説明

コンクリート改質防水施工の出来形検査方法

【課題】ケイ酸化合物を主成分として含有する改質防水材によって施工したか否かを容易且つ安全に判別することができ、見上げ面,見下げ面を含む全ての面に適用可能であって、過度の掘削によってコンクリート自体の強度を犠牲にすることを回避できる、コンクリート改質防水施工の出来形検査方法を提供する。
【解決手段】
吸水性を有する略長方形状のシートに、アルカリで変色するpH指示薬が酸性を示す色を呈色した状態で含浸されてなるコンクリート改質防水施工確認用マット1を予め施工面に張り付けておき、コンクリート改質防水施工を行い、施工前後のpH指示薬の変色の有無及び/又はコンクリート改質防水施工確認用マットの重量変化を利用する出来形検査方法であって、改質防水材の使用量と施工の均一性を検査できる。併せて、施工面の一部を掘削して生じたコンクリート砕粉又は掘削孔内壁のアルカリ性を調べることで、より正確な検査が可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ケイ酸化合物を主成分として含有するコンクリートの改質防水材による施工の出来形を検査する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリートやモルタル等を長期に亘って使用すると、中性化によって内部鋼材の耐腐食性が低下したり、亀裂を生じて水漏れを惹き起こしたりする虞がある。中性化を予防し若しくは改質を行い、且つ/又は亀裂を補修する方法として、改質防水材をコンクリート等の表面に塗布又は噴霧する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
改質防水材は、通常、ケイ酸ナトリウム,ケイ酸リチウム等のケイ酸塩や水ガラス等(以下、ケイ酸化合物と称する)を主成分の一つとして含有し、水溶液又は水懸濁液として用いられる。前記ケイ酸化合物は、改質防水材の一成分として添加され又はコンクリート中に残存するカルシウムと結合してケイ酸カルシウムの不溶性塩を作り、亀裂を埋める機能を持つ。また、前記ケイ酸化合物の示すアルカリ性によってコンクリートの中性化を防止し、又は既に中性化の進んだコンクリートを再アルカリ化して改質する機能を有する。改質防水材による施工(以下、コンクリート改質防水施工と称する)を行うと、改質防水材は表面から徐々にコンクリート構造物の内部へと浸潤するから、表面から徐々に改質が進行する。
【0004】
改質防水材は一般的に無色且つ無臭であって、コンクリート改質防水施工によるコンクリートの外観等の変化を回避できるものの、前記コンクリート改質防水施工を行ったか否かを判別することが困難であり、出来形を検査する適切な方法が存在しなかった。また、施工に用いた改質防水材の量が適切か否かを知るために、改質防水材の使用量を定量する方法や用具も存在しなかった。
【0005】
改質防水材の施工確認方法ではないものの、コンクリートの中性化度を調べる方法が開示されている。
【0006】
例えば、特許文献2に記載のコンクリートの中性化測定方法は、コンクリートを穿孔する際に排出されるコンクリート粉のアルカリ性を検知してコンクリートの中性化深さを測定する方法であり、試薬の入った容器を穿孔箇所の下方に固定し、容器内に落下したコンクリート粉が変色した時の穿孔深さまたは変色した時の容器内のコンクリート粉の量からコンクリートの中性化深さを求めることを特徴とするコンクリートの中性化測定方法である。
【0007】
特許文献3には、
コンクリート構造物の表面から所定の深さまで掘削するステップと、
前記掘削による掘削孔の内部表面に転写剤を付けて中性化した部分と中性化していない部分とで色分けをするステップと、
前記色分けの位置を検知可能なプローブを前記掘削孔に挿入し、中性化した部分の深さを測定するステップと、
を有することを特徴とするコンクリート構造物の中性化深さ測定方法が開示されている。
【0008】
特許文献4には、発色によりpHを指示するpH指示薬をコンクリートに付与してコンクリートの中性化度を測定した後、コンクリートに付着した色素を脱色剤により脱色することを特徴とするpH指示色素付着型コンクリートの中性化度測定方法が開示されている。
【0009】
【特許文献1】特許第3204931号公報
【特許文献2】特開2002−40013号公報
【特許文献3】特開2005−233819号公報
【特許文献4】特開2001−33438号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、叙上の通り、コンクリート改質防水施工を行ったか否かを容易に判別し、又は、改質防水材の使用量を定量する方法や用具は存在せず、特許文献2乃至特許文献4に記載のコンクリートの中性化度を調べる方法も転用することはできない。
【0011】
例えば、特許文献2に記載のコンクリートの中性化測定方法によれば、必ずコンクリートに穿孔しなければならない。コンクリート改質防水施工を行ったか否かの確認に適用するためには、施工面の多数箇所を穿孔する必要があり、コンクリートの強度を著しく低下させるし、コンクリート改質防水施工後のコンクリートの補修に手間が掛かる。また、フェノールフタレイン等の試薬の他、容器,ドリル等が必要であって測定方法自体も煩雑であるし、見上げ面及び見下げ面には適用できない。
