コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造
【課題】本発明は、鋼管柱の局部座屈を抑制しつつ、断熱材の被覆厚を薄くすることができるコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造を得ることを目的とする。
【解決手段】コンクリート充填鋼管柱10の耐火補強構造20は、鋼管柱12と、鋼管柱12内に充填された充填コンクリート14と、鋼管柱12の外側面12Sに設けられた縦補剛リブ22と、縦補剛リブ22に隣接して配置され、鋼管柱12の外側面12Sを被覆する断熱材24と、断熱材24を間に置いて鋼管柱12の外側面12Sと対向すると共に、縦補剛リブ22及び断熱材24の少なくとも一方に支持された仕上げ材26を備えている。
【解決手段】コンクリート充填鋼管柱10の耐火補強構造20は、鋼管柱12と、鋼管柱12内に充填された充填コンクリート14と、鋼管柱12の外側面12Sに設けられた縦補剛リブ22と、縦補剛リブ22に隣接して配置され、鋼管柱12の外側面12Sを被覆する断熱材24と、断熱材24を間に置いて鋼管柱12の外側面12Sと対向すると共に、縦補剛リブ22及び断熱材24の少なくとも一方に支持された仕上げ材26を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吹付けロックウールによって鉄骨柱を被覆する鉄骨柱の耐火被覆構造が知られている。また、耐火シートによって鉄骨柱を被覆する鉄骨柱の耐火被覆構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、鋼管柱内にコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管(CFT(Concrete Filled Steel Tube))柱が知られている。CFT柱では、一般に、中空の鋼管柱と比較して負担可能な軸力が大きく、またコンクリートが充填されている分、熱容量が増加するため、耐火性能に優れている。そのため、設計条件(例えば、柱の負担軸力が比較的小さく火災継続時間が短い場合など)によっては、CFT柱の耐火被覆を省略することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−265605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンクリート充填鋼管柱では、火災時の温度上昇に伴って鋼管柱に局部座屈が発生し易くなる。鋼管柱に局部座屈が発生すると、コンクリート充填鋼管柱の軸方向変位が急激に進展して崩壊に至る可能性がある。
【0006】
この対策として、前述した吹付けロックウールや耐火シートで鋼管柱を耐火被覆し、鋼管柱の温度上昇を抑制することが考えられる。
【0007】
しかしながら、鋼管柱の温度上昇を充分に抑制するためには、吹付けロックウール等の耐火被覆の厚みが増えて、コストがかかる。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、鋼管柱の局部座屈を抑制しつつ、断熱材の被覆厚を薄くすることができるコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、鋼管柱と、前記鋼管柱内に充填された充填コンクリートと、前記鋼管柱の外側面に設けられた補剛リブと、前記補剛リブに隣接して配置され、前記鋼管柱の外側面を被覆する断熱材と、を備えている。
【0010】
請求項1に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、鋼管柱の外側面に補剛リブが設けられている。この補剛リブによって鋼管柱の側壁に面外剛性を付与することにより、火災時の温度上昇に伴う鋼管柱の側壁の局部座屈が抑制される。従って、補剛リブを備えない構成と比較して、鋼管柱の外側面を被覆する断熱材の被覆厚を薄くすることができる。
【0011】
また、補剛リブに隣接して断熱材を設けたことにより、断熱材の熱吸収容量によって補剛リブの温度上昇が抑制される。これにより、鋼管柱の側壁に対する補剛リブの補剛効果、即ち、鋼管柱の側壁の局部座屈の抑制効果が長期化される。従って、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が向上する。
【0012】
請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記断熱材が、前記補剛リブの側面を被覆する。
【0013】
請求項2に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、断熱材によって補剛リブの側面を被覆したことにより、火災時の補剛リブの温度上昇が更に抑制される。これにより、鋼管柱の側壁に対する補剛リブの補剛効果、即ち、鋼管柱の側壁の局部座屈の抑制効果が長期化される。従って、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が更に向上する。
【0014】
請求項3に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記断熱材を間に置いて前記鋼管柱の外側面と対向すると共に、前記補剛リブ及び前記断熱材の少なくとも一方に支持された仕上げ材を備えている。
【0015】
請求項3に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、補剛リブ及び断熱材の少なくとも一方で仕上げ材を支持することにより、例えば、図15に示される従来の仕上げ構造120のように、コンクリート充填鋼管柱10から外側へ離れた位置に立てられた軽鉄スタッド124で仕上げ材126を支持する構成と比較して、仕上げ材を含めた柱の水平断面積を小さくすることができる。従って、室内スペースを広げることができる。更に、コンクリート充填鋼管柱10の周りに軽鉄スタッド124を立てる作業が不要になるため、従来の仕上げ構造120と比較して施工性が向上する。
【0016】
また、仕上げ材によって断熱材を覆うことにより、断熱材が火災に直接曝されないため、断熱材の消失等が抑制される。これにより、仕上げ材を備えない構成と比較して、断熱材の断熱効果が長期的されるため、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が更に向上する。
【0017】
請求項4に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記補剛リブが、前記鋼管柱の周方向に沿って配置されると共に該鋼管柱の軸方向に間隔を空けて複数設けられ、前記断熱材が、前記鋼管柱の軸方向に隣接する前記補剛リブの間に設けられている。
【0018】
請求項4に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、補剛リブが鋼管柱の周方向(柱周方向)に沿って配置されている。これにより、鋼管柱の側壁に曲げ剛性を付与せずに、若しくはその付与量を小さく抑えつつ、当該側壁に面外剛性を付与することができる。つまり、補剛リブ付近で鋼管柱の曲げ剛性を急激に変化させずに、鋼管柱に面外剛性を付与することができる。従って、曲げ剛性の急激な変化に伴う応力集中が低減されるため、鋼管柱の補剛リブ付近での局部座屈が抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記の構成としたので、鋼管柱の局部座屈を抑制しつつ、断熱材の被覆厚を薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す立面図である。
【図2】(A)は図1の2A−2A線断面図であり、(B)は本発明の第1実施形態における断熱材及び仕上げ材の取付方法を説明する説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるコンクリート充填鋼管柱の応力状態を示す縦断面図である。
【図4】(A)は図2(A)の一部を示す断面図であり、(B)は本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図であり、(C)は比較例に係るコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図である。
【図5】一般的なコンクリート充填鋼管柱と梁で構成された架構を示す立面図であり、(A)は火災前の状態を示し、(B)は火災後の状態を示している。
【図6】一般的なコンクリート充填鋼管柱の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルを示すモデル図であり、(A)は水平力を載荷する前の状態を示し、(B)は水平力が載荷された際のコンクリート充填鋼管柱の変形状態、及び応力状態を示し、(C)はコンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管柱に局部座屈が発生した状態を示している。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す立面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図8に相当する断面図である。
【図10】(A)は図8の10−10線断面図であり、(B)は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図10(A)に相当する断面図である。
【図11】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図10(A)に相当する断面図である。
【図12】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図であり、(A)は図14(B)の14A−14A線断面図であり、(B)は図14(A)の14B−14B断面図である。
【図15】従来のコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造を示す図2(A)に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Xは鋼管柱の幅方向(柱幅方向)を示し、矢印Yは矢印X方向と直交する鋼管柱の他の幅方向(柱幅方向)を示し、矢印Zは鋼管柱の軸方向(柱軸方向、上下方向)を示している。
【0022】
先ず、第1実施形態について説明する。
【0023】
図1には、一例として、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造(以下、単に「耐火補強構造」という)20が適用されたコンクリート充填鋼管柱10が示されている。コンクリート充填鋼管柱10は、鋼管柱12と、鋼管柱12内に充填される充填コンクリート14(図2(A)参照)とを備えている。鋼管柱12は角形鋼管で構成されており、水平部材としての鉄骨梁16が接合される上下の鋼管仕口部12Aと、これらの鋼管仕口部12Aの間に延びる鋼管本体部12Bとを有している。この鋼管本体部12Bに、本実施形態に係る耐火補強構造20が適用されている。
【0024】
鉄骨梁16はH形鋼で構成され、上下一対のフランジ部16Aとフランジ部16Aを繋ぐウェブ部16Bを有し、その端部が鋼管仕口部12Aの外側面に突き当てられて溶接等によって接合されている。一方、鋼管仕口部12Aの内側面には、上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。各内ダイアフラム18は、鉄骨梁16のフランジ部16Aと連続するように設けられており、この内ダイアフラム18によって鋼管仕口部12Aが補強されている。また、各内ダイアフラム18の中央部には充填孔18A(図3参照)が形成されており、これらの充填孔18Aを通して鋼管柱12内に充填コンクリート14が充填されるようになっている。
【0025】
