説明

コレステロール再上昇抑制用組成物およびその用法

【課題】高コレステロール状態またはその前段階にある患者に対してコレステロール再上昇を抑制する作用を有し、このため当該患者のコレステロール再上昇抑制のために用いられる組成物(コレステロール再上昇抑制用組成物)を提供する。また本発明は、上記作用に基づいて、コレステロール再上昇によって生じる高コレステロール状態に起因する病態や疾患、具体的には高コレステロール血症、動脈硬化症、これに派生して生じる病態や疾患の予防または治療のために用いられる組成物を提供する。
【解決手段】食用蛋白加水分解物、好ましくはグロビン蛋白加水分解物またはVal-Val-Tyr-Proからなるペプチドを有効成分として用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高コレステロール状態またはその前状態にある患者に好適に用いられる組成物であって、当該患者のコレステロール低下処置(例えば、スタチン系薬剤等の投与)後の休薬期間に、コレステロールの再上昇を抑制し、血中コレステロール値を適正域に維持する目的で使用される組成物に関する。
【0002】
さらに本発明は、上記組成物のコレステロール再上昇抑制作用を利用して、コレステロールが再上昇し得る状態にある患者に対してコレステロールの再上昇を抑制し、血中コレステロール値を適正域に維持する方法、並びに高コレステロール状態に起因して生じる病態や疾患(例えば、高コレステロール血症、または動脈硬化症など)を予防または改善する方法に関する。特に本発明は、高コレステロール状態またはその前状態にある患者を対象として、当該患者のコレステロール低下処置(例えば、スタチン系薬剤等の投与)後の休薬期間におけるコレステロールの再上昇を抑制し、血中コレステロール値を適正域に維持するための方法に関する。
【背景技術】
【0003】
近年、食生活の欧米化に伴って高脂肪食品を摂取する機会が増え、高コレステロール血症、高脂血症、動脈硬化症などの生活習慣病が増加している。従来より、血中の総コレステロール量および低比重リポタンパク質(LDL)コレステロール量の上昇に伴って生じる高脂血症の症状が、心臓血管のアテローマ性動脈硬化性疾患の主要な危険因子であることが知られている(例えば非特許文献1および2等参照)。
【0004】
高脂血症を改善する方法として、腸管の管腔内で胆汁酸の循環を妨害して血中のコレステロール量を減少させる方法が確立されている。かかる方法として、具体的にはHMG−CoA還元酵素阻害剤、好ましくはシンバスチンやフルバスチンなどのスタチン系薬剤による治療、または陰イオン交換樹脂などの胆汁酸結合剤による治療を挙げることができる。
【0005】
かかる薬剤は、世界中で広くコレステロール低下剤(または脂質低下剤)として用いられており、中でもスタチン系薬剤は、高脂血症治療薬シェアの約80〜90%を占め、高コレステロール血症の第一選択薬として、その有効性が確立されている。しかしながら、近年、筋肉障害(横紋筋融解症)や肝機能障害(肝酵素上昇等)及び神経障害などのスタチン系薬剤に共通した副作用が報告されており(例えば、非特許文献3〜6等参照)、長期間にわたって服用する場合の安全性が懸念されている。また、休薬後にはコレステロール値が反動的に上昇するリバウンドが認められ、中々休薬し難い。医療現場では、スタチン系薬剤の副作用について、認識しながらも休薬することができず、休薬したとしても患者に低コレステロール食の摂取を余儀なくし、患者自身のQOL(Quority of Life)は著しく損なわれているのが現状である。
【非特許文献1】Assman G., et al., Circulation, 1999, 100, 1930-1938
【非特許文献2】Grundy S., et al., Circulation, 1999, 100, 1134-1146
【非特許文献3】Clinics in Liver Disease, 2003, 7, 415-433
【非特許文献4】Current Therapy, 1999, vol.19 No.9 53-56
【非特許文献5】Donaghy M, Neurology, 2002, 58, 1321-1322
【非特許文献6】Gaist D., et al., Neurology, 2002, 58, 1333-1337
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、血中のコレステロール値が再上昇し得る状態にある患者、または高コレステロール状態に起因して生じる病態または疾患を有する患者であってコレステロール低下処理後、特にコレステロール低下処理休止後の患者に対して、血中のコレステロール値の再上昇を抑制して、コレステロール値を適正域に維持するための組成物および方法を提供することを目的とする。さらにまた本発明は、血中のコレステロール値が再上昇し得る状態にある患者、または高コレステロール状態に起因して生じる病態または疾患を有し、コレステロール低下処置を受けている患者、特にその休止期間にある患者に対して、血中のコレステロール値の再上昇を抑制して、当該病態や疾患を予防または改善するための組成物およびその方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明者らは、高コレステロール状態にある患者を対象として、スタチン系薬剤によって血中コレステロールを低下させた後(コレステロール低下処置)、スタチン系薬剤の投与を休止して、それ以後の休薬期間中、グロビン蛋白加水分解物を服用させていたところ、食事制限しなくても長期間にわたってコレステロール値が適正域に維持されていることを見出した。一方、スタチン系薬剤の休薬時にグロビン蛋白加水分解物を服用させない場合は、コレステロール値が反動的に上昇し、早期に次回のコレステロール低下処置が必要となった。また、スタチン系薬剤の休薬期間中にグロビン蛋白加水分解物を服用することによって、コレステロール低下処置時よりも血中の善玉コレステロール(HDLコレステロール)量が増加することがわかった。
【0008】
これらの知見から、本発明者らは、グロビン蛋白加水分解物にコレステロール再上昇抑制作用があること、特にスタチン系薬剤投与などのコレステロール低下処置後に使用することによって、コレステロールの再上昇を長期間にわたって抑制し、血中コレステロール値を適正域に維持するのに有効であることを確認した。これらの知見は、グロビン蛋白加水分解物を、スタチン系薬剤投与などのコレステロール低下処置と並行してまたは交互して使用することによって、長期間にわたってコレステロールの再上昇を抑制することができ、その結果、スタチン系薬剤の投薬回数を減らして、当該薬剤による副作用を低減し得ることを示すものである。本発明は、これらの知見に基づいて完成したものである。
【0009】
すなわち、本発明は下記の態様を包含するもである。
1. 食用蛋白加水分解物を有効成分とするコレステロール再上昇抑制用組成物。
2. グロビン蛋白加水分解物またはVal-Val-Tyr-Proからなるペプチドを有効成分とするコレステロール再上昇抑制用組成物。
3. 高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者のコレステロールの再上昇を抑制するために用いられる、1または2記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
