説明

コラーゲン成分含有加工食品及びその製造方法

【課題】口内で粉砕容易なパリッとした食感を楽しめ、口溶けが良く歯つきがない、手軽に経口摂取できるように、さまざまな味付けや形状に成型もでき、なおかつコラーゲンの摂取効率も良いコラーゲン加工食品を提供することを目的とする。
【解決手段】ゼリー強度60〜320g、粘度2.0〜7.0mPa・sのゼラチンと動粘度1.1〜5.0mm/sのコラーゲンペプチドの混合溶液に気泡を形成し、ゲル化して成形した後乾燥し、見かけの密度0.2〜0.7g/cmに調整することによって得られる加工食品及びその製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コラーゲン成分を経口摂取することを目的とした加工食品において、コラーゲン由来のゼラチンおよびコラーゲンペプチドの混合物を成形加工することにより、高含量でコラーゲン成分を含み、保形性に優れ、パリッとした好ましい歯ごたえがあり、口溶けが良く、そのままで手軽においしく咀嚼、摂取できるコラーゲン成分含有加工食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ゼラチンやコラーゲンペプチド等のコラーゲン成分の経口摂取による各種効能が報告されている。いくつか例を挙げると、コラーゲンペプチドの経口摂取により、皮膚角質層の吸水能が増加する可能性が示唆されること(非特許文献1を参照)、500mgのゼラチンと200mgのグリシンを含有するゼラチン/グリシン丸剤をドライスキンの患者に経口摂取させることにより、肌の水結合能力が顕著に上昇すること(非特許文献2を参照)、ゼラチンを爪の脆弱な患者に経口摂取させたところ爪の脆弱性が改善すること(非特許文献3を参照)、ゼラチンを経口摂取させたところ毛髪が太くなり、強度を増加する(非特許文献4を参照)などがある。そのため、コラーゲン成分を経口摂取する健康食品の市場ニーズが高く、様々な形態で多数市販されている。
【0003】
コラーゲン成分、特にコラーゲンペプチドを摂取する形態として、錠剤、乾燥粉末またはそれらを溶解して含有させた様々な飲食品がある。それらのコラーゲン成分の含有量が高いほど、摂取効率が良いため、乾燥粉末のまま摂取すれば最も効率が良いと言える。しかし、乾燥粉末のままでは取り扱いにくく、非常に摂取しにくいため、飲料などに溶かして摂取するのが一般的である。溶かす手間を省いたドリンク状の製品が市販されているが、風味、におい、溶液粘度上昇の問題などにより、高濃度にできないため、物流コストやコラーゲン摂取効率等が悪く、コラーゲン単位重量当たりの販売単価が高くなる欠点がある。錠剤などでは、摂取時に水などを別途必要とするため利便性に欠ける。チュアブルタブレットに加工すればそれらの欠点を改善できるが、高濃度でコラーゲンを配合すると、口の中でべたついたり歯に付着したりする問題がある。
【0004】
それを改善する技術がいくつか提案されている。例えば、コラーゲンペプチドを多量に含有するチュアブルタブレットとして、特定の低分子量範囲(平均分子量4000以下)のコラーゲンペプチドを使用するか、N末端基をグリシン等の特殊なアミノ酸残基の割合を調整することで歯つきを改善し、経口摂取できる形態としている(特許文献1参照)。しかし、それらの方法は、コラーゲンペプチドを特別な分子量範囲や、特殊なN末端基の割合にコントロールしなければならない。
【0005】
別の方法として、コラーゲンペプチドに加えて、HLB値が1〜7の乳化剤と、粉末状濃縮大豆タンパク、結晶セルロース、及びα化デンプンのいずれかを含有させることによって、経口摂取時の歯つきを抑制する方法が公開されている(特許文献2参照)。しかし、コラーゲンペプチド以外の基材を多く加えるため、コラーゲンペプチドの含有量をその分減らさざるを得ないため、摂取効率が低下する。
【0006】
また、特定の平均粒子径の非水溶性カルシウム塩及び難水溶性多糖類を含有し、コラーゲンの含有量が10〜60質量%であるコラーゲン錠剤が開示されている(特許文献3参照)。しかし、非水溶性カルシウム塩粒子を使用するため、得られる錠剤は口触りが悪く、粉っぽさがあり、一般の加工食品としては満足のいく食感ではない。
【0007】
健康食品は、定期的に摂取し続けるため、飽きが来ないような見た目の形を楽しめることや、さまざまな味付けや、おいしく摂取できる食感が望まれているが、上記の特許文献に記載されている発明ではその点は考慮されていない。
【0008】
飽きが来ない摂取方法として、デザートやスナック菓子のような形態での摂取が考えられる。たとえば市販されているグミ、マシュマロやソフトキャンディは、コラーゲン由来のゼラチンを使用して作られる代表的なお菓子である。ところがこれらの食品は加工方法に起因して糖質が多く、コラーゲン成分含有量が少ないため、コラーゲンの摂取には不向きで、嗜好品の目的で不定期に摂取される傾向があり、目的に合わない。例えば、ゼラチンを使用したグミキャンディに空気を巻き込ませることで、もちもちした新食感を得る技術が公開されている(特許文献4参照)。しかし、当該グミキャンディはコラーゲン成分であるゼラチンを含むが、ゼラチン含有量が20%を超えることができない旨記載されており摂取効率が悪い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2008−118962号公報