ここで、鋼管本体部12Bの4つの側壁の外側面12S(図2(A)参照)には、縦補剛リブ22がそれぞれ設けられている。縦補剛リブ22は平板状の鋼板で構成されており、その軸方向を柱軸方向(矢印Z方向)にして配置され、鋼管本体部12Bの略全長(柱軸方向の略全長)に渡って設けられている。即ち、縦補剛リブ22は、鋼管本体部12Bにおける軸方向端部としての鋼管上端部(柱頭部)12BUと鋼管下端部(柱脚部)12BLとに渡って設けられている。各縦補剛リブ22は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、幅方向一端部22A(長手方向に沿った一端部側の端面)が鋼管本体部12Bの外側面12Sの柱幅方向(矢印X方向又は矢印Y方向)の略中央部に突き当てられて溶接等により接合されている。これらの縦補剛リブ22によって、鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性が付与されている。
【0026】
また、鋼管本体部12Bの各外側面12Sには、複数(本実施形態では、4枚)の断熱材24が設けられている。断熱材24は、ロックウール等をシート状に成形した巻き付けタイプの断熱材で形成されており、縦補剛リブ22と鋼管柱12の周方向(柱周方向)に隣接して配置されている。各断熱材24は断面略L字形状に屈曲されると共に、その屈曲部が鋼管本体部12Bのコーナー部(角部)に合わせられ、隣接する外側面12Sにまたがって配置されている。これらの断熱材24によって鋼管本体部12Bの外側面12Sが柱軸方向の略全長に渡って被覆されている。また、各断熱材24は、柱周方向に隣接する縦補剛リブ22の側面22C間に渡って設けられている。これらの断熱材24によって、縦補剛リブ22の側面22Cが柱軸方向の略全長に渡って被覆されている。なお、断熱材24の厚さ(被覆厚)t1(図2(B)参照)は、縦補剛リブ22の幅t2と略同じとされている。なお、本実施形態では、断熱材24を4枚のL字形状に屈曲した断熱材で構成しているが、矩形に成形した8枚の断熱材、若しくはさらに分割した断熱材を用いても良い。
【0027】
鋼管本体部12Bの外周には、断熱材24を間において鋼管本体部12Bの各外側面12Sと対向する複数(本実施形態では、4枚)の仕上げ材26が設けられている。各仕上げ材26は、断面略L字形状に屈曲された薄鋼板で形成されており、その屈曲部を断熱材24の屈曲部に合わせた状態で断熱材24に重ねられている。また、柱周方向に隣接する仕上げ材26は、各々の端部同士が縦補剛リブ22の幅方向他端部22B(長手方向に沿った他端部側の端面)の上で突き合わされ、当該幅方向他端部22Bに溶接、接着剤等で接合されている。これらの仕上げ材26によって、縦補剛リブ22及び断熱材24が略全長(柱軸方向の略全長)に渡って被覆されている。
【0028】
なお、仕上げ材26は、断熱材24にピンや接着剤等やで固定しても良い。また、断熱材24もピンや接着剤で鋼管本体部12Bの外側面12Sに固定しても良い。
【0029】
次に、第1実施形態に係る作用について説明する。
【0030】
図3に示されるように、例えば、火災時に鉄骨梁16が熱膨張によって軸方向(水平方向)へ伸張すると、鋼管仕口部12Aに水平力Fが作用し、鋼管本体部12Bに曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMは、鋼管中間部12BMから鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに向って徐々に大きくなる。一方、鋼管柱12は、火災時に熱膨張によって柱軸方向(矢印Z方向)へ伸張するが、温度上昇に伴う剛性の低下によって柱軸方向への伸張は徐々に小さくなり、ある温度に達すると柱軸方向への伸張変形は止まり、収縮変形に転じる。この状態で、鉄骨梁16から鋼管仕口部12Aへ水平力Fが作用すると、前述したように鋼管中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントMが発生する鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁に局部座屈Kが発生し易くなる。特に、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLが鋼管仕口部12Aを介して鉄骨梁16に剛接合されていて、かつ、鉄骨梁16の軸方向への伸張量が大きい場合は、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに大きな曲率を伴う変形が生じる。この変形によって鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁に大きな圧縮応力度が発生すると、当該側壁が面外方向外側へ変位する(はらみ出す)局部座屈Kが生じる。
【0031】
鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに局部座屈Kが発生すると、コンクリート充填鋼管柱10の曲げ剛性は著しく低下する。コンクリート充填鋼管柱10に作用する軸力(鉛直荷重)Vが大きい場合は、局部座屈Kの発生後、曲げモーメントMによる変形が急激に進展し、局部座屈K側の充填コンクリート14に圧壊を生じる。この結果、コンクリート充填鋼管柱10は荷重支持能力を喪失し、脆性的に崩壊に至る場合がある。
【0032】
この対策として本実施形態では、鋼管本体部12Bの各外側面12Sが全長若しくは略全長に渡り縦補剛リブ22で補強されている。これらの縦補剛リブ22によって鋼管上端部12BU、鋼管中間部12BM及び鋼管下端部12BLの各側壁に面外剛性を付与することにより、当該側壁の面外方向外側への変位が抑制される。従って、前述した局部座屈Kの発生が抑制される。
【0033】
また、本実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12Sが全長若しくは略全長に渡り断熱材24で被覆されている。これにより、断熱材24の熱吸収効果によって鋼管本体部12Bの温度上昇が抑制されるため、温度上昇に伴う鋼管本体部12Bの剛性の低下が抑制される。従って、前述した局部座屈Kの発生が抑制される。
【0034】
更に、縦補剛リブ22によって局部座屈Kの発生を抑制することにより、縦補剛リブ22を備えない構成と比較して、断熱材24の厚さt1(図2(B)参照)を薄くすることができる。従って、施工性の向上、コスト削減を図ることができる。また、図4(A)に示されるように、柱周方向に隣接する縦補剛リブ22の間に断熱材24を設けたことにより、即ち、縦補剛リブ22に隣接して断熱材24を設けたことにより、縦補剛リブ22が側面22C側から加熱されることを防ぐと共に、断熱材24の熱吸収容量によって鋼管本体部12Bの温度上昇だけでなく、縦補剛リブ22の温度上昇も抑制される。この結果、温度上昇に伴う縦補剛リブ22の剛性低下が抑制される。従って、図4(C)に示される比較例のように断熱材24及び仕上げ材26を備えない構成と比較して、局部座屈Kに対する縦補剛リブ22の抑制効果が長時間にわたり保持される。なお、図4(C)に示される縦補剛リブ22は、矢印Nのように3方向から加熱される。
【0035】
特に、本実施形態では、断熱材24によって縦補剛リブ22の側面22Cを被覆したことにより、図4(A)に矢印aで示されるように、縦補剛リブ22に伝達された火災熱(矢印N)が断熱材24へ伝達される。従って、断熱材24によって縦補剛リブ22の側面22Cを被覆しない構成と比較して、縦補剛リブ22の温度上昇が抑制される。
【0036】
このように本実施形態では、断熱材24と縦補剛リブ22との相乗効果により、鋼管本体部12Bの局部座屈を抑制しつつ、断熱材24の厚さt1(図2(B)参照)を薄くすることができる。
【0037】
また、本実施形態では、鋼管本体部12Bの外周に仕上げ材26が設けられている。仕上げ材26は薄鋼板で構成されており、この仕上げ材26によって断熱材24及び縦補剛リブ22が覆われている。従って、図4(A)に示されるように、断熱材24及び縦補剛リブ22が火炎に直接曝されないため、これらの断熱材24及び縦補剛リブ22の温度上昇が抑制される。更には、矢印bで示されるように、仕上げ材26を介して火災熱(矢印N)が断熱材24に分散して伝達されるため、縦補剛リブ22の温度上昇が更に抑制される。
【0038】
ここで、図4(B)に示される変形例のように、仕上げ材26は省略可能であるが、この場合、断熱材24が火炎に直接曝されるため、断熱材24に所定の耐火性能が求められる。例えば、ロックウールであれば、耐火性を有する高耐熱ロックウール等が好ましい。これに対して仕上げ材26を備えた本実施形態では、図4(A)に示されるように、断熱材24として安価な断熱用のロックウールやグラスウール等を用いることができるため、断熱材24のコスト削減を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、仕上げ材26が縦補剛リブ22の幅方向他端部22B(図2(A)参照)に溶接等によって接合されている。即ち、縦補剛リブ22は、仕上げ材26を支持する支持部材としても機能する。これにより、図15に示されるように、吹付けロックウール122で耐火被覆されたコンクリート充填鋼管柱10の周囲に軽鉄スタッド124を立設し、これらの軽鉄スタッド124で仕上げ材126を支持する従来の仕上げ構造120と比較して、仕上げ材26を含めた柱の水平断面積を小さくすることができる。従って、室内スペースを広げることができる。更に、コンクリート充填鋼管柱10の周りに軽鉄スタッド124を立てる作業が不要になるため、従来の仕上げ構造と比較して施工性が向上する。
【0040】
更に、本実施形態は、既存のコンクリート充填鋼管柱10に対しても容易に適用することができる。例えば、竣工後の設計変更等により設計条件が変わり、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が不足する場合、具体的には、用途変更によって可燃物量が増えて火災継続時間が長くなる場合や、区画の変更によって区画面積が大きくなり、柱頭部に接合する鉄骨梁の熱膨張による伸張長さが増える場合、若しくは増築によって柱の負担軸力が大きくなる場合などでコンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が不足した場合に、後施工による耐火補強で既存のコンクリート充填鋼管柱10の耐火性能を向上させたい場合に有効な方法である。
【0041】
ここで、図5(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱100と梁102A,102Bとで構成された架構の一例が示されている。この架構内において、例えば図5(B)に示されるように火災104が発生すると、梁102Aが水平方向(矢印J方向)に伸び出すため、柱100に同図に示されるような変形が生じる。
【0042】
また、図6(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱110の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルが示されている。この実験評価モデルでは、加熱時に、図6(B)に示されるような変形状態、応力状態を示すことから、図5(B)に示される柱100の変形状態、応力状態を適切に模擬することができると言われている。そこで、図6(A)に示される実験評価モデルを用いて載荷加熱実験を行ったところ、以下に示す新たな知見が得られた。
【0043】
即ち、加熱された柱110の上端部に生じる水平変位(水平力F)が大きい場合や柱110に生じる軸力Vが大きい場合は、図6(C)に示されるように、柱110を構成する鋼管柱の上端部及び下端部に局部座屈Kが生じることが確認された。また、加熱時間が比較的短く、柱110の充填コンクリートが十分耐力を残している状態であっても、柱110は前述した鋼管柱の局部座屈Kによって荷重支持能力を喪失し、崩壊することが確認された。
【0044】
