説明

コンタクトレンズの滅菌方法および滅菌システム

【解決手段】コンタクトレンズの滅菌方法は、食塩水を電気分解してなる電解食塩水を用いて、コンタクトレンズを少なくとも部分的に殺菌する工程を含む。コンタクトレンズの滅菌システムは、一次パッケージ内のコンタクトレンズを滅菌するシステムであって、殺生性を有する電解食塩水を製造する電解食塩水製造手段と、所定量の前記電解食塩水を前記電解食塩水製造手段から前記コンタクトレンズを含む前記一次パッケージへと供給する電解食塩水供給手段とを、含んで構成されるコンタクトレンズの滅菌システムを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
感染に対する潜在的な危険性から、コンタクトレンズは、エンドユーザに対して無菌の状態で提供されることが求められる。要求される無菌状態の水準は、様々な米国食品医薬品局(FDA)のガイドラインおよび欧州規格EN556によって管理される。これらの基準においては、レンズ上又はレンズ内に存在する微生物の数は1×10-6以下とすることが定められている。この基準は、一般に10-6または6logの無菌保証レベル(SAL)と呼ばれているものである。
【背景技術】
【0002】
このように要求される滅菌水準は、通常、最終的な滅菌において達成される。即ち、レンズの製造及び包装工程における最終段階において、レンズは滅菌されるのである。滅菌工程は、一般に、温度および(または)圧力に基づく滅菌技法を含んいる。例えば、レンズと所定量の保存用生理食塩水とが最終的な発送用パッケージに密封された後に、最終的な滅菌処理が施されるのであるが、このような滅菌処理としては、一般に、オートクレーブ(圧力滅菌機)内において、滅菌が確実に行われる温度まで加熱する処理が実施されている。
【0003】
より具体的には、滅菌処理は、パッケージされたレンズをオートクレーブ装置内の高温、高湿度、高圧力の条件下に一定時間置くことにより、実施される。なお、オートクレーブの条件は通常、1気圧、121℃において少なくとも15分、より典型的には30分間である。ブリスターパック(一般的な使い捨てのコンタクトレンズのパッケージ方法)で包装されたレンズの場合には、更に、ブリスター・パッケージが破裂するのを防ぐために、加熱時及び冷却時における圧力変化が平衡を保つようにする必要がある。この圧力平衡を保つ必要があることにより、オートクレーブ・サイクルはより長時間を要することとなる。
【0004】
上述の工業的プロセスは、完全に滅菌されたコンタクトレンズを製造可能であるが、このようなバッチ処理的なオートクレーブ滅菌工程は長時間を要し、且つコスト高で、非効率的である。また、この工程は、大量の使い捨てコンタクトレンズ、特に、毎日装用する使い捨て式のコンタクトレンズを、経済的に製造するようにされた他の連続的な製造工程の効率性を損なうこととなる。
【0005】
また、オートクレーブ工程のその他の好ましくない影響のうちの一つとして、レンズパッケージおよびパッケージ内容物に対する潜在的な高温の影響がある。例えば、ラミネート加工されたアルミフォイルにより密閉された、ボート型のコンタクトレンズ用ブリスター・パッケージは、一般に、射出成型されたポリプロピレンにより形成されている。ポリプロピレンは、典型的なオートクレーブ処理において用いられる高温度条件に対しては、比較的影響を受けにくいが、ある程度の物理的なひずみが生じることもある。このようなひずみの発生は、通常、ボートまたはブリスターを比較的厚みをもって形成することにより防ぐことが出来る。ひずみの発生の防止策としては、一般的にはこの方法がとられているが、それは即ち、たとえより薄い壁部からなるパッケージの方が安価で、作製が簡単であるとしても、薄壁のパッケージを使用することができないことを意味している。
【0006】
同様に、オートクレーブ工程中において温度と圧力の変化に晒されることにより、ボートを密閉するために使用されるフォイルにおいても、何らかの外観の劣化が引き起こされる恐れがある。例えば、フォイルに僅かなしわが寄った状態となることが多い。加えて、オートクレーブ装置内の高温・高圧条件下における水の影響から、予め印刷が施されたフォイルの使用は、オートクレーブ工程に適合性のあるインクによるものに制限されてしまう。現在、このような制約に対する対応策としては、一般に、オーバーラベルを、オートクレーブ後のレンズ・パックにラベルを施す方法がとられているが、このことは、生産サイクルに更に別のステップを追加することとなる。
【0007】
更に、オートクレーブを実施することにより、保存用生理食塩水に加える添加物として一部の物質、例えばヒアルロン酸のような、高温では加水分解してしまう物質を使用することが難しくなる。ヒアルロン酸の場合には、オートクレーブにより、ヒアルロン酸分子の平均分子量の好ましからざる低下を招き、さらに、分子量のばらつきも増大せしめられてしまう。
【0008】
また、オートクレーブ処理には、複雑な圧力機器が必要であり、しかも、各オートクレーブ処理においては、オートクレーブ室内のあらゆる箇所において注意深い温度のモニタリングが要求される。法律上要求される滅菌基準やガイドラインを満たすためには、オートクレーブ室内の温度が、規定された温度に所定時間保持されなければならないが、それが実行されない場合には、レンズを再度オートクレーブするか、廃棄する必要がある。そのような失敗は、実際のオートクレーブ装置自体の故障によって生じることもあるが、オートクレーブ内の温度センサーの故障によっても、生じる場合が多い。
