コネクタ
【課題】ロック部の損傷を防ぐとともに、コネクタを低背化する。
【解決手段】コンタクト11のハウジング13の後方への抜けを阻止するロック部133をハウジング13に設ける。ロック部133の前方に短絡部材15を配置する。隣接するコンタクト11に接触する接触部153を短絡部材15に設ける。接触部153のロック部133側端部とロック部133の接触部153側端部(切欠部133a)とを、所定の間隔Gをおいてほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並べる。
【解決手段】コンタクト11のハウジング13の後方への抜けを阻止するロック部133をハウジング13に設ける。ロック部133の前方に短絡部材15を配置する。隣接するコンタクト11に接触する接触部153を短絡部材15に設ける。接触部153のロック部133側端部とロック部133の接触部153側端部(切欠部133a)とを、所定の間隔Gをおいてほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並べる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図15、図16、図17に示すように、ハウジング904と、ハウジング904内に実装された端子912と、ハウジング904内に実装され、ハウジング904に挿入完了したときに係合するシャントコンタクト914とを備える電気コネクタが知られている(下記特許文献1参照)。なお、図15、図16、図17は下記特許文献1の図1、図2、図3に対応する。
【0003】
電気コネクタは、更に、キャビティ910内に延びるロック突起928を備えている。ロック突起928はランス930の自由端934の近傍に配置されている。ランス930はハウジング904に設けられている。
【0004】
図17に示すように、端子912がキャビティ910に挿入されていないとき、ランス930の自由端934にシャントコンタクト914の自由端944が接触している。
【0005】
図15に示すように、端子912がキャビティ910に挿入されると、端子912がロック突起928を押し上げるためランス930が弾性変形し、ランス930の自由端934がシャントコンタクト914の自由端944を押し上げるためシャントコンタクト914のばねアーム940が弾性変形する。このとき、端子912の接触部918とシャントコンタクト914の接触突起946とは離れている。
【0006】
図16に示すように、端子912のキャビティ910への挿入が完了すると、ランス930のロック突起928が端子912の切欠922と係合し、ランス930が変形前の状態に戻り、シャントコンタクト914の接触突起946が端子912の接触部918に接触する。接触突起946が端子912に接触すると、隣接する端子912同士がシャントコンタクト914を介して短絡する。
【0007】
端子912のキャビティ910への挿入が完了したとき、シャントコンタクト914の自由端944はランス930の自由端934の上方に位置し、シャントコンタクト914のばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とがハウジング904の前後方向に沿って並び、ばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とは互いに接近している(図16参照)。
【0008】
この電気コネクタに図示しない相手側コネクタを嵌合したとき、相手側コネクタがハウジング904のキャビティ950に入り込み、相手側コネクタの偏倚手段(図示せず)によってシャントコンタクト914のばねアーム940が偏倚し、ばねアーム940の接触突起946が端子912から離れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2001−511299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、端子912のキャビティ910への挿入が完了したとき、シャントコンタクト914の自由端944はランス930の自由端934の上方に位置し、シャントコンタクト914のばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とがハウジング904の前後方向に沿って並び、ばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とは互いに接近している(図16参照)。
【0011】
したがって、ばねアーム940の接触突起946を端子912から離すには、相手側コネクタの偏倚手段の先端をランス930の自由端934の近傍に到達させなければならない。
【0012】
ところが、相手側コネクタの偏倚手段の長さが例えば製造誤差により設計値より大きいと、ランス930の自由端934が損傷するおそれがある。
【0013】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、ロック部の損傷を防ぐとともに、コネクタを低背化することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、複数のコンタクトを保持するハウジングと、前記ハウジングに保持され、相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合していないとき隣接する前記コンタクト同士を短絡するとともに、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合したとき前記相手側コネクタの短絡解除用突起部によって前記コンタクト同士の短絡が解除される短絡部材とを備えるコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記ハウジングの左右方向に沿って配置され、前記複数のコンタクトがそれぞれ前記ハウジングの後方から挿入されるコンタクト収容部と、前記コンタクト収容部の下方又は上方に配置される短絡部材収容部と、前記コンタクト収容部に挿入された前記コンタクトと係合し、前記コンタクトの前記ハウジングの後方への抜けを阻止する弾性変形可能なロック部とを有し、前記短絡部材が、前記ロック部の前方に配置され、前記短絡部材が、隣接する前記コンタクトに接触する接触部を有し、前記接触部の前記ロック部側端部と前記ロック部の前記接触部側端部とが、所定の間隔をおいてほぼ前記ハウジングの前後方向に沿って並んでいることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記ロック部は、前記短絡部材収容部から前記コンタクト収容部へ斜めに延びる片持ち梁状であることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のコネクタにおいて、前記相手側コネクタの短絡解除用突起部の長さが所定値を越えているとき、その短絡解除用突