説明

コンセント

【課題】座金の回転を制限する回転制限部の効果が座金の位置によらずに維持されるコンセントを提供する。
【解決手段】端子収納凹部12に収納された接地端子2は、ねじ穴が貫設された接地端子板21と、接地端子板21のねじ穴に螺合する端子ねじ22と、端子ねじ22が挿通されるねじ挿通穴が貫設され端子ねじ22の頭部22bと接地端子板21との間に挟まれ接地線を接地端子板21との間に挟持する座金23とを備える。端子ねじ22の軸方向は前後方向(図の上下方向)に対して傾斜しているが、端子収納凹部12の内面に設けられ座金23に当接して座金23の回転を制限する回転制限部12dも、端子ねじ22と同様に傾斜している。端子ねじ22の軸方向にそって座金23が変位しても、座金23が回転制限部12dから離れることがないから、回転制限部12dによる座金23の回転を制限する効果が維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンセントに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、栓刃挿入口が前面に設けられ施工面に取り付けられるハウジングと、それぞれハウジング内に収納され電源に電気的に接続されるとともに栓刃挿入口から挿入される栓刃に接触導通する複数個の刃受けと、ハウジングの前面に設けられた端子収納凹部内に収納されて接地線が接続される接地端子とを備えるコンセントが提供されている。
【0003】
接地端子としては、ハウジングに対して固定され前面に開口したねじ穴を有する接地端子板と、頭部を前方へ向けて接地端子板のねじ穴に螺合する端子ねじと、端子ねじが挿通されるねじ挿通孔を有し端子ねじの頭部と接地端子板との間に挟まれることにより接地端子板の前側に取り付けられ接地端子板との間に接地線を挟持する座金とを有するものが用いられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
この種のコンセントでは、接地線の接続中に座金が回転してしまうと、接地線の接続に支障が生じるため、端子収納凹部の内面に設けられた回転制限部によって座金の回転を制限している。
【0005】
さらに、接地端子板においてねじ穴が設けられた部位の厚さ方向、並びに、端子ねじの軸方向(すなわち接地端子板のねじ穴や座金のねじ挿通穴の軸方向)をそれぞれ前後方向に対して傾斜させることが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この構成を採用すれば、端子ねじの軸方向を前後方向に向ける場合に比べ、前方から座金と接地端子板との間に導入される接地線に発生する曲げを低減して接地線の挿入に必要な力を小さくすることができる。
【特許文献1】特開2007−122990号公報
【特許文献2】特開2007−172889号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記のように端子ねじを傾斜させた場合であって回転制限部を傾斜させない場合のように、座金の変位に伴って座金と回転制限部との距離が変化する場合、座金と回転制限部が最も近くなる位置において回転制限部が座金の動作を阻害しないように回転制限部と座金との位置関係が選択されていると、座金の位置(つまり端子ねじの締め具合)によっては座金が回転制限部から離れすぎてしまい回転制限部が効果を発揮しなくなる可能性がある。