4. 高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者に対するコレステロール低下処置に並行して、または交互に用いられる、1乃至3のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
5. 高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者に対するコレステロール低下処置の休止期間に用いられる、1乃至4のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
6. コレステロール低下処置がスタチン系薬剤の投与である4または5記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
7. 血中の総コレステロール値を正常域に維持するための組成物である、1乃至6のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
8. 高コレステロール状態またはその前段階にある冠動脈疾患患者を対象として、血中の総コレステロール値を抗コレステロール剤の投与を必要としない領域に維持するための組成物である、1乃至6のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。なお、ここで「抗コレステロール剤の投与を必要としない領域」とは、総コレステロール値の正常域の上限(220〜240mg/dl)以下の領域を意味する。
9. 組成物が食品、医薬品または飼料である、1乃至8のいずれかに記載するコレステロール再上昇抑制用組成物。
10. 包装または容器にコレステロール再上昇抑制効果またはそれに派生して得られる効果を表示してなる食品である、9記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
11. 高コレステロール状態またはその前段階にありコレステロール低下処置を受けている人を対象として、当該人のコレステロール低下処置後の休止期間中のコレステロールの再上昇を抑制するために用いられる食品である、9又は10に記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
12. 1乃至2の組成物を有効成分とする、高コレステロール状態に起因する病態または疾患の予防または改善用組成物。
13. 高コレステロール状態に起因する病態または疾患が、高コレステロール血症、動脈硬化症、およびこれに派生して生じる病態または疾患である12記載の組成物。
14. 組成物が食品、医薬品または飼料である、12または13に記載する組成物。
15. 包装または容器に高コレステロール状態に起因する病態または疾患の予防または改善効果を表示してなる食品である、14記載の組成物。
16. コレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量の1乃至2の組成物を、高コレステロール状態または前状態にある患者に投与することを含む、当該患者についてコレステロールの再上昇を抑制する方法。
17. コレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量の1乃至2の組成物を、高コレステロール状態または前状態にある患者に投与することを含む、当該患者について高コレステロール状態に起因する病態または疾患を予防または改善する方法。
18. 高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者に対するコレステロール低下処置に並行して、または交互して、1乃至2の組成物を投与することを含む、16または17に記載する方法。
19. 高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者に対するコレステロール低下処置後の休止期間に1乃至2の組成物を投与することを含む、18に記載の方法。
20. コレステロール低下処置がスタチン系薬剤の投与である18または19記載の方法。
21. 血中の総コレステロール値を正常域に維持する方法である、16乃至20のいずれかに記載する方法。
22. 高コレステロール状態またはその前段階にある冠動脈疾患患者を対象として、血中の総コレステロール値を正常域に維持する方法である、16乃至20のいずれかに記載する方法。
23. 1乃至2のコレステロール再上昇抑制用組成物の製造のための使用。
24. 1乃至2の、高コレステロール状態に起因する病態または疾患の予防または改善用組成物の製造のための使用。
25. コレステロール再上昇抑制用組成物または高コレステロール状態に起因する病態または疾患の予防または改善用組成物が、医薬組成物、食品組成物または飼料組成物である23または24記載の使用。
【発明の効果】
【0010】
本発明が提供する組成物ならびに方法は、とくに高コレステロール状態にあり、スタチン系薬剤などのHMG−CoA還元酵素阻害剤によるコレステロール低下処置を受けている患者に対して、その休薬期間に適用することにより、下記の有利な効果を発揮することができる。
(1)休薬期間における血中コレステロール値の再上昇を抑制し、長期間にわたって血中コレステロール値を適正域に維持することができる。
(2)その結果、スタチン系薬剤の休薬期間を延長することができ(スタチン系薬剤使用頻度の低減)、スタチン系薬剤使用による副作用発生の確率を低減することができる。
【0011】
上記効果は、スタチン系薬剤の休薬期間中に低コレステロール食などの食事制限をしなくても得ることができるので、本発明は高コレステロール状態にある患者のQOLの向上に寄与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(1)用語の定義
本発明においてコレステロールとは、血液中または血清中のコレステロール濃度をいう。
【0013】
本発明でいう高コレステロール血症には、特に言及しない限り、血清中の総コレステロール値が220mg/dl以上である高コレステロール血症と、血清中のLDLコレステロール値が140mg/dl以上である高LDLコレステロール血症の両方が含まれる。
【0014】
本発明において高コレステロール状態にあるとは、血清中の総コレステロール値が220mg/dl以上の高コレステロール血症状態にあるか、若しくは200mg/dl〜220mg/dl未満の、すなわち正常から高コレステロール血症との境界域にある状態、または血清中のLDLコレステロール値が140mg/dl以上の高LDLコレステロール血症状態にあるか、若しくは120mg/dl〜140mg/dl未満の、すなわち正常から高LDLコレステロール血症との境界域にある状態をいう。但し、冠動脈疾患(例えば、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患)にある患者に関しては、高コレステロール状態にあるとは、血清中の総コレステロール値が180mg/dl以上にあるか、または血清中のLDLコレステロール値が100mg/dl以上にある状態をいう。
【0015】
本発明においてコレステロール(または血中コレステロール値)が適正域にあるとは、血清中の総コレステロール値が220〜240mg/dl付近以下であり、かつ血清中のLDLコレステロール値が120mg/dl未満の状態をいう。但し、冠動脈疾患(例えば、狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患)にある患者に関しては、コレステロール(または血中コレステロール値)が適正域にあるとは、血清中の総コレステロール値が180mg/dl未満にあり、且つ血清中のLDLコレステロール値が100mg/dl未満にある状態をいう。