【特許文献2】WO2006/090544号
【特許文献3】特開2008−247809号公報
【特許文献4】特開2008−206512号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】角田ら、健康・栄養食品研究Vol.7 No.3(2004)
【非特許文献2】Morganti et al. Cosmet Toilet 103:77-80(1988)
【非特許文献3】Rosenberg et al. Arch Dermat & Syph 76:330-335(1957)
【非特許文献4】Scala et al. Nul Rep Int 13:579-592(1976)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、口内で粉砕容易なパリッとした食感を楽しめ、口溶けが良く歯つきがない、手軽に経口摂取できるように、さまざまな味付けやさまざまな形状に成形もでき、なおかつコラーゲン成分の摂取効率も良いコラーゲン成分含有加工食品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、鋭意検討した結果、コラーゲン成分であるゼラチンとコラーゲンペプチドとの混合物を溶液状態で気泡を含ませ、加工すると、高含量でコラーゲン成分を含み、保形性に優れ、パリッとした好ましい歯ごたえがあり、口溶けが良く、そのままで手軽においしく咀嚼、摂取できる食品が得られることを見出し、本発明を完成した。
【0013】
すなわち、本発明は、ゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に気泡を含ませてなる、乾燥形態のコラーゲン成分含有加工食品であって、前記組成物中のゼラチンの含量が当該組成物の重量を基準に15〜45重量%であり、コラーゲンペプチドの含量が25〜85重量%であり、当該加工食品の見かけ密度が0.2〜0.7g/cmであることを特徴とする加工食品にある。
【0014】
さらに、本発明は上記コラーゲン成分含有加工食品の製造方法であって、
a. ゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に水を加えて、固形分濃度が10〜40重量%となるような量を用いて加温することにより水に溶解させる工程、ここで、前記組成物中のゼラチンの含量が当該組成物の重量を基準に15〜45重量%及びコラーゲンペプチドの含量が25〜85重量%となるように組成物中に含有させ、
b. 得られた水溶液を、攪拌することにより水溶液中に気泡を形成する工程、ここで、得られる加工食品の見かけ密度が0.2〜0.7g/cmとなるようにする、
c. 得られた気泡を含む水溶液を当該水溶液の凝固点よりも1〜10℃高い温度に冷却する工程、
d. さらに冷却することにより得られるゲルを所定の形態に成形する工程、及び
e. 成形したゲルを乾燥する工程
を含む方法にある。
【発明の効果】
【0015】
本発明により得られるコラーゲン成分含有加工食品は、気泡を含ませて成形・乾燥することによって、コラーゲンペプチドを大量に含ませても、コラーゲンペプチドの種類によらず、咀嚼した時に歯につきにくく、口溶けが良くなる。さらに、ゼラチンおよびコラーゲンペプチドの呈味と臭いが目立たなくなるため、さまざまな食味をつけることができる。
【0016】
本発明の加工食品は、コラーゲン成分を大量、例えば、当該加工食品の重量を基準にゼラチンとコラーゲンペプチドとの合計量で40重量%以上、60重量%以上、80重量%以上、さらには100重量%含ませることができ、効率の良いコラーゲン成分の摂取ができる。
【0017】
ゼラチンとコラーゲンペプチドを組み合わせることにより、ゼラチンのゲル化能力によって保形性がよくなり、さまざまな形態の加工食品に成形することができる。さらにゼラチンの保護コロイド性が、発生させた気泡や、油脂を含む食味(カレーやココアパウダー、味噌など)、粉末(ハーブ粉末、コショウ、唐辛子など)などを、溶液中に安定して分散させておくことができ、ゲル化後に乾燥させることにより、最終的な加工食品の形態でもその分散状態を保持でき、しかも均質な様々な味付けができる。
【0018】
本発明の加工食品は、パリッとした食感を楽しめ、口溶けが良く歯つきがなく、気軽に楽しく経口摂取できる。ゼラチンのゼリー強度やゼラチンとコラーゲンペプチドとの組成比を調節したり、増粘多糖類を一部含有させたりすることで、パリパリ感からサクサク感まで食感を変えることもできる。その形態は、お菓子のように気軽に摂取できる健康食品への用途に特に有用で、スナック菓子のような食品となり得る。通常のスナック菓子は、デンプン質で油を使用するものが多く、高脂肪・高カロリーとなるが、本発明は同様の食感を楽しめ、カロリーを抑えた代替え食品となり得る。主成分がタンパク質からなる乾燥食品であるので、スナック菓子等に比べて栄養価が高い。焼成させる必要がなく、成形後も可逆的に湯に溶解できるので、加工装置を洗浄しやすい利点もある。