起部を前記短絡部材収容部に導く面が、前記ロック部に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のコネクタにおいて、前記導く面は、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合するとき、前記短絡解除用突起部の挿入軌道上に位置することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記ロック部の前記接触部側端部は、前記コンタクトが前記コンタクト収容部に挿入されたとき、そのコンタクトと係合する鉤形の切欠部になっていることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のコネクタにおいて、前記切欠部の先端部がくさび状に尖っており、前記切欠部が前記コンタクトと係合したとき、前記切欠部の先端部はそのコンタクトの表面に接触していることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記コンタクトが前記相手側コネクタのピン型コンタクトを受け容れるソケット型であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ロック部の損傷を防ぐとともに、コネクタを低背化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1はこの発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタの一部の正面図である。
【図3】図3は図1に示すコネクタのコンタクトと短絡部材との位置関係を示す斜視図である。
【図4】図4は図1に示すコネクタの一部分の断面図である。
【図5】図5は図1に示すコネクタの短絡部材を斜め前方から見た斜視図である。
【図6】図6は図1に示すコネクタの短絡部材を斜め後方から見た斜視図である。
【図7】図7は図1に示すコネクタのコンタクトを斜め下方から見た斜視図である。
【図8】図8は図1に示すコネクタのコンタクトを斜め上方から見た斜視図である。
【図9】図9は図1に示すコネクタのハウジングにコンタクトを挿入している途中の状態を示すコネクタの一部分の断面図である。
【図10】図10は図1に示すコネクタに相手側コネクタを嵌合している途中の状態を示すコネクタの一部分の断面図である。
【図11】図11は図1に示すコネクタに相手側コネクタが嵌合され、コンタクトの短絡状態が解除された状態を示すコネクタの一部分の断面図である。
【図12】図12は図1に示すコネクタの相手側コネクタの斜視図である。
【図13】図13は図12に示す相手側コネクタの一部の正面図である。
【図14】図14は図12に示す相手側コネクタの一部を斜め前方から見た拡大斜視図である。
【図15】図15は従来のコネクタの断面図であって、ハウジングのキャビティに端子を挿入する途中の状態を示す図である。
【図16】図16は図15に示すコネクタの断面図であって、端子の挿入が完了した状態を示す図である。
【図17】図17は図15に示すコネクタの断面図であって、端子がハウジングのキャビティに挿入されていない状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1、図4に示すように、コネクタ10はハウジング13と短絡部材15とを備える。
【0025】
ハウジング13は相手側コネクタ20(図12参照)のハウジング23と嵌合する。
【0026】
短絡部材15は、相手側コネクタ20のハウジング23がハウジング13と嵌合していないとき、隣接するコンタクト11同士を短絡する(図2、図3参照)。コンタクト11にはケーブル18が結線され(図4参照)、ケーブル18は図示しないエアバッグの着火装置に接続されている。また、短絡部材15は相手側コネクタ20がハウジング13に嵌合したとき、相手側コネクタ20の短絡解除用突起部231によって、隣接するコンタクト11の短絡が解除される(図11参照)。
【0027】
ハウジング13は複数のコンタクト収容部131と複数の短絡部収容部132と複数のロック部133とを有する。
【0028】
複数のコンタクト収容部131はハウジング13の下部に左右方向DRに沿って配置されている。コンタクト収容部131はハウジング13の前後方向DFに沿って延びている。コンタクト収容部131には複数のコンタクト11が収容される。
【0029】
複数の短絡部収容部132はコンタクト収容部131の下方に配置され、ハウジング13の前後方向DFへ延びている。短絡部材収容部132には短絡部材15が収容されている。また、短絡部材15はロック部133の前方に位置している。短絡部収容部132はコンタクト収容部131に通じている。
【0030】
ロック部133は、短絡部材収容部132からコンタクト収容部131へ斜めに延びる片持ち梁状である。ロック部133の固定端は短絡部材収容部132の後部の内壁に支持されている。ロック部133は、ハウジング13の後方からコンタクト収容部131に挿入されたコンタクト11と係合し、コンタクト11のハウジング13の後方への抜けを阻止する。ロック部133の接触部153側端部は、コンタクト11をコンタクト収容部131に挿入したとき、そのコンタクト11の角筒部111aの底面部の後縁部と係合する鉤形の切欠部133aになっている。
【0031】
ロック部133の切欠部133aの先端部はくさび状に尖っている。ロック部133の切欠部133aがコンタクト11の角筒部111aの底面部の後縁部と係合したとき、切欠部133aの先端部はコンタクト11の角筒部111aの底面部(コンタクト11の表面)に接触している(図4参照)。このとき、短絡部材収容部132に臨むロック部133のガイド面(導く面)133bがハウジング13の前後方向DFに対して傾いている。ロック部133のガイド面133bは、相手側コネクタ20がハウジング13に嵌合したときの短絡解除用突起部231の挿入軌道上に位置する。
【0032】
ハウジング13の後部にはコンタクト収容部131と直交するようにリテーナ本体収容部135が形成されている。リテーナ本体収容部135には、後述するリテーナ17のリテーナ本体171が収容される。また、ハウジング13の底面にはストッパ部収容部136が形成されている。ストッパ部収容部136はリテーナ本体収容部135に連なっている。ストッパ部収容部136にはリテーナ17のストッパ部172が収容される。
【0033】
ハウジング13の前面部13aにはコンタクト収容部131に対向するように孔134が形成されている。孔134は誘い面134aを有する。
【0034】
図5、図6に示すように、短絡部材15は1つの固定部151と1対のばね部152と1対の接触部153とを有する。固定部151はほぼ板状であり、ハウジング13の短絡部収容部132に圧入される。ばね部152はほぼJ字形であり、固定部151に連なる。接触部153はほぼ円弧状であり、ばね部152に連なる。接触部153はばね部152の付勢力によってコンタクト収容部131に収容されたコンタクト11の角筒部111aに付勢される(図4参照)。