【0012】
また、コンクリート改質防水施工は中性化の予防のためにも行われるし、施工前のコンクリートは必ずしも中性化が進行しているとは限らず、表面に近いごく浅い部分のみ中性化されている場合もある。この様な場合、コンクリート表面及びコンクリート表面に近い浅い部分でもアルカリ性を示すから、穿孔を始めて直ぐに試薬が変色し、その後穿孔を続けたとしても試薬は変色したままであって、改質防水施工前後の差を見出すことが極めて困難である。
【0013】
特許文献3に記載のコンクリート構造物の中性化深さ測定方法によっても、特許文献2に記載の方法と同様に、必ずコンクリートに穿孔しなければならない。コンクリート改質防水施工を行ったか否かの確認に適用するためには、施工面の多数箇所を穿孔する必要があり、コンクリートの強度を著しく低下させるし、コンクリート改質防水施工後のコンクリートの補修に手間が掛かる。
【0014】
特許文献4に記載のpH指示色素付着型コンクリートの中性化度測定方法は脱色剤を必要とするが、該脱色剤は硫黄含有化合物,ホウ素含有物質,金属水素化物等の還元剤又は塩素のオキソ酸塩等の酸化剤であって、これら脱色剤自体又はこれら脱色剤の副生物が、悪臭,大気汚染,水質汚濁等の環境汚染を惹き起こす虞がある。また、これら脱色剤自体又はこれら脱色剤の副生物は人体に有害であり、更には水素ガスや過塩素酸塩等の爆発性物質を生じ、作業者を危険に曝す虞がある。
【0015】
また、特許文献4に記載の方法では、現実的に脱色は不可能である。大抵のpH指示薬は、フタレイン系,スルホンフタレイン系又はトリフェニルメタン系の化合物であるが、これらが還元されて生じるロイコ化合物は酸化され易く、空気中の酸素等によって容易に再酸化され、元の有色化合物を生じる。したがって、一旦還元剤によって脱色されたとしても、再度着色してしまう。一方、前記フタレイン系,スルホンフタレイン系,トリフェニルメタン系等の化合物は酸化されにくく、大抵の酸化剤では脱色され得ない。脱色するためには極めて強力な酸化剤を必要とするが、その様な酸化剤はコンクリート自体を損耗し、又は内部の鉄筋等の腐食を促進して、コンクリート構造物の強度を低下させる虞がある。
【0016】
これらの問題点に鑑み、本発明は、コンクリートの中性化度を測定する方法ではなく、改質防水材によって施工したか否かを容易且つ安全に判別することができ、見上げ面,見下げ面を含むあらゆる面に適用可能であって、余剰な掘削によってコンクリート自体の強度を犠牲にすることを回避できる、コンクリート改質防水施工の出来形検査方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題を解決するために、本発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法は、吸水性を有する略長方形状のシートに、アルカリで変色するpH指示薬が酸性を示す色を呈色した状態で含浸されてなるコンクリート改質防水施工確認用マットを予め施工面に張り付けておき、ケイ酸化合物を主成分として含有する改質防水材を噴霧又は塗布してコンクリート改質防水施工した後、前記コンクリート改質防水施工確認用マットにおけるpH指示薬の変色の有無によって定性的評価を行うことを特徴としている。
【0018】
ここで、変色とは、特定の色から他の色への変色のみを表すものではなく、無色の状態からの着色,逆に有色の状態から無色への変化,色の濃淡の変化等を含むものとする。また、呈色は、必ずしも有色となることに限られず、有色から無色又は白色への変色も含むものとする。
【0019】
第2の発明は、第1の発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法であって、コンクリート改質防水施工の前後における、コンクリート改質防水施工確認用マットの重量変化から、改質防水材使用量を定量することを特徴としている。
【0020】
第3の発明は、コンクリート改質防水施工された施工面の一部を所定の深さで掘削してコンクリート砕粉を得、アルカリ性で変色するpH指示薬を、酸性を示す色を呈色した状態で前記コンクリート砕粉に添加し、pH指示薬の変色の有無から掘削位置における改質防水材の含浸を確認する工程を併せて行うことを特徴とする第1又は第2の発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法である。
【0021】
第4の発明は、改質防水施工された見上げ面の下方に、仮設用孔及び掘削用孔を具えた剛性を有する板状材をほぼ水平に配置し、仮設用孔を挿通する止着材によって見上げ面に板状材を仮設し、掘削用孔に掘削機の少なくとも一部を挿通して見上げ面を掘削し、掘削で生じたコンクリート砕粉を板状材上に受け、前記コンクリート砕粉を用いることを特徴とする、第3の発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法である。