【0016】
(2)コレステロール再上昇抑制用組成物
本発明のコレステロール再上昇抑制用組成物は、食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を有効成分として含有することを特徴とする。
【0017】
ここで食用蛋白加水分解物は、魚粉、グロビン等の動物性蛋白質;コーン蛋白質(ゼイン)、大豆蛋白質等の植物性蛋白質を原料とし製造することができる。
【0018】
ここでグロビン蛋白加水分解物は、ヘモグロビンやミオグロビン等のグロビン蛋白の加水分解物である。このグロビン蛋白の提供源である動物の種類は特に限定されず、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヒト、ウマ等の血液を広く用いることができる。また、畜肉、魚肉などのミオグロビンを多く含む肉類をその蛋白源として用いることもできる。
【0019】
食用蛋白、特にグロビン蛋白の加水分解に関する操作等は、前出の国際公開番号 WO89/06970 公報記載の方法に従って行うことができる。加水分解は、通常酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ又はアルカリ性プロテアーゼの1種若しくは2種以上の加水分解酵素を用いて行なわれる。
【0020】
例として、グロビン蛋白を加水分解するには、まずグロビン蛋白含有物を水に5〜30重量%(固形分として)となるように分散させ、酸若しくはアルカリによってプロテアーゼの至適pHに調整し、プロテアーゼを一度に若しくは逐次的に添加して、20〜70℃の温度で3〜48時間、当該酵素を反応させる方法を例示することができる。
【0021】
斯くして得られた蛋白加水分解物は、そのまま、若しくは乾燥して、又は当該蛋白加水分解物にカルボキシメチルセルロース若しくはデキストリン等の増量剤を適量加えて、乾燥・固化することにより、本発明のコレステロール再上昇抑制作用を有するグロビン蛋白加水分解物として調製することができる。
【0022】
また本発明で用いるペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)は、上記グロビン蛋白加水分解物に1重量%程度の割合で含まれているため、上記グロビン蛋白加水分解物から単離精製して取得することができる。
【0023】
この単離精製方法は、蛋白質またはペプチドに関する公知の精製方法を採用することができる。例えば、塩析法、透析法、イオン交換樹脂法、限外濾過法、逆相クロマトグラフィー法等を適宜組み合わせることによって、ペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を包含するフラクションを取得し、更に当該フラクションからペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を単離取得することができる。上記精製方法のうち逆相クロマトグラフィーは、酸性下における逆相クロマトグラフィーと中性下における逆相クロマトグラフィーとを組み合わせて行うのが好ましい。
【0024】
フラクション中の蛋白量は、公知の蛋白定量法、例えばニンヒドリン法等によって測定することが可能である。また、選別したフラクション中に含まれるペプチドのアミノ酸配列は、公知の方法(アミノ酸分析法)により同定することができ、それによって本発明が対象とするVal-Val-Tyr-Proのアミノ酸配列からなるペプチドの存在を確認することができる。なお、ペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)は上記の方法により単離精製されたものであってもよいが、コレステロール再上昇抑制作用を有する限り、それを含むフラクション自体も本発明のコレステロール再上昇抑制用組成物の有効成分として用いることができる。
【0025】
また当該ペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)は、公知のペプチド合成法を用いて化学合成により調製することもできる。例えば、ペプチド合成法としては、アジド法、酸クロライド法、酸無水物法、混合酸無水物法、DCC法、活性エステル法、カルボイミダゾール法、酸化還元法、DCC-アディディブ(HOMB,HOBt,HOSu)法( 「ザ ペプチド(The Peptide) 」第1巻(1966年),Schreder&Luhke 著,Academic Press,New York,USA;あるいは「ペプチド合成」泉谷ら著,丸善株式会社(1975年) 等) 等のペプチド合成法を例示することができる。これらのペプチド合成法は、固相合成法又は液相合成法のいずれによっても行うことができる。
【0026】
上記ペプチド合成法では、側鎖官能基を有するアミノ酸、例えばチロシンやスレオニンは、当該側鎖官能基を保護しておくのが好ましい。保護基としては、公知の保護基、例えばベンジルオキシカルボニル基(Cbz-)、t-ブトキシカルボニル基(Boc-)、ベンジル基(Bz-) 等を用いることができる。この保護基は、本発明のペプチドの合成工程において、公知の方法により脱保護を行うことができる。
【0027】
本発明のコレステロール再上昇抑制用組成物は、そのコレステロール再上昇抑制作用に基づいて、医薬組成物、食品組成物、または飼料組成物として有効に使用することができる。以下、各組成物について、その構成ならびにその用法を説明する。
【0028】
(2-1) 医薬組成物およびその用法
本発明の医薬組成物は、コレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含有することを特徴とする。本発明の医薬組成物は、食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)に起因してコレステロール再上昇抑制作用を有し、これにより血中のコレステロールレベルの再上昇によって生じる病態や疾患を予防し、また改善することが可能である。
【0029】
このため、本発明の医薬組成物は、コレステロールの再上昇を抑制する目的で(例えば、コレステロール再上昇抑制剤として)、また高コレステロール状態に起因して生じる各種の病態や疾患の予防または改善剤として有効に利用される。、
ここで高コレステロール状態に起因して生じる病態や疾患としては、高コレステロール血症(高LDLコレステロール血症を含む)、動脈硬化症ならびに動脈硬化に派生して生じる各種の疾患を挙げることができる。ここで対象とする動脈硬化症には、アテローマ性動脈硬化症が含まれる。また動脈硬化に派生して生じる各種の疾患としては、脳梗塞や脳卒中などの脳血管疾患、心筋梗塞や狭心症などの心臓病を挙げることができる。
【0030】
本発明の医薬組成物は、上記の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)だけからなるものであってもよい。また本発明の医薬組成物は、前述するように、上記の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)をコレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量含有するものであればよく、通常は上記有効成分に加えて薬学的に許容された担体または添加剤とともに調製される。
【0031】