つまり、局部座屈Kに関しては以下のことが確認された。即ち、鋼管本体部12Bの幅をD(図2(A)参照)としたときに、鋼管上端部12BUにおける局部座屈Kは、その上端(鋼管仕口部12Aと鋼管本体部12Bとの境界部)から2Dまでの領域内で発生し易く、特に、上端から1Dの領域内で発生し易い。これと同様に、鋼管下端部12BLにおける局部座屈Kは、その下端(鋼管仕口部12Aと鋼管本体部12Bとの境界部)から2Dまでの領域内で発生し易く、特に、下端から1Dの領域内で発生し易い。
【0045】
本実施形態では、鋼管本体部12Bを全長にわたり縦補剛リブ22及び断熱材24で補強したが、局部座屈Kの発生を抑制する観点からすると、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに縦補剛リブ22及び断熱材24が設けられていれば良く、鋼管中間部12BMにおける縦補剛リブ22及び断熱材24は省略しても良い。この場合、鋼管上端部12BUでは、例えば、縦補剛リブ22及び断熱材24を鋼管上端部12BUの上端から鋼管中間部12BMへ向けて1D以上の範囲に設けることが好ましく、2D以上の範囲に設けることがより好ましい。これと同様に、鋼管下端部12BLでは、縦補剛リブ22及び断熱材24を鋼管下端部12BLの下端から鋼管中間部12BMへ向けて少なくとも1D以上の範囲に設けることが好ましく、2D以上の範囲に設けることがより好ましい。これにより、縦補剛リブ22及び断熱材24の材料コストを削減しつつ、鋼管上端部12BUの局部座屈Kの発生を効率的に抑制することができる。鋼管下端部12BLについても同様である。
【0046】
なお、設計条件が厳しい場合、例えば鋼管仕口部12Aに接合される鉄骨梁16の熱膨張による伸張長さが大きい場合や鋼管本体部12Bの負担する軸力が大きい場合などで、補強範囲を鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに限定した場合、剛性の極端な変化によって、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLと鋼管中間部12BMの境界面付近で局部座屈が発生し、これによって鋼管本体部12Bが破壊する可能性がある。鋼管本体部12Bの軸方向にわたる剛性の極端な変化をさけるため、縦補剛リブ22を鋼管本体部12Bの全長にわたり設置して、断熱材24を鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに設置しても良い。逆に、縦補剛リブ22は鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに設置して、断熱材24は鋼管本体部12Bの全長にわたり設置しても良い。
【0047】
なお、前述した局部座屈Kによる破壊はこれまでの実験では確認されなかった現象である。これまでの実験では、柱110の断面を小断面(例えば、300mm×300mm程度)で実施していたが、前述した局部座屈Kが確認された実験では、柱110の断面を大面積(600mm×600mm)で実施している。柱頭、柱脚に生じる曲率が同じ場合、鋼管柱の上端部及び下端部に発生する圧縮ひずみは、柱110の中立軸位置から鋼管柱までの距離に比例して大きくなる。断面が大きくなれば、鋼管柱の側壁に生じる圧縮ひずみもこれに比例して大きくなる。このため、火災によって大断面の柱(例えば、600mm×600mm以上)の上端部に大きな水平力が生じると、柱の上端部及び下端部には大きな圧縮ひずみが発生する。前述の実験では、鋼管柱に生じた圧縮ひずみが当該鋼管柱の局部座屈に対する許容圧縮ひずみを超過したために発生したものと考えられる。この圧縮ひずみは、長期軸力に起因する長期圧縮ひずみε1と、梁の伸長に伴う強制変形(水平力F)に起因する圧縮ひずみε2と、同梁の伸長に伴う付加曲げモーメントに起因する圧縮ひずみε3の和と考えることも可能である。
【0048】
なお、本実施形態のように鋼管仕口部12Aの両側に鉄骨梁16が接合された構成では、各鉄骨梁16の伸長に伴って鋼管仕口部12Aの両側に反対向きの水平力が作用するため、これらの水平力が打ち消し合う。従って、前述した圧縮ひずみε2,ε3が小さくなり易い。一方、建物の外周に配置される側柱又は隅柱のように、鋼管仕口部12Aの片側(水平方向片側)にのみ鉄骨梁16が接合される構成では、上記圧縮ひずみε2,ε3が大きくなり易い。特に、鋼管仕口部12Aの片側に接合される鉄骨梁16の梁スパンが長くなると(例えば、10m程度以上)、火災時における鉄骨梁16の伸長量が増加し、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの水平変位(強制変形)が大きくなるため(例えば、柱の部材角1/50rad程度)、上記圧縮ひずみε2,ε3が過大となる可能性がある。本実施形態は、このように鋼管仕口部12Aの片側に鉄骨梁16が接合されるコンクリート充填鋼管柱10の耐火補強に適している。
【0049】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成のものについては、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
【0050】
図7及び図8には、第2実施形態に係る耐火補強構造30が適用されたコンクリート充填鋼管柱10が示されている。第2実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12S(図8参照)に、補剛リブとしての複数(本実施形態では、3つ)の環状補剛リブ32が設けられている。これらの環状補剛リブ32は柱軸方向に間隔を空けて配置され、鋼管上端部12BU、鋼管中間部12BM、及び鋼管下端部12BLにそれぞれ設けられている。
【0051】
図8に示されるように、環状補剛リブ32は、平面視にて略矩形のリング状の鋼板で形成されており、鋼管本体部12Bの外周に柱周方向に沿って配置され、当該鋼管本体部12Bを囲んでいる。この環状補剛リブ32の内周部32Aは、鋼管本体部12Bの外側面12Sに溶接等により接合されている。この環状補剛リブ32によって、鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性が付与されている。
【0052】
また、鋼管本体部12Bの外側面12Sには、環状補剛リブ32と柱軸方向に隣接する複数の断熱材24が設けられている。断熱材24は、環状補剛リブ32の柱軸方向両側に設けられ、鋼管本体部12Bに巻き付けられている。これらの断熱材24によって、鋼管本体部12Bの外側面12Sが被覆されている。また、各断熱材24は、環状補剛リブ32の側面32Bに沿って設けられている。これらの断熱材24によって環状補剛リブ32の側面32Bが被覆されている。なお、断熱材24の厚さ(被覆厚)t1は、環状補剛リブ32の幅t3と略同じとされている。
【0053】
また、鋼管本体部12Bの外周には、断熱材24を間において鋼管本体部12Bの各外側面12Sと対向する複数(本実施形態では、4枚)の仕上げ材26が設けられている。各仕上げ材26は平板状の薄鋼板で形成されており、断熱材24及び環状補剛リブ32の上に重ねられると共に、ピン又は接着剤等により断熱材24に固定され、鋼管本体部12Bを囲んでいる。これらの仕上げ材26によって、縦補剛リブ22及び断熱材24が略全長(柱軸方向の略全長)に渡って被覆されている。
【0054】
なお、仕上げ材26は、環状補剛リブ32の外周部に溶接、接着剤等で接合しても良い。また、第1実施形態と同様に、仕上げ材26は省略可能であるが、この場合、断熱材24が火炎に直接曝されるため、断熱材24に所定の耐火性能が求められる。例えば、ロックウールであれば、耐火性を有する高耐熱ロックウール等が好ましい。これに対して仕上げ材26を備えた本実施形態では、断熱材24として安価な断熱用のロックウールやグラスウール等を用いることができるため、断熱材24のコスト削減を図ることができる。
【0055】
また、図8に示す実施形態では、環状補剛リブ32は、平面視にて略矩形のリング状の鋼板で形成されると共に鋼管本体部12Bの外周に柱周方向に沿って当該鋼管本体部12Bを囲むように配置され、その内周部32Aを鋼管本体部12Bの外側面12Sに溶接されているが、図9に示すように、環状補剛リブ32の内周部32Aに環状補剛リブ凸部32Tを設け、環状補剛リブ凸部32Tと鋼管本体部12Bの外側面12Sを溶接により接合しても良い。これにより溶接箇所が少なくなり、特に、鋼管本体部12Bのコーナー部における溶接が不要となるため、施工性が向上する。図9に示すように、コーナー部を曲げ加工して成形された角形鋼管からなる鋼管柱12の場合は特に有効である。
【0056】
なお、図9では環状補剛リブ32の一面につき環状補剛リブ凸部32Tが2箇所設けられているが、環状補剛リブ凸部32Tをさらに増やしても良いし、逆に環状補剛リブ凸部32Tを1箇所にしてもよい。環状補剛リブ凸部32Tを1箇所にする場合は、環状補剛リブ凸部32Tの幅を広げることが好ましい。
【0057】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0058】
図8及び図10(A)に示されるように、鋼管本体部12Bの外周には、柱周方向に沿って配置された複数の環状補剛リブ32が設けられており、これらの環状補剛リブ32によって鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性が付与されている。従って、鋼管本体部12Bの各側壁の局部座屈が抑制される。
【0059】
また、鋼管本体部12Bの局部座屈は、前述したように鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLにおいて発生し易いところ、本実施形態では、図7及び図10(A)に示されるように鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの外側面12Sに環状補剛リブ32がそれぞれ設けられている。従って、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の局部座屈K(図3参照)の発生が抑制される。
【0060】
また、環状補剛リブ32によって鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLを囲んだことにより、これらの鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の面外方向外側への変位に対して環状補剛リブ32がその周方向軸力で抵抗するコンファインド効果を発揮する。従って、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の局部座屈Kに対する抑制効果が向上する。
【0061】
更に、環状補剛リブ32は柱周方向に沿って配置されている。これにより、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁に曲げ剛性を付与せずに、若しくはその付与量を小さく抑えつつ、これらの側壁に面外剛性を付与することができる。つまり、環状補剛リブ32付近で鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの曲げ剛性を急激に変化させずに、これらの鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁に面外剛性を付与することができる。これにより、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLにおける環状補剛リブ32付近で曲げ剛性が急激に変化しないため、当該環状補剛リブ32付近に対する応力集中が低減される。従って、前述したように鋼管中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントM(図3参照)が発生する鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに局部座屈Kが発生し易くなる。即ち、局部座屈Kが発生する部位を鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに限定することができる。従って、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの局部座屈Kを効率的に抑制することができる。
