説明

コポリエステルエラストマー

【課題】非常に良い機械特性ならびに非常に良い熱安定性及び耐加水分解性との組み合わせを有する熱可塑性子ポリエステルエラストマーを提供する。
【解決手段】A)脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸から誘導される反復単位から成る硬いポリエステルセグメント、及びB)下記成分、B1)脂肪族カーボネート、及び、所望であれば、Bの60重量%以下の、B2)脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸、又は、B3)ラクトン、より誘導される反復単位から成る軟らかいポリエステルセグメントを含み、コポリエステルエステル単位は互いに、ウレタン基により結合されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、非常に良い機械特性ならびに非常に良い熱安定性及び耐加水分解性との組み合わせを有する熱可塑性コポリエステルエラストマーに関する。熱可塑性コポリエステルエラストマーは、エラトマー特性を有するポリマーであり、且つ明確に規定される融点及び結晶化温度を有し、従って、溶融相で成形可能であり、とりわけ、射出成形及び押出成形により成形できる。
【0002】
コポリエステルのこの特性の組み合わせは、結晶性を有する硬いセグメントとエラストマー特性を有する軟らかいセグメントから成る直鎖分子構造に基づく。良好な利用性のためには、硬いセグメントは少なくとも100℃より高い、好ましくは150℃より高い、及びより好ましくは175℃より高い、融点を有しなければならない。低い温度でエラストマー特性を維持するためには、軟らかいセグメントは20℃より低い、好ましくは0℃より低い、より好ましくは−20℃より低い、ガラス転移温度を有する。
【0003】
先行技術に従う従来の熱可塑性コポリエステルエラストマーは、とりわけEncyclopedia of Polymer Science and Engineering 、第12巻、第75頁、(1988年)及びそこに掲げられた参照文献に広範に記載されており、硬いセグメントは通常芳香族ジカルボン酸と脂肪族ジオールから誘導される単位から成り、ポリエステル単位の軟らかいセグメントは、脂肪族ジカルボン酸と脂肪族ジオール又はラクトンから誘導されるから単位又は脂肪族ポリエーテルから成る。
【0004】
良い機械特性ならびに容易な加工性を有する前記従来の熱可塑性コポリエステルエラストマーは、しかし、特定の欠点を有する。すなわち、軟らかいポリエーテルセグメントを有するコポリエステルは、熱安定性があまり良くなく、コポリエステルエステルエラストマーは加水分解を受け易い。
【0005】
本発明が目的とするのは、優れた熱酸化に対する安定性及び加水分解に対する安定性の双方を有するコポリエステルエラストマーである。
【0006】
発明者は、そのようなコポリエステルエラストマーを見出すことに成功し、該エラストマーは主として:
A)脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸から誘導される反復単位から成る硬いポリエステルセグメント、及び
B)下記成分、
B1)脂肪族カーボネート、及び、所望であれば、Bの60重量%以下の、
B2)脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸、又は、
B3)ラクトン、
から誘導される反復単位から成る軟らかいポリエステルセグメントを含み、前記硬いセグメント及び軟らかいセグメントは、エステル結合を介して結合されてコポリエステルエステル単位を形成し、且つ、前記コポリエステルエステル単位は互いに、
C)化学構造
【0007】
【化1】