【0035】
コンタクト11がコンタクト収容部131に収容されたとき(図4参照)、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の接触部153側端部(切欠部133a)とは所定の間隔G(図10参照)をおいてほぼ前後方向DFに沿って並んでいる。
【0036】
リテーナ17はリテーナ本体171とストッパ部172とを有する。リテーナ本体171はリテーナ本体収容部135にハウジング13の高さ方向DHへ移動可能に収容されている。リテーナ本体171は、ロック位置(ストッパ部172がストッパ部収容部136に収容される位置・図10参照)と仮止め位置(コンタクト収容部131と孔171aとがハウジング13の前後方向DFに沿って並ぶ位置・図4参照)との間で移動可能である。リテーナ本体171には、コンタクト11を通すための複数の孔171a(図4参照)が形成されている。孔171aはリテーナ本体171が仮止め位置にあるとき(図4、図9参照)、コンタクト収容部131と対向する。ストッパ部172はリテーナ本体171の下端に連なる。ストッパ部172はリテーナ本体171がロック位置にあるとき(図10、図11参照)、ストッパ部収容部136に収容される。
【0037】
図7、図8に示すように、コンタクト11はソケット型である。コンタクト11はソケット部111と結線部112と連結部113とを有する。ソケット部111は角筒部111aと接触部114とを有する。角筒部111aには相手側コネクタ20のピンコンタクト21が挿入される。接触部114は角筒部111a内に設けられ、主接触部114aと副接触部114bと連結部114cとを有する。主接触部114aはソケット部111に挿入されたピンコンタクト21に接触する。副接触部114bはピンコンタクト21に接触して撓んだ主接触部114aを受け止め、主接触部114aをピンコンタクト21に押しつける。結線部112にはケーブル18が結線される。連結部113はソケット部111と結線部112とを連結する。連結部113はストッパ片113aと突出片113bとを有する。ストッパ片113aと突出片113bはソケット部111の角筒部111aの底面よりも下方へ突出する。ストッパ片113aと突出片113bはハウジング13に形成された図示しない溝に挿入される。連結部114cは主接触部114aと副接触部114bとをソケット部111の角筒部111aに連結する。
【0038】
図12、図11に示すように、相手側コネクタ20は複数のピンコンタクト21とハウジング23とを備える。
【0039】
ピンコンタクト21はハウジング23の左右方向へ等間隔に並べられている。
【0040】
ハウジング23は2つのコネクタ10を受け容れる。ハウジング23には、複数の短絡解除用突起部231が形成されている。隣接する2つのピンコンタクト21の下方に1つの短絡解除用突起部231が位置する(図13、図14参照)。
【0041】
コネクタ10を組み立てるには、短絡部材15をハウジング13の前方から短絡部材収容部132に圧入すればよい(図9参照)。リテーナ17は予めハウジング13に装着されている。
【0042】
次に、コネクタ10の使用方法の一例を説明する。
【0043】
まず、リテーナ17を仮止め位置にセットし、ケーブル18が結線されたコンタクト11をハウジング13の後方からコンタクト収容部131へ挿入する(図9参照)。このとき、ロック部133はコンタクト11の角筒部111aの底面によって押され、下方へ撓む。したがって、ロック部133に妨げられずにコンタクト11をコンタクト収容部131へ挿入できる。
【0044】
コンタクト11がコンタクト収容部131に挿入され、コンタクト11の角筒部111aがロック部133を乗り越えたとき(図4参照)、ロック部133が上方へ撥ね上がり、ロック部133の切欠部133aが角筒部111aの底面部の後縁部に引っ掛かる。その結果、コンタクト11はロック部133によってロックされ、コンタクト11のハウジング13の後方への動きが阻止される。
【0045】
その後、リテーナ17をロック位置にスライドさせる。コンタクト11がハウジング13のコンタクト収容部131に完全に挿入されると、短絡部材15の2つのばね部152が弾性変形し、2つの接触部153が、隣接するコンタクト11の角筒部111aの底面にそれぞれ一定の接触圧力で接触し、隣接するコンタクト11が短絡する。この短絡状態が解除されなければエアバッグの着火装置が作動しない。したがって、短絡しているコンタクトの一方に誤って信号が印加したとしてもエアバッグの着火装置は作動しない。
【0046】
図9に示すように、コンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないとき、コンタクト11のストッパ片113aはリテーナ本体収容部135内にある。したがって、作業者がリテーナ17をロック位置に移動させようとしても、リテーナ17を移動させることができないので、作業者はコンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないことに気づく。また、コンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないとき、リテーナ17のストッパ部172がストッパ部収容部136に収容されておらず、ストッパ部172がハウジング13の底面から突出している(図9参照)。したがって、作業者が相手側コネクタ20をコネクタ10のハウジング13に嵌合させようとしても、相手側コネクタ20のハウジング23(図10参照)がストッパ部172に突き当たるので、作業者はコンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないことに気づく。
【0047】
相手側コネクタ20にコネクタ10を嵌合すると、図10に示すように、相手側コネクタ20のピンコンタクト21はコネクタ10のハウジング13の孔134を通じてコンタクト11のソケット部111に挿入され、また、相手側コネクタ20のロック解除片231はハウジング13の短絡部材収容部132に挿入される。
【0048】
相手側コネクタ20にコネクタ10が完全に嵌合されたとき、ピンコンタクト21はコンタクト11の主接触部114aに接触し、主接触部114aを下方へ押し込み、主接触部114aは副接触部114bに下方へ押し込む。その結果、主接触部114aと副接触部114bとに復帰力が生じ、その復帰力により主接触部114aがピンコンタクト21に強く接触する(図11参照)。
【0049】
また、相手側コネクタ20の短絡解除用突起部231が短絡部材15の接触部153とコンタクト11の角筒部111aとの間に入り、隣接するコンタクト11の短絡状態が解除される。
【0050】