【0019】
本発明の加工食品は、直接摂取を目的としたフレーク、バー、せんべい、ビスケット、チップス、クラッカー、ポン菓子、クルトン状のスナック菓子や、可食性容器、たとえばアイスクリームやソフトクリームのコーン部、モナカの皮、パニプリ、ウエハースのような使い方にも適用でき、健康食品ばかりでなく、広範囲の食品に使用できるという利点がある。
【発明を実施するための形態】
【0020】
上述したように、本発明はゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に気泡を含ませてなる、乾燥形態のコラーゲン成分含有加工食品であって、前記組成物中のゼラチンの含量が当該組成物の重量を基準に15〜45重量%であり、コラーゲンペプチドの含量が25〜85重量%であり、当該加工食品の見かけ密度が0.2〜0.7g/cmであることを特徴とするコラーゲン成分含有加工食品にある。
【0021】
さらに、本発明は上記コラーゲン成分含有加工食品の製造方法であって、
a. ゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に水を加えて、固形分濃度が10〜40重量%となるような量を用いて加温することにより水に溶解させる工程、ここで、前記組成物中のゼラチンの含量が当該組成物の重量を基準に15〜45重量%及びコラーゲンペプチドの含量が25〜85重量%となるように組成物中に含有させ、
b. 得られた水溶液を、攪拌することにより水溶液中に気泡を形成する工程、ここで、得られる加工食品の見かけ密度が0.2〜0.7g/cmとなるようにする、
c. 得られた気泡を含む水溶液を当該水溶液の凝固点よりも1〜10℃高い温度に冷却する工程、
d. さらに冷却することにより得られたゲルを所定の形態に成形する工程、及び
e. 成形したゲルを乾燥する工程
を含む方法にある。
【0022】
以下、本発明の実施の形態についてさらに具体的に本発明について記載する。
【0023】
本発明で使用できるゼラチンは、牛皮、豚皮、牛骨、豚骨、魚皮、魚鱗等いずれの起源のゼラチンでも使用できる。市販品としては、ニッピ社製のデイリーゼラチンDB、デイリーゼラチンDG、デイリーゼラチンDPなどを使用することができる。ゼラチンをコラーゲンペプチドに加えることで、成形加工時および輸送、包装時に保形性を保つことができ、そのためにゲル化能が必要となる。ゲル化能の指標としてゼリー強度(JISK 6503)で判断することができ、ゼリー強度が高すぎるとゲルが成形しにくくなったり、加工食品の食感が硬すぎたりする問題が生じ、低すぎると保形性が悪くなる。したがって本発明で使用できるゼリー強度は、好ましくは、60〜320g(JIS K6503に準拠)であり、より好ましくは、70〜280gである。粘度が高いゼラチンは、コラーゲンペプチドと共に水に溶解させたとき高粘度液となるため、成形性が悪くなり、得られたコラーゲン加工食品が口腔内でべたつきやすく、粘度が低いものは、気泡を安定して含ませにくく、粘度2.0〜7.0mPa・s(JIS K6503に準拠)のものが好ましく、粘度2.5〜7.0mPa・sのものがより好ましく、2.5〜4.0mPa・sのものが最も好ましい。
【0024】
本発明で使用できるコラーゲンペプチドは、コラーゲンの加水分解物であって、ゲル化能がないものである。牛皮、豚皮、牛骨、豚骨、魚皮、魚鱗等いずれの起源のコラーゲンペプチドでも使用できる。ニッピ社製、ニッピコラーゲン100、ニッピペプタイドFCP、ニッピペプタイドPRA-Pなどの市販品を使用することができる。
【0025】
コラーゲンペプチドの製造方法は、特に限定されないが、例えば、特開昭52−111600号公報や特開昭52−122400号公報で公開されている方法が適用できる。特に限定されないが、コラーゲンペプチドの製造方法を以下に示す。
【0026】
原料はコラーゲン成分を含むものであれば使用できる。例えば、魚の皮、鱗、豚の皮、牛の皮、骨、オセインまたはゼラチンを使用することができる。コラーゲン成分の含有量はできるだけ多いものが望ましく、水分を除いた固形分中のコラーゲン成分が80重量%以上であることが望ましい。コラーゲンを含む湿潤した生の原料(生の皮など)の場合、コラーゲンの変性温度以上に加熱(例えば、牛皮であれば60℃以上に加熱する)して使用する。加水分解の時間を短縮したい場合は、あらかじめ原料を細断しておいても良い。乾燥した状態の原料であれば、数時間〜数日の間、水に浸して水戻ししてから加熱変性させて使用する。骨や魚鱗の場合、塩酸を加えてリン酸カルシウムを溶解、除去(通常の骨ゼラチン製造工程の脱灰工程と同様)した後、水洗いしてから加熱変性させて使用する。