を有するウレタン基(ここでp=2又は3、及びR=アルキル、アリール、又はアラルキル基)により結合されている。
【0008】
良い機械特性、例えば引張り強度及び永久伸び、を維持しながら、本発明のコポリエステルエラストマーは、従来のコポリエステル及びコポリエーテルエステルと比べて、優れた熱安定性と耐加水分解性を有する。この結果は非常に驚きである。なぜなら、コポリエ
ステルエステルウレタンエラストマー、例えば、とりわけ欧州特許願第102115号に開示され、商標名Arnitel UとしてDSM社から市販されているようなものは、限られた耐加水分解性を有し、及び、A.Lila−onitkulら、Rubber Chemistry and Technology 、第50巻、3月−4月1977年、第3頁及び日本国特許公報第95−39480号に開示されるコポリエステルカーボネートは、劣った機械特性を有し、耐加水分解性において僅かな改良を呈するのみである。
【0009】
硬いポリエステルセグメントAの反復エステル単位は、少なくとも1種の芳香族ジカルボン酸と、少なくとも1種の脂肪族ジオールとから誘導される。好適な芳香族ジカルボン酸は、なかんずく、イソフタル酸又はテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸及びジフェニルジカルボン酸から成る群より選ばれる酸である。好ましくは、ジカルボン酸はテレフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸又は4,4´−ジフェニルジカルボン酸である。4,4´−ジフェニルジカルボン酸と2,6−ナフタレンジカルボン酸の混合物又は4,4´−ジフェニルジカルボン酸とテレフタル酸の混合物も大変に好ましい。2種のジカルボン酸の混合比は、好ましくは重量基準で40:60〜60:40の範囲で選ばれる。
【0010】
硬いセグメントAに好適な脂肪族ジオールは、とりわけ、アルキレングリコール類である。アルキレン基中の炭素原子の数は好ましくは2〜6である。エチレングリコール、プロピレングリコール又はブチレングリコールが好ましい。ブチレングリコールが最も好ましい。
【0011】
ブチレンテレフタレート反復単位を含むポリエステルが、硬いポリエステルセグメントとして最も好ましい。
【0012】
軟らかいポリエステルセグメントBは少なくとも1種のアルキレンカーボネート及び、所望であればBの60重量%の、脂肪族ジオールと脂肪族ジカルボン酸、又はラクトンから誘導される反復単位から成る。アルキレンカーボネートは式
【0013】
【化2】