【0007】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、座金の回転を制限する回転制限部の効果が座金の位置によらずに維持されるコンセントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、栓刃挿入口が少なくとも1組前面に設けられ施工面に取り付けられるハウジングと、それぞれハウジング内に収納され電源に電気的に接続されるとともに栓刃挿入口から挿入される栓刃に接触導通する複数個の刃受けと、ハウジングの前面に設けられた端子収納凹部内に収納されて接地線が接続される接地端子とを備え、接地端子は、ハウジングに対して固定され前面に開口したねじ穴を有する接地端子板と、頭部を前方へ向けて接地端子板のねじ穴に螺合する端子ねじと、端子ねじが挿通されるねじ挿通孔を有し端子ねじの頭部と接地端子板との間に挟まれることにより接地端子板の前側に取り付けられ接地端子板との間に接地線を挟持する座金とを有し、接地端子板におけるねじ穴が設けられた部位の厚さ方向並びにねじ穴の軸方向と、端子ねじの軸方向とは、それぞれハウジングの前面に直交する方向に対して傾斜していて、ハウジングにおいて端子収納凹部の内面であって前方から見て端子ねじの軸方向が傾斜した方向の内面には、座金に当接し、接地端子板に対する座金の回転であって端子ねじの軸回りでの回転を制限する回転制限部が設けられ、端子ねじの軸方向と前後方向とに平行な断面において、回転制限部は端子ねじの軸方向に平行であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、 座金が接地端子板に対して前後方向に変位する際に前方から見た位置が変化しても、回転制限部が端子ねじと同様に傾斜していることにより座金が回転制限部から離れることがないから、回転制限部の効果が確保される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。以下、図2の上下方向を前後方向と呼び、図2の右下−左上方向を左右方向と呼び、図2の左下−右上方向を上下方向と呼ぶ。なお、上記の方向は、説明の便宜上のものであって、実際の使用状態での上下左右は必ずしも上記の上下左右には一致しない。
【0011】
本実施形態は、図2に示すように、充電部が収納される収納凹部11が前面に設けられたボディ1aと、3個1組の栓刃挿入口10が前面に上下に並べて2組設けられボディ1aの前側に結合して収納凹部11を覆うカバー1bとで構成されたハウジング1を備える。また、カバー1bの下端部には、後側の開口をボディ1aに閉塞されて端子収納凹部12(図10参照)を構成する接地端子穴12aが前後に貫設されている。さらに、端子収納凹部12に収納されて接地線EC(図10参照)が接続される接地端子2を備える。また、ハウジング1には、端子収納凹部12を開閉する扉体3が取り付けられている。さらに、カバー1bの前面の下端部には、端子収納凹部12を閉じた状態の扉体3が収納される扉収納凹部12bが設けられている。接地端子穴12aは、扉収納凹部12bの底面に開口している。
【0012】
ボディ1aとカバー1bとは、それぞれ例えばユリア樹脂のような熱硬化性樹脂からなり、施工面(図示せず)への取付のための取付枠を兼ねた組立枠4により結合されている。組立枠4は、図3に示すように、JIS C 8375に規定された取付枠に準じた寸法及び形状に形成され、3個モジュール寸法に形成された露出穴41を有する。露出穴41の左右には、それぞれ係合穴42aが左右に貫設されてU字形状に形成された結合片42が、上下に並べて2個ずつ後方へ突設されている。また、係合穴42aの内周の前端には、当接突起43が後方へ突設されている。ボディ1a及びカバー1bの左右の側面には、それぞれ結合突起13a,13bが上下に並べて2個ずつ突設されていて、カバー1bの結合突起13bの前面には凹部13cが設けられている。そして、各結合突起13a,13bが組立枠4の係合穴42aに挿入され、組立枠4の当接突起43がカバー1bの結合突起13bの凹部13cに挿入されるとともにボディ1aの結合突起13aの後面が組立枠4の結合片42に係止されることによって、カバー1bの前面が露出穴41から露出する形でボディ1aとカバー1bとは結合している。さらに、既に述べたように組立枠4は施工面への取付用の取付枠を兼ねているので、組立枠4の上下両端部にはそれぞれ施工面への取付用の取付片44が設けられている。各取付片44には、それぞれ施工面に埋込配設される周知の埋込ボックス(図示せず)への取付用のボックスねじが挿通される左右に長い長円形状のボックス穴44aと、ボックス穴44aの左右にそれぞれ位置し、施工面がパネル材で構成されている場合にそのパネル材を取付片との間で挟む周知のはさみ金具(図示せず)が取り付けられるL字形状のはさみ穴44bと、ボックス穴44aの上下のうち外側に位置し、前方から見て組立枠4を覆うプレート枠(図示せず)を取り付けるためのねじが挿通されるプレート穴44cと、プレート穴44cの左右にそれぞれ位置し、施工面を構成する壁材に螺合する直付け用のねじが挿通される直付け穴44dとが、それぞれ前後に貫設されている。
