間部外側面が当接可能な傾斜面24と、を備え、棒材支持孔15を挿通させた棒状部材を傾斜面24上に押し込むことで、コネクタハウジング相互を嵌合させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コネクタハウジング相互を低挿入力で嵌合接続することのできるコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
図14は、コネクタハウジング相互を低挿入力で嵌合接続することのできるコネクタの従来例を示したものである。
【0003】
図14に示したコネクタ100は、下記特許文献1に開示されたものである。
このコネクタ100は、所謂レバー式コネクタで、先端側に相手コネクタハウジングを嵌合させるフード部111を有した雌コネクタハウジング110と、フード部111に雌雄嵌合する雄コネクタハウジング120と、雄コネクタハウジング120に回動可能に組み付けられたレバー130と、を備える。
【0004】
レバー130は、その長手方向(図14の矢印X1方向)の中間部が雄コネクタハウジング120に突設された支点軸121に係合することで、雄コネクタハウジング120に回動可能に連結されている。図14に示す矢印R1は、支点軸121を支点としたレバー130の回動方向を示している。
【0005】
雄コネクタハウジング120は、図示のようにレバー130の一端部131が雌コネクタハウジング110側に下がった傾斜状態で、雌コネクタハウジング110との嵌合開始位置に位置決めされる。
【0006】
レバー130の一端部131には、該レバー130の他端部132を押下して支点軸121回りに回動させたときに、雌コネクタハウジング110側に装備された不図示の凹部と係合する突起部が、設けられている。また、レバー130の他端部132には、押下された際に雄コネクタハウジング120を押下方向に押し下げるハウジング押し込み部が設けられている。
【0007】
以上のコネクタ100は、雌コネクタハウジング110と雄コネクタハウジング120とを嵌合開始位置に位置決めした後、レバー130の他端部132を雌コネクタハウジング110側に押下すると、一端部131を雌コネクタハウジング110に係合させたレバー130がてこ部材として機能して、雄コネクタハウジング120に大きな押し込み力を作用させるため、低挿入力で、コネクタハウジング相互を嵌合接続させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−359028号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、コネクタハウジング相互の嵌合接続用のレバー130を備える上記のコネクタ100は、レバー130のために構成部品の増加や組立工程の増加といった問題を招いた。
【0010】
また、レバー130をてことして利用する際にレバー130に入力する挿入力(押下力)の大きさは、てこ比によって決まる。挿入力を小さくするには、レバー130の長さ寸法を大きくして、てこ比を増大させることが有効である。
【0011】
しかし、挿入力を小さくするためにレバー130の長さ寸法を大きくすると、コネクタが大型化してしまうという問題が生じてしまう。
【0012】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、構成部品の増加や組立工程の増加を招かずに、コネクタハウジング相互をレバー式コネクタと同等又はそれ以上の低挿入力で嵌合接続することのでき、また、小型化にも適したコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)嵌合接続される雌雄一対のコネクタハウジングを備えるコネクタであって、
雌雄一対のコネクタハウジングの内の何れか一方のコネクタハウジングは、相手コネクタハウジングとの嵌合開始位置に位置決めされた場合に先端部が相手コネクタハウジングの後端部よりも相手コネクタハウジングの後方側に突出するようにコネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って突設された突起部と、別体の棒状部材をコネクタハウジング相互の嵌合方向と交差する方向に挿通可能に前記突起部の先端部に貫通形成された棒材支持孔と、を備え、
前記雌雄一対のコネクタハウジングの内の他方のコネクタハウジングは、前記一方のコネクタハウジングとの嵌合開始位置に位置決めされた場合にコネクタハウジング相互の嵌合方向と略直交する方向に前記棒材支持孔と対向する位置において前記コネクタハウジング相互の嵌合方向と略直交する方向に延在するように当該他方のコネクタハウジングの後端部に隆起形成された隆起部と、前記棒材支持孔に挿通された前記棒状部材の先端が当接するように前記隆起部に形成されて、前記棒状部材に作用している軸方向の荷重を、前記他方のコネクタハウジングを前記一方のコネクタハウジングに押し込む方向の荷重に変換する傾斜面と、を備え、
コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に位置決めした後、前記棒材支持孔から前記傾斜面上に前記棒状部材を押し込むことで、コネクタハウジング相互が嵌合接続されることを特徴とするコネクタ。
【0014】
(2)前記突起部は、前記他方のコネクタハウジングの略中央に貫通形成された突起挿通孔を挿通して他方のコネクタハウジングの後端側に突出するように、装備されていることを特徴とする上記(1)に記載のコネクタ。
【0015】
(3)前記突起部側には向いていない前記隆起部の外側面には、前記棒状部材の先端をコネクタハウジング相互の嵌合方向と交差する方向に挿入(係合)可能な凹部を備え、
コネクタハウジング相互の嵌合接続状態において前記一方のコネクタハウジングの前記凹部と対向する位置には、先端を前記凹部に挿入した前記棒状部材の中間部外側面が当接可能な離脱用当接面を備え、
コネクタハウジング相互を嵌合接続した状態で前記凹部に先端部を挿入すると共に前記離脱用当接面に中間部外側面を当接した前記棒状部材の基端側を押し下げることで、コネクタハウジング相互の嵌合を解除させることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のコネクタ。
【0016】
(4)前記棒材支持孔、前記傾斜面、前記凹部、前記離脱用当接面のそれぞれが、前記棒状部材として汎用工具であるドライバを使用可能に形成されていることを特徴とする上記(1)〜(3)の何れか1つに記載のコネクタ。
【0017】
上記(1)の構成によれば、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に位置決めした後、棒材支持孔から傾斜面上に前記棒状部材を押し込むと、棒状部材の先端が当接する傾斜面には、棒状部材に加えられている軸方向の荷重が、押し込む方向の荷重に変換されて作用する。また、同時に、反作用として、突起部には、引き上げる方向の荷重が作用する。これらの傾斜面及び突起部に作用する荷重によって、コネクタハウジング相互を嵌合接続することができる。
【0018】
そして、棒状部材の挿入方向に対して傾斜面の傾斜を緩やかに設定することで、棒状部材の挿入操作力を小さくすることができ、レバー式コネクタと同様に、コネクタハウジング相互の嵌合接続時の操作力を小さくすることができる。
【0019】
また、棒状部材は、コネクタを構成するそれぞれのコネクタハウジングとは別体であり、別体の工具としての取り扱いで活用することができ、事前にコネクタハウジングに組み付けるレバーとは異なり、組立工程の増加を招かない。更に、棒状部材は、それぞれのコネクタハウジングとは別体の工具等として取り扱うことができるため、棒状部材には操作し易い長さや太さを付与しても、コネクタの大型化を招くことがなく、コネクタの小型化を図ることができる。
【0020】
従って、組立工程の増加を招かずに、コネクタハウジング相互をレバー式コネクタと同等又はそれ以上の低挿入力で嵌合接続することができ、また、小型化を図ることもできる。
【0021】
上記(2)の構成によれば、突起部が他方のコネクタハウジングの略中央を挿通していて、棒状部材を突起部上の棒材支持孔から傾斜面に押し込むコネクタハウジング相互の嵌合接続操作時に、棒状部材から突起部を介して一方のコネクタハウジングに作用する嵌合方向の荷重は、突起部の装備位置である一方のコネクタハウジングの略中央に作用する。
【0022】
そのため、一方のコネクタハウジングに傾きや拗りが生じることを抑止して、コネクタハウジング相互の嵌合を円滑化することができる。
【0023】
上記(3)の構成によれば、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した状態で、凹部に先端部を挿入すると共に離脱用当接面に中間部外側面を当接した棒状部材は、その基端側を押下すると、コネクタハウジング相互の嵌合を解除するレバーとして機能し、レバー式コネクタと同様に、コネクタハウジング相互の離脱時の操作力を小さくすることもできる。
【0024】
