説明

コンクリート構造物と補強地盤との一体化構造および一体化方法

【課題】構造体のコンクリートと補強地盤材料であるジオテキスタイルとの一体化を確保しつつ、躯体コンクリートの品質を確保できるコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造および一体化方法を提供すること。
【解決手段】コンクリート構造物1の構築予定位置の背面3に、盛土材13と、コンクリート構造物1の背面3に沿って折り返し部分4が形成されて両端が盛土材13に埋設されたジオテキスタイル5と、ジオテキスタイル5の折り返し部分4付近の内側面6に沿って立体繊維18を設けて形成された空隙層20と、空隙層20と盛土材13との間に設けられた不透水シート9とを設置して補強地盤を形成する。その後、補強地盤の前方にコンクリート構造物1の型枠を組んでコンクリートを打設する。ジオテキスタイル5を介して立体繊維18に回り込んだコンクリートが硬化することにより、空隙層20が付着層7となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物と補強地盤との一体化構造および一体化方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、コンクリート構造物と背面に形成される盛土との一体化構造として、コンクリート構造物の背面に、ジオテキスタイルと称する格子状の樹脂製の繊維材料を引張抵抗材として配置し、これを折り返した内部に土のうを積み上げて補強盛土を構築し、ジオテキスタイルとコンクリートとの付着や機械的な定着によって、コンクリート構造物と盛土とを一体化するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなコンクリート構造物と盛土との一体化構造を施工するには、まず、ジオテキスタイルを折り返す部分に盛土材料としてクラッシャーランあるいは砕石などを撒き出して転圧する作業と、法面部でジオテキスタイルを折り返す作業とを繰り返し、盛土層を積層する。その後、盛土層の前側にコンクリート躯体部分の鉄筋を組立て、型枠を組み、構造物のコンクリートを打設する。
【0004】
ジオテキスタイルの格子の開口は、20×20mm〜30×20mm程度であり、躯体背面には型枠を設けないため、打設したコンクリートの骨材の一部は容易にジオテキスタイルの格子の開口を通過する。そして、ジオテキスタイルに食い込んだコンクリートが硬化することで、ジオテキスタイルがコンクリートに埋設されて付着や機械的定着が得られ、躯体コンクリートとジオテキスタイルが一体化される。また、コンクリート構造物と背面の土塊が一体となり、強固な盛土を形成することができる。
【0005】
ジオテキスタイルを折り返した部分の盛土材料には、以下の二つの機能・目的がある。一つは、構築後の排水層としての機能である。もう一つは緩衝機能であり、施工時(盛土構築時)において、剛性の高い躯体コンクリートと剛性の低い盛土材料の間に位置して、剛性がその中間となることによる緩衝材としての機能である。また、完成後は、盛土材料の沈下と躯体コンクリートの不同沈下を吸収する役割や、地震時の盛土の水平方向変位による躯体への土圧を緩衝する役割などを有する。
【0006】
上述した一体化構造と類似する構造として、盛土を補強材により補強し、盛土の前面に直接コンクリートを打設して、コンクリートと盛土法面部の土のうや補強材とを一体化した構造物がある(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
ジオテキスタイルやその他の補強材を用いたこうした工法・構造によれば、盛土の法面をより急勾配、場合によっては鉛直にすることができる。また、地震時の盛土の安定性が向上するなどの利点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−321452号公報
【特許文献2】特開平10−317381号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上記の一体化構造において、躯体とジオテキスタイルとを一体化するには、コンクリートが格子状のジオテキスタイルを通過しなければならない。同時に、打設された躯体コンクリートが所定の品質を得るには、コンクリートの成分の盛土材料への漏出を防止する必要がある。
【0010】
しかし、ジオテキスタイルを折り返した部分の盛土材料には、前述した機能・目的のために、排水性を重視した砕石などが使用されるため、ジオテキスタイルを通過した躯体コンクリートの水分・モルタル分が逸散しやすい。また、ジオテキスタイルの背面に型枠を設けることは、施工上、非常に煩雑であり、実施が困難である。そのため、躯体コンクリートの品質劣化が生じる恐れがある。
【0011】
また、もう一つの問題として、打設されたコンクリートに、背面の盛土から地下水などが容易に混入し、躯体コンクリートの品質が損なわれることがある。
【0012】
以上のような問題があるにもかかわらず、ジオテキスタイルと一体化されるコンクリートには、通常のコンクリート用の型枠を用いることができない。これは、ジオテキスタイルとコンクリートとの一体性が、ジオテキスタイルの巻き込みによる定着機構にあるためである。施工規準などによれば、裏型枠を用いてはならないと規定されている(例えば、RRR工法協会:RRR−B工法(補強盛り土公報)設計・施工マニュアル、平成13年3月参照)。
【0013】