で表され、ここでR=H、アルキル、又はアリール、x=2〜20である。好ましくはR=H及びx=6であり、従ってアルキレンカーボネートはヘキサメチレンカーボネートである。
【0014】
反復単位B2は、好ましくは鎖中に2〜20個、好ましくは3〜15個の炭素原子を含むアルキレンジオール及び2〜20個、好ましくは4〜15個の炭素原子を含むアルキレンジカルボン酸から誘導される。B2)の反復単位としてブチレンアジペートが好ましい。Bが、ラクトンから誘導された反復単位を含む場合には、ポリカプロラクトンが好ましい。A及びBの含有量は、広い範囲で変えることができ、主として所望する機械特性により決定される。高い含量のAを有するコポリエステルエラストマーは、より大きい剛直性及びより高い融点を有する。一方、高い含量のBを有するコポリエステルエラストマーは、ずっと可とう性であり、及びこれらの物質はより低い融点を有する。一般に、コポリエステルエラストマー中のA:B重量比は20:80〜90:10の範囲で変える。好ましくは30:70〜80:20の範囲である。Cの含量は通常、A+Bに対して0.1〜10重量%、好ましくは1〜8重量%である。Cの含量は通常、A+Bに対して約5重量%である。
【0015】
通常、2官能性イソシアネートは、とりわけ、パラトルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、又はイソホロンジイソシアネートである。
【0016】
本発明に従うコポリエステルエラストマーは、なかんずく、以下の工程を順次含む方法、
1.ポリエステルA、芳香族ジカルボン酸、脂肪族ポリカーボネートジオール、及び、所望であれば、脂肪族ポリエステル又はポリラクトンを、互いに、触媒の存在下及び高められた温度で一定時間反応させ、及び、何等かの形成される揮発性反応生成物を除去する工程、
2.触媒を完全あるいは部分的に失活させる工程、
3.2官能性又は3官能性イソシアネートを1.で得られたブロックコポリエステルエスエルに添加して、反応を続ける工程、
によって調製され得る。
【0017】
第1の反応工程は、好ましくは温度180〜260℃で遂行される。この反応において、使用される触媒は、ポリエステルの製造に使用される従来からの触媒、例えばチタン酸テトラブチル及び/または酢酸マンガン等、の1種以上のものであってよい。触媒はポリエステルAまたは他の反応物のうちの1つの中に既に存在してもよく、その場合には新たに添加する必要はない。選択された反応温度及び触媒の濃度に依存して、反応時間は数分〜約2時間の範囲で変えてよい。高い温度及び/又は触媒濃度で、短い時間が好ましい;より低い温度及び/又は触媒濃度では、より長い時間が許容され得る。工程1において、形成されるブロックコポリエステルエスエルが、ポリエステルAと同じオーダーの融点を未だに有する時間迄にエステル交換反応を中断するために、限られた時間が選択される。
【0018】
当業者は、所望する状況に応じて、系統的な実験により、反応温度、触媒濃度及び反応時間の組み合わせを決定することができる。ポリエステルAは、一般に数平均分子量5000〜35000を有し、脂肪族ポリカーボネートジオールは分子量約500〜5000、好ましくは800〜3000を有することができる。脂肪族ポリエステルジオール又はポリラクトンジオールは、好ましくは脂肪族ポリカーボネートジオールと同じオーダーの分子量を有する。
【0019】
上記のジオールは、少量の高級ポリオールを含んでもよい。より高い官能性の化合物、例えばトリメチロール類、もポリエステルAの合成に用いることができ、あるいは、そのような化合物が、工程1の反応混合物に追加的に存在してもよい。工程2として規定される触媒の失活は、該目的のための従来の方法により行うことができる。チタン酸テトラブチルは、例えば、当量の燐化合物、例えばオルト燐酸、亜燐酸、亜燐酸トリフェニル、燐酸トリフェニル、燐酸トリストリエチレングリコール又はホスホン酸カルベトキシメチルジエチル、により優れた様式で失活させることができる。失活は、好ましくはブロックコポリマーの溶融物中において行われる;この目的ために必要な時間は、一般に短く、約5分程度であり、その後にジイソシアネート(それは所望であれば、いくらかのモノイソシアネートとトリイソシアネートを含む)が該溶融物に添加される。添加されるジイソシアネートの量は、通常、NCO:OH比=約1となるような量であり、ここでOHは工程1から得られるブロックコポリエステル中の水酸基末端の量を、及びNCOはイソシアネート基を表す。
【0020】
工程3の進行は、イソシアネートとブロックコポリマーとを良く混合するために通常用いられる撹拌装置のトルクを用いて、反応混合物の溶融粘度を測定することによって、難なく追跡することができる。該撹拌装置上で最大トルクに達した時に反応は完結し、及び所望であれば、反応混合物から揮発成分をかなりの程度除去した後に、本発明のコポリエステルエラストマーを反応容器から除去することができる。
【0021】
本発明に従うコポリエステルエラストマーは、従来からの添加剤及び充填剤、例えば安定化剤、染料、及び顔料、成形助剤、例えば離型剤、核剤、難燃剤、及び充填剤、をさらに含んでよい。
【0022】
好適な熱酸化安定剤は、例えば、立体的ヒンダードフェノール又は2級アミンであり;アミドを含むフェノールは大変適している。ヒンダードフェノールは、例えば、チバガイギー社のIrganox (商標)1010、Irganox (商標)1330、及びIrganox (商標)1098である。よく用いられるアミンはユニロイヤル社のNaugard(商標)445 である。
【0023】
使用されるべき難燃剤は、なかんずく、メラミン、メラミン縮合物及びメラミン化合物、例えばメラム、燐酸メラミン、メラミンシアヌレート及びハロゲン化有機化合物、例えばポリブロモスチレン、である。ハロゲンの無い化合物、好ましくはメラミンシアヌレー
ト、の使用が、特に電気用途向けに好ましい。好ましくは、充填剤は少量、組成物合計の50重量%より少ない量で使用される。充填剤は、例えばカーボンブラック、タルク及びクレーである。いくつかの用途においては、(ガラス)ファイバー強化の使用が、特別の利点を与える。
【0024】
本発明に従うコポリエステルエラストマーは、溶融物から通常の成形技術、例えば、射出成形、フラットフィルム押出、押出ブロー成形、共押出により成形されることができる。
【0025】
本発明に従うコポリエステルエラストマーが、従前のポリエステルエラストマーに比べて特に利点を有するのは、とりわけパイプ、ホース、ケーブル外装、特に自動車セクター、ベローズ及びシール用途である。
【0026】
本発明は、以下の実施例及び比較例を参照してより詳細に説明されるが、それらに限定されるものではない。
【0027】
[実験1]
(比較例A)
ガラス反応容器中で、476gのポリヘキサメチレンカーボネートジオール(Desmophen(商標)2020E Schuppen、バイエル社)、388gのジメチルテレフタレート及び217gのブタンジオールを194mgのチタン酸テトラブチルと共に加熱した。150〜210℃で、減じられた圧力下、最小約20×10Pa、において、メタノールを蒸発させた。次いで242℃まで加熱し、1,4−ブタンジオールを0.1〜0.2×10Paで蒸発させた。重合を、その開始後、約225℃及び0.2×10Paで100分間継続した。得られたコポリエステルは、融点48℃であり、且つ結晶化が大変困難であった。エラストマー特性、とりわけ、永久伸びが劣る。
【0028】
[実験2]
(実施例I及びII、比較例B、C及びD)
数平均分子量16500を有するポリブチレンテレフタレートを、1リットルのガラスオートクレーブ内で、実験1に述べた条件下で、394gのジメチルテレフタレート、278gのブタンジオール及び160mgのチタン酸テトラブチルより合成した。次いで、0.4mモルのTEGPA(リン酸トリストリエチレングリコール)を反応溶融物に添加し、20分撹拌した。次いで所定量のポリヘキサメチレンカーボネートジオール(実施例I及びII)と、所望される場合にはポリブチレンアジペートジオール(実施例II及び比較例B)を加え、220〜240℃で35分間反応させた。その後、300mgのTEGPAを再度加え、5分間撹拌した後、39.4gの1−MDI(Isonate(商標)M143、Dow社)を加えた。撹拌装置上でのトルクが最大に達するまで、反応を続けた。約10×10Paで、反応容器を脱ガスし、反応容器の内容物を取り出し、冷却後、切断してグラニュールを形成した。得られたグラニュールから小さい板をプレスし、耐加水分解性及び耐熱酸化性及びいくつかの物理特性を定めた。結果を表1に掲げる。ポリヘキサメチレンカーボネートジオールに代えて、ポリカプロラクトンジオールを用いて本実験を繰り返した(比較例C)。
【0029】
【表1】