ここで担体としては、医薬組成物(製剤)の投与形態に応じて通常使用される賦形剤、希釈剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、崩壊抑制剤、吸収促進剤、滑沢剤、溶解補助剤、緩衝剤、乳化剤、懸濁剤などが例示できる。また添加剤としては、製剤の投与形態に応じて通常使用される安定化剤、保存剤、緩衝剤、等張化剤、キレート剤、pH調整剤、界面活性剤、着色剤、香料、風味剤、甘味剤などが例示できる。
【0032】
なお、本発明の医薬組成物には、有効成分として上記の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)のほか、他のコレステロール低下剤を配合することもできる。
【0033】
また医薬組成物の投与単位形態(医薬製剤形態)は、投与経路に応じて各種適宜選択することができ、これらは大きく経口剤、経肺投与剤、経鼻剤、舌下剤、非経口剤(注射剤、点滴剤)などに分類される。これらは常法に従って、錠剤、丸剤、散剤、粉末剤、顆粒剤、及びカプセル剤などの固体投与形態;溶液、懸濁剤、乳剤、シロップ、及びエリキシルなどの液剤投与形態に、調合、成形乃至調製することができる。また、使用前に適当な担体の添加によって液状となし得る乾燥品として調製されてもよい。これらはいずれも常法に従い調製できる。
【0034】
本発明の医薬組成物が上記担体または添加剤とともに調製されるものである場合、当該医薬組成物に配合される食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)の割合は、特に制限されないが、通常、それぞれ約0.5〜100重量%または約0.005〜100重量%程度を挙げることができる。
【0035】
本発明の医薬組成物の投与量は、医薬組成物の目的(コレステロール再上昇抑制、コレステロール再上昇によって生じる高コレステロール状態に起因する病態や疾患の予防または改善)、当該組成物の投与方法、投与形態、投与する患者の年齢や体重または症状(高コレステロール状態の程度)等に応じて適宜選択される。一般には、食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)の投与量が1日成人一人当り、約100mg〜3000mg程度または約1mg〜30mg程度となる範囲で投与するのが好ましい。
【0036】
なお、当該投与は必ずしも1日1回である必要はなく1日3〜4回に分割して投与することも可能である。上記各種形態の医薬製剤は、その形態に応じた適切な投与経路、例えば注射剤形態においては、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、腹腔内投与等により、固剤形態の医薬製剤は、経口投与等により投与され得る。
【0037】
本発明の医薬組成物は、高コレステロール状態またはその前状態にある患者、好ましくは高コレステロール状態またはその前状態にありコレステロール低下処置を受けている患者、特にその休止期間にある患者に対して、コレステロールの再上昇を抑制する目的で用いることができる。具体的には、本発明の医薬組成物は、高コレステロール状態にある人(高コレステロール血症またはその境界域にある人、動脈硬化症またはこれから派生する病態・疾患を有する人)を対象として、コレステロール低下処置と並行して、または交互して使用されることが望ましい。ここでコレステロール低下処置には、食事療法や運動療法も含まれるが、好ましくはコレステロール低下剤の投薬処置を挙げることができる。コレステロール低下剤としては、公知または将来開発され得るものが含まれるが、例えば、公知のコレステロール低下剤として、HMG−CoA還元酵素阻害剤、好ましくはプラバスタチン、シンバスチンやフルバスチンなどのスタチン系薬剤を挙げることができる。
【0038】
本発明の医薬組成物の使用方法として、より好ましくは、高コレステロール状態にありコレステロール低下処置を受けている患者を対象として、コレステロール低下処置休止時、特にスタチン系薬剤などのコレステロール低下剤の投薬休止時に使用する方法である。かかる使用方法によれば、コレステロール低下処置休止期間におけるコレステロールの再上昇を、特段の食事制限なくして、長期間にわたって抑制することができ、その結果、長期間、血中コレステロール値を適正域に維持することができる。これにより、コレステロール低下剤の投薬頻度を低減しながらも、高コレステロール状態によって生じる病態の進行を防止することができる。また、当該薬剤による副作用発生の確率を低減することができる。
【0039】
(2-2) 食品組成物およびその用法
本発明が提供する食品組成物には、コレステロール再上昇抑制機能を付与した特定保健用食品(条件付き特定保健用食品を含む)、およびコレステロール再上昇抑制作用を有することによって高コレステロール状態に起因する病態や疾患の予防または改善のために用いられる特定保健用食品(条件付き特定保健用食品及び病者用食を含む)が含まれる。また本発明の食品組成物には、高コレステロール状態に起因する病態や疾患を有しコレステロール低下処置を受けている人、特にその休止期間にある人を対象として、コレステロールの再上昇を抑制して、上記病態や疾患を予防または改善するための特定保健用食品(条件付き特定保健用食品及び病者用食を含む)が含まれる。
【0040】
ここで高コレステロール状態に起因して生じる病態や疾患としては、前述するように、高コレステロール血症(高LDLコレステロール血症を含む)、動脈硬化症ならびに動脈硬化に派生して生じる各種の疾患を挙げることができる。ここで対象とする動脈硬化症には、アテローマ性動脈硬化症が含まれる。また動脈硬化に派生して生じる各種の疾患としては、脳梗塞や脳卒中などの脳血管疾患、心筋梗塞や狭心症などの心臓病を挙げることができる。
【0041】
上記コレステロール再上昇抑制機能を付与した特定保健用食品は、コレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含有することを特徴とするものであって、食品の包装パッケージまたは広告にその作用効果(コレステロール再上昇抑制作用)に関する記載を付することが可能な食品である。
【0042】
また高コレステロール状態に起因する病態や疾患の予防または改善のために用いられる特定保健用食品は、上記コレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含有するものであって、食品の包装パッケージまたは広告にその作用効果〔例えば高コレステロール血症(または高コレステロール状態に基づく高脂血症)に対する予防または改善作用、動脈硬化症の予防または改善作用など〕に関する記載を付することが可能な食品である。
【0043】
また高コレステロール状態に起因する病態や疾患を有しコレステロール低下処置を受けている人、特にその休止期間にある人を対象として、コレステロールの再上昇を抑制して、上記病態や疾患を予防または改善するための特定保健用食品は、上記コレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含有するものであって、食品の包装パッケージまたは広告にその適用者や作用効果〔適用者として、例えば、高コレステロール状態に起因する病態や疾患を有し、コレステロール低下処置を受けている人、またはコレステロール低下処置後の休止期間にある人など:作用効果として、例えば、コレステロール再上昇抑制作用、高コレステロール血症(または高コレステロール状態に基づく高脂血症)に対する予防または改善作用、動脈硬化症の予防または改善作用など〕に関する記載を付することが可能な食品である。