【0022】
第5の発明は、コンクリート改質防水施工された施工面の一部を所定の深さで掘削して得た掘削孔内壁に、アルカリ性で変色するpH指示薬を、酸性を示す色を呈色した状態で加え、前記pH指示薬の変色の有無から掘削位置における改質防水材の含浸を確認する工程を併せて行うことを特徴とする第1又は第2の発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法である。
【0023】
第6の発明は、第1乃至第5の発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法であって、pH指示薬がフェノールフタレインであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法によれば、施工面に予め張り付けられたコンクリート改質防水施工確認用マットの含有するpH指示薬が、ケイ酸化合物を主成分として含有する改質防水材の示すアルカリ性によって変色するから、変色の有無を視認することによって、前記コンクリート改質防水施工確認用マットが張り付けられた部位近辺の施工が行われたか否かを容易に判別できる。適切な間隔をおいて、施工面に複数のコンクリート改質防水施工確認用マットを張り付けておくことで、施工面各部毎に施工が行われた否かを検査することが可能となる。この場合、同一品質のコンクリート改質防水施工確認用マットを用いれば、コンクリート改質防水施工確認用マットに噴霧又は塗布された改質防水材の量によってpH指示薬の変色度合いに差を生じ、施工面各部位間の改質防水材の使用量を定性的に比較することができる。施工作業中に、施工面各部位における改質防水材の使用量の多寡を知ることができるから、均一な施工を行うことが可能となる。
【0025】
本発明は、コンクリート改質防水施工確認用マット以外に特別な機械,器具,装置,化学物質等を使用せず、容易且つ安全な出来形の検査が可能であって、検査対象のコンクリート,作業者又は環境に悪影響を与えることが回避される。コンクリート改質防水施工確認用マットを施工面に張り付け取り外す以外に特別な操作を必要とせず、見上げ面,見下げ面を含むあらゆる施工面に適用することが可能である。
【0026】
また、過度の掘削を必要としないから、コンクリートの強度を損なう虞がなく、検査後に掘削孔を補修する手間も掛からない。
【0027】
第2の発明によれば、コンクリート改質防水施工確認用マットの施工前後の重量変化から、施工面各部位毎の改質防水材の使用量を定量することができる。施工面各部位の改質防水材使用量を測定することによって均一な施工が行われたか否かを定量的に評価することが可能であり、また、予定使用量と比較して十分量の改質防水材を使用したか否かを定量的に評価することができる。
【0028】
第3の発明によれば、施工面における任意又は特定の位置を掘削して得たコンクリート砕粉を試料として、改質防水材の含浸を直接的に確認できる。コンクリート改質防水施工確認用マットを用いて均一な施工が行われたことが確認されているから、施工面の少数箇所を掘削することのみで、施工面全体の出来形を検査することができる。上述した従来の中性化度を調べる方法を転用すると多数箇所を掘削してコンクリート砕粉を得る必要があるが、それに比べて効率的であるし、コンクリートの強度を保つこともでき、施工後に掘削孔を補修する作業を最小限に抑えることができる。
【0029】
第4の発明によれば、見上げ面から容易且つ効率的にコンクリート砕粉を集めることができ、前記コンクリート砕粉を試料として改質防水材の含浸を確認することも容易である。
【0030】
第5の発明によれば、第3の発明と同様に施工面における任意又は特定の位置を掘削して得た掘削孔を試料として、改質防水材の含浸を直接的に確認できる。コンクリート改質防水施工確認用マットを用いて均一な施工が行われたことが確認されているから、施工面の少数箇所を掘削することのみで、施工面全体の出来形を検査することができる。上述した従来の中性化度を調べる方法を転用すると多数の掘削孔を作る必要があるが、それに比べて効率的であるし、施工後に掘削孔を補修する作業を最小限に抑えることができる。
【0031】
第6の発明によれば、pH指示薬として、酸性又は中性では無色でありアルカリ性で赤紫色を呈するフェノールフタレインを使用するから、変色が鮮明であって視認が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しつつ詳しく説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0033】
まず、本発明に係る、主な用具等について説明する。図1は、本発明の実施態様を示す斜視図である。図2は、本発明の実施態様を示す側方視断面図である。また、図3は、本発明に係る図面で、(a)はコンクリート改質防水施工確認用マットを示す斜視図であり、(b)はコンクリート改質防水施工確認用具を示す斜視図である。図4は、本発明に係る見上げ面用板状材を示す斜視図であり、図5は、本発明に係る見上げ面用板状材の使用例を示す側方視断面図である。
