説明

コポリアミド

成分A、B及びCのモノマーからなるターポリマーを含有する溶液であって、前記成分の全体量が100質量%であり、a)成分Aとしてラクタム5〜60質量%、b)成分Bとして等モル量のアジピン酸と1種以上の脂肪族ジアミン5〜60質量%、c)成分Cとして等モル量のアジピン酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)10〜70質量%を、C1〜C4−アルカノール50〜100質量%、水0〜50質量%、芳香族化合物不含の他の溶剤、最大で10質量%を含有する芳香族化合物不含の溶剤系中に含有し、前記溶剤系の全体量は100質量%である溶液、及び成分A、B及びCのモノマーからなるターポリマーであって、前記成分の全体量は100質量%であり、a)成分Aとしてラクタム15〜40質量%、b)成分Bとして等モル量のアジピン酸及び1種以上の脂肪族ジアミン20〜45質量%、c)成分Cとして等モル量のアジピン酸及び4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)25〜60質量%のターポリマー(但し、成分A30〜40質量%、成分B30〜40質量%及び成分C30〜40質量%からなるターポリマーを除く)が記載されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラクタム、等モル量のアジピン酸及び脂肪族ジアミン並びに等モル量のアジピン酸及び4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)からなるターポリマー及びそのアルコール性溶液、その製造方法及び固体表面を被覆するためのその使用に関する。
【0002】
ポリアミド6/6.6/Dicycan−ターポリマー及び固体表面の被覆のためのその使用は自体公知である。DE 755 617は、特にポリアミド−6/6.6/Dicycan−ターポリマーであることができる縮合生成物の製造方法に関する。このポリマーの溶液は、メタノール、ベンゼン又はトルエン及び場合により水を含む溶剤中で製造される。
【0003】
この得られたターポリマーは、全ての用途のためには十分に高いガラス転移温度を有していない。更に、芳香族化合物を含有する溶液は健康に有害であり、廃棄のために手間がかかる。
【0004】
本発明の課題は、公知の溶液の欠点を回避した特にポリアミド−6/6.6/Dicycan−ターポリマーの溶液を準備することである。更に、特に高められたガラス転移温度を有しかつ改善された適用特性を示す相応するターポリマーを準備すべきである。
【0005】
前記課題は、本発明の場合に、成分A、B及びCのモノマーからなるターポリマーを含有する溶液であって、前記成分の全体量が100質量%であり、
a. 成分Aとして、ラクタム5〜60質量%、
b. 成分Bとして、等モル量のアジピン酸と1種以上の脂肪族ジアミン5〜60質量%、
c. 成分Cとして、等モル量のアジピン酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)10〜70質量%を、
1〜C4−アルカノール50〜100質量%、
水0〜50質量%、
芳香族化合物不含の他の溶剤、最大で10質量%を
含有する芳香族化合物不含の溶剤系中に含有し、
前記溶剤系の全体量が100質量%である溶液により解決される。
【0006】
前記課題は、更に、成分A、B及びCのモノマーからなるターポリマーであって、前記成分の全体量は100質量%であり、
a) 成分Aとして、ラクタム15〜40質量%、有利に20〜40質量%、
b) 成分Bとして、等モル量のアジピン酸と1種以上の脂肪族ジアミン20〜45質量%、有利に20〜40質量%、
c) 成分Cとして、等モル量のアジピン酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)25〜60質量%、有利に30〜60質量%の
ターポリマー(但し成分A30〜40質量%、成分B30〜40質量%及び成分C30〜40質量%のターポリマーを除く)により解決される。
【0007】
上記ポリマーの質量表示は、バッチ中のモノマー秤量に関するもので、ポリマー中の繰返単位に関するものではない。
【0008】