【0044】
本発明の食品組成物は、上記の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)だけからなるものでもよい。
【0045】
また、本発明の食品組成物は、食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)をコレステロール再上昇抑制作用を発揮する有効量含有するものであってもよい。この場合、上記有効成分に加えて食品として使用が可能な担体または添加剤とともに調製することができる。当該食品組成物には、上記食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を、必要に応じて食品上許容される担体や添加剤とともに、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、または溶液(ドリンク)等の形態に調製してなるサプリメントの類が含まれる。この場合、当該食品組成物に配合される食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)の割合は、特に制限されないが、通常、それぞれ約0.5〜100重量%または約0.005〜100重量%程度を挙げることができる。
【0046】
また本発明の食品組成物には、上記食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を配合した、一般の飲食物形態を有するものが含まれる。
【0047】
かかる飲食物として、例えば乳飲料、乳酸菌飲料、果汁入り清涼飲料、清涼飲料、炭酸飲料、果汁飲料、野菜飲料、野菜・果実飲料、アルコール飲料、粉末飲料、コーヒー飲料、紅茶飲料、緑茶飲料、麦茶飲料などの飲料類;カスタードプリン、ミルクプリン、スフレプリン、果汁入りプリン等のプリン類、ゼリー、ババロア及びヨーグルト等のデザート類;アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、ミルクアイスクリーム、果汁入りアイスクリーム及びソフトクリーム、アイスキャンディー、シャーベット、氷菓等の冷菓類;チューインガムや風船ガム等のガム類(板ガム、糖衣状粒ガム);マーブルチョコレート等のコーティングチョコレートの他、イチゴチョコレート、ブルーベリーチョコレート及びメロンチョコレート等の風味を付加したチョコレート等のチョコレート類;ハードキャンディー(ボンボン、バターボール、マーブル等を含む)、ソフトキャンディー(キャラメル、ヌガー、グミキャンディー、マシュマロ等を含む)、ドロップ、タフィ等のキャラメル類;ハードビスケット、クッキー、おかき、煎餅等の焼き菓子類(以上、菓子類);コンソメスープ、ポタージュスープ等のスープ類;ストロベリージャム、ブルーベリージャム、マーマレード、リンゴジャム、杏ジャム、プレザーブ等のジャム類;赤ワイン等の果実酒;シロップ漬のチェリー、アンズ、リンゴ、イチゴ、桃等の加工用果実;ハム、ソーセージ、焼き豚等の畜肉加工品;魚肉ハム、魚肉ソーセージ、魚肉すり身、蒲鉾、竹輪、はんぺん、薩摩揚げ、伊達巻き、鯨ベーコン等の水産練り製品;うどん、冷麦、そうめん、ソバ、中華そば、スパゲッティ、マカロニ、ビーフン、はるさめ及びワンタン等の麺類;その他、各種総菜及び田麩等の種々の加工食品、また、醤油やソースなどの調味料及び、ケチャップ、マヨネーズなどのドレッシング類や麺つゆ等も挙げることができる。好ましくは飲料及び菓子類である。
【0048】
上記食品組成物中に含有されるべき有効成分(食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro))の量、または摂取量は、特に限定されず、食品組成物の種類、目的とする改善効果の度合い、並びにその他の諸条件などに応じて広範囲より適宜選択される。摂取量は、食品組成物の種類によっても異なるが、体重60kgのヒトに対して1回摂取あたりの食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)の量に換算して、それぞれ約100〜3000mg/60kgまたは約1〜30mg/60kgの範囲から適宜選択することができる。
【0049】
本発明の食品組成物は、成分として配合する食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)に起因してコレステロール再上昇抑制作用を有し、コレステロールの再上昇によって生じる高コレステロール状態を改善する作用を発揮する。このため、本発明の食品組成物は、コレステロールの再上昇を抑制して、血中コレステロール値を適正域に維持するための組成物として、また高コレステロール状態に起因する各種の病態や疾患の発症や進行を予防したり、またそれを改善するための組成物として有効に使用することができる。
【0050】
本発明の食品組成物は、高コレステロール状態またはその前段階にある人に、コレステロールの再上昇を抑制する目的で用いることができる。とりわけ、本発明の食品組成物は、高コレステロール状態にあり(高コレステロール血症またはその境界域にある人、動脈硬化症またはこれから派生する病態・疾患を有する人)コレステロール低下処置を受けている人を対象として、コレステロール低下処置と並行して、またはコレステロール低下処置と交互して使用されることが望ましい。ここでコレステロール低下処置には、食事療法や運動療法も含まれるが、好ましくは医学的な措置、例えばコレステロール低下剤の投薬処置を挙げることができる。コレステロール低下剤としては、公知または将来開発され得るものが含まれる。例えば、公知のコレステロール低下剤としてはHMG−CoA還元酵素阻害剤、好ましくはプラバスタチン、シンバスチンやフルバスチンなどのスタチン系薬剤を挙げることができる。
【0051】
より好ましくは、本発明の食品組成物は、高コレステロール状態にありコレステロール低下処置を受けている人を対象として、コレステロール低下処置休止時、特にスタチン系薬剤の投薬休止時に用いられる。かかる使用方法によれば、コレステロール低下処置休止によって生じる経時的なコレステロールの再上昇を長期間にわたって抑制することができ、その結果、長期間、血中コレステロール値を適正域に維持することができる。これにより、スタチン系薬剤の投薬頻度を低減しながらも、高コレステロール状態によって生じる病態の進行を防止することができる。また、当該薬剤による副作用発生の確率を低減することができる。
【0052】
(2-3) 飼料組成物およびその用法
本発明が提供する飼料組成物には、コレステロール再上昇抑制機能を付与した飼料、およびコレステロール再上昇抑制作用を有することによって高コレステロール状態に起因する病態や疾患の予防または治療のために用いられる飼料が含まれる。当該飼料は、特に犬や猫等のペット動物の餌料として好適に用いることができる。上記コレステロール再上昇抑制機能を付与した飼料は、コレステロール再上昇を抑制する有効量の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含有することを特徴とする。また、高コレステロール状態に起因する病態や疾患の予防または治療のために用いられる飼料もまた、コレステロール再上昇を抑制する有効量の食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含有することを特徴とする。
【0053】