【0034】
本発明で用いるpH指示薬は、改質防水材の水溶液又は水懸濁液の示すアルカリで変色するものであれば特に限定されないが、前記水溶液又は水懸濁液によって鮮明に変色するクレゾールレッド,チモールブルー,フェノールフタレイン,チモールフタレイン,アリザリンイエロー又はアルカリブルー等が好適に用いられる。無色から赤紫色へと明瞭に変色するフェノールフタレインが、より容易な視認を可能にするため、特に好適である。
これらのpH指示薬は、粉末として入手してから溶解しても良く、また調製済みの溶液として入手することも可能である。これらの場合において、溶媒は特に限定されないが、環境汚染を惹起し難いエタノール,水,又はそれらの混合溶媒である含水エタノールが、好適に用いられる。安価に入手可能で、コンクリート中性化度の測定において使用実績の多い、フェノールフタレインの1w/v%エタノール溶液又はフェノールフタレインの1w/v%含水エタノール溶液が最も好適に用いられる。
【0035】
本発明に係るコンクリート改質防水施工確認用マット1は、吸水性を有する略長方形状のシートに、アルカリで変色するpH指示薬が酸性を示す色を呈色した状態で含浸されてなる。
【0036】
コンクリート改質防水施工確認用マット1に用いられるシートとしては、優れた吸水性と耐アルカリ性を持ちコンクリート改質防水材の水溶液又は水懸濁液を良好に吸収できる、ポリプロピレン又はコットンを主材料とするシートが好適に用いられるが、吸水性を有するものであれば特に限定されない。天然繊維であって、使用に際して繊維片が生じたとしても該繊維片によって環境汚染を惹き起こし難いコットンが、特に好適である。コットンの品質は特に限定されないが、1g当り20g以上の水分を吸収できる、高い吸水性を有するものが好適に用いられる。また、必ずしも1種の繊維材質で作成されている必要は無く、複数種の繊維が混合されて作成されていても良く、材質の異なる繊維材質が層構造をなしていても良い。市販の油吸収シートや吸水シートを用いることも可能である。
コンクリート改質防水施工確認用マット1は、図3(a)に示される様に、略長方形状の形状であるが、三角形,五角形他の多角形の他、円形,楕円形等任意の形状であっても同様の効果を奏する。しかし、作成が容易で、安価に提供することが可能な、略長方形状の形状であることが最も好ましい。本発明に係るコンクリート改質防水施工確認用マット1は、pH指示薬の変色を容易に視認できる様、pH指示薬以外の染料,顔料等有色成分を含有せず無色又は白色であることが望ましいが、pH指示薬の変色に影響せず、且つpH指示薬の変色を視認できる程度であれば、他の有色成分によって着色されていても良い。また、コンクリート改質防水施工確認用マット1のサイズ,厚み等は、特に限定されない。
【0037】
pH指示薬を前記シートに含浸せしめることによって、コンクリート改質防水施工確認用マット1を得る。
pH指示薬を含浸せしめる方法としては、シートにpH指示薬の溶液を噴霧又は塗布する方法,pH指示薬の溶液にシートを浸漬する方法,pH指示薬が含浸された繊維でマットを作成する方法等種々の方法が適用可能であり、特にその方法を限定するものではない。pH指示薬の変色が視認できれば良いから、必ずしもpH指示薬がコンクリート改質防水施工確認用マット1の全体に均一に含浸されている必要は無く、少なくとも1つの表面に含浸されていれば良い。容易に本考案を作成できることから、pH指示薬の溶液を噴霧する方法が、最も好適である。pH指示薬のエタノール溶液又は含水エタノール溶液を噴霧して用いると、風乾のみによって容易に溶媒を除去できるから、より容易にコンクリート改質防水施工確認用マット1を作成できる。
【0038】
コンクリート改質防水施工確認用マット1は、使用時以外は、軟性合成樹脂製袋3中に密閉されて保存されることが好ましい。吸収した水分の揮散による重量変化や、空気中に含まれる水蒸気や酸性又は塩基性の気体に触れ、含有するpH指示薬が意図せず変色又は退色することを避けるためである。コンクリート改質防水施工確認用マット1が、個別の軟性合成樹脂製袋3に挿入されたものを、コンクリート改質防水施工確認用具と称する。
【0039】
コンクリート改質防水施工確認用具2は、図3(b)に示される様に、コンクリート改質防水施工確認用マット1が、開口部付近に密閉用のジッパー4,・・・を具えた軟性合成樹脂製袋3内に密閉されてなる。
【0040】
軟性合成樹脂製袋3の材質は、軟性を有する合成樹脂であれば特にその種類を限定するものではく、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリアミド,ポリ塩化ビニル等の合成樹脂が好適に用いられる。耐アルカリ性を有し、安価に入手可能なポリエチレン,ポリプロピレン又はポリ塩化ビニルが、特に好適である。