本発明により、上記ターポリマーは、一般にほぼC1〜C4−アルカノールを含有する、芳香族化合物不含の溶剤系中で良好に溶解し、相応する溶液は固体表面の被覆のために良好に使用可能であることが見出された。さらに、本発明によるターポリマーは、有利な範囲の機械的特性、及び固体表面の被覆のために特に良好に使用可能にする適用特性を示すことが見出された。高められたガラス転移温度は、この被覆系の貯蔵安定性及び輸送安定性を特に改善する。
【0009】
本発明による溶液の場合に、ターポリマー中で有利に成分Aは10〜50質量%、成分Bは10〜50質量%、成分Cは20〜60質量%存在し、これらの成分の全体量は100質量%である。
【0010】
この芳香族化合物不含の溶剤系は、芳香族炭化水素、特にベンゼン及びトルエンを含有しない。この溶剤系は、C1〜C4−アルカノールを有利に70〜100質量%、特に有利に80〜100質量%、水を有利に0〜30質量%、特に有利に0〜20質量%及び他の溶剤を有利に最大で5質量%、特に有利に最大で2.5質量%、殊に最大で1質量%含有し、この溶剤系の全体量は100質量%である。特に有利に、溶剤系中にC1〜C4−アルカノール及び水だけが存在する。C1〜C4−アルカノールとして、全ての相応するアルカノールを使用することができる。メタノール、エタノール、n−プロパノール又はイソプロパノール並びにこれらの混合物の使用が有利である。特に有利にメタノールが使用される。
【0011】
成分Aのラクタムとして、任意の適切なラクタムを使用することができる。特に有利に、カプロラクタムが使用される。成分Bの脂肪族ジアミンは、有利に末端が線状のC4〜C12−アルキレンジアミン、特に有利にC4〜C8−アルキレンジアミン、特にヘキサメチレンジアミンである。
【0012】
このターポリマーは、主にモノマーA、B及びCから構築されている。それぞれの末端基含有量の調節のために、僅かな付加的な量のモノカルボン酸又はジカルボン酸又はモノアミン又はジアミンが存在してもよい。少量の共重合可能なコポリマー(モノマーの全体量に対して、最大で5質量%、特に有利に最大で2.5質量%、殊に1質量%)の添加も可能である。特に有利に、このターポリマーは、成分A、B及びCのモノマーだけを含有する。
【0013】
本発明によるターポリマーは、有利に成分A20〜30質量%、成分B20〜30質量%及び成分C40〜60質量%を含有し、この場合、全体量は100質量%である。特に有利に、成分A20〜30質量%、成分B20〜27.5質量%、成分C45〜55質量%である。成分A25質量%、成分B25質量%、成分C50質量%をベースとし、それぞれの量は±20%、有利に±10%、特に±5%変化することができるターポリマーが特別に有利である。
【0014】
本発明によるターポリマー又は溶液は、任意の被覆のために使用することができる。特に、これは塗料又は塗膜であることができる。
【0015】
本発明によるターポリマー又は本発明によるターポリマーを含有する溶液は、固体表面、例えばケーブル及びワイヤの被覆のために使用される。このために、被覆溶液は、全ての通常の適切な添加剤を有することができる。有利に、この溶液は、付加的に難燃剤、粘度改質剤、流れ調整剤、塗膜形成助剤、定着剤又はこれらの混合物を含有することができる。その他の通常の添加剤が存在してもよい。
【0016】
本発明によるターポリマーは、任意の適切な方法により製造することができる。有利に、この製造は、210〜290℃、有利に260〜280℃の範囲内の温度で、3〜50bar、有利に5〜20barの範囲内の圧力で、水の添加下でのモノマー成分A、B及びCの反応により行う。
【0017】
多様な可能な製造方法は次に詳細に説明される。
【0018】
本発明の実施態様によると、ポリアミドの製造方法の実施を、後方に押出機が配置された槽型反応器中で行う。この場合、ラクタム、ジアミン及びジカルボン酸並びにDicycanから出発して、化学量論的モノマー混合物をバッチ法で撹拌槽型反応器中で反応させる。この場合、官能性末端基、つまりカルボキシル末端基及びアミノ末端基の約90%が反応されるため、低分子量のプレポリマーが生じる。この縮合反応に基づき水が生じるため、反応器中で調節された反応温度で圧力が上昇する。この反応が平衡に達しかつ一定の圧力が生じた場合に、選択的に圧力を放圧することができ、この場合、水及び場合によるモノマーがガス状で搬出されるか、又はこの反応を一定の圧力で続行する。