従来、本考案を適用せずに施工された構造物の多くは擁壁などであったため、コンクリートの設計基準強度が比較的低強度であり、構造設計上重要な補強鉄筋も少なかった。しかし、GRS(Geosynthetic Reinforced Soil)インテグラル橋梁における橋台などの、より高強度のコンクリートを使用する構造物では、躯体コンクリートの品質の確保が従来よりも重要な課題となっている。また、補強鉄筋の役割も重要である。特に、背面盛土と接する側の鉛直方向の補強鉄筋は土圧に抵抗するためのものであり、これを密実なコンクリートにより保護することは必須の課題である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、前述した問題点に鑑みてなされたもので、その目的とすることは、構造体のコンクリートと補強地盤材料であるジオテキスタイルとの一体化を確保しつつ、躯体コンクリートの品質を確保できるコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造および一体化方法を提供することである。
【0015】
前述した目的を達成するために、第1の発明は、コンクリート構造物と、前記コンクリート構造物の背面の補強地盤との一体化構造であって、コンクリート構造物の背面側に設置された盛土材と、前記コンクリート構造物の背面に沿って折り返し部分が形成され、両端が前記盛土材に埋設されたジオテキスタイルと、前記ジオテキスタイルの前記折り返し部分付近の内側面に沿って設けられた付着層と、前記付着層と前記盛土材との間に設けられた止水部材と、を具備することを特徴とするコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造である。
【0016】
第1の発明では、付着層と盛土材との間に止水部材を設けることにより、盛土材中の地下水が躯体コンクリート側に混入することがなくなり、コンクリート構造物の躯体コンクリートの品質を確保することができる。また、打設した躯体コンクリートが分離してモルタル成分やペースト成分が盛土材中に浸透・逸散することがなくなり、躯体コンクリートの強度や密実性などの性能を確保できる。さらに、ジオテキスタイルが埋設される(接する)部分のコンクリートの品質が安定するため、ジオテキスタイルをより確実に定着し、コンクリート構造物と補強地盤とを一体化することができる。
【0017】
前記付着層は、前記ジオテキスタイルと前記盛土材との間に設けられた空隙を有する部材に、前記コンクリート構造物の打設時にコンクリートが回り込むことにより形成される。
ジオテキスタイルと盛土材との間に空隙を有する部材を設けることにより、躯体コンクリートが回り込むための空隙層を確保して、付着層を確実に形成することができる。
【0018】
前記盛土材の最も前記コンクリート構造物側の部分は、必要に応じてブロック材で構成される。
ジオテキスタイルが折り返された空間の内部に、ブロックなどの剛な材料を配置することにより、盛土材の転圧時に空隙層が潰れてしまうことを防ぎ、躯体コンクリートのモルタル分を空隙層に十分回り込ませて、付着層を確実に形成することができる。
【0019】
前記止水部材は、例えば、前記付着層の内側面に沿って配置された不透水シートであり、前記不透水シートの端部が、前記付着層の端部を覆うように巻き返されて前記付着層と前記ジオテキスタイルとの間に挟まれる。
付着層の内側面に沿って不透水シートを配置し、前記付着層の端部を覆うように不透水シートの端部を巻き返すことにより、付着層と盛土材との間での地下水やコンクリートの成分の往来を防止し、躯体コンクリートの品質を確保することができる。
【0020】
前記止水部材は、前記付着層の端部を覆うように巻き返して配置された不透水シートであり、一端が前記付着層と前記ジオテキスタイルとの間に挟まれ、他端が前記付着層と前記ブロック材との間に挟まれる場合もある。
また、前記止水部材は、前記付着層の端部と前記ブロック材の背面との境界部分を覆うように配置された不透水シートであり、一端が前記付着層と前記ジオテキスタイルとの間に挟まれ、他端が前記ブロック材の背面に沿って配置される場合もある。
ブロック材が不透水性を有する場合には、付着層の端部を覆うように巻き返して不透水シートを配置したり、付着層の端部とブロック材の背面との境界部分を覆うように不透水シートを配置したりすることにより、付着層と盛土材との間での地下水やコンクリートの成分の往来を防止し、躯体コンクリートの品質を確保することができる。
【0021】
第1の発明では、前記盛土材内の水を前記コンクリート構造物の外部に排水する水抜きパイプをさらに設けてもよい。
水抜きパイプを設けることにより、盛土材内の水をコンクリート構造物の外部に確実に排水し、補強地盤を安定した状態に保つことができる。
【0022】
第2の発明は、コンクリート構造物と、前記コンクリート構造物の背面の補強地盤との一体化方法であって、コンクリート構造物の構築予定位置の背面に、盛土材と、前記コンクリート構造物の背面に沿って折り返し部分が形成されて両端が前記盛土材に埋設されたジオテキスタイルと、前記ジオテキスタイルの前記折り返し部分付近の内側面に沿って空隙を有する部材を設けて形成された空隙層と、前記空隙層と前記盛土材との間に設けられた止水部材と、を設置する工程(a)と、前記コンクリート構造物の構築予定位置にコンクリートを打設し、前記ジオテキスタイルを介して前記空隙を有する部材に打設コンクリートが回り込むことにより、前記空隙層を付着層とする工程(b)と、を具備することを特徴とするコンクリート構造物と補強地盤との一体化方法である。