この実施形態のコネクタ10によれば、短絡解除用突起部231が例えば製造誤差により設計値より長かったとしても、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の切欠部133aとが所定の間隔Gをおいてほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並んでいるので、短絡解除用突起部231がロック部133に突き当たるのを回避することができ、ロック部133の損傷を防ぐことができる。
【0051】
もし、相手側コネクタ20の短絡解除用突起部231の長さが、所定値(相手側コネクタ20とコネクタ10とを嵌合したとき短絡解除用突起部231の先端がロック部133の切欠部133aに達しない短絡解除用突起部231の長さ)を越えていたとしても、短絡解除用突起部231の先端部をロック部133のガイド面133bが短絡部材収容部132にガイドする。したがって、ロック部133の損傷が確実に回避される。また、短絡解除用突起部231を防ぐことにもなる。
【0052】
また、コンタクト11をハウジング13の左右方向DRに沿って配置し、短絡部材15をコンタクト11の下方に配置し、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の切欠部133aとをほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並べたので、ロック部133の弾性変形を許容するスペースと短絡部材15を収容するスペースとをハウジング13の高さ方向DHで重ならないようにすることができた。したがって、コネクタ10を低背化することができる。
【0053】
更に、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の切欠部133aとを所定の間隔Gをおいてほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並べ、短絡部材15とロック部133とが互いに干渉しないようにしたので、コンタクト11をコンタクト収容部131に斜めに挿入して、ロック部133が大きく弾性変形したとしても、そのロック部133の動きは短絡部材15のばね部152に伝わらない。したがって、ロック部133が大きく弾性変形したために短絡部材15のばね部152が塑性変形するのを防ぐことができ、ばね部152のばね特性は変化しにくい。
【0054】
なお、上述の実施形態では、短絡部材15はハウジング13の前方から挿入されるが、短絡部材15をハウジング13の後方から挿入するようにしてもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、短絡部材15は短絡部材収容部132に圧入されているが、短絡部材15をハウジング13に固定する方法は圧入に限られない。
【0056】
なお、上述の実施形態では、コンタクト11は相手側コネクタ20のピンコンタクト21を受け容れるソケット型であるが、コンタクト11はソケット型に限られず、ピン型でもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、短絡部材収容部132をコンタクト収容部131の下方に配置したが、短絡部材収容部132をコンタクト収容部131の上方に配置してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10:コネクタ、11:コンタクト、111:ソケット部、111a:角筒部、112:結線部、113:連結部、113a:ストッパ片、113b:突出片、114:接触部、114a:主接触部、114b:副接触部、114c:連結部、13:ハウジング、13a:前面、131:コンタクト収容部、132:短絡部材収容部、133:ロック部、133a:切欠部、133b:ガイド面(導く面)、134:孔、134a:誘い面、135:リテーナ本体収容部、136:ストッパ部収容部、15:短絡部材、151:固定部、152:ばね部、153:接触部、17:リテーナ、171:リテーナ本体、171a:孔、172:ストッパ部、18:ケーブル、20:相手側コネクタ、21:ピンコンタクト、23:ハウジング、231:短絡解除用突起部、G:所定の間隔、DR:左右方向、DF:前後方向、DH:高さ方向。
【技術分野】
【0001】
この発明はコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図15、図16、図17に示すように、ハウジング904と、ハウジング904内に実装された端子912と、ハウジング904内に実装され、ハウジング904に挿入完了したときに係合するシャントコンタクト914とを備える電気コネクタが知られている(下記特許文献1参照)。なお、図15、図16、図17は下記特許文献1の図1、図2、図3に対応する。
【0003】
電気コネクタは、更に、キャビティ910内に延びるロック突起928を備えている。ロック突起928はランス930の自由端934の近傍に配置されている。ランス930はハウジング904に設けられている。
【0004】
図17に示すように、端子912がキャビティ910に挿入されていないとき、ランス930の自由端934にシャントコンタクト914の自由端944が接触している。
【0005】
図15に示すように、端子912がキャビティ910に挿入されると、端子912がロック突起928を押し上げるためランス930が弾性変形し、ランス930の自由端934がシャントコンタクト914の自由端944を押し上げるためシャントコンタクト914のばねアーム940が弾性変形する。このとき、端子912の接触部918とシャントコンタクト914の接触突起946とは離れている。
【0006】
図16に示すように、端子912のキャビティ910への挿入が完了すると、ランス930のロック突起928が端子912の切欠922と係合し、ランス930が変形前の状態に戻り、シャントコンタクト914の接触突起946が端子912の接触部918に接触する。接触突起946が端子912に接触すると、隣接する端子912同士がシャントコンタクト914を介して短絡する。
【0007】
端子912のキャビティ910への挿入が完了したとき、シャントコンタクト914の自由端944はランス930の自由端934の上方に位置し、シャントコンタクト914のばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とがハウジング904の前後方向に沿って並び、ばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とは互いに接近している(図16参照)。
【0008】