【0009】
このような典型的なオートクレーブ手法に基づく最終滅菌処理の問題を解決するために、様々な工夫がなされている。例えば、米国特許第4,464,336号には、強力な紫外線パルス光を用いた、紫外線照射による滅菌方法が示されている。同様に、米国特許第5,034,235号および米国特許第4,871,559号には、食品の表面上の微生物を不活化するために、可視光および紫外光を含む波長域の極度に強い光を、断続的に短時間パルス照射することが示されている。また、米国特許第5,786,598号および米国特許第6,592,816号には、この技術をコンタクトレンズの滅菌方法に適用したものが示されている。
【0010】
米国特許第5,786,598号および米国特許第6,592,816号に記載の技術は、コンタクトレンズの連続的な製造工程を実現可能とするかもしれないが、このアプローチには、いくつかの重要な制約がある。第一に、コンタクトレンズが紫外線カット機能を有している場合、相当量の紫外線が吸収されてしまうことにより、照射による微生物の不活性化作用が阻害されてしまう可能性がある。第二に、レンズおよびレンズ・パッケージ内容物に対する照射に基づくどのような方法であっても、米国特許出願第2004/02383801号に開示されているような不透明なパッケージに対しては、殆ど或いは全く効果を発揮し得ない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によれば、コンタクトレンズの滅菌方法は、食塩水を電気分解してなる電解食塩水を用いて、コンタクトレンズを少なくとも部分的に殺菌する工程を含む。
【0012】
本発明の別の態様によれば、一次パッケージ内のコンタクトレンズを滅菌するシステムであって、殺生性を有する電解食塩水を製造する電解食塩水製造手段と、所定量の前記電解食塩水を前記電解食塩水製造手段から前記コンタクトレンズを含む前記一次パッケージへと供給する電解食塩水供給手段とを、含んで構成されるコンタクトレンズの滅菌システムを提供する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、コンタクトレンズの製造工程における化学滅菌の使用方法およびシステムについて、詳述する。より詳細には、コンタクトレンズ、特に毎日使い捨てのコンタクトレンズの、連続的な製造工程を達成する手段として、コンタクトレンズの製造および包装に際して、電気分解された食塩水をコンタクトレンズの滅菌に使用する方法およびシステムについて、詳述する。なお、明細書および請求項の範囲の記載において、“連続的な”工程とは、製品が、製造工程の1以上の箇所において、別々の一群の処理に分割されるようなバッチ的な処理に対して、製品の連続的に流れる製造工程をいうものとする。
【0014】
高圧滅菌や、紫外線および可視光照射によりコンタクトレンズを滅菌する際の問題点は、適量の滅菌剤や殺生剤を含有する溶液中にコンタクトレンズを包装することにより、克服され得る。多くの殺生剤が、コンタクトレンズ用のケア溶液に適用されており、患者によって、伝統的な装用者や頻回交換型レンズの日常の消毒に用いられている。このような殺生剤には、塩化ベンザルコニウム(BAK)、塩酸ポリヘキサニド(PHMB)およびグルコン酸クロルヘキシジン(CHG)がある
【0015】
しかしながら、そのような殺生剤は、コンタクトレンズの製造や一次パッケージにおいて、滅菌剤として使用されていなかった。蓋し、従来の殺生剤をそのように使用した場合には、患者によって、痛みを含む副作用を起こすからである。例えば、従来の殺生剤をコンタクトレンズに用いれば、過敏反応から結膜炎を起こす可能性がある(ヴァン、ケーテルWG、メルツァー・ヴァンリエムスディクFA,「ソフトレンズ溶液による結膜炎」(接触性皮膚炎6(5):321、1980年参照)。さらに、PHMBの場合は、あるレンズ材料と共に角膜染色の原因となる(プリチャードN,ヤングG,コールマンS,ハントC「多目的ケアシステムに関する角膜染色の主観的・客観的な手段」、コンタクトレンズ&眼球前部,2003年26:3−9参照)。また、BAKの場合は、1:2000より上の濃度で、目に刺激を与えることが報告されている(アメリカの院内医薬品リストサービス,I,II巻,ワシントンDC:米国病院薬剤師会1984年,52:04.12頁)。
【0016】
一方、過酸化水素をベースとするレンズ消毒液の場合、そのような同様の患者への副作用はないようである。人間の目の涙液層のような生物構造内の酵素は、どんな過酸化物も急速に分解することができるからである。しかしながら、レンズ表面上に過酸化水素が存在すれば、微量であっても、装用者に重大な苦痛をもたらすことになる。したがって、過酸化物に基づいたケア溶液は、消毒に続く中和処理が必要となることから、コンタクトレンズの一次パッケージに用いられる滅菌剤としては不適当である。
【0017】
オゾンも、コンタクトレンズの製造環境において、コンタクトレンズと共に包装される滅菌剤の好適な候補として提案されている。例えば、米国特許第5,618,492号公報には、包装容器を密閉する前に、包装用食塩水にオゾンを溶かすようにした、コンタクトレンズの連続的な滅菌工程が開示されている。残余オゾンは、その後UV光照射、あるいは熱によって分解される。しかしながら、この分解工程は、上述の如き不具合に対応するために、高圧滅菌や透明包装を必要とする。
