説明

コネクタ

【課題】差動信号を扱う場合にクロストーク特性及びピン利用効率の向上が可能な小型のコネクタを提供すること。
【解決手段】差動信号を扱うコネクタの2本の信号ピンSと隣接する1本または2本のグランドピンGとの組合せにより1レーンを形成するものとする。差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるに際し、基板半田付側のピン割当てとして、1列目の左端に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、2列目の左端には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、差動信号を伝送するラインの接続に使用され得るコネクタ(ここでは「差動信号用コネクタ」ということもある)に関する。
【背景技術】
【0002】
対をなす2本の信号線にそれぞれ逆位相の信号からなる差動信号対を割り当てる差動伝送方式が知られている。その差動伝送方式はデータ伝送速度を高速にできるという特長をもつため、昨今では様々な分野において実用されている。差動伝送方式を用いる場合には、差動信号を伝送するラインの接続に差動信号用コネクタが用いられる。その差動信号用コネクタは、相手コネクタに嵌合するためのコネクタ嵌合側と、機器や液晶ディスプレイの基板に接続するための基板半田付側とを有している。
【0003】
この種のコネクタは特許文献1に開示されており、複数本の信号ピンと複数本のグランドピンとを有している。これらの信号ピン及びグランドピンの割り当てについて、図9及び図10を用いて説明する。図9及び図10において、S+は差動信号の正相信号を割り当てられた信号ピン、S−は差動信号の負相信号を割り当てられた信号ピン、Gはグランドを割り当てられたグランドピンを表す。また以下の説明では、信号ピンを纏めてSで表現することもある。
【0004】
図9を参照すると、コネクタ嵌合側1では、信号ピンS+、信号ピンS−、及びグランドピンGが1列に配列されている。具体的には、左端に(GSSG)を割当て、以後(SSG)の繰返しを割当てている。
【0005】
一方、基板半田付側2では、信号ピンS+、信号ピンS−、及びグランドピンGが全体として2列にかつ千鳥状に配置されている。具体的には、図中で上列の左端に(GSSG)を割当て、以後(SSG)の繰返しを割当てていき、図中で下列には(SGS)の繰り返しのみを割当てている。
【0006】
図10を参照すると、基板半田付側2では、信号ピンS+、信号ピンS−、及びグランドピンGが全体として2列にかつ千鳥状に配置されている。具体的には、図中で基板半田付側2上列の左端に(GSSG)を割当て、以後(SSG)の繰返しを割当てていき、図中で基板半田付側2下列の左端には空ピン又はグランドピンを割り当て、以後、上列と同じ割当てにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−41656号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
以下の説明において、2本の信号ピンSと隣接する1本または2本のグランドピンGとの組合せを1レーンとして数える。なお、隣り合うレーンはグランドピンGを共有することで互いに重なってもよい。
【0009】
図9及び図10のいずれにおいても、コネクタ嵌合側1では、(GSSG)というレーンを一列に配列しているので、レーン内の2本の信号ピンSの両側に必ずグランドピンGが配置されることになり、したがって良好な電気的性能を期待できる。しかし、信号ピンS及びグランドピンGの全てが1列内に配置されるため、コネクタ嵌合側1の左右方向の寸法を小さくすることが困難である。
【0010】
一方、基板半田付側2では、信号ピンS及びグランドピンGの全てが2列にかつ千鳥状に配置されるため、基板半田付側2の左右方向の寸法を小さく設計したり、ピン間の寸法を大きく設計したりすることが、コネクタ嵌合側1に比べて容易である。
【0011】
しかしながら、図9の基板半田付側2のような割当てでは、図中の下列において隣接するレーンの信号ピンS同士が隣り合うことになるため、クロストークを生じやすい。一方、図10の基板半田付側2のような割当てでは、図中の上列の左端のグランドピンGの分だけレーンのピッチがずれているので、図中の下列の左端にもレーンを形成しない余分なピン(空ピン又はグランドピン)を割当てざるを得ず、コネクタが大きくなるかレーンの数を減らさざるを得ない。レーンの数を減らすと、ピン利用効率が小さくなる。このように、クロストーク特性とピン利用効率とはトレードオフの関係にある。
【0012】
それ故に本発明の課題は、差動信号を扱う場合にクロストーク特性及びピン利用効率の向上が可能な小型のコネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一態様によれば、差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるコネクタにおいて、信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、コネクタ嵌合側のピン割当てとして、1列目の左端に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、2列目の左端には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、ことを特徴とするコネクタが得られる。
【0014】