固形の原料の場合は、撹拌できる程度に水を加えて分散液とすることで、酵素を効率よく作用させることができる。固形の原料より、ゼラチンの水溶液を基質として使用する方法が最も容易である。以上のような原料と水を含む分散液もしくはゼラチン水溶液を基質として、水溶液中のタンパク質含有量(乾燥重量)に対し、市販のタンパク質分解酵素(たとえばナガセサンバイオ社製ビオプラーゼSP、ノボ社製プロタメックスなど)を0.3〜3重量%加え、1〜10時間作用させることで加水分解する。pHと温度は使用した酵素の至適条件(通常の酵素製剤では、パンフレットに記載されている)を採択して行うことができる。加水分解後、85℃以上に加熱し、30分保持することで酵素を失活させ反応を停止させる。反応停止後、ろ過を行って原料の残滓を分離する。その際、珪藻土などのろ過助剤を使用することで精製度が上がる。脱色や脱臭のために活性炭のような吸着剤を使用しても良い。得られたろ過液を殺菌し、噴霧乾燥することによってコラーゲンペプチド乾燥粉末が得られる。
【0027】
コラーゲンペプチドの含有量や物理特性も口溶けや食感を左右する。コラーゲンペプチド選択の指標として、動粘度を使用することができる。したがって、動粘度を測定しさえすれば、本発明で使用可能か否かを容易に判断できる。動粘度測定方法を後述する実施例に示した。40℃における動粘度が5.0mm/sを超えると、ゲル化能が生じ始めるため、歯つき、口溶けが悪くなり、好ましくない。動粘度が5.0mm/s以下であれば使用でき、好ましくは、1.5〜4.1、最も好ましくは、2.0〜3.2の範囲である。動粘度が低い(低分子量)コラーゲンペプチドは呈味の悪いことが知られている。しかし、動粘度の低いコラーゲンペプチドをゼラチンと共に水に溶解させると、分子レベルで混合されるため(すなわち、ゼラチン及びコラーゲンペプチド双方とも水に溶解しているので均質に混合され、あたかも同一物質のように挙動する)、ゼラチンの相対的に大きな分子量が寄与し、平均分子量としては大幅に引き上げられ、呈味の悪さなどの低分子量コラーゲンペプチドの欠点を低減できる。
【0028】
ゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物中のゼラチンの含量は当該組成物の重量を基準に15〜45重量%、好ましくは、20〜40重量%、より好ましくは20〜35重量%であり、コラーゲンペプチドの含量は25〜85重量%であり、好ましくは、35〜85重量%、より好ましくは40〜65重量%である。ゼラチンとコラーゲンペプチドの含量に関して、ゼラチンが45重量%を超えると口溶け、歯つきが悪くなり、15重量%未満では成形しにくく、しかも製造した加工食品が脆くなり、取扱いが困難になるため好ましくない。コラーゲンペプチドは摂取効率が悪くならない範囲で、任意の含有量を採択でき、味付け、着色、芳香付け、加工性や食感改良のために加える添加剤の含有量によって変更できる。特許文献1に示されているように従来技術では25重量%以上含有すれば、摂取効率が良いとされているので好ましく、ゼラチンより含有量が多いものがより好ましい。本件発明では、添加剤を含有させない場合であれば、85重量%まで含有させることができる。
【0029】
本発明の加工食品は、当該加工食品の重量を基準にゼラチンとコラーゲンペプチドとの合計量で40重量%以上、60重量%以上、80重量%以上、さらには100重量%含有させることができる。
【0030】
ゼラチンのみで本発明の組成物を構成すると口内で溶解しにくく、摂取した時に歯つき、べたつきを引き起こすが、コラーゲンペプチドが多量に含まれていることで口溶けが良くなる。コラーゲンペプチドのみが組成物中に大量に含まれる場合、気泡を安定した状態で含ませることができず、上記の効果は得られない。
【0031】
本発明では、主要材料であるゼラチン及びコラーゲンペプチド以外に、本発明の組成物中に味付け、着色、芳香付け、加工性や食感改良のための添加剤を加えることができる。これらの目的を達成するためにいずれの添加剤でも使用できるが、例えば、香料、香辛料、調味料、食品添加物、増粘多糖類、果汁、ココア、コーヒー、緑茶や紅茶などの茶系エキス類、野菜、肉及び魚のエキスまたは粉末等がある。これらの添加剤の使用量は、主要材料の作用を害しない範囲で使用できるが、目的の加工食品に応じて適宜選択できる。
【0032】
本発明のゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に水を加えて、固形分濃度が10〜40重量%となるような量を用いて水を加温して溶解させることができる。10重量%未満では、気泡を含ませた状態でゲル化することが困難となり、40重量%を超えると粘度が高くなるので撹拌しにくく、気泡を形成することが困難になったり、ゲル化速度が上がったりするため成形しにくくなる問題が生じる。好ましくは、固形分濃度は20〜30重量%である。
【0033】