上記(4)の構成によれば、棒状部材には汎用工具であるドライバを使用することで、専用の棒状部材を用意する必要がなくなり、コネクタの構成部品の増加を防止することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明によるコネクタによれば、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に位置決めした後、棒材支持孔から傾斜面上に前記棒状部材を押し込むことで、コネクタハウジング相互を嵌合接続することができる。
【0026】
そして、棒状部材の挿入方向に対して傾斜面の傾斜を緩やかに設定することで、棒状部材の挿入操作力を小さくすることができ、レバー式コネクタと同様に、コネクタハウジング相互の嵌合接続時の挿入力を小さくすることができる。
【0027】
また、棒状部材は、コネクタを構成するそれぞれのコネクタハウジングとは別体であり、別体の工具としての取り扱いで活用することができ、事前にコネクタハウジングに組み付けるレバーとは異なり、組立工程の増加を招かない。更に、棒状部材は、それぞれのコネクタハウジングとは別体の工具等として取り扱うことができるため、棒状部材には操作し易い長さや太さを付与しても、コネクタの大型化を招くことがなく、コネクタの小型化を図ることができる。
【0028】
従って、組立工程の増加を招かずに、コネクタハウジング相互をレバー式コネクタと同等又はそれ以上の低挿入力で嵌合接続することができ、また、小型化を図ることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係るコネクタの一実施形態の分解斜視図である。
【図2】図1に示した雄コネクタハウジングの前面(先端面)図である。
【図3】図2のA矢視図である。
【図4】図3のB矢視図である。
【図5】図1に示した雌コネクタハウジングの後面図である。
【図6】図5のC矢視図である。
【図7】図6のD矢視図である。
【図8】コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に位置決めした後、雄コネクタハウジングの突起部の棒材支持孔にドライバの軸部の先端が挿入された状態の側面図である。
【図9】図8の状態から更にドライバの軸部の先端が雌コネクタハウジング上の傾斜面上に押し込まれて、コネクタハウジング相互が嵌合接続された状態の側面図である。
【図10】図9に示した嵌合接続状態の斜視図である。
【図11】図1に示したコネクタハウジング相互の嵌合が完了した状態の斜視図である。
【図12】嵌合接続状態のコネクタハウジング沿うとを離脱させる方法を示す斜視図である。
【図13】図12の要部の拡大図である。
【図14】従来の低挿入力コネクタの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係るコネクタの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
図1〜図7は本発明に係るコネクタの一実施形態を示したもので、図1は本発明に係るコネクタの一実施形態の分解斜視図、図2は図1に示した雄コネクタハウジングの前面(先端面)図、図3は図2のA矢視図、図4は図3のB矢視図、図5は図1に示した雌コネクタハウジングの後面図、図6は図5のC矢視図、図7は図6のD矢視図である。
【0032】
この一実施形態のコネクタ1は、図1に示すように、相手コネクタハウジングが嵌合する略角筒状のフード部11が先端に設けられた雄コネクタハウジング10と、該雄コネクタハウジング10に雌雄嵌合する雌コネクタハウジング20と、を備える。
【0033】
雌コネクタハウジング20は、先端部20aをフード部11内に所定の深さまで挿入することで、雄コネクタハウジング10に嵌合接続される。
【0034】
本実施形態の場合、一対の雌雄コネクタハウジング10,20の内の一方のコネクタハウジングに相当する雄コネクタハウジング10は、図2〜図4に示すように、雄端子収容部12と、突起部14と、棒材支持孔15と、離脱用当接面16と、を備えている。
【0035】
雄端子収容部12は、図示はしていないが雄端子金具を収容する複数の端子収容孔を整列配置した構成で、複数の雄端子金具を収容保持する。雄端子収容部12は、フード部11とは逆側となる後端側(フード部11の内奥部)に、設けられている。
【0036】
突起部14は、図1〜図3に示すように、略角柱状で、コネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って突設されている。また、突起部14は、雄コネクタハウジング10の雄端子収容部12の略中央に垂直に立設されている。また、突起部14は、図8に示すように、雄コネクタハウジング10のフード部11に雌コネクタハウジング20の先端部20aが挿入されて、雄コネクタハウジング10が雌コネクタハウジング20との嵌合開始位置に位置決めされた場合に、先端部14aが雌コネクタハウジング20の後端部20bよりも該雌コネクタハウジング20の後方側(図8では、矢印Y2側)に突出するように、突出長さが設定されている。