当該飼料組成物には、上記食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を、必要に応じて飼料に配合可能な担体や添加剤とともに、錠剤、丸剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、粉末剤、または溶液等の形態に調製してなるもののほか、上記食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を配合した一般の飼料形態のものが含まれる。
【0054】
飼料組成物中に配合される有効成分(食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro))の量、または摂取量は、特に限定されず、飼料組成物の種類、飼料を摂取する動物の種類や、目的とする改善効果やその度合い、並びにその他の諸条件などに応じて広範囲より適宜選択される。摂取量は、飼料組成物の種類によっても異なるが、体重10kgの動物に対して1回摂取あたりの食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)の量に換算して、それぞれ約50〜1000mg/10kgまたは約0.5〜10mg/10kgの範囲から適宜選択することができる。
【0055】
本発明の飼料組成物は、高コレステロール状態またはその前段階にある動物に、コレステロールの再上昇を抑制する目的で用いることができる。とりわけ、本発明の飼料組成物は、高コレステロール状態にある動物を対象として、コレステロール低下処置と並行して、または交互して使用されることが望ましい。ここでコレステロール低下処置には、食事療法や運動療法も含まれるが、好ましくは医学的な措置、例えばコレステロール低下剤の投薬処置を挙げることができる。より好ましくは、本発明の飼料組成物は、高コレステロール状態にある動物を対象として、コレステロール低下処置休止時に用いられる。かかる使用方法によれば、コレステロール低下処置休止によって生じる経時的なコレステロールの再上昇を長期間にわたって抑制することができ、その結果、長期間、血中コレステロール値を適正域に維持することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物またはペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を有効成分として含むことによってコレステロール再上昇抑制作用を有する、医薬組成物、食品組成物、飼料組成物を提供することができる。これらの組成物は、コレステロール再上昇抑制作用に基づいて、高コレステロール状態またはその前段階にある患者、特にコレステロール低下処置を受けている患者について、その休止期間のコレステロールの再上昇を抑制し、適正域に維持する作用を有する。このため、本発明の組成物は、高コレステロール状態に起因して生じる病態や疾患、具体的には高コレステロール血症、動脈硬化症または動脈硬化症に派生して生じる各種の病態および疾患の予防または治療のために有効に用いることができる。
【実施例】
【0057】
以下、本発明を調製例及び実験例によって更に詳細に説明する。但し、これらの実験例は本発明を何ら限定するものではない。なお、下記の実験例において、特に言及しない限り、%は重量%を意味するものとする。
【0058】
調製例1 グロビン蛋白加水分解物の製造
以下にウシ赤血球を用いたグロビン蛋白加水分解物の製法の詳細を示す。
【0059】
新鮮なウシ赤血球100kg に水250リットルを加えて充分溶血させ、リン酸を加えてpHを2.8に調整した後、アスペルギルス・ニガーの酸性プロテアーゼ2.6×107単位を添加し、50℃で3時間反応させた。
【0060】
反応後、反応液を80℃で30分間加熱して反応を停止させた後、水酸化カルシウムの水懸濁液を加えてpHを6.5に調整し、硅藻土10kgを加え、フィルタープレスを用いて濾過し、得られた濾液を噴霧乾燥して、グロビン蛋白加水分解物の粉末23kgを得た。得られたグロビン蛋白加水分解物の分子量分布を、ゲル濾過クロマトグラフィーを用いて調べた。当該クロマトグラフィーは以下の条件で実施した。
【0061】
<ゲル濾過クロマトグラフィー>
装置 :高速液体クロマトグラフ ((株) 島津製作所,LC-6A型)
カラム :PolyHYDROXYETHYL A, 5μm, 9.4×200mm, PolyC Inc製
溶出溶媒:50mMギ酸
流速 :0.5ml/分
検出 :紫外吸収 221nm
上記ゲル濾過クロマトグラフィー法によるグロビン蛋白加水分解物のゲル濾過クロマトグラムを図1に示す。
【0062】
調製例2 カゼイン加水分解物の製造
以下にカゼインを用いたカゼイン加水分解物の製法の詳細を示す。
【0063】
カゼイン500kg に水5500リットルを加え、水酸化カルシウム溶液を添加し、充分溶解させ、pHを8.0から8.5とした後、アルカリ性プロテアーゼを添加し、60℃で3時間反応させた。
【0064】
反応後、反応液を80℃で30分間加熱して反応を停止させた後、硅藻土を加え、フィルタープレスを用いて濾過し、得られた濾液を噴霧乾燥して、カゼイン蛋白加水分解物の粉末450kgを得た。
【0065】
調製例3 コレステロール再上昇抑制ペプチドの分画・精製
本発明のペプチドは、以下の(1)イオン交換、 (2)限外濾過、(3)酸性下における逆相カラムクロマトグラフィーによる分離、及び (4)中性下における逆相クロマトグラフィーによる分離という手順を経ることにより得られた。
【0066】
(1) イオン交換
調製例1で得られたグロビン蛋白加水分解物13.7gの10重量%水溶液を、弱酸性陽イオン交換樹脂(アンバーライトIRC50、H+ 型、 オルガノ (株))に加え、1時間撹拌して吸着させた後、未吸着画分を得た。
【0067】
(2) 限外濾過
上記イオン交換処理により得られた未吸着画分について、撹拌型限外濾過装置 (アドバンテック (株) 製、UHP 90K) 及び限外濾過膜 (アドバンテック (株) 製、UIIH-1、分画分子量1000) を用いて限外濾過を行い、限外濾過膜上に残った液(残液)を採取した。得られた画分は、酸加水分解した後ニンヒドリン法を行うことにより定量した。酸加水分解は、蛋白量3〜5mgに対して、最終濃度6N 塩酸1mlを試験管に入れ、常圧下にて封管し、110℃で22時間加熱することにより行った。また、ニンヒドリン法は次のようにして行った。すなわち、加水分解後の検体を水酸化ナトリウムによりpH5.0に調整し、0.2Mクエン酸緩衝液 (pH5.0)を含有したニンヒドリン試薬を用いて 100℃で15分間反応させ、570nmにおける吸光度を測定した。別に、標準溶液としてL-ロイシン水溶液 (0.75, 150, 225, 300nmol/ml) についてニンヒドリン反応を行い、得られた吸光度から検量線を求め、検体のL-ロイシン相当アミノ基量を算出した。定量した結果を表1に示す。また、原料として用いたグロビン蛋白加水分解物に対する収率を併せて表1に示す。
【0068】
(3) 逆相 (酸性) クロマトグラフィー
上記限外濾過で得られた残液について、以下の条件で逆相 (酸性) クロマトグラフィーを行った。
【0069】
<逆相 (酸性) クロマトグラフィー>
装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作所,LC-10A 型)
カラム :SuperPac Pep-S, 15μm, 22.5×250mm, ファルマシア (株) 製
溶出溶媒:0.1%トリフルオロ酢酸含有アセトニトリル水溶液
グラジエント:アセトニトリル濃度2%から35%まで直線的濃度勾配
アセトニトリル濃度変化1%/分