この電気コネクタに図示しない相手側コネクタを嵌合したとき、相手側コネクタがハウジング904のキャビティ950に入り込み、相手側コネクタの偏倚手段(図示せず)によってシャントコンタクト914のばねアーム940が偏倚し、ばねアーム940の接触突起946が端子912から離れる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表2001−511299号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述のように、端子912のキャビティ910への挿入が完了したとき、シャントコンタクト914の自由端944はランス930の自由端934の上方に位置し、シャントコンタクト914のばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とがハウジング904の前後方向に沿って並び、ばねアーム940の接触突起946とランス930の自由端934とは互いに接近している(図16参照)。
【0011】
したがって、ばねアーム940の接触突起946を端子912から離すには、相手側コネクタの偏倚手段の先端をランス930の自由端934の近傍に到達させなければならない。
【0012】
ところが、相手側コネクタの偏倚手段の長さが例えば製造誤差により設計値より大きいと、ランス930の自由端934が損傷するおそれがある。
【0013】
この発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、その課題は、ロック部の損傷を防ぐとともに、コネクタを低背化することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を解決するため請求項1記載の発明は、複数のコンタクトを保持するハウジングと、前記ハウジングに保持され、相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合していないとき隣接する前記コンタクト同士を短絡するとともに、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合したとき前記相手側コネクタの短絡解除用突起部によって前記コンタクト同士の短絡が解除される短絡部材とを備えるコネクタにおいて、前記ハウジングは、前記ハウジングの左右方向に沿って配置され、前記複数のコンタクトがそれぞれ前記ハウジングの後方から挿入されるコンタクト収容部と、前記コンタクト収容部の下方又は上方に配置される短絡部材収容部と、前記コンタクト収容部に挿入された前記コンタクトと係合し、前記コンタクトの前記ハウジングの後方への抜けを阻止する弾性変形可能なロック部とを有し、前記短絡部材が、前記ロック部の前方に配置され、前記短絡部材が、隣接する前記コンタクトに接触する接触部を有し、前記接触部の前記ロック部側端部と前記ロック部の前記接触部側端部とが、所定の間隔をおいてほぼ前記ハウジングの前後方向に沿って並んでいることを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、請求項1記載のコネクタにおいて、前記ロック部は、前記短絡部材収容部から前記コンタクト収容部へ斜めに延びる片持ち梁状であることを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のコネクタにおいて、前記相手側コネクタの短絡解除用突起部の長さが所定値を越えているとき、その短絡解除用突起部を前記短絡部材収容部に導く面が、前記ロック部に形成されていることを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、請求項3記載のコネクタにおいて、前記導く面は、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合するとき、前記短絡解除用突起部の挿入軌道上に位置することを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記ロック部の前記接触部側端部は、前記コンタクトが前記コンタクト収容部に挿入されたとき、そのコンタクトと係合する鉤形の切欠部になっていることを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項5記載のコネクタにおいて、前記切欠部の先端部がくさび状に尖っており、前記切欠部が前記コンタクトと係合したとき、前記切欠部の先端部はそのコンタクトの表面に接触していることを特徴とする。
【0020】
請求項7記載の発明は、請求項1〜6のいずれか1項記載のコネクタにおいて、前記コンタクトが前記相手側コネクタのピン型コンタクトを受け容れるソケット型であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
この発明によれば、ロック部の損傷を防ぐとともに、コネクタを低背化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1はこの発明の一実施形態に係るコネクタの斜視図である。
【図2】図2は図1に示すコネクタの一部の正面図である。
【図3】図3は図1に示すコネクタのコンタクトと短絡部材との位置関係を示す斜視図である。
【図4】図4は図1に示すコネクタの一部分の断面図である。
【図5】図5は図1に示すコネクタの短絡部材を斜め前方から見た斜視図である。
【図6】図6は図1に示すコネクタの短絡部材を斜め後方から見た斜視図である。
【図7】図7は図1に示すコネクタのコンタクトを斜め下方から見た斜視図である。
【図8】図8は図1に示すコネクタのコンタクトを斜め上方から見た斜視図である。
【図9】図9は図1に示すコネクタのハウジングにコンタクトを挿入している途中の状態を示すコネクタの一部分の断面図である。
【図10】図10は図1に示すコネクタに相手側コネクタを嵌合している途中の状態を示すコネクタの一部分の断面図である。
【図11】図11は図1に示すコネクタに相手側コネクタが嵌合され、コンタクトの短絡状態が解除された状態を示すコネクタの一部分の断面図である。
【図12】図12は図1に示すコネクタの相手側コネクタの斜視図である。
【図13】図13は図12に示す相手側コネクタの一部の正面図である。
【図14】図14は図12に示す相手側コネクタの一部を斜め前方から見た拡大斜視図である。
【図15】図15は従来のコネクタの断面図であって、ハウジングのキャビティに端子を挿入する途中の状態を示す図である。
【図16】図16は図15に示すコネクタの断面図であって、端子の挿入が完了した状態を示す図である。
【図17】図17は図15に示すコネクタの断面図であって、端子がハウジングのキャビティに挿入されていない状態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0024】
図1、図4に示すように、コネクタ10はハウジング13と短絡部材15とを備える。
【0025】
ハウジング13は相手側コネクタ20(図12参照)のハウジング23と嵌合する。
【0026】