【0018】
その他、いくつかの酸化殺生剤が、製造工程ではなく、消費者環境中で使用されるコンタクトレンズの滅菌・消毒用として、提案されている。一般に、使用後のレンズの滅菌や、製造後の滅菌用として、より低いレベルの殺生剤の活動が認められている。FDAのガイドラインによれば、コンタクトレンズの製造においては、最低限6logまでの細菌の削減が要求されているのに対し、消費者用消毒液は、最低限4logまでの細菌の削減が要求されている。
【0019】
米国特許第6,592,907号公報は、点眼用およびコンタクトレンズ消毒用の両者に好適な、少量の過酸化水素と共に緑泥石塩を含んでいる溶液を開示している。米国特許第5,252,291号公報は、コンタクトレンズの日常的な消毒のため、消費者に使用される電解槽を開示している。コンタクトレンズは食塩水と共に電解槽に置かれる。また、食塩水は電気分解され、自由塩素を解放する。所定時間の後、槽の極性は塩化物に塩素を変換するために逆にされる。しかしながら、これらの手法は、コンタクトレンズの製造に対して要求されるより高いレベルの滅菌を実現できない。
【0020】
副作用や他の合併症の様々な可能性があることから、コンタクトレンズの製造および一次パッケージにおいて、殺生剤の使用は、一般に回避されてきた。それ自身に付随する不利益にもかかわらず、高圧滅菌は、信頼が高い。しかしながら、本出願人は、コンタクトレンズの製造における、殺生剤に関する従来の問題点は、電気分解された食塩水を滅菌剤として一次パッケージに使用することで、解消され得ることを、見出したのである。以下に説明するとおり、電気分解された食塩水は、必要とされる程度の滅菌を実現し、その後、製造から数時間あるいは数日の間に、無害の食塩水へ分解され得る。同様に、他の従来の滅菌技術と共に、電気分解された食塩水を使用すると、必要とされる程度の滅菌を実現し、従来の滅菌技術に付随する不利益を無しに出来なくとも、減らすことができる。
【0021】
近年、「超酸化水」溶液が、強力な殺生剤として知られており、飲用水(参照によって引用されたGB2,257,982参照)の浄化、スイミング・プールの消毒および液体廃棄物の処置に適用されている。そのような溶液は、塩化ナトリウム溶液を電気分解することによって準備される。その際、陽極・陰極の流れが半透膜によって分離され、次に殺生剤溶液を形成するために混合されるよう特別に設計された槽を使用している。「超酸化水」それ自体は、次亜塩素酸ナトリウムと次亜塩素酸のような多くの活性種を含んでおり、一般に、高い酸化還元電位によって類型化されている。典型的には、これらの殺生命剤は不安定で、生成から数時間あるいは数日間の内に無害な物質に分解される。塩素の元素もいくらか生成されることがあり、それは溶液中に溶解して留まることとなる。
【0022】
米国特許第6,296,744号公報および第6,632,347号公報(参照によってその全体が引用される)は、滅菌溶液として使用される食塩水の電気分解装置および方法を開示しており、以下、電解食塩水という。また、以下の特許および公開公報は、電解食塩水の製造に関するさらなる情報を提供するものであって、それらも、参照によってその全体が本件に引用される(米国特許第6,752,757号公報、第6,528,214号公報、米国特許出願公開第20040208940号公報、第20040060815号公報、第20040055896号公報、第20020182262号公報、第20020165431号公報および第20010022273号公報)。
【0023】
電解食塩水を生成する電気化学の工程中に、連続的な電流は、プラス極性があるアノードを含む電極と、マイナス極性があるカソードの間の塩化ナトリウム溶液を通過する。処理中の溶液に電流を作業において、電気化学的な反応により、カソード側の活性塩素や、アノード側の水酸化ナトリウムのような電解生成物が析出することとなる。
【0024】
陽極および陰極の生成物が、電気化学の処理工程中に相互の化学反応によって混合されないようにするには、半透膜または隔膜が、電極間のエリアに置かれることとなる。処理完了後、膜の両側の溶液は、滅菌用或いは殺生剤として使用され得る電解食塩水溶液を形成するために、限られた期間混合される。結果として生じた滅菌剤は、成長力のあるバクテリア(グラム陽性菌および陰性菌)、菌類、ウィルスおよびバクテリアの内生胞子を含む広範囲の微生物に対する効能を有する、抗バクテリア・抗ウイルスの特性を持っている。
【0025】
このようにして得られた溶液の一適用例として、内視鏡のような医療機器の消毒が挙げられる。例えば、FDA510(k)のk013280番において、内視鏡のような道具に対する高レベルの消毒用として、そのようなジェネレーターおよびその溶液の使用が承認されている。この適用例では、ジェネレーターはおよそ200ppmの有効塩素を備えた溶液を生成するように構成されている。かかる溶液は、5−10分で成長力のあるバクテリアの6logまで削減することができる。しかしながら、いくらか弱い溶液は、以下に記述されるようなコンタクトレンズに使用するために、準備することができる。露光時間が過度に延長される場合、あまりにも強い溶液は、潜在的にコンタクトレンズに有害な影響があるかもしれないからである。
【0026】