流速 :5ml/分
温度 :40℃
検出 :紫外吸収 220nm
分取時間:53.8〜54.5分(画分A)。
上記逆相 (酸性) クロマトグラフィーによるクロマトグラムを図2に示す。
【0070】
得られた画分は、酸加水分解した後アミノ酸分析を行うことにより定量した。酸加水分解は、蛋白量3〜5mgに対して、最終濃度6N 塩酸1mlを試験管に入れ、減圧下にて封管し、110℃で22時間加熱することにより行った。また、アミノ酸分析は以下の条件で次のようにして行った。
【0071】
<アミノ酸分析>
装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作所、LC-6A型)
カラム :Shim-pack ISC-07/S1504 Na、7μm, 4.0×150mm, (株) 島津製作所製
溶出溶媒:島津製作所 (株) 製アミノ酸移動相キット (Na型)
流速 :0.3 ml/分
温度 :55℃
反応液1:島津製作所 (株) 製分析キットOPA 試薬
検出 :蛍光吸収 (Ex 348nm, Em 450nm)。
【0072】
酸加水分解した溶液をロータリーエバポレーターにより濃縮乾固し、さらに減圧下で12時間以上乾燥させ、完全に塩酸を除去した。次に、各アミノ酸含量が100 nmol/ml程度となるように0.2Mクエン酸緩衝液 (pH2.20) に溶解し、0.45μmフィルター濾液を10μl 注入した。一方、標準溶液としては、アミノ酸混合標準液18成分 H型 (和光純薬工業 (株) ) を0.2Mクエン酸緩衝液 (pH2.20) により25倍希釈後、10μl 注入した (各アミノ酸1nmol/10μl ) 。アミノ酸のピーク面積算出をクロマトパックC-R4A( (株) 島津製作所製) により解析し、標準溶液とのピーク面積比によりアミノ酸量を算出した。結果を表1に示す。また、グロビン蛋白加水分解物に対する収率を併せて表1に示す。
【0073】
(4) 逆相 (中性) クロマトグラフィー
上記逆相 (酸性) クロマトグラフィーで溶出し、分取した画分について、さらに以下の条件で逆相 (中性) クロマトグラフィーを行った。
【0074】
<逆相 (中性) クロマトグラフィー>
装置 :高速液体クロマトグラフ ( (株) 島津製作所, LC-10A型)
カラム :SuperPac Pep-S, 15μm, 22.5×250mm, ファルマシア (株) 製
溶出溶媒:20mM酢酸アンモニウム緩衝液 (pH6.5)含有アセトニトリル水溶液
グラジエント:アセトニトリル濃度0%〜25%まで直線的濃度勾配
アセトニトリル濃度変化 0.5%/分
流速 :5ml/分
温度 :40℃
検出 :紫外吸収 220nm
分取時間:41.7分〜43.2分(画分B)、45.8分〜51.0分 (画分C)。
【0075】
上記逆相 (中性) クロマトグラフィーによるクロマトグラムを図3に示す。
得られた画分は、上記(3) と同様にして定量するとともに、さらに同定を行った。アミノ酸組成は、得られたアミノ酸含量の合計に対する各アミノ酸量の比率により算出した。その結果、画分BはVTL(Val-Thr-Leu)、画分CはVVYP(Val-Val-Tyr-Pro)であることが分かった。これらをヘモグロビンのアミノ酸配列と照合したところ、いずれの配列も存在することが確認された。定量した結果は、グロビン蛋白加水分解物に対する収率と併せて表1に示す。
【0076】
【表1】

【0077】
実験例1 コレステロール再上昇抑制効果
スタチン系薬剤の低コレステロール効果は劇的であるが、その一方でかなりの副作用が報告されている。従って、スタチン系薬剤を長期間使用するのではなく、スタチン系薬剤の投薬でコレステロール値を適正なレベルまで低下させれば、速やかに休薬し、以後は食事療法で低下したコレステロールレベルを維持することが望ましい。しかしながら、食事療法を徹底することは患者にとって苦痛であり、大半は守ることができずに途中で挫折してしまうのが普通である。また、Quality of Life(QOL)の面からも食事にあまり制限を課すことは好ましくない。
【0078】
本実験では、高コレステロール状態にある患者6名を対象として、本発明のグロビン蛋白加水分解物のコレステロール再上昇抑制効果、特にスタチン系薬剤の休薬期間におけるコレステロール再上昇抑制効果を調べた。
【0079】
具体的には、上記患者に対して、プラバスタチンの投与(4週間)を休止した後、調製例1で得られたグロビン蛋白加水分解物を含む清涼飲料水(実施例1(1)参照)を1日2回(1日のグロビン蛋白加水分解物の摂取量 2g)42日間にわたって、摂取させた(なお、この期間中、スタチン系薬剤の投薬は一切休止し、またなんら食事制限を行わなかった)。
【0080】
プラバスタチンの休薬直後、休薬後14日目、および休薬後42日目に、血液を採取し、血清中の総コレステロール及びHDLコレステロールを測定した。これらの実験結果を図4及び5に示す。なお、各点は患者6名の平均値である。
【0081】
これらの図からわかるように、プラバスタチンの休薬後、総コレステロール値の再上昇が見られ、投与前のレベルに戻った(リバウンド現象が認められた)。一方、プラバスタチンの休薬後、グロビン蛋白加水分解物を摂取していた群では、食事制限をしなくても、総コレステロール値は上昇せずに適正域(220mg/dl付近)を維持していた。また、善玉コレステロールであるHDL-コレステロール値は上昇する傾向が認められた。
【0082】
このことから、本発明のグロビン蛋白加水分解物にはコレステロールの再上昇を抑制する作用があることがわかる。特に本発明のグロビン蛋白加水分解物は、スタチン系薬剤投与後、休薬期間中に使用されることにより、食事制限をすることなく、長期間にわたってコレステロールの再上昇を抑制する効果を発揮する。このことから、本発明のグロビン蛋白加水分解物によれば、普通の食生活をしてQOLを維持しながら、スタチン系薬剤投与の休薬期間を延長することができ、その結果、薬害発生を低下することができる。
【0083】
実験例2 安全性試験
雌雄のICR系マウスに、調製例1で調製したグロビン蛋白加水分解物を10g/kg体重以上(投与可能最大量)経口投与したが、死亡例はなかった。このことから、当該加水分解物の安全性が確認された。
【0084】
実施例1 食用蛋白加水分解物、特にグロビン蛋白加水分解物を含む食品の調製
(1) 清涼飲料水の調製
下記の処方配合に従って清涼飲料水を調製した。
【0085】
<清涼飲料水処方>
還元麦芽糖水飴 5g
エリスリトール 5g
グロビン蛋白加水分解物 2g
酸味料 0.2g
保存料 0.01g
香料 微量
精製水 適量
合計 100 ml。
【0086】
約800リットルの精製水に還元麦芽糖水飴50 kg及びエリスリトール50 kgを溶解し、次にグロビン蛋白加水分解物20 kg、酸味料2 kg、保存料0.1 kgを順次添加し、完全に溶解させた後、精製水を加えて全量1000リットルとし、清涼飲料水とした。
【0087】
(2) チョコレートの調製
100gのチョコレートに、調製例2で調製したカゼイン加水分解物を1.5 g添加して、高コレステロール再上昇抑制機能を有するチョコレートを調製した。
【0088】
(3) 緑茶飲料の調製
緑茶8 kgを80 ℃の熱水300 Lに入れ、同温度で4分間抽出を行った。得られた抽出液を冷却後、遠心分離し、清澄な上清を採取してこれを緑茶抽出物とした。この抽出液にビタミンCを0.4 kg配合し、さらに調製例1で調製したグロビン蛋白加水分解物を10 kg添加して、熱水で最終容量が1000 Lになるように調整した。これを85℃以上に加熱し、金属缶に充填して、レトルト殺菌(125℃、5分)して緑茶飲料とした。