このプレポリマーをさらに押出機に送り、その押出機中で水及び場合によりモノマー又はオリゴマーの排出下で、融点を超える温度でさらに反応させる。この押出機中へは別個のモノマーを供給するのではなく、撹拌槽型反応器からの調整された化学量論を有する前縮合物だけが供給される。この適用された温度プロフィール及び圧力プロフィールは、それぞれのポリアミド又は最終生成物の所望の粘度に依存する。例えば、撹拌槽型反応器中で、2時間反応させることができ、この場合、圧力は16barに上昇する。一定圧力が達成される場合に、さらに2時間この温度を保持し、その後で、二軸スクリュー押出機を用いて搬出を開始する。
【0019】
2つの槽型反応器を交互に運転し、それぞれ製造されたプレポリマーをこの押出機に移すこともできる。
【0020】
別の実施態様の場合には、押出機用の貯蔵容器が、撹拌槽型反応器と押出機との間に配置されている。この貯蔵容器中では、プレポリマーの更なる化学反応は行わない。一般に、撹拌槽型反応器中からの温度は貯蔵容器中でも保たれ、このプレポリマーは一般に加圧下(30barまで)で保たれる。このプレポリマー/水混合物は、次いで、押出機中へ放圧される。
【0021】
これとは別に、この製造は、モノマー混合物を含む固体混合物を、同一方向に回転する二軸スクリュー押出機中で、10秒〜30分の滞留時間で150〜400℃の範囲内の温度に、水蒸気及び場合によるジアミンをベント開口部を通して除去しながら加熱する、押出機中での方法により行う。
【0022】
この方法は、モノマー混合物を含有する固体混合物を前提とする。この固体混合物は、他の内容物質、例えば繊維、充填剤、着色剤又は助剤を含有することもできる。一般的に、このモノマー混合物は塩の形で存在し、この場合、押出機中での反応の前に、塩の形成の際に生じる水はできる限り完全に除去される。残りの残留水は、押出機中でベント開口部を通して除去することができる。固体モノマー混合物についての一般的な含水量は、モノマー混合物の5〜30質量%、有利に10〜20質量%の範囲内にある。
【0023】
この反応は、本発明の場合に、ベント開口部を有する同一方向に回転する押出機中で実施される。適切な押出機は当業者に公知であり、例えばDE-A-195 14 145に記載されている。
【0024】
押出機中での滞留時間は、10秒〜30分、有利に10秒〜20分、特に30秒〜5分である。
【0025】
この反応は、150〜400℃、有利に200〜330℃の範囲内の温度で行われる。特に、この温度は250〜330℃、特に260〜330℃であることができる。
【0026】
押出機中の圧力は自発的に生じ、さらにベント開口部を介して除去される水蒸気及びジアミンの割合によっても調節される。
【0027】
有利に、このベント開口部から搬出されるジアミン及び水を、少なくとも部分的に凝縮させ、こうして得られたジアミンは押出機中に返送する。例えば、ベント開口部からの搬出物をまとめて、塔中で分離することができ、この場合、塔頂を介して水蒸気が引き出され、塔底中ではジアミン/水凝縮物が搬出され、押出機に返送される。
【0028】
本発明の場合に、繊維、充填剤、着色剤又は助剤との配合を押出機中で直接実施することができる。このために、繊維、充填剤、着色剤、助剤又はこの混合物を、モノマー混合物に対して付加的に直接押出機に供給する。これにより、更なる加工工程を削減できる。
【0029】
本発明による押出に引き続き、他の加工工程、例えば固相後縮合及び造粒工程を行うことができる。この方法は自体公知であり、例えば冒頭に記載した文献に記載されている。
【0030】
繊維及び充填剤は、例えばEP-A-0 667 367中では成分(B)として記載されている。
【0031】
通常の添加剤、例えば安定剤及び酸化遅延剤、熱分解、紫外線による分解に対する薬剤、滑剤、離型剤、染料、顔料及び可塑剤も、EP-A-0 667 367には記載されている。本発明により製造されたポリアミドは、有利に60〜95℃の範囲内のガラス転移温度及び170〜270℃の範囲内の融点を有する。この本発明により製造されたポリアミドは、極めて僅かな(例えば15%未満)結晶化度を有するか又は結晶化度を有しなく、透明である。
【0032】