【0030】
[表中の略称の説明]
PBT;ポリブチレンテレフタレート、融点(Tm)=225℃;
PBA;ポリブチレンアジペート、融点=55℃、ガラス転移温度(Tg)=−68℃;
U;1−MDI、ジフェニルメチレンジイソシアネート(Dow社からのIsonate(商標)M143)から誘導されたウレタン基;
PHMC;ポリヘキサメチレンカーボネート PHMC2000(バイエル社からのDesmophen(商標)2020)、融点=62℃、ガラス転移温度=−47℃;
PCL;ポリカプロラクトン(Solvay Chem 社からのPCL 2000)、融点=60℃、ガラス転移温度=−65℃;
ARNITEL(商標)E55;PBT及びポリテトラメチレンオキサイドに基づくコポリエーテルエステル、DSM社、ショアD硬度55その他表1の特性を有する。;
Pelprene S2002(商標);ポリブチレンテレフタレートとポリカプロラクトンに基づくコポリエステルエステル、東洋紡社;
【0031】
耐加水分解性は、沸騰水に漬け、破断時伸びが元の値の50%より低くなるまでの時間で決定した。ARNITEL E55についての値は、関連製品カタログからのものである。
【0032】
本発明に従うコポリエステルエラストマーは、他の従来技術のコポリエステルエステル組成物と比べて、加水分解性に対する重要な改良を示した。
【0033】
耐熱酸化性は、空気循環させた150℃のオーブンに125日入れた後、破断時伸びが維持された割合で定めた。
【0034】
融点(Tm)及び結晶化温度(Tc)は、示差走査熱量測定(DSC)で走査速度10℃/分にて求めた。
【0035】
ガラス転移温度(Tg)は捩れ減衰法(DMTA)により求めた。
【0036】
上記の測定とならんで、m−クレゾール中で試験試料の相対溶液粘度を測定した;機械特性の劣化は相対溶液粘度の減少と並行に進行した。相対粘度約1.6以下では、機械特性はかなり劣化した。後の試験においては、従って、相対粘度の減少を耐加水分解性の指標とした。相対粘度が約1.6未満では、通常、機械特性の維持率50%を切った。
【0037】
[実験2]
この実験においては、多くのコポリエステルエラストマーのグラニュールを80℃の水に漬け、相対粘度(ηrel)の変化を時間の関数として測定した。種々のコポリエステルについての結果(ηrel=1.6に至った日数)を表2に示す。
【0038】
【表2】