十分な時間、反応が繰り返され、電気分解された溶液が塩化ナトリウム水溶液に戻されることとなる。この分解は、電気分解から数時間あるいは数日以内に自然に生じることとなる。
【0027】
このプロセスによって得られる滅菌剤の量を増加させるためには、陽極・陰極である2つの成分(その後、所望の滅菌あるいは殺生剤を形成するために混合される)の連続的な流れを形成するために、塩化ナトリウム溶液の別の流れを、分割する膜の両側にリアクターを介して通すことが考えられる。この方法では、所望の滅菌剤の連続的な流れが、連続的な製造工程のために生成され得る。ここに記述されるように、この基本工程は、コンタクトレンズ連続的な製造工程に追加し得るものであって、これにより、従来のオートクレーブにおけるバッチ処理を必要とすることなく、要求されるレンズの滅菌が達成されることとなる。
【0028】
溶液中に存在する活性種の相対的濃度と、それらに伴う殺生活動は、電極間を通過する食塩水の吐出し量を、電極に与えられる電流密度に伴い変更することにより、可変にすることができる。これらのパラメーターの賢明な選択により、コンタクトレンズと融和性のある活性殺生溶液を得ることができる。このような溶液は、比較的低い殺生性を有することから、長時間を要するが、生存する微生物を所望の6logまで削減することは可能である。
【0029】
図1および図2に示されるとおり、コンタクトレンズの製造および滅菌処理法は、典型的には、下記を含んでいる。先ず、所望のレンズ用の型(103)が製作される。型(103)は、一般に、ポリプロピレン(102)から構成されており、型押し工程(101)によって必要な形に形成される。
【0030】
その後、モノマー混合体(104)が、親水性のコンタクトレンズを形成するために型(103)に注入される。好適な一具体例によれば、回転キャスティング(105)が、型内のモノマーを所望のレンズ形状に形成するために使用される。その後、モノマー混合体は、熱によりあるいは光化学的に重合される。使用される材料は、2−ハイドロキシエチルメタクリレート(HEMA)又はグリセロールモノメタクリレートおよびHEMAの共重合体、あるいは、メタクリル酸およびHEMAの共重合体を含んでいる。
【0031】
形成されたレンズは、包装されることとなる。レンズは、先ず、一次パッケージ(110)に収容される。例えば、WO0130559号公報(参照によってその全体が引用される)に開示されているように、レンズが重合された型は、基本的にプラスティック容器であるが、かかる容器は、レンズをそこに保留したまま、一次パッケージの一部を構成してもよい。なお、以下の説明および請求項の記載において、「一次パッケージ」とは、コンタクトレンズがその製造中および製造後に収容されるパッケージであって、患者やエンドユーザーに輸送されて、かかる患者やエンドユーザーが、レンズを装着するために、一次パッケージを開封する。すなわち、一次パッケージは、その後、使用者がコンタクトレンズを使用する間、レンズを保管する保管用パッケージと区別されるものである。
【0032】
包装(110)は、所定量の水和溶液(106)を含んでおり、それは、一次パッケージの開封時、およびレンズが目に装着される前に、レンズを湿らせるために着用者によって使用されるものである。そのような水和溶液に加えて、レンズは一般に、所定量の食塩水(108)と共に、包装されており(以下、包装溶液)、レンズの使用が開始されるまで、レンズを湿った状態に保持する用になっている。食塩水(108)は、重炭酸ソーダで緩衝され、レンズがパッケージに被着するのを防止するために、プロキシマ407のような非常に少量の界面活性剤をさらに含んでいてもよい。
【0033】
上述の如く、レンズおよびパッケージ用食塩水は、一般に、ボートと呼ばれるコンテナーに収容される。その後、ボートは、例えばアルミフォイルのラミネート構造体等のフォイル(107)で密閉される。好適な一具体例によれば、国際特許出願第PCT/AU02/01105号(参照によってその全体が引用される)に記述されるように、ボートはアルミフォイルのラミネート構造体に代えてもよい。
【0034】
この点、レンズおよびレンズ・パッケージの製造は、連続的な製造工程となり得る。しかしながら、従来の製造工程の中では、上述の如き、包装されたレンズは、オートクレーブ(111)のバッチの中で滅菌されることとなる。この工程および高圧滅菌による不利益については、上述のとおりである。さらに、オートクレーブは、誤動作や故障の傾向があり、さらに製造工程を複雑にし延長することとなる。
【0035】
滅菌された後、包装されたレンズは、カートン(112)あるいは、他のコンテナー(以下、2次パッケージ(113)という)へ組み込まれる。2次パッケージ(113)は、同一レンズ、或いは、左右用といった関連するレンズの所定量を含有している。二次パッケージ(113)に収容されると、レンズは、例えば需用者または装用者に直接出荷(114)される準備ができる。
【0036】
図1に示された全工程は、オートクレーブ(111)を例外として連続的な工程として実行することができる。明らかに、連続的な工程における、オートクレーブ(111)のバッチ工程の導入は、工程における潜在的な障害を形成する。この可能性は、図2に示された工程において回避することができる。そこにおいて、高圧滅菌による滅菌工程は、包装用滅菌剤としての電解食塩水の使用に変更されている。図2に示された工程の要素は、図1の説明に伴い、既に説明したことから、重複した記載は割愛する。
