説明

コルゲートチューブ

【課題】複数サイズの電線を、各サイズに対応した形状で保護すること。
【解決手段】周方向に沿った凸条の複数の山部20と当該周方向に沿った凹条の複数の谷部40とが中心軸方向に交互に連続して並び、複数の山部20及び複数の谷部40を中心軸方向に横切って延在し、周方向両側の複数の山部20及び複数の谷部40同士を結ぶ方向に伸縮可能な蛇腹状に形成されている伸縮部60を、少なくとも周方向一箇所に有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電線を保護するコルゲートチューブに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車等に配索されるワイヤーハーネスは、配索経路周辺に配設される部材との接触を防ぐため、電線にコルゲートチューブが外装されて保護されることもある。
【0003】
なお、特許文献1には、周方向のコルゲート溝と環状凸条とが所定のピッチで交互に繰り返し連続する蛇腹構造を有するコルゲートチューブが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−149012号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、配索経路又は車種によっては、保護対象となる電線のサイズが異なることもあり、各電線のサイズに対応するサイズのコルゲートチューブを用いる必要がある。例えば、曲げ易さ、異音抑制、ワイヤーハーネスの小型化等の観点から、コルゲートチューブ内における収容電線の占積率が70〜80%程度になるサイズのコルゲートチューブが採用される。もっとも、複数サイズの電線に対して1つのサイズのコルゲートチューブを用いることも可能であるが、コルゲートチューブ内における収容電線の占積率が過大又は過小となって、曲げ困難、異音発生、ワイヤーハーネスの大型化等の問題が生じることもある。
【0006】
そこで、本発明は、複数サイズの電線を、各サイズに対応した形状で保護することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の態様は、電線を内側に配設して保護する管状のコルゲートチューブであって、周方向に沿った凸条の複数の山部と前記周方向に沿った凹条の複数の谷部とが中心軸方向に交互に連続して並び、前記複数の山部及び前記複数の谷部を前記中心軸方向に横切って延在し、周方向両側の前記複数の山部及び前記複数の谷部同士を結ぶ方向に伸縮可能な蛇腹状に形成されている伸縮部を、少なくとも前記周方向一箇所に有している。
【0008】
第2の態様は、第1の態様に係るコルゲートチューブであって、前記伸縮部は、断面視において、周方向両側の前記複数の谷部の底部同士を接続する位置に設けられている。
【0009】
第3の態様は、第1又は第2の態様に係るコルゲートチューブであって、前記伸縮部は、前記中心軸を挟んで対向する位置に一対設けられている。
【0010】
第4の態様は、第3の態様に係るコルゲートチューブであって、前記中心軸方向に沿って形成され、前記複数の山部及び前記複数の谷部の前記周方向一部で開口可能なスリット部を有し、前記スリット部は、前記周方向において、前記一対の伸縮部に対して等間隔の位置に形成されている。
【発明の効果】
【0011】
第1の態様に係るコルゲートチューブによると、周方向に沿った凸条の複数の山部と当該周方向に沿った凹条の複数の谷部とが中心軸方向に交互に連続して並ぶと共に、複数の山部及び複数の谷部を中心軸方向に横切って延在し、周方向両側の複数の山部及び複数の谷部同士を結ぶ方向に伸縮可能な蛇腹状に形成されている伸縮部を、少なくとも周方向一箇所に有している。このため、伸縮部を伸縮させることにより内部空間の大きさを調節することができ、複数サイズの電線を、各サイズに対応した形状で保護することができる。
【0012】
第2の態様に係るコルゲートチューブによると、伸縮部が、断面視において、周方向両側の複数の谷部の底部同士を接続する位置に設けられているため、周辺部材に対して接触し難く、保護性能の低下を抑制することができる。
【0013】
第3の態様に係るコルゲートチューブによると、一対の伸縮部が、中心軸を挟んで対向する位置に設けられているため、バランス良く安定した形態でサイズ変更することができる。
【0014】
第4の態様に係るコルゲートチューブによると、中心軸方向に沿って形成され、複数の山部及び複数の谷部の周方向一部で開口可能なスリット部が、周方向において一対の伸縮部に対して等間隔の位置に形成されている。このため、スリット部を通じて電線を配設する際に、一対の伸縮部を伸縮させやすい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】コルゲートチューブの側面図である。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】コルゲートチューブの部分斜視図である。