【0037】
棒材支持孔15は、図1及び図4に示すように、コネクタハウジング10,20とは別体の棒状部材としてのドライバ30(図8参照)の軸部31をコネクタハウジング相互の嵌合方向と交差する方向に挿入可能に、突起部14の先端部14aに貫通形成された孔である。
【0038】
この棒材支持孔15の孔径は、ドライバ30の軸部31を抵抗なく抜き差しできるように、軸部31の外径よりも僅かに大きく設定されている。
【0039】
離脱用当接面16は、図2〜図4に示すように、突起部14の棒材支持孔15と対向するフード部11の先端に設けられている。この離脱用当接面16の装備位置は、後述する雌コネクタハウジング20の凹部25と対向する位置である。この離脱用当接面16は、図12に示すように、コネクタハウジング相互の嵌合接続状態において雌コネクタハウジング20の凹部25に先端を挿入したドライバ30の軸部31の中間部外側面が当接可能な面である。この離脱用当接面16は、軸部31が軸と直交する方向にずれにくい溝状に形成されている。
【0040】
雌雄一対のコネクタハウジング10,20の内の他方のコネクタハウジングである雌コネクタハウジング20は、図1及び図5〜図7に示すように、雌端子収容部21と、突起挿通孔22と、隆起部23と、傾斜面24と、凹部25と、を備える。
【0041】
雌端子収容部21は、図5に示すように、雌端子金具を収容する複数の端子収容孔21aを整列配置した構成で、複数の雌端子金具を収容保持する。
【0042】
突起挿通孔22は、雄コネクタハウジング10の突起部14を挿通する孔で、雄コネクタハウジング10における突起部14の装備位置に対応して、雌コネクタハウジング20の中央に貫通形成されている。
【0043】
図8及び図9に示すように、雄コネクタハウジング10と雌コネクタハウジング20とを嵌合開始位置に位置決めすると、雄コネクタハウジング10の突起部14が雌コネクタハウジング20の突起挿通孔22を貫通して、突起部14の先端部14aが、雌コネクタハウジング20の後端側に突出する。
【0044】
隆起部23は、図1に示すように、突起挿通孔22に隣接する位置に、後方に向かって隆起する形状に設けられている。更に詳しく説明すると、この隆起部23は、図8及び図9に示すように雌コネクタハウジング20を雄コネクタハウジング10との嵌合開始位置に位置決めした場合に、棒材支持孔15と対向する位置に設けられている。また、隆起部23は、図8及び図9に示すように、コネクタハウジング相互の嵌合方向と略直交し、且つ、棒材支持孔15と対向する方向(図8の矢印X2方向)に延在するように、雌コネクタハウジング20の後端部に隆起形成されたている。
【0045】
傾斜面24は、棒材支持孔15に挿通されたドライバ30の軸部31が当接するように隆起部23に形成されている。また、傾斜面24は、ドライバ30の軸部31に作用している軸方向の荷重を、雌コネクタハウジング20を雄コネクタハウジング10に押し込む方向の荷重に変換するように、突起部14側から離れる方向に上り勾配となる傾斜面に形成されている。
【0046】
本実施形態の場合、傾斜面24は、軸部31が軸と直交する方向にずれにくい溝状に形成されている。
【0047】
凹部25は、図1及び図7に示すように、ドライバ30の軸部31の先端をコネクタハウジング相互の嵌合方向と交差(略直交)する方向に挿入(係合)可能な窪みである。この凹部25は、棒材支持孔15側には向いていない隆起部23の外側面で、離脱用当接面16と対向する面に形成されている。また、凹部25は、傾斜面24より下側に配置されている。
【0048】
次に、雄コネクタハウジング10と雌コネクタハウジング20を嵌合接続する方法、及び、嵌合接続されている雄コネクタハウジング10と雌コネクタハウジング20とを離脱させる方法を順に説明する。
【0049】
まず、コネクタハウジング相互を嵌合接続する方法を、図8〜図10に基づいて説明する。
【0050】
まず、図8に示すように雄コネクタハウジング10と雌コネクタハウジング20とを嵌合開始位置に位置決めした後、棒材支持孔15から傾斜面24上にドライバ30の軸部31を押し込む。棒材支持孔15を貫通した軸部31が図9に示すように隆起部23上の傾斜面24に乗り上げると、軸部31の先端が当接する傾斜面24には、ドライバ30に加えられている軸方向の荷重が、押し込む方向の荷重F1に変換されて作用する。また、同時に、反作用として、突起部14には、引き上げる方向の荷重F2が作用する。これらの傾斜面24及び突起部14に作用する荷重F1,F2によって、コネクタハウジング相互を嵌合接続することができる。軸部31の先端が、図9に示すように、傾斜面24の端面から突出する状態になると、コネクタハウジング10,20相互の嵌合接続が完了する。図11は、コネクタハウジング10,20相互の嵌合接続が完了した状態を示している。