【0037】
図2において、電解食塩水(190)は、レンズの一次的な包装に用いる包装用食塩水(108)に添加される。他の例では、しかしながら、包装用食塩水に電解食塩水を添加する方法よりも、むしろ、電解食塩水を排他的な包装用溶液として使用することもできる。
【0038】
電解食塩水(190)は、滅菌剤または殺生剤として機能して、適用される法的必要条件およびガイドラインによって要求される程度に、レンズおよび包装用食塩水(108)の両方を滅菌する。その後、電解食塩水(190)は、数時間か数日の間、自然分解されて、さらなる食塩水となる。したがって、使用者が、レンズ包装体を受け取り、開封し、レンズを着用する時までには、電解食塩水は、本質的に包装用食塩水中の食塩水になる。したがって、包装されたレンズを滅菌するために電気分解された食塩水(190)への患者の副作用の可能性がなくなる。
【0039】
レンズがさらに取扱用色調、例えばアントラキノン染料を含んでいる場合もある。これらの色調は、100ppmの自由塩素より下の次亜塩素酸塩溶液中の、変色しないものである。塩素元素がさらに電気分解された食塩水中に存在する場合もある。しかし、電解食塩水を製造するために使用されるジェネレーターの作業パラメーターの賢明なコントロールによって、塩素のレベルは本質的に、それが多くの飲用水と同等のレベルになるようにできる。塩素の量を抑えることは、包装されたレンズを滅菌するのに必要な時間を増加させることとなるが、レンズの着色の漂白化を防止することができ、どんな顕著な塩素芳香も制限し、レンズの機械的又は引張強度を保持することが出来る。
【0040】
図2に示されるように、電解食塩水(190)は、レンズと共に包装される水和溶液(106)に添加されてもよい。これにより、水和溶液の滅菌が確実に行われ、使用者への悪影響の可能性を更に無くすことができる。
【0041】
図2に示された工程の序盤を見ると、重合(105)の後に、コンタクトレンズは水和処理、および品質検査のようなその他の処理を施される。この処理は、全体の滅菌処理の初期工程を含んでいる。例えば、新規に作成されたドライレンズは、殺菌用紫外線ランプの下を通過し、制御された環境下(例えば、HEPAが濾過された層流フード内)に置かれ、水和および包装される前に、滅菌されるようになっている。
【0042】
レンズと、電解食塩水を含む包装用食塩水とは、包装容器内に収容され、例えばフォイル(107)により密封される。一具体例によれば、包装容器中の電解食塩水が、十分な殺生活動を行うことから、包装容器をオートクレーブにかける必要がない。むしろ、包装されたレンズは、直接二次包装(113)に向けて配置され、続いて出荷(114)されることとなる。従って、図2に示された製造工程は、完全に連続的な工程を形成している。このことは、レンズの製造効率を著しく引き上げ、高圧滅菌処理を省略する事が出来る。
【0043】
加えて、フォイル(107)を包装容器(110)に密封するためのシール工程は、少なくとも部分的にレンズを滅菌することができ、一定の殺生活動を提供することができる。他の実施形態では、包装容器内の電解食塩水は、略10-3又は10-4レベルの無菌保証を達成するように形成されている。この場合は、フォイル(107)を包装容器(110)に密着させるために使用する熱により、レンズの滅菌を所望の程度(10-6)まで、完成することができる。フォイル(107)を密着させるために使用される熱は、電解食塩水が無害な食塩水に分解されるまでの効率を引き上げることもできる。包装容器内の食塩水の量が少量であること、およびフォイルの熱伝導率が高いことにより、この一具体例によれば、フォイルを包装容器に密着させるために使用する熱は、電解食塩水および食塩水の温度を、略100℃以上に上げることができる。この温度の上昇により、電解食塩水の消滅割合が高められ、消滅率が高くなると、反応速度論により、電解食塩水が活性化する。結果として、この一具体例によれば、殺生剤の活動率は、温度と共に上昇する。本実施形態によれば、電解食塩水(110)は、フォイル(107)を包装容器(110)に密着させるために使用する熱と一緒になって、少なくとも10-6レベルの無菌保証を達成し得るに十分な殺生活動を提供することができる。
【0044】
図3は、滅菌剤として電解食塩水を利用した、コンタクトレンズの連続的な製造工程の一部を示している。図3に示されるように、食塩水の供給あるいは塩化ナトリウム溶液(150)が提供される。ここにおいて、供給は任意であるが、特に、コンタクトレンズ製造を実行する間中、電解食塩水の製造が中断されないよう、十分な量が提供されるようになっている。この供給(150)は、電解食塩水の製造に必要とされる塩化ナトリウム水溶液を提供するために、水流中に添加される多量の塩化ナトリウムを含んでいる。
【0045】
使用される水は、浄化された水である必要はなく、水道水が使用されてもよい、軟化あるいは浄化された水であってもよい。浄化された水が使用される場合、水は、フィルタリングおよび殺菌用紫外線への接触を組み合わせて浄化されてもよい。ジェネレーター(152)が、内的に溶液のpHを緩衝するために、所定の伝導性を必要とする場合は、低濃度の塩、好ましくは、炭酸水素ナトリウムを、浄化された水に対して、浄化水製造ラインに設置された攪拌機を通して、添加することができる。ここに説明したコンタクトレンズ包装への適用においては、重炭酸ナトリウムは加えることができるが、水流へ加えられる必要はなく、最終溶液で、緩衝剤として機能することとなる。
