説明

コネクタ

【課題】イーサネット(登録商標)ケーブルから芯線を引き出すためのイーサネット(登録商標)ケーブルの切断面を塞ぐことにより、イーサネット(登録商標)ケーブル内部の気密性を高い状態に保つことができるコネクタを提供することである。
【解決手段】本発明に係るコネクタは、ハウジング11と、ケーブルを押さえて固定するケーブル押さえ部12と、ハウジング11内部におけるケーブル押さえ部12付近の空隙を充填する充填剤とを備え、充填剤は、ケーブル17の切断面であって、そこからケーブルの芯線18が引き出される当該ケーブル17の切断面を塞ぐようにハウジング11内に充填されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコネクタに関し、特に、イーサネット(登録商標)ケーブル用のコネクタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
イーサネット(登録商標)(Ethernet(登録商標))はコンピュータネットワークの規格であり、LAN(Local Area Network)などにおいて使用される。イーサネット(登録商標)ケーブルは、イーサネット(登録商標)の接続に使用されるケーブルであり、両端がRJ−45プラグになっているものが広く普及している。
【0003】
図3にイーサネット(登録商標)ケーブル30の断面を示す。イーサネット(登録商標)ケーブル30は、外皮31の中にツイストペアケーブル32を4対包んだ構造になっている。ツイストペアケーブル32は、それぞれが2本の電線を対にしてより合わせた構造である。この構造は、単なる平行線の構造と比べてノイズの影響を受けにくい。
【0004】
外皮31の内部において、ツイストペアケーブル32が存在しない部分は空洞33となる。空洞33には空気が存在し、この空気はツイストペア32を酸化などにより劣化させる要因になる。したがって、イーサネット(登録商標)ケーブル30の空洞33は、密閉することにより高い気密性を有するようにすることが好ましい。
【0005】
図2に従来のイーサネット(登録商標)ケーブル用コネクタ20の構造の断面を示す。イーサネット(登録商標)ケーブル30はケーブル押さえ部22によって押しつぶされて固定される。このようにイーサネット(登録商標)ケーブル30を押しつぶして固定することにより、イーサネット(登録商標)ケーブル30内の空洞33は、ケーブル押さえ部22に対応する位置においてある程度密閉される。また、ケーブル押さえ部22の周辺において気密充填剤26をハウジング21内に充填することにより、イーサネット(登録商標)ケーブル30の切断面への空気の流れを防ぎ、さらにイーサネット(登録商標)ケーブル30内部の気密性を高めている。
【0006】
また、コネクタを収納するケースの防水性を高める観点から、ケース内にガスケットを用いてコネクタを収納するケースの防水性を高め、それによりケース内の気密性を高める発明が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−220375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
イーサネット(登録商標)ケーブル30内部の気密性を高めるためには、イーサネット(登録商標)ケーブル30の少なくとも1箇所において、空洞33が塞がれていることが好ましい。従来技術は、図2に示すように、ケーブル押さえ部22によってイーサネット(登録商標)ケーブル30を押しつぶすことにより空洞33を押しつぶし、また、ケーブル押さえ部22の周辺において気密充填剤26をハウジング21内に充填することによりイーサネット(登録商標)ケーブル30内の気密性をある程度高めている。
【0009】
しかしながら、この方法によっては、イーサネット(登録商標)ケーブル30の内部を完全に密閉できるわけではない。イーサネット(登録商標)ケーブル30から芯線を引き出すためのイーサネット(登録商標)ケーブルの切断面から空気がイーサネット(登録商標)ケーブル30内部の空洞33に入り込むが、ケーブル押さえ部22によっては、完全にイーサネット(登録商標)ケーブル30内部の空洞33を完全に押しつぶすことはできないからである。
【0010】
したがって、かかる点に鑑みてなされた本発明の目的は、イーサネット(登録商標)ケーブルから芯線を引き出すためのイーサネット(登録商標)ケーブルの切断面を塞ぐことにより、イーサネット(登録商標)ケーブル内部の気密性を高い状態に保つことができるコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成する第1の観点に係るコネクタの発明は、
ハウジングと、
ケーブルを押さえて固定するケーブル押さえ部と、
前記ハウジング内部における前記ケーブル押さえ部付近の空隙を充填する充填剤と
を備え、
前記充填剤は、前記ケーブルの切断面であって、そこから前記ケーブルの芯線が引き出される当該ケーブルの切断面を塞ぐように前記ハウジング内に充填されていること
を特徴とする。
【0012】
第2の観点に係る発明は、前記充填剤は、気密性のある気密充填剤であることを特徴とする。
【0013】
第3の観点に係る発明は、前記ケーブルの芯線を押さえて固定する芯線押さえ部を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、イーサネット(登録商標)ケーブルから芯線を引き出すためのイーサネット(登録商標)ケーブルの切断面を塞ぐことにより、イーサネット(登録商標)ケーブル内部の気密性を高い状態に保つことができるコネクタを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るコネクタを示す断面図である。
【図2】従来のコネクタを示す断面図である。