モノマー混合物の製造は、例えば水性モノマー溶液の乾燥、温度低下による沈殿、又は水の一部の排気、又は分離された塩の混合により行うことができる。
【0033】
このポリアミドは、典型的には、重合/重縮合の後に顆粒化し、水で抽出して残留するモノマー及びダイマーを除去し、引き続き、分子量又は粘度を高めるために後縮合される。この場合、抽出の間に導入された水分は、ポリアミドの顆粒から除去しなければならない。このために多様な方法が公知である。
【0034】
抽出物の低減は、固相の形のポリアミド顆粒の前乾燥及び後縮合する連続的方法により達成され、この場合、
1) この前乾燥は、連続的乾燥装置(例えば塔型乾燥機、例えば移動層を備えた塔型乾燥機、流動層乾燥機、流動床/パルス床乾燥機(Wirbel/Pulsbetttrockner))中で実施され、前記乾燥機は、向流又は十字流で不活性ガス、水蒸気又は不活性ガスと水蒸気とからなる混合物を用いて、70〜200℃の顆粒温度で運転され、
2) 後続する連続的後縮合は、移動層を備えた別個の塔中で、工程(1)における顆粒温度を上回るか、同じか又は下回ることができかつ120〜210℃の範囲内の顆粒温度で実施され、この場合、この塔は、不活性ガス、水蒸気又は不活性ガスと水蒸気とからなる混合物を用いて向流で運転され、前記不活性ガスは前記塔に沿って少なくとも2箇所で供給され、前記不活性ガスの15〜90%は前記塔の底部で供給され、かつ前記不活性ガスの10〜85%は上側の半分に、有利に上側の3分の1で顆粒表面の下側に供給される。
【0035】
この前乾燥(工程1)は、70〜200℃、有利に120〜180℃、特に140〜180℃の範囲内の顆粒温度で実施される。
【0036】
この後縮合は、工程(1)での顆粒温度を上回るか、下回るか又は同じである顆粒温度で実施される。工程(2)の顆粒温度は、120〜210℃の範囲内、有利に160〜180℃の範囲内、特に165〜175℃の範囲内にある。
【0037】
工程(2)中の温度は、ポリアミドの所望の分子量又は所望の粘度及び工程2の滞留時間に依存して選択される。比較的高い粘度又は比較的高い分子量のために、比較的高い温度が使用される。
【0038】
この前乾燥は、有利に1〜10bar絶対の範囲内、特に1〜5bar絶対の範囲内の圧力で実施される。この後縮合は、有利に1〜10bar絶対の範囲内、特に1〜5bar絶対の範囲内の圧力で実施される。空気(酸素)の侵入を抑制するために過圧が一般に使用される。
【0039】
本発明の場合に、不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物を、工程(2)中で、前記塔に沿って少なくとも2箇所で供給し、その際、この不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物の15〜95%は前記塔の底部で供給され、不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物の5〜85%は、塔頭部下の、上側の3分の1で供給される。この場合、重力によって顆粒は塔頭部から塔底部に向かって移動し、不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物を用いて向流で処理される。
【0040】
有利に、工程(2)で、不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物の30〜90%、特に不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物の50〜85%は、前記塔の底部に供給され、不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物の10〜70%、特に有利に15〜50%は、塔長さの上側半分に、例えば上側の3分の1に又は塔長さの1/8〜3/8の範囲で顆粒表面の下側に供給される。この塔が完全に充填されている場合には、塔頭部と顆粒表面とは同じ高さにある。1実施態様の場合には、不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物の供給は、前記塔の底部及び塔長さの約1/4で顆粒レベルの下側に行われる。
【0041】
この塔の寸法決定は、顆粒表面ではガス流速が流動化点に到達しないように行うのが好ましい。