【0046】
ある具体例において。供給(150)は、任意の数の溶液の個別の貯留槽や、塩化ナトリウムのコンテナーを含んでいる。複数の材料の貯留槽やコンテナーがあることで、工程を中断しないで、枯渇した貯留槽やコンテナーは、補充されたものと取り替えることができる。この方法では、連続的な製造工程の実行を中断しない期間を、無期限に拡張することができ、故障等の希に発生する事項や、定期的な保守、および/または材料不足のような事項にのみ対応すればよい。
【0047】
例示した具体例によれば、水溶液は、供給(150)から供給ライン(151)を通って、ジェネレーター(152)に供給される。他の例においては、供給はジェネレーター(152)に統合されている。これにより、ジェネレーターが水、例えば純粋の供給を受ける一方、伝導率制御機構としての化学品、例えば塩の供給を受け、ジェネレーター内で食塩水を製造し、電気分解するようにしてもよい。
【0048】
ジェネレーター(152)は、上述の方法で、食塩水を電気分解する。具体的には、ジェネレーター(152)は、二つの部屋、すなわち、陽極室(153)と陰極室(154)に分割され、両室の間に電流を流すことにより、ジェネレーター(152)中の食塩水を電気分解することとなる。
【0049】
分割体(151)、例えば、半透膜(151)は、ジェネレーター(152)を陽極室(153)および陰極室(152)に分割する。分割体(151)は、陽極室(153)の中のアノード(156)と陰極室(154)のカソード(155)の間に電流が流れることを可能にする。しかしながら、分割体(151)は、両部屋で電気分解された溶液が、混合することを阻止する。分割体(151)は、例えば、酸化ジルコニウムに基づいたセラミックで作られた透過性膜を含んでいる。
【0050】
補給ライン(151)から、陽極室(153)および陰極室(154)の両方に、食塩水が別々に供給される。上述の如く、アノード(156)およびカソード(155)の間に、電流が流れることによって、電解生成物として、アノード側に、活性塩素、カソード側に水酸化ナトリウムが得られる。
【0051】
その後、アノード側溶液は、陽極室(153)から流路(158)まで流れる。他の具体例においては、アノード側溶液から、塩素のうちのいくらかあるいは他の電解生成物を取り除くことが望ましい。従って、アノード側溶液の流路に、中間流路触媒リアクター(161)が提供されてもよい。中間流路触媒リアクター(161)は、粒状の触媒あるいは吸着剤を含んでおり、アノード側溶液の活性塩素を取り除く(化学分解および/または吸着)ようにされる。
【0052】
同様に、カソード側溶液は、陰極室(154)から流路(157)まで流れる。その後、アノード側とカソード側の溶液は、攪拌装置(165)の中で再結合される。攪拌装置(165)に流入するアノード側溶液と、カソード側溶液のタイミングおよび/または比率を制御するために、バルブ(159、160)は、アノード側流路(158)およびカソード側流路(157)にそれぞれ含まれていてもよい。
【0053】
攪拌装置(165)は省略されてもよい。また、ジェネレーター(152)は、陽極室(153)および陰極室(154)からの溶液を組み合わせるのために混合機構を含んでいてもよい。したがって、他の具体例において、供給(150)および(または)攪拌装置(165)はジェネレーター(152)へ統合されてもよい。
【0054】
一旦アノード側溶液とカソード側溶液が、攪拌装置(165)の中で再結合されると、混合液は、電解食塩水あるいは超酸化水と言及され、以下に説明するとおり、所望の滅菌および殺生特性を有している。電解食塩水は、7.20〜7.70に及ぶpHを有している。さらに、混合されることにより、前述の如き、電解食塩水中に存在する電解生成物は、反応および分解することで、無害の食塩水が生成されることとなる。この分解には、条件にもよるが、2〜12時間あるいはそれ以上の時間を要する。電解食塩水が殺生剤としてまだ有効な間は、図2に関連して説明したとおり、それは製造工程(164)において、コンタクトレンズの包装用および殺菌用として使用される。
【0055】
図3は、一般的な形態の、電解食塩水用のジェネレーター(152)を示している。しかしながら、ジェネレーター(152)は、様々な形態を取り得る。例えば、GB2253860(それは参照によってその全体が引用される)は、二つの電極の一方が、ロッドであり、他方がシリンダである構成を開示している。電極は同心的に配置されて、陽極室および陰極室(作用室・補助室)を提供し、両室は、透過性膜で仕切られている。
【0056】
水は作用室を通って、底から装置のトップに供給される。同時に、より高度に鉱物を含む水は、補助室を通過して、ガス分離室へ流れる。電流は、両室の水および両室を分離する膜を通過して、カソードとアノードの間を流れる。補助室を通過する水は、対流および補助室の電極上で生成される、ガスの泡の上昇を通じて水に適用されたせん断力によって、補助室へ再循環する。作用室の圧力は、補助室の圧力より高い。また、ガスの電解生成物は、ガス・リリーフバルブ経由でガスを分離する部屋から放出される。陰極側水処理と陽極側水処理の作業モード変更は、極性の変更により達成される。
【0057】