【0062】
また、前述したように、鋼管上端部12BUでは、その上端(鋼管仕口部12Aと鋼管本体部12Bとの境界部)から2Dまでの領域内で局部座屈K(図3参照)が発生し易く、特に、上端から0.5D〜1Dの領域内で発生し易い。従って、局部座屈Kの発生を抑制する観点からすると、図10(B)に示すように、鋼管上端部12BUの上端から0.5D〜1Dの範囲、及び、鋼管下端部12BLの下端から0.5D〜1Dの範囲に環状補剛リブ32を一箇所ずつ配置する方法が最も合理的な形態である。
【0063】
なお、環状補剛リブ32は仕上げ材26の下地材としての機能も兼ねているため、下地材の効果的な配置という観点から前述の第2実施形態では、鋼管上端部12BU、鋼管中間部12BM、及び鋼管下端部12BLに各一箇所ずつ、計3枚の環状補剛リブ32を設置した。仕上げ材26を設置しない場合、あるいは、仕上げ材26の剛性が十分あり、環状補剛リブ32が上下2箇所であっても仕上げ材26の設置が可能な場合は、鋼管上端部12BUの上端から0.5D〜1Dの範囲、及び、鋼管下端部12BLの下端から0.5D〜1Dの範囲に環状補剛リブ32を一箇所ずつ配置することで、コストの削減を図ることができる。
【0064】
また、設計条件が厳しい場合、例えば柱頭部に接合する梁の熱膨張による伸張長さが大きい場合や柱の負担する軸力が大きい場合などで、環状補剛リブ32を図10(A)や図10(B)に示す方法で配置するだけでは、局部座屈Kの発生を抑制できない場合、あるいは、鋼管が薄くて細かい局部座屈Kが鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに多数発生するような場合などは、環状補剛リブ32を複数枚配置すると良い。
【0065】
効果的な配置の一例として、図11(A)では鋼管上端部12BUの上端から0.5D付近と1D付近の位置に一箇所ずつ、鋼管下端部12BLの下端から0.5D付近と1D付近の位置に一箇所ずつ環状補剛リブ32を配置した場合を示す。また、効果的な配置の他の例として、図11(B)では、鋼管上端部12BUの上端から0.5D付近と1D付近と1.5D付近の位置に一箇所ずつ、鋼管下端部12BLの下端から0.5D付近と1D付近と1.5D付近の位置に一箇所ずつ環状補剛リブ32を配置した場合を示す。
【0066】
次に、第1,第2実施形態の変形例について説明する。
【0067】
上記第1,第2実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12Sの略全面を断熱材24で被覆したがこれに限らない。断熱材24はコンクリート充填鋼管柱10に求められる耐火性能に応じて適宜設ければ良い。第1実施形態を例に具体的に説明すると、図12(A)に示されるように、平断面視にて鋼管本体部12Bの周囲に部分的に断熱材44を設け、柱周方向に隣接する断熱材44の間に隙間46を形成しても良い。また、図12(B)に示されるように、縦補剛リブ22の側面22Cと断熱材24との間に隙間46を形成しても良い。つまり、図12(B)に示される変形例では、断熱材24によって縦補剛リブ22の側面22Cが被覆されていない。このように鋼管本体部12Bの周囲に断熱材24がない隙間46を形成しても、断熱材24の熱吸収容量によって縦補剛リブ22及び鋼管本体部12Bの温度上昇を抑制することができる。第2実施形態についても同様である。
【0068】
また、上記第1,第2実施形態における縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32の形状は適宜変更可能である。縦補剛リブとしては、例えば、L形鋼、T形鋼、C形鋼、H形鋼、I形鋼等を用いることができる。また、環状補剛リブは、例えば、L形鋼、T形鋼、C形鋼、H形鋼、I形鋼等を環状に連結して構成しても良い。また、環状補剛リブ32ではなく、柱幅方向に延びる棒状の横補剛リブを鋼管本体部12Bの各外側面12Sに設けても良い。
【0069】
更に、上記第1,第2実施形態における縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32の数や配置は適宜変更可能である。第1実施形態を例に具体的に説明すると、上記第1実施形態では、図1に示されるように、縦補剛リブ22を鋼管本体部12Bの略全長(柱軸方向の略全長)に渡って設けたが、複数の縦補剛リブ22を柱軸方向に間隔を空けて設けも良い。また、図13に示される変形例のように鋼管本体部12Bの1つの外側面12Sに対して複数の縦補剛リブ22を設けても良い。更に、複数の縦補剛リブ22を略全長に渡り設けても良いし、一部は略全長にわたり設けて、残りは柱軸方向へ部分的に設けても良い。ただし、前述したように局部座屈K(図3参照)は鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに発生し易い。従って、縦補剛リブ22は鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに設けることが好ましい。また、環状補剛リブ32を複数配置する場合も、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに設けることが好ましい。
【0070】
更にまた、上記第2実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12Sに環状補剛リブ32を溶接(連続溶接)等で接合したがこれに限らない。例えば、鋼管本体部12Bの側壁に曲げ剛性が付与されないように、鋼管本体部12Bの外側面12Sに環状補剛リブ32を断続溶接で接合しても良いし、接合金物等のスペーサを介して、鋼管本体部12Bの側壁との間に隙間を空けた状態で環状補剛リブ32を接合しても良い。
【0071】
また、上記第1,第2実施形態では、断熱材24として、巻き付けタイプの断熱材を用いたがこれに限らない。断熱材としては、例えば、耐火性能を有する巻き付け系耐火被覆材、セラミックブランケット等を用いても良い。また、繊維混入けい酸カルシウム板、せっこうボード、強化せっこうボード、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等のボード系の材料を用いても良い。更に、鋼管本体部12Bの周囲に仕上げ材26を設置した後に、鋼管本体部12Bと仕上げ材26との間にモルタル等を充填して断熱層を形成しても良い。
【0072】
更に、上記第1,第2実施形態では、仕上げ材26として薄鋼板を用いたがこれに限らない。仕上げ材としては、例えば、アルミニウム板やステンレス板を用いて意匠性を向上させても良いし、逆に、安価な金属板を用いてコスト削減を図っても良い。なお、安価な金属板を用いた場合は、表面を壁紙等で仕上げ、意匠性を向上させても良い。また、仕上げ材としては、例えば、厚紙系の壁紙やプラスチック合成繊維系の材料等で形成された仕上げ材、若しくは、せっこうボードや繊維混入けい酸カルシウム板等のボード材を用いても良い。
【0073】
更には、仕上げ材の基材に金属板を用いずに、せっこうボードや繊維混入けい酸カルシウム板等のボード材を直接仕上げ材として用いても良い。若しくは、例えば図14(A)及び図14(B)に示すように帯状に加工した帯状薄鋼板26Bを環状補剛リブ32に溶接し、帯状薄鋼板26Bにせっこうボード等の仕上げボード材26Pをビス50等で接合しても良い。
【0074】
なお、図14(A)及び図14(B)では仕上げボード材26Pを1枚張りとしたが、複数枚貼り付けても良い。更には、仕上げボード材26Pに強化せっこうボード等の耐火性能に優れたボード材を用いることで耐火性能をさらに高めても良い。既存建物の無耐火被覆コンクリート充填鋼管柱(周囲に軽鉄スタッド124を立設し、これらの軽鉄スタッド124でせっこうボード等のボード材で周囲を仕上げている場合)の耐火補強として図14(A)及び図14(B)に示す方法を用いた場合は、補強前に比べ耐火性能が向上するだけでなく、仕上げ材26を含めた柱の水平断面積を小さくすることができる。また、図14(A)及び図14(B)に示される変形例では、環状補剛リブ32に帯状薄鋼板26Bを接合したが、縦補剛リブ22(図2(A)参照)に帯状薄鋼板26Bを接合しても良い。
【0075】
また、上記第1,第2実施形態では、縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32を断熱材24と仕上げ材26で被覆する、若しくは縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32を断熱材24で被覆することで、縦補剛リブ22及び環状補剛リブの温度上昇を抑制する形態としてきたが、断熱材24と仕上げ材26を省略し、縦補剛リブ22若しくは環状補剛リブ32のみとしても良い。例えば、設計条件があまり厳しくない場合、具体的には、火災継続時間が短い場合、柱頭部に接合する梁の熱膨張による伸張長さがあまり大きくない場合、柱の負担する軸力が小さい場合などは、縦補剛リブ22若しくは環状補剛リブ32のみによる補強でも局部座屈Kの発生を抑制することが可能である。
【0076】
また、上記第1,第2実施形態では、内ダイアフラム18を用いた内ダイアフラム形式のコンクリート充填鋼管柱10を例に説明したが、上記実施形態は、通しダイアフラム形式や外ダイアフラム形式のコンクリート充填鋼管柱にも適用可能である。
【0077】
更に、鋼管柱12は、断面略正方形の角形鋼管に限らず、断面長方形の角形鋼管や丸形鋼管を用いても良い。なお、断面長方形の角形鋼管では、短辺の長さが鋼管本体部の幅Dに相当し、丸形鋼管では、その直径が鋼管本体部の幅Dに相当する。また、鋼管柱の周方向(柱周方向)とは、角形鋼管のように複数の外側面12Sを備える鋼管柱12の場合は、鋼管柱12の各外側面12Sの幅方向に沿った方向(矢印X方向又は矢印Y方向)を意味し、丸形鋼管のように断面円形の外側面を備える鋼管柱の場合は、円周に沿った方向(円周方向)を意味する。
【0078】
また、鋼管柱12には、耐火被覆を施しても良い。更に、上記第1,第2実施形態では、水平部材として鉄骨梁16を例に説明したが、鉄骨梁16に替えてスラブ(例えば、RC床スラブやフラットスラブ)等でも良い。
【0079】
以上、本発明の第1,第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1,第2実施形態、及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
12 鋼管柱
12S 外側面
14 充填コンクリート
20 コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造
22 縦補剛リブ(補剛リブ)
24 断熱材
26 仕上げ材
30 コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造
32 環状補剛リブ(補剛リブ)
44 断熱材
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、吹付けロックウールによって鉄骨柱を被覆する鉄骨柱の耐火被覆構造が知られている。また、耐火シートによって鉄骨柱を被覆する鉄骨柱の耐火被覆構造が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