【図4】伸長されたコルゲートチューブを示す図である。
【図5】図4のV−V線断面図である。
【図6】従来のコルゲートチューブと実施例に係るコルゲートチューブとの対応関係を示す図である。
【図7】変形例に係るコルゲートチューブの使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態>
以下、実施形態に係るコルゲートチューブ10について説明する(図1、図2参照)。このコルゲートチューブ10は、電線Wを保護する部材であり、サイズ調節可能に形成されている。
【0017】
コルゲートチューブ10の保護対象となる電線Wは、例えば、自動車に配索されるワイヤーハーネスに組み込まれ、各種電子機器等に対して電源供給又は信号伝達を行う電線である。当該保護対象となる電線Wは、1本又は複数本のいずれでもよい。
【0018】
コルゲートチューブ10は、全体として管状に形成され、電線Wを内側に配設することにより保護可能である(図1、図2参照)。ここでは、コルゲートチューブ10は、断面視略円形に形成され、略円柱状の内部空間を有している。もっとも、コルゲートチューブ10は、断面視略円形に限られるものではなく、断面視楕円形又は断面視において角が丸められた矩形状等でもよい。
【0019】
より具体的には、コルゲートチューブ10は、周方向に沿った凸条の複数の山部20と同周方向に沿った凹条の複数の谷部40とが中心軸方向に交互に連続して並ぶと共に、複数の山部20及び複数の谷部40を中心軸方向に横切って延在し、周方向両側の複数の山部20及び複数の谷部40同士を結ぶ方向(以下、伸縮方向S)に伸縮可能な伸縮部60を、少なくとも周方向一箇所に有している。ここでは、伸縮部60は、周方向に間隔をあけて一対設けられている。なお、周方向とは、コルゲートチューブ10の断面形状に対応する方向であり、例えば、断面視楕円形であれば楕円周方向、断面視角が丸められた矩形状であればその周方向を指し、円周方向に限られるものではない。
【0020】
山部20は、1本の軸を中心軸とする周方向に沿って延在し、内側に同周方向に沿って延在する内部空間を有している凸条に形成されている。換言すると、山部20は、周方向に直交する断面視において内周側に開口する略U字形を成している。ここで、山部20のうち外周部分を頂部22という。ここでは、頂部22は、中心軸方向に幅を有する帯状に形成されている。また、山部20は、中心軸方向に直交する断面視において、一対の弧状部分を有し、一対の伸縮部60を周方向に挟むように設けられている。
【0021】
谷部40は、山部20と同一の軸を中心軸とする周方向に沿って延在している凹条に形成されている。換言すると、この谷部40は、周方向に直交する断面視において外周側に開口する略U字形を成している。つまり、複数の山部20と複数の谷部40とは、中心軸方向に断面視略矩形波状に連続している。ここで、谷部40のうち内周部分を底部42という。この底部42は、山部20の頂部22より内周側に位置し、ここでは、中心軸方向に幅を有する帯状に形成されている。そして、底部42は、内周側に電線Wを配設可能な大きさに設定されている。また、谷部40は、山部20と同様に、中心軸方向に直交する断面視において一対の弧状部分を有し、一対の伸縮部60を周方向に挟むように設けられている。
【0022】
ここで、説明の便宜上、山部20の頂部22と谷部40の底部42とを接続する部分を側壁部52という。この側壁部52は、山部20の内周側部分と谷部40の外周側部分とを含む部分である。より具体的には、側壁部52は、中心軸方向に隣接する頂部22及び底部42を、一端部と他端部と、又は、他端部と一端部とを結ぶように接続している。ここでは、頂部22と底部42とが中心軸方向に間隔をあけて設けられているため、側壁部52は、頂部22の一端部(他端部)から底部42の他端部(一端部)に向けて、内外方向に対して中心軸方向に傾斜している。すなわち、山部20の中心軸方向寸法は外周側ほど小さくなり、谷部40の中心軸方向寸法は外周側ほど大きくなっている。
【0023】
そして、交互に連続する複数の山部20と複数の谷部40とは、頂部22と側壁部52との内角及び底部42と側壁部52との内角が小さくなるように変形されるとその連続方向に収縮し、前記両内角が大きくなるように変形されると連続方向に伸長する。つまり、コルゲートチューブ10は、中心軸に対する放射方向のうち、一対の伸縮部60が対向する方向に直交する方向(伸縮方向S)に曲げ力が作用した場合には、曲げ方向内側で頂部22と側壁部52との内角及び底部42と側壁部52との内角が小さくなるように変形して収縮し、外側で頂部22と側壁部52との内角及び底部42と側壁部52との内角が大きくなるように変形して伸長する。これにより、コルゲートチューブ10は曲げられる。