【0013】
各栓刃挿入口10は、それぞれJIS C 8303に規定された定格125V、15A用の接地極付きプラグ(図示せず)に対応した形状であって、電圧側極の栓刃が挿入される上下に長い電圧側栓刃挿入口10aと、電圧側栓刃挿入口10aの左側に設けられ電圧側栓刃挿入口10aよりも上下に長く接地側極の栓刃(図示せず)が挿入される接地側栓刃挿入口10bと、電圧側栓刃挿入口10aと接地側栓刃挿入口10bとに挟まれた位置の下側に設けられ接地極の栓刃(図示せず)が挿入される接地栓刃挿入口10c,10dとからなる。下側の栓刃挿入口10の接地栓刃挿入口10dは、接地端子穴12a(端子収納凹部12)の上側に連通している。これにより、下側の接地栓刃挿入口10dと接地端子穴12aとの間の壁をカバー1bに設ける場合に比べ、2組の栓刃挿入口10と接地端子2とを上下に並べ且つ3個モジュールの寸法に収める設計が容易となっている。
【0014】
また、収納凹部11には、収納凹部11を左右に並んだ3個の収納室11a〜11cに仕切る仕切り突起11dが突設されている。右側の収納室11aには電圧側極の充電部となる電圧側導電板5aが収納され、左側の収納室11bには接地側極の充電部となる接地側導電板5bが収納され、中央の収納室11cには接地極の充電部となる接地導電板5cが収納されている。各導電板5a〜5cはそれぞれ金属板に打ち抜き加工と曲げ加工とが施されてなる。
【0015】
電圧側導電板5a及び接地側導電板5bは、図4に示すように、上下に並べて2個設けられそれぞれ後向きU字形状の端子部51と、端子部51の上下両側に設けられそれぞれ栓刃挿入口10a,10bから挿入された栓刃を厚さ方向(左右方向)の両側から弾性的に挟持する2個の刃受け部52とを有する。
【0016】
また、接地導電板5cは、図5に示すように、上下に2個並べて設けられそれぞれ接地栓刃挿入口10cから挿入された接地極の栓刃を左右両側から弾性的に挟持する接地刃受け部53と、接地刃受け部53間を連結する刃受け連結部54と、刃受け連結部54の下端から前方へ突設された端子連結部55と、端子連結部55の左右両端にそれぞれ設けられそれぞれ後向きU字形状の2個の端子部51とを有する。連結部54は、厚さ方向を前後方向に向けた上下に長い底部54aと、機械的強度の向上のために底部54aの左右両端からそれぞれ前方へ突設された補強リブ54bと、補強リブ54bの上端付近から前方へ突設されカバー1bの後面に当接する浮き止め部54cとからなる。浮き止め部54cは、栓刃が抜かれる際に接地刃受け部53が前方へ引張られても接地導電板5cがハウジング1に対して前方に変位してしまうことを防ぐものである。
【0017】
また、各導電板5a〜5cの端子部51は、ボディ1aに前後に貫設された電線挿入穴(図示せず)から導入された電線(図示せず)が接触導通する部位であって、端子部51の内側に配置されて端子部51の内面との間に上記電線を鎖錠する鎖錠ばね61と、鎖錠ばね61の鎖錠を解除するための解除釦62とともに速結端子を構成する。具体的に説明すると、鎖錠ばね61は例えば金属製の板ばねからなり、図4に示すように、端子部51の内面であって左右方向の内側の面に当接する本体部61aと、本体部61aの後端(図4における下端)から左右方向の外向きにU字形状に曲成され前方へ向かって左右方向の外向きに傾斜し電線に食込むことにより抜け止め(鎖錠)する鎖錠部61bとを有する。なお、図4には、6個の端子部51に1個ずつ設けられた鎖錠ばね61のうち、電圧側導電板5a及び接地側導電板5bに対応する計4個の鎖錠ばね61のみを図示している。