本発明は、本発明の組成物を水に溶解させることにより得た水溶液を、攪拌することにより水溶液中に気泡を形成させる。気泡を形成するには、ミキサーやホモジナイザのような攪拌手段を使用することができる。気泡は微細なものである必要がある。溶液を撹拌して完全に透明感がなくなり、ミルク様に白濁し、滑らかなクリーム状になるまで撹拌する必要がある。後述する実施例に示した配合であればホモジナイザで実施例に示した条件で3分間撹拌すれば十分であるが仕込量を増やした場合には時間を延長するなどして適宜変更することができる。撹拌しながら冷水浴などによって、溶液の凝固点よりも1℃〜10℃高い温度まで撹拌しながら冷却し、さらに所望の形状の型に流し入れて冷蔵庫内でゲル化させる。冷却温度は好ましくは凝固点より4〜6℃高い温度である。凝固点測定方法を後述の実施例に示すが、あらかじめ溶液から少量抜き取り、凝固点を測定しておくとよい。凝固点に近い温度まで降温させると溶液の粘度が上昇し、気泡や添加した粉末などが安定した分散状態になり、型に流し入れることができる。凝固点以下の温度まで冷却すると型に流し込む前にゲル化してしまい、任意の形状に加工できない。凝固点より大幅に高い場合、型の中で粘度が低い溶液状態となり、さらにゲル化までに時間がかかるため、泡が上部に浮かんだり、添加物が沈澱したりして偏りが生じる。撹拌して泡立てた後はできるだけ速やかにゲル化させることが望ましい。特に限定されないが、冷却・ゲル化させる方法として、次のような態様がある。
【0034】
1)溶液を入れる型をあらかじめ10℃以下に冷やしておき、5mm以下に薄く流し込むことによって、速やかに凝固点以下に冷却され、シート状ゲルに加工できる。
2)任意の厚さのスリットを通して、冷却した金属製の回転ドラム上に塗布し、引き剥がすことで、連続的にシート状ゲルとして加工することができる。
1)または2)の方法で得たシート状ゲルを、任意の形状に型抜きすることができる。
【0035】
成形後の形状で厚みが1cm以上あるものは、乾燥に時間がかかり、経口摂取時に咀嚼しにくくなるため好ましくない。好ましくは、3〜5mmの厚さである。乾燥はゼラチンの乾燥工程でも使用されているような、バンド乾燥機を使用できる。すなわち成形したゲルを網にのせ、融点未満(ゲルが溶融しない温度、たとえば凝固点を採用しても良い)に調節した除湿空気を送り、水分を12%以下まで低減させる。味付けで加えるエキスや粉末の比重に左右されるが、泡だてしないでそのまま乾燥した場合の見かけの密度は1g/cmであり、気泡を含んでいる分これより小さい数値となる。上述したように本発明の組成物の水溶液を、ミキサーやホモジナイザを使用すれば、容易に均一で微細な気泡を含ませることができ、見かけの密度は0.2〜0.7/cmとすることができる。具体的な配合例を後述の実施例に示す。0.7g/cmを超えると気泡が不均一で本発明の効果は得られない。0.2g/cm未満では、気泡が多すぎてもろくなり加工が困難となる。コラーゲンペプチドを減らし、ゼラチンの割合を増やした場合は、気泡の安定性が増すため0.2g/cm未満とすることができるが、歯つき、口溶けが悪くなるため好ましくない。
【0036】
乾燥後の成形物は空気輸送、コンベア輸送に耐える強度をもつので、製品の輸送、包装などの取り扱いが容易となる。
【0037】
本発明の加工食品は、アミノ酸摂取用や、美容用健康食品として直接摂取を目的としたフレーク、バー、せんべい、ビスケット、チップス、クラッカー、ポン菓子、クルトン状のスナック菓子や、可食性容器、たとえばアイスクリームやソフトクリームのコーン部、モナカの皮、パニプリ、ウエハース等の広範囲の食品に使用できる。
【実施例】
【0038】
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例を説明するのに先立ち、本発明で使用している動粘度および凝固点の測定方法について述べる。
【0039】
<動粘度測定方法>
コラーゲンペプチド粉末5gを水25mLに溶解した液を検液とし、それを毛細管粘度計(ウベローデ型粘度計、オストワルド型粘度計などの市販品を使用することができる)にその粘度計の使用方法に従った一定量(たとえば、ウベローデ型粘度計の場合、液受け部の標線の下限と上限の間に液面がくればよい)を入れ、40℃に保温した恒温槽に粘度計ごと垂直に静置し、検液が40℃に達したあとで流下時間を測定し、式(1)に従って動粘度を算出する。詳細な試験方法は、食品添加物公定書第8版、一般試験法28.粘度測定法に準拠する。
【0040】
【数1】

【0041】
<凝固点測定方法>
100mLのビーカーに検液を30〜50mL入れ、ビーカーの溶液が入っている部分を10〜20℃の冷水に浸す。温度計を入れ、連続的に撹拌する。凝固点より高い温度ではほとんど抵抗なく撹拌できる。凝固点となるとゲル化するため、撹拌を一時的に止めると撹拌方向と逆の方向に液が動く。この状態になったときの温度を読み取り、凝固点とする。
【0042】
コラーゲン加工食品を製造する際、例えば、本発明のa)工程で得られる原料水溶液を一部抜き取り、あらかじめ凝固点を測定しておけば、気泡を形成させた後の冷却温度の目安を定めることができる。以下に述べる実施例1〜14、比較例1〜6でも気泡形成前に凝固点を測定し、冷却温度の目安とした。