【0089】
(4) チューインガムの調製
下記の処方配合に従ってチューインガムを調製した。
【0090】
<チューインガム処方>
ガムベース 30重量部
砂糖 29重量部
コーンシロップ 10重量部
グリセリン 1重量部
グロビン蛋白加水分解物 30重量部
合 計 100重量部。
【0091】
まず、ガムベース、砂糖、コーンシロップ、及びグリセリンを混合し、調製例1で調製したグロビン蛋白加水分解物を添加し、ミキサーで50℃に保温下、均一に混錬した。冷却後、ローラーにより圧展成形し、1枚あたり有効成分としてグロビン蛋白加水分解物を300 mgの割合で含む板状のチューインガムを調製した。
【0092】
(5) サプリメント
下記の成分を、常法により練合及び造粒し、乾燥後打錠して、1錠(310 mg)中有効成分としてグロビン蛋白加水分解物を約65重量%(200 mg)の割合で含む錠剤を得た。当該錠剤は、グロビン蛋白加水分解物のコレステロール再上昇抑制作用を有するサプリメントとして提供することができる。
<処方> 1錠あたり
グロビン蛋白加水分解物(調製例1) 200mg
乳糖 100mg
ショ糖脂肪酸エステル 10mg
合 計 310mg。
【0093】
(6) 飼料
ビタミン、ミネラル等が配合されたプレミックスに、実施例1で調製したグロビン蛋白加水分解物を10 重量%の割合で配合して、これを市販の犬用飼料に10重量%の割合で添加し、コレステロール再上昇抑制作用を有するドッグフードを調製した。
【0094】
実施例2 ペプチド(Val-Val-Tyr-Pro)を含む食品の調製
(1) サプリメント
下記の成分を、常法により練合及び造粒し、乾燥後打錠して、1錠(200mg)中有効成分としてVal-Val-Tyr-Proを1重量%(2mg)の割合で含む錠剤を得た。当該錠剤は、Val-Val-Tyr-Proのコレステロール再上昇抑制作用を有するサプリメントとして提供することができる。
【0095】
<処方> 1錠あたり
Val-Val-Tyr-Pro 2mg
ソルビトール 188mg
ショ糖脂肪酸エステル 10mg
合 計 200mg。
【0096】
(2) 飼料
ビタミン、ミネラル等が配合されたプレミックスに、調製例3で調製したVal-Val-Tyr-Proのアミノ酸配列からなるペプチドを0.1 重量%の割合で配合して、これを市販の犬用飼料に10重量%の割合で添加し、コレステロール再上昇抑制作用を有するドッグフードを調製した。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【図1】グロビン蛋白加水分解物のゲル濾過クロマトグラムである(調製例1)。
【図2】調製例3(3)において行った逆相(酸性)クロマトグラフィーの結果(クロマトグラム)を示す。
【図3】、調製例3(4)において行った逆相(中性)クロマトグラフィーの結果(クロマトグラム)を示す。
【図4】図4は、プラバスタチンの投与休止後、無処置の場合(−●−)とグロビン蛋白加水分解物を投与した場合(−○−)の血清総コレステロール値の推移を比較したものである(実験例1)。なお、図中、------は、正常総コレステロール値の上限を意味する。
【図5】プラバスタチンの投与休止後の、グロビン蛋白加水分解物投与のHDL-コレステロールに及ぼす影響を示す(実験例1)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食用蛋白加水分解物を有効成分とするコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項2】
グロビン蛋白加水分解物またはVal-Val-Tyr-Proからなるペプチドを有効成分とするコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項3】
高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者のコレステロールの再上昇を抑制するために用いられる、請求項1または2記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項4】
高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者に対するコレステロール低下処置と並行または交互に用いられる、請求項1乃至3のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項5】
高コレステロール状態またはその前段階にある患者を対象として、当該患者に対するコレステロール低下処置の休止期間に用いられる、請求項1乃至4のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項6】
コレステロール低下処置がスタチン系薬剤の投与である請求項4または5記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項7】
血中の総コレステロール値を正常域に維持するための組成物である、請求項1乃至6のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項8】
高コレステロール状態またはその前段階にある冠動脈疾患患者を対象として、血中の総コレステロール値を抗コレステロール剤の投与を必要としない領域に維持するための組成物である、請求項1乃至6のいずれかに記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項9】
組成物が食品、医薬品または飼料である、請求項1乃至8のいずれかに記載するコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項10】
包装または容器にコレステロール再上昇抑制効果またはそれに派生して得られる効果を表示してなる食品である、請求項9記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項11】
高コレステロール状態またはその前段階にありコレステロール低下処置を受けている人を対象として、当該人のコレステロール低下処置後の休止期間中のコレステロールの再上昇を抑制するために用いられる食品である、請求項9又は10に記載のコレステロール再上昇抑制用組成物。
【請求項12】
請求項1または2の組成物を有効成分とする、高コレステロール状態に起因する病態または疾患の予防または改善用組成物。
【請求項13】
高コレステロール状態に起因する病態または疾患が、高コレステロール血症、動脈硬化症、およびこれに派生して生じる病態または疾患である請求項12記載の組成物。
【請求項14】
組成物が食品、医薬品または飼料である、請求項12または13に記載する組成物。
【請求項15】
包装または容器に高コレステロール状態に起因する病態または疾患の予防または改善効果を表示してなる食品である、請求項14記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−137816(P2007−137816A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333288(P2005−333288)
【出願日】平成17年11月17日(2005.11.17)
【出願人】(503075046)エムジーファーマ株式会社 (5)
【Fターム(参考)】