短絡部材15は、相手側コネクタ20のハウジング23がハウジング13と嵌合していないとき、隣接するコンタクト11同士を短絡する(図2、図3参照)。コンタクト11にはケーブル18が結線され(図4参照)、ケーブル18は図示しないエアバッグの着火装置に接続されている。また、短絡部材15は相手側コネクタ20がハウジング13に嵌合したとき、相手側コネクタ20の短絡解除用突起部231によって、隣接するコンタクト11の短絡が解除される(図11参照)。
【0027】
ハウジング13は複数のコンタクト収容部131と複数の短絡部収容部132と複数のロック部133とを有する。
【0028】
複数のコンタクト収容部131はハウジング13の下部に左右方向DRに沿って配置されている。コンタクト収容部131はハウジング13の前後方向DFに沿って延びている。コンタクト収容部131には複数のコンタクト11が収容される。
【0029】
複数の短絡部収容部132はコンタクト収容部131の下方に配置され、ハウジング13の前後方向DFへ延びている。短絡部材収容部132には短絡部材15が収容されている。また、短絡部材15はロック部133の前方に位置している。短絡部収容部132はコンタクト収容部131に通じている。
【0030】
ロック部133は、短絡部材収容部132からコンタクト収容部131へ斜めに延びる片持ち梁状である。ロック部133の固定端は短絡部材収容部132の後部の内壁に支持されている。ロック部133は、ハウジング13の後方からコンタクト収容部131に挿入されたコンタクト11と係合し、コンタクト11のハウジング13の後方への抜けを阻止する。ロック部133の接触部153側端部は、コンタクト11をコンタクト収容部131に挿入したとき、そのコンタクト11の角筒部111aの底面部の後縁部と係合する鉤形の切欠部133aになっている。
【0031】
ロック部133の切欠部133aの先端部はくさび状に尖っている。ロック部133の切欠部133aがコンタクト11の角筒部111aの底面部の後縁部と係合したとき、切欠部133aの先端部はコンタクト11の角筒部111aの底面部(コンタクト11の表面)に接触している(図4参照)。このとき、短絡部材収容部132に臨むロック部133のガイド面(導く面)133bがハウジング13の前後方向DFに対して傾いている。ロック部133のガイド面133bは、相手側コネクタ20がハウジング13に嵌合したときの短絡解除用突起部231の挿入軌道上に位置する。
【0032】
ハウジング13の後部にはコンタクト収容部131と直交するようにリテーナ本体収容部135が形成されている。リテーナ本体収容部135には、後述するリテーナ17のリテーナ本体171が収容される。また、ハウジング13の底面にはストッパ部収容部136が形成されている。ストッパ部収容部136はリテーナ本体収容部135に連なっている。ストッパ部収容部136にはリテーナ17のストッパ部172が収容される。
【0033】
ハウジング13の前面部13aにはコンタクト収容部131に対向するように孔134が形成されている。孔134は誘い面134aを有する。
【0034】
図5、図6に示すように、短絡部材15は1つの固定部151と1対のばね部152と1対の接触部153とを有する。固定部151はほぼ板状であり、ハウジング13の短絡部収容部132に圧入される。ばね部152はほぼJ字形であり、固定部151に連なる。接触部153はほぼ円弧状であり、ばね部152に連なる。接触部153はばね部152の付勢力によってコンタクト収容部131に収容されたコンタクト11の角筒部111aに付勢される(図4参照)。
【0035】
コンタクト11がコンタクト収容部131に収容されたとき(図4参照)、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の接触部153側端部(切欠部133a)とは所定の間隔G(図10参照)をおいてほぼ前後方向DFに沿って並んでいる。
【0036】
リテーナ17はリテーナ本体171とストッパ部172とを有する。リテーナ本体171はリテーナ本体収容部135にハウジング13の高さ方向DHへ移動可能に収容されている。リテーナ本体171は、ロック位置(ストッパ部172がストッパ部収容部136に収容される位置・図10参照)と仮止め位置(コンタクト収容部131と孔171aとがハウジング13の前後方向DFに沿って並ぶ位置・図4参照)との間で移動可能である。リテーナ本体171には、コンタクト11を通すための複数の孔171a(図4参照)が形成されている。孔171aはリテーナ本体171が仮止め位置にあるとき(図4、図9参照)、コンタクト収容部131と対向する。ストッパ部172はリテーナ本体171の下端に連なる。ストッパ部172はリテーナ本体171がロック位置にあるとき(図10、図11参照)、ストッパ部収容部136に収容される。
【0037】
図7、図8に示すように、コンタクト11はソケット型である。コンタクト11はソケット部111と結線部112と連結部113とを有する。ソケット部111は角筒部111aと接触部114とを有する。角筒部111aには相手側コネクタ20のピンコンタクト21が挿入される。接触部114は角筒部111a内に設けられ、主接触部114aと副接触部114bと連結部114cとを有する。主接触部114aはソケット部111に挿入されたピンコンタクト21に接触する。副接触部114bはピンコンタクト21に接触して撓んだ主接触部114aを受け止め、主接触部114aをピンコンタクト21に押しつける。結線部112にはケーブル18が結線される。連結部113はソケット部111と結線部112とを連結する。連結部113はストッパ片113aと突出片113bとを有する。ストッパ片113aと突出片113bはソケット部111の角筒部111aの底面よりも下方へ突出する。ストッパ片113aと突出片113bはハウジング13に形成された図示しない溝に挿入される。連結部114cは主接触部114aと副接触部114bとをソケット部111の角筒部111aに連結する。
【0038】
図12、図11に示すように、相手側コネクタ20は複数のピンコンタクト21とハウジング23とを備える。
【0039】
ピンコンタクト21はハウジング23の左右方向へ等間隔に並べられている。
【0040】
ハウジング23は2つのコネクタ10を受け容れる。ハウジング23には、複数の短絡解除用突起部231が形成されている。隣接する2つのピンコンタクト21の下方に1つの短絡解除用突起部231が位置する(図13、図14参照)。
【0041】
コネクタ10を組み立てるには、短絡部材15をハウジング13の前方から短絡部材収容部132に圧入すればよい(図9参照)。リテーナ17は予めハウジング13に装着されている。
【0042】
次に、コネクタ10の使用方法の一例を説明する。
【0043】
まず、リテーナ17を仮止め位置にセットし、ケーブル18が結線されたコンタクト11をハウジング13の後方からコンタクト収容部131へ挿入する(図9参照)。このとき、ロック部133はコンタクト11の角筒部111aの底面によって押され、下方へ撓む。したがって、ロック部133に妨げられずにコンタクト11をコンタクト収容部131へ挿入できる。
【0044】