一方、鋼管柱内にコンクリートが充填されたコンクリート充填鋼管(CFT(Concrete Filled Steel Tube))柱が知られている。CFT柱では、一般に、中空の鋼管柱と比較して負担可能な軸力が大きく、またコンクリートが充填されている分、熱容量が増加するため、耐火性能に優れている。そのため、設計条件(例えば、柱の負担軸力が比較的小さく火災継続時間が短い場合など)によっては、CFT柱の耐火被覆を省略することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−265605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、コンクリート充填鋼管柱では、火災時の温度上昇に伴って鋼管柱に局部座屈が発生し易くなる。鋼管柱に局部座屈が発生すると、コンクリート充填鋼管柱の軸方向変位が急激に進展して崩壊に至る可能性がある。
【0006】
この対策として、前述した吹付けロックウールや耐火シートで鋼管柱を耐火被覆し、鋼管柱の温度上昇を抑制することが考えられる。
【0007】
しかしながら、鋼管柱の温度上昇を充分に抑制するためには、吹付けロックウール等の耐火被覆の厚みが増えて、コストがかかる。
【0008】
本発明は、上記の事実を考慮し、鋼管柱の局部座屈を抑制しつつ、断熱材の被覆厚を薄くすることができるコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、鋼管柱と、前記鋼管柱内に充填された充填コンクリートと、前記鋼管柱の外側面に設けられた補剛リブと、前記補剛リブに隣接して配置され、前記鋼管柱の外側面を被覆する断熱材と、を備えている。
【0010】
請求項1に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、鋼管柱の外側面に補剛リブが設けられている。この補剛リブによって鋼管柱の側壁に面外剛性を付与することにより、火災時の温度上昇に伴う鋼管柱の側壁の局部座屈が抑制される。従って、補剛リブを備えない構成と比較して、鋼管柱の外側面を被覆する断熱材の被覆厚を薄くすることができる。
【0011】
また、補剛リブに隣接して断熱材を設けたことにより、断熱材の熱吸収容量によって補剛リブの温度上昇が抑制される。これにより、鋼管柱の側壁に対する補剛リブの補剛効果、即ち、鋼管柱の側壁の局部座屈の抑制効果が長期化される。従って、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が向上する。
【0012】
請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記断熱材が、前記補剛リブの側面を被覆する。
【0013】
請求項2に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、断熱材によって補剛リブの側面を被覆したことにより、火災時の補剛リブの温度上昇が更に抑制される。これにより、鋼管柱の側壁に対する補剛リブの補剛効果、即ち、鋼管柱の側壁の局部座屈の抑制効果が長期化される。従って、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が更に向上する。
【0014】
請求項3に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記断熱材を間に置いて前記鋼管柱の外側面と対向すると共に、前記補剛リブ及び前記断熱材の少なくとも一方に支持された仕上げ材を備えている。
【0015】
請求項3に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、補剛リブ及び断熱材の少なくとも一方で仕上げ材を支持することにより、例えば、図15に示される従来の仕上げ構造120のように、コンクリート充填鋼管柱10から外側へ離れた位置に立てられた軽鉄スタッド124で仕上げ材126を支持する構成と比較して、仕上げ材を含めた柱の水平断面積を小さくすることができる。従って、室内スペースを広げることができる。更に、コンクリート充填鋼管柱10の周りに軽鉄スタッド124を立てる作業が不要になるため、従来の仕上げ構造120と比較して施工性が向上する。
【0016】
また、仕上げ材によって断熱材を覆うことにより、断熱材が火災に直接曝されないため、断熱材の消失等が抑制される。これにより、仕上げ材を備えない構成と比較して、断熱材の断熱効果が長期的されるため、コンクリート充填鋼管柱の耐火性能が更に向上する。
【0017】
請求項4に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造は、請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造において、前記補剛リブが、前記鋼管柱の周方向に沿って配置されると共に該鋼管柱の軸方向に間隔を空けて複数設けられ、前記断熱材が、前記鋼管柱の軸方向に隣接する前記補剛リブの間に設けられている。
【0018】
請求項4に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造によれば、補剛リブが鋼管柱の周方向(柱周方向)に沿って配置されている。これにより、鋼管柱の側壁に曲げ剛性を付与せずに、若しくはその付与量を小さく抑えつつ、当該側壁に面外剛性を付与することができる。つまり、補剛リブ付近で鋼管柱の曲げ剛性を急激に変化させずに、鋼管柱に面外剛性を付与することができる。従って、曲げ剛性の急激な変化に伴う応力集中が低減されるため、鋼管柱の補剛リブ付近での局部座屈が抑制される。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、上記の構成としたので、鋼管柱の局部座屈を抑制しつつ、断熱材の被覆厚を薄くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す立面図である。
【図2】(A)は図1の2A−2A線断面図であり、(B)は本発明の第1実施形態における断熱材及び仕上げ材の取付方法を説明する説明図である。
【図3】本発明の第1実施形態におけるコンクリート充填鋼管柱の応力状態を示す縦断面図である。
【図4】(A)は図2(A)の一部を示す断面図であり、(B)は本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図であり、(C)は比較例に係るコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図である。
【図5】一般的なコンクリート充填鋼管柱と梁で構成された架構を示す立面図であり、(A)は火災前の状態を示し、(B)は火災後の状態を示している。
【図6】一般的なコンクリート充填鋼管柱の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルを示すモデル図であり、(A)は水平力を載荷する前の状態を示し、(B)は水平力が載荷された際のコンクリート充填鋼管柱の変形状態、及び応力状態を示し、(C)はコンクリート充填鋼管柱を構成する鋼管柱に局部座屈が発生した状態を示している。
【図7】本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す立面図である。
【図8】図7の8−8線断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図8に相当する断面図である。
【図10】(A)は図8の10−10線断面図であり、(B)は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図10(A)に相当する断面図である。
【図11】(A)及び(B)は、本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図10(A)に相当する断面図である。
【図12】(A)及び(B)は、本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図である。
【図13】本発明の第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図4(A)に相当する断面図である。
【図14】本発明の第2実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造の変形例が適用されたコンクリート充填鋼管柱を示す図であり、(A)は図14(B)の14A−14A線断面図であり、(B)は図14(A)の14B−14B断面図である。
【図15】従来のコンクリート充填鋼管柱の仕上げ構造を示す図2(A)に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造について説明する。なお、各図において適宜示される矢印Xは鋼管柱の幅方向(柱幅方向)を示し、矢印Yは矢印X方向と直交する鋼管柱の他の幅方向(柱幅方向)を示し、矢印Zは鋼管柱の軸方向(柱軸方向、上下方向)を示している。
【0022】
先ず、第1実施形態について説明する。
【0023】
図1には、一例として、第1実施形態に係るコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造(以下、単に「耐火補強構造」という)20が適用されたコンクリート充填鋼管柱10が示されている。コンクリート充填鋼管柱10は、鋼管柱12と、鋼管柱12内に充填される充填コンクリート14(図2(A)参照)とを備えている。鋼管柱12は角形鋼管で構成されており、水平部材としての鉄骨梁16が接合される上下の鋼管仕口部12Aと、これらの鋼管仕口部12Aの間に延びる鋼管本体部12Bとを有している。この鋼管本体部12Bに、本実施形態に係る耐火補強構造20が適用されている。
【0024】
鉄骨梁16はH形鋼で構成され、上下一対のフランジ部16Aとフランジ部16Aを繋ぐウェブ部16Bを有し、その端部が鋼管仕口部12Aの外側面に突き当てられて溶接等によって接合されている。一方、鋼管仕口部12Aの内側面には、上下一対の内ダイアフラム18が設けられている。各内ダイアフラム18は、鉄骨梁16のフランジ部16Aと連続するように設けられており、この内ダイアフラム18によって鋼管仕口部12Aが補強されている。また、各内ダイアフラム18の中央部には充填孔18A(図3参照)が形成されており、これらの充填孔18Aを通して鋼管柱12内に充填コンクリート14が充填されるようになっている。
【0025】
ここで、鋼管本体部12Bの4つの側壁の外側面12S(図2(A)参照)には、縦補剛リブ22がそれぞれ設けられている。縦補剛リブ22は平板状の鋼板で構成されており、その軸方向を柱軸方向(矢印Z方向)にして配置され、鋼管本体部12Bの略全長(柱軸方向の略全長)に渡って設けられている。即ち、縦補剛リブ22は、鋼管本体部12Bにおける軸方向端部としての鋼管上端部(柱頭部)12BUと鋼管下端部(柱脚部)12BLとに渡って設けられている。各縦補剛リブ22は、図2(A)及び図2(B)に示されるように、幅方向一端部22A(長手方向に沿った一端部側の端面)が鋼管本体部12Bの外側面12Sの柱幅方向(矢印X方向又は矢印Y方向)の略中央部に突き当てられて溶接等により接合されている。これらの縦補剛リブ22によって、鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性が付与されている。
【0026】
また、鋼管本体部12Bの各外側面12Sには、複数(本実施形態では、4枚)の断熱材24が設けられている。断熱材24は、ロックウール等をシート状に成形した巻き付けタイプの断熱材で形成されており、縦補剛リブ22と鋼管柱12の周方向(柱周方向)に隣接して配置されている。各断熱材24は断面略L字形状に屈曲されると共に、その屈曲部が鋼管本体部12Bのコーナー部(角部)に合わせられ、隣接する外側面12Sにまたがって配置されている。これらの断熱材24によって鋼管本体部12Bの外側面12Sが柱軸方向の略全長に渡って被覆されている。また、各断熱材24は、柱周方向に隣接する縦補剛リブ22の側面22C間に渡って設けられている。これらの断熱材24によって、縦補剛リブ22の側面22Cが柱軸方向の略全長に渡って被覆されている。なお、断熱材24の厚さ(被覆厚)t1(図2(B)参照)は、縦補剛リブ22の幅t2と略同じとされている。なお、本実施形態では、断熱材24を4枚のL字形状に屈曲した断熱材で構成しているが、矩形に成形した8枚の断熱材、若しくはさらに分割した断熱材を用いても良い。