【0043】
(実施例1)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)8g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)8g、グラニュー糖4gを200mLのビーカーに秤量して混合し、それに水64mLを加えて室温で30分間膨潤後、60℃に加温・撹拌して溶解した。得られた溶液にバニラエッセンスを5滴加え、ホモジナイザ(ヤマト科学社製、ULTRA-DISPERSER MODEL LK-41)を用い、ホモジナイザ付属のスピードコントローラの目盛を50%に設定し、3分間処理して、気泡を形成し、得られた気泡包含液の入ったビーカーを17℃の水浴に浸して継続的に撹拌して、液を30℃まで冷却後、3mm厚さのシート成形用の型に流し込んだ。冷蔵庫内で30分間静置して得られたシート状ゲルを、直径25mmの丸型で打ち抜き、円盤状のゲルを成形した。それらを網に乗せ、乾燥機内で除湿された27℃の空気で一晩乾燥し、さらに、55℃で1時間加温して乾燥することで、円盤状バニラ味の加工食品を得た。
【0044】
(実施例2)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)4g、コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)12g、グラニュー糖4gを混合し、水30mLを加えて室温で膨潤させ、それ以後は実施例1と同様の製造工程によってバニラ味の加工食品を得た。
【0045】
(実施例3)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)6g、コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10gに水48mLを加えて30分膨潤後、60℃で溶解した。カレー粉2gを混ぜて実施例1と同様の条件でホモジナイザを用いて3分間処理して気泡を形成し、得られた気泡包含液の入ったビーカーを17℃の水浴に浸して継続的に撹拌して、液を29℃まで冷却後、3mm厚のシート成形用の型に流し込んだ。冷蔵庫内で30分間静置して得られたシート状ゲルを、5mm幅で長さ7cmに切断し、棒状のゲルを得た。それらを網に乗せ、乾燥機内で除湿された27℃の空気で一晩乾燥し、さらに、55℃、1時間加温して乾燥することで棒状のカレー味の加工食品を得た。
【0046】
(実施例4)
魚鱗由来ゼラチン(ゼリー強度77g、粘度2.5mPa・s)8g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)9g、グラニュー糖4g、水48mLを加えて30分膨潤し、60℃に加温して溶解後、緑茶粉末を0.5g加えた。それ以後は、冷却時の液温を26℃、乾燥空気の温度を25℃とした以外は、実施例1と同様の製造方法にて、円盤状の緑茶味の加工食品を得た。
【0047】
(実施例5)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)8g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)8g、水48mLを加えて30分膨潤後、60℃で溶解した。焼そばソース10mLを混ぜ、それ以後は実施例1と同様にして、円盤状の焼そば味の加工食品を得た。
【0048】
(実施例6)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)8g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)8g、グラニュー糖4gに水48mLを加えて30分膨潤後、60℃に加温して溶解した。味噌5gを混ぜ、それ以後は実施例1と同様にして、円盤状の味噌味の加工食品を得た。
【0049】
(実施例7)
牛骨ゼラチン(ゼリー強度165g、粘度3.8mPa・s)3g、魚鱗由来コラーゲンペプチド(動粘度3.2mm/s)17gを混合し、水30mLを加えて30分間膨潤し、60℃に加温して溶解し、それ以後、冷却温度を34℃とした以外は実施例1と同様に加工して無味の円盤状加工食品を得た。
【0050】
(実施例8)
牛骨ゼラチン(ゼリー強度165g、粘度3.8mPa・s)6g、魚鱗由来コラーゲンペプチド(動粘度1.5mm/s、オリが発生し、呈味が悪い)10g、キシリトール4g、緑茶粉末0.5gを混合し、水48mLを加えて30分間膨潤し、60℃に加温し、実施例3と同様に加工して、緑茶味の棒状加工食品を得た。
【0051】
(実施例9)
牛骨由来ゼラチン(ゼリー強度165g、粘度3.8mPa・s)8g、魚鱗由来コラーゲンペプチド(動粘度4.1mm/s)8g、グラニュー糖4gに水64mLを加え、30分間膨潤し、60℃に加温して溶解し、冷却温度を35℃とした以外は実施例1と同様に加工して円盤状バニラ味の加工食品を得た。