【0023】
第2の発明では、ジオテキスタイルの折り返し部分付近の内側面に沿って空隙を有する部材を設けて空隙層を形成し、空隙層と盛土材との間に止水部材を設け、空隙を有する部材に躯体コンクリートを回り込ませて空隙層を付着層とする。これにより、盛土材中の地下水が躯体コンクリート側に混入することがなくなり、コンクリート構造物の躯体コンクリートの品質を確保することができる。また、打設した躯体コンクリートが分離してモルタル成分やペースト成分が盛土材中に浸透・逸散することがなくなり、躯体コンクリートの強度や密実性などの性能を確保できる。さらに、躯体コンクリートが回り込むための空隙層を確保して安定した品質の付着層を形成することができ、コンクリート構造物と補強地盤とを確実に一体化することができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、構造体のコンクリートと補強地盤材料であるジオテキスタイルとの一体化を確保しつつ、躯体コンクリートの品質を確保できるコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造および一体化方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】コンクリート構造物1と補強地盤との一体化構造の概要を示す図
【図2】図1に示す範囲Aの拡大図
【図3】図1に示す範囲Aにおける、躯体コンクリート打設前の状態を示す図
【図4】コンクリート構造物21と補強地盤との一体化構造の概要を示す図
【図5】図3に示す範囲Bの拡大図
【図6】図3に示す範囲Bにおける、躯体コンクリート打設前の状態を示す図
【図7】付着層27の端部39付近のみに不透水シートを貼り付けた例を示す図
【図8】コンクリート構造物51と補強地盤との一体化構造の拡大図
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面に基づいて、本発明の実施の形態について詳細に説明する。図1は、コンクリート構造物1と補強地盤との一体化構造の概要を示す図である。図1は、コンクリート構造物1の垂直方向の断面図である。図2は、図1に示す範囲Aの拡大図である。図3は、図1に示す範囲Aにおける、躯体コンクリート打設前の状態を示す図である。
【0027】
図1に示すように、コンクリート構造物1の背面には、補強地盤が形成される。図1、図2に示すように、補強地盤は、ジオテキスタイル5、付着層7、止水部材である不透水シート9、盛土材13等からなる。
【0028】
盛土材13は、コンクリート構造物1の背面3側に設置される。盛土材13は、本体部13aと、施工時における盛土の安定を確保するための仮抑え部13bとからなる。本体部13aには、砕石や埋め戻し土等が用いられる。仮抑え部13bには、砕石11やクラッシャーラン等が用いられる。
【0029】
ジオテキスタイル5は、コンクリート構造物1の背面3に沿って折り返し部分4が形成され、端部19a、端部19bが盛土材13に埋設される。ジオテキスタイル5は、格子状の樹脂製の繊維材料である。ジオテキスタイル5の格子の開口寸法は、コンクリート構造物1の躯体コンクリートの打設時に骨材が通過できる大きさとする。ジオテキスタイル5の格子の開口寸法は、例えば、20×20mm程度とする。ジオテキスタイル5には、コンクリート構造物1の躯体コンクリートの成分が浸透し、硬化している。
【0030】
付着層7は、ジオテキスタイル5の折り返し部分4付近の内側面6に沿って設けられる。付着層7の端部15は、例えば、盛土材13の仮抑え部13bと本体部13aとの境界付近に位置する。
【0031】
図3に示すように、躯体コンクリートを打設する前の状態では、ジオテキスタイル5の内側面6に沿って配置された立体繊維18により、ジオテキスタイル5と不透水シート9との間に空隙層20が形成されている。立体繊維18は、ジオテキスタイル5を折り返すのと同程度の曲率で、人力で容易に曲げられることが好ましい。
【0032】
図1および図2に示す付着層7は、コンクリート構造物1の躯体コンクリートの打設時に、図3に示す空隙層20の立体繊維18に躯体コンクリートの成分が浸透し、硬化することにより形成される。
【0033】
立体繊維18は、ジオテキスタイル5を通過した骨材成分が浸透できる程度の目の粗さを有するものとする。立体繊維18の目の粗さは、一般的なジオテキスタイルの格子開口寸法である20×20mm程度と同等以下、且つ、コンクリートのモルタル成分である細骨材が通過できる5mm程度以上とすることが好ましい。これは、立体繊維18の目の粗さが過度に大きいと、盛土材13の積み上げ施工時やコンクリート打設時に作用する荷重に対して空隙層20が適度な剛性を保つことができない可能性があり、立体繊維18の目の粗さが過度に小さいと、モルタルが十分に行き渡らずに目詰まりを起こし、コンクリート打設後に空隙層20に空気が残ってしまう可能性があるためである。
【0034】
立体繊維18により形成される空隙層20の厚さは、50mm以上を必要とする。これは、既往の検討によれば、ジオテキスタイルを通過したモルタル層すなわち付着層7の厚さが50mm程度以上あれば、一般に用いられるジオテキスタイルにおいて、モルタルの回り込みによる定着力が確保できることが確かめられているからである。同時に、躯体コンクリートからモルタル分が抜出す量としても問題がない。