また、その外観は特に限定されず、無色透明の材質,黒色遮光性の材質,表面処理された半透明の材質等、様々な外観の物が使用可能である。封入されるコンクリート改質防水施工確認用マットに含浸されたpH指示薬の変色の有無を、軟性合成樹脂製袋3の外からでも容易に視認できる無色透明の材質が最も好ましい。
また、軟性合成樹脂製袋3は、特にそのサイズや形状を限定するものでもない。軟性剛性樹脂製袋3として、市販のジッパー付き合成樹脂製袋を使用することも可能である。
【0041】
軟性合成樹脂製袋3の開口部付近の内面にはジッパー4,・・・が設けられていて、該ジッパー4,・・・を嵌着することによって前記軟性合成樹脂製袋3は密閉される。
図3(b)においては、二対のジッパーが設けられているが、必ずしもその数は限定されず、一対であっても三対以上であっても良い。軟性合成樹脂製袋3がより確実に密閉される様、二対以上のジッパー4,・・・が設けられていることが好ましい。確実に密閉されることによって、水分の揮散又は空気中の水蒸気の吸収による、コンクリート改質防水施工確認用マット1の保存中の重量変化が回避され、またコンクリート改質防水施工確認用マット1の含有するpH指示薬が、外気に含まれる酸性若しくは塩基性ガスに触れて変色することも回避されるからである。一方、三対以上のジッパーが設けられていると前記軟性合成樹脂製袋3の開閉が煩雑となる。よって、二対のジッパー4,4が設けられていることが最も好ましい。
【0042】
本発明に係る板状材は、容易に屈曲しない程度の剛性を有する材質で作成されていれば良く、特にその材質を限定するものではない。金属,合成樹脂,ガラス等が用いられるが、中でも、物理的接触によって破損又は変形し難く、錆びることの無い合成樹脂が好適である。合成樹脂の種類は特に限定されないが、水及びアルコールに対する耐性を持つポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリメタクリル酸エステル,ポリカーボネート又はポリ塩化ビニル等が好適に用いられ、耐アルカリ性を有するポリプロピレン,ポリエチレン,ポリエチレンテレフタレート,ポリメタクリル酸エステル又はポリ塩化ビニルが特に好適である。
pH指示薬の着色の有無や、コンクリート砕粉,pH指示薬等が洗浄除去されたか否かを容易に判別し易い、無色透明の板状材であることが好ましい。
【0043】
本発明に係る改質防水材は、水ガラスやケイ酸塩等のケイ酸化合物を主成分として含有し、その水溶液又は懸濁液がアルカリ性を示すものであれば、特にその種類を限定するものではない。
【0044】
次いで、本発明に係るコンクリート改質防水施工の出来形検査方法の実施態様を記載するが、当業者が理解し得る範囲内で種々の変更が可能であり、数量,長さ,濃度,容量,時間,又は使用装置器具類などの諸条件を、特に限定するものではない。
【0045】
予め、使用するコンクリート改質防水施工確認用具2を秤量し、その重量を軟性合成樹脂製袋3の表面に記録しておく。コンクリート改質防水施工確認用具2を秤量する操作は、コンクリート改質防水施工確認用マット1の秤量に代えることもできるが、この場合、後述する施工後の秤量も改質防水施工確認用具2ではなくコンクリート改質防水施工確認用マット1に対して行う。
【0046】
コンクリート改質防水施工確認用マット1を軟性合成樹脂製袋3から取り出し、図1及び図2に示す様に施工面に張り付ける。コンクリート改質防水施工確認用マット1によって施工の出来形を検査するのであるから、施工面を代表するに適した位置及び間隔を選択して張り付ける。一応の目安としては、約25cm四方の正方形状のコンクリート改質防水施工確認用マット1を、施工面100m当り約5箇所に張り付けると良い。
【0047】
コンクリート改質防水施工確認用マット1を張り付ける手段は、施工面にほぼ密着する様に張り付けられる方法であれば特に限定されず、ラス取付具,釘,ステープル,テープ等の止着材5,・・・を用いて留めても良く、見下げ面においては単に載置するのみでも良い。止着材5,・・・としては、ラス取付具によることが最も好ましい。ラス取付具は、通常、接着剤や粘着テープ等の接着具によって接合されるから、施工面を損傷することが回避されるからである。
【0048】
改質防水材の水溶液又は水懸濁液を、噴霧又は塗布することによって、コンクリート改質防水施工を行う。改質防水材が噴霧又は塗布されることによって、施工面に張り付けられたコンクリート改質防水施工確認用マット1に含有されるpH指示薬が変色する。施工作業中には、施工完了部位と未了部位を判別でき、変色の度合いから部位毎の改質防水材使用量を比較することができるから、均一な施工を行うことが可能となる。コンクリート改質防水施工確認用マットを保存しておくことにより、施工完了後でも部位毎の施工完了の確認と施工量の簡易的な比較が可能であるから、定性的に出来形を検査することができる。
【0049】
施工面各位置の施工が終わったら、その位置に張り付けられたコンクリート改質防水施工確認用マット1を、順次施工面から取り外し、前記マットの張り付けられていた箇所には、改質防水材を噴霧又は塗布して、施工漏れを防ぐ。
【0050】