【0051】
即ち、本実施形態のコネクタ1は、コネクタハウジング10,20相互を嵌合開始位置に位置決めした後、棒材支持孔15から傾斜面24上にドライバ30の軸部31を押し込むことで、コネクタハウジング10,20相互が嵌合接続される。
【0052】
次に、コネクタハウジング相互を嵌合状態から離脱させる方法を、図12及び図13に基づいて説明する。
【0053】
この場合は、図12及び図13に示すように、コネクタハウジング相互を嵌合接続した状態で、ドライバ30の軸部31の先端を凹部25に挿入すると共に、軸部31の中間部外側面を離脱用当接面16に当接させる。そして、図12の矢印Z2に示すように、ドライバ30の基端側を下方に押し下げる。
【0054】
すると、図13に示すように、ドライバ30の押し下げによって、離脱用当接面16には矢印Y4で示す下向きの押し下げ荷重が作用すると共に、隆起部23には矢印Y5に示す上向きの引き上げ荷重が作用し、コネクタハウジング10,20相互が互いに離脱方向に移動して、コネクタハウジング10,20相互の離脱が行われる。
【0055】
即ち、本実施形態のコネクタ1は、コネクタハウジング相互を嵌合接続した状態で凹部25に先端部を挿入すると共に離脱用当接面16に中間部外側面を当接したドライバ30の基端側を押し下げることで、コネクタハウジング相互の嵌合を解除させることができる。
【0056】
以上に説明した本実施形態のコネクタ1では、コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に位置決めした後、棒材支持孔15から傾斜面24上にドライバ30の軸部31を押し込むと、ドライバ30に加えられている軸方向の荷重が、コネクタハウジング相互の嵌合方向の荷重となって突起部14及び隆起部23に作用して、コネクタハウジング相互を嵌合接続することができる。
【0057】
そして、ドライバ30の軸部31の挿入方向に対して傾斜面24の傾斜を緩やかに設定することで、ドライバ30の挿入操作力が小さくすることができ、レバー式コネクタと同様に、コネクタハウジング相互の嵌合接続時の操作力を小さくすることができる。
【0058】
また、ドライバ30は、コネクタ1を構成するそれぞれのコネクタハウジング10,20とは別体であり、別体の工具としての取り扱いで活用することができ、事前にコネクタハウジングに組み付けるレバーとは異なり、組立工程の増加を招かない。
【0059】
更に、ドライバ30は、それぞれのコネクタハウジング10,20とは別体の工具等として取り扱うことができるため、ドライバ30には操作し易い長さや太さを付与しても、コネクタの大型化を招くことがなく、コネクタの小型化を図ることができる。
【0060】
従って、組立工程の増加を招かずに、コネクタハウジング10,20相互をレバー式コネクタと同等又はそれ以上の低挿入力で嵌合接続することができ、また、小型化を図ることもできる。
【0061】
また、以上に説明した本実施形態のコネクタ1では、突起部14が他方のコネクタハウジング20の略中央を挿通していて、ドライバ30の軸部31を突起部14上の棒材支持孔15から傾斜面24に押し込む嵌合接続操作時に、軸部31から突起部14を介して一方のコネクタハウジング10に作用する嵌合方向の荷重は、突起部14の装備位置である一方のコネクタハウジング10の略中央に作用する。
【0062】
そのため、一方のコネクタハウジング10に傾きや拗りが生じることを抑止して、コネクタハウジング10,20相互の嵌合を円滑化することができる。
【0063】
また、以上に説明した本実施形態のコネクタ1では、コネクタハウジング相互の嵌合接続が完了した状態で、凹部25に先端部を挿入すると共に離脱用当接面16に中間部外側面を当接したドライバ30は、その基端側を押下すると、コネクタハウジング相互の嵌合を解除するレバーとして機能し、レバー式コネクタと同様に、コネクタハウジング相互の離脱時の操作力を小さくすることもできる。
【0064】
また、以上に説明した本実施形態のコネクタ1では、棒状部材には汎用工具であるドライバを使用することで、専用の棒状部材を用意する必要がなくなり、コネクタの構成部品の増加を防止することができる。
【0065】