【0035】
立体繊維18は、例えば、ポリプロプピレンやポリエステル製のフィラメントをへちま状の構造にしたもので、工業用途として排水工に利用されているヘチマロン、コアマット、あるいはエンドレンマット(いずれも商品名)と呼ばれるものを活用することができる。また、泥落としマットなどに用いられる立体金網を活用することもできる。一般的に、排水材料の厚さは30〜50mm程度、立体金網の厚さは30mm程度であるため、ジオテキスタイル5の内側面6に沿ってこれらの排水材料や立体金網を1枚ないし2枚重ねで配置することにより、上述した厚さの空隙層20を形成できる。また、これらの排水材料や立体金網は、目の粗さもモルタル分が浸透するのに適している。
【0036】
不透水シート9は、付着層7と盛土材13の仮抑え部13bとの間に設けられる。不透水シート9は、付着層7の内側面8に沿って配置される。不透水シート9の端部17は、付着層7の端部15を覆うように巻き返されて、付着層7とジオテキスタイル5との間に挟まれる。不透水シート9は、ビニールシートなどである。不透水シート9は、盛土材13の地下水が作用する場合には、その水圧に耐え得るものとする。
【0037】
次に、コンクリート構造物1と補強地盤との一体化方法について説明する。コンクリート構造物1と背面の補強地盤とを図1に示すように一体化するには、まず、コンクリート構造物1の構築予定位置の背面3において、補強地盤を形成する。
【0038】
補強地盤を形成するには、図3に示すように、ジオテキスタイル5を設置する作業と、ジオテキスタイル5の内側面6となる面の折り返し部分4付近に立体繊維18を設置して空隙層20を形成する作業と、立体繊維18の内側面8となる面に不透水シート9を設置する作業と、ジオテキスタイル5の上に盛土材13を撒き出して転圧する作業と、ジオテキスタイル5と立体繊維18と不透水シート9とを折り返し部分4で折り返す作業とを繰り返す。そして、ジオテキスタイル5の端部19a、端部19bを盛土材13に埋設しつつ、複数の盛土層を積層する。
【0039】
なお、補強地盤の形成時には、不透水シート9を貼り付けた立体繊維18を用いてもよい。既に、不透水シート9を片面に貼り付けた排水工材料で、厚さ30〜50mm、幅300〜400mmの帯状のものが市販されている。この製品の寸法を適宜変更して使用することにより、補強地盤を効率よく形成できる。
【0040】
次に、補強地盤の前側にコンクリート構造物1の躯体部分の鉄筋を組立て、型枠を組み、躯体コンクリートを打設する。打設したコンクリートは、ジオテキスタイル5を介して空隙層20の立体繊維18に回り込み、硬化する。これにより、図3に示す空隙層20が、図2に示す付着層7となる。
【0041】
不透水シート9は、コンクリート構造物1の躯体コンクリート打設時に、コンクリートの側圧を受ける。しかし、不透水シート9の空隙層20側は、立体繊維18で水圧を受け、ジオテキスタイル5が引張材となるので、容易に水圧に耐えることができる。一方、逆に、コンクリートの打設圧に対しては、盛土材13が抵抗するため、容易に耐えることができる。
【0042】
このように、第1の実施の形態によれば、付着層7の内側面8に沿って不透水シート9を配置し、付着層7の端部15を覆うように不透水シート9の端部17を巻き返す。これにより、盛土材13中の地下水がコンクリート構造物1側に混入することがなくなるため、コンクリート構造物1の躯体鉄筋組立て、型枠組立ての作業時に、鉄筋が錆びる、型枠内面(コンクリートと接する面)が汚れるなどの懸念がない。また、型枠内に水がたまることがなく、コンクリート構造物1の躯体コンクリートの品質を確保することができる。
【0043】
さらに、打設した躯体コンクリートが分離してモルタル成分やペースト成分が盛土材13に浸透・逸散することがないので、躯体コンクリートの強度や密実性などの性能が損なわれる恐れがない。また、ジオテキスタイル5が埋設される(接する)部分のコンクリートの品質が安定するため、ジオテキスタイル5が受ける引張力をより確実に定着してコンクリート構造物1と補強地盤とを一体化することができる。
【0044】
第1の実施の形態では、ジオテキスタイル5と盛土材13との間に設けられた立体繊維18に、コンクリート構造物の打設時にコンクリートが回り込むことにより、付着層7が形成される。立体繊維18を設けることにより、躯体コンクリートが回り込むための空隙層20を確保して、付着層7を確実に形成することができる。
【0045】
次に、第2の実施の形態について説明する。図4は、コンクリート構造物21と補強地盤との一体化構造の概要を示す図である。図4は、コンクリート構造物21の垂直方向の断面図である。図5は、図4に示す範囲Bの拡大図である。図6は、図4に示す範囲Bにおける、躯体コンクリート打設前の状態を示す図である。
【0046】
図4に示すように、コンクリート構造物21の背面23には、補強地盤が形成される。図4、図5に示すように、補強地盤は、ジオテキスタイル25、付着層27、止水部材である不透水シート29、盛土材33等からなる。
【0047】
盛土材33は、コンクリート構造物21の背面23側に設置される。盛土材33は、本体部33aと、施工時における盛土の安定を確保するための仮抑え部33bとからなる。本体部33aには、砕石や埋め戻し土等が用いられる。仮抑え部33bには、ブロック35および土のう31が用いられる。仮抑え部33bでは、ブロック35がコンクリート構造物1側に配置され、土のう31が本体部33a側に配置される。