【0052】
(実施例10)
魚皮由来ゼラチン(ゼリー強度260g、粘度7mPa・s)8gと魚鱗由来コラーゲンペプチド(動粘度3.2mm/s)8g、グラニュー糖4gを混合し、水48mLを加え、30分間膨潤し、60℃に加温して溶解し、冷却温度を34℃とした以外は、実施例1と同様に加工してバニラ味の円盤状加工食品を得た。
(実施例11)
牛骨由来ゼラチン(ゼリー強度314g、粘度3.3mPa・s)7gと豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)8.5g、インスタントコーヒー0.5g、グラニュー糖4gを混合し、水64mLを加え、30分間膨潤し、60℃に加温して溶解し、冷却温度を28℃とした以外は、実施例1と同様に加工してコーヒー味の円盤状加工食品を得た。
【0053】
(実施例12)
牛骨由来ゼラチン(ゼリー強度165g、粘度3.8mPa・s)3.5g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)5g、カラギーナン(SATIAGEL BWJ40(SKWバイオシステムズ株式会社製))1g、一味唐辛子粉末0.5gに水90mLを加え、30分間膨潤し、65℃に加温して溶解し、冷却温度を36℃とした以外は実施例1と同様に加工して円盤状とうがらし味の加工食品を得た。
【0054】
(実施例13)
牛骨由来ゼラチン(ゼリー強度165g、粘度3.8mPa・s)5g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10g、カラギーナン(SATIAGEL BWJ40(SKWバイオシステムズ株式会社製))1g、グラニュー糖2g、粉末わさび2gに水80mLを加え、30分間膨潤し、65℃に加温して溶解し、冷却温度を44℃とした以外は実施例1と同様に加工して円盤状わさび味の加工食品を得た。
【0055】
(実施例14)
牛骨由来ゼラチン(ゼリー強度165g、粘度3.8mPa・s)5g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10g、寒天(SAI-7,台糖株式会社製)1g、グラニュー糖4gに水64mLを加え、30分間膨潤し、85℃に加温して溶解し、冷却温度を31℃とした以外は実施例1と同様に加工して円盤状バニラ味の加工食品を得た。
【0056】
(比較例1)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)10gに水80mLを加え、30分間膨潤し、60℃に加温して溶解し、それ以後は実施例1と同様に加工し、加工食品を得た。
【0057】
(比較例2)
カラギーナン(SATIAGEL BWJ40(SKWバイオシステムズ株式会社製))0.5g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10g、グラニュー糖4gに水48mLを加え、30分間膨潤し、80℃に加温して溶解し、冷却温度を50℃とする以外は、実施例1と同様に加工して円盤状のバニラ味の加工食品を試作しようとしたが、乾燥機から取り出す際、すべて粉々に破損し、目的とする円盤状には成形できなかった。
【0058】
(比較例3)
寒天(SAI-7,台糖株式会社製)2g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10g、グラニュー糖4gに水48mLを加え、30分間膨潤し、85℃に加温して溶解し冷却温度45℃とする以外は実施例1と同様にして円盤状のバニラ味の加工食品を試作したが、溶液の粘度が高く、気泡の形成性が悪かった。また、得られたゲルが柔らかく、型抜きすることができなかったので、成形型に乗せたまま乾燥して食感などを評価した。
【0059】
(比較例4)
カラギーナン(SATIAGEL BWJ40、SKWバイオシステムズ株式会社製)1g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10g、グラニュー糖4gに水48mLを加え30分間膨潤し、80℃に加温して溶解し、冷却温度50℃とする以外は実施例1と同様に加工して、円盤状バニラ味の加工食品を試作したが、溶液粘度が高く、安定した気泡形成ができなかった。そのまま型に流し、型抜きして乾燥したが、乾燥後は極めて脆く、取り出す際に割れてしまい目的とする形状の加工食品を得ることができなかった。
【0060】
(比較例5)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)2g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)14g、グラニュー糖4gに水30mLを加え、30分間膨潤し、60℃に加温して溶解し、実施例1と同様にして加工食品を試作したが、ゲル化が不十分で型抜きできず、目的とする円盤状コラーゲン加工食品に成形できなかった。
