説明

コンセント差込プラグ抜け防止器具

【課題】プラグがコンセントから容易に外れるのを防止するコンセント差込プラグ抜け防止器具を提供する。
【解決手段】コンセントボックスのプレート取付孔にビス留めされたリング状部材と、コンセントにプラグを差し込んだケーブルに取り付けられたフック状部材とを備え、リング状部材にフック状部材を引っ掛けられるように構成されているコンセント差込プラグ抜け防止器具(10)。コンセントボックスのプレート取付孔にビス留めされたフック状部材と、コンセントにプラグを差し込んだケーブルに取り付けられたリング状部材とを備え、フック状部材にリング状部材を引っ掛けられるように構成されているコンセント差込プラグ抜け防止器具(20)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセント差込プラグが抜けるのを防止するための器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、壁付きコンセントにプラグを差し込んだ際、プラグ付きケーブルは、プラグとコンセント穴の摩擦力のみでコンセントに保持するのが通常である。
【0003】
一方、プラグのコンセントからの抜けを防止するための工夫を凝らした提案もなされている(たとえば、特許文献1、2参照)。
【0004】
【特許文献1】特許第4482249号公報
【特許文献2】実開平05−45951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
摩擦力のみでプラグを保持しようとすると、図9に示されるように、ケーブル自身の重さによってプラグがコンセントから徐々に外れるという不都合がある(これは、特に太いケーブルが使用される業務用ケーブルの場合に顕著である)。また、プラグがコンセントから徐々に外れてプラグとコンセントとの間に隙間が生ずると、隙間に埃等が入り込み易くなるため、漏電や火災などの原因となり得るという課題もある。また、ケーブルに足を引っ掛けるとコンセントからプラグが容易に外れるが、これにより使用している電気機器が故障したり電気機器の動作停止による2次災害が発生するおそれがある。また、ケーブルに足を引っ掛けると、コンセントボックスの差込口の周辺が破損したりプラグが折れ曲がったりする等の不都合が生ずるおそれがある。さらに、ケーブルの自重によりプラグがケーブルによって常時引っ張られているため、プラグとケーブルの接続部分が破断してくるおそれがある。
【0006】
一方、特許文献1の提案は、構造の複雑な専用の器具を準備しなければならないため、コスト高になるとともに、設置の手間が煩雑である等の不都合があり、特許文献2の提案は、固定用線状部材がプラグに取り付けられているため、後施工ができない等の不都合がある。
【0007】
本発明は、このような状況に鑑みて案出されたものであって、プラグがコンセントから容易に外れるのを防止するコンセント差込プラグ抜け防止器具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願請求項1に記載のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、コンセントボックスのプレート取付孔にビスで取り付けられたリング状部材と、コンセントにプラグを差し込んだケーブルの所定個所に取り付けられたフック状部材とを備え、前記リング状部材に前記フック状部材を引っ掛けられるように構成されていることを特徴とするものである。
【0009】
本願請求項2に記載のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、前記請求項1の器具において、前記リング状部材が、リングと、前記リングの1個所に配置されたビス用孔付き取付片とを有していることを特徴とするものである。
【0010】
本願請求項3に記載のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、前記請求項1又は2の器具において、前記フック状部材が、フックと、前記フックをケーブルに取り付けるための取付片とを有していることを特徴とするものである。
【0011】
本願請求項4に記載のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、コンセントボックスのプレート取付孔にビスで取り付けられたフック状部材と、コンセントにプラグを差し込んだケーブルの所定個所に取り付けられたリング状部材とを備え、前記フック状部材に前記リング状部材を引っ掛けられるように構成されていることを特徴とするものである。
【0012】
本願請求項5に記載のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、前記請求項4の器具において、前記フック状部材が、フックと、前記フックをプレートに取り付けるためのビス用孔付き取付片とを有していることを特徴とするものである。
【0013】
本願請求項6に記載のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、前記請求項4又は5の器具において、前記リング状部材が、リングと、前記リングをケーブルに取り付けるための取付片とを有していることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明のコンセント差込プラグ抜け防止器具を使用することにより、プラグがコンセントから容易に外れるのを防止することができ、これにより漏電、火災、電気機器の故障や動作停止による2次災害の発生、差込口周辺の破損、プラグの損傷などを回避することができる。また、本発明のコンセント差込プラグ抜け防止器具により、ケーブルの自重による過重な引張力がプラグに生じないようにすることができるため、プラグとケーブルとの接続部分が破断するおそれを回避することができる。本発明のコンセント差込プラグ抜け防止器具は、既存のコンセントボックスを利用する簡単な構造のものであるため、製造コストが低廉であり設置も容易であるとともに、故障することも殆どなく、維持管理コストも安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、図面を参照して、本発明の第1の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具について説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具の全体を示した斜視図、図2は、図1のコンセント差込プラグ抜け防止器具の各構成要素を分解して示した斜視図である。
【0016】
図1において全体として参照符号10で示される第1の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具は、コンセントボックスのプレート(化粧板)取付孔にビスで取り付けられたリング状部材12を備えている。
【0017】
図3は、リング状部材12を示した拡大図である。リング状部材12は、リング12aと、リング12aの1個所に配置された取付片12bとを有しており、取付片12bには、ビス用の孔12b1が設けられている(図3(a)参照)。取付片付きの円筒体12′bを準備し、所定長さのワイヤ12′aの各端を円筒体12′bの各端から円筒体12′b内に挿入して各端を重ね合わせた状態で円筒体12′bを圧着することによって、リング状部材12を形成してもよい(図3(b)参照)。
【0018】
コンセント差込プラグ抜け防止器具10はまた、ケーブルの所定個所に取り付けられたフック状部材14を備えている。フック状部材14の取り付け個所としては、ケーブルの自重による過重な引張力がプラグに生じないように、ケーブルのプラグに近接した任意の個所が選定される。
【0019】
図4は、フック状部材14を示した拡大図である。フック状部材14は、フック14aと、フック14aをケーブルに取り付けるための取付片14bとを有している。側面が長手方向に割れたスリーブ管を取付片14bとして準備し、ケーブルに装着された取付片14bに、フック14aとなるJ形金具の端部を挿入し、ケーブルの所定個所において取付片14bを圧着することによって、フック状部材14を形成してもよい(図4(a)参照)。或いは、フック状部材14として、フック14aとなるJ形部分を有する合成樹脂製の結束バンド(例えば、登録商標「インシュロック」など)を用いてもよい(図4(b)参照)。
【0020】
コンセント差込プラグ抜け防止器具10は、コンセントボックスに取り付けられたリング状部材12に、ケーブルの所定個所に取り付けられたフック状部材14を引っ掛けることによって使用される。
【0021】
図5は、2本のケーブルに対応したコンセント差込プラグ抜け防止器具10を示した図である。各ケーブルの所定個所にそれぞれフック状部材14を取り付け、各フック状部材14をリング状部材12に引っ掛けることにより、2本のケーブルにも対応することができる。
【0022】
次に、本発明の第2の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具について説明する。図6は、本発明の第2の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具の全体を示した斜視図、図7は、図6のコンセント差込プラグ抜け防止器具の各構成要素を分解して示した斜視図である。
【0023】
図6において全体として参照符号20で示される第2の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具は、コンセントボックスのプレート(化粧板)取付孔にビスで取り付けられたフック状部材22を備えている。
【0024】
フック状部材22は、フック22aと、ビス用の孔22b1が設けられた取付片22bとを有している。図8(a)、(b)は、フック状部材22の一例を示した拡大図である。図8(a)に示されるフック状部材22は、取付片22bとしてビス用孔22b1付きの円筒体を準備し、ワイヤ製のフック22aの一端を円筒体に挿入して圧着することによって形成されている。図8(b)に示されるフック状部材22では、円筒体に挿入されるフック22aの一端が脱落防止のため折り曲げられている。
【0025】
コンセント差込プラグ抜け防止器具20はまた、ケーブルの所定個所に取り付けられたリング状部材24を備えている。リング状部材24の取り付け個所としては、ケーブルの自重による過重な引張力がプラグに生じないように、ケーブルのプラグに近接した任意の個所が選定される。
【0026】
図8(c)は、リング状部材24の一例を示した拡大図である。リング状部材24は、リング24aと、リング24aをケーブルに取り付けるための取付片24bとを有している。図8(c)に示される例では、側面が長手方向に割れたスリーブ管を取付片24bとして準備し、ケーブルに装着された取付片24bにリング24aを取り付けることによって、リング状部材24が形成されている。
【0027】
コンセント差込プラグ抜け防止器具20は、コンセントボックスに取り付けられたフック状部材22に、ケーブルの所定個所に取り付けられたリング状部材24を引っ掛けることによって使用される。
【0028】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0029】
例えば、前記実施の形態において示されたリング状部材およびフック状部材の形状や寸法は単なる例示的なものにすぎず、本発明の所要の効果を奏するものであれば、他の適当な形状などを採用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具の全体を示した斜視図である。
【図2】図1のコンセント差込プラグ抜け防止器具の各構成要素を分解して示した斜視図である。
【図3】リング状部材を示した拡大図である。
【図4】フック状部材を示した拡大図である。
【図5】2本のケーブルに対応したコンセント差込プラグ抜け防止器具を示した斜視図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具の全体を示した斜視図である。
【図7】図6のコンセント差込プラグ抜け防止器具の各構成要素を分解して示した斜視図である。
【図8】フック状部材およびリング状部材を示した拡大図である。
【図9】ケーブルの自重によってプラグがコンセントから外れかかっている状態を示した図である。
【符号の説明】
【0031】
10 第1の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具
12 リング状部材
12a リング
12b 取付片
12b1 ビス用孔
14 フック状部材
14a フック
14b 取付片
20 第2の実施の形態に係るコンセント差込プラグ抜け防止器具
22 フック状部材
22a フック
22b 取付片
22b1 ビス用孔
24 リング状部材
24a リング
24b 取付片