【0048】
ブロック35には、転圧後の土のう31と同程度以上の剛性があればよい。ブロック35には、市販のコンクリートブロック、軽量コンクリートブロックなどが好適である。コンクリートブロックは幅390×高さ190×厚さ100mmが一般的であり、重さは約6〜10kgであるため、人力で容易に積上げることができる。第2の実施の形態で用いるブロック35は、不透水性がなくてもよい。
【0049】
ジオテキスタイル25は、コンクリート構造物21の背面23に沿って折り返し部分24が形成される。折り返した部分は、仮抑え分33bの背面43に巻き返され、端部41a、端部41bが盛土材33に埋設される。ジオテキスタイル25は、第1の実施の形態のジオテキスタイル5と同様の材質・仕様のものが用いられる。ジオテキスタイル25には、コンクリート構造物21の躯体コンクリートの成分が浸透し、硬化している。
【0050】
付着層27は、ジオテキスタイル25の折り返し部分24付近の内側面26に沿って設けられる。付着層27の端部37は、例えば、盛土材33の仮抑え部33bのブロック35と土のう31との境界付近に位置する。
【0051】
図6に示すように、躯体コンクリートを打設する前の状態では、ジオテキスタイル25の内側面26に沿って配置された立体繊維38により、ジオテキスタイル25と不透水シート29との間に空隙層40が形成されている。立体繊維38は、ジオテキスタイル25を折り返すのと同程度の曲率で、人力で容易に曲げられることが好ましい。
【0052】
図4および図5に示す付着層27は、コンクリート構造物21の躯体コンクリートの打設時に、図6に示す空隙層40の立体繊維38に躯体コンクリートの成分が浸透し、硬化することにより形成される。
【0053】
立体繊維38は、第1の実施の形態の立体繊維18と同様の材質・仕様のものが用いられる。また、立体繊維38により形成される空隙層40の厚さは、第1の実施の形態の空隙層20と同様の理由により、50mm以上を必要とする。
【0054】
不透水シート29は、付着層27と盛土材33のブロック35との間に設けられる。不透水シート29は、付着層27の内側面28に沿って配置される。不透水シート29の端部37は、付着層27の端部39を覆うように巻き返されて、付着層27とジオテキスタイル25との間に挟まれる。不透水シート29は、第1の実施の形態の不透水シート9と同様の材質・仕様のものが用いられる。図6に示すように、空隙層40とブロック35との接する部分の全面に不透水シート29が貼り付けられている場合には、上述したように、ブロック35自身には不透水性が必要でない。
【0055】
次に、コンクリート構造物21と補強地盤との一体化方法について説明する。コンクリート構造物21と背面の補強地盤とを図4に示すように一体化するには、まず、コンクリート構造物21の構築予定位置の背面23において、補強地盤を形成する。
【0056】
補強地盤を形成するには、図6に示すように、ジオテキスタイル25を設置する作業と、ジオテキスタイル25の内側面26となる面の折り返し部分24付近に立体繊維38を設置して空隙層40を形成する作業と、立体繊維38の内側面28となる面に不透水シート29を設置する作業と、ジオテキスタイル25の上に仮抑え部33bのブロック35および土のう31を設置する作業と、ジオテキスタイル25と立体繊維38と不透水シート29とを折り返し部分24で折り返す作業と、ジオテキスタイル25の上面45に本体部33aの盛土材を撒き出して転圧する作業とを繰り返す。そして、ジオテキスタイル25の端部41a、端部41bを盛土材33に埋設しつつ、複数の盛土層を積層する。
【0057】
なお、補強地盤の形成時には、不透水シート29を貼り付けた立体繊維38を用いてもよい。
【0058】
次に、補強地盤の前側にコンクリート構造物21の躯体部分の鉄筋を組立て、型枠を組み、躯体コンクリートを打設する。打設したコンクリートは、ジオテキスタイル25を介して空隙層40の立体繊維38に回り込み、硬化する。これにより、図6に示す空隙層40が、図5に示す付着層27となる。
【0059】
不透水シート29は、コンクリート構造物21の躯体コンクリート打設時に、コンクリートの側圧を受ける。しかし、不透水シート29の空隙層40側は、立体繊維38で水圧を受け、ジオテキスタイル25が引張材となるので、容易に水圧に耐えることができる。一方、逆に、コンクリートの打設圧に対しては、盛土材33が抵抗するため、容易に耐えることができる。
【0060】
このように、第2の実施の形態によれば、付着層27の内側面28に沿って不透水シート29を配置し、付着層27の端部39を覆うように不透水シート29の端部37を巻き返す。これにより、盛土材33中の地下水がコンクリート構造物21側に混入することがなくなるため、コンクリート構造物21の躯体鉄筋組立て、型枠組立ての作業時に、鉄筋が錆びる、型枠内面(コンクリートと接する面)が汚れるなどの懸念がない。また、型枠内に水がたまることがなく、コンクリート構造物21の躯体コンクリートの品質を確保することができる。
【0061】
さらに、打設した躯体コンクリートが分離してモルタル成分やペースト成分が盛土材33に浸透・逸散することがないので、躯体コンクリートの強度や密実性などの性能が損なわれる恐れがない。また、ジオテキスタイル25が埋設される(接する)部分のコンクリートの品質が安定するため、ジオテキスタイル25が受ける引張力をより確実に定着して、コンクリート構造物21と補強地盤とを一体化することができる。