電気分解された食塩水塩水を生成するジェネレーターは、どんな構成も、ここに説明したコンタクトレンズを殺菌システムおよび方法の原理に従い、使用することができる。
【0058】
図3に示すように、ディスペンサー(163)は、製造工程(164)を移動する、一連のコンタクトレンズ・パッケージ(162)のそれぞれに対して、攪拌装置(165)、又は攪拌装置およびジェネレーターの統合体から供給される電解食塩水を、供給する。ディスペンサー(163)は、ハミルトンのモーターで動く注射器を含んでおり、正確な量の溶液が各レンズ・パッケージ(162)に添加されることを確実にしている。各レンズ・パッケージに加えられた溶液の量は、例えば0.15mlから6mlに及ぶ。
【0059】
電解食塩水中に包装されたレンズは、電解食塩水が単純な食塩水へ分解される前に、準拠法および安全ガイドラインによって義務づけられている程度に殺菌されることとなる。食塩水の分解は、次亜塩素酸、次亜塩素酸塩および塩素酸塩のような電解生成物のいくつかの副産物を含んでいる。
【0060】
レンズの包装容器へのくっつきを防止する目的で、包装溶液内で使用される界面活性剤は、供給(150)において、溶液中に加えられ、ジェネレーター(152)を通って処理することができる。或いは、界面活性剤は、ジェネレーター(152)の中で溶液に添加するか、あるいは攪拌装置(165)の前後にあるいはその中で、添加することができる。包装溶液への所望の添加物であって、ジェネレーター(152)と調和しないものは、包装溶液がジェネレーター(152)によって出力された後であって、当該溶液が包装容器(162)へ導入される前に、溶液に添加することができる。
【0061】
或いは、界面活性剤は、コンタクトレンズを形成する材料に添加されてもよい。界面活性剤はジェネレーター(152)を通過する必要はないが、レンズが包装容器にくっつくのを防ぐことができるようレンズが最初に使用される以前の保存時に、レンズから浸出することとなる。この場合、界面活性剤は、レンズの容器へのくっつき防止機能と、レンズの水和を促進するための離型剤としての機能の両方を発揮することとなる。
【0062】
電解食塩水については、滅菌および高いレベル消毒の両方の要求を満たすことが実証された。化学滅菌剤においては、所定時間内に生きた微生物と胞子を6logまで削減できる能力が必要となるが、しかし、ハイ・レベルの消毒剤は殺胞子能力を実証する必要はない。典型的に、高レベルの消毒のための推奨された接触時間は滅菌に必要な時間より短い。電解食塩水の場合には、高いレベル消毒が、10分で達成され、滅菌が20分で達成される。
【0063】
電解食塩水を滅菌剤として、コンタクトレンズの一次パッケージング内で使用する二つの具体例を以下に示す。
【0064】
(実施例1)
商業用の電解食塩水ジェネレーターは、米国特許出願2004/055896(参照によってその全体が引用される)に記述されるような殺生剤溶液を生成するように構成されている。この溶液は、6.00と6.20の間のpHと共に、0.26%w/wの濃度の塩化ナトリウムと、利用可能な自由な塩素を220ppm(次亜塩素酸と次亜塩素酸ナトリウムとして)を含んでいる(下記のテーブル1を参照)
【0065】
その後、殺生剤溶液は、同等の量の副次的に緩衝された食塩水と混合され、0.6%の塩化ナトリウムおよび110ppmの有効塩素を含み、7.2のpHである、滅菌レンズ包装溶液を生成する。これら溶液の実際の組成は、表1に示す。
【0066】
【表1】

【0067】
(実施例2)
商業用の電解食塩水ジェネレーターは、塩化ナトリウム(0.6%)を含む包装溶液を直接生成するように構成されている。ジェネレーターは、浄化された水の中に、重炭酸ナトリウム(0.05%)の溶液を加える。ジェネレーターによる溶液吐出量の適当な調節によって、約100ppmの利用可能な自由塩素内容物を生成することができる。この溶液は、コンタクトレンズを包装するために、直接使用されてもよい。
【0068】
以上、本発明の具体例としてシステム及び方法について、例示の目的で詳述したが、本発明が、これらのシステムや方法の具体的な態様に限定されるものではなく、上記の説明から導き出される種々の変更や展開が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の一実施形態としての、オートクレーブ滅菌処理工程を含むコンタクトレンズの製造工程を示す図。
【図2】本発明の一実施形態としての、以下に記述の原理により電気分解された食塩水を用いた滅菌工程を含むコンタクトレンズの製造工程を示す図。
【図3】以下に記述の原理の一例として、滅菌剤として電気分解された食塩水を採用した、コンタクトレンズの連続的な製造工程の一部を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
食塩水を電気分解してなる電解食塩水を用いてコンタクトレンズを滅菌するコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項2】
前記電解食塩水が、前記コンタクトレンズと共に、前記コンタクトレンズを封入する一次パッケージ内に密封されている請求項1に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項3】