なお、本発明のコネクタ1は、前述した実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。
【0066】
例えば、前述した実施形態では、雄コネクタハウジング10に突起部14を装備し、雌コネクタハウジング20に隆起部23を装備したが、逆に、雌コネクタハウジング20に雄コネクタハウジング10を貫通する突起部14を装備し、雄コネクタハウジング10の後端側に隆起部23を装備することも可能である。
【0067】
また、本実施形態では、棒状部材として汎用工具のドライバ30を使用したが、ドライバ30の軸部31に相当する専用の棒状部材を用意するようにしても良い。
【0068】
その他、前述した実施形態において例示した突起部14や隆起部23、離脱用当接面16等の形状、寸法、配置箇所等は、本発明の目的を達成できるものであれば、任意であり、前述した実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0069】
1 コネクタ
10 雄コネクタハウジング(一方のコネクタハウジング)
14 突起部
14a 先端部
15 棒材支持孔
16 離脱用当接面
20 雌コネクタハウジング(他方のコネクタハウジング)
22 突起挿通孔
23 隆起部
24 傾斜面
25 凹部
30 ドライバ
31 軸部(棒状部材)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
嵌合接続される雌雄一対のコネクタハウジングを備えるコネクタであって、
雌雄一対のコネクタハウジングの内の何れか一方のコネクタハウジングは、相手コネクタハウジングとの嵌合開始位置に位置決めされた場合に先端部が相手コネクタハウジングの後端部よりも相手コネクタハウジングの後方側に突出するようにコネクタハウジング相互の嵌合方向に沿って突設された突起部と、別体の棒状部材をコネクタハウジング相互の嵌合方向と交差する方向に挿通可能に前記突起部の先端部に貫通形成された棒材支持孔と、を備え、
前記雌雄一対のコネクタハウジングの内の他方のコネクタハウジングは、前記一方のコネクタハウジングとの嵌合開始位置に位置決めされた場合にコネクタハウジング相互の嵌合方向と略直交する方向に前記棒材支持孔と対向する位置において前記コネクタハウジング相互の嵌合方向と略直交する方向に延在するように当該他方のコネクタハウジングの後端部に隆起形成された隆起部と、前記棒材支持孔に挿通された前記棒状部材の先端が当接するように前記隆起部に形成されて、前記棒状部材に作用している軸方向の荷重を、前記他方のコネクタハウジングを前記一方のコネクタハウジングに押し込む方向の荷重に変換する傾斜面と、を備え、
コネクタハウジング相互を嵌合開始位置に位置決めした後、前記棒材支持孔から前記傾斜面上に前記棒状部材を押し込むことで、コネクタハウジング相互が嵌合接続されることを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記突起部は、前記他方のコネクタハウジングの略中央に貫通形成された突起挿通孔を挿通して他方のコネクタハウジングの後端側に突出するように、装備されていることを特徴とする請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記突起部側には向いていない前記隆起部の外側面には、前記棒状部材の先端をコネクタハウジング相互の嵌合方向と交差する方向に挿入可能な凹部を備え、
コネクタハウジング相互の嵌合接続状態において前記一方のコネクタハウジングの前記凹部と対向する位置には、先端を前記凹部に挿入した前記棒状部材の中間部外側面が当接可能な離脱用当接面を備え、
コネクタハウジング相互を嵌合接続した状態で前記凹部に先端部を挿入すると共に前記離脱用当接面に中間部外側面を当接した前記棒状部材の基端側を押し下げることで、コネクタハウジング相互の嵌合を解除させることを特徴とする請求項1又は2に記載のコネクタ。
【請求項4】
前記棒材支持孔、前記傾斜面、前記凹部、前記離脱用当接面のそれぞれが、前記棒状部材として汎用工具であるドライバを使用可能に形成されていることを特徴とする請求項1から3の何れか一項に記載のコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−134009(P2012−134009A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285091(P2010−285091)
【出願日】平成22年12月21日(2010.12.21)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】