【0062】
第2の実施の形態では、ジオテキスタイル25と盛土材33との間に設けられた立体繊維38に、コンクリート構造物の打設時にコンクリートが回り込むことにより、付着層27が形成される。立体繊維38を設けることにより、躯体コンクリートが回り込むための空隙層40を確保して、付着層27を確実に形成することができる。
【0063】
第2の実施の形態では、盛土材33の、最もコンクリート構造物21側の部分がブロック35で構成される。ジオテキスタイル25が折り返された空間の内部に、剛な材料であるブロック35を配置することにより、盛土材33の転圧時に空隙層40が潰れてしまうことを防ぎ、躯体コンクリートのモルタル分を空隙層40に十分回り込ませて、付着層27を確実に形成することができる。
【0064】
なお、第2の実施の形態では、不透水性でないブロック35を用い、空隙層40とブロック35が接する面の全体に不透水シート29を貼り付けたが、不透水シートの貼り付け位置はこの限りでない。
【0065】
図7は、付着層27の端部39付近のみに不透水シートを貼り付けた例を示す図である。図7の(a)図では、不透水シート29aが、付着層27の端部39を覆うように巻き返して配置される。不透水シート29aの一端は、付着層27とジオテキスタイル25との間に挟まれ、他端は、付着層27とブロック35との間に挟まれる。
【0066】
図7の(b)図では、不透水シート29bが、付着層27の端部39とブロック35の背面47との境界部分を覆うように配置される。不透水シート29bの一端は、付着層27とジオテキスタイル25との間に挟まれ、他端は、ブロック35の背面47に沿って配置される。
【0067】
躯体コンクリートの打設時にコンクリート構造物21側からブロック35にコンクリートのモルタル分が浸透せず、且つ、盛土材からの地下水が躯体コンクリートに混入しなければ、図7に示すように、付着層27の端部39付近のみに不透水シートを貼り付ければよい。なお、図7に示す例の場合、ブロック35自身に不透水性が必要となる。
【0068】
図7に示す例においても、付着層27の端部39付近に不透水シートを貼り付けることにより、盛土材中の地下水がコンクリート構造物側に混入することがなくなる。また、打設した躯体コンクリートが分離してモルタル成分やペースト成分が盛土材に浸透・逸散することがなくなる。そのため、第2の実施の形態と同様に、躯体コンクリートの品質を確保できる。
【0069】
次に、第3の実施の形態について説明する。図8は、コンクリート構造物51と補強地盤との一体化構造の拡大図である。
図8に示すように、コンクリート構造物51の背面53には、補強地盤が形成される。補強地盤は、ジオテキスタイル55、付着層57、止水部材である不透水シート59、盛土材63等からなる。また、図8に示す一体化構造では、盛土材63内の水をコンクリート構造物51の外部に排水する水抜きパイプ73が設けられる。
【0070】
盛土材63は、コンクリート構造物51の背面53側に設置される。盛土材63は、本体部63aと、施工時における盛土の安定を確保するための仮抑え部63bとからなる。本体部63aには、砕石や埋め戻し土等が用いられる。仮抑え部63bには、ブロック65および土のう61が用いられる。仮抑え部63bでは、ブロック65がコンクリート構造物51側に配置され、土のう61が本体部63a側に配置される。
【0071】
ブロック65には、転圧後の土のう61と同程度以上の剛性があればよい。ブロック65には、市販のコンクリートブロック、軽量コンクリートブロックなどが好適である。第3の実施の形態で用いるブロック65は、不透水性がなくてもよい。
【0072】
ブロック65には、水抜きパイプ73を挿通するための孔67が必要である。市販の軽量コンクリートブロックを利用する場合には、ブロック65の孔67をコンクリート構造物51側に向けて水平方向とすれば、ブロック65を加工する必要がなく、好適である。
【0073】
ジオテキスタイル55は、コンクリート構造物51の背面53に沿って折り返し部分54が形成される。折り返した部分は、仮抑え部63bの背面に巻き返され、端部79a、端部79bが盛土材63に埋設される。ジオテキスタイル55は、第1の実施の形態のジオテキスタイル5と同様の材質・仕様のものが用いられる。ジオテキスタイル55には、コンクリート構造物51の躯体コンクリートの成分が浸透し、硬化している。
【0074】
付着層57は、ジオテキスタイル55の折り返し部分54付近の内側面に沿って設けられる。付着層57の端部69は、例えば、盛土材63の仮抑え部63bのブロック65と土のう61との境界付近に位置する。
【0075】
躯体コンクリートを打設する前の状態では、ジオテキスタイル55の内側面に沿って配置された図示しない立体繊維により、ジオテキスタイル55と不透水シート59との間に空隙層が形成されている。立体繊維は、ジオテキスタイル55を折り返すのと同程度の曲率で、人力で容易に曲げられることが好ましい。
【0076】
付着層57は、コンクリート構造物51の躯体コンクリートの打設時に、空隙層の立体繊維に躯体コンクリートの成分が浸透し、硬化することにより形成される。立体繊維は、第1の実施の形態の立体繊維18と同様の材質・仕様のものが用いられる。また、立体繊維により形成される空隙層の厚さは、第1の実施の形態の空隙層20と同様の理由により、50mm以上を必要とする。
【0077】