このコネクタにおいて、前記コネクタ嵌合側では、特に左端の3角形のピン割当てが(S-G-G)となることは好ましい。
【0015】
本発明の他の態様によれば、差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるコネクタにおいて、信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、基板半田付側のピン割当てとして、1列目の左端に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、2列目の左端には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、ことを特徴とするコネクタが得られる。
【0016】
このコネクタにおいて、前記基板半田付側では、特に左端の3角形のピン割当てが(S-G-G)となることは好ましい。
【0017】
本発明のさらに他の態様によれば、差動信号をコネクタの2列千鳥配置のピンに割当てる信号線の割当て方法において、信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、コネクタ嵌合側のピン割当てとして、1列目の左端に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、2列目の左端には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、ことを特徴とする信号線の割当て方法が得られる。
【0018】
この信号線の割当て方法において、前記コネクタ嵌合側では、特に左端の3角形のピン割当てが(S-G-G)となることは好ましい。
【0019】
本発明のさらに他の態様によれば、差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てる信号線の割当て方法において、信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、基板半田付側のピン割当てとして、1列目の左端に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、2列目の左端には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、ことを特徴とする信号線の割当て方法が得られる。
【0020】
この信号線の割当て方法において、前記基板半田付側では、特に左端の3角形のピン割当てが(S-G-G)となることは好ましい。
【0021】
本発明のさらに他の態様によれば、複数本のピンを少なくとも基板半田付側で2列にかつ千鳥状に配置し、前記ピンに信号及びグランドを割り当てたコネクタにおいて、前記信号を割り当てた信号ピン(S)2本とこれらの間に配置されかつグランドを割り当てたグランドピン(G)1本とからなる第1の種のレーン(SGS)と、グランドを割り当てたグランドピン(G)2本とこれらの間に直列的に配置されかつ信号を割り当てた信号ピン(S)2本とからなる第2の種のレーン(GSSG)とを含み、前記基板半田付側では、前記2列の各々に、前記第1の種のレーン(SGS)と前記第2の種のレーン(GSSG)とを交互にかつ列間で位置ずれさせて配置したことを特徴とするコネクタが得られる。
【0022】
このコネクタにおいて、前記2列の一方に配置された第1の種のレーン(SGS)のグランドピン(G)1本と前記2列の他方に配置された第2の種のレーン(GSSG)の信号ピン(S)2本とが3角形の頂点にそれぞれ位置していてもよい。
【0023】
このコネクタにおいて、前記2列の一方に配置された第1の種のレーン(SGS)の信号ピン(S)2本のうちの1本と前記2列の他方に配置された第2の種のレーン(GSSG)の信号ピン(S)2本とが3角形の頂点にそれぞれ位置していてもよい。
【発明の効果】
【0024】
本発明の上述した各態様によると、差動信号を扱う場合にクロストーク特性及びピン利用効率の向上が可能な小型のコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタを基板に実装した状態を示し、(a)は正面図、(b)は底面図、(c)は右側面図である。
【図2】図1のコネクタのピンに対する差動信号及びグランドの割り当ての一例を示す説明図である。
【図3】図1のコネクタのピンに対する差動信号及びグランドの割り当ての他例(図1の1列目(1)と2列目(2)を上下入替えたピン割り当て)を示す説明図である。
【図4】図2の変形を示す説明図である。
【図5】図3の変形を示す説明図である。
【図6】図1のコネクタのピンに対し、差動信号及びグランドに加え、電源及び低速信号などを割り当てた例を示す説明図である。
【図7】ピンの集まりであるレーンの数とグランドを割り当てたピンの数との関係を示すグラフである。
【図8】レーン数とスペース効率との関係を示すグラフである。
【図9】特許文献1(特開2008−41656号公報)に開示されている信号ピン及びグランドピンの割り当ての一例の説明図である。
【図10】特許文献1に開示されている信号ピン及びグランドピンの割り当ての他例の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
まず図1を参照して、本発明の一実施形態に係るコネクタの全体構成について説明する。
【0027】