【0027】
鋼管本体部12Bの外周には、断熱材24を間において鋼管本体部12Bの各外側面12Sと対向する複数(本実施形態では、4枚)の仕上げ材26が設けられている。各仕上げ材26は、断面略L字形状に屈曲された薄鋼板で形成されており、その屈曲部を断熱材24の屈曲部に合わせた状態で断熱材24に重ねられている。また、柱周方向に隣接する仕上げ材26は、各々の端部同士が縦補剛リブ22の幅方向他端部22B(長手方向に沿った他端部側の端面)の上で突き合わされ、当該幅方向他端部22Bに溶接、接着剤等で接合されている。これらの仕上げ材26によって、縦補剛リブ22及び断熱材24が略全長(柱軸方向の略全長)に渡って被覆されている。
【0028】
なお、仕上げ材26は、断熱材24にピンや接着剤等やで固定しても良い。また、断熱材24もピンや接着剤で鋼管本体部12Bの外側面12Sに固定しても良い。
【0029】
次に、第1実施形態に係る作用について説明する。
【0030】
図3に示されるように、例えば、火災時に鉄骨梁16が熱膨張によって軸方向(水平方向)へ伸張すると、鋼管仕口部12Aに水平力Fが作用し、鋼管本体部12Bに曲げモーメントMが発生する。この曲げモーメントMは、鋼管中間部12BMから鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに向って徐々に大きくなる。一方、鋼管柱12は、火災時に熱膨張によって柱軸方向(矢印Z方向)へ伸張するが、温度上昇に伴う剛性の低下によって柱軸方向への伸張は徐々に小さくなり、ある温度に達すると柱軸方向への伸張変形は止まり、収縮変形に転じる。この状態で、鉄骨梁16から鋼管仕口部12Aへ水平力Fが作用すると、前述したように鋼管中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントMが発生する鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁に局部座屈Kが発生し易くなる。特に、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLが鋼管仕口部12Aを介して鉄骨梁16に剛接合されていて、かつ、鉄骨梁16の軸方向への伸張量が大きい場合は、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに大きな曲率を伴う変形が生じる。この変形によって鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの圧縮側(矢印C側)の側壁に大きな圧縮応力度が発生すると、当該側壁が面外方向外側へ変位する(はらみ出す)局部座屈Kが生じる。
【0031】
鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに局部座屈Kが発生すると、コンクリート充填鋼管柱10の曲げ剛性は著しく低下する。コンクリート充填鋼管柱10に作用する軸力(鉛直荷重)Vが大きい場合は、局部座屈Kの発生後、曲げモーメントMによる変形が急激に進展し、局部座屈K側の充填コンクリート14に圧壊を生じる。この結果、コンクリート充填鋼管柱10は荷重支持能力を喪失し、脆性的に崩壊に至る場合がある。
【0032】
この対策として本実施形態では、鋼管本体部12Bの各外側面12Sが全長若しくは略全長に渡り縦補剛リブ22で補強されている。これらの縦補剛リブ22によって鋼管上端部12BU、鋼管中間部12BM及び鋼管下端部12BLの各側壁に面外剛性を付与することにより、当該側壁の面外方向外側への変位が抑制される。従って、前述した局部座屈Kの発生が抑制される。
【0033】
また、本実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12Sが全長若しくは略全長に渡り断熱材24で被覆されている。これにより、断熱材24の熱吸収効果によって鋼管本体部12Bの温度上昇が抑制されるため、温度上昇に伴う鋼管本体部12Bの剛性の低下が抑制される。従って、前述した局部座屈Kの発生が抑制される。
【0034】
更に、縦補剛リブ22によって局部座屈Kの発生を抑制することにより、縦補剛リブ22を備えない構成と比較して、断熱材24の厚さt1(図2(B)参照)を薄くすることができる。従って、施工性の向上、コスト削減を図ることができる。また、図4(A)に示されるように、柱周方向に隣接する縦補剛リブ22の間に断熱材24を設けたことにより、即ち、縦補剛リブ22に隣接して断熱材24を設けたことにより、縦補剛リブ22が側面22C側から加熱されることを防ぐと共に、断熱材24の熱吸収容量によって鋼管本体部12Bの温度上昇だけでなく、縦補剛リブ22の温度上昇も抑制される。この結果、温度上昇に伴う縦補剛リブ22の剛性低下が抑制される。従って、図4(C)に示される比較例のように断熱材24及び仕上げ材26を備えない構成と比較して、局部座屈Kに対する縦補剛リブ22の抑制効果が長時間にわたり保持される。なお、図4(C)に示される縦補剛リブ22は、矢印Nのように3方向から加熱される。
【0035】
特に、本実施形態では、断熱材24によって縦補剛リブ22の側面22Cを被覆したことにより、図4(A)に矢印aで示されるように、縦補剛リブ22に伝達された火災熱(矢印N)が断熱材24へ伝達される。従って、断熱材24によって縦補剛リブ22の側面22Cを被覆しない構成と比較して、縦補剛リブ22の温度上昇が抑制される。
【0036】
このように本実施形態では、断熱材24と縦補剛リブ22との相乗効果により、鋼管本体部12Bの局部座屈を抑制しつつ、断熱材24の厚さt1(図2(B)参照)を薄くすることができる。
【0037】
また、本実施形態では、鋼管本体部12Bの外周に仕上げ材26が設けられている。仕上げ材26は薄鋼板で構成されており、この仕上げ材26によって断熱材24及び縦補剛リブ22が覆われている。従って、図4(A)に示されるように、断熱材24及び縦補剛リブ22が火炎に直接曝されないため、これらの断熱材24及び縦補剛リブ22の温度上昇が抑制される。更には、矢印bで示されるように、仕上げ材26を介して火災熱(矢印N)が断熱材24に分散して伝達されるため、縦補剛リブ22の温度上昇が更に抑制される。
【0038】
ここで、図4(B)に示される変形例のように、仕上げ材26は省略可能であるが、この場合、断熱材24が火炎に直接曝されるため、断熱材24に所定の耐火性能が求められる。例えば、ロックウールであれば、耐火性を有する高耐熱ロックウール等が好ましい。これに対して仕上げ材26を備えた本実施形態では、図4(A)に示されるように、断熱材24として安価な断熱用のロックウールやグラスウール等を用いることができるため、断熱材24のコスト削減を図ることができる。
【0039】
また、本実施形態では、仕上げ材26が縦補剛リブ22の幅方向他端部22B(図2(A)参照)に溶接等によって接合されている。即ち、縦補剛リブ22は、仕上げ材26を支持する支持部材としても機能する。これにより、図15に示されるように、吹付けロックウール122で耐火被覆されたコンクリート充填鋼管柱10の周囲に軽鉄スタッド124を立設し、これらの軽鉄スタッド124で仕上げ材126を支持する従来の仕上げ構造120と比較して、仕上げ材26を含めた柱の水平断面積を小さくすることができる。従って、室内スペースを広げることができる。更に、コンクリート充填鋼管柱10の周りに軽鉄スタッド124を立てる作業が不要になるため、従来の仕上げ構造と比較して施工性が向上する。
【0040】
更に、本実施形態は、既存のコンクリート充填鋼管柱10に対しても容易に適用することができる。例えば、竣工後の設計変更等により設計条件が変わり、コンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が不足する場合、具体的には、用途変更によって可燃物量が増えて火災継続時間が長くなる場合や、区画の変更によって区画面積が大きくなり、柱頭部に接合する鉄骨梁の熱膨張による伸張長さが増える場合、若しくは増築によって柱の負担軸力が大きくなる場合などでコンクリート充填鋼管柱10の耐火性能が不足した場合に、後施工による耐火補強で既存のコンクリート充填鋼管柱10の耐火性能を向上させたい場合に有効な方法である。
【0041】
ここで、図5(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱100と梁102A,102Bとで構成された架構の一例が示されている。この架構内において、例えば図5(B)に示されるように火災104が発生すると、梁102Aが水平方向(矢印J方向)に伸び出すため、柱100に同図に示されるような変形が生じる。
【0042】
また、図6(A)には、一般的なコンクリート充填鋼管柱からなる柱110の耐火性能評価に用いられる実験評価モデルが示されている。この実験評価モデルでは、加熱時に、図6(B)に示されるような変形状態、応力状態を示すことから、図5(B)に示される柱100の変形状態、応力状態を適切に模擬することができると言われている。そこで、図6(A)に示される実験評価モデルを用いて載荷加熱実験を行ったところ、以下に示す新たな知見が得られた。
【0043】
即ち、加熱された柱110の上端部に生じる水平変位(水平力F)が大きい場合や柱110に生じる軸力Vが大きい場合は、図6(C)に示されるように、柱110を構成する鋼管柱の上端部及び下端部に局部座屈Kが生じることが確認された。また、加熱時間が比較的短く、柱110の充填コンクリートが十分耐力を残している状態であっても、柱110は前述した鋼管柱の局部座屈Kによって荷重支持能力を喪失し、崩壊することが確認された。
【0044】
つまり、局部座屈Kに関しては以下のことが確認された。即ち、鋼管本体部12Bの幅をD(図2(A)参照)としたときに、鋼管上端部12BUにおける局部座屈Kは、その上端(鋼管仕口部12Aと鋼管本体部12Bとの境界部)から2Dまでの領域内で発生し易く、特に、上端から1Dの領域内で発生し易い。これと同様に、鋼管下端部12BLにおける局部座屈Kは、その下端(鋼管仕口部12Aと鋼管本体部12Bとの境界部)から2Dまでの領域内で発生し易く、特に、下端から1Dの領域内で発生し易い。
【0045】
本実施形態では、鋼管本体部12Bを全長にわたり縦補剛リブ22及び断熱材24で補強したが、局部座屈Kの発生を抑制する観点からすると、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに縦補剛リブ22及び断熱材24が設けられていれば良く、鋼管中間部12BMにおける縦補剛リブ22及び断熱材24は省略しても良い。この場合、鋼管上端部12BUでは、例えば、縦補剛リブ22及び断熱材24を鋼管上端部12BUの上端から鋼管中間部12BMへ向けて1D以上の範囲に設けることが好ましく、2D以上の範囲に設けることがより好ましい。これと同様に、鋼管下端部12BLでは、縦補剛リブ22及び断熱材24を鋼管下端部12BLの下端から鋼管中間部12BMへ向けて少なくとも1D以上の範囲に設けることが好ましく、2D以上の範囲に設けることがより好ましい。これにより、縦補剛リブ22及び断熱材24の材料コストを削減しつつ、鋼管上端部12BUの局部座屈Kの発生を効率的に抑制することができる。鋼管下端部12BLについても同様である。
【0046】
なお、設計条件が厳しい場合、例えば鋼管仕口部12Aに接合される鉄骨梁16の熱膨張による伸張長さが大きい場合や鋼管本体部12Bの負担する軸力が大きい場合などで、補強範囲を鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに限定した場合、剛性の極端な変化によって、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLと鋼管中間部12BMの境界面付近で局部座屈が発生し、これによって鋼管本体部12Bが破壊する可能性がある。鋼管本体部12Bの軸方向にわたる剛性の極端な変化をさけるため、縦補剛リブ22を鋼管本体部12Bの全長にわたり設置して、断熱材24を鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに設置しても良い。逆に、縦補剛リブ22は鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLのみに設置して、断熱材24は鋼管本体部12Bの全長にわたり設置しても良い。