【0061】
(比較例6)
牛皮由来ゼラチン(ゼリー強度277g、粘度3.5mPa・s)6g、豚皮由来コラーゲンペプチド(動粘度2.2mm/s)10g、グラニュー糖4gに水48mLを加え、30分膨潤後、60℃に加温して溶解した。気泡を形成せずにそのまま3mm厚さのシート成形用の型に流し込み、冷蔵庫でゲル化させた後、直径25mmに打ち抜き、網に乗せ、乾燥機内で除湿された27℃の空気を送り一晩乾燥後、55℃で1時間加温して乾燥することにより円盤状のバニラ味の加工食品を得た。
【0062】
<評価>
表1に、各実施例及び比較例のゼラチン、コラーゲンペプチド及びその他の添加剤の配合割合、加えた水の量、固形分濃度、本発明のa)工程で得られる水溶液の凝固点(比較例の場合も同様の操作で得られる水溶液の凝固点)並びに冷却温度を示す。
【0063】
実施例1〜14、比較例1〜6について、気泡形成性、型抜き性、乾燥品の保型性についての加工適性と、におい、食味、口溶け、歯つき、食感についての官能試験を行った結果を表2に示す。実施例1〜11で示したコラーゲン加工食品は、ほとんどの成分が、コラーゲン由来であるゼラチンとコラーゲンペプチドから構成され、得られたものは、元のゼラチンやコラーゲンペプチドの臭いや味が目立たず、容易に成形でき、摂取時の口解けが良く、歯つきが少ない特徴を有していた。これに対し、ゼラチンをカラギーナン、寒天等の増粘多糖類に置き換えた場合は、比較例2、3に示したように添加量が少ないと脆くなるため成形できず、比較例4に示したように添加量を多くすると、溶液粘度が上がるため気泡形成性が悪かった。また、これらの増粘多糖類を使用した製品は、経口内での口解けが悪く、歯につきやすいものとなった。ただし、実施例12〜14で示したように、ゲル化成分として増粘多糖類のみではなくゼラチンを併用することによって、加工適性、口解け、歯つきが改善され、コラーゲン加工食品を製造することができた。実施例12、13のカラギーナンを併用したものはサクサクとした食感となり、実施例14の寒天を併用したものはパリパリとした硬めの食感となった。比較例1のゼラチンのみで構成した場合や、比較例6の気泡を形成しない場合もコラーゲン由来の素材を主成分とした食品となるが、歯つきがひどく、ゼラチン独特の動物臭が目立ち、実用的ではなかった。比較例5のように、ゼラチンの割合を減らした場合はゲル、乾燥品いずれも強度的な問題が生じた。
【0064】
【表1】

【0065】
【表2】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に気泡を含ませてなる、乾燥形態のコラーゲン成分含有加工食品であって、前記組成物中のゼラチンの含量が当該組成物の重量を基準に15〜45重量%であり、コラーゲンペプチドの含量が25〜85重量%であり、当該加工食品の見かけ密度が0.2〜0.7g/cmであることを特徴とするコラーゲン成分含有加工食品。
【請求項2】
前記ゼラチンのゼリー強度が60〜320gであり、粘度が2.0〜7.0mPa・sであり、コラーゲンペプチドの40℃における動粘度が1.1〜5.0mm/sであることを特徴とする請求項1に記載の加工食品。
【請求項3】
前記組成物中に、香料、香辛料、調味料、食品添加物、果汁、ココア、コーヒー、茶系エキス類、増粘多糖類並びに野菜、肉及び魚のエキスまたは粉末からなる群から選択される少なくとも1種の添加剤をさらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載の加工食品。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載のコラーゲン成分含有加工食品の製造方法であって、当該方法が
a. ゼラチン及びコラーゲンペプチドを主要材料として含む組成物に水を加えて、固形分濃度が10〜40重量%となるような量を用いて加温することにより水に溶解させる工程、ここで、前記組成物中のゼラチンの含量が当該組成物の重量を基準に15〜45重量%及びコラーゲンペプチドの含量が25〜85重量%となるように組成物中に含有させ、
b. 得られた水溶液を、攪拌することにより水溶液中に気泡を形成する工程、ここで、得られる加工食品の見かけ密度が0.2〜0.7g/cmとなるようにする、
c. 得られた気泡を含む水溶液を当該水溶液の凝固点よりも1〜10℃高い温度に冷却する工程、
d. さらに冷却することにより得られるゲルを所定の形態に成形する工程、及び
e. 成形したゲルを乾燥する工程
を含む、前記加工食品の製造方法。

【公開番号】特開2011−15610(P2011−15610A)
【公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−150497(P2009−150497)
【出願日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(000135151)株式会社ニッピ (18)
【Fターム(参考)】