【0018】
また、解除釦62は、図6に示すように、ハウジング1の外側に位置する操作表示部62aと、操作表示部62aから上下に2個並べて内向きに突設された脚部62bとを有する。ボディ1aの収納凹部11の左右両側には、収納凹部11の内外に連通しボディ1aの前方に開放されてカバー1bの後面との間で収納凹部11の内外に連通した貫通穴を構成する切り欠き11eが設けられており、解除釦62は各脚部62bがそれぞれ切り欠き11eに挿通されることによりハウジング1に対して前後に変位可能に支持されている。ボディ1aの左右の側面は、それぞれ前後方向の中央部を外側へ膨出させる曲面となっており、解除釦62は、前後への変位時に操作表示部62aが上記曲面上を摺動することにより、前方への変位に伴って脚部62bの収納凹部11内への突出寸法を大きくするように僅かに回転する。
【0019】
また、解除釦62の各脚部62bは収納凹部11内においてそれぞれ鎖錠ばね61に臨んでいる。電線が鎖錠ばね61に鎖錠されているときに、操作表示部62aが前方へ変位するように操作されると、各脚部62bが上記電線を挟んで互いに異なる側においてそれぞれ鎖錠ばね61を押圧して弾性変形させることにより鎖錠が解除される。
【0020】
さらに、解除釦62は、収納凹部11に収納された板ばねからなる表示ばね(図示せず)によってハウジング1に対して後向き(すなわち鎖錠解除時に操作される向きの逆向き)に付勢されている。端子部51においてボディ1aの電線挿入穴の前側には電線挿通穴51aが前後に貫設され、この電線挿通穴51aに対して左右方向の外側には係止突起51bが前方へ突設されている。ここで、解除釦62は、ハウジング1内で脚部62bに挟まれる位置の前側に位置して係止突起51bに係脱自在に係止される被係止部62cを有する。
【0021】
そして、解除釦62は、鎖錠ばね61に電線が鎖錠されていない状態では、可動範囲の前側端部に位置し、被係止部62cが係止突起51bに係止されることで後方への移動を禁止されている。この状態で、電線挿入穴から挿入された電線が電線挿通穴51aを通過して被係止部62cを前方へ押圧し、係止突起51bの被係止部62に対する係止が解除されると、解除釦62は表示ばねのばね力によって一気に後方へ変位する。これを見て、使用者は電線の接続の完了を明確に知ることができる。
【0022】
また、扉体3は例えば合成樹脂成形品からなり、図3及び図7に示すように、端子収納凹部12を覆う覆い部31と、左右に並べて2個設けられそれぞれハウジング1に結合する結合部32と、各結合部32と覆い部31との間にそれぞれ介在して他の部位よりも薄肉に形成されて覆い部31を結合部32に対して左右方向から見て回転可能に支持する連結部33とを備える。各結合部32の先部には、それぞれ左右方向であって他方の結合部32に近付く方向に係合爪32aが突設されている。図8及び図9に示すように、カバー1bにおいて接地端子穴12aの上側には結合穴14が左右に並べて2個、前後に貫設されており、扉体3は、結合穴14に結合部32が挿通されて各係合爪32aがそれぞれカバー1bの後面に係合することにより、ハウジング1に結合している。すなわち、ハウジング1に結合した結合部32に対して覆い部31が回転することにより、扉体3は開閉する。以下、扉体3に関する説明中では、扉体3が閉じた状態での方向を基準として説明する。
【0023】
カバー1bの前面の下端には、接地端子穴12a内とカバー1bの下方とにそれぞれ開放された接地線挿通溝12cが設けられており、覆い部31の下端には、接地端子2に接続された接地線ECが挿通される穴を接地線挿通溝12cとの間に形成する挿通切り欠き31aが設けられている。
【0024】