取り外されたコンクリート改質防水施工確認用マット1を、施工前に入れていた個別の軟性合成樹脂製袋3に入れて密封保存し、軟性合成樹脂製袋3には、コンクリート改質防水施工確認用マット1を張り付けた箇所の情報を記録する。
【0051】
その後、コンクリート改質防水施工確認用具2を秤量し、その重量を記録する。施工前後の重量差は、コンクリート改質防水施工確認用マット1が吸収した改質防水材の水溶液又は水懸濁液の重量に等しいから、コンクリート改質防水施工確認用マット1を張り付けた箇所毎の改質防水材の使用量を求めることができる。使用予定量と比較することによって充分な改質防水材が使用されたかを部位ごとに知ることができるし、またどの程度均一な施工が行われたかを知ることができる。これらによって、定量的な出来形検査が可能となる。
【0052】
更に、施工面の一部を掘削して改質防水材の含浸を直接的に確認すると、より正確な出来形検査が可能である。叙上の通り、改質防水材は、コンクリート表面から徐々に浸潤していく。施工から1週間乃至数ヶ月の後、施工したコンクリートの一部を掘削し、得られたコンクリート砕粉及び/又は掘削孔内壁を試料として、pH指示薬を用いて改質防水材の含浸を確認する。一応の目安として、施工1週間後に1mm乃至2mm程度の深さで掘削すれば良い。上記の定性的検査又は定量的検査によって均一な施工が確認されているから、少数箇所を掘削するのみで、施工面全体の含浸を確認することが可能である。
【0053】
コンクリート砕粉を試料として用いる場合、施工面が鉛直面であるときには、掘削箇所の下方に、前記施工面と接する様に剛性を有する板状材を配置してコンクリート砕粉を受ける。板状材の形状は特に限定されないが、容易に作成でき使い易い、略長方形状のものが好適である。
施工面が見下げ面であるときには、単に掘削するのみで良く、施工面上のコンクリート砕粉を試料として用いることができる。
【0054】
施工面が見上げ面であるときには、図4に示す見上げ面用板状材8を用いることができる。
見上げ面用板状材8は、ポリメタクリル酸メチルエステルで作成された前記板状材の一形態であって、図4に示される様に仮設用孔10,・・・及び掘削用孔9を具えた剛性を有する板状材である。見上げ面用板状材8のほぼ中央に1の掘削用孔9が、及び四隅近辺に各1の仮設用孔10が設けられている。掘削用孔9及び仮設用孔10,・・・は、何れも見上げ面用板状材8の上面から下面に至る貫通孔である。図4においては、掘削用孔9及び仮設用孔10,・・・は何れもその断面は円形であるが、掘削又は仮設の用を果たす形状であれば必ずしもこれに限定されず、任意の多角形状の断面を有していても良い。掘削用孔9は、コンクリートドリル等で掘削し易い様、円形の断面を有していることが好ましい。
【0055】
見上げ面用板状材8を、図5に示す様に、仮設用孔10,・・・を挿通する止着材5,・・・によって、施工面14の下方に水平に配置して仮設する。見上げ面用板状材8を係止できるものであれば止着材の種類は限定されないが、ラス取付具,ボルト,釘,ステープル等が好適に用いられる。接着剤や粘着テープ等の接着具によって接合され、施工面を損傷することが回避できる、ラス取付具が最も好ましい。
見上げ面用板状材8を仮設した後、掘削用孔9に掘削機11の少なくとも一部を挿通して施工面14を掘削し、生じたコンクリート砕粉12を見上げ面用板状材8上に受ける。所定深さで掘削した後、見上げ面用板状材8を施工面14から取り外す。
【0056】
得られたコンクリート砕粉にpH指示薬を噴霧し、該pH指示薬の変色を確認する。施工面が鉛直面又は見上げ面の場合には板状材上において、施工面が見下げ面の場合には施工面上において、pH指示薬を噴霧する。改質防水材が充分に浸潤していると、pH指示薬が変色することによってコンクリート砕粉全体が変色する様に見えるから、それによって、掘削箇所における改質防水材の含浸が確認でき、施工面全体の改質防水施工の出来形を検査することができる。
【0057】
一方、コンクリート砕粉12の代わりに、掘削孔内壁13を試料として、改質防水材の含浸を直接的に確認することもできる。所定深さで施工面の一部を掘削した後、生じた掘削孔にpH指示薬を塗布又は噴霧して加える。改質防水材が充分に浸潤していると、そのアルカリ性によってpH指示薬が変色し、掘削孔内壁13全体が変色する様に見える。それにより、掘削箇所における改質防水材の含浸が確認でき、施工面全体の改質防水施工の出来形を検査することができる。
【0058】
以下、実施例を記載するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【実施例1】
【0059】
(コンクリート改質防水確認用マットの作成)
1g当り約24gの吸水能を有する、コットン製のシート(カクイ株式会社製;CWO−5575)に、フェノールフタレイン 1w/v%エタノール溶液(シグマアルドリッチジャパン株式会社製)を、前記シートの表面が軽く湿る程度に噴霧した。恒量に達するまで風乾し、溶媒を揮散させ除去した。25cm四方の正方形状に裁断し、コンクリート改質防水施工確認用マット1を得た。