【0047】
なお、前述した局部座屈Kによる破壊はこれまでの実験では確認されなかった現象である。これまでの実験では、柱110の断面を小断面(例えば、300mm×300mm程度)で実施していたが、前述した局部座屈Kが確認された実験では、柱110の断面を大面積(600mm×600mm)で実施している。柱頭、柱脚に生じる曲率が同じ場合、鋼管柱の上端部及び下端部に発生する圧縮ひずみは、柱110の中立軸位置から鋼管柱までの距離に比例して大きくなる。断面が大きくなれば、鋼管柱の側壁に生じる圧縮ひずみもこれに比例して大きくなる。このため、火災によって大断面の柱(例えば、600mm×600mm以上)の上端部に大きな水平力が生じると、柱の上端部及び下端部には大きな圧縮ひずみが発生する。前述の実験では、鋼管柱に生じた圧縮ひずみが当該鋼管柱の局部座屈に対する許容圧縮ひずみを超過したために発生したものと考えられる。この圧縮ひずみは、長期軸力に起因する長期圧縮ひずみε1と、梁の伸長に伴う強制変形(水平力F)に起因する圧縮ひずみε2と、同梁の伸長に伴う付加曲げモーメントに起因する圧縮ひずみε3の和と考えることも可能である。
【0048】
なお、本実施形態のように鋼管仕口部12Aの両側に鉄骨梁16が接合された構成では、各鉄骨梁16の伸長に伴って鋼管仕口部12Aの両側に反対向きの水平力が作用するため、これらの水平力が打ち消し合う。従って、前述した圧縮ひずみε2,ε3が小さくなり易い。一方、建物の外周に配置される側柱又は隅柱のように、鋼管仕口部12Aの片側(水平方向片側)にのみ鉄骨梁16が接合される構成では、上記圧縮ひずみε2,ε3が大きくなり易い。特に、鋼管仕口部12Aの片側に接合される鉄骨梁16の梁スパンが長くなると(例えば、10m程度以上)、火災時における鉄骨梁16の伸長量が増加し、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの水平変位(強制変形)が大きくなるため(例えば、柱の部材角1/50rad程度)、上記圧縮ひずみε2,ε3が過大となる可能性がある。本実施形態は、このように鋼管仕口部12Aの片側に鉄骨梁16が接合されるコンクリート充填鋼管柱10の耐火補強に適している。
【0049】
次に、第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と同様の構成のものについては、同符号を付すると共に適宜省略して説明する。
【0050】
図7及び図8には、第2実施形態に係る耐火補強構造30が適用されたコンクリート充填鋼管柱10が示されている。第2実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12S(図8参照)に、補剛リブとしての複数(本実施形態では、3つ)の環状補剛リブ32が設けられている。これらの環状補剛リブ32は柱軸方向に間隔を空けて配置され、鋼管上端部12BU、鋼管中間部12BM、及び鋼管下端部12BLにそれぞれ設けられている。
【0051】
図8に示されるように、環状補剛リブ32は、平面視にて略矩形のリング状の鋼板で形成されており、鋼管本体部12Bの外周に柱周方向に沿って配置され、当該鋼管本体部12Bを囲んでいる。この環状補剛リブ32の内周部32Aは、鋼管本体部12Bの外側面12Sに溶接等により接合されている。この環状補剛リブ32によって、鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性が付与されている。
【0052】
また、鋼管本体部12Bの外側面12Sには、環状補剛リブ32と柱軸方向に隣接する複数の断熱材24が設けられている。断熱材24は、環状補剛リブ32の柱軸方向両側に設けられ、鋼管本体部12Bに巻き付けられている。これらの断熱材24によって、鋼管本体部12Bの外側面12Sが被覆されている。また、各断熱材24は、環状補剛リブ32の側面32Bに沿って設けられている。これらの断熱材24によって環状補剛リブ32の側面32Bが被覆されている。なお、断熱材24の厚さ(被覆厚)t1は、環状補剛リブ32の幅t3と略同じとされている。
【0053】
また、鋼管本体部12Bの外周には、断熱材24を間において鋼管本体部12Bの各外側面12Sと対向する複数(本実施形態では、4枚)の仕上げ材26が設けられている。各仕上げ材26は平板状の薄鋼板で形成されており、断熱材24及び環状補剛リブ32の上に重ねられると共に、ピン又は接着剤等により断熱材24に固定され、鋼管本体部12Bを囲んでいる。これらの仕上げ材26によって、縦補剛リブ22及び断熱材24が略全長(柱軸方向の略全長)に渡って被覆されている。
【0054】
なお、仕上げ材26は、環状補剛リブ32の外周部に溶接、接着剤等で接合しても良い。また、第1実施形態と同様に、仕上げ材26は省略可能であるが、この場合、断熱材24が火炎に直接曝されるため、断熱材24に所定の耐火性能が求められる。例えば、ロックウールであれば、耐火性を有する高耐熱ロックウール等が好ましい。これに対して仕上げ材26を備えた本実施形態では、断熱材24として安価な断熱用のロックウールやグラスウール等を用いることができるため、断熱材24のコスト削減を図ることができる。
【0055】
また、図8に示す実施形態では、環状補剛リブ32は、平面視にて略矩形のリング状の鋼板で形成されると共に鋼管本体部12Bの外周に柱周方向に沿って当該鋼管本体部12Bを囲むように配置され、その内周部32Aを鋼管本体部12Bの外側面12Sに溶接されているが、図9に示すように、環状補剛リブ32の内周部32Aに環状補剛リブ凸部32Tを設け、環状補剛リブ凸部32Tと鋼管本体部12Bの外側面12Sを溶接により接合しても良い。これにより溶接箇所が少なくなり、特に、鋼管本体部12Bのコーナー部における溶接が不要となるため、施工性が向上する。図9に示すように、コーナー部を曲げ加工して成形された角形鋼管からなる鋼管柱12の場合は特に有効である。
【0056】
なお、図9では環状補剛リブ32の一面につき環状補剛リブ凸部32Tが2箇所設けられているが、環状補剛リブ凸部32Tをさらに増やしても良いし、逆に環状補剛リブ凸部32Tを1箇所にしてもよい。環状補剛リブ凸部32Tを1箇所にする場合は、環状補剛リブ凸部32Tの幅を広げることが好ましい。
【0057】
次に、第2実施形態の作用について説明する。
【0058】
図8及び図10(A)に示されるように、鋼管本体部12Bの外周には、柱周方向に沿って配置された複数の環状補剛リブ32が設けられており、これらの環状補剛リブ32によって鋼管本体部12Bの各側壁に面外剛性が付与されている。従って、鋼管本体部12Bの各側壁の局部座屈が抑制される。
【0059】
また、鋼管本体部12Bの局部座屈は、前述したように鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLにおいて発生し易いところ、本実施形態では、図7及び図10(A)に示されるように鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの外側面12Sに環状補剛リブ32がそれぞれ設けられている。従って、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の局部座屈K(図3参照)の発生が抑制される。
【0060】
また、環状補剛リブ32によって鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLを囲んだことにより、これらの鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の面外方向外側への変位に対して環状補剛リブ32がその周方向軸力で抵抗するコンファインド効果を発揮する。従って、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁の局部座屈Kに対する抑制効果が向上する。
【0061】
更に、環状補剛リブ32は柱周方向に沿って配置されている。これにより、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁に曲げ剛性を付与せずに、若しくはその付与量を小さく抑えつつ、これらの側壁に面外剛性を付与することができる。つまり、環状補剛リブ32付近で鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの曲げ剛性を急激に変化させずに、これらの鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの側壁に面外剛性を付与することができる。これにより、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLにおける環状補剛リブ32付近で曲げ剛性が急激に変化しないため、当該環状補剛リブ32付近に対する応力集中が低減される。従って、前述したように鋼管中間部12BMと比較して大きな曲げモーメントM(図3参照)が発生する鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに局部座屈Kが発生し易くなる。即ち、局部座屈Kが発生する部位を鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに限定することができる。従って、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLの局部座屈Kを効率的に抑制することができる。
【0062】
また、前述したように、鋼管上端部12BUでは、その上端(鋼管仕口部12Aと鋼管本体部12Bとの境界部)から2Dまでの領域内で局部座屈K(図3参照)が発生し易く、特に、上端から0.5D〜1Dの領域内で発生し易い。従って、局部座屈Kの発生を抑制する観点からすると、図10(B)に示すように、鋼管上端部12BUの上端から0.5D〜1Dの範囲、及び、鋼管下端部12BLの下端から0.5D〜1Dの範囲に環状補剛リブ32を一箇所ずつ配置する方法が最も合理的な形態である。
【0063】
なお、環状補剛リブ32は仕上げ材26の下地材としての機能も兼ねているため、下地材の効果的な配置という観点から前述の第2実施形態では、鋼管上端部12BU、鋼管中間部12BM、及び鋼管下端部12BLに各一箇所ずつ、計3枚の環状補剛リブ32を設置した。仕上げ材26を設置しない場合、あるいは、仕上げ材26の剛性が十分あり、環状補剛リブ32が上下2箇所であっても仕上げ材26の設置が可能な場合は、鋼管上端部12BUの上端から0.5D〜1Dの範囲、及び、鋼管下端部12BLの下端から0.5D〜1Dの範囲に環状補剛リブ32を一箇所ずつ配置することで、コストの削減を図ることができる。
【0064】
また、設計条件が厳しい場合、例えば柱頭部に接合する梁の熱膨張による伸張長さが大きい場合や柱の負担する軸力が大きい場合などで、環状補剛リブ32を図10(A)や図10(B)に示す方法で配置するだけでは、局部座屈Kの発生を抑制できない場合、あるいは、鋼管が薄くて細かい局部座屈Kが鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに多数発生するような場合などは、環状補剛リブ32を複数枚配置すると良い。
【0065】
効果的な配置の一例として、図11(A)では鋼管上端部12BUの上端から0.5D付近と1D付近の位置に一箇所ずつ、鋼管下端部12BLの下端から0.5D付近と1D付近の位置に一箇所ずつ環状補剛リブ32を配置した場合を示す。また、効果的な配置の他の例として、図11(B)では、鋼管上端部12BUの上端から0.5D付近と1D付近と1.5D付近の位置に一箇所ずつ、鋼管下端部12BLの下端から0.5D付近と1D付近と1.5D付近の位置に一箇所ずつ環状補剛リブ32を配置した場合を示す。