前記コンタクトレンズと前記電解食塩水とを収容するコンテナに対して、フォイルを密着するために、一次パッケージを加熱する工程を含み、該加熱工程により、該コンテナに加熱処理を施して該コンテナをフォイルによって密封せしめると共に、前記コンタクトレンズを少なくとも部分的に滅菌するようにした請求項2に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項4】
前記加熱工程により、前記電解食塩水の電解が促進されるようにした請求項3に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項5】
前記コンタクトレンズが前記一次パッケージに固着するのを防止するために、前記食塩水を電気分解した後に、前記電解食塩水に対して界面活性剤を添加する工程を含む、請求項2に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項6】
前記コンタクトレンズを形成する材料が界面活性剤を含んでおり、かかる界面活性剤が前記電解食塩水に浸出することにより、前記コンタクトレンズが前記一次パッケージに固着するのを防止するようにした請求項2に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項7】
前記電解食塩水がpH緩衝剤を含んでいる請求項1に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項8】
前記一次パッケージを高圧滅菌する工程を含み、前記コンタクトレンズをさらに滅菌するようにした請求項2に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項9】
前記コンテナが、ボート型を含んで構成されている請求項3に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項10】
前記コンテナが、ラミネート加工されたアルミニウムフォイルを含んで構成されるようにした請求項3に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項11】
一次パッケージ内のコンタクトレンズを滅菌するシステムであって、
殺菌性を有する電解食塩水を製造する電解食塩水製造手段と、
所定量の前記電解食塩水を前記電解食塩水製造手段から前記コンタクトレンズを含む前記一次パッケージへと供給する電解食塩水供給手段と
を、含んで構成されるコンタクトレンズの滅菌システム。
【請求項12】
塩と水とを攪拌して食塩水を製造する攪拌装置を備えると共に、該食塩水が前記電解食塩水製造手段により電気分解されるようにした請求項11に記載のコンタクトレンズの滅菌システム。
【請求項13】
前記電解食塩水製造手段が膜により隔てられた陽極室と陰極室を備えており、それら陽極室と陰極室にそれぞれ前記食塩水を供給する装置を備えている請求項11に記載のコンタクトレンズの滅菌システム。
【請求項14】
前記電解食塩水製造手段が、前記電解食塩水のpH値が、7.20から7.70の間となる該電解食塩水を製造するように設計されている請求項11に記載のコンタクトレンズの滅菌システム。
【請求項15】
前記電解食塩水が、製造されてから2時間から12時間の間に分解されて無害な生理食塩水となるように設計されている請求項11に記載のコンタクトレンズの滅菌システム。
【請求項16】
コンタクトレンズの少なくとも一部を電解食塩水を用いて滅菌する工程を含むコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項17】
一次パッケージ内にコンタクトレンズを加熱密封する工程を含み、該加熱密封により、前記電解食塩水の殺生性が向上されるようにした請求項16に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項18】
コンタクトレンズをパッケージに収容する工程と、前記パッケージと前記コンタクトレンズとをオートクレーブにかけることにより、前記コンタクトレンズをさらに滅菌するようにした請求項16に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項19】
前記コンタクトレンズと前記電解食塩水とを前記コンタクトレンズパッケージ内に収容する工程を含んでおり、前記電解食塩水の使用と、コンタクトレンズのパッケージへの収容とを、連続的な工程において行うようにした請求項16に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。
【請求項20】
前記電解食塩水に、炭酸水素塩を加える工程を含む請求項16に記載のコンタクトレンズの滅菌方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−524449(P2009−524449A)
【公表日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−550879(P2008−550879)
【出願日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際出願番号】PCT/IB2007/002189
【国際公開番号】WO2008/007217
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(000138082)株式会社メニコン (150)
【Fターム(参考)】