【図3】イーサネット(登録商標)ケーブルの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るコネクタの一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係るコネクタ10を示す断面図である。コネクタ10は、ハウジング11、ケーブル押さえ部12、芯線押さえ部13、圧着端子14、イーサ端子15および気密充填剤16を備える。
【0018】
ハウジング11は、コネクタ10全体を囲う部分であり、ケーブル押さえ部12、芯線押さえ部13、圧着端子14、イーサ端子15および気密充填剤16を囲う。また、ハウジング11には、イーサネット(登録商標)ケーブル17が挿しこまれる。
【0019】
ケーブル押さえ部12は、コネクタ10に挿し込まれるイーサネット(登録商標)ケーブル17を押しつぶすようにしてコネクタ10に固定する。このようにイーサネット(登録商標)ケーブル17を押しつぶすことによって、ケーブル押さえ部12は、イーサネット(登録商標)ケーブル17内部の空洞をある程度つぶすことができる。
【0020】
芯線押さえ部13は、圧着端子14の上部まで延ばされたイーサネット(登録商標)ケーブル17の芯線18を圧着端子14に対して押さえつけ、芯線押さえ部13と圧着端子14との間に芯線18を固定する。コネクタ10に芯線押さえ部13があればよいがなくてもよい。
【0021】
芯線18は、イーサネット(登録商標)ケーブル17とイーサ端子15とを電気的に接続するために、イーサネット(登録商標)ケーブル17から引き出された線である。芯線18を引き出す際には、芯線18を引き出す長さ分だけイーサネット(登録商標)ケーブル17の外皮が切り取られ、イーサネット(登録商標)ケーブル17は、外皮を切り取った部分において切断面を有することになる。イーサネット(登録商標)ケーブル17の切断面は、塞がれていない場合、そこから空気がイーサネット(登録商標)ケーブル17内部の空洞に入り込んでしまうため、イーサネット(登録商標)ケーブル17内部の気密性を低下させる要因になる。
【0022】
圧着端子14は導体であり、イーサネット(登録商標)ケーブル17の芯線18とイーサ端子15とを電気的に接続する。図1においては、圧着端子14は1つのみ示されているが、実際には、イーサネット(登録商標)ケーブル17は8本の芯線18を有するため、それに対応して、コネクタ10は8つの圧着端子14を備える。
【0023】
イーサ端子15は、外部コネクタと接続する際に、外部コネクタに挿し込まれる部分である。図1においては、1つの圧着端子14のみが示されているが、8つの圧着端子14の一部がイーサ端子15に挿し込まれている。
【0024】
気密充填剤16は、イーサネット(登録商標)ケーブル17内部の気密性を高めるためにハウジング11の内部に充填される。本実施形態においては、気密充填剤16は、イーサネット(登録商標)ケーブル17の切断面を完全に塞ぐようにして、ハウジング11内に充填される。例えば、気密充填剤16は、接着剤のようなものである。
【0025】
このように、イーサネット(登録商標)ケーブル17の切断面を気密充填剤16によって完全に塞ぐことにより、イーサネット(登録商標)ケーブル17内部の空洞には、空気が入り込むことができなくなる。その結果、イーサネット(登録商標)ケーブル17内部の気密性は、ケーブル押さえ部12によってイーサネット(登録商標)ケーブル17内部の空洞を押しつぶすことによって実現していた気密性よりも高い気密性を実現することができる。なお、気密充填剤16は、厳密に気密を確保できなくても良く、イーサネット(登録商標)ケーブル17の切断面を覆って固定できるもの(充填剤)でもよい。
【0026】
このように、本実施形態によれば、イーサネット(登録商標)ケーブル17から芯線18を引き出すためのイーサネット(登録商標)ケーブル17の切断面において切断面全体を塞ぐように気密充填剤16を充填することにより、イーサネット(登録商標)ケーブル17内部の気密性を高い状態に保つことができるコネクタ10を提供することすることができる。
【0027】
本発明を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各部材、各手段、各ステップなどに含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の手段やステップなどを1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。
【0028】
なお、上述の実施例においては、イーサネット(登録商標)ケーブルを例に説明したが、ケーブル内部に空洞を有し、芯線を引き出すための切断面がコネクタ内部に位置するケーブルであれば本発明を同様に適用することができる。
【符号の説明】
【0029】
10 コネクタ
11 ハウジング
12 ケーブル押さえ部
13 芯線押さえ部
14 圧着端子
15 イーサ端子
16 気密充填剤
17 イーサネット(登録商標)ケーブル
18 芯線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
ケーブルを押さえて固定するケーブル押さえ部と、
前記ハウジング内部における前記ケーブル押さえ部付近の空隙を充填する充填剤と
を備え、
前記充填剤は、前記ケーブルの切断面であって、そこから前記ケーブルの芯線が引き出される当該ケーブルの切断面を塞ぐように前記ハウジング内に充填されていること
を特徴とするコネクタ。
【請求項2】
前記充填剤は、気密性のある気密充填剤である請求項1に記載のコネクタ。
【請求項3】
前記ケーブルの芯線を押さえて固定する芯線押さえ部を備えた請求項1に記載のコネクタ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate


【公開番号】特開2013−4269(P2013−4269A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133257(P2011−133257)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】