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンセント差込プラグ抜け防止器具であって、
コンセントボックスのプレート取付孔にビスで取り付けられたリング状部材と、
コンセントにプラグを差し込んだケーブルの所定個所に取り付けられたフック状部材とを備え、
前記リング状部材に前記フック状部材を引っ掛けられるように構成されていることを特徴とする器具。
【請求項2】
前記リング状部材が、リングと、前記リングの1個所に配置されたビス用孔付き取付片とを有していることを特徴とする請求項1に記載された器具。
【請求項3】
前記フック状部材が、フックと、前記フックをケーブルに取り付けるための取付片とを有していることを特徴とする請求項1又は2に記載された器具。
【請求項4】
コンセント差込プラグ抜け防止器具であって、
コンセントボックスのプレート取付孔にビスで取り付けられたフック状部材と、
コンセントにプラグを差し込んだケーブルの所定個所に取り付けられたリング状部材とを備え、
前記フック状部材に前記リング状部材を引っ掛けられるように構成されていることを特徴とする器具。
【請求項5】
前記フック状部材が、フックと、前記フックをプレートに取り付けるためのビス用孔付き取付片とを有していることを特徴とする請求項4に記載された器具。
【請求項6】
前記リング状部材が、リングと、前記リングをケーブルに取り付けるための取付片とを有していることを特徴とする請求項4又は5に記載された器具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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