図1のコネクタ10は、基板11に実装された差動信号用コネクタであり、絶縁性のハウジング12と、ハウジング12に保持された互いに平行な多数の導電性のコンタクト即ちピン13と、ハウジング12の外周面を部分的に囲んだ導電性のシェル14とを含んでいる。このコネクタ10の相手コネクタ(図示せず)に嵌合する側をコネクタ嵌合側(図1(a)参照)と呼び、基板11に接続する側を基板半田付側(図1(b)参照)と呼ぶ。なお、図中では、ピン13は幾つかのみを図示し、残りのものについては破線矢印で省略記載している。
【0028】
多数のピン13は、ハウジング12のコネクタ嵌合側部分12aの下面に配列されている複数の1列目ピン13aと、コネクタ嵌合側部分12aの上面に配列された複数の2列目ピン13bとに分かれている。1列目ピン13aは、基板半田付側においてハウジング12から露出して直角に折り曲がり、ハウジング12に比較的近い位置で基板11に半田付けされる。一方、2列目ピン13bは、基板半田付側においてハウジング12から露出して直角に折り曲がり、ハウジング12から比較的遠い位置で基板11に半田付けされる。こうして、コネクタ嵌合側及び基板半田付側の各々において、多数のピン13が2列にかつ千鳥状に配置されている。
【0029】
次に、図1に示すコネクタ10の2列千鳥配置のピン13に対する差動信号の割り当てについて、図2及び図3を用いて説明する。図2及び図3において、S+は差動信号の正相信号を割り当てられた信号ピン、S−は差動信号の負相信号を割り当てられた信号ピン、Gはグランドを割り当てられたグランドピンを表す。また以下の説明では、信号ピンを纏めてSで表現することもある。なお、途中部分は同じ割り当ての繰り返しとなるため、破線矢印で省略記載している。
【0030】
図2に示す割り当て例においては、2本の信号ピンSと隣接する1本または2本のグランドピンGとの組合せにより1レーンを形成するものとする。各レーンを形成する信号ピンS及びグランドピンGを破線枠で囲って示している。
【0031】
差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるに際し、コネクタ嵌合側のピン割当てとして、1列目(1)の左端に(S+、G、S−)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(S+、G、S−)、偶数番目のレーンには(G、S+、S−、G)を割当ててゆき、2列目(2)の左端には(G、S+、S−、G)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(G、S+、S−、G)、偶数番目のレーンには(S+、G、S−)を割当ててゆく。
【0032】
同様な割り当ては、基板半田付側のピン割当てとしても実施できる。即ち、1列目(1)の左端に(S+、G、S−)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(S+、G、S−)、偶数番目のレーンには(G、S+、S−、G)を割当ててゆき、2列目(2)の左端には(G、S+、S−、G)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(G、S+、S−、G)、偶数番目のレーンには(S+、G、S−)を割当ててゆく。
【0033】
図2に示す割り当て例によれば、レーンは重ならず、隣接するレーンの信号ピンS同士の間には必ずグランドピンGが存在するので、図9を用いて説明した基板半田付側よりもクロストークが少なくなる。また、レーン単位で割当てが完結するので図10を用いて説明した基板半田付側よりもピン利用効率が大きい。勿論、差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるため、コネクタ嵌合側の左右方向の寸法を小さくすることが容易に可能である。なお、1列目(1)の最左端のレーンにおける2本の信号ピンS+、S−のうち、一方(S+)にはグランドピンGが2本隣接し、他方(S−)にはグランドピンGが3本隣接するが、両者の違いはグランドピンGの数で高々2:3であるため影響は少ない。
【0034】
図3に示す割り当て例(1列目ピン13aに2列目(2)の配置を割り当て、2列目ピン13bに1列目(1)の配置を割り当てる)においても、2本の信号ピンSと隣接する1本または2本のグランドピンGとの組合せにより1レーンを形成するものとする。各レーンを形成する信号ピンS及びグランドピンGを破線枠で囲って示している。
【0035】
差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるに際し、コネクタ嵌合側のピン割当てとして、1列目(1)の左端に(S+、G、S−)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(S+、G、S−)、偶数番目のレーンには(G、S+、S−、G)を割当ててゆき、2列目(2)の左端には(G、S+、S−、G)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(G、S+、S−、G)、偶数番目のレーンには(S+、G、S−)を割当ててゆく。この場合、特に左端の3角形のピン割当てが(S-G-G)となるように割り当てる。
【0036】
同様な割り当ては、基板半田付側のピン割当てとしても実施できる。即ち、1列目(1)の左端に(S+、G、S−)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(S+、G、S−)、偶数番目のレーンには(G、S+、S−、G)を割当ててゆき、2列目(2)の左端には(G、S+、S−、G)を割当てて1番目のレーンを形成し、以後奇数番目のレーンには(G、S+、S−、G)、偶数番目のレーンには(S+、G、S−)を割当ててゆく。この場合にも、特に左端の3角形のピン割当てが(S-G-G)となるように割り当てる。