【0024】
伸縮部60は、伸縮方向Sに伸縮可能な蛇腹状に形成されている(図1〜図3参照)。ここでは、伸縮部60は、断面視において、伸縮方向Sに沿って連続する三角波状に形成されている。もっとも、伸縮部60は、伸縮方向Sに伸縮可能な蛇腹状であればよく、断面視三角波状に限られるものではない。例えば、伸縮部60は、断面視正弦波状、矩形波状、鋸波状等に形成されていてもよい。また、伸縮部60は、周方向に沿って連続するように形成されていてもよい。
【0025】
また、伸縮部60は、中心軸に直交する断面視において、周方向両側の複数の谷部40の底部42同士を接続する位置に設けられている。ここでは、伸縮部60は、断面視において、伸縮部60を挟んで対向する底部42同士を結ぶライン上に外周側の頂点が位置するように設けられている。すなわち、伸縮部60は、山部20の頂部22(ここでは山部20全体)より内周側に位置している。なお、伸縮部60は、伸縮変形された状態においても、その内側に電線Wを配設可能なように、底部42に対する内周側への突出寸法が設定されているとよい。
【0026】
もっとも、伸縮部60は、谷部40の底部42同士を接続する位置に設けられている場合に限られるものではない。例えば、伸縮部は、山部20の頂部22同士を接続する位置に形成されていてもよいし、頂部22と底部42との間で側壁部52同士を接続する位置に設けられていてもよい。また、収容容量をなるべく大きく確保する観点から、底部42同士を接続する伸縮部が、底部42の内周部から外周側に位置するように設けられていてもよい。
【0027】
また、伸縮部60は、伸縮し易いと共に電線保護性能を維持できるような厚さ寸法に設定されているとよい。ここでは、伸縮部60の厚さ寸法は、底部42の厚さ寸法と略同寸法に設定されている。
【0028】
ここでは、一対の伸縮部60は、中心軸を挟んで対向する位置、すなわち、周方向に180度の間隔をあけた位置に設けられている(図2参照)。そして、コルゲートチューブ10は、全体として、一対の伸縮部60の伸縮方向Sに沿って伸縮可能となっている。つまり、コルゲートチューブ10は、一対の伸縮部60を伸長させる向きに力が作用した場合には伸縮方向Sに長手の断面視略楕円形状となり、伸長変形前の略円柱状の内部空間より大きい略楕円柱状の内部空間を有する(図5参照)。また、コルゲートチューブ10は、一対の伸縮部60を収縮させる向きに力が作用した場合には伸縮方向Sに直交する方向に長手の断面視略楕円形状となり、収縮変形前の内部空間より小さい略楕円柱状の内部空間を有する(図7参照)。
【0029】
なお、一対の伸縮部60が、周方向において複数の山部20及び複数の谷部40が形成されている部分より、中心軸方向には伸縮し難いため、コルゲートチューブ10は、当該一対の伸縮部60が対向する方向に曲げ難くなっている。このため、コルゲートチューブ10は、一対の伸縮部60が対向する方向に対して直交する方向に曲げる姿勢で使用されるとよい。そして、このような使用形態においては、曲げ方向が規制されて姿勢が安定し、周辺部材との接触を抑制することもできる。これにより、別の曲げ方向規制用の部材を省略することができる。
【0030】
また、複数の山部20の頂部22とその両側の一対の側壁部52との端部には、その内側を遮蔽する壁部28が形成されている(図3参照)。この壁部28は、周方向に対して略直交する平面に沿って形成されている。そして、伸縮部60の幅方向両側にも内外方向に延在する壁部28が形成されているため、伸縮部60周辺の位置でも保護性能の低下を抑制することができる。すなわち、この位置では、頂部22から壁部28及び伸縮部60が磨耗されるまで、周辺部材等がコルゲートチューブ10の内部に到達することができない。
【0031】
また、コルゲートチューブ10は、スリット部70を有していてもよい(図2、図4参照)。スリット部70は、中心軸方向に沿って形成され、複数の山部20及び複数の谷部40の周方向一部で開口可能に形成されている。そして、このスリット部70を通じてコルゲートチューブ10内に電線Wを配設することができる。
【0032】