コンタクト11がコンタクト収容部131に挿入され、コンタクト11の角筒部111aがロック部133を乗り越えたとき(図4参照)、ロック部133が上方へ撥ね上がり、ロック部133の切欠部133aが角筒部111aの底面部の後縁部に引っ掛かる。その結果、コンタクト11はロック部133によってロックされ、コンタクト11のハウジング13の後方への動きが阻止される。
【0045】
その後、リテーナ17をロック位置にスライドさせる。コンタクト11がハウジング13のコンタクト収容部131に完全に挿入されると、短絡部材15の2つのばね部152が弾性変形し、2つの接触部153が、隣接するコンタクト11の角筒部111aの底面にそれぞれ一定の接触圧力で接触し、隣接するコンタクト11が短絡する。この短絡状態が解除されなければエアバッグの着火装置が作動しない。したがって、短絡しているコンタクトの一方に誤って信号が印加したとしてもエアバッグの着火装置は作動しない。
【0046】
図9に示すように、コンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないとき、コンタクト11のストッパ片113aはリテーナ本体収容部135内にある。したがって、作業者がリテーナ17をロック位置に移動させようとしても、リテーナ17を移動させることができないので、作業者はコンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないことに気づく。また、コンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないとき、リテーナ17のストッパ部172がストッパ部収容部136に収容されておらず、ストッパ部172がハウジング13の底面から突出している(図9参照)。したがって、作業者が相手側コネクタ20をコネクタ10のハウジング13に嵌合させようとしても、相手側コネクタ20のハウジング23(図10参照)がストッパ部172に突き当たるので、作業者はコンタクト11がコンタクト収容部131に完全に挿入されていないことに気づく。
【0047】
相手側コネクタ20にコネクタ10を嵌合すると、図10に示すように、相手側コネクタ20のピンコンタクト21はコネクタ10のハウジング13の孔134を通じてコンタクト11のソケット部111に挿入され、また、相手側コネクタ20のロック解除片231はハウジング13の短絡部材収容部132に挿入される。
【0048】
相手側コネクタ20にコネクタ10が完全に嵌合されたとき、ピンコンタクト21はコンタクト11の主接触部114aに接触し、主接触部114aを下方へ押し込み、主接触部114aは副接触部114bに下方へ押し込む。その結果、主接触部114aと副接触部114bとに復帰力が生じ、その復帰力により主接触部114aがピンコンタクト21に強く接触する(図11参照)。
【0049】
また、相手側コネクタ20の短絡解除用突起部231が短絡部材15の接触部153とコンタクト11の角筒部111aとの間に入り、隣接するコンタクト11の短絡状態が解除される。
【0050】
この実施形態のコネクタ10によれば、短絡解除用突起部231が例えば製造誤差により設計値より長かったとしても、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の切欠部133aとが所定の間隔Gをおいてほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並んでいるので、短絡解除用突起部231がロック部133に突き当たるのを回避することができ、ロック部133の損傷を防ぐことができる。
【0051】
もし、相手側コネクタ20の短絡解除用突起部231の長さが、所定値(相手側コネクタ20とコネクタ10とを嵌合したとき短絡解除用突起部231の先端がロック部133の切欠部133aに達しない短絡解除用突起部231の長さ)を越えていたとしても、短絡解除用突起部231の先端部をロック部133のガイド面133bが短絡部材収容部132にガイドする。したがって、ロック部133の損傷が確実に回避される。また、短絡解除用突起部231を防ぐことにもなる。
【0052】
また、コンタクト11をハウジング13の左右方向DRに沿って配置し、短絡部材15をコンタクト11の下方に配置し、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の切欠部133aとをほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並べたので、ロック部133の弾性変形を許容するスペースと短絡部材15を収容するスペースとをハウジング13の高さ方向DHで重ならないようにすることができた。したがって、コネクタ10を低背化することができる。
【0053】
更に、短絡部材15の接触部153のロック部133側端部とロック部133の切欠部133aとを所定の間隔Gをおいてほぼハウジング13の前後方向DFに沿って並べ、短絡部材15とロック部133とが互いに干渉しないようにしたので、コンタクト11をコンタクト収容部131に斜めに挿入して、ロック部133が大きく弾性変形したとしても、そのロック部133の動きは短絡部材15のばね部152に伝わらない。したがって、ロック部133が大きく弾性変形したために短絡部材15のばね部152が塑性変形するのを防ぐことができ、ばね部152のばね特性は変化しにくい。
【0054】
なお、上述の実施形態では、短絡部材15はハウジング13の前方から挿入されるが、短絡部材15をハウジング13の後方から挿入するようにしてもよい。
【0055】
また、上述の実施形態では、短絡部材15は短絡部材収容部132に圧入されているが、短絡部材15をハウジング13に固定する方法は圧入に限られない。
【0056】
なお、上述の実施形態では、コンタクト11は相手側コネクタ20のピンコンタクト21を受け容れるソケット型であるが、コンタクト11はソケット型に限られず、ピン型でもよい。
【0057】
また、上述の実施形態では、短絡部材収容部132をコンタクト収容部131の下方に配置したが、短絡部材収容部132をコンタクト収容部131の上方に配置してもよい。
【符号の説明】
【0058】
10:コネクタ、11:コンタクト、111:ソケット部、111a:角筒部、112:結線部、113:連結部、113a:ストッパ片、113b:突出片、114:接触部、114a:主接触部、114b:副接触部、114c:連結部、13:ハウジング、13a:前面、131:コンタクト収容部、132:短絡部材収容部、133:ロック部、133a:切欠部、133b:ガイド面(導く面)、134:孔、134a:誘い面、135:リテーナ本体収容部、136:ストッパ部収容部、15:短絡部材、151:固定部、152:ばね部、153:接触部、17:リテーナ、171:リテーナ本体、171a:孔、172:ストッパ部、18:ケーブル、20:相手側コネクタ、21:ピンコンタクト、23:ハウジング、231:短絡解除用突起部、G:所定の間隔、DR:左右方向、DF:前後方向、DH:高さ方向。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコンタクトを保持するハウジングと、