【0037】
図3に示す割り当て例によれば、レーンは重ならず、隣接するレーンの信号ピンS同士の間には必ずグランドピンGが存在するので、図9を用いて説明した基板半田付側よりもクロストークが少ない。また、レーン単位で割当てが完結するので図10を用いて説明した基板半田付側よりもピン利用効率が大きい。勿論、差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるため、コネクタ嵌合側の左右方向の寸法を小さくすることが容易に可能である。さらに、全レーンにおいて、信号ピンSに隣接するグランドピンGの数が2本に統一されるという利点もある。
【0038】
また図1のコネクタ10は、複数本のピン13を少なくとも基板半田付側で2列にかつ千鳥状に配置し、これらのピン13に対し次に説明するような形態で信号及びグランドを割り当てたものであるともいえる。
【0039】
この場合、コネクタ10は、信号を割り当てた2本の信号ピンSとこれらの間に配置されかつグランドを割り当てた1本のグランドピンGとからなる第1の種のレーン(SGS)と、グランドを割り当てた2本のグランドピンGとこれらの間に直列的に配置されかつ信号を割り当てた2本の信号ピンSとからなる第2の種のレーン(GSSG)とを含むことになる。そして、基板半田付側では、1列目(1)及び2列目(2)の各々に、第1の種のレーン(SGS)と第2の種のレーン(GSSG)とが交互にかつ列間で位置ずれして配置された形態を呈する。
【0040】
特に図2に示す割り当て例の場合は、左端の3角形のピン割り当てが(G−S−S)すなわち、2列目(2)に配置された第2の種のレーン(GSSG)の1本のグランドピンGと、1本の信号ピンS+と、1列目(1)に配置された第1の種のレーン(SGS)の1本の信号ピンS+と、が3角形の頂点にそれぞれ位置している。
【0041】
また図3に示す割り当て例の場合は、左端の3角形のピン割り当てが(S−G−G)すなわち、1列目(1)に配置された第1の種のレーン(SGS)の1本の信号ピンS+と、1本のグランドピンGと、2列目(2)に配置された第2の種のレーン(GSSG)の1本のグランドピンGとが3角形の頂点にそれぞれ位置している。
【0042】
図2においては1列目(1)、2列目(2)ともに左端から配置されているが、図4に示すように1列目(1)、2列目(2)ともに右端から配置されてもよい。
【0043】
同様に、図3においては1列目(1)、2列目(2)ともに左端から配置されているが、図5に示すように1列目(1)、2列目(2)ともに右端から配置されてもよい。
【0044】
上述した様々な例では、1列目(1)及び2列目(2)の各々はレーンのみで構成されているが、差動信号のための信号ピンS+、S−やグランドピンGの他に、差動信号と直接には関係しない信号や電源などを扱うための端子やピンを備えてもよい。例えば図6に示すように、1列目(1)及び2列目(2)の各々の右端側に、低速信号のための信号ピンL+、L−及びグランドピンGや、バスパワーのための電源端子PWRを追加してもよい。
【0045】
追加される端子やピンは、1列目(1)及び2列目(2)の少なくとも一方に、かつ、その右端側及び左端側の少なくとも一方に備えられてもよい。また追加される端子やピンは、レーンとレーンとの間に挿入配置されてもよい。
【0046】
次に図7を参照して、レーン数とグランドを割り当てたピンの数との関係について説明する。
【0047】
図7のグラフにおいて、縦軸はGND比率(グランドピン数/レーン数)を示し、横軸はレーン数を示す。なお、「レーン数」とは「2番目以降のレーンの繰返し数」である。1番目のレーンは数えていない。なおかつ1列目、2列目に同数のレーンを配置しているので偶数である。(a)は図2に示す割り当て例の場合、(b)は図3に示す割り当て例の場合、(c)は図9における基板半田付側のような割当ての場合、(d)は図10における基板半田付側のような割当ての場合である。
【0048】
(c)や(d)においては、レーン数に応じてGND比率が変動する。これに対し、(a)や(b)においては、レーン数に係らずGND比率は一定である。
【0049】
さらに図8を参照して、レーン数とスペース効率との関係について説明する。
【0050】
図8のグラフにおいて、縦軸はスペース効率(ピン数/レーン数)を示し、横軸はレーン数を示す。(a)は図2に示す割り当て例の場合、(b)は図3に示す割り当て例の場合、(c)は図9における基板半田付側のような割当ての場合、(d)は図10における基板半田付側のような割当ての場合である。
【0051】
(c)や(d)においては、レーン数が少なくなるにつれてスペース効率が変動する。これに対し、(a)や(b)においては、レーン数に係らずスペース効率は一定である。グラフ上では(a)と(b)は重なっている。
【0052】
なお、上述では特定の実施形態を用いて説明したが、様々な変形が可能であり、それらの変形も本発明に包含されることは勿論である。
【符号の説明】
【0053】
1 コネクタ嵌合側
2 基板半田付側
10 コネクタ
11 基板
12 ハウジング
12a コネクタ嵌合側部分
13 コンタクト即ちピン
13a 1列目ピン
13b 2列目ピン
14 シェル
S 信号ピン
S+ 差動信号の正相信号を割り当てられた信号ピン
S− 差動信号の負相信号を割り当てられた信号ピン