また、スリット部70は、周方向において、一対の伸縮部60に対して等間隔の位置に形成されている。すなわち、スリット部70の位置は、中心軸に対する放射方向のうち一対の伸縮部60の対向方向に直交する方向に開口可能な位置である。そして、コルゲートチューブ10のうち、伸縮方向Sにおける一端部にスリット部70が位置するため、コルゲートチューブ10を電線Wに外装させる際に、一対の伸縮部60を伸縮させやすく、装着作業性が良くなる。また、スリット部70の両側部分は伸縮方向S及び中心軸方向に平行な平面を挟んで対称となるため、一対の伸縮部60が対向する方向に直交する方向に曲げる際に、より安定した曲げ形態に維持することができる。
【0033】
上記コルゲートチューブ10は、例えば、以下の製造方法により製造することができると考えられる。すなわち、溶融させた樹脂材料を押出成形して筒状体を形成し、軟らかい状態の当該筒状体をブロー成形又はバキューム成形によりコルゲートチューブ10の外部形状に対応した成型金型に密着させることにより形成する。この成型金型は、一般的なコルゲートチューブ(複数の山部20及び複数の谷部40)の外部形状に対応した凹凸内周面を有する一対の半割り状のブロックと、先端部に伸縮部60の三角波形に対応した波状面を有する一対の波状型とを有しているとよい。そして、先端部を間隔をあけて対向させた一対の波状型を挟むように一対のブロックを突き合わせて成型金型が構成され、この成型金型に対して軟らかい状態の筒状体を密着させることにより、コルゲートチューブ10が製造される。なお、一対の波状型の先端部の位置を内外に調節することにより、一対の伸縮部60の内外方向の位置を変更したコルゲートチューブを製造することができる。スリット部70を形成する場合には、上記工程の後に、形成された複数の山部20及び複数の谷部40を切断刃により中心軸方向に沿って切り開く工程を設ければよい。
【0034】
これまで、コルゲートチューブ10が、中心軸を挟んで対向する位置に一対の伸縮部60を有する例で説明したが、これに限られるものではない。すなわち、収容容量を可変にする観点から言うと、一対の伸縮部60は、180度より小さい間隔で中心軸を挟まない位置に設けられていてもよい。また、上記観点から、伸縮部60は、一箇所又は3以上の複数箇所に設けられていてもよい。もっとも、電線Wに外装する際の装着し易さ、曲げ形態の安定性、曲げ方向規制等の観点から言うと、伸縮部60は、中心軸を挟んで対向する位置に一対設けられていることが好ましい。
【0035】
上記実施形態に係るコルゲートチューブ10によると、複数の山部20及び複数の谷部40を中心軸方向に横切って延在し、周方向両側の複数の山部20及び複数の谷部40同士を結ぶ方向に伸縮可能な蛇腹状に形成されている伸縮部60を有している。このため、伸縮部60を伸縮させることにより内部空間の大きさを調節することができ、複数サイズの電線Wを、各サイズに対応した形状で保護することができる。
【0036】
また、伸縮部60が、断面視において、周方向両側の複数の谷部40の底部42同士を接続する位置に設けられているため、配索経路の周辺に配設されている周辺部材に対して接触し難く、保護性能の低下を抑制することができる。
【0037】
また、中心軸を挟んで対向する位置に一対の伸縮部60が設けられているため、バランス良くサイズ変更することができる。
【0038】
また、スリット部70が、周方向において一対の伸縮部60に対して等間隔の位置に形成されているため、一対の伸縮部60が伸縮されて電線Wを収容する際に、一対の伸縮部60を伸縮させつつ装着し易い。
【0039】
<実施例>
次に、上述したコルゲートチューブ10の実施例について説明する。
【0040】
図6では、3サイズの従来のコルゲートチューブを、1つのコルゲートチューブ10で代替する例を示している。ここでは、コルゲートチューブ10を、対応するサイズの従来のコルゲートチューブと、それより大きい2サイズの従来のコルゲートチューブとを代替するように、一対の伸縮部60を伸長させて使用する。すなわち、図1、図2の状態でコルゲートチューブ10を製造し、小さいサイズの電線Wに対して図1、図2の状態で外装すると共に、大きいサイズの電線Wに対して一対の伸縮部60を伸長させた図4、図5の状態で外装すればよい。そして、このように、一対の伸縮部60を伸長させて使用する場合、断面視略三角波形の伸縮部60は、頂点における内角が大きくなるように変形されて伸長するため、当該内角が伸長状態より小さくなるように製造しておくとよい。
【0041】
図6に即して説明すると、内径5mmのコルゲートチューブ10を、従来の内径5、7、10mmのコルゲートチューブを用いて保護していた各電線Wに対して、そのままのサイズで又は一対の伸縮部60を伸長させたサイズで適用する。同様に、内径13mmのコルゲートチューブ10を、従来の内径13、15、19mmのコルゲートチューブの保護対象である各電線Wに対して適用すると共に、内径22mmのコルゲートチューブ10を、従来の内径22、25、28mmのコルゲートチューブの保護対象である各電線Wに対して適用する。