【0042】
乾燥媒体又は抽出媒体として、工程(1)及び(2)において任意の適切な不活性ガスを使用することができる。有利に、工程(1)においては水蒸気、窒素又はこれらの混合物を乾燥媒体として、工程(2)においては0〜90質量%、有利に0〜10質量%の水蒸気割合を有する窒素が、乾燥媒体又は抽出媒体として使用される。有利に、工程1及び2では、酸素不含の乾燥媒体又は抽出媒体が使用される。
【0043】
工程(1)において、ポリアミド1kg当たり、有利に不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物1〜20kg、特に有利に不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物2〜10kgが導入される。
【0044】
工程(2)において、有利に、ポリアミド1kg当たり不活性ガス、水蒸気又は不活性ガス/水蒸気混合物少なくとも0.5kg、特に有利に、ポリアミド1kg当たり不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物少なくとも1〜7kgが塔中に導入される。
【0045】
前乾燥及び後縮合によりそれぞれ供給される不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物は、その搬出後に廃棄することができる。しかしながら、有利に、不活性ガス又は不活性ガス/水蒸気混合物は、後処理の後に一部又は全部が方法に返送される。
【0046】
工程(1)においてこの装置を離れ、負荷された乾燥媒体は有利に処理され、一部又は全部が方法に返送される。この処理は、60℃未満、有利に45℃未満の温度でガススクラビングにより行う。不活性ガス中に不純物が蓄積されるのを抑制するため、必要な場合に、工程(1)において、前記装置から搬出される乾燥媒体の有利に0.1〜10質量%、特に約1質量%が新たな媒体と交換される。
【0047】
工程(2)において前記塔の頭部を離れ、負荷された乾燥媒体又は抽出媒体は、有利に処理され、一部又は全部が方法に返送される。例えば、前記塔を離れる抽出媒体の0.1〜10質量%は新たな抽出媒体と交換される。この処理は、工程1と同様に、例えばガススクラビングにより行われる。場合により、工程(2)からのこの負荷された乾燥媒体又は抽出媒体は工程(1)において加熱及び乾燥のために使用することができる。
【0048】
他の実施態様の場合に、工程1からの乾燥媒体は処理後に工程2に供給される。
【0049】
工程(1)中の顆粒の滞留時間は、有利に0.2〜15時間、特に有利に0.5〜10時間である。
【0050】
工程(2)中の滞留時間は、有利に5〜80時間、特に20〜40時間である。
【0051】
この乾燥及び後縮合は、装置的に例えばEP-B-1 235 671に記載されたように設計しかつ実施することができる。例えば、工程(1)中で十字流乾燥機を使用することができる。これとは別に、工程(1)中で、塔型乾燥機、バンド乾燥機又は流動層を使用することもできる。
【0052】
工程(2)において、有利に塔型乾燥機が使用される。この塔型乾燥機には冷却装置が接続されていてもよい。この装置の適切な寸法形状は、EP-B-1 235 671においてこの明細書及び図面に記載されている。
【0053】
この場合、特に、付加的な不活性循環を有する活性塔を用いた方法手法が参照される、EP-B-1 235 671の段落[0032]〜[0037]参照。
【0054】
実現可能な水分低下(本発明の意味範囲で乾燥)は、ポリアミド顆粒の場合に、一般に約3〜15質量%の初期水分から、0.02〜4質量%の範囲内の値にまで行われる。
【0055】
抽出から生じる前乾燥において使用されたポリアミドは、0超〜0.08質量%の範囲内の残留モノマーの含有量を有する。有利に、この前乾燥機中へポリアミドを導入し、この前乾燥機中で残留モノマーの含有量は0.05又は0.03質量%未満であり、環状残留ダイマーは0.1又は0.08質量%未満である。本発明の1実施態様によると、工程2の搬出時の残留モノマー含有量は、工程1の導入時よりも大きい。
【0056】
抽出工程でのモノマー及びダイマーの分離により、装置への沈着及び皮膜形成を確実に抑制し、最終的に塔及び蒸気管の閉塞を確実に抑制する。