市販のジッパー付き合成樹脂製袋にコンクリート改質防水施工確認用マット1を入れて密閉し、コンクリート改質防水用具2を得た。コンクリート改質防水用具2を秤量し、その重量を前記袋の表面に記録し、保存した。
【実施例2】
【0060】
(コンクリート改質防水施工確認用マットを用いた見上げ面の出来形検査)
長方形状の施工面(面積408m)を5区画に分け、区画毎にコンクリート改質防水施工を行った。実施例1に記載のコンクリート改質防水施工確認用マット1を、各区画の四隅付近と中央付近の計5箇所に、ラス金網取り付け金具を用いて張り付けた。
【0061】
コンクリート改質防水施工確認用マット1を張り付けた後、改質防水材の水溶液を噴霧して施工を行った。改質防水材の水溶液が噴霧された部分において、コンクリート改質防水施工確認用マット1が変色し、施工面のどの位置の施工が終わったか、容易に視認することができた。
【0062】
施工面各位置の施工が終わったら、その位置に張り付けられたコンクリート改質防水施工確認用マット1を、順次施工面から取り外し、軟性合成樹脂製袋3に挿入し密封保存した。軟性合成樹脂製袋3の表面に、コンクリート改質防水施工確認用マット1を張り付けた位置の情報を記録した。
施工面上のコンクリート改質防水施工確認用マット1が張り付けられていた位置には、施工漏れが無い様、改質防水材の水溶液を噴霧した。
【0063】
1つの区画における、各コンクリート改質防水施工確認用マット1の、施工前後の重量変化を、表1に示す。本実施例においては、噴霧予定量である設計量は、マット1枚分の面積当り15.6gであったが、A乃至Eの5箇所全てにおいて、所定量以上の噴霧を行ったことが確認できた。A乃至Eの5箇所の平均噴霧量が24.0g、標準偏差が2.1gであり、統計的にも、施工面全域において、設計量を十分に超える量の噴霧が行われたことが分った。
【0064】
【表1】

【0065】
尚、コンクリート改質防水施工確認用マット1の重量は、軟性合成樹脂製袋に密封されている限りにおいて、改質防水材の噴霧前でも噴霧後であっても、少なくとも3週間変化しなかった。
【0066】
1週間後、コンクリート改質防水施工を行った施工面の任意位置を掘削位置と定め、図5に示される様に、該掘削位置の直下に掘削用孔9が位置する様にして、仮設用孔10,・・・に挿通された止着材5,・・・を用いて見上げ面用板状材8を仮設した。見上げ面用板状材8としては、25cm四方の正方形状で、厚み4mmのものを用いた。止着材5,・・・としてはラス取付具を用い、該ラス取付具の裏面を、接着剤を用いて施工面に張り付けた。
見上げ面用板状材8を仮設した後、掘削用孔9を通して、直径約10.5mmのコンクリートドリルで施工面14を約2mm深さに掘削し、それによって生じたコンクリート砕粉12を、見上げ面用板状材8上に受けた。
【0067】
見上げ面用板状材8上を、施工面14から取り外した。見上げ面用板状材8上において、掘削用孔9の周囲に落下したコンクリート砕粉12に、該コンクリート砕粉が湿る程度の水を噴霧した後、それとほぼ同量のフェノールフタレイン 1w/v% エタノール溶液を噴霧した。コンクリート砕粉12が一様に強い赤紫色の発色を示した。これにより、改質防水材が、少なくとも約2mm深さまで含浸していることが分った。
【0068】
一方、上記操作によって施工面14に生じた掘削孔に、フェノールフタレイン 1w/v% エタノール溶液を、掘削孔内壁13が軽く湿る程度に噴霧した。約2mm深さの掘削孔13の、施工面表面から奥部に至る内壁が一様に赤紫色に呈色した。これにより、改質防水材が、少なくとも約2mm深さまで含浸していることが示された。この結果は、上記のコンクリート砕粉を試料とする検査の結果と一致する。
【0069】
未施工面に対して同様の操作を行ったところ、コンクリート砕粉と掘削孔内壁の何れにも全く発色が認められず、元の色調のままであった。
【実施例3】
【0070】
(コンクリート改質防水施工確認用マットを用いた見下げ面の出来形検査)
実施例1に記載のコンクリート改質防水施工確認用マット1を、コンクリート改質防水施工を行う長方形状の見下げ面(面積102m)の四隅付近と中央付近の計5箇所に載置した。
【0071】
コンクリート改質防水施工確認用マット1を載置した後、改質防水材の水溶液を噴霧して施工を行った。改質防水材の水溶液が噴霧された部分において、コンクリート改質防水施工確認用マット1が変色し、施工面のどの位置の施工が終わったか、容易に視認することができた。
【0072】
施工面各位置の施工が終わったら、その位置に載置されていたコンクリート改質防水施工確認用マット1を、順次施工面から回収し、軟性合成樹脂製袋3に挿入し密封保存した。軟性合成樹脂製袋3の表面に、コンクリート改質防水施工確認用マットを載置していた位置の情報を記録した。
施工面上の、コンクリート改質防水施工確認用マット1が載置されていた位置には、施工漏れが無い様、改質防水材の水溶液を噴霧した。
【0073】