さらに、覆い部31の左右両端部には、それぞれ被係止凸部34が後方へ突設され、各被係止凸部34の後端部には、それぞれ被係止爪34aが下方へ突設されている。また、カバー1bの扉体収納凹部12bの内底面の下端部において接地端子穴12aの左右両側には、それぞれ被係止凸部34が挿入される係止穴15が設けられ、各係止穴15の下側の内面(上向きの内面)には、それぞれ被係止爪34aを係止する係止凸部15aが上方へ突設されている。扉体3を閉じた状態では、被係止爪34aが係止凸部15aに係脱自在に係止されることにより、扉体3を開く方向への覆い部31の回転が禁止される。被係止爪34aの係脱は、覆い部31に力を加えて被係止凸部34を弾性変形させることにより行う。
【0025】
また、覆い部31の左右両端部において被係止凸部34の上側には、それぞれ被制限凸部35が後方へ突設されている。扉体収納凹部12bの内底面であって各係止穴15の上側には、それぞれ、扉体3を閉じた状態で被制限凸部35が係入する制限凹部16が設けられている。扉体3の覆い部31が閉位置において下向きの力を受けた場合、制限凹部16の下側の内面に被制限凸部35が当接することにより、ハウジング1に対する覆い部31の下方への変位は禁止され、被係止凸部34に応力がかかりにくくなって被係止凸部34の破損が抑制されている。
【0026】
また、覆い部31の上端部において左右方向の中央部には、ガイド突起36が後方へ突設されている。ガイド突起36が設けられていることにより、プラグの接続時には接地極の栓刃がガイド突起36によってガイドされるから、ガイド突起36を設けない場合に比べて接地極の栓刃が端子収納凹部12の内面や接地端子2に引っかかりにくくなっている。また、ガイド突起36により、扉体3の機械的強度が向上して破損が抑制されている。
【0027】
さらに、覆い部31の後面には、後述する接地端子2の端子ねじ22の頭部22bを避ける球面形状の凹部31bが設けられている。
【0028】
次に、接地端子2について説明する。接地端子2は、図1、図5、並びに、図10〜図12に示すように、ねじ穴21aが前後に貫設された接地端子板21と、接地端子板21のねじ穴21aに螺合する端子ねじ22と、接地端子板21のねじ穴21aに螺合する端子ねじ22の螺合部22aが挿通されるねじ挿通穴23aが前後に貫設され端子ねじ22の頭部22bと接地端子板21との間に挟まれ接地線ECを接地端子板21との間に挟持する座金23とを備える。接地端子板21及び座金23は、それぞれ金属板に打ち抜き加工と曲げ加工とが施されてなる。
【0029】
接地端子板21は、ねじ穴21aが貫設された本体部21bと、本体部21bの上端から後方へ突設された固定部21cとを有する。本体部21bにおいて、ねじ穴21aが設けられた部位にはバーリング加工が施されており、ねじ穴21aの周囲は後方へ円環形状に突出している。さらに、固定部21cは、後端の左右両端部からそれぞれ上方へ突設されるとともにかしめ穴21dが前後に貫設されたかしめ部21eを有する。接地導電ブロック5cの各端子部51にはそれぞれ前面(図5の上面)にかしめ突起51cが突設されていて、かしめ突起51cがかしめ穴21dに挿通されかしめられることにより、接地端子板21は接地導電ブロック5cに機械的且つ電気的に接続されている。
【0030】
さらに、本体部21bの上端であって左右方向の中央部からは、前方へ突出する仕切り部21f(図1では図示略)が固定部21cからの切り起こしによって形成されている。仕切り部21fは、図9に示すように、扉体収納凹部12b内において下側の接地栓刃挿入口10dと接地端子穴12aとを仕切るものである。つまり、接地線ECが下側の接地栓刃挿入口10d内に進入した場合、接地線ECが接地栓刃挿入口10dへの接地極の栓刃の挿入の妨げになる可能性があるが、仕切り部21fが設けられていれば、上記のようなことは防止されるのである。
【0031】