【0057】
工程(2)において、ポリアミドは重力に基づいて移動層で流動する別個の塔又は塔型乾燥機が使用される。処理量及び塔中の顆粒の状態に関して多様な滞留時間を調節することができ、多様な温度の影響と一緒に、多様な分子量の生成物を製造することができる。有利には、塔型乾燥機中では空気酸素は排除される、それというのも、この空気酸素は熱いポリマー顆粒と反応し、このことが最終生成物においていわゆる変色を生じさせるためである。
【0058】
工程1を前方に配置することは、特に顆粒が塔型乾燥機(工程2)中に達する前に、残留水分を抽出から搬出するために必要である。他の場合に、必要な気化熱により、ガス温度が蒸気の凝縮温度以下に低下することがあり、顆粒は粘着しかねない。
【0059】
乾燥と後縮合との切り離しは、両方の方法工程を別個に調節される温度水準で運転することを可能にする。さらに、顆粒滞留時間を、それぞれ可変に調節することができる。前乾燥機及び後縮合機のサイズの設計により及び充填度により、全体として同じに維持される質量流で異なる滞留時間を実現することを達成することができる。
【0060】
本発明を次の実施例によって詳細に説明する。
【0061】
実施例
モノマー塩の製造
塩の製造のために撹拌装置を使用した。この撹拌装置は、所属する金属プレートを備えた2Lガラス容器からなり、この金属プレートは、ネジ及びシーリングを用いて前記容器に固定された。底部の開口部を介して、塩溶液を均質に排出することができた。このガラス容器は、塩溶液を加熱し及び溶液中の必要な温度を調節するために循環サーモスタットに接続された。金属プレートには、化学薬品の均質な混合のためにアンカー型撹拌機が取り付けられた。この金属プレート上に、漏斗及び冷却のための強力冷却器を、冷媒としての水の返送の間に固定した。不活性化のために、この容器を金属プレートを介して窒素ガス導管と接続した。
【0062】
まず、固体のDicycanを軽度に沸騰した水中で融解させた。引き続き、還流冷却、一定の窒素供給(10lh-1)及び撹拌機回転数n=200min-1で2リットルのガラス容器中に水を装入し、サーモスタットを45℃に調節した。
【0063】
カプロラクタム、AH塩及びアジピン酸を、次いで相互に続けて添加した。この溶液に、融解したDicycanを塩溶液の温度に留意しながら滴加し、この場合60℃を超えるべきではない。前記容器を、ガラス栓を用いて閉鎖し、温度をサーモスタットで95℃に上昇させ、均質性を調節するために撹拌した。
【0064】
乾燥皿中での溶液を除去した後に、冷却に基づき塩が生じた。
【0065】
一定の窒素供給(400lh-1)で、この塩を引き続き真空庫中で50℃で低い含水量にまで乾燥させた。この後に残留物を分析し、十分に低い値(w(H2O)<1%)で前縮合を開始した。
【0066】
前縮合
この合成の後に、前記塩をミニオートクレーブ中で、加熱可能な油浴中で加圧下で平衡が生じるまで前縮合させ、モノマーと反応生成物の分離を抑制し、それにより生成物の高い分子量を達成した。この場合、オートクレーブが気密に閉鎖され、従ってモノマーは水蒸気と共に搬出されないことに留意しなければならなかった。この前縮合を220℃で実施した。
【0067】
この塩の前縮合を、乾燥した塩を充填した24mlのミニオートクレーブ中で実施した。このオートクレーブは、両端にスウェージロック栓により閉鎖可能である金属管である。オートクレーブの加熱のために鋼槽が用いられ、この鋼槽は熱損失からの保護の目的で絶縁バッグにより取り囲まれかつウッド合金で充填された。
【0068】
合金の溶融後に、このオートクレーブを、ホルダーを用いて液状金属浴中に浸漬することができた。必要な温度を調節するために、ホットプレート、投入型電熱器、温度調節器及び2つのシングルジャケット熱電対が使用され、これらは投入型電熱器と共に溶融した合金中に浸漬される。熱損失を抑制するために、金属浴をアルミホイルで覆った。この装置を、液状金属中へ浸漬された調節器中の過剰温度保護により及びESTIカートリッジ(ESTI-Apparatebau GmbH, Berlin)により保護した。
【0069】
ミニオートクレーブの内部へはテフロンホースが導入され、冷却後の壁部への生成物の付着を抑制した。オートクレーブの一方の側は閉鎖することができ、この塩は不活性化のために窒素でパージされたグローブボックス中で、オートクレーブ容量の半分まで充填することができた。その後で、このオートクレーブを完全にかつ気密に閉鎖した。