各コンクリート改質防水施工確認用マットの、施工前後の重量変化を、表2に示す。本実施例においては、噴霧予定量である設計量は、マット1枚分の面積当り15.6gであったが、F乃至Kの5箇所全てにおいて、所定量以上の噴霧を行ったことが確認できた。F乃至Kの5箇所の平均噴霧量が30.8g、標準偏差が6.5gであり、統計的にも、施工面全域において、設計量を十分に超える量の噴霧が行われたことが分った。
【0074】
【表2】

【0075】
尚、コンクリート改質防水施工確認用マット1の重量は、軟性合成樹脂製袋3に密封されている限りにおいて、改質防水材の噴霧前でも噴霧後であっても、少なくとも3週間変化しなかった。
【0076】
1週間後、コンクリート改質防水施工を行った施工面における任意位置を、直径約10.5mmのコンクリートドリルで約5mm深さに掘削した。
施工面上において、生じたコンクリート砕粉と掘削孔に、それら全体が軽く湿る程度の水を噴霧し、次いでフェノールフタレイン 1w/v%エタノール溶液を水とほぼ同量噴霧した。コンクリート砕粉及び掘削孔が共に、一様な強い赤紫色の発色を示し、これによって、改質防水材が、少なくとも約2mm深さまで含浸していることが分った。
【0077】
未施工面に対して同様の操作を行ったところ、コンクリート砕粉と掘削孔内壁の何れにも全く発色が認められず、元の色調のままであった。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施態様を示す斜視図である。
【図2】本発明の実施態様を示す側方視断面図である。
【図3】本発明に係る図面で、(a)はコンクリート改質防水施工確認用マットを示す斜視図であり、(b)はコンクリート改質防水施工確認用具を示す斜視図である。
【図4】本発明に係る見上げ面用板状材を示す斜視図である。
【図5】本発明に係る見上げ面用板状材の使用例を示す側方視断面図である。
【符号の説明】
【0079】
1 改質防水施工確認用マット
2 改質防水施工確認用具
3 軟性合成樹脂製袋
4 ジッパー
5 止着材
6 スプレーガン
7 接着具
8 見上げ面用板状材
9 掘削用孔
10 仮設用孔
11 掘削機
12 コンクリート砕粉
13 掘削孔内壁
14 施工面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸水性を有する略長方形状のシートに、アルカリで変色するpH指示薬が酸性を示す色を呈色した状態で含浸されてなるコンクリート改質防水施工確認用マットを予め施工面に張り付けておき、ケイ酸化合物を主成分として含有する改質防水材を噴霧又は塗布してコンクリート改質防水施工した後、前記コンクリート改質防水施工確認用マットにおけるpH指示薬の変色の有無によって定性的評価を行うことを特徴とする、コンクリート改質防水施工の出来形検査方法。
【請求項2】
コンクリート改質防水施工の前後における、コンクリート改質防水施工確認用マットの重量変化から、改質防水材使用量を定量することを特徴とする、請求項1に記載のコンクリート改質防水施工の出来形検査方法。
【請求項3】
コンクリート改質防水施工された施工面の一部を所定の深さで掘削してコンクリート砕粉を得、アルカリ性で変色するpH指示薬を、酸性を示す色を呈色した状態で前記コンクリート砕粉に添加し、pH指示薬の変色の有無から掘削位置における改質防水材の含浸を確認する工程を併せて行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート改質防水施工の出来形検査方法。
【請求項4】
改質防水施工された見上げ面の下方に、仮設用孔及び掘削用孔を具えた剛性を有する板状材をほぼ水平に配置し、仮設用孔を挿通する止着材によって見上げ面に板状材を仮設し、掘削用孔に掘削機の少なくとも一部を挿通して見上げ面を掘削し、掘削で生じたコンクリート砕粉を板状材上に受け、前記コンクリート砕粉を用いることを特徴とする請求項3に記載のコンクリート改質防水施工の出来形検査方法。
【請求項5】
コンクリート改質防水施工された施工面の一部を所定の深さで掘削して得た掘削孔内壁に、アルカリ性で変色するpH指示薬を、酸性を示す色を呈色した状態で加え、前記pH指示薬の変色の有無から掘削位置における改質防水材の含浸を確認する工程を併せて行うことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のコンクリート改質防水施工の出来形検査方法。
【請求項6】
pH指示薬がフェノールフタレインであることを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載のコンクリート改質防水施工の出来形検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−304347(P2008−304347A)
【公開日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−152362(P2007−152362)
【出願日】平成19年6月8日(2007.6.8)
【出願人】(307015851)有限会社タク・セツ (1)
【Fターム(参考)】