また、本体部21bの前面において、ねじ穴21aの左右両側には、滑り止め凸部21gが2個ずつ上下に並べて前方へ突設されている。各滑り止め凸部21gは、それぞれ細長い形状であって、上下に並んだ滑り止め凸部21g間の距離を左右方向の外側(ねじ穴21aから離れる方向)へ向かって小さくする方向に傾斜している。また、各滑り止め凸部21gは、端子ねじ22の軸方向の前側から見て座金23に覆われる位置に設けられている。すなわち、座金23と接地端子板21との間に挟まれた接地線ECに滑り止め凸部21gが食込むことにより、接地線ECに対する保持力が向上して接地線ECの脱落が発生しにくくなっている。
【0032】
さらに、本体部21bの下端には、補強部21hが後方へ突設されており、これによって、補強部21hが設けられない場合に比べて本体部21bの変形が発生しにくくなっている。また、補強部21hの後端部は、本体部21bに連結された前端部よりも左右方向に突出しており、この後端部はカバー1bの接地端子穴12aの内面に当接する。これにより、補強部21hをカバー1bに当接させない場合に比べてハウジング1に対する接地端子板21の姿勢が安定している。また、補強部21hの左右の端部はそれぞれカバー1bの後側に位置しており、これによってハウジング1に対する接地端子板21の前方への変位が制限されている。
【0033】
また、端子ねじ22は、座金23が着脱不可能に付随した座金付きねじとなっている。つまり、端子ねじ22は、ねじ山が設けられた螺合部22aと頭部22bとの間に、螺合部22aよりも外径が小さく座金23のねじ挿通穴23aに挿通される小径部22cを有する。また、座金23のねじ挿通穴23aの内径は端子ねじ22の螺合部22aの外径よりも小さく、座金23の脱落は螺合部22aによって防止されている。さらに、小径部22cの軸方向(前後方向)での長さ寸法は座金23の厚さ寸法と略同じとしてある。これにより、端子ねじ22の左右の片側でのみ座金23と接地端子板21との間に接地線ECを挟んだ場合にも、座金23の接地端子板21に対する傾きやがたつきが抑えられ、座金23及び接地端子板21と接地線ECとの接触面積が確保されている。
【0034】
座金23は、ねじ挿通穴23aが貫設され前方から見て端子ねじ22の頭部22bに覆われる被保持部23bと、前方から見て端子ねじ22の頭部22bに対し左右方向に突出するように被保持部23bの左右両側にそれぞれ突設され接地線ECを接地端子板21との間に挟む2個の挟み部23cとを有する。各挟み部23cにおいて被保持部23bからの突出方向である左右方向と厚さ方向とに直交する方向である短手方向の両端縁は、それぞれ、被保持部23bからの突出方向である左右方向の外側へ向かって座金23の短手方向の寸法を小さくするように傾斜しており、座金23は全体として菱形となっている。また、座金23の各挟み部23cは、それぞれ、厚さ方向を端子ねじ22の軸方向に向ける平行部23dと、平行部23dの短手方向の両端部からそれぞれ短手方向の外側に突設されそれぞれ短手方向の外側へ向かって後方へ傾斜した傾斜部23eとを有する。平後部23dの短手方向の両端すなわち傾斜部23eとの境界である曲げ部も、それぞれ、長手方向の外側へ向かって平行部23dの短手方向の寸法を小さくするように傾斜している。また、各傾斜部23eは、それぞれ、座金23の長手方向の端に向かって徐々に平行部23dからの突出寸法を大きくするような三角形状となっている。
【0035】
ここで、接地端子板21の本体部21bは、固定部21c側の端である上端から補強部21h側の端である下端に向かって前方へ傾斜している。すなわち、接地端子板21の本体部21bの厚さ方向や、座金23の被保持部23b並びに平行部23dの厚さ方向や、これらに貫設されたねじ穴21a及びねじ挿通穴23aの軸方向や、ねじ穴21aに螺合する端子ねじ22の軸方向は、それぞれ、ハウジング1の前面に直交する方向である前後方向に対し、前方に向かって上向きに傾斜している。これにより、図11のように前斜め下方向から座金23と接地端子板21との間に導入される接地線ECに生じる曲がりが、端子ねじ22の軸方向を前後方向に向ける場合に比べて小さくなり、従って、接地線ECを座金23と接地端子板21との間に挿入する際に必要な挿入力も小さくなっている。