【0066】
次に、第1,第2実施形態の変形例について説明する。
【0067】
上記第1,第2実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12Sの略全面を断熱材24で被覆したがこれに限らない。断熱材24はコンクリート充填鋼管柱10に求められる耐火性能に応じて適宜設ければ良い。第1実施形態を例に具体的に説明すると、図12(A)に示されるように、平断面視にて鋼管本体部12Bの周囲に部分的に断熱材44を設け、柱周方向に隣接する断熱材44の間に隙間46を形成しても良い。また、図12(B)に示されるように、縦補剛リブ22の側面22Cと断熱材24との間に隙間46を形成しても良い。つまり、図12(B)に示される変形例では、断熱材24によって縦補剛リブ22の側面22Cが被覆されていない。このように鋼管本体部12Bの周囲に断熱材24がない隙間46を形成しても、断熱材24の熱吸収容量によって縦補剛リブ22及び鋼管本体部12Bの温度上昇を抑制することができる。第2実施形態についても同様である。
【0068】
また、上記第1,第2実施形態における縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32の形状は適宜変更可能である。縦補剛リブとしては、例えば、L形鋼、T形鋼、C形鋼、H形鋼、I形鋼等を用いることができる。また、環状補剛リブは、例えば、L形鋼、T形鋼、C形鋼、H形鋼、I形鋼等を環状に連結して構成しても良い。また、環状補剛リブ32ではなく、柱幅方向に延びる棒状の横補剛リブを鋼管本体部12Bの各外側面12Sに設けても良い。
【0069】
更に、上記第1,第2実施形態における縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32の数や配置は適宜変更可能である。第1実施形態を例に具体的に説明すると、上記第1実施形態では、図1に示されるように、縦補剛リブ22を鋼管本体部12Bの略全長(柱軸方向の略全長)に渡って設けたが、複数の縦補剛リブ22を柱軸方向に間隔を空けて設けも良い。また、図13に示される変形例のように鋼管本体部12Bの1つの外側面12Sに対して複数の縦補剛リブ22を設けても良い。更に、複数の縦補剛リブ22を略全長に渡り設けても良いし、一部は略全長にわたり設けて、残りは柱軸方向へ部分的に設けても良い。ただし、前述したように局部座屈K(図3参照)は鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに発生し易い。従って、縦補剛リブ22は鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに設けることが好ましい。また、環状補剛リブ32を複数配置する場合も、鋼管上端部12BU及び鋼管下端部12BLに設けることが好ましい。
【0070】
更にまた、上記第2実施形態では、鋼管本体部12Bの外側面12Sに環状補剛リブ32を溶接(連続溶接)等で接合したがこれに限らない。例えば、鋼管本体部12Bの側壁に曲げ剛性が付与されないように、鋼管本体部12Bの外側面12Sに環状補剛リブ32を断続溶接で接合しても良いし、接合金物等のスペーサを介して、鋼管本体部12Bの側壁との間に隙間を空けた状態で環状補剛リブ32を接合しても良い。
【0071】
また、上記第1,第2実施形態では、断熱材24として、巻き付けタイプの断熱材を用いたがこれに限らない。断熱材としては、例えば、耐火性能を有する巻き付け系耐火被覆材、セラミックブランケット等を用いても良い。また、繊維混入けい酸カルシウム板、せっこうボード、強化せっこうボード、モルタルボード、ロックウールボード、セラミックファイバーボード、PC板、ALCパネル、押し出し成形セメント板等のボード系の材料を用いても良い。更に、鋼管本体部12Bの周囲に仕上げ材26を設置した後に、鋼管本体部12Bと仕上げ材26との間にモルタル等を充填して断熱層を形成しても良い。
【0072】
更に、上記第1,第2実施形態では、仕上げ材26として薄鋼板を用いたがこれに限らない。仕上げ材としては、例えば、アルミニウム板やステンレス板を用いて意匠性を向上させても良いし、逆に、安価な金属板を用いてコスト削減を図っても良い。なお、安価な金属板を用いた場合は、表面を壁紙等で仕上げ、意匠性を向上させても良い。また、仕上げ材としては、例えば、厚紙系の壁紙やプラスチック合成繊維系の材料等で形成された仕上げ材、若しくは、せっこうボードや繊維混入けい酸カルシウム板等のボード材を用いても良い。
【0073】
更には、仕上げ材の基材に金属板を用いずに、せっこうボードや繊維混入けい酸カルシウム板等のボード材を直接仕上げ材として用いても良い。若しくは、例えば図14(A)及び図14(B)に示すように帯状に加工した帯状薄鋼板26Bを環状補剛リブ32に溶接し、帯状薄鋼板26Bにせっこうボード等の仕上げボード材26Pをビス50等で接合しても良い。
【0074】
なお、図14(A)及び図14(B)では仕上げボード材26Pを1枚張りとしたが、複数枚貼り付けても良い。更には、仕上げボード材26Pに強化せっこうボード等の耐火性能に優れたボード材を用いることで耐火性能をさらに高めても良い。既存建物の無耐火被覆コンクリート充填鋼管柱(周囲に軽鉄スタッド124を立設し、これらの軽鉄スタッド124でせっこうボード等のボード材で周囲を仕上げている場合)の耐火補強として図14(A)及び図14(B)に示す方法を用いた場合は、補強前に比べ耐火性能が向上するだけでなく、仕上げ材26を含めた柱の水平断面積を小さくすることができる。また、図14(A)及び図14(B)に示される変形例では、環状補剛リブ32に帯状薄鋼板26Bを接合したが、縦補剛リブ22(図2(A)参照)に帯状薄鋼板26Bを接合しても良い。
【0075】
また、上記第1,第2実施形態では、縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32を断熱材24と仕上げ材26で被覆する、若しくは縦補剛リブ22及び環状補剛リブ32を断熱材24で被覆することで、縦補剛リブ22及び環状補剛リブの温度上昇を抑制する形態としてきたが、断熱材24と仕上げ材26を省略し、縦補剛リブ22若しくは環状補剛リブ32のみとしても良い。例えば、設計条件があまり厳しくない場合、具体的には、火災継続時間が短い場合、柱頭部に接合する梁の熱膨張による伸張長さがあまり大きくない場合、柱の負担する軸力が小さい場合などは、縦補剛リブ22若しくは環状補剛リブ32のみによる補強でも局部座屈Kの発生を抑制することが可能である。
【0076】
また、上記第1,第2実施形態では、内ダイアフラム18を用いた内ダイアフラム形式のコンクリート充填鋼管柱10を例に説明したが、上記実施形態は、通しダイアフラム形式や外ダイアフラム形式のコンクリート充填鋼管柱にも適用可能である。
【0077】
更に、鋼管柱12は、断面略正方形の角形鋼管に限らず、断面長方形の角形鋼管や丸形鋼管を用いても良い。なお、断面長方形の角形鋼管では、短辺の長さが鋼管本体部の幅Dに相当し、丸形鋼管では、その直径が鋼管本体部の幅Dに相当する。また、鋼管柱の周方向(柱周方向)とは、角形鋼管のように複数の外側面12Sを備える鋼管柱12の場合は、鋼管柱12の各外側面12Sの幅方向に沿った方向(矢印X方向又は矢印Y方向)を意味し、丸形鋼管のように断面円形の外側面を備える鋼管柱の場合は、円周に沿った方向(円周方向)を意味する。
【0078】
また、鋼管柱12には、耐火被覆を施しても良い。更に、上記第1,第2実施形態では、水平部材として鉄骨梁16を例に説明したが、鉄骨梁16に替えてスラブ(例えば、RC床スラブやフラットスラブ)等でも良い。
【0079】
以上、本発明の第1,第2実施形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に限定されるものでなく、第1,第2実施形態、及び各種の変形例を適宜組み合わせて用いても良いし、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、種々なる態様で実施し得ることは勿論である。
【符号の説明】
【0080】
12 鋼管柱
12S 外側面
14 充填コンクリート
20 コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造
22 縦補剛リブ(補剛リブ)
24 断熱材
26 仕上げ材
30 コンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造
32 環状補剛リブ(補剛リブ)
44 断熱材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鋼管柱と、
前記鋼管柱内に充填された充填コンクリートと、
前記鋼管柱の外側面に設けられた補剛リブと、
前記補剛リブに隣接して配置され、前記鋼管柱の外側面を被覆する断熱材と、
を備えるコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項2】
前記断熱材が、前記補剛リブの側面を被覆する請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項3】
前記断熱材を間に置いて前記鋼管柱の外側面と対向すると共に、前記補剛リブ及び前記断熱材の少なくとも一方に支持された仕上げ材を備える請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項4】
前記補剛リブが、前記鋼管柱の周方向に沿って配置されると共に該鋼管柱の軸方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記断熱材が、前記鋼管柱の軸方向に隣接する前記補剛リブの間に設けられている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項1】
鋼管柱と、
前記鋼管柱内に充填された充填コンクリートと、
前記鋼管柱の外側面に設けられた補剛リブと、
前記補剛リブに隣接して配置され、前記鋼管柱の外側面を被覆する断熱材と、
を備えるコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項2】
前記断熱材が、前記補剛リブの側面を被覆する請求項1に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項3】
前記断熱材を間に置いて前記鋼管柱の外側面と対向すると共に、前記補剛リブ及び前記断熱材の少なくとも一方に支持された仕上げ材を備える請求項1又は請求項2に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【請求項4】
前記補剛リブが、前記鋼管柱の周方向に沿って配置されると共に該鋼管柱の軸方向に間隔を空けて複数設けられ、
前記断熱材が、前記鋼管柱の軸方向に隣接する前記補剛リブの間に設けられている請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のコンクリート充填鋼管柱の耐火補強構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−79553(P2013−79553A)
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−221295(P2011−221295)
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月2日(2013.5.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月5日(2011.10.5)
【出願人】(000003621)株式会社竹中工務店 (1,669)
【Fターム(参考)】
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