【0070】
この金属浴を、まず80℃に熱処理し、溶融物を生じさせた。引き続き、必要な反応温度を調節器により調節した。
【0071】
このミニオートクレーブはワイヤを用いてホルダーに固定することができ、金属浴中に浸漬し、この金属浴をアルミ箔で覆った。
【0072】
このオートクレーブを、それぞれ220℃で8時間後に、再び金属から取り出し、空気中で1分間冷却した。ワイヤを取り外した後、このオートクレーブを沸騰水中に入れ、外側に付着する残りの金属を除去した。オートクレーブの開放のために、それぞれの栓を金属浴中に浸漬し、次いで回し開けた。このコポリアミド生成物を取り出した。
【0073】
前縮合物の熱処理
最後の製造工程において、固相中で175℃での前縮合物の熱処理により、まだ存在する塩の溶液水及び重縮合の際に生じる反応水を完全に除去することが目的であった。この方法で、平衡はポリアミド側にシフトし、高分子の生成物が得られる。この特性は、動的示差熱量測定を用いて測定することができた。この場合、この前縮合物をまず低温で乾燥した。熱処理のため、それによる前縮合物からの水の除去のために乾燥庫を使用し、この乾燥庫中でロタメータによって不活性化する窒素流を供給した。この前縮合物を、まず80℃及び120℃の温度で、それぞれ72時間、一定の窒素供給量(VB=400lh-1)で乾燥し、引き続き175℃で24時間熱処理した。この生成物の特性を、表1にまとめた。
【0074】
コポリアミドの組成
コポリアミドの多様な化学量論的に同等の組成物を表1中に記載した。
【表1】

【0075】
コポリアミドの分析
動的示差熱量測定
ガラス転移温度及び融点及び結晶化度の測定のために、それぞれコポリアミド8.5mgを小皿中に秤量し、この対照試料(空気)と共に示差熱量計の炉中に設置し、DSC測定セルを窒素(VB=50ml min-1)で5分間洗浄した。このセルは、加熱速度β=20Kmin-1での温度プログラムにより380℃(コポリアミドB)に、又は280℃(コポリアミドA)に加熱し、熱履歴の影響を解消した。この炉をβ=20Kmin-1で60℃に冷却した後に、セルを第2の加熱サイクルで新たにβ=20Kmin-1で上記の温度に加熱し、引き続きこの装置を冷却した。最終温度をそれぞれ5分間一定に保持した。得られた曲線推移から、ガラス転移温度Tg及び融点Tm並びに溶融エンタルピーΔHmを、評価プログラムを用いて測定した。
【0076】
C6
ヘキサメチレンジアミンの水溶液3.055g(69.96質量%)、アジピン酸5.224g、Dicycan3.651g及びカプロラクタム4.181gを、試験管中に秤量し、撹拌しないオートクレーブ中に設置し、それぞれ10barの窒素で3回パージした。このオートクレーブを280℃に加熱し、この温度で16barの過圧で2時間保持した。引き続き、110分間でこのオートクレーブを大気圧に放圧し、窒素流下で120分間で同じ温度で後縮合を実施した。取り出した生成物を水で抽出し、乾燥した。
【0077】
成分PA6/PA66/PAD6の30/30/40質量%の組成を有する、この条件下で製造した透明で澄んだポリマーは、85〜132mL/gの粘度数(濃硫酸0.5質量%)及び77℃と79℃の間のガラス転移温度(DSC、20K/minでの第2の冷却経過)を示した。この室温で調製された、エタノールと水との溶剤混合物(80:20質量%)中のターポリマー10質量%の溶液は澄んでいて、室温で安定性を示した。
【0078】
C7
ヘキサメチレンジアミンの水溶液2.738g(69.96質量%)、アジピン酸5.314g、Dicycan4.181g及びカプロラクタム3.747gを、試験管中に秤量し、撹拌しないオートクレーブ中に設置し、それぞれ10barの窒素で3回パージした。このオートクレーブを280℃に加熱し、この温度で16barの過圧で2時間保持した。引き続き、110分間でこのオートクレーブを大気圧に放圧し、窒素流下で120分間で同じ温度で後縮合を実施した。取り出した生成物を水で抽出し、乾燥した。
【0079】