【0042】
コルゲートチューブ10を、一対の伸縮部60を伸長させて電線Wに外装すると、一対の伸縮部60が弾性力によって自然長に復帰しようとするため、収容された電線Wのサイズに対応したサイズに維持される。すなわち、コルゲートチューブ10のうち伸縮方向Sに対向する底部42の内周部が電線Wの外周部に当接することにより、収容された電線Wのサイズに対応したサイズとなる。実際には、この状態でコルゲートチューブ10をテープ巻きして、ワイヤーハーネスを車両に配索するとよい。これにより、収容された電線Wのサイズに対応したサイズで、当該電線Wを保護することができる。
【0043】
これまで、コルゲートチューブ10を、一対の伸縮部60を伸長させてもとのサイズより大きいサイズに変形させ、対応するサイズより大きいサイズの電線Wにも適用する例で説明したが、これに限られるものではない。すなわち、一対の伸縮部60を収縮させてもとのサイズより小さいサイズに変形させ、対応するサイズより小さいサイズの電線Wにも適用してもよい(図7参照)。この場合、断面視略三角波形の伸縮部60は、頂点における内角が小さくなるように変形されて収縮するため、当該内角が収縮状態より大きくなるように製造しておくとよい。図6の例で言うと、内径10mmのサイズのコルゲートチューブ10を、内径5、7mmのサイズの従来のコルゲートチューブの適用対象である電線Wに対して使用してもよい。
【0044】
なお、コルゲートチューブ10を、一対の伸縮部60を収縮させて電線Wに外装する場合、一対の伸縮部60が弾性力によって自然長に復帰しようとするため、テープ巻き等することにより一対の伸縮部60の収縮状態を保持するとよい。これにより、収容された電線Wのサイズに対応したサイズで、当該電線Wを保護することができる。
【0045】
また、一対の伸縮部60を伸長及び収縮両方させることにより、対応するサイズより大きいサイズ及び小さいサイズの両方の電線Wにも適用することもできる。図6の例で言うと、内径7mmのサイズのコルゲートチューブ10を、内径5、10mmのサイズの従来のコルゲートチューブの適用対象である電線Wに対して使用してもよい。
【0046】
つまり、コルゲートチューブ10は、対応するサイズより大きいサイズに適用するか、小さいサイズに適用するかによって、一対の伸縮部60を、主として伸長させる、主として収縮させる又は伸縮両方させるように、伸長量及び収縮量を設定して製造されるとよい。
【0047】
もっとも、上述したのはあくまでも実施例であり、コルゲートチューブ10を、2サイズ又は4サイズ以上の複数サイズの従来のコルゲートチューブに代替するように使用してもよい。
【符号の説明】
【0048】
10 コルゲートチューブ
20 山部
40 谷部
42 底部
60 伸縮部
70 スリット部
W 電線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電線を内側に配設して保護する管状のコルゲートチューブであって、
周方向に沿った凸条の複数の山部と前記周方向に沿った凹条の複数の谷部とが、中心軸方向に交互に連続して並び、
前記複数の山部及び前記複数の谷部を前記中心軸方向に横切って延在し、周方向両側の前記複数の山部及び前記複数の谷部同士を結ぶ方向に伸縮可能な蛇腹状に形成されている伸縮部を、少なくとも前記周方向一箇所に有している、コルゲートチューブ。
【請求項2】
請求項1に記載のコルゲートチューブであって、
前記伸縮部は、断面視において、周方向両側の前記複数の谷部の底部同士を接続する位置に設けられている、コルゲートチューブ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のコルゲートチューブであって、
前記伸縮部は、前記中心軸を挟んで対向する位置に一対設けられている、コルゲートチューブ。
【請求項4】
請求項3に記載のコルゲートチューブであって、
前記中心軸方向に沿って形成され、前記複数の山部及び前記複数の谷部の前記周方向一部で開口可能なスリット部を有し、
前記スリット部は、前記周方向において、前記一対の伸縮部に対して等間隔の位置に形成されている、コルゲートチューブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−161130(P2012−161130A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−17679(P2011−17679)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】