【0036】
また、端子ねじ22の軸周りでの座金23の回転は、下側の接地栓刃挿入口10dの左右いずれか回転方向に応じた一方側において接地端子穴12aの下向きの内面に座金23の挟み部23cの上端が当接することによって制限(ほぼ禁止)されている。つまり、接地端子穴12aの左右両側において接地端子穴12aの下向きの内面がそれぞれ回転制限部12dとなっている。
【0037】
さらに、図1に示すように、各回転制限部12dは、それぞれ端子ねじ22の軸方向に平行となっている。つまり、端子ねじ22の軸方向と前後方向とに平行な断面においても、各回転制限部12dは端子ねじ22の軸方向に平行となっている。
【0038】
上記構成によれば、端子ねじ22の軸方向にそって座金23が変位しても、座金23が回転制限部12dから離れることがないから、回転制限部12dによる座金23の回転を制限する効果が維持される。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】本発明の実施形態の要部を示す扉体を省略した図である。
【図2】同上を示す分解斜視図である。
【図3】同上のカバーと扉体と組立枠とを示す分解斜視図である。
【図4】同上の電圧側導電板と接地側導電板と鎖錠ばねとを示す分解斜視図である。
【図5】同上の接地端子と接地導電板とを示す分解斜視図である。
【図6】同上のボディと解除釦とを示す分解斜視図である。
【図7】同上において扉体が開いた状態の要部を示す斜視図である。
【図8】同上のカバーを示す斜視図である。
【図9】同上のカバーを示す正面図である。
【図10】同上において接地線が接続された状態の要部を示す扉体を省略した正面図である。
【図11】同上において接地線が接続された状態の要部を示す扉体を省略した断面図である。
【図12】同上の要部を示す扉体を省略した正面図である。
【符号の説明】
【0040】
1 ハウジング
2 接地端子
10 栓刃挿入口
12 端子収納凹部
12d 回転制限部
21 接地端子板
21a ねじ穴
22 端子ねじ
23 座金
52 刃受け部
53 接地刃受け部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
栓刃挿入口が少なくとも1組前面に設けられ施工面に取り付けられるハウジングと、それぞれハウジング内に収納され電源に電気的に接続されるとともに栓刃挿入口から挿入される栓刃に接触導通する複数個の刃受けと、ハウジングの前面に設けられた端子収納凹部内に収納されて接地線が接続される接地端子とを備え、
接地端子は、ハウジングに対して固定され前面に開口したねじ穴を有する接地端子板と、頭部を前方へ向けて接地端子板のねじ穴に螺合する端子ねじと、端子ねじが挿通されるねじ挿通孔を有し端子ねじの頭部と接地端子板との間に挟まれることにより接地端子板の前側に取り付けられ接地端子板との間に接地線を挟持する座金とを有し、
接地端子板におけるねじ穴が設けられた部位の厚さ方向並びにねじ穴の軸方向と、端子ねじの軸方向とは、それぞれハウジングの前面に直交する方向に対して傾斜していて、
ハウジングにおいて端子収納凹部の内面であって前方から見て端子ねじの軸方向が傾斜した方向の内面には、座金に当接し、接地端子板に対する座金の回転であって端子ねじの軸回りでの回転を制限する回転制限部が設けられ、
端子ねじの軸方向と前後方向とに平行な断面において、回転制限部は端子ねじの軸方向に平行であることを特徴とするコンセント。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2009−110721(P2009−110721A)
【公開日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−279477(P2007−279477)
【出願日】平成19年10月26日(2007.10.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】