G グランドピン
(SGS) 第1の種のレーン
(GSSG) 第2の種のレーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるコネクタにおいて、
信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、
コネクタ嵌合側のピン割当てとして、
1列目の端部に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、
2列目の端部には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
請求項1に記載のコネクタにおいて、
前記コネクタ嵌合側では、
特に端部の3角形のピン割当てが(S-G-G)となる、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項3】
差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てるコネクタにおいて、
信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、
基板半田付側のピン割当てとして、
1列目の端部に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、
2列目の端部には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項4】
請求項3に記載のコネクタにおいて、
前記基板半田付側では、
特に端部の3角形のピン割当てが(S-G-G)となる、
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項5】
差動信号をコネクタの2列千鳥配置のピンに割当てる信号線の割当て方法において、
信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、
コネクタ嵌合側のピン割当てとして、
1列目の端部に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、
2列目の端部には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、
ことを特徴とする信号線の割当て方法。
【請求項6】
請求項5に記載の信号線の割当て方法において、
前記コネクタ嵌合側では、
特に端部の3角形のピン割当てが(S-G-G)となる、
ことを特徴とする信号線の割当て方法。
【請求項7】
差動信号を2列千鳥配置のピンに割当てる信号線の割当て方法において、
信号ピン(S)2本と隣接するグランドピン(G)1本または2本の組合せにより1レーンを形成するものとし、
基板半田付側のピン割当てとして、
1列目の端部に(SGS)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(SGS)、偶数番目のレーンには(GSSG)を割当ててゆき、
2列目の端部には(GSSG)を割当てて1番目のレーンを形成し、奇数番目のレーンには(GSSG)、偶数番目のレーンには(SGS)を割当ててゆく、
ことを特徴とする信号線の割当て方法。
【請求項8】
請求項7に記載の信号線の割当て方法において、
前記基板半田付側では、
特に端部の3角形のピン割当てが(S-G-G)となる、
ことを特徴とする信号線の割当て方法。
【請求項9】
複数本のピンを少なくとも基板半田付側で2列にかつ千鳥状に配置し、前記ピンに信号及びグランドを割り当てたコネクタにおいて、
前記信号を割り当てた信号ピン(S)2本とこれらの間に配置されかつグランドを割り当てたグランドピン(G)1本とからなる第1の種のレーン(SGS)と、グランドを割り当てたグランドピン(G)2本とこれらの間に直列的に配置されかつ信号を割り当てた信号ピン(S)2本とからなる第2の種のレーン(GSSG)とを含み、
前記基板半田付側では、前記2列の各々に、前記第1の種のレーン(SGS)と前記第2の種のレーン(GSSG)とを交互にかつ列間で位置ずれさせて配置した
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項10】
請求項9に記載のコネクタにおいて、前記2列の一方に配置された第1の種のレーン(SGS)のグランドピン(G)1本と前記2列の他方に配置された第2の種のレーン(GSSG)の信号ピン(S)2本とが3角形の頂点にそれぞれ位置していることを特徴とするコネクタ。
【請求項11】
請求項9に記載のコネクタにおいて、前記2列の一方に配置された第1の種のレーン(SGS)の信号ピン(S)2本のうちの1本と前記2列の他方に配置された第2の種のレーン(GSSG)の信号ピン(S)2本とが3角形の頂点にそれぞれ位置していることを特徴とするコネクタ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−226903(P2012−226903A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−92067(P2011−92067)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【特許番号】特許第4976568号(P4976568)
【特許公報発行日】平成24年7月18日(2012.7.18)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】