前記ハウジングに保持され、相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合していないとき隣接する前記コンタクト同士を短絡するとともに、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合したとき前記相手側コネクタの短絡解除用突起部によって前記コンタクト同士の短絡が解除される短絡部材とを備えるコネクタにおいて、
前記ハウジングは、
前記ハウジングの左右方向に沿って配置され、前記複数のコンタクトがそれぞれ前記ハウジングの後方から挿入されるコンタクト収容部と、
前記コンタクト収容部の下方又は上方に配置される短絡部材収容部と、
前記コンタクト収容部に挿入された前記コンタクトと係合し、前記コンタクトの前記ハウジングの後方への抜けを阻止する弾性変形可能なロック部と
を有し、
前記短絡部材が、前記ロック部の前方に配置され、
前記短絡部材が、隣接する前記コンタクトに接触する接触部を有し、
前記接触部の前記ロック部側端部と前記ロック部の前記接触部側端部とが、所定の間隔をおいてほぼ前記ハウジングの前後方向に沿って並んでいる
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロック部は、前記短絡部材収容部から前記コンタクト収容部へ斜めに延びる片持ち梁状であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記相手側コネクタの短絡解除用突起部の長さが所定値を越えているとき、その短絡解除用突起部を前記短絡部材収容部に導く面が、前記ロック部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記導く面は、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合するとき、前記短絡解除用突起部の挿入軌道上に位置することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ロック部の前記接触部側端部は、前記コンタクトが前記コンタクト収容部に挿入されたとき、そのコンタクトと係合する鉤形の切欠部になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記切欠部の先端部がくさび状に尖っており、
前記切欠部が前記コンタクトと係合したとき、前記切欠部の先端部はそのコンタクトの表面に接触していることを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記コンタクトが前記相手側コネクタのピン型コンタクトを受け容れるソケット型であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項1】
複数のコンタクトを保持するハウジングと、
前記ハウジングに保持され、相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合していないとき隣接する前記コンタクト同士を短絡するとともに、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合したとき前記相手側コネクタの短絡解除用突起部によって前記コンタクト同士の短絡が解除される短絡部材とを備えるコネクタにおいて、
前記ハウジングは、
前記ハウジングの左右方向に沿って配置され、前記複数のコンタクトがそれぞれ前記ハウジングの後方から挿入されるコンタクト収容部と、
前記コンタクト収容部の下方又は上方に配置される短絡部材収容部と、
前記コンタクト収容部に挿入された前記コンタクトと係合し、前記コンタクトの前記ハウジングの後方への抜けを阻止する弾性変形可能なロック部と
を有し、
前記短絡部材が、前記ロック部の前方に配置され、
前記短絡部材が、隣接する前記コンタクトに接触する接触部を有し、
前記接触部の前記ロック部側端部と前記ロック部の前記接触部側端部とが、所定の間隔をおいてほぼ前記ハウジングの前後方向に沿って並んでいる
ことを特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記ロック部は、前記短絡部材収容部から前記コンタクト収容部へ斜めに延びる片持ち梁状であることを特徴とする請求項1記載のコネクタ。
【請求項3】
前記相手側コネクタの短絡解除用突起部の長さが所定値を越えているとき、その短絡解除用突起部を前記短絡部材収容部に導く面が、前記ロック部に形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のコネクタ。
【請求項4】
前記導く面は、前記相手側コネクタが前記ハウジングに嵌合するとき、前記短絡解除用突起部の挿入軌道上に位置することを特徴とする請求項3記載のコネクタ。
【請求項5】
前記ロック部の前記接触部側端部は、前記コンタクトが前記コンタクト収容部に挿入されたとき、そのコンタクトと係合する鉤形の切欠部になっていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載のコネクタ。
【請求項6】
前記切欠部の先端部がくさび状に尖っており、
前記切欠部が前記コンタクトと係合したとき、前記切欠部の先端部はそのコンタクトの表面に接触していることを特徴とする請求項5記載のコネクタ。
【請求項7】
前記コンタクトが前記相手側コネクタのピン型コンタクトを受け容れるソケット型であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項記載のコネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
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【図14】
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【図16】
【図17】
【公開番号】特開2013−25888(P2013−25888A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−156788(P2011−156788)
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月15日(2011.7.15)
【出願人】(000231073)日本航空電子工業株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】
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