不透水シート59は、付着層57と盛土材63のブロック65との間に設けられる。不透水シート59は、付着層57の内側面に沿って配置される。不透水シート59の端部71は、付着層57の端部69を覆うように巻き返されて、付着層57とジオテキスタイル55との間に挟まれる。不透水シート59は、第1の実施の形態の不透水シート9と同様の材質・仕様のものが用いられる。空隙層とブロック65との接する部分の全面に不透水シート59が貼り付けられている場合には、上述したように、ブロック65自身には不透水性が必要でない。
【0078】
水抜きパイプ73は、ブロック65の孔67に適当な排水勾配をつけて配置される。水抜きパイプ73の盛土材63側には、従来と同様に吸出し防止材75を取り付けるのがよい。ジオテキスタイル55、付着層57、不透水シート59は、水抜きパイプ73が貫通するように加工される。水抜きパイプ73の貫通部77として不透水シート59に開けた孔の部分は、ビニールテープなどで止水する。
【0079】
次に、コンクリート構造物51と補強地盤との一体化方法について説明する。コンクリート構造物51と背面の補強地盤とを一体化するには、まず、コンクリート構造物51の構築予定位置の背面53において、補強地盤を形成する。
【0080】
補強地盤を形成するには、ジオテキスタイル55を設置する作業と、ジオテキスタイル55の内側面となる面の折り返し部分54付近に立体繊維を設置して空隙層を形成する作業と、立体繊維の内側面となる面に不透水シート59を設置する作業と、ジオテキスタイル55の上に仮抑え部63bのブロック65および土のう61を設置する作業と、ジオテキスタイル55と立体繊維と不透水シート59とを折り返し部分54で折り返す作業と、ジオテキスタイル55の上に本体部63aの盛土材を撒き出して転圧する作業とを繰り返す。そして、ジオテキスタイル55の端部79a、端部79bを盛土材63に埋設しつつ、複数の盛土層を積層する。
【0081】
なお、補強地盤の形成時には、不透水シート59を貼り付けた立体繊維を用いてもよい。
【0082】
次に、水抜きパイプ73を設置し、補強地盤の前側にコンクリート構造物51の躯体部分の鉄筋を組立て、型枠を組み、躯体コンクリートを打設する。打設したコンクリートは、ジオテキスタイル55を介して立体繊維に回り込み、硬化する。これにより、空隙層が、図8に示す付着層57となる。
【0083】
このように、第3の実施の形態によれば、付着層57の内側面に沿って不透水シート59を配置し、付着層57の端部69を覆うように不透水シート59の端部71を巻き返す。これにより、盛土材63中の地下水がコンクリート構造物51側に混入することがなくなるため、コンクリート構造物51の躯体鉄筋組立て、型枠組立ての作業時に、鉄筋が錆びる、型枠内面(コンクリートと接する面)が汚れるなどの懸念がない。また、型枠内に水がたまることがなく、コンクリート構造物51の躯体コンクリートの品質を確保することができる。
【0084】
さらに、打設した躯体コンクリートが分離してモルタル成分やペースト成分が盛土材63に浸透・逸散することがないので、躯体コンクリートの強度や密実性などの性能が損なわれる恐れがない。また、ジオテキスタイル55が埋設される(接する)部分のコンクリートの品質が安定するため、ジオテキスタイル55が受ける引張力をより確実に定着して、コンクリート構造物と補強地盤とを一体化することができる。
【0085】
第3の実施の形態では、ジオテキスタイル55と盛土材63との間に設けられた立体繊維に、コンクリート構造物51の打設時にコンクリートが回り込むことにより、付着層57が形成される。立体繊維を設けることにより、躯体コンクリートが回り込むための空隙層を確保して、付着層57を確実に形成することができる。
【0086】
第3の実施の形態では、盛土材63の、最もコンクリート構造物51側の部分がブロック65で構成される。ジオテキスタイル55が折り返された空間の内部に、剛な材料であるブロック65を配置することにより、盛土材63の転圧時に空隙層が潰れてしまうことを防ぎ、躯体コンクリートのモルタル分を空隙層に十分回り込ませて、付着層57を確実に形成することができる。
【0087】
第3の発明では、盛土材63内の水をコンクリート構造物51の外部に排水する水抜きパイプ73が設けられる。水抜きパイプ73を設けることにより、盛土材63内の水をコンクリート構造物51の外部に確実に排水し、補強地盤を安定した状態に保つことができる。
【0088】
なお、第1から第3の実施の形態では、立体繊維を用いて空隙層を形成したが、空隙層の形成方法はこれに限らない。空隙層は、ジオテキスタイルと盛土材との間に空隙を有する部材を設置して形成すればよい。空隙を有する部材は、コンクリートが硬化するまでの期間、腐食などすることなく、多少の剛性を有するものであればよく、樹脂製や金属性の立体繊維の他、クラッシャーラン等を用いてもよい。また、必要とする機能を満たせば、単一素材でなくともよい。
【0089】
第2、第3の実施の形態では、盛土材の仮抑え部のコンクリート構造物側にブロックを配置したが、ブロックは必須ではない。ジオテキスタイルを折り返す部分の盛土材は敷設時に転圧されるが、転圧によって空隙層が潰れてしまうと、躯体コンクリートのモルタル分が空隙層に十分回り込めないことがある。そうした場合には、空隙層が折り返された空間の内部に、ブロックなどの剛な材料を配置する必要がある。
【0090】