【0039】
[実験3]
前記実験からのコポリエステルエラストマーの、100℃のASTM3油に対する耐油性を、ISO2テストロッド(2mm)を用いて求めた。引張強度の維持及び4週間さらした後の体積増加に関する結果を以下に示す。
【0040】
【表3】

【0041】
[実験4]
本発明に従うコポリエステルエラストマーのケーブル外装としての試験をするために、反応容器で約50kgスケールの量調製した;反応条件は実験1と同じである。得られたコポリエステルエラストマーは、表1に示したものと同じ物理特性を有した。
【0042】
コポリエステルエラストマーを0.5mmワイヤーに0.3mm厚さの外装として施与した。通常、実験室ケーブル線では、組成物を500m/分の速度で、問題なく加工することが可能であった。外装されたワイヤーを、以下の試験に付した:
【0043】
[1. 80℃の水蒸気に対する耐加水分解性(99%湿度)]
上記条件下で,種々の時間エージングした外装ケーブルを、マンドレル(ワイヤー直径に対応する直径)の回りに巻いた。これらの巻いたケーブルに1000Vの電圧差を30分間かけた。測定された漏れ電流に基づき、電気抵抗を計算した。次いで、電圧差を数秒間で5000Vに増加した。判定基準は、電気的絶縁破壊あるいは電気的絶縁破壊無しである(DIN標準72551)。表3にいくつかのコポリエステルエラストマーについて結果を示す。
【0044】
【表4】

【0045】
[2. 150℃環境空気中での耐熱酸化性(23℃、50%相対湿度)]
上記条件下で種々の時間エージングした外装ケーブルを、マンドレル(ワイヤー直径に対応する直径)の回りに巻いた。これらの巻いたケーブルに1000Vの電圧差を30分間かけた。測定された漏れ電流に基づき、電気抵抗を計算した。次いで、電圧差を数秒間で5000Vに増加した。判定基準は、電気的絶縁破壊あるいは電気的絶縁破壊無しである。表4にいくつかのコポリエステルエラストマーについて結果を示す。
【0046】
【表5】

【0047】
[3. 引張強度]
いくつかのコポリエステルエラストマーの引張特性を、剥離したケーブル被覆(すなわち、銅の芯を除いた後)について測定した。表5に結果を示す。
【0048】
【表6】




【特許請求の範囲】
【請求項1】
A:脂肪族ジオールと芳香族ジカルボン酸とから誘導される反復単位から成る硬いポリエステルセグメント、及び
B:下記成分、
B1:脂肪族カーボネート、及び、所望であれば、Bの60重量%までの、
B2:脂肪族ジオール及び脂肪族ジカルボン酸、又は、
B3:ラクトン、より誘導される反復単位から成る軟らかいポリエステルセグメントを含み、前記硬いセグメントA及び軟らかいセグメントBは、エステル結合を介して結合されてコポリエステル単位を形成し、且つ、前記コポリエステル単位は互いに
C:化学構造
【化1】