成分PA6/PA66/PAD6の27/27/46質量%の組成を有する、この条件下で製造した透明で澄んだポリマーは、84〜112mL/gの粘度数(濃硫酸0.5質量%)及び88℃と91℃の間のガラス転移温度(DSC、20K/minでの第2の冷却経過)を示した。この室温で調製された、エタノールと水との溶剤混合物(80:20質量%)中のターポリマー10質量%の溶液は澄んでいて、室温で安定性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
成分A、B及びCのモノマーからなるターポリマーを含有する溶液であって、前記成分の全体量が100質量%であり、
a) 成分Aとして、ラクタム5〜60質量%、
b) 成分Bとして、等モル量のアジピン酸と1種以上の脂肪族ジアミン5〜60質量%、
c) 成分Cとして、等モル量のアジピン酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)10〜70質量%を、
1〜C4−アルカノール50〜100質量%、
水0〜50質量%、及び
芳香族化合物不含の他の溶剤、最大で10質量%を
含有する芳香族化合物不含の溶剤系中に含有し、
前記溶剤系の全体量が100質量%である、溶液。
【請求項2】
ターポリマー中に成分A10〜50質量%、成分B10〜50質量%、成分C20〜60質量%が存在し、前記成分の全体量は100質量%であることを特徴とする、請求項1記載の溶液。
【請求項3】
溶剤系中にC1〜C4−アルカノール70〜100質量%、水0〜30質量%及び芳香族化合物不含の他の溶剤最大5質量%、有利に最大2.5質量%が存在し、前記溶剤系の全体量は100質量%であることを特徴とする、請求項1又は2記載の溶液。
【請求項4】
さらに、難燃剤、粘度改質剤、流れ調整剤、塗膜形成助剤、定着剤又はこれらの混合物を含有する、請求項1から3までのいずれか1項記載の溶液。
【請求項5】
前記成分Aのラクタムはカプロラクタムであり、前記成分Bの脂肪族ジアミンは末端が線状のC4〜C6−アルキレンジアミンであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の溶液。
【請求項6】
固体表面の被覆のための、請求項1から5までのいずれか1項記載の溶液の使用。
【請求項7】
成分A、B及びCのモノマーからなり、前記成分の全体量は100質量%であり、
a) 成分Aとして、ラクタム15〜40質量%、
b) 成分Bとして、等モル量のアジピン酸と1種以上の脂肪族ジアミン20〜45質量%、
c) 成分Cとして、等モル量のアジピン酸と4,4′−ジアミノジシクロヘキシルメタン(Dicycan)25〜60質量%の
ターポリマー、但し成分A30〜40質量%、成分B30〜40質量%及び成分C30〜40質量%のターポリマーを除く。
【請求項8】
成分A20〜30質量%、成分B20〜30質量%及び成分C40〜60質量%から構築されていて、前記成分の全体量は100質量%であることを特徴とする、請求項7記載のターポリマー。
【請求項9】
成分A20〜30質量%、成分B20〜27.5質量%及び成分C45〜55質量%から構築されていて、前記成分の全体量は100質量%であることを特徴とする、請求項8記載のターポリマー。
【請求項10】
前記成分Aのラクタムはカプロラクタムであり、前記成分B中の脂肪族ジアミンはヘキサメチレンジアミンであることを特徴とする、請求項7から9までのいずれか1項記載のターポリマー。
【請求項11】
成分A、B及びCのモノマーを水の添加下で210〜290℃の範囲内の温度で、3〜50barの範囲の圧力で反応させることによる、請求項7から10までのいずれか1項記載のターポリマーの製造方法。
【請求項12】
固体表面の被覆のための、請求項7から10までのいずれか1項記載のターポリマーの使用。

【公表番号】特表2012−530167(P2012−530167A)
【公表日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−515464(P2012−515464)
【出願日】平成22年6月15日(2010.6.15)
【国際出願番号】PCT/EP2010/058392
【国際公開番号】WO2010/146054
【国際公開日】平成22年12月23日(2010.12.23)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】