一方、ジオテキスタイルを折り返す部分の盛土材である砕石やクラッシャーラン等を充填した土のうの部分を転圧する必要がないときは、ブロックは不要である。また、盛土材を転圧して空隙層が多少潰れても、打設した躯体コンクリートから空隙層にモルタル成分が十分に浸透すれば必要な剛性を確保できるため、盛土材転圧後にも空隙層を構成する材料がモルタル成分が浸透するだけの体積や目の大きさを有する場合にも、ブロックは不要である。
【0091】
以上、添付図を参照しながら、本発明の実施の形態を説明したが、本発明の技術的範囲は、前述した実施の形態に左右されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【符号の説明】
【0092】
1、21、51………コンクリート構造物
3、23、43、47、53………背面
4、24、54………折り返し部分
5、25、55………ジオテキスタイル
6、26、8、28………内側面
7、27、57………付着層
9、29、29a、29b、59………不透水シート
13、33、63………盛土材
15、17、19a、19b、37、39、41a、41b、69、71、79a、79b………端部
18、38………立体繊維
20、40………空隙層
31、61………土のう
35、65………ブロック
73………水抜きパイプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物と、前記コンクリート構造物の背面の補強地盤との一体化構造であって、
コンクリート構造物の背面側に設置された盛土材と、
前記コンクリート構造物の背面に沿って折り返し部分が形成され、両端が前記盛土材に埋設されたジオテキスタイルと、
前記ジオテキスタイルの前記折り返し部分付近の内側面に沿って設けられた付着層と、
前記付着層と前記盛土材との間に設けられた止水部材と、
を具備することを特徴とするコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項2】
前記付着層は、前記ジオテキスタイルと前記盛土材との間に設けられた空隙を有する部材に、前記コンクリート構造物の打設時にコンクリートが回り込むことにより形成されたことを特徴とする請求項1記載のコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項3】
前記盛土材の、最も前記コンクリート構造物側の部分が、ブロック材で構成されたことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項4】
前記止水部材は、前記付着層の内側面に沿って配置された不透水シートであり、前記不透水シートの端部が、前記付着層の端部を覆うように巻き返されて前記付着層と前記ジオテキスタイルとの間に挟まれることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれかに記載のコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項5】
前記止水部材は、前記付着層の端部を覆うように巻き返して配置された不透水シートであり、一端が前記付着層と前記ジオテキスタイルとの間に挟まれ、他端が前記付着層と前記ブロック材との間に挟まれることを特徴とする請求項3記載のコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項6】
前記止水部材は、前記付着層の端部と前記ブロック材の背面との境界部分を覆うように配置された不透水シートであり、一端が前記付着層と前記ジオテキスタイルとの間に挟まれ、他端が前記ブロック材の背面に沿って配置されることを特徴とする請求項3記載のコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項7】
前記盛土材内の水を前記コンクリート構造物の外部に排水する水抜きパイプをさらに具備することを特徴とする請求項1から請求項6のいずれかに記載のコンクリート構造物と補強地盤との一体化構造。
【請求項8】
コンクリート構造物と、前記コンクリート構造物の背面の補強地盤との一体化方法であって、
コンクリート構造物の構築予定位置の背面に、盛土材と、前記コンクリート構造物の背面に沿って折り返し部分が形成されて両端が前記盛土材に埋設されたジオテキスタイルと、前記ジオテキスタイルの前記折り返し部分付近の内側面に沿って空隙を有する部材を設けて形成された空隙層と、前記空隙層と前記盛土材との間に設けられた止水部材と、を設置する工程(a)と、
前記コンクリート構造物の構築予定位置にコンクリートを打設し、前記ジオテキスタイルを介して前記空隙を有する部材に打設コンクリートが回り込むことにより、前記空隙層を付着層とする工程(b)と、
を具備することを特徴とするコンクリート構造物と補強地盤との一体化方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−233347(P2012−233347A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−102660(P2011−102660)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【出願人】(000173784)公益財団法人鉄道総合技術研究所 (1,666)
【出願人】(501232528)株式会社複合技術研究所 (18)
【出願人】(000001373)鹿島建設株式会社 (1,387)
【Fターム(参考)】