を有するウレタン基(ここでp=2又は3及びR=アルキル、アリール、アラルキル基)により結合されているコポリエステルエラストマー。
【請求項2】
硬いポリエステルセグメントAの反復エステル単位が誘導されるところの芳香族ジカルボン酸が、イソフタル酸、又はテレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸、ジフェニルジカルボン酸又はそれらの2以上の混合物よりなる群から選ばれることを特徴とする請求項1に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項3】
芳香族ジカルボン酸がテレフタル酸であることを特徴とする請求項2に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項4】
芳香族ジカルボン酸が、2,6−ナフタレンジカルボン酸と4,4´−ジフェニルジカルボン酸の混合物であることを特徴とする請求項2に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項5】
芳香族ジカルボン酸が、4,4´−ジフェニルジカルボン酸とテレフタル酸の混合物であることを特徴とする請求項2に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項6】
硬いポリエステルセグメントAの反復エステル単位が誘導されるところの脂肪族ジオールが、アルキレン基中に2〜6個の炭素原子を含むアルキレングリコール又はそれらの2以上の混合物よりなる群から選ばれるジオールであることを特徴とする請求項1に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項7】
硬いポリエステルセグメントAがブチレンテレフタレートの反復単位から成ることを特徴とする請求項6に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項8】
B1が化学式
【化2】


(ここでR=H、アルキル、アリール基、x=2〜20)で表されるアルキレンカーボネートであることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマー。
【請求項9】
アルキレンカーボネートがヘキサメチレンカーボネートであることを特徴とする請求項8に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項10】
B2が、鎖中に2〜20個の炭素原子を含むアルキレンジオール及び鎖中に2〜20個の炭素原子を含むアルキレンジカルボン酸から誘導されることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマー。
【請求項11】
B2が、ブチレンアジペートであることを特徴とする請求項10に従うコポリエステルエラストマー。
【請求項12】
B3がカプロラクトンであることを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマー。
【請求項13】
ウレタン基が、4,4´− ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、キシレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、又はイソホロンジイソシアネートからなる群から選ばれる化合物から誘導されることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマー。
【請求項14】
A:ポリブチレンテレフタレートの硬いセグメント、及び
B:下記の軟らかいセグメント、
B1:ポリへキサメチレンカーボネート、及び、所望であれば、Bの60重量%までの、
B2:ポリブチレンアジペート、
を含み、前記硬いセグメントA及び軟らかいセグメントBは、エステル結合を介して結合されてコポリエステルエステル単位を形成し、且つ、前記コポリエステルエステル単位は互いに、
C:4,4´−ジフェニルメタンジイソシアネートから誘導されるウレタン基により結合されているコポリエステルエラストマー。
【請求項15】
請求項1〜14のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマーの少なくとも1つと、メラミン、メラミン縮合物及びメラミン化合物からなる群より選ばれる化合物の少なくとも1つを含む難燃性コポリエステルエラストマー組成物。
【請求項16】
メラミン化合物がメラミンシアヌレートである請求項15に従う難燃性コポリエステルエラストマー組成物。
【請求項17】
請求項1〜14のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマーから全体的に又は部分的に成る成形物。
【請求項18】
1.ポリエステルA、芳香族ジカルボン酸又はそのエステル、脂肪族ポリカーボネートジオール、及び、所望であれば、脂肪族ポリエステルジオール又はポリラクトンジオールを、触媒の存在下及び高められた温度で、形成される揮発性反応生成物の何等かのものを除去しながら、所望であれば減じられた圧力下で、ブロックコポリエステルエステルが得られるような時間、反応させる工程、
2.触媒を完全にあるいは部分的に失活させる工程、
3.工程1.で得られたブロックコポリエステルエスエルと2官能性又は3官能性イソシアネートを反応させる工程、を順次含む、請求項1〜14のいずれか1つに従うコポリエステルエラストマーを製造する方法。


【公開番号】特開2008−291269(P2008−291269A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−179452(P2008−179452)
【出願日】平成20年7月9日(2008.7.9)
【分割の表示】特願平9−367465の分割
【原出願日】平成9年12月8日(1997.12.8)
【出願人】(503220392)ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ. (873)
【Fターム(参考)】